JP2008303208A - ミネラル吸収促進剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】より効果の高いミネラル吸収促進剤を提供する。本発明を用いることによって、配合量を低減することができ、飲食品に配合した時の味覚の変化を抑えることできる。また、使用量が低減すれば、その費用の削減にもなる。
【解決手段】ラクトビオン酸と乳糖とを、質量として9:1〜1:4の配合比で含有することを特徴とするミネラル吸収促進剤であり、乳糖に乳糖酸化活性を有する微生物を接触させて乳糖の一部をラクトビオン酸に変換し、得られたものを造粒後、乾燥することによって製造する。
【選択図】 図1
【解決手段】ラクトビオン酸と乳糖とを、質量として9:1〜1:4の配合比で含有することを特徴とするミネラル吸収促進剤であり、乳糖に乳糖酸化活性を有する微生物を接触させて乳糖の一部をラクトビオン酸に変換し、得られたものを造粒後、乾燥することによって製造する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ラクトビオン酸と乳糖を有効成分とするミネラル吸収促進剤に関するものである。
日本人のカルシウム摂取量は、長年にわたり栄養必要量を下回っている現状にあり、カルシウムの摂取が求められている。また、カルシウム以外に亜鉛、鉄、マグネシウムなどのミネラルについても不足しがちであり、ミネラルの吸収性が高い食品と共に、ミネラルの吸収を促進する物質に対しても関心が高まっている。
このような背景の下、様々なミネラル吸収促進剤として、乳糖、ダイフルクトースアンハイドライドIII(DFA−III)、ラクトビオン酸などが考案されている(非特許文献1、特許文献1、2参照)。なかでも、ラクトビオン酸はミネラル補強効果が高いと報告されている。また、ラクトビオン酸は、オリゴ糖のヘミアセタール水酸基が酸化されていることから、β−ガラクトシダーゼなどの生体内加水分解酵素等による分解を受け難い。このため、人が摂取した際、分解されることなく腸内に到達でき、ビフィズス菌増殖する効果があることもあわせて期待されている(特許文献3)。
Wasserman, R.H., Comar, C.L. and Nold, M.M.:J. Nutr., 59, 371(1956) 特開平11−43438号公報
特許第3501237号公報
特許第3559063号公報
Wasserman, R.H., Comar, C.L. and Nold, M.M.:J. Nutr., 59, 371(1956)
しかしながら、これまでのミネラル吸収促進剤では、十分な効果が得られなかったり、乳糖などでは、下痢を引き越すなどの問題があった。また、より効果の高いミネラル吸収促進効果を発揮することができれば、その配合量を低減することができ、飲食品に配合した時の味覚の変化を抑えることできる。また、ラクトビオン酸の代わりに安価な乳糖を配合することにより、ラクトビオン酸の使用量が低減すれば、その費用の削減にもなる。
本発明は、ラクトビオン酸や乳糖単独よりミネラル吸収促進効果の高いミネラル吸収促進剤を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行なった結果、ラクトビオン酸と乳糖を併用すると、それぞれを単独で摂取、機能を発現させた場合と比較して、カルシウムや鉄等のミネラルの吸収促進効果が相乗的に発現されることを見出した。また、ミネラル吸収促進剤中のラクトビオン酸が、カルシウムに対して、ある一定以上の割合で含まれているとき、カルシウムの吸収促進効果がより効率的に発現されることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明の第一は、ラクトビオン酸と乳糖とを、質量として9:1〜1:4の配合比で含有することを特徴とするミネラル吸収促進剤を要旨とするものである。
本発明の第二は、前記のミネラル吸収促進剤を含有することを特徴とする組成物を要旨とするものであり、好ましくは、ミネラル吸収促進剤が、組成物の総質量に対して、0.01〜100質量%の割合で含有するものであり、また、好ましくは、組成物が、医薬品又は飲食物である組成物であり、また、好ましくは、さらに、カルシウムを含有することを特徴とする組成物であり、また、好ましくは、ミネラル吸収促進剤中のラクトビオン酸が、カルシウムの総量に対して、50質量%以上の割合で含有するものであり、また、好ましくは、組成物が医薬品又は飲食物である組成物である。
本発明の第三は、前記のミネラル吸収促進剤又は前記の組成物を摂取することを特徴とするミネラル吸収促進方法である。
本発明の第四は、乳糖に乳糖酸化活性を有する微生物を接触させて乳糖の一部をラクトビオン酸に変換することを特徴とする前記のミネラル吸収促進剤の製造方法である。
本発明によれば、カルシウムや鉄などのミネラルを含む飲食品を経口摂取する際に、ラクトビオン酸と乳糖を含有するミネラル吸収促進剤や該ミネラル吸収促進剤を含有する組成物を予め、同時、あるいは摂取後に摂取することで、飲食品の摂取によるミネラルの吸収を促進することができ、ミネラル吸収が容易となる。すなわち、十分なミネラルを吸収することが可能となり、引いては、骨粗鬆症や貧血に代表されるミネラルの欠乏による疾患の予防、発症を抑えることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられるラクトビオン酸は、その形態は問わず、粉末でも水溶液でもよく、遊離のラクトビオン酸のみならず、ラクトビオン酸塩又はラクトビオノラクトンの形であってもよく、あるいはこれらの組み合わせでもよい。さらに、ラクトビオン酸含有物を用いることも可能である。
ラクトビオン酸の製造方法としては、特に限定されるものではなく公知の方法が好適に使用できる。例えば、乳糖を臭素ナトリウムとともに電気を印加することによって酸化する方法が知られている。また、微生物変換・発酵法により得る方法としては、アシネトバクター属やブルクホルデリア属、アセトバクター属、グルコノバクター属などの乳糖酸化活性を有する微生物を、乳糖に作用し酸化することによって得る方法が知られている(詳細は、特開2001−245657号公報、特開2007−28917号公報などを参照)。このようにして得られたラクトビオン酸が本発明において有効に用いられる。
次に、本発明で用いられる乳糖は、その形態は特に限定されず、例えば、一般に市販されている粉末、結晶状態のものや、水溶液でもよい。また、乳糖含有物を用いることも可能である。
本発明で用いられる乳糖の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、牛乳、ホエイから分離、抽出した乳糖が本発明において有効に用いられる。
本発明のミネラル吸収促進剤は、ラクトビオン酸と乳糖を含有するものであり、その際、ラクトビオン酸と乳糖の配合比が質量として、9:1〜1:4の範囲内にあるものである。ラクトビオン酸及び乳糖の量は、後述する定量方法により測定された値である。
本発明のミネラル吸収促進剤を製造するには、特にその製造方法は問わない。例えば(1)所定量のラクトビオン酸含有物と乳糖を一旦水に溶解し、噴霧乾燥する。(2)所定量のラクトビオン酸含有物に、所定量の乳糖を添加し、造粒、乾燥する。(3)所定量の乳糖やそれを含む溶液に、乳糖を酸化する微生物、好ましくは酢酸菌から選ばれる微生物を接触させ、造粒、乾燥する。(4)(1)〜(3)の方法で得られた粉末、顆粒をそのまま打錠、あるいはカプセルに封入する等の方法が挙げられる。これらの方法により得られた該ミネラル吸収促進剤は、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤等の形態をとっている。
本発明の第二は、上記したミネラル吸収促進剤を含有する組成物であり、その際、該ミネラル吸収促進剤を組成物の総質量に対して0.01〜100質量%、好ましくは0.05〜50質量%、さらに好ましくは0.1〜20質量%の割合で配合するのが望ましい。本発明の組成物を製造するには、特にその製造方法は問わない。また、本発明の用途は、医薬品あるいは飲食物などが考えられ、それらの用途に応じた形態とすればよい。例えば(1)所定量の該ミネラル吸収促進剤をそのまま、または種々の原料と混合し、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤等といった形態で医薬品、健康補助食品、サプリメントとする。(2)所定量の該ミネラル吸収促進剤を種々の原料と混合して、粉末調味料や即席茶、即席味噌汁、即席スープ等の粉末飲料とする。(3)所定量の該ミネラル吸収促進剤を種々の飲料等の原料に溶解、混合して、缶飲料、ペットボトル飲料等の飲料とする。(4)所定量の該ミネラル吸収促進剤を種々の飲料等の原料に溶解、混合したものを、さらに凍結乾燥、噴霧乾燥等により固化、粉末化して、粉末調味料や即席茶、即席味噌汁、即席スープ等の固形飲料とする。(5)所定量の該ミネラル吸収促進剤を種々の原料と混合、加工、調理して、レトルト食品、冷凍食品、和菓子、洋菓子、パン類、シリアル類、麺類等の食品とする等の製造方法、形態が挙げられる。
この組成物には、ダイエット素材、甘味料、酸味料、増粘剤、香料、保存料、ビタミン類、ミネラル類などの食品素材を配合させることが可能で、各種の食品、ドリンク類に配合することも可能である。ダイエット素材としては、例えば膨満感をもたせる素材としてはサイリウム、グルコマンナン、その他の食物繊維素材を挙げることができ、糖吸収抑制剤や糖代謝促進剤としてはギムネマ、桑葉、グァバ葉、サラシア、小麦アルブミン、ヤーコン、ニガウリ、タマリンド、白インゲン豆、カシアなど及びこれらのエキス、豆鼓エキスやポリフェノール類を挙げることができ、脂肪吸収抑制剤や体脂肪燃焼促進剤としては、キトサン、ガルシニア、カルニチン、共役リノール酸、コレウスフォルスコリ、マテ、シトラスアランチウム、赤ショウマ、カプサイシンなど及びこれらを含有するエキスなどを挙げることができる。甘味料としては、スクラロース、アセスルファムK、アスパルテーム、ステビア、サッカリン、ソーマチン、グリシン、羅漢果などの高甘味度甘味料、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、マルチトールなどの糖アルコール、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳菓オリゴ糖、キシロオリゴ糖などのオリゴ糖類、さらにはトレハロース、パラチノース、異性化糖などの単糖類及び乳糖以外の二糖類などを例として挙げることができる。さらに、ミネラルとしては、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅などが挙げられる。
本発明の組成物においては、上記したミネラル吸収促進剤にさらにカルシウムを含有することが好ましく、その際、該ミネラル吸収促進剤中のラクトビオン酸を組成物のカルシウムに対して50質量%以上の割合で配合するのが望ましい。使用するカルシウムとしては、食用に供することが可能な天然物又は、食品添加物に指定されている種類、形態、品質を備えていれば良く、無機質、有機物、その形態等、特に制限はない。具体的に例を挙げれば、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、L−グルタミン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、燐酸一水素カルシウム、燐酸二水素カルシウム、燐酸三カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ピロ燐酸二水素カルシウム、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、5’−リボヌクレオチドカルシウム、ステアロイル乳酸カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。その他、天然物としてカルシウムとマグネシウムをほぼ2:1の割合で含有するドロマイトも使用出来る。
本発明の第三は、本発明の第一のミネラル吸収促進剤又は本発明の第二の組成物を摂取することによるミネラル吸収促進方法である。本発明のミネラル吸収促進方法を有効に利用するには、カルシウムや鉄等のミネラルを含む飲食品を経口摂取する際に、1食分(食事、間食)あたり0.01〜30g、好ましくは0.05〜20g、さらに好ましくは0.1〜10gの該ミネラル吸収促進剤、あるいは、相当量の該ミネラル吸収促進剤を含有する組成物を摂取するのが望ましい。また、本発明のミネラル吸収促進方法を有効に利用するには、カルシウムや鉄等のミネラルを含む飲食品を経口摂取する際に、予め、同時、あるいは摂取後に摂取するのが望ましい。その時間帯は特に限定されないが、飲食物摂取の1時間前〜30分後、好ましくは30分前〜20分後、さらに好ましくは15分前〜10分後に摂取すると、本発明のミネラル吸収促進方法を有効に利用することができる。
本発明の第四は、乳糖に、微生物の菌体を接触させ、菌体の酵素によって乳糖を酸化しラクトビオン酸を生成する方法である。本発明で用いられる微生物の菌体は、生菌体そのまま、あるいは菌体処理物又はそれらを担体に固定化したものをいう。用いられる微生物としては、酢酸菌が好ましい。
先ず菌体を得るには、培養を行なう必要がある。培地としては、微生物が通常資化しうる炭素源、窒素源、ビタミン、ミネラルなどの成分を適宜配合したものが用いられる。炭素源としては、グルコース、果糖などの単糖類、ショ糖、麦芽糖などのオリゴ糖類、デンプン等の多糖類、糖アルコール、グリセロールなどが挙げられ、一般的な炭水化物としては、トウモロコシ澱粉、モルトなどがあり、さらには、オリーブ油、コーン油、などの植物油も炭素源にふくめられる。また、CSL(コーンスティーブリカー)や、大豆フレークを用いてもよい。その他、アルコール、有機酸、アルカンの様な炭素化合物でもよい。
窒素源としては、無機、有機どちらの窒素も利用できるが、無機態の窒素はアンモニアガス、アンモニア塩、硝酸体などを用いる。有機窒素はアミノ酸、たんぱく質または尿素の形で与えられる。天然の有機窒素複合体としては、CSL、大豆や、大豆フレーク、ピーナッツミール、綿花ミール、Distillers’ solubles、カゼイン水解物、屠殺場廃棄物、魚粉、酵母エキスなどを使用する。
ビタミンとしては、天然の炭素源、窒素源を用いることで微生物の生育にとって必要なビタミン類は十分に補給できるが、パントテン酸カルシウムや、ビオチン、ビタミンB1などを必要に応じて添加する。
ミネラルとしては、マグネシウム、リン酸、カリウム、硫酸、カルシウム、塩素が必要であるが、さらに、コバルト、銅、鉄、マンガン、モリブデン、亜鉛なども微量ながら必要である。
その他の成分としては、pHのコントロールのために、培養液中に炭酸カルシウムを添加したり、緩衝作用を持たせるために、リン酸塩などを加えてもよい。また、培養系のpHを制御するために、アンモニアや、苛性ソーダ、塩酸、硫酸などを添加してよい。
培養は、使用する菌株の最適培養条件で行うことが好ましいが、概略温度としては、20〜30℃が好適であり、pHとしては、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液や炭酸カルシウムなどによりpH5〜8に維持することが好ましい。
培養方法としては静置培養、振とう培養、深部通気撹拌培養があげられる。大量培養の場合、回分法、逐次添加培養法、連続培養法を用いた深部通気撹拌培養が好ましい。このような条件で培養を行うと、培養から15〜72時間で十分な量の微生物が得られる。
上記のようにして得られた微生物の生菌体をそのまま用いる場合は、回収した菌体をそのまま用いることができる。微生物の菌体処理物として用いる場合は、アセトン、第四アンモニウム化合物、硫酸ラウリルソーダ、Tweenまたは、微生物の細胞壁の特異的な結合を分解する酵素などで薬剤処理した菌体、凍結した菌体を減圧下で水分を昇華することで得られる凍結乾燥菌体、ホモジナイザーやガラスビーズを用い、物理的に破砕した菌体破砕物、さらには菌体破砕物の上清である無細胞抽出物、これらから酵素を抽出した粗酵素液などを用いることができる。
微生物の菌体あるいは処理物を担体に固定化するには、セルロース担体、セラミック担体、ガラスビーズ担体のような物質に吸着させる方法や、格子構造を持つゲル状物質、たとえば寒天、アルギン酸カルシウム、カラギーナンや、公知のポリマーに包括する方法などが挙げられる。この方法は微生物を繰り返し使用することを可能にする。
乳糖を反応溶媒に溶解し、上記したように調製した微生物の培養液、菌体、または菌体処理物を加えて必要により反応温度、反応液のpHを制御しながら反応させる。反応溶媒としては、イオン交換水、緩衝液などの水性溶媒が使用できる。反応液の基質濃度は特に制限はないが、溶解度、生産性などを考慮すると10〜50質量%で実施するのが好ましい。
反応時間に特に制限はないが、通常6〜24時間、好ましくは6〜12時間で反応が終了する条件を選択することが好ましい。反応pHは、用いる微生物の酵素の至適pHに依存するが、一般的にはpH4〜8の範囲で、特に5〜7が好ましい。また、反応温度は微生物酵素が失活しない条件であればよく、20〜60℃が好ましいが、30〜45℃がより好ましい。反応方法としては静置、振とう、深部通気撹拌があげられる。このような条件で培養を行うと、15〜72時間で十分な量の生産物が得られる。
以上のようにして得られた反応液から、目的とするラクトビオン酸を単離精製するには、抽出、カラム分離などの一般的な分離方法を用いることができる。例えば、エタノールを反応液に添加して、目的産物を沈殿し回収する方法、活性炭や、多孔性有機樹脂粒子を用いた吸着クロマトグラフィーや、ゲルろ過、イオン交換樹脂クロマトグラフィーを用いて単離することができる。
参考例1〔ラクトビオン酸、乳糖の定量方法〕
ラクトビオン酸や乳糖を含有する試料1gを水に溶解し、100mLとし、定量用試料とする。高速液体クロマトグラフシステム(カラム;昭和電工社製、Asahipak NH2P-50、250mm×4.6mm、カラム温度;40℃、移動相;アセトニトリル:40mMクエン酸−NaH2PO4緩衝液(pH5.0)=60:40(体積比)、流速;0.8mL/分、検出;示差屈折率)に定量用試料10μLを注入し、別途用意した標準試料(1、5、10g/L)の測定結果より作成した検量線を用いて、ラクトビオン酸、乳糖定量(C)(g/L)を行ない、次式により試料中のラクトビオン酸、乳糖の含量(%)を算出した。
ラクトビオン酸、乳糖含量(%)={(C×0.1)÷1}×100
C=定量用試料中のラクトビオン酸、乳糖の濃度(g/L)
実施例1〔配合比の検討〕
配合比が表1となるように、所定量の乳糖(和光純薬工業社製)及び所定量のラクトビオン酸(和光純薬工業社製)を混合し、これを蒸留水に溶解した。これを噴霧乾燥して、得られた粉末をミネラル吸収促進剤とした。
ラクトビオン酸や乳糖を含有する試料1gを水に溶解し、100mLとし、定量用試料とする。高速液体クロマトグラフシステム(カラム;昭和電工社製、Asahipak NH2P-50、250mm×4.6mm、カラム温度;40℃、移動相;アセトニトリル:40mMクエン酸−NaH2PO4緩衝液(pH5.0)=60:40(体積比)、流速;0.8mL/分、検出;示差屈折率)に定量用試料10μLを注入し、別途用意した標準試料(1、5、10g/L)の測定結果より作成した検量線を用いて、ラクトビオン酸、乳糖定量(C)(g/L)を行ない、次式により試料中のラクトビオン酸、乳糖の含量(%)を算出した。
ラクトビオン酸、乳糖含量(%)={(C×0.1)÷1}×100
C=定量用試料中のラクトビオン酸、乳糖の濃度(g/L)
実施例1〔配合比の検討〕
配合比が表1となるように、所定量の乳糖(和光純薬工業社製)及び所定量のラクトビオン酸(和光純薬工業社製)を混合し、これを蒸留水に溶解した。これを噴霧乾燥して、得られた粉末をミネラル吸収促進剤とした。
〔リン酸カルシウム形成阻害試験〕
ミネラル吸収促進剤の濃度が1%となるように、40mM塩化カルシウム溶液に溶解した。これと40mMリン酸緩衝液(pH7.0)をそれぞれ500μl混合し、37度で2時間インキュベーションした。その後、遠心し、カルシウムテスト(和光純薬工業製)を用いて、上清中のカルシウム濃度を測定し、得られた値から上清中の残存カルシウム率を求めた。
ミネラル吸収促進剤の濃度が1%となるように、40mM塩化カルシウム溶液に溶解した。これと40mMリン酸緩衝液(pH7.0)をそれぞれ500μl混合し、37度で2時間インキュベーションした。その後、遠心し、カルシウムテスト(和光純薬工業製)を用いて、上清中のカルシウム濃度を測定し、得られた値から上清中の残存カルシウム率を求めた。
図1に示したように、ミネラル吸収促進剤のラクトビオン酸と乳糖の比が、9:1〜1:4の割合で配合した時は100%ラクトビオン酸よりも高い残存カルシウム率、つまりリン酸カルシウム塩の形成阻害率をしめし、乳糖混合による相乗効果が示された。リン酸カルシウム形成阻害効果は、生体において、腸内でのカルシウム濃度の上昇を促すことから、ミネラルの吸収が促進される。
実施例2〔ミネラル吸収促進剤の製造〕
〔前培養〕
試験管(18 mm×200 mm)に、グルコース0.5%、酵母エキス0.5%、ポリペプトン0.5%、硫酸マグネシウム0.1%(pH7.0)を含む培地3mLを分注し、121℃で20分間殺菌した。その試験管に一白金耳のグルコノバクター・セリナス NBRC 3267を植菌し、30℃で1晩振とう培養(220rpm)した。次に上記組成培地を1L分注し121℃で20分間殺菌した3L三角フラスコに上記試験管培養液を植菌し30℃で3日間振とう培養(220rpm)した。
〔前培養〕
試験管(18 mm×200 mm)に、グルコース0.5%、酵母エキス0.5%、ポリペプトン0.5%、硫酸マグネシウム0.1%(pH7.0)を含む培地3mLを分注し、121℃で20分間殺菌した。その試験管に一白金耳のグルコノバクター・セリナス NBRC 3267を植菌し、30℃で1晩振とう培養(220rpm)した。次に上記組成培地を1L分注し121℃で20分間殺菌した3L三角フラスコに上記試験管培養液を植菌し30℃で3日間振とう培養(220rpm)した。
〔本培養〕
グルコース1.5%、ラクトース0.5%、酵母エキス0.5%、ポリペプトン0.5%、硫酸マグネシウム0.1%を含む培地(pH6.0)を20L調製し121℃で20分間殺菌した。これに上記前培養液1Lを植菌し、30℃で深部撹拌培養(300回転、1vvm)をした。48時間培養後、菌体を遠心回収した。
グルコース1.5%、ラクトース0.5%、酵母エキス0.5%、ポリペプトン0.5%、硫酸マグネシウム0.1%を含む培地(pH6.0)を20L調製し121℃で20分間殺菌した。これに上記前培養液1Lを植菌し、30℃で深部撹拌培養(300回転、1vvm)をした。48時間培養後、菌体を遠心回収した。
〔発酵反応〕
本培養で得られた菌体すべてを15%ラクトース溶液2Lに懸濁をして、40度で通気撹拌(300回転、1vvm)した。24時間後、反応液を遠心回収した。得られた反応液を噴霧乾燥し、得られた乾燥粉末をミネラル吸収促進剤とした。ミネラル吸収促進剤中の含量は、ラクトビオン酸が51.2%、ラクトースは48.8%であった。
本培養で得られた菌体すべてを15%ラクトース溶液2Lに懸濁をして、40度で通気撹拌(300回転、1vvm)した。24時間後、反応液を遠心回収した。得られた反応液を噴霧乾燥し、得られた乾燥粉末をミネラル吸収促進剤とした。ミネラル吸収促進剤中の含量は、ラクトビオン酸が51.2%、ラクトースは48.8%であった。
〔in vivo試験〕
ラット用粉末餌(CRF−1、オリエンタル酵母工業株式会社製)に調整したミネラル吸収促進剤(実施例2)を3%混合した。これを常法に従い、ペレット状の固形飼料を作成した。
ラット用粉末餌(CRF−1、オリエンタル酵母工業株式会社製)に調整したミネラル吸収促進剤(実施例2)を3%混合した。これを常法に従い、ペレット状の固形飼料を作成した。
比較例1
ラット用粉末餌にラクトビオン酸を3%混合した。これを常法に従い、ペレット状の固形飼料を作成した。
ラット用粉末餌にラクトビオン酸を3%混合した。これを常法に従い、ペレット状の固形飼料を作成した。
比較例2
ラット用粉末餌に乳糖を3%混合した。これを常法に従い、ペレット状の固形飼料を作成した。
ラット用粉末餌に乳糖を3%混合した。これを常法に従い、ペレット状の固形飼料を作成した。
比較例3
ラット用粉末餌をそのまま、常法に従い、ペレット状の固形飼料を作成した。
ラット用粉末餌をそのまま、常法に従い、ペレット状の固形飼料を作成した。
試験例〔実験動物、飼育〕
5週齢SDラット(日本クレア株式会社製)を1群3匹とし、粉末餌CRF−1と水を自由摂取させて1週間、順化飼育を行なった。順化飼育終了時を、0週目とした。0週目より、各々の群に上記で作製した実施例2および比較例1,2,3を自由摂取させた。35日間飼育後、排出した糞便を回収した。回収した糞便は塩化カルシウムとともにデシケーター内で減圧して封し、乾燥した。その後、糞便を粉砕し、そのうち100mgを1N HCl 1mLに懸濁し、Caを溶解した。その後上清中のCa濃度をICPで測定し、得られた濃度(C)g/Lから、次式より、カルシウム吸収率を求めた。
カルシウム吸収率
={1−(乾燥糞便重量×C÷100)÷(餌摂量×餌中カルシウム含有率)}×100
C=糞便中のカルシウムの濃度(g/L) 餌中カルシウム含有率=1.25%
各群のカルシウム吸収率の結果を図2に示した。
図2より、本発明のミネラル吸収促進剤(実施例2)は対照(比較例3)のみならず、ラクトビオン酸(比較例1)や乳糖(比較例2)を単独で与えるよりも高いカルシウム吸収率が観られ、該ミネラル吸収促進剤の相乗的なカルシウム吸収促進効果が確認された。
5週齢SDラット(日本クレア株式会社製)を1群3匹とし、粉末餌CRF−1と水を自由摂取させて1週間、順化飼育を行なった。順化飼育終了時を、0週目とした。0週目より、各々の群に上記で作製した実施例2および比較例1,2,3を自由摂取させた。35日間飼育後、排出した糞便を回収した。回収した糞便は塩化カルシウムとともにデシケーター内で減圧して封し、乾燥した。その後、糞便を粉砕し、そのうち100mgを1N HCl 1mLに懸濁し、Caを溶解した。その後上清中のCa濃度をICPで測定し、得られた濃度(C)g/Lから、次式より、カルシウム吸収率を求めた。
カルシウム吸収率
={1−(乾燥糞便重量×C÷100)÷(餌摂量×餌中カルシウム含有率)}×100
C=糞便中のカルシウムの濃度(g/L) 餌中カルシウム含有率=1.25%
各群のカルシウム吸収率の結果を図2に示した。
図2より、本発明のミネラル吸収促進剤(実施例2)は対照(比較例3)のみならず、ラクトビオン酸(比較例1)や乳糖(比較例2)を単独で与えるよりも高いカルシウム吸収率が観られ、該ミネラル吸収促進剤の相乗的なカルシウム吸収促進効果が確認された。
〔配合比試験〕
実施例3
ラット用粉末餌に調製したミネラル吸収促進剤6.25%を混合した。これを常法に従い、ペレット状の固形飼料を作成した。
実施例3
ラット用粉末餌に調製したミネラル吸収促進剤6.25%を混合した。これを常法に従い、ペレット状の固形飼料を作成した。
実施例4
ラット用粉末餌に調製したミネラル吸収促進剤3.125%を混合した。これを常法に従い、ペレット状の固形飼料を作成した。
ラット用粉末餌に調製したミネラル吸収促進剤3.125%を混合した。これを常法に従い、ペレット状の固形飼料を作成した。
実施例5
ラット用粉末餌に調製したミネラル吸収促進剤1.25%を混合した。これを常法に従い、ペレット状の固形飼料を作成した。
ラット用粉末餌に調製したミネラル吸収促進剤1.25%を混合した。これを常法に従い、ペレット状の固形飼料を作成した。
比較例4
ラット用粉末餌に調製したミネラル吸収促進剤0.625%を混合した。これを常法に従い、ペレット状の固形飼料を作成した。
ラット用粉末餌に調製したミネラル吸収促進剤0.625%を混合した。これを常法に従い、ペレット状の固形飼料を作成した。
比較例5
ラット用粉末餌をそのまま、常法に従い、ペレット状の固形飼料を作成した。
ラット用粉末餌をそのまま、常法に従い、ペレット状の固形飼料を作成した。
試験例〔実験動物、飼育〕
5週齢SDラット(日本クレア株式会社製)を1群3匹とし、粉末餌CRF−1と水を自由摂取させて1週間、順化飼育を行なった。順化飼育終了時を、0週目とした。0週目より、各々の群に上記で作製した実施例3,4,5および比較例4,5を自由摂取させた。35日間飼育後、排出した糞便を回収した。回収した糞便は塩化カルシウムとともにデシケーター内で減圧して封し、乾燥した。その後、糞便を粉砕し、そのうち100mgを1N HCl 1mLに懸濁し、Caを溶解した。その後上清中のCa濃度をICPで測定し、得られた濃度(C)g/Lから、前記の式より、カルシウム吸収率を求めた。
図3より、本発明のミネラル吸収促進剤が飼料中に、1.25%以上含まれているとき、それ以下のものと比べ、非常に高いカルシウム吸収率が確認された。飼料中のカルシウム含有率は1.25%であるため、ラクトビオン酸が、カルシウムの50重量%以上含まれているとき、高いカルシウム吸収率が確認されたことになる。
5週齢SDラット(日本クレア株式会社製)を1群3匹とし、粉末餌CRF−1と水を自由摂取させて1週間、順化飼育を行なった。順化飼育終了時を、0週目とした。0週目より、各々の群に上記で作製した実施例3,4,5および比較例4,5を自由摂取させた。35日間飼育後、排出した糞便を回収した。回収した糞便は塩化カルシウムとともにデシケーター内で減圧して封し、乾燥した。その後、糞便を粉砕し、そのうち100mgを1N HCl 1mLに懸濁し、Caを溶解した。その後上清中のCa濃度をICPで測定し、得られた濃度(C)g/Lから、前記の式より、カルシウム吸収率を求めた。
図3より、本発明のミネラル吸収促進剤が飼料中に、1.25%以上含まれているとき、それ以下のものと比べ、非常に高いカルシウム吸収率が確認された。飼料中のカルシウム含有率は1.25%であるため、ラクトビオン酸が、カルシウムの50重量%以上含まれているとき、高いカルシウム吸収率が確認されたことになる。
Claims (9)
- ラクトビオン酸と乳糖とを、質量として9:1〜1:4の配合比で含有することを特徴とするミネラル吸収促進剤。
- 請求項1記載のミネラル吸収促進剤を含有することを特徴とする組成物。
- 請求項1記載のミネラル吸収促進剤が、組成物の総質量に対して、0.01〜100質量%の割合で含有する請求項2記載の組成物。
- さらに、カルシウムを含有する請求項2又は3記載の組成物。
- 組成物中のカルシウムに対して、ミネラル吸収進剤中のラクトビオン酸を50質量%以上含有する請求項4記載の組成物。
- 組成物が、医薬品又は飲食物である請求項2〜5のいずれかに記載の組成物。
- 請求項1記載のミネラル吸収促進剤を摂取することを特徴とするミネラル吸収促進方法。
- 請求項2〜5のいずれかに記載の組成物を摂取することを特徴とするミネラル吸収促進方法。
- 乳糖に乳糖酸化活性を有する微生物を接触させて乳糖をラクトビオン酸に変換することを特徴とする請求項1記載のミネラル吸収促進剤の製造方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015190573A1 (ja) * | 2014-06-11 | 2015-12-17 | 株式会社Biomaterial in Tokyo | 鉄欠乏性貧血の予防および/または改善剤組成物、鉄欠乏性貧血に伴う不定愁訴の予防および/または改善剤組成物 |
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-
2008
- 2008-03-26 JP JP2008080969A patent/JP2008303208A/ja active Pending
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