JP2008305696A - 燃料電池システム及び燃料電池システムの運転方法 - Google Patents

燃料電池システム及び燃料電池システムの運転方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低温環境時でも燃料電池積層体の発電性能の低下を抑制することができる燃料電池システム及び燃料電池システムの運転方法を提供する。
【解決手段】発電を行う燃料電池セルを複数積層する燃料電池積層体を含む燃料電池システムであって、前記燃料電池積層体は、前記燃料電池積層体の積層方向中央部に少なくとも1つ以上配置される中央部燃料電池セルと、前記中央部燃料電池セルより発電面積が小さく、前記燃料電池積層体の積層方向端部に少なくとも1つ以上配置される端部燃料電池セルとを有し、前記発電の際に、前記燃料電池積層体内の残水量に応じて、電流を取り出す燃料電池セルを前記中央部燃料電池セルと前記端部燃料電池セルとから選択し、切換えるセル切換え手段を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池システム及び燃料電池システムの運転方法の技術に関するものである。
燃料電池積層体は、燃料電池セルを複数積層して構成される。また、燃料電池セルは、電解質膜を介して配置される一対の電極(アノード極及びカソード極)を含む膜−電極アッセンブリと、膜−電極アッセンブリを挟持する一対の燃料電池用セパレータとを有する。燃料電池セルの発電時には、アノード極に供給するアノードガスを水素ガス、カソード極に供給するカソードガスを酸素ガスとした場合、アノード極側では、水素ガスが水素イオン及び電子に分解され、水素イオンは電解質膜中を通りカソード極側に、電子は外部回路を通じてカソード極に到達する。一方、カソード極側では、水素イオン、電子及び酸素ガスが反応して水を生成する反応が行われ、エネルギを放出する。
このような燃料電池セルは、比較的高温(例えば、70℃〜90℃)で発電する。しかし、燃料電池積層体では、積層方向端部に配置される燃料電池セル(端部燃料電池セル、以下端部セルと呼ぶ)は、積層方向中央部に配置される燃料電池セル(中央部燃料電池セル、以下中央部セルと呼ぶ)より放熱量が多く、温度が低下し易いため、発電性能を低下させる場合がある。また、温度の低い端部セルでは、発電時に生成した水が残留し易い。
そして、燃料電池積層体が氷点下の温度環境に晒される場合には、燃料電池セル(中央部セル、端部セル)、特に端部セル内に残留した水が凍結する場合がある。このような場合には、燃料電池セルへの反応ガスの供給が妨げられるため、燃料電池セルの発電性能を低下させる場合がある。したがって、燃料電池積層体の発電の際には、端部セルの発熱量を高くして、端部セル内に残留した水の凍結を防止する必要がある。
例えば、特許文献1には、燃料電池積層体に配置される中央部セルより、端部セルの膜−電極アッセンブリの発電面積を小さくすることにより、端部セルの発熱量を高くした燃料電池積層体が提案されている。
また、例えば、特許文献2には、水素ガスの入口に近い燃料電池セルの電流密度を減少させることにより、水素ガスの入口に近い燃料電池セルの発熱量を抑制した燃料電池積層体が提案されている。
また、例えば、特許文献3には、電流を取り出す端部セルの集電体の面積を可変させることにより、端部セルの発熱量を促進させることができる燃料電池積層体が提案されている。
また、例えば、特許文献4には、発熱量の低い通常時用集電体及び発熱量の大きい低温時用集電体を設け、燃料電池セルが所定温度以下になったときに、低温時用集電体に接続させることにより、端部セルの発熱量を促進させることができる燃料電池積層体が提案されている。
特開2006−196220号公報 特開2006−310028号公報 特開2005−293928号公報 特開2005−183047号公報
しかし、特許文献1の燃料電池積層体では、発電時において、常に、端部セルの温度が高い状態になるため、端部セル内の水分の蒸発量が増加して、イオン伝導性が低下するドライアップが発生して、燃料電池積層体の発電性能が低下する場合がある。
また、特許文献2の燃料電池積層体では、端部セルの電流密度を減少させているため、そもそも端部セルの温度低下を抑制することができず、燃料電池積層体の発電性能が低下する場合がある。
また、特許文献3,4の燃料電池積層体では、端部セルの発熱量促進を集電体によって行っているため、燃料電池セルの温度を上昇させるのに相当な時間を要する場合がある。
本発明は、低温環境時でも燃料電池積層体の発電性能の低下を抑制することができる燃料電池システム及び燃料電池システムの運転方法である。
本発明は、発電を行う燃料電池セルを複数積層する燃料電池積層体を含む燃料電池システムであって、前記燃料電池積層体は、前記燃料電池積層体の積層方向中央部に少なくとも1つ以上配置される中央部燃料電池セルと、前記中央部燃料電池セルより発電面積が小さく、前記燃料電池積層体の積層方向端部に少なくとも1つ以上配置される端部燃料電池セルとを有し、前記発電の際に、前記燃料電池積層体内の残水量に応じて、電流を取り出す燃料電池セルを前記中央部燃料電池セルと前記端部燃料電池セルとから選択し、切換えるセル切換え手段を備える。
また、前記燃料電池積システムにおいて、前記中央部燃料電池セル及び前記端部燃料電池セルは、電解質膜を介して配置される一対の電極を含む膜−電極アッセンブリを有し、前記端部燃料電池セルは、前記中央部燃料電池セルより前記膜−電極アッセンブリの面積が小さいことが好ましい。
また、前記燃料電池システムにおいて、前記残水量は、前記中央部燃料電池セルの内部抵抗、圧力損失、電圧、前記中央部燃料電池セルと前記端部燃料電池セルとの温度差のうち少なくともいずれか1つから算出されることが好ましい。
また、本発明は、発電を行う燃料電池セルを複数積層する燃料電池積層体を含む燃料電池システムの運転方法であって、前記発電の際に、前記燃料電池積層体内の残水量に応じて、電流を取り出す燃料電池セルを前記燃料電池積層体の積層方向中央部に配置される中央部燃料電池セルと、前記中央部燃料電池セルより発電面積が小さく、前記燃料電池積層体の積層方向端部に配置される端部燃料電池セルとから選択し、切換えるセル切換えステップを備える。
本発明によれば、燃料電池積層体の積層方向中央部に少なくとも1つ以上配置される中央部燃料電池セルと、中央部燃料電池セルより発電面積が小さく、燃料電池積層体の積層方向端部に少なくとも1つ以上配置される端部燃料電池セルとを有し、発電の際に、燃料電池積層体内の残水量に応じて、電流を取り出す燃料電池セルを中央部燃料電池セルと端部燃料電池セルとから選択し、切換えるセル切換え手段を備えることにより、低温環境時でも燃料電池積層体の発電性能の低下を抑制することができる燃料電池積システムを提供することができる。
また、本発明によれば、発電の際に、燃料電池積層体内の残水量に応じて、電流を取り出す燃料電池セルを燃料電池積層体の積層方向中央部に配置される中央部燃料電池セルと、中央部燃料電池セルより発電面積が小さく、燃料電池積層体の積層方向端部に配置される端部燃料電池セルとから選択し、切換えるセル切換えステップを備えることにより、低温環境時でも燃料電池積層体の発電性能の低下を抑制することができる燃料電池システムの運転方法を提供することができる。
本発明の実施の形態について以下説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池システムの構成の一例を示す模式断面図である。燃料電池システム1は、燃料電池積層体2と、セル切換手段としての制御装置10及びスイッチ12と、燃料電池積層体2内の残水量を検出する残水量検出手段としての残水量検出器14とを備える。
燃料電池積層体2は、積層方向中央部に配置される燃料電池セル(中央部燃料電池セル、以下中央部セル18)と、積層方向端部に配置される燃料電池セル(端部燃料電池セル、以下端部セル20)と、集電体22a,22bとを備えるものである。本実施形態では、中央部セル18を10層積層し、その両端部に端部セル20を1層配置したものを例として以下説明するが、これに限定されるものではなく、中央部セル18及び端部セル20は、少なくとも1層以上配置(積層)されていればよい。
また、燃料電池積層体2には、各中央部セル18及び端部セル20に反応ガス(アノードガス、カソードガス)の供給又は排出を行う反応ガスマニホールド(不図示)を備える。反応ガスマニホールドには、アノードガス供給用のアノードガス供給マニホールド、アノードガス排出用のアノードガス排出マニホールド、カソードガス供給用のカソードガス供給マニホールド、カソードガス排出用のカソードガス排出マニホールドを備える。
図2(イ)は、本発明の実施形態に用いられる中央部セルの構成の一例を示す模式断面図であり、図2(ロ)は、本発明の実施形態に用いられる端部セルの構成の一例を示す模式断面図である。図2(イ),(ロ)に示すように、中央部セル18及び端部セル20は、膜−電極アッセンブリ24a又は24bと、アノード極拡散層26と、カソード極拡散層28と、アノード極セパレータ30と、カソード極セパレータ32、フレーム34a,34bと、ガスケット36とを備える。
図2(イ),(ロ)に示すように、本実施形態に用いられる中央部セル18及び端部セル20は、膜−電極アッセンブリ24a又は24bの両外側を挟持するアノード極拡散層26、カソード極拡散層28と、さらにその両外側を挟持するアノード極セパレータ30、カソード極セパレータ32とを備える。アノード極セパレータ30の空洞部は、アノードガス流路38a、カソード極セパレータ32の空洞部は、カソードガス流路38bとなっている。
本実施形態に用いられる中央部セル18及び端部セル20の膜−電極アッセンブリ24a,24bは、電解質膜を介して配置される一対の電極(アノード極及びカソード極)を備えるものである。上記でも説明したように、アノード極にアノードガス、カソード極にカソードガスが供給されることにより、燃料電池セル(中央部セル18及び端部セル20)の発電が行われる。
図3(イ)は、中央部セルに用いられる膜−電極アッセンブリの一例を示す模式平面図であり、図3(ロ)は、端部セルに用いられる膜−電極アッセンブリの一例を示す模式平面図である。図3(イ),(ロ)に示すように、膜−電極アッセンブリ24a,24bは、フレーム34a,34bにより固定されている。上記でも説明したように、燃料電池セルの発電は、膜−電極アッセンブリ上で行われるため、図3(イ),(ロ)に示すように、端部セル20の膜−電極アッセンブリ24bの面積を中央部セル18の膜−電極アッセンブリ24aの面積より小さくすることによって、端部セル20の発電面積を小さくすることができる。しかし、端部セル20の発電面積を中央部セル18の発電面積より小さくする方法は、上記に限定されるものではない。例えば、中央部セル18及び端部セル20の膜−電極アッセンブリ24a,24bの面積が同じでも、端部セル20のアノードガス流路38a及びカソードガス流路38bの一部を塞いで、アノード極及びカソード極の一部に反応ガス(アノードガス、カソードガス)を供給しないようにすること等によっても端部セル20の発電面積を小さくすることができる。端部セル20の構成を複雑化しない点で、中央部セル18の膜−電極アッセンブリ24aより端部セル20の膜−電極アッセンブリ24bの面積を小さくすることにより、端部セル20の発電面積を小さくすることが好ましい。
図4は、中央部セル及び端部セルの電流密度とセル電圧との関係を示す図である。端部セル20の発電面積は、中央部セル18の発電面積より小さいため、図4に示すように、端部セル20の電流密度X2(A/cm)は、中央部セル18の電流密度X1(A/cm)より大きな値となる。電流密度が大きい端部セル20は、中央部セル18より過電圧も大きくなる。そのため、発電の際に、端部セル20の発熱量は、中央部セル18の発熱量より多くなり、端部セル20及び端部セル20近傍の中央部セル18の温度低下を抑制することができる。これにより、端部セル20及び端部セル20近傍の中央部セル18内の水の残留を抑制することができるため、低温環境下での発電性能を向上させることができる。
膜−電極アッセンブリ24a,24bを構成するアノード極及びカソード極は、例えば、白金、ルテニウム等の金属触媒を担持したカーボンとパーフルオロスルホン酸系の電解質等とを混合して電解質膜上に成膜したものである。上記カーボンとしては、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック等が用いられる。
また、膜−電極アッセンブリ24a,24bを構成する電解質膜は、電子伝達性を有さずプロトン伝導性を有するものであれば特に制限されるものではない。例えば、パーフルオロスルホン酸系の樹脂膜、トリフルオロスチレン誘導体の共重合膜、リン酸を含浸させたポリベンズイミダゾール膜、芳香族ポリエーテルケトンスルホン酸膜等が用いられる。具体的にはナフィオン(登録商標)が挙げられる。
本実施形態に用いられるアノード極セパレータ30、カソード極セパレータ32は、金属系セパレータ、カーボン系セパレータ等特に制限されるものではない。
本実施形態に用いられるアノード極拡散層26及びカソード極拡散層28としては、反応ガスの拡散性が高い材料であれば特に制限されるものではない。例えば、カーボンクロス、カーボンペーパ等の多孔質カーボン材料等が用いられる。
本実施形態に用いられるフレーム34a,34bは、膜−電極アッセンブリ24a,24bを固定するものであり、例えば、シリコン、フッ素材料等の樹脂等が用いられる。フレーム34a,34bは、それぞれ、膜−電極アッセンブリ24a,24bの面積に適したサイズであることが好ましい。なお、図3に示すフレーム34a,34bには、上記説明したアノードガス供給マニホールド40a、アノードガス排出マニホールド40b、カソードガス供給マニホールド42a、カソードガス排出マニホールド42bが設けられている。
ガスケット36は、燃料電池セル(中央部セル18、端部セル20)間を固定するものであり、例えば、シリコン、フッ素材料等の樹脂等が用いられる。ガスケット36は、フレーム34a,34bと一体形成されるものであってもよい。
集電体22a,22bは、燃料電池セル(中央部セル18、端部セル20)から電流を取り出すためのものである。本実施形態において、中央部セル18と端部セル20との間に設けられる集電体22aは、中央部セル18から電流を取り出すためのものである(すなわち、10層の中央部セル18に流れる電流を取り出すことができる)。一方、端部セル20の積層方向端部に設けられる集電体22bは、中央部セル18及び端部セル20に流れる電流を取り出すためのものである。また、集電体22a,22bは、負荷23に接続されている。
本実施形態に用いられる制御装置10及びスイッチ12(図1に示す)は、燃料電池積層体2内の残水量に応じて、電流を取り出す燃料電池セルを中央部セル18と端部セル20とから選択し、切換えるものである。
残水量検出器14は、制御装置10と電気的に接続されている。残水量検出器14は、燃料電池積層体2内の残水量を検出することができるものであれば特に制限されるものではないが、燃料電池積層体2内の残水量の検出精度の点で、中央部セル18の内部抵抗、圧力損失、電圧、中央部セル18と端部セル20との温度差等のうち少なくともいずれか1つから燃料電池積層体2内の残水量を検出することができるものであることが好ましい。
燃料電池積層体2内の残水量が高いと、中央部セル18の内部抵抗は低くなり、燃料電池積層体2内の残水量が低いと、中央部セル18の内部抵抗は高くなる。そこで、残水量検出器14の構成としては、例えば、中央部セル18の内部抵抗を検出するACインピーダンス測定器と、検出した内部抵抗から燃料電池積層体2内の残水量を算出することができるCPUとを備えるものが挙げられる。具他的な残水量の算出としては、ACインピーダンス測定器により中央部セル18の内部抵抗が検出される。CPUに記録されている内部抵抗と燃料電池積層体2内の残水量との関係を表す制御マップ等に、検出した内部抵抗を当てはめて、燃料電池積層体2内の残水量が算出される。
また、燃料電池積層体2内の残水量が高いと、圧力損失は高く、電圧は低くなる。一方、燃料電池積層体2内の残水量が低いと、圧力損失は低く、電圧は高くなる。さらに、温度差が小さいと端部セル20の残水量は少なくなり、温度差が大きいと残水量が多くなる。そこで、残水量検出器14の他の例としては、圧力損失を検出する圧力センサと、検出した圧力から燃料電池積層体2内の残水量を算出することができるCPUとを備えるものであってもよいし、中央部セル18の電圧を検出する電圧センサと、検出した電圧から燃料電池積層体2内の残水量を算出することができるCPUとを備えるものであってもよいし、又は中央セル18と端部セル20との温度差を検出する温度センサと、検出した温度差から燃料電池積層体2内の残水量を算出することができるCPUとを備えるものであってもよい。残水量の算出としては、CPUにより、圧力、電圧又は温度差と燃料電池積層体2内の残水量との関係を表す制御マップ等に、検出された圧力、電圧又は温度差を当てはめて、燃料電池積層体2内の残水量が算出される。さらに、燃料電池積層体2内の残水量の検出精度を向上させることができる点で、残水量検出器14は、上記ACインピーダンス測定器と、圧力センサと、温度センサと、検出した内部抵抗、圧力、及び温度差から燃料電池積層体2内の残水量を検出することができるCPUとを備えるものであることが好ましい。また、燃料電池システム1の構成を簡略化する点で、上記CPUは、制御装置10に備えられるものであってもよい。
セル切換手段(制御装置10、スイッチ12)は、上記でも説明したように、燃料電池積層体2内の残水量に応じて、電流を取り出す燃料電池セルを選択し切換えるものであればよい。セル切換手段の動作の一例を説明する。例えば、残水量検出器14により検出された燃料電池積層体2内の残水量と予め設定した閾値範囲とが、制御装置10により比較される。ここで、閾値範囲は、燃料電池積層体2の発電性能が極端に低下しない残水量の範囲、例えば、閾値範囲の上限を超えると、フラッディングの発生が起こり、閾値範囲の下限を超えると、ドライアップの発生が起こるような残水量の範囲に設定されていればよい。上記制御装置10により、閾値範囲と検出された残水量とを比較して、検出された残水量が閾値範囲の下限値より少ないと判断された場合には、スイッチ12を切換え、集電体22aに接続され、中央部セル18から電流が取り出される。このように、中央部セル18から電流が取り出されることによって、端部セル20の発電が停止されるため、端部セル20が高温となることを防ぎ、ドライアップの発生が抑制される。また、検出された残水量が閾値範囲の上限値より多い場合には、スイッチ12を切換え、集電体22bに接続され、端部セル20から電流が取り出される。このように、端部セル20から電流が取り出されることによって、端部セル20の発電が開始されるため、端部セル20が発熱し、フラッディングの発生が抑制される。
図5は、本発明の他の実施形態に係る燃料電池システムの構成の一例を示す模式断面図である。図5に示すように、燃料電池システム3は、燃料電池積層体4と、セル切換手段としての制御装置11及びスイッチ12と、残水量検出器14とを備える。図5に示す燃料電池システム3において、図1に示す燃料電池システム1と同様の構成については、同一の符号を付してある。
燃料電池積層体4は、中央部セル18と、端部セル20a,20bと、集電体22a,22b,22cとを備えるものである。本実施形態では、中央部セル18を8層積層し、その両端部に端部セルを各2層(端部セル20a,20b)配置したものを例として以下説明するが、これに限定されるものではない。
本実施形態では、図5に示すように、端部セル(20a,20b)の膜−電極アッセンブリ(24b,24c)の面積(すなわち発電面積)は、中央部セル18の膜−電極アッセンブリ24aより小さいものであり、各端部セル(20a,20b)の膜−電極アッセンブリ(24b,24c)の面積は、燃料電池積層体4の積層方向端部に向かうにしたがって小さくなる。このような構成にすることによって、端部セル(20a,20b)の温度を段階的に制御することができるため、効率的に端部セル(20a,20b)のドライアップを抑制し、燃料電池積層体4の発電性能の低下を抑制することができる。
セル切換手段(制御装置11、スイッチ12)は、上記でも説明したように、燃料電池積層体4内の残水量に応じて、電流を取り出す燃料電池セルを選択し、切換えるものであればよい。セル切換手段の動作の一例を説明する。例えば、残水量検出器14により検出された燃料電池積層体4内の残水量と予め設定した閾値範囲とが、制御装置11により比較される。上記制御装置11により、閾値範囲と検出された残水量とを比較して、検出された残水量が閾値範囲外であると判断された場合には、燃料電池積層体4内の残水量が閾値範囲となるように最適な集電体が選択され、スイッチ12が好適な集電体に接続される。このように、好適な集電体に接続された燃料電池セルから電流が取り出されることによって、燃料電池積層体4のドライアップ、フラッディングの発生が抑制される。
以上のように、本実施形態に係る燃料電池システムは、中央部セルより発電面積の小さい端部セルを燃料電池積層体の積層方向端部に少なくとも1つ以上配置し、燃料電池セルの発電の際に、燃料電池積層体内の残水量に応じて、電流を取り出す燃料電池セルを中央部セルと端部セルとから選択し、切換えることによって、燃料電池積層体のドライアップ及びフラッディングの発生を抑制することができる。また、端部セルの温度が常に高い状態になることを防ぎ、端部セルが乾燥することも抑制することができる。したがって、燃料電池積層体の発電性能の低下を抑制することができる。
次に、燃料電池システムの運転方法について説明する。
本実施形態に係る燃料電池システムの運転方法は、発電の際に、燃料電池積層体内の残水量に応じて、電流を取り出す燃料電池セルを中央部セルと端部セルとから選択し、切換えるセル切換えステップを備えるものである。
図6は、本発明の実施形態に係る燃料電池システムの運転方法の一例を示すフロー図である。図6に示す燃料電池システムの運転方法においては、図1に示す燃料電池システム1を用いて説明する。
燃料電池システム1の運転初期においては、燃料電池積層体2の温度は低いため、燃料電池積層体2の温度上昇を促進する点で、端部セル20bに備える集電体22bとスイッチ12とが接続されていることが好ましい。しかし、必ずしもこれに限定されるものではなく、温度センサ等により検出した温度等に基づいて、制御装置10により、燃料電池システム1の運転初期に好適な燃料電池セルの集電体が選択されて接続されるものであってもよい。
まず、ステップS10では、スイッチ12が接続された集電体22b間の燃料電池セルで発電が行われ、電流が取り出される。ステップS12では、制御装置10により、発電停止指令の入力の有無が確認される。発電停止指令が入力されていれば、燃料電池システム1の運転は中止され、発電停止指令が入力されていなければ、ステップS14に進む。ステップS14では、残水量検出器14により中央部セル18の残水量が検出される。制御装置10により、検出された残水量が、予め設定した閾値範囲の下限値より多いと判断された場合、ステップS10の処理に戻され、閾値範囲の下限値より少ないと判断された場合、ステップS16に進む。ステップS16では、集電体22aが選択され、スイッチ12と集電体22aとが接続される。ステップS18では、スイッチ12が接続された集電体22a間の燃料電池セルで発電が行われ、電流が取り出される。ステップS20では、残水量検出器14により中央部セル18の残水量が検出される。制御装置10により、検出された残水量が、予め設定した閾値範囲の上限値より少ないと判断された場合、ステップS18の処理に戻され、閾値範囲の上限値より多いと判断された場合、ステップS22に進む。ステップS22では、集電体22bが選択され、スイッチ12と集電体22bとが接続される(セル切換ステップ)。そして、ステップS10の処理に戻される。
図7は、本発明の他の実施形態に係る燃料電池システムの運転方法の一例を示すフロー図である。図7に示す燃料電池システムの運転方法においては、図5に示す燃料電池システム3を用いて説明する。
まず、ステップS30では、スイッチ12が接続された集電体22c間の燃料電池セルの発電が行われ、電流が取り出される。ステップS32では、制御装置11により、発電停止指令の入力の有無が確認される。発電停止指令が入力されていれば、燃料電池システム3の運転は中止され、発電停止指令が入力されていなければ、ステップS34に進む。ステップS34では、残水量検出器14により中央部セル18の残水量が検出される。制御装置11により、検出された残水量が、予め設定した閾値範囲内であると判断された場合、ステップS32の処理に戻され、閾値範囲外であると判断された場合、ステップS36に進む。ステップS36では、制御装置11により、燃料電池積層体4内の残水量が閾値範囲内となるために必要な発熱量が算出される。上記必要発熱量は、負荷、燃料電池セル温度、中央部セル18と端部セル20との温度差等により実験等であらかじめ求められたマップに従って決定される。
ステップS38では、制御装置11により、算出された必要発熱量を満たす集電体が選択され、スイッチ12と選択された集電体とが接続される(セル切換ステップ)。ステップS40では、スイッチ12が接続された集電体間の燃料電池セルで発電が行われ、電流が取り出される。そして、ステップS32の処理に戻される。
例えば、図5の燃料電池システム3のように、選択、切換える燃料電池セルが複数存在する場合等では、燃料電池積層体内の残水量に応じて好適な燃料電池セルを選択、切換えることができる点で、上記必要発熱量を算出することが好ましい。しかし、例えば、図1に示す燃料電池システム1のように、端部セル20が1つしかないような場合には、選択、切換える燃料電池セルは、端部セル20と中央部セル18との間であるため、必要発熱量の算出は、必ずしも必要ではない。
以上のように、本実施形態に係る燃料電池システムの運転方法は、燃料電池積層体内の残水量に応じて、電流を取り出す燃料電池セルを中央部セルと端部セルとから選択し、切換えるセル切換ステップを備えることによって、燃料電池積層体のドライアップ、フラッディングの発生を抑制することができる。また、端部セルの温度が常に高い状態になることを防ぎ、端部セルが乾燥することも抑制することができる。したがって、燃料電池システムの発電性能の低下を抑制することができる。
上記本実施形態に係る燃料電池セル及び燃料電池積層体は、例えば、携帯電話、携帯用パソコン等のモバイル機器用小型電源、自動車用電源、家庭用電源等として使用することができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池システムの構成の一例を示す模式断面図である。 本発明の実施形態に用いられる中央部セル及び端部セルの構成の一例を示す模式断面図である。 中央部セル及び端部セルに用いられる膜−電極アッセンブリの一例を示す模式平面図である。 中央部セル及び端部セルの電流密度とセル電圧との関係を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る燃料電池システムの構成の一例を示す模式断面図である。 本発明の実施形態に係る燃料電池システムの運転方法の一例を示すフロー図である。 本発明の他の実施形態に係る燃料電池システムの運転方法の一例を示すフロー図である。
符号の説明
1,3 燃料電池システム、2,4 燃料電池積層体、10,11 制御装置、12 スイッチ、14 残水量検出器、18 中央部セル、20,20a,20b 端部セル、22a,22b,22c 集電体、23 負荷、24a,24b,24c 膜−電極アッセンブリ、26 アノード極拡散層、28 カソード極拡散層、30 アノード極セパレータ、32 カソード極セパレータ、34a,34b フレーム、36 ガスケット、38a アノードガス流路、38b カソードガス流路、40a アノードガス供給マニホールド、40b アノードガス排出マニホールド、42a カソードガス供給マニホールド、42b カソードガス排出マニホールド。

Claims (4)

  1. 発電を行う燃料電池セルを複数積層する燃料電池積層体を含む燃料電池システムであって、
    前記燃料電池積層体は、前記燃料電池積層体の積層方向中央部に少なくとも1つ以上配置される中央部燃料電池セルと、前記中央部燃料電池セルより発電面積が小さく、前記燃料電池積層体の積層方向端部に少なくとも1つ以上配置される端部燃料電池セルとを有し、
    前記発電の際に、前記燃料電池積層体内の残水量に応じて、電流を取り出す燃料電池セルを前記中央部燃料電池セルと前記端部燃料電池セルとから選択し、切換えるセル切換え手段を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 請求項1記載の燃料電池システムであって、前記中央部燃料電池セル及び前記端部燃料電池セルは、電解質膜を介して配置される一対の電極を含む膜−電極アッセンブリを有し、前記端部燃料電池セルは、前記中央部燃料電池セルより前記膜−電極アッセンブリの面積が小さいことを特徴とする燃料電池システム。
  3. 請求項1記載の燃料電池システムであって、前記残水量は、前記中央部燃料電池セルの内部抵抗、圧力損失、電圧、前記中央部燃料電池セルと前記端部燃料電池セルとの温度差のうち少なくともいずれか1つから算出されることを特徴とする燃料電池システム。
  4. 発電を行う燃料電池セルを複数積層する燃料電池積層体を含む燃料電池システムの運転方法であって、
    前記発電の際に、前記燃料電池積層体内の残水量に応じて、電流を取り出す燃料電池セルを前記燃料電池積層体の積層方向中央部に配置される中央部燃料電池セルと、前記中央部燃料電池セルより発電面積が小さく、前記燃料電池積層体の積層方向端部に配置される端部燃料電池セルとから選択し、切換えるセル切換えステップを備えることを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
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