JP2008304262A - 温度補償回路、トリミング回路及び加速度検出装置 - Google Patents

温度補償回路、トリミング回路及び加速度検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な線形性を有する温度補償回路、複数の温度勾配を備えたトリミング回路及び、使用可能な温度範囲を広くすることができる加速度検出装置を提供する。
【解決手段】電源電圧ラインと接地電圧ラインとの間には、それぞれ直列に接続された抵抗素子R1〜R4、R5〜R8、R21〜R24、R25〜R28が配置されている。接続ノードN1,N3の間には抵抗素子R9〜R14が直列に接続され、接続ノードN2,N4の間には、抵抗素子R29〜R34が直列に接続されている。抵抗素子R1,R2,R4,R5,R7〜R14,R24,R25は、負の温度係数を有する抵抗素子、抵抗素子R3,R6,R21〜R23,R26〜R34は正の温度係数を有する抵抗素子から構成される。抵抗素子R13,R14の接続ノードと、抵抗素子R30,R29の接続ノードとが接続されて、出力端子NT5となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、温度変化に応じて出力が変更される温度補償回路、この温度補償回路を用いたトリミング回路及びこのトリミング回路を用いた加速度検出装置に関する。
今日、温度変化によっても一定の出力を補償するための温度補償回路が用いられていることがある(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1では、シリーズレギュレータにおいて温度補償回路が設けられている。この温度補償回路は、レギュレータ回路と、少なくとも2つの抵抗素子から構成される抵抗結合を備える。この抵抗結合により温度係数の勾配を調整することにより、温度変化に伴う電圧の変化を補償する温度補償回路として機能する。
また、温度勾配を調整することができる温度補償回路も検討されている。この回路では、電源電圧ラインと接地電圧ラインとの間に、第1及び第2抵抗手段を直列に配置したラインと、第3及び第4抵抗手段を直列に配置したラインとを設ける。この温度補償回路では、第1抵抗手段及び第4抵抗手段は、負の温度係数を有する2つの抵抗素子によって構成され、第2及び第3抵抗手段は、負の温度係数を有する抵抗素子と正の温度係数を有する抵抗素子によって構成されている。更に、第1及び第2抵抗手段の第1接続ノードと、第3及び第4抵抗手段の第2接続ノードとの間を、直列に接続された複数の抵抗素子を介して接続する。そして、この第1接続ノードと第2接続ノードとを接続したライン上から出力を取り出す。
国際公開第05/086343号パンフレット
ところで、用途によっては、使用可能な温度範囲が広い温度補償回路が必要な場合がある。例えば、温度変化が大きい場所で使用される加速度検出装置等に用いる場合がある。
しかし、従来の温度補償回路は、使用可能な温度範囲が狭いという問題があった。すなわち、従来の温度補償回路を広い温度範囲で使用しようとすると、線形性が悪くなるという問題があった。これは、温度補償回路を構成する抵抗素子の抵抗値は、温度変化に伴って、1次関数的に変化するのではなく、実際には、2次関数や3次関数等が構成された曲線のように変化するためである。使用する温度範囲が狭い場合には、高次の関数項の影響が無視できるほど小さく、従来の温度補償回路でも使用可能であったが、使用する温度範囲を広げることにより、高次の関数項の影響が顕著になってくる。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされ、その目的は、良好な線形性を有する温度補償回路、複数の温度勾配を備えたトリミング回路及び、使用可能な温度範囲を広くすることができる加速度検出装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、本発明は、高電位電源電圧ラインと低電位電源電圧ラインとの間に、第1抵抗手段及び第2抵抗手段と、第3抵抗手段及び第4抵抗手段と、第5抵抗手段及び第6抵抗手段と、第7抵抗手段及び第8抵抗手段とを、それぞれ直列に配置し、前記第1抵抗手段と前記第2抵抗手段との間の第1接続ノードと、前記第3抵抗手段と前記第4抵抗手段との間の第2接続ノードとを、第9抵抗手段を介して接続し、前記第5抵抗手段と前記第6抵抗手段との間の第3接続ノードと、前記第7抵抗手段と前記第8抵抗手段との間の第4接続ノードとを、第10抵抗手段を介して接続し、前記第1及び前
記第4抵抗手段は、温度が上昇すると抵抗値が降下する負の温度係数を有する第1特性の抵抗手段であり、前記第2及び前記第3抵抗手段は、前記第1特性の温度係数より大きい温度係数を有する第2特性の抵抗手段であり、前記第5及び前記第8抵抗手段は、前記第1特性と対称的に変化する正の温度係数を有する第3特性の抵抗手段であり、前記第6及び前記第7抵抗手段は、前記第3特性の温度係数よりも小さい温度係数を有し、かつ、前記第2特性と対称的に変化する第4特性の抵抗手段であり、前記第1接続ノードと前記第2接続ノードとを接続する第1接続ラインと、前記第3接続ノードと前記第4接続ノードとを接続する第2接続ラインとを接続したノードを出力端子として用いることを要旨とする。
このため、第5、第6、第7、第8及び第10抵抗手段によって構成される第2の回路は、第1、第2、第3、第4及び第9抵抗手段によって構成される第1の回路と同じ配置構成で、対応する抵抗手段の抵抗値の温度特性が対称となるように構成されている。従って、第1接続ラインにおける電圧と、第2接続ラインにおける電圧は、温度によって生じる曲線性をお互いに相殺するように変化する。このため、第1及び第2接続ラインを接続したノードを出力端子として用いることにより、相互の電圧の変化が吸収されて、出力電圧の線形性を向上することができる。なお、ここで、「対称的に変化する」とは、対象の特性の変化の勾配の正負が逆で、ほぼ同じ絶対値の勾配で変化することを意味する。
本発明の温度補償回路において、負の温度係数を有する第1の抵抗素子と、正の温度係数を有する第2の抵抗素子とから構成されており、前記第1及び前記第4抵抗手段は、前記第1の抵抗素子から構成されており、前記第5及び前記第8抵抗手段は、前記第2の抵抗素子から構成されており、前記第2、前記第3、前記第6及び前記7抵抗手段は、前記第1の抵抗素子及び前記第2の抵抗素子から構成されていることを要旨とする。このため、温度補償回路は、負の温度特性を有する第1の抵抗素子と、正の温度係数を有する第2の抵抗素子の2種類の抵抗素子から、各抵抗手段を構成することができる。
本発明の温度補償回路において、前記第1〜第8抵抗手段は、所定温度において同じ抵抗値であり、前記第9抵抗手段及び前記第10抵抗手段は、複数の抵抗素子を直列に接続して構成されており、前記第1接続ラインにおいて前記第1接続ノードの電位から所定電圧分変化したノードと、前記第2接続ラインにおいて前記第4接続ノードの電位から前記所定電圧分変化したノードとを接続した複数の出力端子を有することを要旨とする。
第1接続ラインにおける電圧は、第1接続ノードの電圧と第2接続ノードの電圧の電圧差に応じた電圧変化によって変化する。また、第2接続ラインにおける電圧は、第3接続ノードから第4接続ノードの電圧差に応じた電圧変化によって変化する。このため、第1接続ラインにおいて第1接続ノードから所定電圧分降下(又は上昇)したノードと、第2接続ラインにおいて第4接続ノードから所定電圧分降下(又は上昇)したノードとを接続することにより、温度変化に伴って変化する電圧の勾配が異なる複数の出力電圧を、線形性よく出力することができる。
本発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の温度補償回路を備え、この温度補償回路の出力端子のそれぞれにヒューズを設けたことを要旨とする。このため、複数の出力端子に接続されたヒューズのうち、温度変化による電圧を補償するために適した1つのヒューズを選択し、それ以外のヒューズを切断することにより、線形性のよいトリミング抵抗を用いることができる。従って、温度変化による電圧補償を、より正確に行なうことができる。
本発明は、加速度センサからの出力を増幅する出力増幅回路に、請求項4に記載のトリミング回路を設けたことを要旨とする。加速度センサの出力は、温度変化によって直線的
に変化する。このため、線形性のよい温度補償回路を備えたトリミング回路を出力増幅回路に設けることにより、広い温度範囲において使用する加速度センサとして用いても、出力誤差を小さくすることができ、加速度センサが測定した加速度を、より正確に出力することができる。
本発明によれば、温度補償回路の出力電圧の線形性を向上させて、この温度補償回路を用いたトリミング回路及びこれを用いた加速度検出装置が使用可能な温度範囲を良好に広くすることができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態について図1〜図3を用いて説明する。ここでは、温度補償回路を設けた加速度検出装置10について、図1を用いて説明する。本実施形態の加速度検出装置10は、静電容量を用いて加速度を検出する加速度センサ11、静電容量を電圧に変換するキャパシタ電圧コンバータ12、出力増幅回路15及びトリミング回路20を備える。
加速度センサ11は、加速度に応じて静電容量が変化する構成を有しており、静電容量に応じた大きさの信号を出力する。この加速度センサ11は、温度上昇に伴って、出力する静電容量が直線的に増加する構成を有している。
キャパシタ電圧コンバータ12は、供給された静電容量に応じた電圧を出力する。
出力増幅回路15は、スイッチドキャパシタ回路を備えた増幅手段であり、キャパシタ14と、複数のスイッチ16a,16b,16c,16d,16e,16f,16g、オペアンプ17及び複数のキャパシタによって構成されている。
ここで、キャパシタ14は、キャパシタ電圧コンバータ12の出力電圧を出力増幅回路15に伝播する。スイッチ16a〜16cは同期してオンオフされる。また、スイッチ16d〜16gは、同期してオンオフされ、スイッチ16a〜16cがオフの場合にオンになり、オンの場合にオフとなる。これにより、出力増幅回路15は、本実施形態では、キャパシタ電圧コンバータ12から出力される方形波の上限電圧値と下限電圧値との差の電圧を増幅した出力電圧VOUTを出力する。
また、スイッチ16d,16eの接続ノードには、温度補償回路21を備えたトリミング回路20が接続されている。トリミング回路20は、温度補償回路21と、この温度補償回路21の複数の出力端子NT1,NT2,NT3,NT4,NT5に対応して設けられた複数のヒューズ22とを有する。そして、加速度センサ11の温度変化の補償に適した出力端子NT5に接続しているヒューズ22以外のヒューズ22は切断されている。これにより、オペアンプ17は、ヒューズによって接続されている温度補償回路21の出力端子の電圧変化と比較しながら、加速度センサ11からの出力を増幅して、加速度検出装置10の出力電圧VOUTを出力する。
次に、温度補償回路21について、図2を用いて説明する。
温度補償回路21は、第1の回路としての基準回路C1と、第2の回路としての補完回路C2とを備えている。
基準回路C1においては、電源電圧VDDの電源電圧ライン(高電位電源電圧ライン)と、接地電圧GNDの接地電圧ライン(低電位電源電圧ライン)との間に、抵抗素子R1,R2,R3,R4が直列に接続されている。更に、基準回路C1においては、電源VDDラインと接地電圧ラインとの間に、抵抗素子R5,R6,R7,R8が直列に接続され
ている。そして、抵抗素子R2,R3との接続ノード(第1接続ノード)N1と、抵抗素子R6,R7との接続ノード(第2接続ノード)N3とは、直列に接続された抵抗素子R9,R10,R11,R12,R13,R14を介して接続されている。本実施形態では、抵抗素子R1,R2が第1抵抗手段、抵抗素子R3,R4が第2抵抗手段、抵抗素子R5,R6が第3抵抗手段、抵抗素子R7,R8が第4抵抗手段、抵抗素子R9〜R14が第9抵抗手段として機能する。
本実施形態では、基準回路C1を構成する抵抗素子R1,R2,R4,R5,R7〜R14は、温度が上昇すると抵抗値が低くなる負の温度係数を有する抵抗素子から構成されている。また、基準回路C1を構成する抵抗素子R3,R6は、温度が上昇すると抵抗値も高くなる正の温度係数を有する抵抗素子から構成される。なお、図2においては、抵抗素子の符号に添えて表示した「(−)」は、負の温度係数を有する抵抗素子であることを示し、「(+)」は、正の温度係数を有する抵抗素子であることを示している。ここで、第2及び第3抵抗手段は、負の温度係数を有する抵抗素子と正の温度係数を有する抵抗素子から構成されている。
また、本実施形態では、第1〜第4抵抗手段の合成抵抗値が常温(本実施形態では27℃)においてすべて同じ値になるように、各抵抗素子R1〜R8の抵抗値が設定されている。すなわち、抵抗素子Ri(iは整数)の抵抗をr(Ri)として示すと、
r(R1)+r(R2)=r(R3)+r(R4)=r(R5)+r(R6)=r(R7)+r(R8)
である。更に、本実施形態では、抵抗素子R9〜R14の抵抗値は、すべて同じ値に設定されている。
一方、補完回路C2においては、電源電圧ラインと接地電圧ラインとの間に、抵抗素子R21,R22,R23,R24が直列に接続されている。更に、補完回路C2においては、電源電圧ラインと接地電源ラインとの間に、抵抗素子R25,R26,R27,R28が直列に接続されている。そして、抵抗素子R26,R27の接続ノード(第4接続ノード)N2と、抵抗素子R22,R23の接続ノード(第3接続ノード)N4とは、直列に接続された抵抗素子R29,R30,R31,R32,R33,R34を介して接続されている。本実施形態では、抵抗素子R21,R22が第5抵抗手段、抵抗素子R23,R24が第6抵抗手段、抵抗素子R25,R26が第7抵抗手段、抵抗素子R27,R28が第8抵抗手段、抵抗素子R29〜R34が第10抵抗手段として機能する。
本実施形態では、第5抵抗手段を構成する抵抗素子R21,R22は、正の温度係数を有する抵抗素子から構成されており、第1抵抗手段を構成する抵抗素子R1,R2とは逆の特性の温度係数を有している。
第6抵抗手段を構成する抵抗素子R23,R24は、それぞれ正の温度係数、負の温度係数を有する抵抗素子から構成されており、第2抵抗手段を構成する抵抗素子R3,R4と同じ温度係数を有する。
第7抵抗手段を構成する抵抗素子R25,R26は、それぞれ正の温度係数、負の温度係数を有する抵抗素子から構成されており、第3抵抗手段を構成する抵抗素子R5,R6と同じ温度係数を有する。
第8抵抗手段を構成する抵抗素子R27,R28は、正の温度係数を有する抵抗素子から構成されており、第4抵抗手段を構成する抵抗素子R7,R8とは逆の特性の温度係数を有している。
第10抵抗手段を構成する抵抗素子R29〜R34は、正の温度係数を有する抵抗素子
から構成されており、第9抵抗手段を構成する抵抗素子R9〜R14とは逆の特性の温度係数を有している。
また、本実施形態では、第5〜第8抵抗手段の合成抵抗値が常温において同じ値になるように、各抵抗素子R21〜R28の抵抗値が設定されている。すなわち、
r(R21)+r(R22)=r(R23)+r(R24)=r(R25)+r(R26)=r(R27)+r(R28)
である。更に、本実施形態では、抵抗素子R29〜R34の抵抗値は、常温において、すべて同じ値になっており、抵抗素子R9〜R14の抵抗値と同じ値に設定されている。
更に、基準回路C1の抵抗素子R9,R10の接続ノードN5と、補完回路C2の抵抗素子R34,R33の接続ノードN6とが接続されており、これが温度補償回路21の出力端子NT1としてヒューズ22に接続されている。基準回路C1の抵抗素子R10,R11の間の接続ノードと、補完回路C2の抵抗素子R33,R32の間の接続ノードとが接続されており、これが出力端子NT2としてヒューズ22に接続されている。基準回路C1の抵抗素子R11,R12の間の接続ノードと、補完回路C2の抵抗素子R32,R31の間の接続ノードとが接続されており、これが出力端子NT3としてヒューズ22に接続されている。基準回路C1の抵抗素子R12,R13の間の接続ノードと、補完回路C2の抵抗素子R31,R30の間の接続ノードとが接続されており、これが出力端子NT4としてヒューズ22に接続されている。基準回路C1の抵抗素子R13,R14の間の接続ノードと、補完回路C2の抵抗素子R30,R29の間の接続ノードとが接続されており、これが出力端子NT5としてヒューズ22に接続されている。
なお、本実施形態では、加速度検出装置10が製造された場合には、ヒューズ22はすべて接続されている。その後、出力端子NT1〜NT5のうち、加速度センサ11の電圧特性に最も適した電圧変化を行なう出力端子が選択される。そして、選択されなかった出力端子に接続されるヒューズ22は、レーザ等によりすべて切断される。本実施形態では、図1に示すように、出力端子NT5が選択されて、この出力端子NT5に接続されているヒューズ22は切断されず、その他の出力端子NT1〜NT4に接続されているヒューズ22は切断される。
次に、接続ノードN1〜N4における温度による抵抗値の変化について、図3を用いて説明する。
常温においては、抵抗素子R1,R2の抵抗値の和、抵抗素子R3,R4の抵抗値の和、抵抗素子R5,R6の抵抗値の和、抵抗素子R7,R8の抵抗値の和、抵抗素子R21,R22の抵抗値の和、抵抗素子R23,R24の抵抗値の和、抵抗素子R25,R26の抵抗値の和、抵抗素子R27,R28の抵抗値の和が同じである。このため、接続ノードN1〜N4は同じ電圧になり、抵抗素子R9〜R14,R29〜R34には電流が流れない。
常温より温度が上昇した場合には、正の温度係数を有する抵抗素子R3,R6,R21〜R23,R26〜R34の抵抗値が増加し、負の温度係数を有する抵抗素子R1,R2,R4,R5,R7〜R14,R24,R25の抵抗値が減少する。
このため、基準回路C1においては、抵抗素子R1,R2の抵抗値の和は、抵抗素子R5,R6の抵抗値の和より小さくなる。また、抵抗素子R3,R4の抵抗値の和は、抵抗素子R7,R8の抵抗値の和より大きくなる。従って、接続ノードN1の電圧は上昇し、接続ノードN3の電圧は降下する。
一方、補完回路C2においては、抵抗素子R21,R22の抵抗値の和は、抵抗素子R25,R26の抵抗値の和より大きくなる。また、抵抗素子R23,R24の抵抗値の和
は、抵抗素子R27,R28の抵抗値の和より小さくなる。従って、接続ノードN2の電圧は上昇し、接続ノードN4の電圧は降下する。
また、常温より温度が降下した場合には、正の温度係数を有する抵抗素子R3,R6,R21〜R23,R26〜R34の抵抗値が減少し、負の温度係数を有する抵抗素子R1,R2,R4,R5,R7〜R14,R24,R25の抵抗値が増加する。
このため、抵抗素子R1,R2の抵抗値の和は、抵抗素子R5,R6の抵抗値の和より大きくなる。また、抵抗素子R3,R4の抵抗値の和は、抵抗素子R7,R8の抵抗値の和より小さくなる。従って、接続ノードN1の電圧は下降し、接続ノードN3の電圧は上昇する。更に、抵抗素子R21,R22の抵抗値の和は、抵抗素子R25,R26の抵抗値の和より小さくなり、抵抗素子R23,R24の抵抗値の和は、抵抗素子R27,R28の抵抗値の和より大きくなる。従って、接続ノードN2の電圧は下降し、接続ノードN4の電圧は上昇する。
図3(a)には、温度変化による接続ノードN1の電圧VN1の変化及び接続ノードN3の電圧VN3の変化を示す。本実施形態では、抵抗素子R9〜R14は同じ特性で同じ抵抗値の抵抗であるため、接続ノードN5、抵抗素子R10,R11の接続ノード、抵抗素子R11,R12の接続ノード、抵抗素子R12,R13の接続ノード、抵抗素子R13,R14の接続ノードの電圧は、電圧VN1と電圧VN3との電圧差を分圧した値になる。例えば、抵抗素子R9,R10の接続ノードN5の電圧は、[VN1−(VN1−VN3)/6]になる。
また、接続ノードN3の電圧VN3は、接続ノードN1の電圧VN1の変化と対称的に変化する。なお、接続ノードN1,N3の中央に位置する接続ノード(抵抗素子R11,R12の間の接続ノード)の電圧は、ほとんど温度によらず一定になる。
ここで、温度をパラメータとしたときの各抵抗素子の抵抗値R(T)は、
R(T)=Rt0*[1+(T−Tnom)*tc1+(T−Tnom)*tc2]…(1)
で表わせる。この場合、Tは温度(摂氏度)、Rt0は常温Tnomにおける抵抗値、tc1,
tc2は温度係数を示す。
更に、電圧をパラメータとしたときの各抵抗素子の抵抗値R(V)は、
R(V)=Rv0*[1+V*vc1+V*vc2]…(2)
で表わせる。この場合、Vは電圧、Rv0は0Vにおける抵抗値、vc1,vc2は電圧係数を示す。
接続ノードN1,N3の電圧は、温度変化に伴って、この(1)式及び図3(a)から明らかなように、全体として下に凸の曲線で変化する。このため、電圧VN1,VN3は常温Tnom近辺ではほぼ直線に変化するが、−40℃や150℃など、常温Tnomより離れた温度では、(1)式の二次関数項[(T−Tnom)*tc2]の影響が大きくなる。
図3(b)には、温度変化による接続ノードN2の電圧VN2の変化及び接続ノードN4の電圧VN4の変化を示す。本実施形態では、抵抗素子R29〜R34は同じ特性で同じ抵抗値の抵抗であるため、接続ノードN6、抵抗素子R33,R32の接続ノード、抵抗素子R32,R31の接続ノード、抵抗素子R31,R30の接続ノード、抵抗素子R30,R29の接続ノードの電圧は、電圧VN2と電圧VN4との電圧差を分圧した値になる。例えば、抵抗素子R33及びR34の接続ノードN6の電圧は、[VN2−(VN2−VN4)/6]になる。
また、接続ノードN4の電圧VN4は、接続ノードN2の電圧VN2の変化と対称的に変化する。なお、接続ノードN2,N4の中央に位置する接続ノード(抵抗素子R31,R32の間の接続ノード)の電圧は、ほとんど温度によらず一定になる。なお、電圧VN2,VN4は、常温Tnom近辺ではほぼ直線的に変化するが、−40℃や150℃など常温Tnomから大きく外れると、上記(1)式の二次関数項[(T−Tnom)*tc2]の影響が大き
くなり、全体として上に凸の曲線として変化する。
一方、温度補償回路21の出力端子NT1〜NT5は、温度変化の勾配が同じ接続ノード同士を接続した端子である。このため、各出力端子NT1〜NT5の電圧は、二次関数項の値が相殺されて、−40℃から150℃の全体で、より直線的に変化することになる。ここで、図3(c)には、接続ノードN5,N6を接続した出力端子NT1の温度変化による電圧VNT1の変化を示す。この図3(c)から明らかなように、電圧VNT1は、二次関数項の値が相殺されて、−40℃から150℃の広い温度範囲全体で、温度上昇により直線的に上昇する。
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
・ 本実施形態では、基準回路C1は、電源電圧VDDの電源電圧ラインと、接地電圧GNDの接地電圧ラインとの間に、直列に接続された抵抗素子R1〜R4と、直列に接続された抵抗素子R5〜R8とを配置した構成をしている。抵抗素子R2,R3との接続ノードN1と、抵抗素子R6,R7との接続ノードN3との間には、抵抗素子R9〜R14が直列に接続されている。補完回路C2は、電源電圧ラインと接地電圧ラインとの間に、直列に接続された抵抗素子R21〜R24と、直列に接続された抵抗素子R25〜R28とを配置した構成をしている。抵抗素子R26,R27の接続ノードN2と、抵抗素子R22,R23の接続ノードN4との間には、抵抗素子R29〜R34が直列に接続されている。抵抗素子R1,R2,R4,R5,R7〜R14,R24,R25は、負の温度係数を有する抵抗素子から構成されており、抵抗素子R3,R6,R21〜R23,R26〜R34は、正の温度係数を有する抵抗素子から構成される。抵抗素子R13,R14の間の接続ノードと、抵抗素子R30,R29の間の接続ノードとが接続されて、出力端子NT5になっている。この出力端子NT5がヒューズ22を介して出力増幅回路15に接続されている。常温においては、接続ノードN1〜N4は同じ電圧であるが、常温より温度が上昇した場合、接続ノードN1の電圧は上昇し、接続ノードN3の電圧は降下し、接続ノードN2の電圧は上昇し、接続ノードN4の電圧は降下する。また、常温より温度が降下した場合、接続ノードN1の電圧は下降し、接続ノードN3の電圧は上昇し、接続ノードN2の電圧は下降し、接続ノードN4の電圧は上昇する。従って、温度変化の勾配が同じ接続ノード同士を接続することにより、基準回路C1と補完回路C2の二次関数項の値が相殺される。このため、出力端子NT1〜NT5の出力電圧は、温度変化に伴って、より直線的に変化するので、温度補償回路21の出力電圧の線形性を向上することができる。
・ 本実施形態では、第9抵抗手段を構成する抵抗素子R9〜R14と、第10抵抗手段を構成する抵抗素子R29〜R34とは、常温において、すべて同じ値に設定されている。このため、接続ノードN1と接続ノードN3とを接続するライン(第1接続ライン)における電圧降下は、抵抗素子R9〜R14の数に応じて等分された値になる。また、接続ノードN2と接続ノードN4とを接続するライン(第2接続ライン)における電圧降下は、抵抗素子R29〜R34の数に応じて等分された値になる。従って、接続ノードN1からの抵抗素子の数と、接続ノードN2からの抵抗素子の数とが同じ接続ノード同士を接続した箇所を出力端子NT1〜NT5とすることにより、温度変化に伴って変化する電圧の勾配が異なる複数の出力電圧を、線形性よく出力することができる。
・ 本実施形態では、基準回路C1の接続ノードN1,N3との間に直列に接続された抵抗素子R9〜R14は、第1抵抗手段及び第4抵抗手段を構成する抵抗素子R1,R2
,R7,R8と同じ負の温度係数を有する抵抗素子で構成されている。このため、抵抗素子R1,R2,R7,R8の抵抗値が低下した場合には、抵抗素子R9〜R14の抵抗値が低下するので、抵抗素子R1,R2,R9〜R14,R7,R8にスムーズに電流が流れてエネルギーロスを小さくすることができる。また、接続ノードN2,N4との間に直列に接続された抵抗素子R29〜R34は、第5抵抗手段及び第6抵抗手段を構成する抵抗素子R21,R22,R27,R28と同じ正の温度係数を有する抵抗素子で構成されている。このため、抵抗素子R21,R22,R27,R28の抵抗値が低下した場合には、抵抗素子R29〜R34の抵抗値が低下するので、抵抗素子R21,R22,R29〜R34,R27,R28にスムーズに電流が流れてエネルギーロスを小さくすることができる。
・ 本実施形態では、トリミング回路20は、温度補償回路21と、この温度補償回路21の各出力端子NT1〜NT5のそれぞれに接続された複数のヒューズ22とを備える。本実施形態では、温度変化に応じた電圧の変化の勾配が同じ電圧同士を接続することにより、トリミング回路20は、温度変化によって変化する電圧の勾配が異なる複数の出力電圧が出力可能となっている。このため、加速度検出装置10の温度変化に最も適した電圧を出力する出力端子に接続されているヒューズ22以外のヒューズ22を切断することにより、トリミング回路20は、温度変化による電圧補償を、より正確に行なうことができる。従って、このトリミング回路20を備える加速度検出装置10は、広い温度範囲において使用しても、出力誤差を少なくすることができ、より正確に出力することができる。
また、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 上記実施形態においては、接続ノードN1,N3の間の抵抗素子R9〜R14の数と、接続ノードN2,N4の間の抵抗素子R29〜R34の数とを同じにした。これに限らず、例えば、これら接続ノードN1,N3の間の抵抗素子の数と、接続ノードN2,N4の間の抵抗素子の数とを異ならせてもよい。また、抵抗素子R9〜R14の抵抗値と、抵抗素子R29〜R34の抵抗値とをすべて同じにしなくてもよい。ただし、温度補償回路21に用いられる抵抗素子の正の温度係数と負の温度係数とがほぼ同じ場合には、接続ノードN1の電圧から所定電圧分変化(降下又は上昇)したノードと、接続ノードN2の電圧から、この同じ所定電圧分変化(降下又は上昇)したノードとを接続したノードを出力端子として用いるのが好ましい。この場合には、出力端子における電圧の変化を容易に設定することができる。
○ 上記実施形態においては、温度補償回路21には5つの出力端子NT1〜NT5を設けたが、これら出力端子の数は、接続ノードN1,N3の間の抵抗の数や接続ノードN2,N4の間の抵抗の数によって自由に変更できる。更に、接続ノードN1,N2同士を接続したノードを温度補償回路21の出力端子として用いてもよいし、接続ノードN3,N4同士を接続したノードを温度補償回路21の出力端子として用いてもよい。
○ 上記実施形態においては、第1〜第8抵抗手段は、2つの抵抗素子で構成したが、各抵抗手段を構成する抵抗素子の数は、これに限られない。この場合、基準回路C1の第1及び第4抵抗手段を負の温度係数を有する抵抗素子で構成し、補完回路C2の第5及び第8抵抗手段を正の温度係数を有する抵抗素子で構成する。そして、第2、第3、第6及び第7抵抗手段を、負の温度係数を有する抵抗素子と正の温度係数を有する抵抗素子で構成する。この場合、第6及び第7抵抗手段が、第2及び第3抵抗手段の抵抗値の変化と対称的に変化する抵抗値の特性を有する抵抗手段となるようにする。例えば、第2及び第3抵抗手段が、負の温度係数を有する抵抗素子の2つと正の温度係数を有する抵抗素子の1つから構成される場合には、第6及第7抵抗手段を、正の温度係数を有する抵抗素子の2つと負の温度係数を有する抵抗素子の1つから構成してもよい。
○ 上記実施形態においては、第2、第3、第6及び第7抵抗手段は、正の温度係数を有する1つの抵抗素子と、負の温度係数を有する1つの抵抗素子とで構成した。これに限らず、第2及び第3抵抗手段を正の温度係数を有する抵抗素子で、第6及び第7抵抗手段を負の温度係数を有する抵抗素子で形成してもよい。
○ 上記実施形態においては、接地電圧GNDの接地電圧ラインを低電位電源電圧ラインとして用いた。低電位電源電圧ラインの電圧は0Vに限られない。
○ 上記実施形態においては、温度補償回路21は、加速度検出装置10の出力増幅回路15に設けた。これに限らず、温度変化に対する出力電圧に線形性が要求される回路に適用することができる。
本発明のトリミング回路を設けた加速度検出装置の概略配線回路図。 本発明の温度補償回路の配線回路図。 本発明における温度変化に伴うノードの電圧変化を示す図であり、(a)は基準回路におけるノードの電圧変化、(b)は補完回路におけるノードの電圧変化、(c)は温度補償回路の出力端子における電圧変化を示す。
符号の説明
C1…第1の回路としての基準回路、C2…第2の回路としての補完回路、NT1,NT2,NT3,NT4,NT5…温度補償回路の出力端子、N1…第1接続ノード、N2…第4接続ノード、N3…第2接続ノード、N4…第3接続ノード、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11,R12,R13,R14,R21,R22,R23,R24,R25,R26,R27,R28,R29,R30,R31,R32,R33,R34…抵抗素子、VOUT…出力電圧、10…加速度検出装置、11…加速度
センサ、12…キャパシタ電圧コンバータ、15…出力増幅回路、20…トリミング回路、21…温度補償回路、22…ヒューズ。

Claims (5)

  1. 高電位電源電圧ラインと低電位電源電圧ラインとの間に、第1抵抗手段及び第2抵抗手段と、第3抵抗手段及び第4抵抗手段と、第5抵抗手段及び第6抵抗手段と、第7抵抗手段及び第8抵抗手段とを、それぞれ直列に配置し、
    前記第1抵抗手段と前記第2抵抗手段との間の第1接続ノードと、前記第3抵抗手段と前記第4抵抗手段との間の第2接続ノードとを、第9抵抗手段を介して接続し、
    前記第5抵抗手段と前記第6抵抗手段との間の第3接続ノードと、前記第7抵抗手段と前記第8抵抗手段との間の第4接続ノードとを、第10抵抗手段を介して接続し、
    前記第1及び前記第4抵抗手段は、温度が上昇すると抵抗値が降下する負の温度係数を有する第1特性の抵抗手段であり、
    前記第2及び前記第3抵抗手段は、前記第1特性の温度係数より大きい温度係数を有する第2特性の抵抗手段であり、
    前記第5及び前記第8抵抗手段は、前記第1特性と対称的に変化する正の温度係数を有する第3特性の抵抗手段であり、
    前記第6及び前記第7抵抗手段は、前記第3特性の温度係数よりも小さい温度係数を有し、かつ、前記第2特性と対称的に変化する第4特性の抵抗手段であり、
    前記第1接続ノードと前記第2接続ノードとを接続する第1接続ラインと、前記第3接続ノードと前記第4接続ノードとを接続する第2接続ラインとを接続したノードを出力端子として用いることを特徴とする温度補償回路。
  2. 負の温度係数を有する第1の抵抗素子と、正の温度係数を有する第2の抵抗素子とから構成されており、
    前記第1及び前記第4抵抗手段は、前記第1の抵抗素子から構成されており、
    前記第5及び前記第8抵抗手段は、前記第2の抵抗素子から構成されており、
    前記第2、前記第3、前記第6及び前記7抵抗手段は、前記第1の抵抗素子及び前記第2の抵抗素子から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の温度補償回路。
  3. 前記第1〜第8抵抗手段は、所定温度において同じ抵抗値であり、
    前記第9抵抗手段及び前記第10抵抗手段は、複数の抵抗素子を直列に接続して構成されており、
    前記第1接続ラインにおいて前記第1接続ノードの電位から所定電圧分変化したノードと、前記第2接続ラインにおいて前記第4接続ノードの電位から前記所定電圧分変化したノードとを接続した複数の出力端子を有することを特徴とする請求項2に記載の温度補償回路。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の温度補償回路を備え、この温度補償回路の出力端子のそれぞれにヒューズを設けたことを特徴とするトリミング回路。
  5. 加速度センサからの出力を増幅する出力増幅回路に、請求項4に記載のトリミング回路を設けたことを特徴とする加速度検出装置。
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