JP2009014312A - 加湿装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】貯水部に貯水された水中の硬度成分をスケールとして効率的に析出させ、加湿性能の低下を抑制する加湿装置を提供する。
【解決手段】加湿装置は、貯水部と、加湿部と、電気分解部400と、攪拌部410とを備えている。貯水部は、水を貯水させるためのものである。加湿部は、貯水部に貯水させた水を気化させるためのものである。電気分解部400は、貯水部に貯水させた水と接触するように配置されたものである。攪拌部410は、貯水部に貯水させた水を流動させるために電気分解部400と別個に設けられたものである
【選択図】図5

Description

本発明は、加湿装置に関するものであり、特に加湿性能の低下を抑制する加湿装置に関する。
従来、加湿装置は、水を貯める貯水部と、貯水部の水を気化させる加湿部とを備えた構成のものが用いられている。加湿部の加湿方式としては、水を加熱して気化させる加熱方式、空気中に水を超音波などで霧状に放出して気化させる霧化式、および吸水した加湿部としてのフィルタに空気を通過させて気化させる気化方式などが知られている。このような加湿装置を繰り返し使用すると、貯水部内の水の導電率および硬度は次第に高くなる。これは、加湿装置で使用する水は、水道水、井戸水、または工業用水などの純水ではない水であるため、水そのものが気化しても、供給される水に含まれる不揮発性の不純物が残留するためである。水道水、井戸水、および工業用水などに含まれる不純物として、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化物イオン、硫酸イオンおよび炭酸イオンなどの硬度成分としての電解質が挙げられる。これらの硬度成分は揮発しないため、貯水部に残留する。また、加湿部としてのフィルタにこれらの硬度成分が蓄積していくと、加湿部の性能が低下してしまう。
このような問題を解決するために、たとえば、特開平11−257695号公報(特許文献1)には、加湿装置に用いられる水を、イオン交換繊維により浄化して、加湿装置の内部を汚染する水中のイオン成分をあらかじめ除去することによって、内部の汚染を防止した加湿装置が記載されている。
また、特開2005−315554号公報(特許文献2)には、立体的な網目構造を持つ加湿構造体(加湿フィルタ)を回転させ、貯水部の水を加湿構造体に保持させて気化させる加湿装置が記載されている。特許文献2によれば、スケールが析出しても加湿構造体内部に保持できる水の量に与える影響がほとんどないまま加湿効率を維持できることが記載されている。
また、特開平3−5646号公報(特許文献3)では、針金状の電極で、陽極と陰極との電極間の距離を変えて電流密度が所定の比になる電極部を備えた加湿装置が記載されている。特許文献3によれば、電流密度の違いによるpHの違いから、Ca(カルシウム)イオンとMg(マグネシウム)イオンとを効果的に電極に付着させて水中からスケールを除去することが記載されている。
また、特開2002−349913号公報(特許文献4)では、不溶性または高耐食性の電極を水と接するように配置し、塩素を発生させて水を殺菌すると同時に、水中の無機質をスケールとして析出させる加湿装置が記載されている。特許文献4によれば、析出したスケールは電極に付着しないように、電極の通電極性を切り替え、はがれたスケールは別に設けたフィルタなどで回収することが記載されている。
特開平11−257695号公報 特開2005−315554号公報 特開平3−5646号公報 特開2002−349913号公報
しかしながら、上記特許文献1の供給される水の成分をイオン交換樹脂で浄化することにより、カルシウムやマグネシウムを除去する技術では、除去する物質と交換された物質が接触する水に放出される。そのため、浄化された水においてスケールを形成しそうな物質は除去されているが、その代わりに、イオン交換樹脂で交換された新たな物質を含んでいる。この物質によって、良好な加湿性能に影響を及ぼすおそれがある。
また、上記特許文献2の加湿フィルタを回転させる技術では、網目構造を持つ加湿フィルタが回転する。そのため、スケールを除去するための加湿フィルタを長期に渡って使用すれば、スケールが網目構造内に蓄積していく可能性も考えられる。スケールが加湿フィルタに蓄積すると、フィルタに吸着された水の気化が促進されないので、加湿性能が低下してしまう。
また、上記特許文献3および特許文献4の水中に浸した電極に通電することでスケールを制御する技術では、電極近傍に存在する水からはスケール成分を析出させることができても、貯水部全体の水を処理するのは難しい。そのため、スケール析出効率が悪い。
したがって、本発明は、貯水部に貯水された水中の硬度成分をスケールとして効率的に析出させ、加湿性能の低下を抑制する加湿装置を提供することである。
本発明の加湿装置は、貯水部と、加湿部と、電気分解部と、攪拌部とを備えている。貯水部は、水を貯水させるためのものである。加湿部は、貯水部に貯水させた水を気化させるためのものである。電気分解部は、貯水部に貯水させた水と接触するように配置されたものである。攪拌部は、貯水部に貯水させた水を流動させるために電気分解部と別個に設けられたものである。
本発明の加湿装置によれば、電気分解部と別個に設けられた攪拌部を動作させることにより、貯水部内の水流動させることができ、結果として貯水部内の水を電気分解部に向かって流動させることができる。そのため、電気分解部近傍の水だけでなく、貯水部全体の水について硬度成分をスケールとして電気分解部に析出させることができる。よって、貯水部に貯水された水中の硬度成分をスケールとして効率的に析出させて硬度成分を効率的に除去できる。また、加湿部に硬度成分が蓄積することを抑制できるとともに、スケールを除去するために加湿性能に影響を及ぼす新たな物質を生成しないので、加湿性能の低下を抑制できる。
上記加湿装置において好ましくは、電気分解部が動作しているときに攪拌部を動作させるように構成されている。
これにより、貯水部に貯水された水が攪拌部の動作により流動しているときに、電気分解部を動作させるので、電気分解部近傍の水のpHが偏ることを抑制できる。そのため、水の硬度成分をスケールとしてより効率よく析出させることができる。よって、加湿性能の低下を抑制できる。
上記加湿装置において好ましくは、加湿部はフィルタを含み、攪拌部は、フィルタを動作させることにより構成されている。
これにより、フィルタに析出するスケールを容易に剥がれ落とすことができる。そのため、フィルタに付着したスケールによる加湿性能の低下をより抑制できる。
上記加湿装置において好ましくは、攪拌部は、加湿部を構成する部材と別の部材からなっている。
これにより、貯水部に貯水させた水を流動させやすい領域などの任意の領域に攪拌部を配置することができる。
上記加湿装置において好ましくは、電気分解部は陽極と陰極とを含み、攪拌部は、貯水部に貯水させた水の一部を電気分解部の陰極近傍において10以上のpHになるように構成されている。
これにより、スケールの主成分である炭酸カルシウムの溶解度が低下して、陰極にスケールが析出しやすくなる。
上記加湿装置において好ましくは、加湿部の動作終了後に、電気分解部を動作させるように構成されている。
加湿部の動作終了後は、貯水部に貯水された水の硬度が相対的に高い時であるので、スケールが容易に析出する。そのため、貯水部に貯水された水の硬度成分を容易に除去できる。
上記加湿装置において好ましくは、貯水部に配置された導電率センサをさらに備え、加湿部の動作終了後に、導電率センサにより測定された貯水部に貯水させた水の導電率に基づいて、電気分解部を動作させるように構成されている。
導電率は電解質濃度(本発明における硬度成分)の指標となるので、導電率から硬度の値を予測判断して、電気分解部を動作させることができる。そのため、硬度が所定の値以上のときに電気分解部を動作させることができ、かつ、硬度が所定の値未満のときに電気分解部を動作させないように電気分解部を動作するように構成できる。そのため、電気分解部を動作させるために要する電力を低減することができる。
上記加湿装置において好ましくは、電気分解部は、陽極と陰極とを含み、陽極を構成する電極は金属電極を有し、電気分解部は、陽極および陰極に電圧を印加することで陽極から金属イオンを溶出させるように構成されている。
これにより、陰極にスケールを析出させるとともに、陽極からは抗菌性を有する金属イオンを溶出させることができる。そのため、貯水部に貯水された水の除菌機能を付与することができる。
上記加湿装置において好ましくは、金属電極は銀を含み、金属電極から溶出される金属イオンは銀イオンである。
銀イオンは高い抗菌効果を有しているので、貯水部に貯水された水中の細菌の繁殖を抑制することができる。細菌の繁殖を抑制することによって、貯水部にカビやぬめりの発生を防止できる。
本発明の加湿装置によれば、貯水部に貯水された水中の硬度成分をスケールとして効率的に析出させ、加湿性能の低下を抑制することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1〜図6を参照して、本発明の一実施の形態における加湿装置の構成を説明する。図1は、本発明の一実施の形態における加湿装置を前面側から見た斜視図であり、図2は、背面側から見た分解斜視図であり、図3は、給水タンクを示す斜視図である。図4は、トレイを示す斜視図である。図5は、図4におけるV−Vでの断面図である。図6は、電気分解部を示す模式図である。
図1〜図3に示すように、本実施の形態における加湿装置1は、本体部2と、給水タンク3と、貯水部としてのトレイ4と、加湿部としてのフィルタ5およびファン(図示せず)と、電気分解部400(図5〜図8参照)と、攪拌部410(図5、図7および図8参照)とを主に備えている。攪拌部410は、貯水部に貯水させた水を流動させるために電気分解部400と別個に設けられている。
図1に示すように、本体部2の一方側面には、円弧状に開口した形状のタンク装着壁2aが本体部2の高さ方向に延びて形成されている。タンク装着壁2aは、本体部2の一方側面側に給水タンク3を装着するための空間を形成している。図2に示すように、本体部2の下方には、本体部2の背面側からトレイ4が着脱される空間(トレイ装着部2c)が設けられている。本体部2の他方側面には、縦にスリットの入った吸込口7が設けられている。本体部2の内部には、吸込口7と対向する位置にエアフィルタ(図示せず)が設けられている。本体部2の前面側上部には、各種ボタンが形成された操作部8が設けられている。本体部2の背面側上部には、一方側面から他方側面に向けて複数のスリットが入った吹出口9が設けられている。
図2に示すように、フィルタ5は、トレイ4に貯水させた水を気化させるための加湿部を構成している。フィルタ5は、トレイ4の貯水部42の内部に収納された状態で、本体部2のトレイ装着部2cに装着されている。フィルタ5には、直方体形状の枠体であるフィルタケース51の枠内に凹凸が繰り返し形成された形状の給水フィルタ52が収容されている。
図3に示すように、給水タンク3は、トレイ4に水を給水するためのものであり、本体部2に対して着脱可能である。給水タンク3の容器30は、内部に水を保持し、一方が開口した有底円筒体であり、水位が外から見えるように構成されている。取手部31は、容器30に取り付けられており、手先を挿入すると給水タンク3を持ち運びできる。蓋部32は、容器30の開口部に対して着脱可能である。蓋部32には溝(図示せず)が設けられている。蓋部32が容器30に取り付けられた状態の給水タンク3をトレイ4に装着すると、溝を介して容器30からトレイに水が給水される。
図4に示すように、トレイ4は、水を貯水させるための貯水部であり、本体部2に対して着脱可能である。トレイ4は、有底筒型のタンク挿入部41と、皿形状の貯水部42とを含んだ樹脂製の一体成型品である。また、トレイ4が本体部2のトレイ装着部2c(図2参照)に装着される。トレイ4が本体部2に取り付けられると、トレイ4は本体部2の背面および側面の一部を構成している。
トレイ4の一方側面側(図4において左側)には、筒状のタンク挿入部41が形成されている。トレイ4がトレイ装着部2c(図2参照)に装着されると、本体部2の一方側面ではタンク挿入部41が本体部2の外部に露出し、本体部2の内部では貯水部42が収容される。また、本体部2の一方側面におけるトレイ装着部2cの上方に形成されたタンク装着壁2aと、トレイ4のタンク挿入部41の円弧状壁41bとが連なり、タンク挿入部41の内部とその上方空間に、給水タンク3を装着するための円柱型のタンク装着部が形成される。
タンク挿入部41には、周囲に半円形の壁41aと、壁41aと連なり、壁41aの高さよりも高い円弧状壁41bとが設けられている。タンク挿入部41の底面において、最も高さの低い領域に水路41cが形成され、水路41cよりも高い領域には円台41eが形成されている。円弧状壁41bの底部において、タンク挿入部41と貯水部42との境界に開口41dが設けられ、水路41cは開口41dを介して貯水部42内に通じている。円台41eには、円柱43が設けられている。給水タンク3がトレイ4に装着されたときに円柱43が蓋部32を押圧し、蓋部32の溝を介して給水タンク3の内部の水がタンク挿入部41に流れ込み、流れ込んだ水が水路41cおよび開口41dを流れて貯水部42内に水が貯水される。
図4および図5に示すように、貯水部42の底面には、前面側から背面側への略中央において、タンク挿入部41から他方側面へかけて平面形状が矩形の凹部42bが設けられている。凹部42b上には、水が下方に浸透するように空洞を有する網状の樹脂製の蓋部42dが配置されている。蓋部42dと、底面部42aとは同一平面上に位置付けられている。底面部42aと蓋部42dとからなる平面は、凸部42cに対して凹部となり、フィルタ5を装着するためのフィルタ装着部を形成する。すなわち、フィルタ5は、底面部42aおよび蓋部42dで構成される平面と、凸部42cとの間にはめ込まれる。
図5に示すように、網状の蓋部42dの下に形成された凹部42bには、電気分解部400および攪拌部410が設けられている。電気分解部400および攪拌部410は、貯水部としてのトレイ4に貯水させた水と接触するように配置されている。電気分解部400および攪拌部410は、電気配線(図示せず)により、電気分解部400および攪拌部410をそれぞれ動作させるための制御部(図示せず)および加湿装置1の運転制御を行なっている制御部(図示せず)などに繋がっている。
なお、本実施の形態における加湿装置1において、トレイ4は本体部2から着脱可能に構成されている。電気分解部400に接続される上記電気配線(図示せず)に供給される電気は、コイルを介した無接点電力伝送やコネクタ等を使用することにより、本体部2から供給される。
図6に示すように、電気分解部400は、トレイ4に貯水された水の硬度成分をスケールとして析出するためのものである。本実施の形態では、電気分解部400は、図6に示すように、陽極401aと陰極401bとを含んでいる。陽極401aおよび陰極401bは電極端子収納部402を介して電気配線(図示せず)に接続されており、印加される電圧に応じた電気的制御を受ける。電気分解部400の内部には、板状の陽極401aおよび陰極401bが短絡しないように、陽極401aと陰極401bとの間を一定間隔に保つためスペーサー403が設けられている。トレイ4の貯水部42に給水タンク3から水が供給されているときに、陽極401aと陰極401bとの間に電圧を印加することにより、陰極401bに水中の硬度成分(たとえばカルシウムイオン)がスケール(たとえば炭酸カルシウム)として析出される。
陽極401aおよび陰極401bを構成する材料は、陰極401bにスケールが析出すれば特に限定されず、たとえば溶解性を有する金属を用いてもよく、不溶性の材料を用いてもよい。陽極401aおよび陰極401bを構成する材料は、両方の電極を溶解性の金属電極または不溶性の電極として定期的に通電極性を変化させてもよく、一方を溶解性の金属電極とし他方を不溶性の電極としてもよい。不溶性の材料としては、たとえば酸化チタン、白金、イリジウムおよび炭素電極などを用いることができる。溶解性の金属電極を構成する材料としては、たとえば銀、銅、亜鉛、および、銀と銅と亜鉛との合金などを用いることができる。
陽極401aおよび陰極401bの少なくとも一方が金属電極を有している場合には、金属電極に電圧を印加することで金属電極から金属イオンを溶出させるように構成されている。金属イオンをトレイ4に溶出させると、トレイ4に貯水されている水に除菌および抗菌効果が付与される。陽極401aおよび陰極401bが金属電極を有している場合には、電気分解部400の陽極401aは電気分解によりトレイ4に貯水させた水に除菌イオンを添加するためのものであり、陰極401bはトレイ4に貯水させた水の硬度成分をスケールとして析出させるためのものである。
陽極401aおよび陰極401bを構成する材料は、抗菌または殺菌性のある金属イオンを溶出する金属により構成されることが好ましい。このような金属として、たとえば銀、銅、亜鉛、および、銀と銅と亜鉛との合金などが挙げられ、銀であることがより好ましい。銀を含む電極から溶出する銀イオンと、亜鉛を含む電極から溶出する亜鉛イオンとは、殺菌効果に優れている。銅を含む電極から溶出する銅イオンは、防カビ性に優れている。また、これらの合金を含む電極は、これらの金属のイオンを同時に溶出させることができるので、優れた殺菌効果および防カビ効果を得ることができる。
陽極401aおよび陰極401bを構成する材料が銀で、陽極401aおよび陰極401b間を流れる電流が直流である場合には、陽極401a側の電極においてAg→Ag++e-の反応が生じ、トレイ4の貯水部42に貯水させた水に銀イオン(Ag+)が溶出する。陰極401b側の電極において水中の硬度成分として多く含まれるCa2+イオン(カルシウムイオン)が空気中から解けている二酸化炭素から生じるCO3-イオン(炭酸イオン)と、Ca2++H2O+CO2→CaCO3+2H+の反応が生じ、炭酸カルシウムが陰極に析出する。
一般的に、pHが10以上であると炭酸カルシウムの溶解度が下がることが知られている(たとえばセメント・セッコウ・石灰ハンドブック,技報堂,(1995),p323)。陰極401b側にスケールをより効率的に析出するために、攪拌部410は、貯水部としてのトレイ4に貯水させた水の一部を電気分解部400の陰極401b近傍において10以上のpHになるように構成されている。このような構成として、電極面積を小さくすると電流密度を高くできることを利用して、陰極401bをトレイ4に貯水された水のpHを10以上に調整しやすいように形成された形状が挙げられる。
図5に示すように、攪拌部410は、貯水部としてのトレイ4に貯水させた水を流動させるために電気分解部400と別個に設けられたものである。攪拌部410は、貯水部としてのトレイ4に設けられていれば凹部42bに設けられる配置に限定されず、たとえばタンク挿入部41に設けられていてもよい。攪拌部410が電気分解部400と別個にトレイ4に設けられていれば、トレイ4の大きさを考慮すると、攪拌部410によりトレイ4に貯水された水が一方向でなく多方向に流動し、その結果、電気分解部400に向かって水が流動する。攪拌部410はトレイ4において任意の場所に配置され、トレイ4に貯水された水が流動しやすい位置(流動効率が高い位置)に配置されることが好ましい。
本実施の形態の加湿装置1は、電気分解部400が動作しているときに攪拌部410を動作させるように構成されている。たとえば電気分解部400に電圧が印加されることを検知して攪拌部410を動作させる信号を送る制御部(図示せず)を加湿装置1が備えることにより、このような構成を実現できる。
また、本実施の形態の加湿装置1は、加湿部の動作終了後に、電気分解部400を動作させるように構成されている。そのため、加湿装置1は、加湿部の動作終了後に、電気分解部400および攪拌部410が動作するように構成されている。
本実施の形態では、図5に示すように、攪拌部410は、加湿部を構成する部材と別の部材からなっている。攪拌部410は、トレイ4に貯水されている水を流動させるための部材であれば特に限定されず、たとえばフィルタ5などに接触しないように回転させる回転子や攪拌羽などの回転式の部材などを用いることができる。また、攪拌部410は、ポンプ式の部材であってもよい。
図7は、本実施の形態の変形例1における攪拌部材を示す模式図である。図7に示すように、攪拌部410は、貯水部42の凹部42bの底に埋め込まれるように設けられた超音波振動子などの振動式の部材としている。本変形例では、攪拌部410としての振動式の部材はフィルタ5などと接触しないでトレイ4に貯水された水に振動を加えることができるように配置されている。本変形例の攪拌部410は、加湿部を構成する部材と別の部材からなっている。
図8は、本実施の形態の変形例2における攪拌部材を示す模式図である。図8に示すように、攪拌部410は、フィルタ5を動作させることにより構成されている。具体的には、貯水部42の底面部42aにスライド可能なスライダー420が取り付けられ、スライダーにフィルタ5が取り付けられている。スライダー420を用いて攪拌部410としてのフィルタ5を図8において左右方向や前後方向に揺する(振動させる)ことにより、または回転させることにより、フィルタ5が接触している水を流動させる。本変形例では、攪拌部410はスライド式の部材としている。攪拌部410は、フィルタ5を動作させることにより構成されている場合には、フィルタ5自体を動作させることによってフィルタ5を洗浄することができ、フィルタ5に析出するスケールが貯水部42に剥がれ落ちやすくなる。そのため、フィルタ5に付着したスケールによる加湿性能の低下を防ぐことができる。
次に、図1〜図9を参照して、本実施の形態における加湿装置1の動作について説明する。図9は、本発明の実施の形態1の加湿装置においてスケールを析出させる工程を示すフローチャートである。
まず、加湿装置1の加湿動作を説明する。図1〜図5に示すように、内部に水が保持されている給水タンク3を本体部2のタンク装着壁2aおよびトレイ4のタンク挿入部41に装着する。給水タンク3の蓋部32の溝およびトレイ4のタンク挿入部41の開口41d(図4参照)を介して、給水タンク3の内部の水が貯水部42に供給される。供給された水を貯水部42に貯水させ、貯水させた水をフィルタ5に吸い込ませる。この状態で本体部2の操作部8により、またはタイマー運転により、加湿装置1の電源をONにすると、加湿部の動作が開始される。具体的には、ファン(図示せず)が起動され、ファンにより本体部2の吸込口7から吸込んだ空気をフィルタ5に送り込み、フィルタ5に吸水された水が急速に気化されて、気化された水を含んだ空気が吹出口9から排出される。このようにして、加湿装置1の加湿部が動作される。
続いて、加湿装置1を停止させる動作を説明する。本実施の形態では、加湿部の動作終了後に、電気分解部400を動作させる。また、加湿部の動作終了後に電気分解部400および攪拌部410を動作させる。
まず、図9に示すように、本体部2の操作部8により、またはタイマー運転により、加湿部の運転を停止させる(ステップS101)。本実施の形態では、ファン(図示せず)を停止させることによって、加湿部の運転を停止させている。
次に、加湿部の運転が停止されてからの経過時間を測定する(ステップS102)。測定方法は、特に限定されないが、たとえば加湿部の運転停止(動作終了)の信号が送られるセンサ(図示せず)に内蔵されたタイマーにより経過時間を測定する。
加湿部の運転停止直後は、貯水部42に貯水された水が給水タンク3から供給された直後で比較的新鮮であり、トレイ4に貯水された水の硬度は供給された水とほぼ同じ値である。トレイ4に貯水された水の硬度成分をより効率的に取り除くためには、硬度が高い状態で電気分解部400を動作させることが好ましい。加湿部の運転中および加湿部の運転停止(ステップS101)直後よりも、運転停止(ステップS101)から所定時間経過後に、トレイ4に貯水された水の硬度は高くなる。そのため、本実施の形態では、運転停止(ステップS101)から所定時間経過後に電気分解部400を動作させるために、ステップS102では加湿部の運転が停止されてからの経過時間を測定している。上記「所定時間経過後」とは、加湿部の運転停止(ステップS101)から2時間以上経過した後であることが好ましい。
次に、貯水部42に電気分解部400を動作させるために要する量の水が貯水されているかが判断される(ステップS103)。水の貯水量は、たとえば水位センサ(図示せず)で検出される。検出された水の量が電気分解部400を動作させる量に満たない場合には、ステップS103においてNOと判断される。この場合は、後述する加湿装置1の電源がOFFにされる(ステップS106)。一方、検出された水の量が電気分解部400を動作させることができる量を満たしている場合には、ステップS102においてYESと判断される。
ステップS103でYESと判断された場合には、電気分解部400および攪拌部410を動作させる(ステップS104)。本実施の形態では、電気分解部400が動作しているときに攪拌部410を動作させる。
電気分解部400の動作開始については、陽極401aおよび陰極401b間に電圧を印加することにより行なわれる。陽極401aおよび陰極401bに電圧を印加すると、陰極401bに炭酸カルシウムを主成分とするスケールを析出させることができる。スケールの主成分である炭酸カルシウムを容易に析出するために、陰極401b周辺のpHが10以上になるように制御することが好ましい。たとえば、陰極401b近傍にpHメータを配置し、測定されたpHに基づいて陽極401aおよび陰極401b間に流す電流を調整してpHを10以上に制御する。測定されたpHが10未満の場合には陽極401aおよび陰極401b間に印加する電圧を上げて、水の電気分解により水酸化イオンの生成量を増やしてpHを10以上に調整する。
陽極401aが金属電極である場合には、陽極401aからは陽極401aを構成する材料を電気分解することによって生成される金属イオンを貯水部42に貯水された水に溶出させる。貯水部42に貯水させた水に銀イオンなどの金属イオンを溶出させると、除菌および抗菌効果を付与することができる。また、貯水部42に貯水された除菌および抗菌効果を付与された水がフィルタ5に吸い上げられることにより、フィルタ5にも除菌および抗菌効果が付与される。
また、陽極401aが金属電極である場合には、電気分解部400に印加する電圧を制御して、高濃度の金属イオンを生成することが好ましい。高濃度の金属イオンを貯水部42に貯水させた水に添加することによって、フィルタ5に金属イオンを蓄積させやすい。そのため、金属イオンを含む水が接触するタンク挿入部41や貯水部42のみでなく、最も細菌が繁殖される加湿フィルタ5にも除菌および抗菌効果を付与できる。このような高濃度の金属イオンとしては、たとえば450ppb以上の濃度の銀イオンが例示される。陽極401aが銀電極である場合には、たとえば29mAの一定電流が流れるように電圧を印加する。ただし、銀イオンの濃度は特にこれに限定されず、細菌の除去に効果がある濃度以上の濃度であればよい。
攪拌部410の動作開始については、電気分解部400の動作開始を検知して、攪拌部410を動作させる。攪拌部410を動作させると、トレイ4に貯水された水を流動させることができる。これにより、電気分解部400近傍の水だけでなく、トレイ4に貯水された水のうち攪拌部410を動作させることによって流動する水が満遍なく陽極401aおよび陰極401bに接触する。そのため、陰極401b近傍の水だけでなくトレイ4全体の水中の硬度成分をスケールとして取り除くことができる。また、トレイ4に貯水された水が攪拌されることにより、電気分解部400近傍のpH値が偏ることを抑制できるので、スケールの析出効率を向上できる。
スケールを析出させた後に、電気分解部400および攪拌部410の動作を停止させる(ステップS105)。電気分解部400および攪拌部410を動作させる時間は、たとえば30分以上1時間以内とすることができる。貯水部42に導電率センサが配置されている場合には、貯水部42の水の導電率が一定値以下になった場合に電気分解部400の動作を停止させる。
電気分解部400の動作終了については、陽極401aおよび陰極401bに電圧を印加することを停止する。攪拌部410の動作終了については、たとえば電気分解部400の停止動作の信号を受信して、攪拌部410の動作を終了させる。
次に、電気分解部400および攪拌部410の動作が停止した後、またはステップS103で貯水部42に貯水された水が電気分解部400を動作させる量に満たないためNOと判断された場合には、加湿装置1の電源がOFFになる(ステップS106)。
具体的には、電気分解部400および攪拌部410の動作を停止させると、電気分解部400および攪拌部410の運転停止の信号が制御部(図示せず)に送られる。あるいは、ステップS103でNOと判断された信号が制御部(図示せず)に送られる。このような信号を受信した制御部によって、加湿装置1の電源がOFFにされる。すなわち、使用者による操作部8の操作またはタイマーにより、加湿部の運転が停止されると、加湿装置1の電源はすぐにOFFにならずに、電気分解部400および攪拌部410の動作により貯水部42の水の硬度成分をスケールとして析出させた後に、自動的に加湿装置1の電源がOFFになる。
なお、電気分解部400の動作(ステップS104)に伴い、陰極401bに析出したスケールは、必要に応じて、陰極401bを洗ってスケールを除去してもよいし、陰極401b自体を交換してもよい。また、両方の電極が溶解性の金属電極である場合、定期的に通電極性を変化させることにより、スケールを剥離させてもよい。
また、本実施の形態では、電気分解部400および攪拌部410を加湿部の運転停止(ステップS101)後に動作させているが、加湿部の運転中に動作させてもよい。また、加湿装置1は、電気分解部400が動作しているときに攪拌部410が停止するように構成されていてもよい。また、加湿装置1は、電気分解部400の動作と攪拌部410の動作とが交互に行なわれるように構成されていてもよい。
以上説明したように、本実施の形態における加湿装置1は、スケールを除去するための電気分解部400と、貯水部に貯水させた水を流動させるために電気分解部400と別個に設けられた攪拌部410とを備えている。
本発明の加湿装置1によれば、電気分解部400と別個に設けられた攪拌部410が動作すると、貯水部としてのトレイ4に貯水された水が流動し、結果として電気分解部400に向かって水を流動させることができる。そのため、電気分解部400近傍の水だけでなく、トレイ4全体の水についての硬度成分をスケールとして電気分解部400に析出させることができる。よって、貯水部としてのトレイ4に貯水された水中の硬度成分をスケールとして効率的に析出させることができるとともに、加湿部に硬度成分が蓄積することを抑制できるので、加湿性能の低下を抑制できる。
特に、上記特許文献2の加湿装置では、加湿部および硬度成分(スケール)を除去するための部材としてのフィルタが回転するので、スケールを除去するための部材としてのフィルタに向けて水が流動しない。そのため、フィルタ近傍以外の水中の硬度成分は除去できないので、貯水部に貯水された水中の硬度成分をスケールとして効率的に析出させることはできない。一方、本発明では、スケールを除去するための部材は電気分解部400であり、攪拌部410は電気分解部400と別個に設けられていることから、攪拌部410が動作すると、結果として電気分解部400に向けて水が流動することになる。そのため、電気分解部400近傍の水だけでなく、トレイ4に貯水された水が電気分解部400に流動するので、トレイ4に貯水された水中の硬度成分を効率よくスケールとして析出させることができる。
また、トレイ4に貯水された水中の硬度成分を電気分解部400にスケールとして効率的に析出できるので、加湿装置1内の電気分解部400以外の部分にスケールが付着することを抑制できる。
また、上記特許文献1では、スケールを除去するために樹脂を用いている。樹脂には細菌が繁殖しやすいため、イオン交換樹脂が抗菌性能を兼ね備えていたとしても、一旦菌が繁殖すると抗菌性能が十分に発揮されず、接触する水を汚染したり、不快な臭いの原因となったりする。本実施の形態では、イオン交換樹脂を用いずに電気分解部400に貯水部に貯水された水の硬度成分をスケールとして析出させることによって除去している。上記特許文献1と本実施の形態とでは貯水部に貯水された水中の硬度成分を除去する手段が異なっているので、上記特許文献1よりも抗菌性能が高い。特に、加湿装置1において陽極401aおよび陰極401bの少なくとも一方が金属電極を有し、かつ金属電極に電圧を印加することで金属電極から金属イオンを溶出させるように構成されている場合、金属イオンにより抗菌効果をさらに向上できる。
なお、本実施の形態では、気化式の加湿装置1を例に挙げて説明したが、本発明は気化式の加湿装置に特に限定されず、加熱式(スチーム式およびスチームファン式)の加湿装置も含まれる。加熱式の加湿装置では、加湿部は、たとえばフィルタおよびファンの代わりまたは併用して、貯水部に貯水された水を加熱するヒータなどの加熱部材を含んでいる。加熱式の加湿装置は、貯水部に貯水された水を加熱部材で加熱して水を蒸発させることにより、加湿部を動作させる方式である。
(実施の形態2)
本実施の形態の加湿装置は、基本的には実施の形態1における加湿装置1と同様の構成を備えているが、貯水部としてのトレイ4に配置された導電率センサ(図示せず)をさらに備えている点においてのみ異なる。本実施の形態の加湿装置は、加湿部の動作終了後に、導電率センサにより測定された貯水部としてのトレイ4に貯水させた水の導電率に基づいて、電気分解部400を動作させるように構成されている。
図10は、本発明の実施の形態2の加湿装置においてスケールを析出させる工程を示すフローチャートである。実施の形態2の加湿装置の動作は基本的には実施の形態1の加湿装置の動作と同様であるが、加湿部の運転停止後に電気分解部400および攪拌部410を動作させるステップにおいてのみ異なる。
具体的には、実施の形態1と同様に、加湿部の運転を停止させる(ステップS101)。次に、実施の形態1と同様に、貯水部42に電気分解部400を動作させるために要する量の水が貯水されているかが判断される(ステップS103)。
次に、貯水部42に配置された導電率センサにより、貯水部42に貯水された水の導電率を測定する(ステップS201)。
次に、ステップS201で測定された導電率が所定の値以上であるかを判断する(ステップS202)。ステップS201で測定された導電率が所定の値以上であれば、ステップS202でYESと判断される。この場合には、実施の形態1と同様に、電気分解部400および攪拌部410の動作を開始する(ステップS104)。その後、実施の形態1と同様に、電気分解部400および攪拌部410の動作を終了し(ステップS105)、加湿装置1の電源をOFFにする(ステップS106)。
一方、ステップS201で測定された導電率が所定の値未満であれば、ステップS202でNOと判断される。ステップS202においてNOと判断された場合には、加湿部の運転が停止してから所定時間が経過したかどうかを判断する(ステップS203)。
ステップS203においてYESと判断された場合には、次の加湿部の運転までに水中の硬度成分を除去しなければいけない程度まで上昇することはないと考えられる。この場合には、水中の硬度成分をスケールとして除去する必要がないため、電気分解部400を動作させないで、加湿装置1の電源をOFFにする(ステップS106)。なお、ステップS203における「所定時間」とは、たとえば加湿部の運転停止(ステップS101)から2時間以上6時間以内である。
一方、ステップS203において加湿部の運転が停止してから所定時間が経過していない場合には、貯水部42に貯水された水の導電率が所定値以上となる可能性があるので、ステップS203においてNOと判断される。この場合には、再度、導電率の測定を行なう(ステップS201)。その後のステップは上述したステップと同様に行なわれる。
なお、電気分解部400および攪拌部410の動作を停止するステップ(ステップS105)において電気分解部400を停止させるタイミングを、導電率が所定の値以下となるタイミングとしてもよい。この場合には、ステップS105で用いる導電率センサはステップS201で用いる導電率センサを併用してもよいし、ステップS201で用いる導電率センサと別の導電率センサを設けてもよい。
以上説明したように、本実施の形態の加湿装置1によれば、貯水部としてのトレイ4に配置された導電率センサをさらに備え、加湿部の動作終了(ステップS101)後に、導電率センサにより測定された貯水部としてのトレイ4に貯水させた水の導電率に基づいて、電気分解部400を動作させるように構成されている。
これにより、加湿部の運転停止後(ステップS101)所定時間経過後に電気分解部400を動作させるタイミングをトレイ4に貯水させた水の導電率により判断することができる。一般的に導電率が高い場合には硬度が高いと判断できるので、硬度が所定の値よりも低いと考えられる場合に電気分解部400および攪拌部410を動作させない。そのため、電気分解部400および攪拌部410を動作させるために要する電力の消費を低減できる。また、導電率が所定の値よりも高いにも関わらず硬度が所定の値よりも低い場合には、トレイ4に貯水された水中に細菌などが繁殖している可能性が高い。電気分解部400の陽極401aおよび陰極401bが金属電極であれば、電気分解部400を動作させることにより除菌効果を有する金属イオンをその水中に溶出できる。よって、貯水部に導電率センサを配置することによって、測定された導電率に基づいて電気分解部400を動作させることができるので、水中の硬度成分の除去および水中に発生した細菌の除去の少なくともいずれかが可能となる。
[実施例1]
本実施例では、加湿装置が攪拌部を備えていることの効果について調べた。
(本発明例)
本発明例の加湿装置として、図5に示す回転子方式の攪拌部410と、銀電極からなる陽極401aおよび陰極401bを有する電気分解部とを備えた加湿装置を準備した。
(比較例)
比較例の加湿装置として、本発明例において攪拌部を備えていない点においてのみ異なる加湿装置を準備した。
(測定方法)
本発明例および比較例の加湿装置について、同じ条件の水を給水タンクに供給して、加湿装置をのべ24時間運転した。その後、加湿部の運転を停止し(ステップS101)、本発明例では電気分解部400および攪拌部410を動作させ、比較例では電気分解部を動作させた。30分、2時間、3時間および4時間経過ごとに、貯水部42に貯水された水中の硬度を測定した。そして、本発明例および比較例の加湿装置について、加湿部の運転停止直後の貯水部42に貯水された水中の硬度成分に対して、所定時間経過後に残存している硬度成分の割合を求めた。その結果を図11に示す。なお、図11は、実施例1における硬度残存率と経過時間との関係を示す図である。図11において、横軸は電気分解部の運転開始からの経過時間(単位:時間)を示し、縦軸は、硬度の残存率(単位:%)を示す。
(測定結果)
図11に示すように、加湿部の動作停止(ステップS101)から4時間経過後の貯水部に貯水された水中の硬度は、攪拌部を備えた本発明例の加湿装置1では28%除去できた。一方、比較例の加湿装置1では硬度を7%除去できた。本発明例の加湿装置は、攪拌部410により貯水部42に貯水された水を電気分解部400に向かって流動させることができたので、電気分解部400近傍の水だけでなく、貯水部42に溜まった水全体が電極に接触した。そのため、比較例1と比較して、水中の硬度成分をより広い範囲で全体的に陰極にスケールとして析出することができた。
また、電気分解部400が動作しているときに攪拌部410を動作させたので、トレイ4に貯水された水を全体的により均一に電気分解部400に接触できた。
さらに、攪拌部410により、トレイ4に貯水された水が攪拌されたので、電気分解部400近傍のpH値が偏らなかった。そのため、陰極401bでのスケール析出効率が上がった。
以上より、本実施例によれば、貯水部に貯水された水全体の硬度成分を電気分解部400に効率よく析出するためには、攪拌部410によりトレイ4に貯水された水を流動させることが必要であることがわかった。
[実施例2]
本実施例では、貯水部に貯水された水中の硬度成分が高いときに電気分解部を動作させることの効果について調べた。
具体的には、硬度が700の水と硬度が200の水とを準備した。その後、それぞれの水を同じ条件で3時間電気分解を行なって、水中の硬度をそれぞれ30分、2時間および3時間経過毎に測定した。そして、電気分解を行なう前の水中の硬度に対して、電気分解を行なった後に残存している硬度成分の割合を求めた。その結果を図12に示す。なお、図12は、実施例2における種々の硬度の水について、硬度残存率と電気分解を行なった時間との関係を示す図である。図12において、横軸は電気分解の開始からの経過時間(単位:時間)を示し、縦軸は、硬度の残存率(単位:%)を示す。
図12に示すように、電気分解終了時から3時間経過した硬度が700の水は、電気分解終了時の硬度に対して25%除去できた。電気分解終了時から3時間経過した硬度が200の水は、電気分解終了時の硬度に対して7%除去率できた。
以上より、本実施例によれば、水中の硬度成分を効率的に除去するためには、硬度が高い水を用いることが好ましいことが確認できた。
また、硬度200である場合の導電率は、680μSであった。よって、加湿装置が貯水部に配置された導電率センサをさらに備えており、加湿部の動作終了後に、導電率センサにより測定された貯水部に貯水させた水の導電率に基づいて、電気分解部を動作させるように構成されている場合、導電率が680μS以上であれば電気分解部を動作させることが好ましいことがわかった。なお、八尾市の通常の水道水の硬度および導電率は、硬度170mgCaCO3/L前後、導電率50μS前後である。
[実施例3]
本実施例では、加湿装置が加湿部の動作終了後に電気分解部を動作させるように構成されていることの効果について調べた。
図1〜図6において攪拌部410を備えていない加湿装置を用いて、加湿部の運転開始から運転停止後3時間まで所定時間経過時の貯水部に貯水された水の硬度を測定した。その結果を図13に示す。図13は、実施例3における加湿部の運転開始からの経過時間と硬度との関係を示す図である。図13において、横軸は加湿部の運転開始からの経過時間(単位:時間)を示し、縦軸は、硬度(単位:mgCaCO3/L)を示す。
なお、図13において経過時間が0の運転開始には、加湿装置1を運転開始する前に貯水部に貯水された水、すなわち前回の加湿部の運転停止後に金属イオンが添加されずに残っていた水の硬度および導電率を測定した。
図13に示すように、加湿装置1の運転開始前に貯水部に貯水された水の硬度は2000(mgCaCO3/L)と高かった。これは、フィルタ5に蓄積されている水の硬度成分が、加湿部の運転停止中に貯水部42に残っていた水に溶け出したと考えられる。
また、図13に示すように、加湿部の運転開始後は、新たな水が供給されるため硬度が徐々に低下し、運転開始から3時間経過した後には、通常の水道水レベルになった。
その後、さらに加湿部を運転すると、貯水部の水の硬度および導電率は、通常の水道水レベルを維持できた。そして、加湿部を8時間運転した後、加湿部を停止させた。
図13に示すように、加湿部の停止から1時間経過までの間は、貯水部に貯水された水は、停止直後の低い硬度を維持できた。しかし、加湿部の停止から2時間を越えると、貯水部に貯水された水の硬度が高くなり始めた。
本実施例によれば、運転停止から2時間経過後から、硬度が高くなり始めていることがわかった。実施例2を参照して、水中の硬度成分を効率的に除去するためには、硬度が高い水を用いることが好ましい。そのため、加湿部の運転停止直後よりも、運転停止から所定時間、本実施例では2時間以上経過してから電気分解部の動作を行なうことが好ましいことが確認できた。
[実施例4]
本実施例では、電気分解部が銀を含む金属電極からなり、金属電極から溶出される銀イオンが溶出されることの効果について調べた。
具体的には、加湿部の動作終了(ステップS101)後、直ちに(加湿部の動作が停止した信号を受信して時間をあけずに)電気分解部を動作させて450ppbの銀イオンを添加する加湿装置を準備した。また、加湿部の動作終了後に金属イオンを添加しない加湿装置を準備した。
それぞれの加湿装置を用いて、8時間の加湿運転を行ない、運転動作終了直後に銀イオン濃度が450ppbとなるように銀イオンを1回添加した。その後、加湿装置を16時間停止させた後、加湿部の運転を開始した。この加湿部の運転開始直前に、貯水部42に貯水させた水の細菌数について測定した。その結果を図14に示す。図14は、実施例4における加湿装置の設置日数と細菌数との関係を示す図である。図14において横軸は、加湿装置の設置日数(単位:日)を示し、縦軸は細菌数(単位:個/ml)を示す。
図14に示すように、37日後の細菌数は、銀イオンを添加した加湿装置では10(個/ml)以下で、高い除菌および抗菌効果を示していた。一方、銀イオンを添加しなかった加湿装置では、37日後の細菌数は、103(個/ml)を越えており、細菌数に2桁以上の差があった。
以上より、本実施例によれば、電気分解部が銀を含む金属電極からなり、金属電極から溶出される銀イオンが溶出されることにより、細菌数を低減できる加湿装置が得られることが確認できた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施の形態1における加湿装置を前面側から見た斜視図である。 本発明の実施の形態1における加湿装置を背面側から見た分解斜視図である。 本発明の実施の形態1における加湿装置を構成する給水タンクを示す斜視図である。 本発明の実施の形態1における加湿装置を構成するトレイを示す斜視図である。 図4における線分V−Vでの断面図である。 本発明の実施の形態における加湿装置を構成する電気分解部を示す模式図である。 本実施の形態の変形例1における攪拌部材を示す模式図である。 本実施の形態の変形例2における攪拌部材を示す模式図である。 本発明の実施の形態1の加湿装置においてスケールを析出させる工程を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2の加湿装置においてスケールを析出させる工程を示すフローチャートである。 実施例1における硬度残存率と経過時間との関係を示す図である。 実施例2における種々の硬度の水について、硬度残存率と電気分解を行なった時間との関係を示す図である。 実施例3における加湿部の運転開始からの経過時間と硬度との関係を示す図である。 実施例4における加湿装置の設置日数と細菌数との関係を示す図である。
符号の説明
1 加湿装置、2 本体部、2a タンク装着壁、2c トレイ装着部、3 給水タンク、4 トレイ、5 フィルタ、7 吸込口、8 操作部、9 吹出口、30 容器、31 取手部、32 蓋部、41 タンク挿入部、41a 壁、41b 円弧状壁、41c 水路、41d 開口、41e 円台、42 貯水部、42a 底面部、42b 凹部、42c 凸部、42d 蓋部、43 円柱、51 フィルタケース、52 給水フィルタ、101 センサ、102 水位センサ、103,105 制御部、400 電気分解部、401a 陽極、401b 陰極、402 電極端子収納部、403 スペーサー、410 攪拌部、420 スライダー。

Claims (9)

  1. 水を貯水させるための貯水部と、
    前記貯水部に貯水させた水を気化させるための加湿部と、
    前記貯水部に貯水させた水と接触するように配置された電気分解部と、
    前記貯水部に貯水させた水を流動させるために前記電気分解部と別個に設けられた攪拌部とを備えた、加湿装置。
  2. 前記電気分解部が動作しているときに前記攪拌部を動作させるように構成されている、請求項1に記載の加湿装置。
  3. 前記加湿部は、フィルタを含み、
    前記攪拌部は、前記フィルタを動作させることにより構成されている、請求項1または2に記載の加湿装置。
  4. 前記攪拌部は、前記加湿部を構成する部材と別の部材からなる、請求項1または2に記載の加湿装置。
  5. 前記電気分解部は、陽極と陰極とを含み、
    前記攪拌部は、前記貯水部に貯水させた水の一部を前記電気分解部の前記陰極近傍において10以上のpHになるように構成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の加湿装置。
  6. 前記加湿部の動作終了後に、前記電気分解部を動作させるように構成されている、請求項1〜5のいずれかに記載の加湿装置。
  7. 前記貯水部に配置された導電率センサをさらに備え、
    前記加湿部の動作終了後に、前記導電率センサにより測定された前記貯水部に貯水させた水の導電率に基づいて、前記電気分解部を動作させるように構成されている、請求項1〜6のいずれかに記載の加湿装置。
  8. 前記電気分解部は、陽極と陰極とを含み、
    前記陽極を構成する電極は金属電極を有し、
    前記電気分解部は、前記陽極および前記陰極に電圧を印加することで前記陽極から金属イオンを溶出させるように構成されている、請求項1〜7のいずれかに記載の加湿装置。
  9. 前記金属電極は銀を含み、前記金属電極から溶出される前記金属イオンは銀イオンである、請求項8に記載の加湿装置。
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