JP2008307308A - 化粧板の取付構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】化粧板13の取り付け作業に際して、収納体2の収納空間S内に作業者が潜り込んで、ブラケット20と化粧板13との間のビス止め作業等を行う必要がなく、したがって化粧板13を少ない手間で作業効率良く取り付けることができる、化粧板13の取付構造を提供する。
【解決手段】化粧板13の後面に、後端部に抜止部22を有する上下一対の係合壁21・21を設ける。ブラケット20の前面に、前端部に係合爪41を有する上下一対の弾性係合腕40・40を設ける。予め収納体2の左右側板3・3の内面にブラケット20・20を固定したうえで、ブラケット20・20の上下の弾性係合腕40・40に、化粧板13の上下の係合壁21・21を位置合わせして、化粧板13を後方に向かって押し込む。これにて、両弾性係合腕40・40が撓み変形して係合爪41が抜止部22に至り、化粧板13をブラケット20に装着することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、台所収納体などの各種収納体の前面開口に装着される化粧板の取付構造に関する。
例えばキャビネットと称される台所収納体の分野においては、拭き掃除の容易性の利点などから扉部分に把手を持たないフラット扉タイプの引き出しが広く採用されている(例えば、特許文献1参照)。かかるフラット扉タイプの引き出しを具備する台所収納体では、把手の替わりとなる手掛かりスペースを確保することを目的として、上下の引き出しの間に、凹入部を有する断面コ字形または断面半円弧状の化粧板が組み付けられており、この凹入部に被さる扉板の上下部分に手指を掛けることで、引き出しを開き操作することができる。
特開2006−61325号公報
化粧板は、左右方向に長い条材であり、台所収納体の左右側板の内面に固定される左右一対のブラケットで固定支持される。従来におけるブラケットと化粧板の取り付けは、その多くがビスによる締結固定方法である。また、化粧板側の背面に設けられたレールに固定ピースを嵌め込んだうえで、固定ピースとブラケットとをビスで固定するものもある。
そのため、台所収納体に対して化粧板を固定する場合には、ブラケットと化粧板とを位置合わせして該ブラケットの姿勢を維持したうえで、台所収納体の収納空間内に潜り込んで、電動ドライバーやレンチなどの締結具を使ってビス止め作業を行う必要があり、化粧板の取り付け作業に多くの人手や手間が掛かっていた。
本発明の目的は、化粧板の取り付け作業に際して、収納体の収納空間内に作業者が潜り込んで、ブラケットと化粧板との間のビス止め作業等を行う必要がなく、したがって化粧板を少ない手間で作業効率良く取り付けることができる、化粧板の取付構造を提供することにある。
本発明は、図1ないし図5に示すように、収納体2の左右側板3の内面に固定される左右一対のブラケット20・20と、これらブラケット20・20に固定支持されて、該収納体2の前面開口7に設置される化粧板13とを備える、化粧板13の取付構造を対称とする。図1および図4に示すように、化粧板13は、左右方向に走るベース壁16と、該ベース壁16の上下端部に連続して前方向に突出する上下壁17・17とを有する条材であり、ベース壁16の後面には、該化粧板13をブラケット20に差し込み係合するための装着部19が設けられている。ブラケット20は、左右側板3の内面に締結固定するための締結孔33を有するベース35と、該ベース35の前面側に設けられて装着部19と係合する係合部36と、該係合部36に係合捕捉された化粧板13を前方向に付勢する付勢部37とを有する樹脂成形品である。
装着部19は、ベース壁16の後面から後方向に突設する上下一対の係合壁21と、該係合壁21の後端部に設けられた抜止部22とを含む。係合部36は、ベース35の前部から前方向に張り出し形成された上下一対の弾性係合腕40・40と、該弾性係合腕40の前端部に設けられて抜止部22に係合する係合爪41とを含み、上下の弾性係合腕40・40の間に付勢部37が設けられている。そして、係合爪41の後向きに指向する係合面45と、抜止部22の前向きに指向する受面27とが係合することで、化粧板13が抜け止め不能にブラケット20に装着され、かかる装着状態において、付勢部37が化粧板13を前方向に付勢するように構成されていることを特徴とする。
図6に示すように、抜止部22の外側壁に、係合爪41を係合案内する傾斜案内面28を形成することができる。
図12(a)・(b)および図13(a)・(b)に示すように、左右のブラケット20(20c)・20(20d)が、左右勝手違いに形成された形態を取ることができる。そして、ブラケット20(20c)・20(20d)の左右側面のいずれか一方から、位置決め用の凸部49・50が突設状に形成されていて、他方の左右側面が、出っ張りの無い平坦状に形成された形態を採ることができる。
図1および図7に示すように、ブラケット20の左右側面のいずれか一方から、位置決め用の凸部49・50が突設状に形成されていて、他方の左右側面が、出っ張りの無い平坦状に形成されており、ブラケット20が上下対称状に形成された形態を採ることができる。
図6に示すごとく、ベース35の上下両端から前方向に向かって導出端部42が張り出し形成されており、導出端部42の前端部は、連出腕43と弾性係合腕40とからなる二股形状とされており、連出腕43と弾性係合腕40との間に、該弾性係合腕40の変形を許す変形隙間Eが形成されている形態を採ることができる。
図1および図4に示すごとく、付勢部37は、ベース35の前端面から前方向に向かって両持ち状に連出されたアーチ状の弾性部材47とすることができる。
図9および図10に示すごとく、付勢部37は、ベース35の前端部から前方向に向かって片持ち状に連出された上下一対の弾性部材47・47であり、一方の弾性部材47が、ベース35の右側面から左方向に向かって連出されており、他方の弾性部材47が、ベース35の左側面から右方向に向かって連出されている形態を採ることができる。
本発明に係る化粧板の取付構造においては、化粧板13の後面に、後端部に抜止部22を有する上下一対の係合壁21・21を設け、ブラケット20の前面に、前端部に係合爪41を有する上下一対の弾性係合腕40・40を設けた。したがって、予め収納体2の左右側板3・3の内面にブラケット20・20を固定したうえで、ブラケット20・20の上下の弾性係合腕40・40に、化粧板13の上下の係合壁21・21を位置合わせして、化粧板13を後方に向かって押し込めば、両弾性係合腕40・40が撓み変形して係合爪41が抜止部22に至り、該係合爪41の抜止部22に対する圧嵌係合で化粧板13を確実に装着することができる。換言すれば、化粧板13をブラケット20に位置合わせしたうえで、該化粧板13をブラケット20に向かって押し込むだけで、ブラケット20の係合爪41と化粧板13の抜止部22との間に圧嵌係合状態が確立され、化粧板13を収納体2の前面開口7に嵌め殺し状に取り付けることができる。
このように本発明に係る取付構造によれば、収納体2の前面側からの化粧板13の押し込み操作だけで、化粧板13を取り付けることができるので、従来の化粧板13の取り付け作業では不可欠であった、収納体2の収納空間S内に作業者が潜り込んでのブラケット20と化粧板13との間のビス止め作業等の煩わしい作業を完全に排することができ、したがって、化粧板13を少ない手間で作業効率良く取り付けることができる。狭い収納空間S内で無理な姿勢で作業を行う必要がなく、作業者の負担が少ない点でも優れている。左右側板3・3に対してブラケット20・20を位置精度良く取り付けることにより、化粧板13が傾いたり、位置ズレすることも確実に防止できる。したがって、化粧板13を収納体2に対して高精度に取り付けることができる。
また、かかる係合爪41による装着状態では、図6に示すごとく、係合爪41の後向きに指向する係合面45と、抜止部22の前向きに指向する受面27とが係合するとともに、付勢部37の弾性力で化粧板13は前方向に付勢される。これによれば、付勢部37の弾性力で受面27を係合面45に遊動不能に押し付けて、両面27・45間の大きな係合力で化粧板13を保持することができるので、化粧板13の脱落を確実に防ぐことができる。化粧板13がガタ付いて耳障りな騒音を発することもない。
抜止部22の外側壁に、傾斜案内面28を形成していると、これら傾斜案内面28で係合爪41を案内し、抜止部22に落とし込み係合できるので、化粧板13のブラケット20に対する取り付け作業が円滑にしかも確実に行える。
この種の取付構造では、予め左右側板3に開口部53が開設されており、当該開口部53にブラケット20の一部が臨むようにブラケット20を定着する形態(図13(a)・(b))と、開口部53の無い平坦な左右側板3にブラケットを定着する形態(図12(a)・(b))がある。前者の形態(図13(a)・(b))では、開口部53の開口縁を利用して、ブラケット20を位置決めすることを目的として、該ブラケット20には位置決め用の凸部49・50が突設状に形成される。
そこで、本発明のように、ブラケット20の左右側面のいずれか一方から、位置決め用の凸部49・50が突設状に形成されていて、他方の左右側面が、出っ張りの無い平坦状に形成されていると、前者の開口部53にブラケット20を装着する場合(図13(a)・(b))には、凸部49・50を有する左右側面を収納体2の左右側板3側に指向させて、凸部49・50が開口部53に落ち込み、凸部49・50の側面が開口縁に当接するように配すれば、ブラケット20を位置精度良く取り付けることができる。また、後者の開口部53の無い平坦な左右側板3の内面にブラケット20を装着する場合(図12(a)・(b))には、出っ張りの無い平坦状の面を左右側板3側に指向させれば、凸部49・50が左右側板3に当たることがなく、ブラケット20をガタ付くことなく装着することができる。
そのうえで、上述のような一方の側面に凸部49・50を有し、他方の側面が平坦状に形成された左右のブラケット20(20c)・20(20d)を左右勝手違いに形成していると、左右対称の2種類のブラケット20c・20dだけで、上述の開口部53を有する左側板3および右側板3に対する取り付け形態(図13(a)・(b))にも、平坦な左側板3および右側板3に対する取り付け形態(図12(a)・(b))にも適用できる。換言すれば、2種のブラケット20c・20dで、上述の2種の取り付け形態(開口部53の有無)における左右の両側板3に適用することができ、ブラケット20c・20dを共用部品化することができる。これによれば、ブラケット20c・20dを共用化した分だけ部品の種類を減らし、同時に成形用金型を削減できるので、化粧板13が取り付けられる収納体2の全体コストを削減化して、低コスト化要求に応えることができる。
同様に、図1および図7に示すごとく、ブラケット20の左右側面のいずれか一方から、位置決め用の凸部49・50が突設状に形成されていて、他方の左右側面が、出っ張りの無い平坦状に形成されており、ブラケット20が上下対称状に形成されていると、1種のブラケット20だけで、上述の開口部53を有する左側板3および右側板3に対する取り付け形態(図7および図8)にも、平坦な左側板3および右側板3に対する取り付け形態(図1)にも適用できる。換言すれば、1種のブラケット20で、上述の2種の取り付け形態(開口部53の有無)における左右の両側板3・3に適用することができ、ブラケット20を共用部品化することができる。この場合にも、ブラケット20を共用化した分だけ部品の種類を減らし、同時に成形用金型を削減できるので、化粧板13が取り付けられる収納体2の全体コストを削減化して、低コスト化要求に応えることができる。
ベース35の上下両端から前方向に向かって張り出し形成された導出端部42が、連出腕43と弾性係合腕40とからなる二股形状とされており、これら連出腕43と弾性係合腕40との間に、該弾性係合腕40の変形を許す変形隙間Eが形成されていると、ベース35からの係合爪41の適正な張り出し寸法を確保しながら、弾性係合腕40の長さ寸法が過剰に大きくなることを防ぐことができる。より詳しくは、弾性係合腕40の長さ寸法が過剰に大きくなると、勢い良く引き出しが閉じ操作されたときの衝突衝撃等により弾性係合腕40が不用意に撓み変形して、化粧板13が脱落するおそれがあるが、本発明のように導出端部42を二股形状として一方を弾性係合腕40としていると、化粧板13の取り付け時に際して、該化粧板13を強く押し付けたときにのみ撓み変形し得る程度に、弾性係合腕40の長さ寸法を最小限に抑えることができ、大きな係合力を得ることができる。このことは、化粧板13を嵌め殺し状に確実に取り付けることができることを意味し、取付構造の信頼性の向上に貢献できる。
付勢部37の形態としては、図1に示すごとくベース35の前端面から前方向に向かって両持ち状に連出されたアーチ状の弾性部材47とすることができる。図9に示すように、ベース35の前端部から前方向に向かって片持ち状に連出された上下一対の弾性部材47・47としてもよい。前者の形態では、アーチ状の弾性部材47の弾発力により、化粧板13を前方向に付勢することができる。後者の形態では、左右交差状に伸びる上下一対の弾性部材47・47に由来する弾発力により、化粧板13を前方向に付勢することができる。前者の形態は、弾性係合腕40・40の上下の間隔寸法を十分に確保することができる場合に好適である。後者の形態は、弾性係合腕40・40の上下の間隔寸法が小さい小型のブラケット20に好適である。
(第1実施形態)
図1ないし図5に本発明に係る化粧板の取付構造の第1実施形態を示す。図2に示すように、この取付構造は、所謂キッチンキャビネットと称される台所収納体(以下、単に収納体と記す)2に適用されるものであり、図示例では、左右方向の長さ寸法の異なる四種の収納体2を左右方向に列設して、一つのシステムキッチン1を構成している。図1および図3に示すように、各収納体2は、左右側板3と後板4と天板5と底板6とで区画され、前面に開口7を有する角箱状に形成されている。右端の収納体2の上方位置にはクッキングヒーター8が組み付けられており、下方位置には調理具を収納するための引き出し9・9が組み付けられている。他の三つの収納体2のそれぞれには、上中下の三段の引き出し9・9・9が開閉可能に組み付けられている。図1において符号10は、収納体2の上面に設けられたシンクを、符号14は、システムキッチン1の左右端に組み付けられるエンドプレートを示す。
図3に示すように、引き出し9は、扉板11に把手を有しないフラット扉タイプの引き出しであり、上中段の引き出し9・9の間には、把手の替わりとなる手掛かりスペースを確保することを目的として、前方側に開口した凹入部12を有する化粧板13が取り付けられている。凹入部12に被さる扉板11の上端部分或いは下端部分(図1参照)に手指を掛けたうえで、これを手前に引くことで、スライドレール15に沿って引き出し9を開き操作することができる。図2に示すように、各収納体2における化粧板13の取り付け位置は、厳密に同じ高さ位置に設定されており、システムキッチン1の全体で、1本の化粧板13が左右方向に走るように見せている。
図1および図4に示すように、化粧板13は、部分円弧状の周面を有して左右方向に走るベース壁16と、該ベース壁16の上下端部に連続して前方向に突出する上下壁17・17とを有する断面略コ字状のアルミニウム製の条材(アルミモール)であり、収納体2の左右側板3・3に装着されたブラケット20により、収納体2の前面開口7に架設状に取り付けられている。上下壁17・17の前端のそれぞれには上下向きに延びる前壁18・18が連出されている。
ベース壁16の後面には、化粧板13をブラケット20に差し込み係合するための装着部19が設けられている。装着部19は、ベース壁16の後面から後方向に突設する上下一対の係合壁21・21と、係合壁21の後端部(先端部)に設けられた抜止部22とからなり、各係合壁21の上下方向の内側には、該係合壁21と協同してエンドキャップ23のピン25の周面を抱持する周壁26が設けられている。これら係合壁21および周壁26は、化粧板13の長さ方向(左右方向)の全長にわたって形成されている。図6に示すように、抜止部22は、前向きに指向する受面27を備えており、該受面27の上下の外側壁には、傾斜案内面28が形成されている。
エンドキャップ23は、化粧板13の左右の両端部に装着されるものであり、図4に示すごとく、化粧板13のベース壁16、上下壁17・17および前壁18・18を受け止める受板30と、受板30の前側周縁から左右方向に立ち上げ形成された縁壁31とを一体に形成してなる樹脂成形品である。受板30の内面中央の二箇所には、ブラケット20の係合壁21と周壁26との間に抜け止め状に抱持されるピン25が立設されている。
図1および図4に示すごとく、ブラケット20は、収納体2の左右側板3・3の内面にビス32で締結固定するための締結孔33を有する略四角板状のベース35と、ベース35の前面側に設けられて、化粧板13の装着部19と係合する係合部36と、係合部36に係合捕捉された化粧板13のベース壁16の後面を前方向に付勢する付勢部37とを有し、これらを一体に形成してなる樹脂成形品である。ベース35は、左右両面の中央部に凹部38を有する段付き状に形成されている。
図6に示すように、係合部36は、ベース35の前部の上下端のそれぞれから前方向に張り出し形成された上下一対の弾性係合腕40と、該弾性係合腕40の前端部(先端部)に設けられて化粧板13の抜止部22に係合する係合爪41とからなる。より詳しくは、ベース35の前部の上下両端から前方向に向かって導出端部42が張り出し形成されており、導出端部42の前端部が、連出腕43と弾性係合腕40とからなる二股形状とされている。連出端43と弾性係合腕40との間に、弾性係合腕40の撓み変形を許す変形隙間Eが形成されている。係合爪41は、後向きに指向する係合面45を備えており、上下の内側壁には、傾斜案内面46が形成されている。
上下の弾性係合腕40・40の間に形成される付勢部37は、ベース35の前端面から前方向に向かって両持ち状に連出されたアーチ状の弾性部材47であり、弾性部材47が後方向に押された際に、原形回復力に由来する前方向の弾発力を発揮する。
ブラケット20は、一方の左右側面にのみ凸部が設けられた、正面視で左右非対称を呈している。具体的には、弾性係合腕40の両端部に隣接する左右の一側面(図4では右面)から、上下一対の四角ブロック状の凸部49・49が突設されている。連出腕43の先端にも柱状の凸部50が同方向(右方向)に突設されている。かかる凸部49は、図7および図8に示すごとく、開口部53を備える左右側板3にブラケット20を装着する際の位置決め要素となるものであり、その詳細については後述する。凸部49・50を有する面とは反対側の左右側面には、その導出端部42の先端部に、エンドキャップ23を挿入するための凹部51が肉盗み形成されている(図4および図5参照)。
そのうえで、ブラケット20は、図1に示すように、上下方向には対称状に形成されている。これによれば、収納体2の左側板3aに装着される左側のブラケット20aと、収納体2の右側板3bに装着される右側のブラケット20bとを、同じ成形用金型から成形された共用部品とすることができる(図5参照)。
化粧板13は、以下のような手順で収納体2の前面開口7に取り付けることができる。ここでは、平坦な左右側板3(図4参照)に化粧板13を取り付ける場合について説明する。まず、収納体2の左右側板3の所定位置のそれぞれに、ビス32によりブラケット20を締結固定する。ここでは、凸部49・50を有しないフラットな左右側面が左右側板3に対向するようにブラケット20を固定する(図1および図4参照)。
次に、化粧板13の左右両端部にエンドキャップ23を装着したうえで、上下の係合壁21をブラケット20の上下の弾性係合腕40に位置合わせし、その状態から化粧板13を後方に向かって押し込む(図5の白抜き矢印参照)。これにより、弾性係合腕40が上下方向に弾性変形して抜止部22の傾斜案内面28に沿って滑り移動して行き、係合爪41が、図1に示すごとく抜止部22に弾性係合腕40の弾性復元力を以て嵌入係合し、これにて、化粧板13はブラケット20に完全に装着された状態となる。このとき、弾性係合腕40は、連出腕43との間の変形隙間Eに向かって弾性変形する。連出腕43との分岐基端と係合爪41の先端部とで規定される弾性係合腕40の長さ寸法は、できる限り短く設定して、装着後に弾性係合腕40が不用意に弾性変形して、化粧板13が脱落することを防いでおり、これにて、化粧板13を嵌め殺し状に確実に取り付けることができる。
以上のように、本実施形態に係る取付構造によれば、収納体2の前面側からの化粧板13の押し込み操作だけで、化粧板13を取り付けることができるので、従来の取り付け作業では不可欠であった、収納体2の収納空間S(図3参照)内に作業者が潜り込んでのブラケット20と化粧板13との間のビス止め作業を完全に排することができ、したがって、化粧板13を少ない手間で作業効率良く取り付けることができる。狭い収納空間S内で無理な姿勢で作業を行う必要がなく、作業者の負担が少ない点でも優れている。左右側板3に対してブラケット20を位置精度良く取り付けることにより、化粧板13が傾いたり、位置ズレすることも確実に防止できる。したがって、化粧板13を収納体2に対して高精度に取り付けることができる。
図6に示すように、係合爪41が抜止部22に嵌入係合した化粧板13の装着状態において、係合爪41の後向きに指向する係合面45と、抜止部22の前向きに指向する受面27とが係合するとともに、付勢部37の弾性力で化粧板13は前方向に付勢された状態となる。かくして、付勢部37の弾性力で受面27を係合面45に遊動不能に押し付けて、両面27・45間の大きな係合力で化粧板13を保持することができるので、化粧板13の脱落を確実に防ぐことができる。化粧板13がガタ付いて耳障りな騒音を発することもない。
本実施形態に示すブラケット20は、図7および図8に示すような使用形態にも適用することができる。そこでは、左右側板3に開設されたコ字状の開口部53の近傍位置にブラケット20を定着している点が、先の図1と相違する。また、システムキッチン1の全体として1本の化粧板13が通設されている点も、先の図1に示す形態と相違する。つまり、左右の中央部に位置する収納体2の左右側板3を貫通して、1本の化粧板13が配設されている。
具体的には、ブラケット20の左右側面の一側面に形成されたブロック状の凸部49を位置決め要素として、ブラケット20を定着している。つまり、凸部49が左右側板3の側に指向するような図1とは表裏逆姿勢にブラケット20を配したうえで、凸部49を開口部53の開口縁に掛かるようにブラケット20を押し当てて位置決めし、かかる位置決め状態から、ブラケット20をビス32で締結固定している。
このように、本実施形態に係るブラケット20は、平坦な左側板3および右側板3に取り付ける形態(図1、図4および図5参照)だけでなく、開口部53を有する左側板3および右側板3(図7および図8参照)にも取り付けることができる。つまり、本来ならば、4つの取付パターン(左右方向の2方向、および開口部53の有無の組み合わせ)に応じた4種のブラケット20を用意する必要があるところ、同じ成形用金型から作製された1種のブラケット20を適用することができる。
かかる効果は、一方の左右側面3に対してのみ凸部49を形成して、正面視で左右非対称状にブラケット20を形成するとともに、当該ブラケット20を上下方向に対称状に形成したことにより得られたものである。これにて、ブラケット20を共用化した分だけ部品の種類を減らし、同時に成形用金型を削減できるので、化粧板13が取り付けられる収納体2の全体コストを削減化して、低コスト化要求に応えることができる。
(第2実施形態)
図9ないし図13に、本発明に係る化粧板の取付構造の第2実施形態を示す。この第2実施形態では、ブラケット20の付勢部37の形態が、先の第1実施形態と大きく相違する。すなわち、付勢部37は、ベース35の前端部から前方向に向かって片持ち状に連出された上下一対の弾性部材47・47としている。図10に示すように、上方の弾性部材47は、ベース35の右側面から左方向に向かって連出されており、下方の弾性部材47は、ベース35の左側面から右方向に向かって連出されており、これら左右交差状に伸びる上下一対の弾性部材47・47に由来する弾発力により、化粧板13を前方向に付勢する。かかる形態は、弾性係合腕40・40の上下の間隔寸法が小さく、第1実施形態のようなアーチ状の付勢部37の形成が困難な小型のブラケット20に好適である。
加えて、第1実施形態では、一種のブラケット20で、4つの取付パターン(左右方向の2方向、開口部53の有無の組み合わせ)に対応できるようになっていたところ、この第2実施形態では、図12および図13に示すような左右対称の二種のブラケット20c・20dで、図12(a)・(b)および図13(a)・(b)に示すような4つの取付パターンに対応可能となっている。すなわち、左右のブラケット20c・20dは、左右勝手違いに形成されており、各ブラケット20c・20dの左右側面のいずれか一方から、位置決め用の凸部49が突設状に形成されていて、他方の左右側面が、出っ張りの無い平坦状に形成されている。これによっても、本来は4種のブラケットが必要であるところ、これが2種のブラケット20c・20dで済むため、ブラケット20を共用化した分だけ部品の種類を減らすることができる。また、成形用金型を削減できるので、化粧板13が取り付けられる収納体2の全体コストを削減化して、低コスト化要求に応えることができる。それ以外の点については、実質的に第1実施形態と同様であるので、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
本発明はスライドタイプの引き出し9に限られず、開き扉や観音扉の手掛かり用の化粧板にも適用することができる。洗面台の収納体にも適用することができる。壁面の隙間を埋める化粧板の取付構造にも適用することができる。
本発明の第1実施形態に係る化粧板の取付構造を示す縦断側面図である。 本発明に係る化粧板の取付構造が適用されるシステムキッチンの外観図である。 収納体の縦断側面図である。 化粧板、ブラケット、エンドキャップの外観斜視図である。 図1のA−A線断面図である。 要部の縦断側面図である。 ブラケットの取付形態の変形例を示す縦断側面図である。 変形例の要部の横断平面図である。 本発明の第2実施形態に係る化粧板の取付構造を示す縦断側面図である。 化粧板、ブラケット、エンドキャップの外観斜視図である。 要部の横断平面図である。 (a)・(b)は、フラットな左右側板に対するブラケットの取付形態を説明するための図である。 (a)・(b)は、開口部を有する左右側板に対するブラケットの取付形態を説明するための図である。
符号の説明
2 収納体
3 左右側板
7 前面開口
16 ベース壁
17 上下壁
19 装着部
20 ブラケット
21 係合壁
22 抜止部
27 受面
28 傾斜案内面
33 締結孔
35 ベース
36 係合部
37 付勢部
40 弾性係合腕
41 係合爪
42 導出端部
45 係合面
47 弾性部材
49 凸部
50 凸部
E 変形隙間

Claims (7)

  1. 収納体(2)の左右側板(3)の内面に固定される左右一対のブラケット(20・20)と、これらブラケット(20・20)に固定支持されて、該収納体(2)の前面開口(7)に設置される化粧板(13)とを備えており、
    化粧板(13)は、左右方向に走るベース壁(16)と、該ベース壁(16)の上下端部に連続して前方向に突出する上下壁(17・17)とを有する条材であり、ベース壁(16)の後面には、該化粧板(13)をブラケット(20)に差し込み係合するための装着部(19)が設けられており、
    ブラケット(20)は、左右側板(3)の内面に締結固定するための締結孔(33)を有するベース(35)と、該ベース(35)の前面側に設けられて装着部(19)と係合する係合部(36)と、該係合部(36)に係合捕捉された化粧板(13)を前方向に付勢する付勢部(37)とを有する樹脂成形品であり、
    装着部(19)は、ベース壁(16)の後面から後方向に突設する上下一対の係合壁(21)と、該係合壁(21)の後端部に設けられた抜止部(22)とを含み、
    係合部(36)は、ベース(35)の前部から前方向に張り出し形成された上下一対の弾性係合腕(40・40)と、該弾性係合腕(40)の前端部に設けられて抜止部(22)に係合する係合爪(41)とを含み、上下の弾性係合腕(40・40)の間に付勢部(37)が設けられており、
    係合爪(41)の後向きに指向する係合面(45)と、抜止部(22)の前向きに指向する受面(27)とが係合することで、化粧板(13)が抜け止め不能にブラケット(20)に装着され、かかる装着状態において、付勢部(37)が化粧板(13)を前方向に付勢するように構成されていることを特徴とする化粧板の取付構造。
  2. 抜止部(22)の外側壁に、係合爪(41)を係合案内する傾斜案内面(28)が形成されている請求項1記載の化粧板の取付構造。
  3. 左右のブラケット(20・20)は、左右勝手違いに形成されており、
    ブラケット(20・20)の左右側面のいずれか一方から、位置決め用の凸部(49・50)が突設状に形成されていて、他方の左右側面が、出っ張りの無い平坦状に形成されている請求項1または2記載の化粧板の取付構造。
  4. ブラケット(20)の左右側面のいずれか一方から、位置決め用の凸部(49・50)が突設状に形成されていて、他方の左右側面が、出っ張りの無い平坦状に形成されており、
    ブラケット(20)が上下対称状に形成されている請求項1または2記載の化粧板の取付構造。
  5. ベース(35)の上下両端から前方向に向かって導出端部(42)が張り出し形成されており、
    導出端部(42)の前端部は、連出腕(43)と弾性係合腕(40)とからなる二股形状とされており、
    連出腕(43)と弾性係合腕(40)との間に、該弾性係合腕(40)の変形を許す変形隙間(E)が形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の化粧板の取付構造。
  6. 付勢部(37)が、ベース(35)の前端面から前方向に向かって両持ち状に連出されたアーチ状の弾性部材(47)である請求項1ないし5のいずれかに記載の化粧板の取付構造。
  7. 付勢部(37)が、ベース(35)の前端部から前方向に向かって片持ち状に連出された上下一対の弾性部材(47・47)であり、
    一方の弾性部材(47)が、ベース(35)の右側面から左方向に向かって連出されており、
    他方の弾性部材(47)が、ベース(35)の左側面から右方向に向かって連出されている請求項1ないし5のいずれかに記載の化粧板の取付構造。
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