JP2010262808A - 燃料電池システム、および、その制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】発電停止後の電極の形態変化を抑制するための動作に係る部位に不具合が発生したとしても、電極の形態変化を抑制しつつ燃料電池の使用を継続可能にする。
【解決手段】燃料電池システムの停止時に、発電停止後の燃料電池15における電圧上昇を抑制するための電位抑制動作を行なう停止時電位抑制部と、停止時電位抑制部における不具合を検知する不具合検知部と、不具合検知部が不具合を検知した場合には、燃料電池システム10の次回以降の起動後に、燃料電池15が備える電極の酸化を抑制する酸化抑制動作を行なう電極酸化抑制部と、を備える燃料電池システム10。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池を備える燃料電池システム、および、その制御方法に関するものである。
燃料電池システムにおいて、燃料電池が発電を停止する際には、発電停止後に燃料電池内で生じ得る種々の不具合を抑制するために、特別な動作を行なう場合がある。例えば、発電停止後の燃料電池のアノード側流路とカソード側流路とを、空気によって掃気する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
発電停止後に燃料電池内で生じ得る不具合としては、例えば、アノードとカソードとの間でガスのクロスリークが生じること等に起因して燃料電池内で内部電池が形成され、カソードが望ましくない程度に高電位となって、カソードが形態変化する症状を起こす場合が挙げられる。ここで、カソードの形態変化とは、カソードにおける触媒の状態(触媒金属を担持するカーボン粒子の粒径や比表面積など)が、高電位となることによって変化することをいう。上記したようにアノード流路を空気により掃気することにより、カソードの高電位化を抑制し、カソードの形態変化を抑制することが可能となる。高電位に起因するカソードの形態変化を抑制するために、発電停止時に燃料電池システムで行なわれる他の動作としては、例えば、発電停止後にアノードとカソードの間を短絡させる動作が挙げられる。
特開2006−351396号公報 特開2005−129243号公報 特開2008−004564号公報 特開2007−328972号公報
しかしながら、燃料電池システムにおいて、発電停止時に上記のような動作を行なう場合であっても、この動作に係る部位に不具合が生じた場合には、カソードの高電位化が起こり、カソードの形態変化が進行することになる。上記した発電停止時のカソードの高電位化を抑える動作に係る部位に不具合が発生しても、カソードの形態変化は少しずつ進行するため、直ちに燃料電池による発電が不能になるわけではない。そのため、たとえ、上記した動作に係る部位の不具合を検出したとしても、通常は、そのままある程度の期間、燃料電池の使用を継続できることが望まれるが、燃料電池を使用し続けることにより、許容できる範囲を超えてカソードの形態変化が進行してしまう場合も生じ得る。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、発電停止後の電極の形態変化を抑制するための動作に係る部位に不具合が発生したとしても、電極の形態変化を抑制しつつ燃料電池の使用を継続可能にすることを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実施することが可能である。
[適用例1]
燃料電池を備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池システムの停止時に、発電停止後の前記燃料電池における電圧上昇を抑制するための電位抑制動作を行なう停止時電位抑制部と、
前記停止時電位抑制部における不具合を検知する不具合検知部と、
前記不具合検知部が前記不具合を検知した場合には、前記燃料電池システムの次回以降の起動後に、前記燃料電池が備える電極の酸化を抑制する酸化抑制動作を行なう電極酸化抑制部と
を備える燃料電池システム。
適用例1に記載の燃料電池システムによれば、停止時電位抑制部における不具合を不具合検知部が検出したときには、電極酸化抑制部が、燃料電池システムの次回以降の起動後に、電極の酸化を抑制する酸化抑制動作を行なう。そのため、停止時電位抑制部に不具合が生じて発電停止後の燃料電池において望ましくない電圧上昇が生じる場合であっても、電極の酸化を抑制することができる。これにより、停止時電位抑制部に不具合が発生した場合であっても、電極酸化を抑制しつつ、燃料電池の使用を継続可能にすることができる。
[適用例2]
適用例1記載の燃料電池システムであって、前記電極酸化抑制部は、前記燃料電池システムの次回以降の起動後の再停止時において、前記酸化抑制動作を行なう燃料電池システム。適用例2に記載の燃料電池システムによれば、酸化抑制動作を、次回以降の起動後の再停止時に行なうため、停止時電位抑制部に不具合が発生した場合であっても、酸化抑制動作を行なうことによって発電中の燃料電池が影響を受けることがない。
[適用例3]
適用例1記載の燃料電池システムであって、前記電極酸化抑制部は、前記燃料電池システムの次回以降の起動後の発電中において、前記酸化抑制動作を行なう燃料電池システム。適用例3に記載の燃料電池システムによれば、酸化抑制動作を、停止時電位抑制部の不具合を検出した後の発電中に行なうため、酸化抑制動作を行なうことによって、停止時電位抑制部における不具合の発生前の燃料電池が影響を受けることがない。
[適用例4]
適用例1ないし3いずれか記載の燃料電池システムであって、前記電極酸化抑制部は、前記酸化抑制動作として、前記燃料電池の冷却効率を向上させる動作を行なう燃料電池システム。適用例4に記載の燃料電池システムによれば、燃料電池の冷却効率を向上させることにより、停止時電位抑制部に不具合が発生して発電停止後の燃料電池において望ましくない程度に電圧が上昇する場合であっても、電極の酸化反応の進行を抑制することができる。
[適用例5]
適用例4記載の燃料電池システムであって、前記電極酸化抑制部は、前記燃料電池の冷却効率を向上させる動作を行なうことにより、前記燃料電池システムの次回以降の起動後の再停止時において前記不具合に起因する電圧上昇が起こる際に、前記燃料電池の温度をより低くすることが可能であると判断される場合には、前記燃料電池の冷却効率を向上させる動作を行ない、前記燃料電池の冷却効率を向上させる動作を行なうことにより、前記燃料電池システムの次回以降の起動後の再停止時において前記不具合に起因する電圧上昇が起こる際に、前記燃料電池の温度をより低くすることができないと判断される場合には、前記燃料電池の冷却効率を向上させる動作を行なわない燃料電池システム。適用例5に記載の燃料電池システムによれば、不具合に起因する電圧上昇時における燃料電池の温度を低下させる効果が得られないと判断されるときには、燃料電池の冷却効率を向上させる動作を行なわないため、燃料電池の冷却効率を向上させる動作に起因するシステム効率の低下を抑制することができる。
[適用例6]
適用例4または5記載の燃料電池システムであって、さらに、前記燃料電池システムが停止している停止時間を実測することによって学習する停止時間学習部を備え、前記電極酸化抑制部は、前記停止時間学習部における学習結果に基づいて、停止時間内において不具合に起因する電圧上昇が起こると判断される場合に、前記燃料電池の冷却効率を向上させる動作を行なう燃料電池システム。適用例6に記載の燃料電池システムによれば、不具合に起因する電圧上昇が停止時間内に起こらない場合に、燃料電池の冷却効率を向上させる動作を行なうことを抑制することができるため、燃料電池の冷却効率を向上させる動作に起因するシステム効率の低下を抑制することができる。
[適用例7]
適用例4ないし6いずれか記載の燃料電池システムであって、前記燃料電池は、電解質膜と一対の電極とを備える発電体を複数積層して成り、前記燃料電池は、各々の前記発電体が備える一方の電極であるアノード上に形成されて、水素を含有する燃料ガスが流れるセル内燃料ガス流路と、各々の前記セル内燃料ガス流路に対して前記燃料ガスを給排する燃料ガスマニホールドと、を備えるアノード側流路と、各々の前記発電体が備える一方の電極であるカソード上に形成されて、酸素を含有する酸化ガスが流れるセル内酸化ガス流路と、各々の前記セル内酸化ガス流路に対して前記酸化ガスを給排する酸化ガスマニホールドと、を備えるカソード側流路と、を備え、前記停止時電位抑制部は、前記電位抑制動作として、前記アノード側流路内に前記燃料ガスを封入した状態で、前記カソード側流路に対する空気の流出入を抑制した流出入抑制状態とする動作を行なう燃料電池システム。適用例7に記載の燃料電池システムによれば、カソード側流路に対する空気の流出入を抑制することにより、アノード側流路内に燃料ガスが封入されていても、発電体において内部電池が形成されることを抑制し、カソードが高電位となって燃料電池の電圧が望ましくない程度に上昇するのを抑制することができる。
[適用例8]
適用例4ないし6いずれか記載の燃料電池システムであって、前記燃料電池は、電解質膜と一対の電極とを備える発電体を複数積層して成り、前記燃料電池は、各々の前記発電体が備える一方の電極であるアノード上に形成されて、水素を含有する燃料ガスが流れるセル内燃料ガス流路と、各々の前記セル内燃料ガス流路に対して前記燃料ガスを給排する燃料ガスマニホールドと、を備えるアノード側流路と、各々の前記発電体が備える一方の電極であるカソード上に形成されて、酸素を含有する酸化ガスが流れるセル内酸化ガス流路と、各々の前記セル内酸化ガス流路に対して前記酸化ガスを給排する酸化ガスマニホールドと、を備えるカソード側流路と、を備え、前記停止時電位抑制部は、前記電位抑制動作として、前記アノード側流路内を、前記燃料ガスに代えて、前記アノード上における反応性が水素に比べて低い不活性ガスで置き換える動作を行なう燃料電池システム。適用例8に記載の燃料電池システムによれば、アノード側流路内を不活性ガスによって置き換えることにより、発電体において内部電池が形成されることを抑制し、カソードが高電位となって燃料電池の電圧が望ましくない程度に上昇するのを抑制することができる。
[適用例9]
適用例4ないし6いずれか記載の燃料電池システムであって、前記停止時電位抑制部は、前記電位抑制動作として、前記燃料電池に対する水素を含有する燃料ガスの供給を停止した後に、前記燃料電池を短絡させる動作を行なう燃料電池システム。適用例9に記載の燃料電池システムによれば、燃料ガスの供給を停止した後に燃料電池を短絡させることにより、燃料電池内部で水素を消費させて、燃料電池内に残留する水素量を低減することができる。これにより、発電体において内部電池が形成されることを抑制し、カソードが高電位となって燃料電池の電圧が望ましくない程度に上昇するのを抑制することができる。
[適用例10]
適用例2記載の燃料電池システムであって、前記燃料電池は、電解質膜と一対の電極とを備える発電体を複数積層して成り、前記燃料電池は、各々の前記発電体が備える一方の電極であるアノード上に形成されて、水素を含有する燃料ガスが流れるセル内燃料ガス流路と、各々の前記セル内燃料ガス流路に対して前記燃料ガスを給排する燃料ガスマニホールドと、を備えるアノード側流路と、各々の前記発電体が備える一方の電極であるカソード上に形成されて、酸素を含有する酸化ガスが流れるセル内酸化ガス流路と、各々の前記セル内酸化ガス流路に対して前記酸化ガスを給排する酸化ガスマニホールドと、を備えるカソード側流路と、を備え、前記燃料電池システムは、システム停止に伴って前記燃料電池の発電を停止する際には、前記アノード側流路内に前記燃料ガスを封入する動作を行ない、前記電極酸化抑制部は、前記酸化抑制動作として、酸化抑制動作を行なわない通常のシステム停止時において前記アノード側流路内に前記燃料ガスを封入する際の封入圧よりも高い圧力で、前記アノード側流路内に前記燃料ガスを封入する動作を行なう燃料電池システム。適用例10に記載の燃料電池システムによれば、システム停止時におけるアノード側流路への燃料ガスの封入圧を高めることにより、停止時電位抑制部に不具合が発生している場合であっても、燃料電池の電圧上昇のタイミングを遅らせることができる。これにより、燃料電池システムの停止中に実際に電圧上昇が起こる頻度を低下させることができ、これにより、燃料電池が備える電極の酸化を抑制することができる。
[適用例11]
適用例10記載の燃料電池システムであって、前記電極酸化抑制部は、前記通常のシステム停止時における前記封入圧よりも高い圧力で、前記アノード側流路内に前記燃料ガスを封入したときには、前記燃料電池システムについて設定した基準の停止時間内に、前記不具合に起因する電圧上昇が起こらなくなると判断される場合に、前記封入圧を高める動作を行なう燃料電池システム。適用例11記載の燃料電池システムによれば、アノード側流路内に燃料ガスを封入する封入圧を高めても電圧上昇が起こると判断される場合には、燃料ガスの封入圧を高めないため、不具合に起因する電圧上昇が起きるときに、電圧上昇している時間を抑制することができる。
[適用例12]
適用例10または11記載の燃料電池システムであって、前記停止時電位抑制部は、前記電位抑制動作として、前記アノード側流路内に前記燃料ガスを封入した状態で、前記カソード側流路に対する空気の流出入を抑制した流出入抑制状態とする動作を行なう燃料電池システム。適用例12に記載の燃料電池システムによれば、カソード側流路に対する空気の流出入を抑制することにより、アノード側流路内に燃料ガスが封入されていても、発電体において内部電池が形成されることを抑制し、カソードが高電位となって燃料電池の電圧が望ましくない程度に上昇するのを抑制することができる。
[適用例13]
適用例10または11記載の燃料電池システムであって、前記停止時電位抑制部は、前記電位抑制動作として、前記燃料電池に対する水素を含有する燃料ガスの供給を停止した後に、前記燃料電池を短絡させる動作を行なう燃料電池システム。適用例13に記載の燃料電池システムによれば、燃料ガスの供給を停止した後に燃料電池を短絡させることにより、燃料電池内部で水素を消費させて、燃料電池内に残留する水素量を低減することができる。これにより、発電体において内部電池が形成されることを抑制し、カソードが高電位となって燃料電池の電圧が望ましくない程度に上昇するのを抑制することができる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、燃料電池システムの制御方法などの形態で実現することが可能である。
燃料電池システム10の構成を示すブロック図である。 単セル70を表わす分解斜視図である。 燃料電池の停止時における電圧推移の様子を表わす説明図である。 システム停止時制御処理ルーチンを表わすフローチャートである。 不具合検出処理ルーチンを表わすフローチャートである。 不具合検出処理ルーチンを表わすフローチャートである。 不具合検出処理ルーチンを表わすフローチャートである。 電極電位と酸化量と燃料電池温度の関係を調べた結果を示す説明図である。 不具合検出後停止時処理ルーチンを表わすフローチャートである。 水素封入圧と、電圧が再上昇するまでの時間との関係を表わす図である。 システム停止時制御処理ルーチンを表わすフローチャートである。 酸化抑制動作要否判定処理ルーチンを表わすフローチャートである。 燃料電池システム110の概略構成を表わすブロック図である。 燃料電池システム210の概略構成を表わすブロック図である。 燃料電池の停止時における電圧推移の様子を表わす説明図である。
A.燃料電池システム10の全体構成:
図1は、本発明の第1実施例としての燃料電池システム10の構成を示すブロック図である。本実施例の燃料電池システム10は、燃料電池15と、水素タンク20と、コンプレッサ30と、水素遮断弁40と、可変調圧弁42と、水素循環ポンプ44と、パージ弁46と、第1のカソード封止弁48と、負荷接続部51と、電圧センサ52と、報知装置54と、環境温度センサ55と、冷媒循環ポンプ60と、ラジエータ61と、冷媒温度センサ63と、制御部50と、を備えている。
燃料電池15は、固体高分子型の燃料電池であり、発電体としての単セル70を複数積層したスタック構造を有している。図2は、燃料電池15を構成する単セル70を表わす分解斜視図である。単セル70は、MEA(膜−電極接合体、Membrane Electrode Assembly)71と、ガス拡散層72,73と、ガスセパレータ74,75と、を備えている。ここで、MEA71は、電解質膜と、電解質膜の各々の面に形成された電極であるアノードおよびカソードと、によって構成される。このMEA71は、ガス拡散層72,73によって挟持されており、MEA71およびガス拡散層72,73から成るサンドイッチ構造は、さらに両側からガスセパレータ74,75によって挟持されている(ただし、ガス拡散層72は、ガス拡散層73が配置される面の裏面に配置されるため、図2では図示せず)。
MEA71を構成する電解質膜は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。カソードおよびアノードは、電解質膜上に形成された層であり、電気化学反応を進行する触媒金属(例えば白金)を担持するカーボン粒子と、プロトン伝導性を有する高分子電解質と、を備えている。ガス拡散層72,73は、ガス透過性および電子伝導性を有する部材によって構成されており、例えば、発泡金属や金属メッシュなどの金属製部材や、カーボンクロスやカーボンペーパなどのカーボン製部材により形成することができる。
ガスセパレータ74,75は、ガス不透過な導電性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボン等のカーボン製部材や、プレス成形したステンレス鋼などの金属製部材により形成されている。ガスセパレータ74,75は、MEA71との間に形成される反応ガス(水素を含有する燃料ガスあるいは酸素を含有する酸化ガス)の流路の壁面を成す部材であって、その表面には、ガス流路を形成するための凹凸形状が形成されている。表面に溝88が形成されたガスセパレータ74とMEA71との間には、酸化ガスの流路であるセル内酸化ガス流路が形成される。また、表面に溝89が形成されたガスセパレータ75とMEA71との間には、燃料ガスの流路であるセル内燃料ガス流路が形成される。単セル70を組み立てる際には、MEA71の外周にシール部(図示せず)を配置して、単セル70内のガス流路のシール性を確保しつつ、ガスセパレータ74、75間を接合する。
ここで、ガスセパレータ74,75では、セル内ガス流路を形成するための溝88,89が設けられた面の裏面において、凹部87が形成されている(ただし、ガスセパレータ74の裏面に形成される凹部87は図示せず)。これらの凹部87は、ガスセパレータ74,75上にガス拡散層72,73が配置される領域全体と重なる範囲にわたって形成されており、隣り合う単セル70間で、冷媒の流路であるセル間冷媒流路を形成する。なお、セル間冷媒流路は、各単セル70間に設けるのではなく、例えば、単セル70を所定数積層する毎に設けることとしても良い。
ガスセパレータ74,75は、その外周近くの互いに対応する位置に、複数の孔部を備えている。単セル70を複数積層して燃料電池を組み立てると、各セパレータの対応する位置に設けられた孔部は、互いに重なり合って、ガスセパレータの積層方向に燃料電池内部を貫通する流路を形成する。具体的には、孔部83は、各セル内酸化ガス流路に酸化ガスを分配する酸化ガス供給マニホールドを形成し、孔部84は、各セル内酸化ガス流路から酸化ガスが集合する酸化ガス排出マニホールドを形成する。また、孔部85は、各セル内燃料ガス流路に燃料ガスを分配する燃料ガス供給マニホールドを形成し、孔部86は、各セル内燃料ガス流路から燃料ガスが集合する燃料ガス排出マニホールドを形成する。また、孔部81は、各セル間冷媒流路に冷媒を分配する冷媒供給マニホールドを形成し、孔部82は、各セル間冷媒流路から冷媒が集合する冷媒排出マニホールドを形成する。
本実施例の燃料電池15は、単セル70を複数積層して成る積層体の両端に、出力端子を備える集電板(ターミナル)78、絶縁板(インシュレータ)77、エンドプレート76を順次配置することによって形成される。なお、燃料電池15は、図示しない保持部材(例えば、双方のエンドプレート76にボルトで結合されたテンションプレート)によって、単セル70の積層方向に締結圧がかかった状態で保持される。
図1に戻り、水素タンク20は、燃料ガスとしての水素ガスが貯蔵される貯蔵装置であり、水素供給流路22を介して燃料電池15の水素供給マニホールドに接続されている。水素供給流路22上において、水素タンク20から近い順に、水素遮断弁40と、可変調圧弁42とが設けられている。可変調圧弁42は、水素タンク20から燃料電池15へ供給される水素圧(水素量)を調整可能な調圧弁である。なお、水素タンク20は、高圧の水素ガスを貯蔵する水素ボンベとする他、水素吸蔵合金を備えて水素吸蔵合金に水素を吸蔵させることによって水素を蓄えるタンクとすることもできる。
燃料電池15の水素排出マニホールドには、水素排出流路24が接続されている。この水素排出流路24には、パージ弁46が設けられている。また、水素供給流路22と水素排出流路24とを接続して、接続流路25が設けられている。接続流路25は、可変調圧弁42よりも下流側で水素供給流路22に接続し、パージ弁46よりも上流側で水素排出流路24に接続している。接続流路25には、流路内を水素が循環する際の駆動力を発生する水素循環ポンプ44が設けられている。
水素タンク20から水素供給流路22を介して供給される水素は、燃料電池15で電気化学反応に供され、水素排出流路24に排出される。水素排出流路24に排出された水素は、接続流路25を経由して、再び水素供給流路22に導かれる。このように、燃料電池システム10において水素は、水素排出流路24の一部、接続流路25、水素供給流路22の一部、および、燃料電池15内に形成される燃料ガスの流路(これらの流路を併せて、水素循環流路と呼ぶ)を循環する。なお、燃料電池15の発電時には、通常はパージ弁46は閉弁されているが、循環する水素中の不純物(窒素や水蒸気等)が増加したときにはパージ弁46は適宜開弁され、これによって、不純物濃度が増加した水素ガスの一部がシステムの外部に排出される。また、電気化学反応の進行による水素の消費や、パージ弁46の開弁によって、水素循環流路内の水素量が不足するときには、可変調圧弁42を介して水素タンク20から水素循環流路へと水素が補われる。
コンプレッサ30は、外部から空気を取り込んで圧縮し、酸化ガスとして燃料電池15に供給するための装置であり、空気供給流路32を介して、燃料電池15の酸化ガス供給マニホールドに接続されている。コンプレッサ30には、その停止時に外部から空気供給流路32への空気の流入を遮断可能にするための第2のカソード封止弁49が設けられている。なお、コンプレッサ30は、その停止時には、空気が流れる際の流路抵抗が極めて大きくなる。そのため、コンプレッサ30の停止時に、コンプレッサ30を介した外部から空気供給流路32への空気の流入が、実質的に行なわれなくなる場合には、第2のカソード封止弁49は、設けないこととしても良い。
また、燃料電池15の酸化ガス排出マニホールドには、空気排出流路34が接続されている。コンプレッサ30から空気供給流路32を介して供給される空気は、燃料電池15で電気化学反応に供され、空気排出流路34を介して燃料電池15の外部に排出される。この空気排出流路34には、第1のカソード封止弁48が設けられている。第1のカソード封止弁48は、燃料電池15の発電時には開弁されており、燃料電池15の発電停止時には閉弁される。
燃料電池15の各集電板78には、配線56を介して負荷57が接続されている。負荷57は、例えば、二次電池や、電力消費装置(モータなど)とすることができる。また、この配線56には、燃料電池15と負荷57との間の接続を入り切りするスイッチとしての負荷接続部51が設けられている。負荷接続部51は、燃料電池15の発電時には、燃料電池15と負荷57とが接続されるように切り替えられ、燃料電池15の発電停止時には、燃料電池15と負荷57との接続が遮断されるように切り替えられる。
電圧センサ52は、燃料電池15の燃料電池電圧Vfを検出するためのセンサである。報知装置54は、後述する電位抑制動作に生じた不具合が検出されたときに、不具合を検出した旨を、燃料電池システム10の使用者に報知するための装置である。不具合の報知は、例えば、表示装置への表示により行なっても良く、あるいは、音声による報知としても良い。
ラジエータ61は、冷媒流路62に設けられ、冷媒流路62内を流れる冷媒を冷却する。冷媒流路62は、燃料電池15の既述した冷媒供給マニホールドおよび冷媒排出マニホールドに接続されている。また、冷媒流路には冷媒循環ポンプ60が設けられており、冷媒循環ポンプ60を駆動することにより、ラジエータ61と燃料電池15との間で冷媒を循環させて、燃料電池15の内部温度を調節可能となっている。冷媒流路62において、燃料電池15の冷媒排出マニホールドとの接続部近傍には、冷媒の温度を検出するための冷媒温度センサ63が設けられている。
制御部50は、マイクロコンピュータを中心とした論理回路として構成され、詳しくは、予め設定された制御プログラムに従って所定の演算などを実行するCPUと、CPUで各種演算処理を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等が予め格納されたROMと、同じくCPUで各種演算処理をするのに必要な各種データが一時的に読み書きされるRAMと、各種信号を入出力する入出力ポート等を備える。制御部50は、コンプレッサ30、水素遮断弁40、可変調圧弁42、負荷接続部51、第1のカソード封止弁48、第2のカソード封止弁49、水素循環ポンプ44、パージ弁46、報知装置54、冷媒循環ポンプ60等に対して駆動信号を出力する。また、電圧センサ52や冷媒温度センサ63、あるいは燃料電池システム10の環境温度(外気温)を検出する環境温度センサ55等から、検出信号を取得する。また、制御部50は、所定期間の時間を計測可能なタイマ機能を有している。
B.電位抑制動作:
燃料電池システム10では、その起動時に燃料電池15の発電を開始する際には、制御部50が、発電のための駆動信号を各部に出力する。具体的には、制御部50は、外部から燃料電池システム10の起動の指示を受信すると、負荷接続部51を制御して燃料電池15と負荷57とを接続させる。また、制御部50は、水素遮断弁40を開弁させると共に、可変調圧弁42を調整し、入力した負荷要求に基づいてコンプレッサ30を駆動制御すると共に、水素循環ポンプ44および冷媒循環ポンプ60を駆動させ、第1のカソード封止弁48を開弁制御する。そして、例えば負荷57がモータである場合には、負荷57に対しても、負荷要求に応じた駆動信号を出力する。なお、燃料電池15の発電時には、パージ弁46については、所定のタイミングで適宜開弁制御を行なう。
このような燃料電池システム10が運転停止要求を受信すると、制御部50は、システム停止処理を行なう。具体的には、制御部50は、負荷接続部51を制御して、燃料電池15と負荷57との接続を遮断する。また、制御部50は、水素遮断弁40を閉弁させると共に、水素循環ポンプ44およびコンプレッサ30を駆動停止させることにより、燃料電池15への燃料ガスおよび酸化ガスの供給を停止させる。また、発電停止中は、パージ弁46は閉弁状態に維持される。これにより、セル内燃料ガス流路と、燃料ガスマニホールドと、水素遮断弁40に一端が閉塞された水素供給流路22と、パージ弁46に一端が閉塞された水素排出流路24と、接続流路25と、から成る燃料ガスの流路(以下、アノード側流路と呼ぶ)は、水素が封入された状態となる。さらに、発電停止時には、制御部50は冷媒循環ポンプ60を駆動停止させる。
また、燃料電池システム10の停止時には、空気排出流路34に設けられた第1のカソード封止弁48と、コンプレッサ30に設けられた第2のカソード封止弁49と、の閉弁が行なわれる。これにより、燃料電池15の停止時には、セル内酸化ガス流路と、酸化ガスマニホールドと、第1のカソード封止弁48に一端が閉塞された空気排出流路34と、第2のカソード封止弁49に一端が閉塞された空気供給流路32と、から成る酸化ガスの流路(以下、カソード側流路と呼ぶ)は、空気が封入された状態となる。すなわち、アノード側流路と共にカソード側流路もまた、ガスの導入および排出が抑制された状態(以下、流出入抑制状態と呼ぶ)となる。本実施例では、発電停止後の燃料電池15における電位の過剰な上昇を抑制するための電位抑制動作として、アノード側流路内に水素を封入した状態でアノード側流路を流出入抑制状態にすると共に、カソード側流路もまた流出入抑制状態にする動作を行っている。以下に、燃料電池システムの停止後における燃料電池の電位上昇と、本実施例における電位抑制動作について説明する。
図3は、燃料電池の停止時における電圧推移の様子を表わす説明図である。図3(A)は、本実施例の燃料電池システム10における電位抑制動作としての流出入抑制状態の形成(特に、カソード側流路における第1のカソード封止弁48および第2のカソード封止弁49による封止)が正常に行なわれているときの停止時電圧推移の様子を表わす。また、図3(B)は、燃料電池システム10における電位抑制動作に不具合が発生したときの停止時電圧推移の様子を表わす。
燃料電池15では、停止時には、水素遮断弁40およびパージ弁46が閉弁されることによって、アノード側流路は流出入抑制状態となる。このような状態で負荷57との接続が遮断されたときには、燃料電池15の電圧は、ある程度高い値(停止直後はOCVに対応する値)を示す。その後、単セル70内においては、電解質膜を介してアノード側からカソード側へと水素が拡散し、拡散した水素とカソード側の空気(酸素)とがカソード上で反応して、セル内酸化ガス流路内の酸素が消費される。また、電解質膜を介してカソード側からアノード側への酸素の拡散も進行し、これらによってセル内酸化ガス流路内の酸素が減少し、燃料電池15の電圧は降下し始める。アノード側流路に封入される水素量が充分に多い場合には、上記のようなカソード側流路内の酸素量の減少と共に燃料電池15の電圧が低下し、やがて、安定した低電圧状態(例えば、略0V)となる。
ここで、カソード側流路における流出入抑制状態が充分に保たれている場合には、燃料電池15の電圧が一旦低下すると、この低電圧状態を維持することができる。しかしながら、カソード側流路における流出入抑制状態の形成に不具合が発生した場合、例えば、第1のカソード封止弁48あるいは第2のカソード封止弁49に不具合が発生した場合には、一旦酸素濃度が低下したカソード側流路内へと、空気排出流路34あるいは空気供給流路32を介して空気(酸素)が流入することにより、再び燃料電池の電圧上昇が起こる。具体的には、上記のようにカソード側流路へと空気が流入すると、電解質膜を介してカソード側からアノード側へと空気が拡散することにより、アノード上において部分的に水素濃度が高い領域と低い領域とが生じて内部電池が形成される。このように内部電池が形成された状態では、カソードが高電位となる。具体的には、アノード上で水素濃度が高い領域では、通常の電池反応が進行するが、アノード上で水素濃度が低い領域では、カソードの構成要素、特に触媒担持担体(本実施例ではカーボン粒子)の酸化が進行する。これにより、アノード上で水素濃度が高い領域と低い領域との間で電子のやり取りが行なわれ、外部の回路には電子が流れない状態となる。そして、触媒担持担体の酸化により、触媒担持担体の粒径や比表面積が変化して、カソードの形態変化が進行する。このようなカソードが高電位となった状態は、燃料電池全体の電圧の上昇として検出される。図3(A)では、電位抑制動作が正常に行なわれている状態として、わずかな空気の流入を許容する第1のカソード封止弁48および/または第2のカソード封止弁49を用いる場合の電圧変化の様子を表わしている。わずかに空気が流入することにより、燃料電池の電圧が一旦降下した後、流入する空気量に応じた時間の経過後に、電圧の再上昇が生じる。これに対して、図3(B)では、第1のカソード封止弁48および/または第2のカソード封止弁49に不具合が発生して、望ましくない量の空気が燃料電池へと流入する場合の電圧変化の様子を表わしている。このように、より多くの空気が流入する場合には、燃料電池の電圧が一旦降下した後に、より早いタイミングで、より大きく、電圧が再上昇する。なお、カソード側流路における流出入抑制状態が完全に保たれる場合には、電圧の再上昇が起こらない電圧推移のパターンを示すこととなる。このように、システム停止時にアノード側流路内に水素を封入する動作を行なう本実施例の燃料電池システム10では、第1のカソード封止弁48および第2のカソード封止弁49は、発電停止後の燃料電池における過剰な電圧上昇(正常範囲として許容される電圧上昇を超える電圧上昇)を抑制するための電位抑制動作を行なう停止時電位抑制部として機能する。
ここで、上記のように燃料電池の電圧が再上昇した後には、燃料電池の電圧は再び降下する。これは、カソード側流路へと空気が流入することによって、カソード側からアノード側へと電解質膜を介して空気が拡散すると共に、アノード側流路に残留する水素がカソード側へと拡散することにより、アノード側流路における水素濃度が低下することによる。
C.システム停止時に実行される処理の概要:
本実施例の燃料電池システム10は、その停止時に、既述した電位抑制動作を行なうと共に、電位抑制動作における不具合の発生の有無を検出し、不具合の発生を検出したときには、電圧上昇に起因する電極の酸化を抑制する処理を行なうことを特徴としている。図4は、燃料電池システム10の制御部50において、システム停止時に実行されるシステム停止時制御処理ルーチンを表わすフローチャートである。本ルーチンは、燃料電池システム10に対して発電停止の指示が入力された際に起動される。
本ルーチンが起動されると、制御部50は、まず、不具合判定フラグが1に設定されているか否かを判断する(ステップS100)。この不具合判定フラグは、後述する不具合検出処理において電位抑制動作の不具合が検出されたときに1に設定されるものであり、初期値は0に設定されている。ステップS100において不具合判定フラグが0に設定されている場合には、未だ電位抑制動作の不具合が検出されていないことになるため、制御部50は、通常の停止時制御を行なう(ステップS110)。具体的には、燃料電池15と負荷57との接続を遮断し、電位抑制動作としてアノード側流路およびカソード側流路を流出入抑制状態にして、さらに、冷媒の循環を停止させる。このとき、アノード側流路における水素の封入圧力は、可変調圧弁42によって、所定の規定値に調節される。
その後、制御部50は、不具合検出処理を行ない(ステップS120)、電位抑制動作としての流出入抑制状態の形成における不具合の有無を判断する(ステップS130)。この不具合検出処理については、後に詳述する。不具合検出処理によって不具合の発生が検出されると、制御部50は、不具合判定フラグを1に設定して(ステップS140)、本ルーチンを終了する。
上記のように電位抑制動作の不具合が検出されて、ステップS140において不具合判定フラグが1に設定されると、次回にシステム停止時制御処理ルーチンが起動されたときには、制御部50は、ステップS100において、不具合判定フラグが1に設定されているものと判断する。この場合には、制御部50は、不具合検出後停止時処理を実行して(ステップS150)、本ルーチンを終了する。電位抑制動作において不具合が発生しているときには、既述したように、発電停止後に望ましくない電圧の再上昇が起こって電極の酸化が進行する可能性がある。そこで、本実施例では、不具合判定フラグが1に設定されているときには、このような電極酸化を抑制するために、酸化抑制のための不具合検出後停止時処理を実行している。不具合検出後停止時処理については、後に詳述する。本実施例では、一旦不具合判定フラグが1に設定されると、その後に燃料電池システム10の起動と停止を繰り返す際に、発電停止を行なう毎にステップS100において不具合判定フラグが1に設定されていると判断されて、不具合検出後停止時処理が行なわれる。
なお、ステップS130において不具合の発生が無いと判断されると、制御部50は、不具合判定フラグを0に維持して本ルーチンを終了する。この場合には、次回にシステム停止時制御処理ルーチンが起動されたときには、ステップS100において不具合判定フラグが0に設定されていると判断され、不具合検出処理を再び行なうことになる。
D.電位抑制動作の不具合の検出:
以下に、ステップS120における不具合検出処理について説明する。本実施例では、電圧センサ52が検出した燃料電池電圧Vfに基づいて、電位抑制動作の不具合を検出している。燃料電池電圧Vfに基づいた電位抑制動作の不具合検出の方法として、以下に、3つの方法を例示して説明する。
D−1.第1の不具合検出方法:
図5は、ステップS120の工程の一例として、第1の不具合検出処理を表わすフローチャートである。本ルーチンは、ステップS110において通常の停止時制御が行なわれた後に起動される。本ルーチンが起動されると、制御部50は、タイマをリセットし、停止処理を行なってからの経過時間Tpを0に設定する(ステップS200)。その後、制御部50は、電圧センサ52から、燃料電池電圧Vfを取得する(ステップS210)。そして、電圧変化量ΔVfを算出する(ステップS220)。ここで、ステップS210では、短い時間間隔で燃料電池電圧Vfを2度取得しており、ステップS220では、取得した2つの燃料電池電圧Vf間の変化量を、測定の時間間隔で除することによって、単位時間当たりの電圧変化量ΔVfを求めている。
次に、制御部50は、ステップS220で求めた電圧変化量ΔVfと、基準値Xv1とを比較する(ステップS230)。基準値Xv1とは、電位抑制動作としてのカソード側流路の流出入抑制状態が正常に維持されている場合には、たとえ図3(A)のように若干の電圧上昇が起きても生じ得ない電圧変化量ΔVfの値(正の値)として、予め定めて制御部50内に記憶された値である。電圧変化量ΔVfが、この基準値Xv1を越える場合には、燃料電池15の停止後に電圧が低電圧状態となった後、電圧が急上昇したと考えられ、電位抑制動作としての流出入抑制状態の形成(第1のカソード封止弁48および/または第2のカソード封止弁49による封止)に不具合が発生したと判断される。ΔVfが基準値Xv1に達する時点を、図3(B)中に示す。
ステップS230において電圧変化量ΔVfが基準値Xv1を越えているときには、不具合発生と判断され(ステップS240)、制御部50は、報知装置54に対して駆動信号を出力して報知装置54による報知の動作を行なわせ(ステップS250)、本ルーチンを終了する。また、ステップS230において電圧変化量ΔVfが基準値Xv1を越えていないときには、電位抑制動作が正常であると判断され(ステップS260)、制御部50は、経過時間Tpと基準時間Xt1との比較を行なう(ステップS270)。ここで、基準時間Xt1は、この基準時間内に電圧の急上昇が検出されないときには、その後に電圧の急上昇が起こる可能性がほとんど無く、電位抑制動作が正常であると判断して良い基準値として、予め定めて制御部50に記憶された値である。経過時間Tpが基準時間Xt1を越える場合には、制御部50は、電位抑制動作が正常であると判断した状態で本ルーチンを終了する。経過時間Tpが基準時間Xt1以下であるときには、制御部50は、ステップS210に戻り、経過時間Tpが基準時間Xt1を越えるまで、電圧変化量ΔVfに基づいて不具合発生の有無の判断を繰り返す。
なお、図5では、経過時間Tpが基準時間Xt1を越えたときには電位抑制動作が正常であると判断した状態で本ルーチンを終了することとしたが、異なる構成としても良い。例えば、ステップS260で正常と判断されたときには、ステップS210に戻ることとして、燃料電池システム10の停止中は、電圧変化量ΔVに基づく判断を繰り返し行なうこととしても良い。
D−2.第2の不具合検出方法:
図6は、ステップS120の工程の一例として、第2の不具合検出処理を表わすフローチャートである。第2の不具合検出処理は、第1の不具合検出処理に代えて実行可能な処理であり、第1の不具合検出処理と共通する工程については工程番号を200番台から300番台に変更し、詳しい説明を省略する。以下では、第1の不具合検出処理と異なる部分について説明する。
本ルーチンにおいても、制御部50は、燃料電池電圧Vfの取得(ステップS310)および電圧変化量ΔVfの算出(ステップS320)の後に、ステップS320で求めた電圧変化量ΔVfと、基準値Xv2とを比較する(ステップS330)。ここで、基準値Xv2は、ステップS230における基準値Xv1と同様に、流出入抑制状態の不具合に起因する電圧の急上昇を検出するための基準値である。ΔVfが基準値Xv2に達する時点を、図3(B)中に示す。
ステップS330において電圧変化量ΔVfが基準値Xv2を越えている場合には、制御部50は、燃料電池電圧Vfを、基準値Xv3と比較する(ステップS335)。基準値Xv3とは、カソード側流路の流出入抑制状態が正常に維持されている場合には、たとえ図3(A)のように若干の電圧上昇が起きても到達しない燃料電池電圧Vfの値として、予め定めて制御部50内に記憶された値である。また、ステップS335において比較に用いる燃料電池電圧Vfとしては、ステップS310で2度取得した燃料電池電圧のうちの、後で検出した値を用いればよい。燃料電池電圧Vfが、この基準値Xv3を越える場合には、電位抑制動作としての流出入抑制状態の形成(第1のカソード封止弁48および/または第2のカソード封止弁49による封止)に不具合が発生したと判断される。基準値Xv3を、図3(A)、(B)中に示す。なお、ステップS330で電圧変化量ΔVfが基準値Xv2以下である場合、および、ステップS335で燃料電池電圧Vfが基準値Xv3以下である場合には、ステップS260と同様に電位抑制動作が正常であると判断される(ステップS360)。
このように、電位抑制動作としての流出入抑制状態の形成における不具合の発生を検出する際に、電圧変化量ΔVfだけでなく、燃料電池電圧Vfを用いることにより、不具合発生を検出する際の精度を向上させることができる。
D−3.第3の不具合検出方法:
図7は、ステップS120の工程の一例として、第3の不具合検出処理を表わすフローチャートである。第3の不具合検出処理は、第1の不具合検出処理に代えて実行可能な処理であり、第1の不具合検出処理と共通する工程については工程番号を200番台から400番台に変更し、詳しい説明を省略する。以下では、第1の不具合検出処理と異なる部分について説明する。
本ルーチンにおいても、制御部50は、燃料電池電圧Vfの取得(ステップS410)および電圧変化量ΔVfの算出(ステップS420)の後に、ステップS420で求めた電圧変化量ΔVfと、基準値Xv4とを比較する(ステップS430)。ここで、基準値Xv4は、ステップS230における基準値Xv1と同様に、流出入抑制状態の不具合に起因する電圧の急上昇を検出するための基準値である。ΔVfが基準値Xv4に達する時点を、図3(B)中に示す。
ステップS430において電圧変化量ΔVfが基準値Xv4を越えている場合には、制御部50は、タイマを参照して、電圧変化量ΔVfが基準値Xv4を越えたときの経過時間Tp1を取得する(ステップS432)。経過時間Tp1を、図3(B)中に示す。そして、経過時間Tp1と基準時間Xt2とを比較する(ステップS435)。ここで、カソード側流路の流出入抑制状態が正常に維持されている場合には、たとえ図3(A)のように若干の電圧上昇が起きる場合であっても、カソード側流路に空気が流入して電圧上昇が起こるまでにはある程度長い時間がかかる。上記基準時間Xt2とは、この時間内に電圧上昇が起こった場合には、許容範囲を超える空気がカソード側流路内に流入していると判断するための基準値として、予め定めて制御部50内に記憶された値である。経過時間Tp1が、この基準時間Xt2よりも小さい場合には、電位抑制動作としての流出入抑制状態の形成(特に、第1のカソード封止弁48による封止)に不具合が発生したと判断される。基準時間Xt2を、図3(A)、(B)中に示す。なお、ステップS430で電圧変化量ΔVfが基準値Xv4以下である場合、および、ステップS435で経過時間Tp1が基準時間Xt2以上である場合には、ステップS260と同様に電位抑制動作が正常であると判断される(ステップS460)。
このように、電位抑制動作としての流出入抑制状態の形成における不具合の発生を検出する際に、電圧変化量ΔVfだけでなく、電圧上昇までの経過時間Tp1を用いることにより、不具合発生を検出する際の精度を向上させることができる。
E.不具合検出後に実行される不具合検出後停止時処理:
以下に、ステップS150における不具合検出後停止時処理について説明する。本実施例では、不具合を検知した後の次回以降のシステム起動後の再停止時には、電極酸化を抑制する酸化抑制動作として、燃料電池15内を循環させる冷媒である冷却水の循環量を増加させる処理を行ない、燃料電池15の冷却効率を向上させている。固体高分子型燃料電池である燃料電池15は、運転温度が65〜100℃程度であり、発電中は環境温度よりも高温となっている。そして、燃料電池15が発電を停止した後には、燃料電池15の温度は徐々に低下して環境温度に近づく。燃料電池システム10の停止時には、通常は、既述したように冷媒循環ポンプ60の駆動を停止させているため、燃料電池15の発電停止後の温度低下は、主として大気中への放熱によって徐々に進行する。これに対して、燃料電池15の発電停止後にも冷媒循環ポンプ60を駆動して冷媒を循環させる場合には、燃料電池15から冷媒への放熱が積極的に行なわれることによって、燃料電池15の冷却の効率を高めることができる。本実施例では、電位抑制動作としての流出入抑制状態の形成における不具合発生時には、冷媒循環ポンプ60を駆動して燃料電池15を積極的に冷却することによって、化学反応である触媒担持カーボンの酸化反応を抑制し、電極の形態変化を抑えている。
図8は、カソードにおける電極電位と、カソードに流れる酸化電流から算出した酸化量と、燃料電池温度との関係を調べた結果を示す説明図である。ここでは、燃料電池15を構成する単セル70と同様の単セルを用意し、アノード側に水素を供給すると共にカソード側に窒素を供給し、負荷に接続することなく、図中の横軸に示したカソードの電極電位に対応する電圧を単セルに印可して、流れた電流(酸化電流)を測定して酸化量を算出した。流れる酸化電流が大きいほど、触媒担持カーボンの酸化反応が増大して、酸化量が大きくなる。単セルの温度としては、40℃、60℃、80℃の3段階を設定し、各々の温度について、カソード電極電位を1.0V〜1.5Vまで0.1V刻みで変化させて、酸化量を求めた。なお、単セルに供給する各ガスは、フル加湿(飽和水蒸気圧まで加湿)とした。図8に示すように、同じカソード電極電位で比較すると、温度が低いほど酸化量は少なくなる。したがって、電位抑制動作としての流出入抑制状態の形成における不具合が発生してカソード電位が上昇した場合であっても、燃料電池15の温度をより低くすることによって、触媒担持カーボンの酸化反応を抑制して電極の形態変化を抑えることができるといえる。
本実施例のステップS150としての不具合検出後停止時処理では、通常の停止時制御と同様に、燃料電池15と負荷57との接続を遮断すると共に、アノード側流路およびカソード側流路を流出入抑制状態とするが、冷媒循環ポンプ60に対しては、駆動を続行すように駆動信号を出力する制御を行なっている。なお、本実施例では、冷媒循環ポンプ60を駆動する場合であっても、燃料電池15の温度を環境温度以下にすることはできない。そのため、例えば、冷媒温度センサ63が検出する冷媒温度が、環境温度センサ55が検出する環境温度に対して、充分に下がりきったと判断される場合には、冷媒循環ポンプ60を停止させることとしても良い。
以上のように構成された本実施例の燃料電池システム10によれば、電位抑制動作としての流出入抑制状態の形成における不具合発生が検出されたときには、冷媒を循環させて燃料電池15を積極的に降温させることによって、カソードに流れる酸化電流を抑えて電極の形態変化を抑制することができる。すなわち、燃料電池システム10の停止時に通常の停止時制御を行なって電位抑制動作の不具合が検出されたときには、それ以降にシステムを起動した後の再停止時に、燃料電池15の積極的な冷却を行なうため、電位抑制動作に不具合が発生していても、システム停止時における触媒の形態変化の進行を抑制することができる。特に、電位抑制動作における不具合の発生は、直ちに燃料電池15による発電の継続を困難にするものではなく、引き続きある程度の期間、燃料電池システム10を通常通り動作させることが可能となる不具合である。本実施例によれば、このような、ある程度の期間は通常通りの使用が可能となる不具合発生時に、カソードの酸化の程度が許容できる状態を、より長く維持することが可能になる。
このとき、電極酸化抑制動作としてのシステム停止時の冷媒循環ポンプ60の駆動は、上記不具合発生が検出されたときのみ行なっているため、電極の形態変化の抑制のために燃料電池システム10のエネルギ効率を必要以上に低下させることがない。例えば、燃料電池システム10の停止時には常に冷媒循環ポンプ60を駆動する構成とすることも可能であるが、不具合発生時に限定して冷媒循環ポンプ60を駆動することにより、冷媒循環ポンプ60の駆動に起因するシステム全体のエネルギ効率の低下を抑制することができる。また、燃料電池15の発電時から、冷媒循環ポンプ60の駆動量をより多く設定することによって発電時の温度をより低くし、これによって発電停止時の燃料電池温度をより低く抑えて、電圧再上昇時の燃料電池温度を抑制することも可能である。しかしながら、この場合には、発電時の燃料電池温度を抑制することによって、燃料電池の発電効率が低下する可能性がある。本実施例によれば、不具合を検出した後の発電停止時にのみ冷媒循環ポンプ60を用いた燃料電池15の積極的な冷却を行なうため、発電時の発電効率が影響を受けることがない。
さらに、本実施例の燃料電池システム10によれば、ステップS120において、電位抑制動作としての流出入抑制状態の形成における不具合発生を、燃料電池電圧Vfに基づいて判定している。燃料電池電圧Vfを検出する電圧センサは、燃料電池の発電状態をモニタするために通常設けられるものであり、このような電圧センサの検出値を用いることにより、不具合発生の検出のために特別な装置を設けることなく、燃料電池システムの構成の複雑化を抑えつつ、上記不具合発生を検出することが可能になる。
F.第2実施例:
第1実施例では、電位抑制動作としての流出入抑制状態の形成における不具合が発生したときには、不具合検出後停止時処理において必ず冷媒の冷媒循環ポンプ60の駆動を実行しているが、異なる構成としても良い。以下に、第2実施例として、システムにおける発電停止から電圧再上昇までの経過時間に基づいて、冷媒循環ポンプ60の駆動を実行するか否かを判断する構成について説明する。
第2実施例の燃料電池システムは、第1実施例の燃料電池システム10と同じシステム構成を有しているため、各構成要素には第1実施例と同じ参照番号を付して、詳しい説明を省略する。第2実施例の燃料電池システム10は、そのシステム停止時に発電を停止する際には、第1実施例と同様に図4に示したシステム停止時制御処理ルーチンを実行する。このとき、ステップS120の不具合検出処理としては、第1実施例と同様に、種々の方法を選択することができる。なお、第2実施例では、ステップS120の不具合検出処理としていずれの処理を選択する場合であっても、不具合を検出したときには、図7に示した第3の不具合検出処理のステップS432と同様に、経過時間Tp1を求めると共に、求めた経過時間Tp1を制御部50内に記憶する処理を行なっている。すなわち、電位抑制動作としての流出入抑制状態の形成における不具合発生に起因して発電停止後に一旦低下した電圧が再上昇するときの経過時間Tp1を求める処理を行なうと共に、これを記憶している。
図9は、第2実施例の燃料電池システム10が、図4のシステム停止時制御処理ルーチンを実行する際に、ステップS150において実行する不具合検出後停止時処理ルーチンを表わすフローチャートである。すなわち、本実施例では、電位抑制動作としての流出入抑制状態の形成における不具合発生が既に検出されて、不具合判定フラグが1に設定(ステップS100)された状態で発電停止を行なう際に、図9に示す処理が実行される。
本ルーチンが起動されると、制御部50は、電圧再上昇時における経過時間Tp1を取得する(ステップS500)。この電圧再上昇時における経過時間Tp1は、既述したように、今回より前のシステム停止時において、ステップS120の不具合検出処理で不具合を検出した際に、制御部50内に記憶しておいたものである。次に、制御部50は、発電停止時の冷媒温度と環境温度とを取得する(ステップS510)。すなわち、冷媒温度センサ63の検出信号を取得すると共に、環境温度センサ55の検出信号を取得する。ここで、燃料電池15から排出される冷媒の温度である冷媒温度センサ63の検出温度は、燃料電池15の内部温度を表わすと考えることができる。
次に、制御部50は、経過時間Tp1における冷媒温度Rtを導出する(ステップS520)。ここで、発電停止後には、冷媒温度は、燃料電池15の内部温度と共に次第に低下し、やがて環境温度にほぼ等しい値となる。このような発電停止後の冷媒温度は、発電停止時の冷媒温度と、発電停止時の環境温度と、発電停止時からの経過時間に応じて定まる。本実施例の燃料電池システム10では、このような発電停止時の冷媒温度、発電停止時の環境温度、および発電停止時からの経過時間と、冷媒温度との関係を、予め実験的にあるいはシミュレーションにより求めてマップとして制御部50内に記憶している。ステップS520では、ステップS510で取得した発電停止時の冷媒温度および環境温度に基づいて、上記マップを参照して、ステップS500で取得した経過時間Tp1における冷媒温度Rtを求めている。
経過時間Tp1における冷媒温度Rtを求めると、制御部50は、この冷媒温度Rtが、最小値に達しているか否か、すなわち、経過時間Tp1において冷媒温度(燃料電池温度)が下がりきった状態になるか否かを判断する(ステップS530)。具体的には、ステップS520で求めた冷媒温度Rtと環境温度との差が、予め定めた基準値以下であって、両者がほぼ等しい温度となっている場合には、冷媒温度Rが下がりきると判断することができる。あるいは、ステップS520において経過時間Tp1における冷媒温度Rtを予測する際に、経過時間Tp1の前後において、マップに基づいて求められる冷媒温度の変化量ΔRtをさらに求め、この冷媒温度の変化量ΔRtが0以上である場合には、冷媒温度Rが下がりきると判断することができる。
ステップS530において冷媒温度が下がりきらない(最小値ではない)と判断される場合には、制御部50は、冷媒循環ポンプ60を駆動しつつ、停止時制御(燃料電池15と負荷57との接続を遮断すると共に、アノード側流路およびカソード側流路を流出入抑制状態とする)を行ない(ステップS540)、本ルーチンを終了する。このように冷媒循環ポンプ60を駆動することにより、燃料電池15の内部温度の降下が促進される。経過時間Tp1において冷媒温度が下がりきらないと判断される場合に、このように燃料電池15の冷却を促進することで、不具合に起因する電圧上昇が起こる経過時間Tp1における実際の燃料電池温度を、より低くすることができる。燃料電池の電圧上昇時の温度をより低くすることにより、第1実施例と同様に、酸化電流を抑制して電極の形態変化を抑えることができる。
ステップS530で、経過時間Tp1において冷媒温度が下がりきる(最小値になる)と判断される場合には、制御部50は、冷媒循環ポンプ60を駆動することなく、通常の停止時制御を行ない(ステップS550)、本ルーチンを終了する。不具合に起因する電圧上昇時である経過時間Tp1において冷媒温度が下がりきる場合には、発電停止時に冷媒循環ポンプ80を駆動して冷却を促進しても、電圧上昇における燃料電池温度をそれ以上低下させる効果が得られないためである。
以上のように構成された第2実施例の燃料電池システム10によれば、電位抑制動作としての流出入抑制状態の形成における不具合が発生したときに、不具合に起因する電圧上昇時に冷媒温度(燃料電池温度)が下がりきらないと判断される場合にのみ、酸化抑制動作として冷媒循環ポンプ60を駆動して、燃料電池15の冷却を積極的に行なっている。そして、冷媒循環ポンプ60を駆動しても、不具合に起因する電圧上昇時の冷媒温度をより低くできないと判断される場合には、冷媒循環ポンプ60の駆動を行なわない。したがって、効果が得難いにもかかわらず冷媒循環ポンプ60を駆動してエネルギを消費することが無く、システムにおけるエネルギ効率の低下を抑制することができる。特に、本実施例では、不具合が検出された後は、システムを停止する毎に停止時の冷媒温度および環境温度を取得して、電圧上昇時(経過時間Tp1)における冷媒温度Rtを予測している。そのため、システム停止時の条件が変動する場合であっても、冷媒循環ポンプ60を駆動するか否かの判断を適切に行なうことができる。
G.第2実施例の変形例:
G−1.第1の変形例:
第2実施例では、経過時間Tp1における予測された冷媒温度Rtに基づいて、停止時に冷媒循環ポンプ60を駆動することによって経過時間Tp1における燃料電池温度をさらに低下させることができる場合には、停止時には必ず冷媒循環ポンプ60を駆動しているが、異なる構成としても良い。例えば、第2実施例におけるステップS530の判断に代えて、あるいはステップS530の判断に加えて、燃料電池システム10が停止する毎に、停止時間中に電圧再上昇が起こるか否かを判断してもよい。そして、停止時間中に電圧再上昇が起こる場合にのみ、停止時に冷媒循環ポンプ60を駆動することとしても良い。
燃料電池システム10の停止時間は、例えば、燃料電池システム10を停止して起動する毎に停止時間を検出し、検出した停止時間に基づいて学習を行なうことにより求めればよい。学習の方法としては、例えば、それまでの停止時間の平均値を算出することによって停止時間を求めることができる。あるいは、それまでの停止時間のうちの、最も頻度が高い停止時間を求めても良い。このような学習に基づいて求めた停止時間と経過時間Tp1との比較を、ステップS530の判断に代えて、あるいは、ステップS530の判断と共に行ない、停止時間中に電圧再上昇が起こる場合にだけ、冷媒循環ポンプ60を駆動すればよい。これにより、停止中に電圧再上昇が起こらない場合には、冷媒循環ポンプ60を駆動することがなくなり、冷媒循環ポンプ60の駆動に起因するシステム効率の低下を抑制できる。
また、上記のように学習を行なって停止時間を求める場合には、さらに、停止するときの時刻を考慮して、停止時間の平均値や最も頻度の高い停止時間を求めても良い。あるいは、燃料電池システム10を車両などの移動体の駆動用電源として用いる場合のように、燃料電池システム10の使用場所が変化する場合には、例えばGPS信号を用いて燃料電池システム10の停止場所を検出可能にして、停止場所ごとに、停止時間の平均値や最も頻度の高い停止時間を求めても良い。なお、学習結果に基づいて停止時間を求める場合に、停止時の時間や場所によっては、学習結果を利用できない場合も考えられる。そのような場合には、停止時間中に電圧再上昇が起こるものとして、冷媒循環ポンプ60の駆動に係る制御を行なえばよい。これにより、停止時間が長くなって電圧再上昇が起きたとしても、燃料電池の温度低下の効率を向上させて電極酸化を抑制することができる。
G−2.第2の変形例:
第2実施例では、経過時間Tp1における予測された冷媒温度Rtに基づいて、停止時に冷媒循環ポンプ60を駆動するか否かだけを判断しているが、停止時における冷媒循環ポンプ60の駆動量を、さらに変更させることとしても良い。例えば、経過時間Tp1における予測された冷媒温度Rtと、検出した環境温度との差に基づいて、冷媒循環ポンプ60の駆動量を調節しても良い。具体的には、経過時間Tp1における予測された冷媒温度Rtと、検出した環境温度との差が大きいほど、冷媒循環ポンプ60の駆動量を多くすればよい。予測された冷媒温度Rtと環境温度との差が大きいほど、冷媒循環ポンプ60の駆動量を増加させることによる冷却効率向上の効果が得やすいため、冷媒循環ポンプ60を駆動することによる効果を高めることができる。また、予測された冷媒温度Rtと環境温度との差が小さく、冷媒循環ポンプ60を駆動することによる冷却の効果が小さい場合には、冷媒循環ポンプ60を駆動することで消費するエネルギ量を抑えて、システム効率の低下を抑制することができる。
また、ステップS530において経過時間Tp1における冷媒温度が下がりきらないと判断され、停止時に冷媒循環ポンプ60を駆動した後に、冷媒温度センサ63を用いて冷媒温度を実測し、冷媒循環ポンプ60の駆動によって、経過時間Tp1において冷媒温度が下がりきるようになったか否かを判断することとしても良い。そして、冷媒循環ポンプ60を駆動してもなお、経過時間Tp1において冷媒温度が下がりきらない場合には、その後に燃料電池システム10を起動して再び停止させる際には、冷媒循環ポンプ60の駆動量をさらに増加させて、燃料電池15を冷却する程度を高めることとしても良い。
G−3.第3の変形例:
また、第2実施例では、発電停止時に冷媒循環ポンプ60を駆動するか否かの判断を、発電停止の度に行なっているが、異なる構成としても良い。例えば、燃料電池システム10の設置環境から、システム停止時の温度条件の変動が充分に小さいと判断される場合には、不具合の検出を行なったシステム停止時に、次回以降のシステム停止時における冷媒循環ポンプ60の駆動の要否を判断しても良い。この場合には、ステップS120の不具合検出処理と共に、燃料電池15の温度を実測して、不具合に起因する電圧上昇が生じるとき(経過時間Tp1)に、冷媒温度が下がりきったか否かを判断すればよい。そして、電圧上昇時に冷媒温度が下がりきっていないと判断されたときには、それ以降、燃料電池システム10を起動の後に再停止するたびに、冷媒循環ポンプ60を駆動することとすればよい。また、電圧上昇時に冷媒温度が下がりきっていると判断されたときには、それ以降、燃料電池システム10を起動の後に再停止する際、冷媒循環ポンプ60を駆動しないこととすればよい。なお、不具合検出時に燃料電池15の内部温度を実測するためには、例えば、燃料電池15の内部温度を直接検出するための温度センサ(例えば熱電対)を、燃料電池15に設ければよい。
G−4.第4の変形例:
第2実施例では、電位抑制動作の不具合が検出された後は、システム停止時に冷媒循環ポンプ60を駆動することによって、システム停止後の燃料電池15の温度を積極的に低下させているが、異なる構成としても良い。例えば、上記不具合が検出された後は、カソードの酸化抑制動作として、発電中の燃料電池15の温度を正常時に比べてより低くする処理を行なっても良い。
このような制御を行なう際には、燃料電池システム10の起動時に、不具合判定フラグが1に設定されているか否か、すなわち、電位抑制動作の不具合が検出されているか否かを判断すればよい。そして、電位抑制動作が正常であって不具合判定フラグが0に設定されているときには、通常の発電制御を行ない、不具合判定フラグが1に設定されているときには、通常の発電制御に比べて燃料電池15の運転温度が低くなるように、冷媒循環ポンプ60の駆動量を調節すればよい。
このような構成とすれば、不具合発生時には、発電中の燃料電池15の温度をより低く設定することにより、発電停止時に燃料電池15の温度が低下を始める際の、最初の温度をより低くすることができ、不具合に起因する電圧上昇時における燃料電池15の温度をより低くして、電極の形態変化を抑制することができる。このような発電中の燃料電池15の温度低下は、発電効率の低下を引き起こすが、電位抑制動作の不具合が検出されたときにのみ発電中の燃料電池15温度を低下させることにより、電池温度の低下に起因するシステム効率の低下を抑制することができる。なお、このように発電中の燃料電池15の温度をより低くする制御を行なう際には、発電停止時に、酸化抑制動作としてさらに冷媒循環ポンプ60を駆動する制御を行なうならば、発電停止後の燃料電池15の温度低下をさらに促進することができる。このとき、発電停止後の冷媒循環ポンプ60の駆動は、第2実施例と同様に、発電停止後の電圧上昇時(経過時間Tp1)の冷媒温度を発電停止時に予測して、冷媒循環ポンプ60を駆動する効果が得られると判断される場合にのみ行なうことが望ましい。
H.酸化抑制動作の変形例:
H−1.水素封入圧と電圧再上昇のタイミングとの関係:
第1および第2実施例では、電極酸化を抑制するための酸化抑制動作として、不具合が検出された後、次回以降のシステム起動後に、冷媒循環ポンプ60を駆動する処理を行なって、燃料電池の冷却効率を向上させることによって、電極酸化を抑制しているが、異なる構成としても良い。以下に、電極酸化を抑制するための酸化抑制動作の変形例として、発電停止時に、アノード側流路内に封入する水素の圧力を変更する制御を行なう構成について説明する。まず、アノード側流路内に封入する水素圧と、発電停止後に電圧が再上昇するタイミングとの関係について説明する。
アノード側流路内に水素を封入した状態で、カソード側流路を流出入抑制状態としたときに、カソード側流路における封止が不十分であってカソード側流路に空気が流入する場合には、既述したように、単セル内で内部電池が形成されて、カソードが高電位となる。すなわち、燃料電池の電圧は、停止後一旦低下した後に、再上昇する。このような内分電池の形成は、空気が流入してカソード上に酸素が存在するときに、アノード上において、部分的に水素濃度が高い領域と水素濃度が低い領域とが生じることによって起こる。そのため、システム停止時にアノード側流路内に水素を封入する際に、封入する水素の圧力を高めると、カソード側流路に空気が流入する場合であっても、アノード上において部分的に水素濃度が低い領域が形成される時期を遅らせることが可能になる。したがって、システム停止時にアノード側流路内に封入する燃料ガス圧を高めることにより、電圧再上昇のタイミングを遅らせ、電極酸化が開始されるタイミングを遅らせることができる。
図10は、発電停止時にアノード側流路内に封入する水素の圧力と、発電停止後に電圧が再上昇するまでに要する時間との関係を調べた結果を表わす図である。アノード側流路内の水素封入圧を、大気圧に等しくしたとき(0kPaG)の電圧推移の結果を図10(A)に示し、20kPaG(大気圧基準)としたときの電圧推移の結果を図10(B)に示し、同じく50kPaGとしたときの電圧推移の結果を図10(C)に示す。いずれの場合にも、発電停止時の冷却水温は40℃である。ここで、発電停止時には、実施例の第1のカソード封止弁48および第2のカソード封止弁49と同様の封止弁を閉弁し、カソード側流路も流出入抑制状態としているが、正常に閉弁を行なった場合であっても、ごくわずかの空気が徐々にカソード側流路に流入するため、発電停止後に電圧が降下した後、電圧の再上昇が見られる。図10に示すように、停止時のアノード側流路内における水素封入圧を高くするほど、発電停止後の電圧の再上昇のタイミングが遅くなった。このような、アノード側流路内に封入する水素圧を高めることによる電圧の再上昇時を遅らせる効果は、第1のカソード封止弁に不具合が生じてより多くの空気がカソード側流路内に流入する場合にも、同様に得られる。
H−2.酸化抑制動作の変形例の第1の態様:
酸化抑制動作の変形例の第1の態様を以下に説明する。ここでは、発電の停止時には、図4に示したシステム停止時制御処理ルーチンを実行する。その際に、ステップS100で不具合判定フラグが1に設定されていると判断されたときには、ステップS150の不具合検出後停止時処理において、アノード側流路における水素の封入圧を、通常の停止時制御における水素の封入圧よりも高い値として予め設定した不具合時封入圧に設定する処理を行なう。すなわち、通常の停止時制御と同様に、燃料電池15と負荷57との接続を遮断して、冷媒の循環を停止させると共に、アノード側流路およびカソード側流路を流出入抑制状態とする際に、可変調圧弁42の駆動制御によって、水素の封入圧を上記不具合時封入圧に設定する。
このような構成とすれば、電位抑制動作としての流出入抑制状態の形成における不具合により、カソード側流路へと空気が浸入する場合であっても、不具合に起因する電圧再上昇のタイミングがより遅くなるため、電圧再上昇が起こるまでに燃料電池システム10が再起動され、電極酸化を引き起こす電圧上昇が実際には起こらなくなる可能性が高まる。その結果、電極酸化を引き起こす電圧上昇が実際に起こる頻度を低減することができ、電圧上昇に起因する電極酸化を抑制することができる。また、水素封入圧を高めることによって電圧再上昇までの時間が長くなると、電圧再上昇時までに燃料電池の降温がさらに進行するため、電圧再上昇時における燃料電池15の温度をより低くすることができる。既述したように、燃料電池温度が低いほど電圧再上昇時の酸化電流が小さくなるため、電圧再上昇時までの時間が長くなることにより、たとえ電圧再上昇が起こる場合であっても、電極酸化の反応を起こりにくくすることができる。
H−3.酸化抑制動作の変形例の第2の態様:
図11は、酸化抑制動作の第2の変形例を実行すると共に実施例と同様のシステム構成を有する燃料電池システム10において、システムの停止時に、図4のシステム停止時制御処理ルーチンに代えて制御部50で実行されるシステム停止時制御処理ルーチンを表わすフローチャートである。本ルーチンにおいて、図4に示す各工程に対応する工程には、工程番号を100番台から600番台に変更して付して詳しい説明を省略し、図4とは異なる処理を行なう部分についてのみ説明する。図11に示す処理では、不具合検出処理(ステップS620)によって不具合が検出されて(ステップS630)、不具合判定フラグを1に設定(ステップS640)した後に、酸化抑制動作要否判定処理(ステップS645)を実行する点が、図4の処理とは異なっている。
図12は、図11のステップS645で実行される酸化抑制動作要否判定処理ルーチンを表わすフローチャートである。本ルーチンが起動されると、制御部50は、電圧再上昇時の経過時間Tp1を取得する(ステップS700)。ここでは、既述した第2実施例と同様に、ステップS620の不具合検出処理としていずれの処理を行なう場合であっても、不具合を検出するときには、図7に示した第3の不具合検出処理のステップS432と同様に、電位抑制動作としての流出入抑制状態の形成における不具合発生に起因して電圧が再上昇するときの経過時間Tp1を求める処理を行なうと共に、これを制御部50内に記憶している。ステップS700では、記憶した上記経過時間Tp1を取得している。
その後、制御部50は、燃料電池システム10の停止処理を行なう際に、アノード側流路における水素の封入圧を、通常の停止時制御における水素の封入圧よりも高い値として予め設定した不具合時封入圧とした場合に、不具合に起因する電圧再上昇が起こるときの経過時間Tp2を求める(ステップS710)。ここで、ステップS700で取得した経過時間Tp1は、電位抑制動作としての流出入抑制状態の形成における不具合の程度、具体的には、第1のカソード封止弁48および第2のカソード封止弁49による封止状態の不具合の程度を反映している。すなわち、第1のカソード封止弁48および/または第2のカソード封止弁49における抜け具合(第1のカソード封止弁48や第2のカソード封止弁49を介した外部からカソード側流路への空気の流入量)が多いほど、不具合に起因する電圧再上昇が起こるまでの経過時間Tp1は短くなる。既述したように、停止時における水素の封入圧を高めるほど、不具合に起因する電圧再上昇が起こるまでの経過時間は長くなるため、カソード封止弁48,49における封止の抜け具合と、停止時における水素の封入圧とに基づいて、電圧再上昇が起こるときの経過時間Tp2を求めることができる。酸化抑制動作の変形例の第2の態様としての燃料電池システム10では、カソード封止弁48,49の抜け具合を反映する経過時間Tp1(通常の水素封入圧のときに検出された値)と、水素封入圧を所定の不具合時封入圧に上昇させたときに電圧再上昇が起こる経過時間Tp2との関係を、予め実験的に調べてマップとして制御部50内に記憶している。ステップS710では、このマップを参照し、ステップS700で取得した経過時間Tp1に基づいて、経過時間Tp2を求めている。
次に制御部50は、ステップS710で求めた経過時間Tp2と、基準時間Xt3とを比較する(ステップS720)。ここで、基準時間Xt3は、燃料電池システム10の一般的な停止時間(停止してから次回起動するまでの時間)であって、この時間内には電極の形態変化を引き起こす電圧の再上昇が起きないようにすべき時間として予め定めて制御部50に記憶した値である。経過時間Tp2が基準時間Xt3よりも長いときには、停止時の水素封入圧を不具合時封入圧に高める場合には、基準時間Xt3以内に電圧再上昇が起こることはないと判断されるため、制御部50は、封入圧増加フラグを1に設定し(ステップS730)、本ルーチンを終了する。この封入圧増加フラグは、初期値は0に設定されている。ステップS720において、経過時間Tp2が基準時間Xt3以下であるときには、停止時の水素封入圧を不具合時封入圧に高めたとしても、基準時間Xt3以内に電圧再上昇が起こると判断されるため、制御部50は、封入圧増加フラグを0に維持し(ステップS740)、本ルーチンを終了する。酸化抑制動作要否判定処理ルーチンの終了により、図11のシステム停止時制御処理ルーチンも終了する。
その後、燃料電池システム10の次回起動後の停止時に、図11のシステム停止時制御処理ルーチンを実行する際には、ステップS600において、不具合判定フラグが1に設定されていると判断される。不具合判定フラグが1に設定されていると判断すると、次に制御部50は、封入圧増加フラグが1に設定されているか否かを判断する(ステップS648)。封入圧増加フラグが1に設定されている場合には、制御部50は、不具合検出後停止時処理を実行し(ステップS650)、本ルーチンを終了する。具体的には、通常の停止時制御と同様に、燃料電池15と負荷57との接続を遮断して、冷媒の循環を停止させると共に、アノード側流路およびカソード側流路を流出入抑制状態とする際に、可変調圧弁42の駆動制御によって、水素の封入圧を上記不具合時封入圧に設定する。これにより、今回の停止時間が基準時間Xt3よりも短いときには、停止中に電圧再上昇が起こらず、電極酸化の進行を抑制することができる。また、ステップS648において、封入圧増加フラグが0であると判定された場合には、制御部50は、ステップS110と同様の通常の停止時制御を行ない(ステップS660)、本ルーチンを終了する。
以上のような構成によれば、水素封入圧を高めたときに電圧再上昇が起こる時間として求めた経過時間Tp2が、停止時間として設定した基準時間Xt3よりも長いときには、水素封入圧を上昇させるため、停止中に電圧再上昇が生じることを抑制し、電圧再上昇に起因する電極酸化を抑制することができる。また、経過時間Tp2が基準時間Xt3以下であるときには、水素封入圧を上昇させないため、停止中に電圧再上昇が生じる場合であっても、電圧再上昇に伴って進行する電極酸化反応の進行を少なく抑え、電極酸化を抑制することができる。水素封入圧を上昇させた場合には、電圧再上昇が生じるまでの時間を遅らせることができるが、電圧再上昇が一旦起こってしまうと、流路内に封入された水素量が増加されていることにより、図10に示すように、電圧が上昇している時間がより長くなる。上記のように、水素封入圧を上昇させたとしても停止中に電圧再上昇が起こる場合には水素封入圧を上昇させないことにより、電圧が再上昇している時間を短く抑え、電極酸化反応の進行を抑制することができる。さらに、水素封入圧を高めても電極酸化抑制の効果を充分に得られないと判断されるときには水素封入圧を高めないことにより、水素封入圧を高めることに起因する燃料電池の構成部材(例えば電解質膜)の劣化を抑制することができる。
なお、ステップS648において封入圧増加フラグが0であると判定された場合には、ステップS660において、ステップS110と同様の通常の停止時制御に代えて、水素封入圧を通常の停止時よりも低く設定する停止時制御を行なっても良い。既述したように、水素封入圧を高めるほど、電圧再上昇が起きたときの電圧が上昇している時間が長くなるため、カソードの酸化反応はより多く進行することになる。水素封入圧を通常の停止時よりも低く設定することで、次回システム起動時までの電圧再上昇を避けられない場合であっても、停止中に電圧再上昇が起こる際に進行する電極酸化の反応をより少なくすることができる。
また、図12の酸化抑制動作要否判定処理では、ステップS710において水素封入圧を不具合時封入圧に高めた際に電圧再上昇するときの経過時間Tp2を求め、ステップS720においてこの経過時間Tp2と基準時間Xt3とを比較しているが、異なる構成としても良い。例えば、通常の停止時制御における水素の封入圧よりも高い不具合時封入圧を複数設定しておき、それぞれの不具合時封入圧について、その封入圧にて停止処理を行なったときに電圧再上昇が起こるまでの経過時間Tp2を求める。そして、経過時間Tp2が、基準時間Xt3を越える最小値となるときの不具合時封入圧を用いて、次回起動後の停止時における停止時制御を行なっても良い。
H−4.酸化抑制動作の変形例の第3の態様:
上記した酸化抑制動作の変形例の第2の態様では、水素封入圧を不具合時封入圧に高めたときに電圧再上昇が起こる経過時間Tp2と、停止時間として予め定めた基準時間Xt3とを比較したが、異なる構成としても良い。例えば、燃料電池システム10を停止して起動する毎に停止時間を求め、実際の停止時間に基づいて学習を行なって基準時間Xt3を設定しても良い。学習の方法としては、例えば、それまでの停止時間の平均値を求めて基準時間Xt3とすることができる。あるいは、それまでの停止時間のうちの、最も頻度が高い停止時間を、基準時間Xt3としても良い。このような構成とすれば、水素封入圧を不具合時封入圧へと上昇させたときに、停止中に電圧再上昇が生じるか否かを、より精度良く判定することが可能になる。
また、上記のように学習を行なって基準時間Xt3を設定する場合には、さらに停止するときの時刻を考慮して、停止時間の平均値や最も頻度の高い停止時間を求めて基準時間Xt3としても良い。あるいは、燃料電池システム10を車両などの移動体の駆動用電源として用いる場合のように、燃料電池システム10の使用場所が変化する場合には、例えばGPS信号を用いて燃料電池システム10の停止場所を検出可能にして、停止場所ごとに、停止時間の平均値や最も頻度の高い停止時間を求めて基準時間Xt3としても良い。このような場合には、図12に示した酸化抑制動作要否判定処理は、図11のステップS645のように不具合を検出したシステム停止時に実行するのではなく、不具合を検出した後の起動後の停止時に行なえばよい。具体的には、図11のステップS600で不具合判定フラグが1に設定されていると判断された後に、酸化抑制動作要否判定処理を実行すればよい。その際には、停止時の時間や停止場所を読み込んで、学習結果に基づいて基準時間Xt3を求めて、ステップS720の判断を行なえばよい。
なお、学習結果に基づいて基準時間Xt3を求める場合に、停止時の時間や場所によっては、学習結果を利用できない場合も考えられる。そのような場合には、水素封入圧を増加させない制御を行なうこととすれば、停止時間が長く電圧再上昇が起きたとしても、電圧上昇が生じる時間が長くなることを抑え、電極酸化を抑制することができる。
I.電位抑制動作の変形例:
I−1.電位抑制動作の変形例の第1の態様:
第1および第2実施例では、システム停止後の電圧再上昇を抑制するための電位抑制動作として、アノード側流路内に水素を封入した状態で、カソード側流路も封止して流出入抑制状態にする動作を行っているが、異なる構成としても良い。以下に、電位抑制動作の変形例の第1の態様として、アノード側流路内を不活性ガス(具体的には空気)でパージする構成について説明する。
図13は、電位抑制動作の変形例の第1の態様における燃料電池システム110の概略構成を表わすブロック図である。燃料電池システム110において、実施例の燃料電池システム10と共通する構成要素には同じ参照番号を付して詳しい説明を省略し、実施例とは異なる部分についてのみ説明する。燃料電池システム110では、空気供給流路32から分岐して、空気供給流路32と水素供給流路22とを接続するパージガス流路38が設けられている。また、空気供給流路32とパージガス流路38との接続部には、コンプレッサ30から供給される空気が流れる流路を切り替える切替弁39が設けられている。燃料電池システム110では、発電時には、コンプレッサ30からの空気が空気供給流路32を介して燃料電池15のカソード側流路にのみ供給されるように、切替弁39が切り替えられている。
燃料電池システム110では、停止時には図4と同様のシステム停止時制御処理ルーチンが実行されるが、通常の停止時制御(ステップS110)における電位抑制動作において、アノード側流路とカソード側流路とを流出入抑制状態とする動作に代えて、アノード側流路内を空気でパージする動作が行なわれる。具体的には、燃料電池システム110の停止時には、制御部50は、ステップS110に相当する通常の停止時制御の一部として、燃料電池15と負荷57との接続の遮断や、冷媒の循環の停止と共に、以下の処理を行なう。すなわち、水素遮断弁40を閉弁して燃料電池15に対する水素の供給を停止すると共に、パージ弁46を開弁して、アノード側流路から水素を排出可能にする。また、コンプレッサ30から供給される空気が、空気供給流路32に代えてパージガス流路38へと導かれるように、切替弁39を切り替える。これにより、コンプレッサ30から供給される空気は、パージガス流路38を介してアノード側流路へと流入する。このとき、水素循環ポンプ44を所定時間駆動することにより、アノード側流路内の水素をパージ弁46を介して外部に排出し、アノード側流路内を空気に置き換えることができる。その後、パージ弁46を閉弁すると共にコンプレッサ30を停止させることによって、アノード側流路に空気を封入した状態にすることができる。このような処理を行なえば、アノード側流路とカソード側流路の両方に空気が存在する状態となるため、システム停止後に燃料電池15において電圧再上昇が生じることがない。なお、このときカソード封止弁48,49は、開弁していても良く、閉弁しても良い。また、第2のカソード封止弁49は設けないこととしても良い。上記構成においては、アノード側流路内を空気に置き換える動作に関わる各部が、発電停止後の燃料電池における過剰な電圧上昇を抑制するための電位抑制動作を行なう停止時電位抑制部として機能する。
このように、電位抑制動作として、アノードを空気で封入する動作を行なう場合にも、この電位抑制動作に不具合が発生したときには、実施例と同様に電圧再上昇に起因する電極酸化が起こり得る。すなわち、電位抑制動作の不具合として、水素遮断弁40の封止に不具合が生じると、空気でパージしたアノード側流路内へと水素が流入することになる。これは、水素供給流路22において、水素遮断弁40のよりも上流では、システムの起動時には直ちに燃料電池15に対して水素を供給可能となるように、高い水素圧力が維持されているためである。このように水素が流入すると、アノード上において水素濃度が高い領域と低い領域とが形成されることによって単セル内で内部電池が形成され、カソードが望ましくない程度に高電位となり、電圧再上昇が起こる。このような水素遮断弁40に生じた不具合に起因する電圧再上昇は、水素遮断弁40における封止の不具合の程度が大きいほど、より早く、より急激に、より長く起こる。そのため、水素遮断弁40による封止に生じた不具合は、実施例における第1ないし第3の電位抑制動作の不具合検出方法と同様に、停止後の電圧を検出することによって、燃料電池電圧Vfや、電圧変化量ΔVfあるいは経過時間Tp1に基づいて検出することができる。したがって、電位抑制動作としてアノードを空気でパージする処理を行なう場合にも、システム停止時に実施例の図4と同様のシステム停止時制御処理ルーチンをおこなって電位抑制動作の不具合を検出し、不具合検出時には、不具合検出後停止時処理(ステップS150)を行なえばよい。
電位抑制動作としてアノードを空気でパージする処理を行なう場合には、不具合検出時に実行する酸化抑制動作としては、例えば、第1実施例と同様の冷媒循環ポンプ60を駆動する制御を行なえばよい。これにより、水素遮断弁40の封止の不具合に起因して電圧再上昇が起きても、酸化電流を抑制して、電極酸化を抑えることができる。この場合には、第1実施例と同様に、不具合検出時には常に冷媒循環ポンプ60を駆動しても良く、第2実施例のように、電圧再上昇時である経過時間Tp1において冷媒温度が下がりきっていないと判断されるときにのみ冷媒循環ポンプ60を駆動しても良い。また、第2実施例の変形例のように、経過時間Tp1において冷媒温度が下がりきらないときには、冷媒循環ポンプ60の駆動量をさらに増加させても良い。あるいは、不具合発生時には、発電中の冷媒循環ポンプ60の駆動量を増加させて、停止に先立って、発電中の燃料電池15の温度をより低くしても良い。
なお、電位抑制動作として停止時にアノード側流路をパージする際に用いる不活性ガスは、空気以外の気体であっても良い。アノード側流路内をその不活性ガスで満たすことにより、電位上昇に係る反応が進行しなければよい。例えば、燃料ガスとして水素ガスに代えて改質ガスを用い、水素タンク20に代えて、改質器および改質器に改質燃料ガス(メタンガスを含有する天然ガス、都市ガス等)を供給する改質燃料供給部を備える場合には、この改質燃料ガスを不活性ガスとして用いて、アノード側流路をパージしても良い。このような場合にも、改質ガスを燃料電池15に供給する流路(水素供給流路22に相当する流路)に設けた遮断弁(水素遮断弁40に相当する)に不具合が発生したときには、不活性ガスで満たしたアノード側流路内に改質ガスが流入することにより電圧再上昇が起こる。そして、冷媒循環ポンプ60を駆動して燃料電池15を冷却することにより、電圧再上昇に起因する電極酸化を抑制可能となる。
I−2.電位抑制動作の変形例の第2の態様:
以下に、電位抑制動作の変形例の第2の態様として、発電停止後に、燃料電池15においてアノードとカソードを短絡させる構成について説明する。図14は、電位抑制動作の変形例の第2の態様における燃料電池システム210の概略構成を表わすブロック図である。燃料電池システム210において、実施例の燃料電池システム10と共通する構成要素には同じ参照番号を付して詳しい説明を省略し、実施例とは異なる部分についてのみ説明する。
燃料電池システム210では、燃料電池15に対して、配線56を介して負荷57と共に短絡回路253が接続可能となっている。配線56には、燃料電池15と、負荷57あるいは短絡回路253との間の接続を切り替えるスイッチとしての負荷切り替え部251が設けられている。負荷切り替え部251は、燃料電池15の発電時には、燃料電池15と負荷57とが接続されるように切り替えられ、燃料電池15の発電停止時には、燃料電池15と短絡回路253との間が接続されるように切り替えられる。このとき、燃料電池15(各単セル70)は、アノード側とカソード側が短絡した状態となる。なお、短絡回路253は、負荷57と比較して低抵抗な回路である。
燃料電池システム210では、停止時には図4と同様のシステム停止時制御処理ルーチンが実行されるが、通常の停止時制御(ステップS110)における電位抑制動作において、カソード側流路を封止して流出入抑制状態とする動作に代えて、燃料電池15を短絡させる動作が行なわれる。すなわち、負荷切り替え部251を切り替えて、短絡回路253を介してアノードとカソードとを短絡させる処理が行なわれる。このとき、冷媒の循環の停止と共に、水素遮断弁40を閉弁して燃料電池15に対する水素の供給の停止が行なわれる。本変形例では、システム停止時には、パージ弁46は閉弁される。なお、本変形例では、カソード側流路の封止は行なわれない。
このように、アノードとカソードとを短絡させると、セル内燃料ガス流路に残留する水素と、セル内酸化ガス流路に残留する酸素とによって電気化学反応が進行し、発電(短絡発電)が行なわれる。それに伴い、燃料電池15においてアノード側流路内の水素およびカソード側流路内の酸素が消費されることによって、燃料電池15(各単セル70)の電圧は低下する。このような燃料電池15における短絡の処理は、システム停止時において継続して行なわれる。上記構成においては、燃料電池15を短絡させる動作に関わる各部が、発電停止後の燃料電池における過剰な電圧上昇を抑制するための電位抑制動作を行なう停止時電位抑制部として機能する。
上記のように、電位抑制動作としてアノードとカソードとの短絡を行なう場合にも、この短絡動作に不具合が発生したときには、実施例と同様に電圧再上昇に起因する電極酸化が起こり得る。すなわち、短絡動作が充分に行なわれないと、アノード側流路内の水素が充分に消費されずに残留すると共に、外部から流入した空気がカソード側からアノード側へと拡散し、単セル内で内部電池が形成される。そして、カソードが高電位となって、電圧再上昇が起こり、電極酸化が進行する。このような電位抑制動作としての短絡における不具合は、実施例における第1あるいは第2の電位抑制動作の不具合検出方法と同様に、停止後の電圧を検出することによって、燃料電池電圧Vfや電圧変化量ΔVfに基づいて検出することができる。したがって、電位抑制動作として燃料電池15の短絡を行なう場合にも、システム停止時に実施例の図4と同様のシステム停止時制御処理ルーチンをおこなって電位抑制動作の不具合を検出し、不具合検出時には、不具合検出後停止時処理(ステップS150)を行なえばよい。
電位抑制動作としてアノードとカソードとの短絡を行なう場合には、不具合検出時に実行する酸化抑制動作としては、例えば、第1実施例と同様の冷媒循環ポンプ60を駆動する制御を行なえばよい。これにより、水素遮断弁40の封止の不具合に起因して電圧再上昇が起きても、酸化電流を抑制して、電極酸化を抑えることができる。この場合には、第1実施例と同様に、不具合検出時には常に冷媒循環ポンプ60を駆動しても良く、第2実施例のように、電圧再上昇時である経過時間Tp1において冷媒温度が下がりきっていないと判断されるときにのみ冷媒循環ポンプ60を駆動しても良い。また、第2実施例の変形例のように、経過時間Tp1において冷媒温度が下がりきらないときには、冷媒循環ポンプ60の駆動量をさらに増加させても良く、あるいは、不具合発生時には、発電中の冷媒循環ポンプ60の駆動量を増加させて、停止に先立って、発電中の燃料電池15の温度をより低くしても良い。
J.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
J1.変形例1:
既述した説明では、電位抑制動作に不具合が生じたときには、図3に示すように電圧再上昇が起こると共に、電圧が再上昇するタイミングが正常時に比べて遅くなるものとしていたが、異なるパターンで電圧が変化する場合もある。例えば、電位抑制動作として、アノード側流路内に水素を封入した状態で、カソード側流路を封止したり燃料電池を短絡させたりする動作を行なう場合には、アノード側流路内に封入する水素圧をより低くすると、カソード側流路における封止に不具合が発生したときの電圧変化のパターンが、図3(B)とは異なるパターンを示す。システム停止時にアノード側流路内に封入する水素圧を比較的低くした場合に、カソード側流路における封止や短絡に不具合が発生したときの電圧変化のパターンを、図15に示す。
アノード側流路内に封入された水素量が比較的少ない場合には、発電停止後、カソード上での水素と酸素の反応が低下すると共に、徐々にカソード側流路内に空気(酸素)が流入することにより、低電圧状態となる前に電圧低下が鈍化したり、あるいは、低電圧状態となる前に若干の電圧上昇に転じたりして、高電圧状態が比較的長く継続する電圧挙動を示す可能性がある。その結果、一旦低電圧状態になることなく、比較的高電圧な状態が続く中で、触媒酸化が進行する場合がある。
このように、システム停止時にアノード側流路内に封入する水素圧が比較的低く設定されている場合には、図4のステップS120における不具合検出処理において、電圧変化量ΔVfに基づく判断に代えて、例えば、以下のような判断を行なえばよい。すなわち、システム停止後に電圧が充分に下降(例えば、図3(A)および図15に示す電圧Vt1まで下降)するまでの経過時間(図3(A)および図15に示す経過時間Tf1)を検出する。このようにして検出した経過時間tf1が、正常時の経過時間Tf1として許容できる範囲を超えている場合には、電位抑制動作に不具合が発生したと判断することができる。
なお、このように、システム停止時にアノード側流路内に水素を封入するために設定された水素圧が、電位抑制動作に不具合が発生しても電圧が再上昇するパターンを示さない程度に低く設定されている場合には、水素の封入圧を上昇させる制御を行なうと、電圧が再上昇するパターンを示すようになる。そのため、停止時の水素封入圧を低く設定している場合には、不具合検出時に実行する酸化抑制動作として、水素封入圧を高める制御を行なう場合には、基準時間内の電圧が再上昇を抑制できるように、水素封入圧を充分に高めればよい。あるいは、停止時の水素封入圧を低く設定している場合の不具合検出時には、水素封入圧を高める制御を行なうことなく、水素封入圧をさらに低くする制御を行なうこととしても良い。これにより、電極酸化を起こしうる高い電圧を示す時間を短縮することができる。
J2.変形例2:
既述した説明では、電位抑制動作としてのガスの流出入抑制状態の形成や、アノード側流路のパージや、短絡における不具合発生の有無を、電圧の再上昇(電圧変化量ΔVfが基準値を超えること)を検出することによって判断していたが、異なる構成としても良い。例えば、システム停止後の電圧変化量をモニタすることによって、電圧が上昇を始める電圧変化量ΔVfを検出することに代えて、電圧が再上昇した後の再下降を検出しても良い。この場合には、例えば、システム停止時から電圧再下降までの経過時間が、基準値以下の場合には、電位抑制動作に不具合が発生したと判断することができる。システム停止時から電圧再下降までの経過時間に基づく場合には、電圧再上昇までの経過時間Tp1に基づく場合に比べて、ノイズの検出を低減して精度良く不具合発生を検出することが可能になる。また、電極酸化が最も進行するのは、再上昇した電圧がピークを示す前後であるため、システム停止時から電圧再下降までの経過時間に基づく場合には、実際に電極酸化が進行するタイミングに基づいて判断を行なうこととなり、電極酸化を抑制するための動作としての精度を向上させることができる。このような不具合発生の検出方法は、不具合に起因する電圧再上昇に付随する変化を検出可能であればよく、検出した電圧値に基づいて判断を行なうならば、不具合検出のためのシステムの複雑化を抑制することができる。
また、電位抑制動作における不具合の検出は、電圧値以外の値に基づいて行なっても良く、電位抑制動作の不具合そのものを検出しても良い。例えば、電位抑制動作としてガスの流出入抑制状態を形成する際に、カソード封止弁48,49の封止不良を検出する際には、カソード封止弁48,49の封止状態の不具合そのものを検出するセンサを、カソード封止弁48,49に設けて、カソード封止弁48,49の封止不良を直接検出することとしても良い。あるいは、電位抑制動作として燃料電池15の短絡を行なう場合には、燃料電池15と短絡回路253とを接続する回路を流れる電流を検出して、電流値が基準値以下である場合には短絡に不具合が発生していると判断しても良い。
J3.変形例3:
既述した説明では、電圧センサ52は、燃料電池15全体の電圧を検出することとしたが、異なる構成としても良い。すなわち、燃料電池15を構成するスタックを、複数の単セルから成るブロックに分割し、ブロックごとに電圧を検出しても良い。また、各単セル毎に電圧を検出しても良い。
J4.変形例4:
既述した説明では、電極を、触媒担持カーボン粒子と高分子電解質によって構成しているため、カソードが高電位になると、カーボン粒子が酸化することによりカソードが形態変化しているが、異なる構成としても良い。カソードは、例えば、触媒を担持する担体として、カーボン製の担体に代えてチタン酸化物製の担体を用いて形成しても良い。あるいは、担体を用いることなく、白金等の触媒金属のみによってカソードを形成しても良い。カソードの構成材料によって、カソードの酸化が起こる電位の大きさが異なるため、用いるカソードの種類に応じて、電位抑制動作における不具合を検出する際に用いる基準値を、適宜設定すればよい。このような場合であっても、酸化に起因するカソードの形態変化を抑制することにより、実施例と同様の効果を得ることができる。
J5.変形例5:
既述した説明では、電位抑制動作として、カソード封止弁48,49の封止を伴うガスの流出入抑制状態の形成と、アノード側流路のパージと、アノードとカソードとの短絡とのいずれかを行なったが、これらを組み合わせても良い。電位抑制動作として複数の動作を組み合わせるならば、いずれかの動作に不具合が発生した場合であっても、他の動作が正常であれば、電圧再上昇を抑制することができる。この場合にも、すべての電位抑制動作において不具合が発生して電圧再上昇が検出されたときには、既述した酸化抑制動作を実行することにより、電極の酸化を抑制することが可能になる。
J6.変形例6:
既述した説明では、電位抑制動作に不具合が発生したときには、以後は、電極酸化抑制動作を繰り返すこととしたが、異なる構成としても良い。すなわち、電位抑制動作が正常に復帰したと判断される場合には、酸化抑制動作を行なわない通常の制御に戻すこととしても良い。例えば、上記変形例2で説明したように、カソード封止弁48,49に不具合検出センサを設ける場合において、封止弁で異物のかみ込みが起こって不具合が検出されたときには、かみ込み不良から回復したときには、これを容易に検出することができる。
J7.変形例7:
既述した説明では、燃料電池15は、固体高分子型燃料電池としたが、他種の燃料電池を備える燃料電池システムにおいても、本願発明を同様に適用することができる。発電停止後に、電解質膜を介したガスの拡散が生じやすいのは固体高分子型燃料電池である。しかしながら、他種の燃料電池であっても、電解質膜におけるピンホール等に起因する電解質膜を介したガスの移動(内部リーク)や、マニホールド周囲に配置したシール部材を介したガスの移動(外部リーク)により、発電停止後に電圧再上昇が起こる場合がある。本願を適用することにより、このような電圧再上昇に起因する電極の形態変化を抑制することが可能になる。
10,110,210…燃料電池システム
15…燃料電池
20…水素タンク
22…水素供給流路
24…水素排出流路
25…接続流路
30…コンプレッサ
32…空気供給流路
34…空気排出流路
38…パージガス流路
39…切替弁
40…水素遮断弁
42…可変調圧弁
44…水素循環ポンプ
46…パージ弁
48…第1のカソード封止弁
49…第2のカソード封止弁
50…制御部
51…負荷接続部
52…電圧センサ
54…報知装置
55…環境温度センサ
56…配線
57…負荷
60…冷媒循環ポンプ
61…ラジエータ
62…冷媒流路
63…冷媒温度センサ
70…単セル
71…MEA
72,73…ガス拡散層
74,75…ガスセパレータ
76…エンドプレート
78…集電板
80…冷媒循環ポンプ
81,82,83,84,85,86…孔部
87…凹部
88,89…溝
251…負荷切り替え部
253…短絡回路

Claims (14)

  1. 燃料電池を備える燃料電池システムであって、
    前記燃料電池システムの停止時に、発電停止後の前記燃料電池における電圧上昇を抑制するための電位抑制動作を行なう停止時電位抑制部と、
    前記停止時電位抑制部における不具合を検知する不具合検知部と、
    前記不具合検知部が前記不具合を検知した場合には、前記燃料電池システムの次回以降の起動後に、前記燃料電池が備える電極の酸化を抑制する酸化抑制動作を行なう電極酸化抑制部と
    を備える燃料電池システム。
  2. 請求項1記載の燃料電池システムであって、
    前記電極酸化抑制部は、前記燃料電池システムの次回以降の起動後の再停止時において、前記酸化抑制動作を行なう
    燃料電池システム。
  3. 請求項1記載の燃料電池システムであって、
    前記電極酸化抑制部は、前記燃料電池システムの次回以降の起動後の発電中において、前記酸化抑制動作を行なう
    燃料電池システム。
  4. 請求項1ないし3いずれか記載の燃料電池システムであって、
    前記電極酸化抑制部は、前記酸化抑制動作として、前記燃料電池の冷却効率を向上させる動作を行なう
    燃料電池システム。
  5. 請求項4記載の燃料電池システムであって、
    前記電極酸化抑制部は、
    前記燃料電池の冷却効率を向上させる動作を行なうことにより、前記燃料電池システムの次回以降の起動後の再停止時において前記不具合に起因する電圧上昇が起こる際に、前記燃料電池の温度をより低くすることが可能であると判断される場合には、前記燃料電池の冷却効率を向上させる動作を行ない、
    前記燃料電池の冷却効率を向上させる動作を行なうことにより、前記燃料電池システムの次回以降の起動後の再停止時において前記不具合に起因する電圧上昇が起こる際に、前記燃料電池の温度をより低くすることができないと判断される場合には、前記燃料電池の冷却効率を向上させる動作を行なわない
    燃料電池システム。
  6. 請求項4または5記載の燃料電池システムであって、さらに、
    前記燃料電池システムが停止している停止時間を実測することによって学習する停止時間学習部を備え、
    前記電極酸化抑制部は、前記停止時間学習部における学習結果に基づいて、停止時間内において不具合に起因する電圧上昇が起こると判断される場合に、前記燃料電池の冷却効率を向上させる動作を行なう
    燃料電池システム。
  7. 請求項4ないし6いずれか記載の燃料電池システムであって、
    前記燃料電池は、電解質膜と一対の電極とを備える発電体を複数積層して成り、
    前記燃料電池は、
    各々の前記発電体が備える一方の電極であるアノード上に形成されて、水素を含有する燃料ガスが流れるセル内燃料ガス流路と、各々の前記セル内燃料ガス流路に対して前記燃料ガスを給排する燃料ガスマニホールドと、を備えるアノード側流路と、
    各々の前記発電体が備える一方の電極であるカソード上に形成されて、酸素を含有する酸化ガスが流れるセル内酸化ガス流路と、各々の前記セル内酸化ガス流路に対して前記酸化ガスを給排する酸化ガスマニホールドと、を備えるカソード側流路と、を備え、
    前記停止時電位抑制部は、前記電位抑制動作として、前記アノード側流路内に前記燃料ガスを封入した状態で、前記カソード側流路に対する空気の流出入を抑制した流出入抑制状態とする動作を行なう
    燃料電池システム。
  8. 請求項4ないし6いずれか記載の燃料電池システムであって、
    前記燃料電池は、電解質膜と一対の電極とを備える発電体を複数積層して成り、
    前記燃料電池は、
    各々の前記発電体が備える一方の電極であるアノード上に形成されて、水素を含有する燃料ガスが流れるセル内燃料ガス流路と、各々の前記セル内燃料ガス流路に対して前記燃料ガスを給排する燃料ガスマニホールドと、を備えるアノード側流路と、
    各々の前記発電体が備える一方の電極であるカソード上に形成されて、酸素を含有する酸化ガスが流れるセル内酸化ガス流路と、各々の前記セル内酸化ガス流路に対して前記酸化ガスを給排する酸化ガスマニホールドと、を備えるカソード側流路と、を備え、
    前記停止時電位抑制部は、前記電位抑制動作として、前記アノード側流路内を、前記燃料ガスに代えて、前記アノード上における反応性が水素に比べて低い不活性ガスで置き換える動作を行なう
    燃料電池システム。
  9. 請求項4ないし6いずれか記載の燃料電池システムであって、
    前記停止時電位抑制部は、前記電位抑制動作として、前記燃料電池に対する水素を含有する燃料ガスの供給を停止した後に、前記燃料電池を短絡させる動作を行なう
    燃料電池システム。
  10. 請求項2記載の燃料電池システムであって、
    前記燃料電池は、電解質膜と一対の電極とを備える発電体を複数積層して成り、
    前記燃料電池は、
    各々の前記発電体が備える一方の電極であるアノード上に形成されて、水素を含有する燃料ガスが流れるセル内燃料ガス流路と、各々の前記セル内燃料ガス流路に対して前記燃料ガスを給排する燃料ガスマニホールドと、を備えるアノード側流路と、
    各々の前記発電体が備える一方の電極であるカソード上に形成されて、酸素を含有する酸化ガスが流れるセル内酸化ガス流路と、各々の前記セル内酸化ガス流路に対して前記酸化ガスを給排する酸化ガスマニホールドと、を備えるカソード側流路と、を備え、
    前記燃料電池システムは、システム停止に伴って前記燃料電池の発電を停止する際には、前記アノード側流路内に前記燃料ガスを封入する動作を行ない、
    前記電極酸化抑制部は、前記酸化抑制動作として、酸化抑制動作を行なわない通常のシステム停止時において前記アノード側流路内に前記燃料ガスを封入する際の封入圧よりも高い圧力で、前記アノード側流路内に前記燃料ガスを封入する動作を行なう
    燃料電池システム。
  11. 請求項10記載の燃料電池システムであって、
    前記電極酸化抑制部は、前記通常のシステム停止時における前記封入圧よりも高い圧力で、前記アノード側流路内に前記燃料ガスを封入したときには、前記燃料電池システムについて設定した基準の停止時間内に、前記不具合に起因する電圧上昇が起こらなくなると判断される場合に、前記封入圧を高める動作を行なう
    燃料電池システム。
  12. 請求項10または11記載の燃料電池システムであって、
    前記停止時電位抑制部は、前記電位抑制動作として、前記アノード側流路内に前記燃料ガスを封入した状態で、前記カソード側流路に対する空気の流出入を抑制した流出入抑制状態とする動作を行なう
    燃料電池システム。
  13. 請求項10または11記載の燃料電池システムであって、
    前記停止時電位抑制部は、前記電位抑制動作として、前記燃料電池に対する水素を含有する燃料ガスの供給を停止した後に、前記燃料電池を短絡させる動作を行なう
    燃料電池システム。
  14. 燃料電池を備える燃料電池システムの制御方法であって、
    前記燃料電池システムの停止時に、発電停止後の前記燃料電池における電圧上昇を抑制するための電位抑制動作を行なう第1の工程と、
    前記第1の工程において実行された前記電位抑制動作における不具合を検知する第2の工程と、
    前記第2の工程において前記不具合が検知されたときに、前記燃料電池システムの次回以降の起動後に、前記燃料電池が備える電極の酸化を抑制する酸化抑制動作を行なう第3の工程と
    を備える燃料電池システムの制御方法。
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