JP2008302977A - 耐熱性およびヒートシール性にすぐれる包装用フィルム - Google Patents

耐熱性およびヒートシール性にすぐれる包装用フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】ドライラミネートによって積層構成した従来の包装用フィルムと同程度の耐熱性および高腰度を確保してなお、より高速での自動充填包装を可能とした、耐熱性およびヒートシール性にすぐれた包装用フィルムを提供する。
【解決手段】L−LDPEからなるシーラント層3と該シーラント層に比べて高密度のL−LDPEからなる中間層2と二軸延伸フィルムからなるベースフィルム層1との押出し三層構造を有し、高温状態を維持して25m/minを越える充填包装速度においてなお、15℃前後のシール可能温度幅を有してなる。
【選択図】図1

Description

この発明は、耐熱性およびヒートシール性にすぐれる包装用フィルムに関する。
近年、飲食品衛生の観点から、包装袋に飲食品を充填するときに、加熱殺菌を施した高温状態の飲食品を、その高温状態を維持したまま充填包装することが広く行われるようになってきている。
また、いつでも手軽に温かい飲食品を食したいという消費者の要望に応えるため、食する際に高温ボイルすることを想定した飲食品の開発も盛んに行われている。
そして、このような用途に使用される高耐熱性や高腰度の包装袋の需要も急速に伸びてきており、また、上記飲食品の需要増に対応した量産化のため、高速充填包装に対応できる包装袋の開発も求められている。
従来、加熱殺菌を施した高温液体等の充填包装、充填包装した液体その他の高温ボイル等の用途に使用される包装袋には、ベースフィルム層に、シーラント層として高密度のプラスチックをドライラミネートによって積層した二層構造の包装用フィルムが知られている。
高耐熱性や高腰度という観点からは、同じ成分のプラスチックからなるフィルムであれば、一般に高密度のものの方が、低密度のものより優れていることが知られている。たとえば、ポリエチレンを例にとると、低密度ポリエチレン(LDPE)よりも高密度ポリエチレン(HDPE)の方が、上記性質に優れている。
しかし、高密度のプラスチックからなる包装用フィルムは、その高密度ゆえに加熱時の熱流れ適性を示すMI(メルトインデックス)の値が小さくなり、ヒートシール性(シール強さ、低温ヒートシール性等)に劣るため、液体、液状物等に対するより高速の自動充填包装の要求に対しては、シーラント層に対する供給熱量が不十分となって、多くの場合は、包装用フィルムの、20m/minを越える走行速度の下での自動充填包装に当っては、包装袋に対し、適正なるヒートシールを確実に施すことが困難であり、従って、高速の充填包装に対しては、包装袋による所期した包装が実質的に不可能になる。
一方、シーラント層に低密度のプラスチックを用いた包装用フィルムは、そのシーラント層を厚くすることで、その高耐熱性および高腰度を得ることができる。
しかし、シーラント層の厚みを厚くすると、少ない供給熱量で適性なヒートシールを施すことが難しくなり、高速の自動充填包装に対処できなくなるという問題があった。
以上より、ベースフィルム層にシーラント層として高密度のプラスチックをドライラミネートで積層した従来の二層構造の包装用フィルムでは、高速自動充填包装に対応し、かつ高耐熱性、高腰度および高ヒートシール性を両立した包装袋を提供することが不可能であるという問題があった。
特開2003-205949号公報 特願平8−243814号公報 特開平8−108507号公報
この発明は、従来技術が抱える上述の問題点を解決することを課題としてなされたものであり、それの目的とするところは、シーラント層として高密度のドライラミネートで積層した従来の二層構造の包装用フィルムと同程度の耐熱性および高腰度を確保してなお、20m/minを越える高速での自動充填包装を十分可能とした耐熱性およびヒートシール性にすぐれる包装用フィルムを提供することにある。
この発明は、L−LDPE層に十分な耐熱性を発揮させることを前提に、そのL−LDPE層を、主として高腰度の発揮に寄与する部分と、すぐれたヒートシール性の発揮に寄与する部分とに機能分離させることによってなされたものである。
そして、この発明に係る耐熱性およびヒートシール性にすぐれる包装用フィルムは、L−LDPEからなるシーラント層と該シーラント層に比べて高密度のL−LDPEからなる中間層と二軸延伸フィルムからなるベースフィルム層に押出し積層してなる三層構造を有し、高温状態(30℃以上)を維持して、25m/minを越える充填包装速度においてなお、15℃前後のシール可能温度幅を有してなるものである。
ここでは、前記中間層を構成するL−LDPEの密度を0.920g/cm3以上0.940g/cm3以下とするとともに、前記シーラント層を構成するL−LDPEの密度を0.900g/cm3以上0.920g/cm3未満とすることが好ましく、より好ましくは、前記シーラント層を構成するL−LDPEの密度を0.900g/cm3以上0.910g/cm3以下とする。
また、前記ベースフィルム層を構成する二軸延伸フィルムは、シリカ、アルミナ等を蒸着させたまたは蒸着させないナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムもしくはポリビニルアルコールにて形成し、その厚みは10μm〜30μmの範囲内とすることが好ましい。
この一方で、前記中間層および前記シーラント層の厚みはともに、10μm〜50μmの範囲内とすることが好ましい。
この発明では、ベースフィルム層とシーラント層との間にシーラント層に比べて高密度のL−LDPEからなる中間層を有する三層構造の包装用フィルムとしたことにより、該フィルムより製造する包装袋に高い腰度を付与することができるとともに、該袋のヒートシール部へのしわの発生を有効に抑制することができる。
また、高温充填および高温ボイルに対して高い耐熱性を発揮させることができ、さらには、中間層による高腰度の発揮に基き、包装用フィルムのトータル厚みを薄くしてなお、高い質感を確保することができるので、ラミネートフィルムの薄肉化の要求にも応えることができる。
しかも、この包装用フィルムは、中間層に比べて低密度なL−LDPEをシーラント層に用いたことにより、少ない供給熱量で適正なヒートシールを施すことが可能となるので、25m/minを越える高速の自動充填包装等に十分に対処して、広範なシール可能温度幅の下で、所期した通りの包装を行うことができる。
ここで、中間層に用いるL−LDPEの密度は、0.920g/cm3以上0.940g/cm3以下とすることが、高い腰度およびすぐれた耐久性を確保する上で好適である。
すなわち、それが0.920g/cm3未満では腰度が不足する傾向にあり、0.940g/cm3を越えると、腰が強くなりすぎる結果として、包装袋の耐ピンホール、耐衝撃性等が低下するおそれがある。
なお、中間層を構成するL−LDPEは、メタロセン触媒を用いて製造されたものを使用することが望ましい。
また、シーラント層に用いるL−LDPEの密度は、0.900g/cm3以上0.920g/cm3未満、なかでも0.910g/cm3以下とすることが、耐熱性とヒートシール性とを両立させる上で好ましい。
いいかえれば、それが0.900 g/cm3未満では十分な耐熱性を期し難く、0.920 g/cm3以上では、短いヒートシール時間での適正なるヒートシールの実現が難しくなる。
ところで、二軸延伸フィルムよりなるベースフィルム層を、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムもしくはポリビニルアルコールにて形成した場合には、包装用フィルムの印刷適正を高めるとともに、包装袋のヒートシール強度、腰の強さ、ガス等のバリア性および耐ピンホール性を高めることができる。
また、該ベースフィルム層の厚みを10μm〜30μmの範囲内とすることで、包装袋の寸法安定性、透明性、引裂き性、耐熱性およびガス等のバリア性をそれぞれ有効に付与することができる。
すなわち、その厚みが10μm未満では、包装袋が破袋しやすくなり、ヒートシール強度、耐ピンホール性、およびガス等のバリア性を高めることができなくなる。
一方、30μmを超えると、少ない供給熱量で適性なヒートシールを施すことが難しく、高速自動充填包装に十分対処できなくなる。
なお、中間層およびシーラント層の厚みは、それぞれ10μm〜50μmの範囲とする。
こうすることにより、高腰度および高温充填(ホットパック)や高温ボイルの熱にも耐えられてなお、高いヒートシール強度をもたらすことができる。
また、少ない供給熱量で適性なヒートシールを施すことが可能となり、高速自動充填包装を十分に可能とする。
一方、その厚みが10μm未満では、十分な腰度が得られず、高い質感を確保することが難しくなる。また、自動充填包装時のシール部全体にしわ等が発生しやすくなる。
50μmを超えるとヒートシールに長時間を要し、高速自動充填包装が困難となる。またフィルムの腰度が高くなり過ぎるために、耐ピンホール性に劣るようになる。
なお、10μm〜30μm未満であることがより好ましい。
図1は、この発明の実施形態を示す拡大断面図であり、図中1はベースフィルム層を、2、3はそれぞれ、中間層およびシーラント層を示す。
ここで、中間層2および、シーラント層3のそれぞれは、たとえばタンデム型の押出しラミネート装置をもって、ベースフィルム層1に、所要の厚みで順次に積層形成することができる。
ベースフィルム層1は、シリカ、アルミナ等を蒸着させた、または蒸着させない、たとえば、厚みが10μm〜30μmの範囲で、密度が1.10g/cm3〜1.50g/cm3の範囲の、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールにて形成することができる。
また中間層2は、好ましくは、厚みが10μm〜50μmの範囲で、密度が0.920g/cm3〜0.940g/cm3の範囲のL−LDPEにて形成することができ、シーラント層3は、好ましくは、厚みが10μm〜50μmの範囲で、密度が0.900g/cm3〜0.920g/cm3未満、より好ましくは0.900g/cm3〜0.910g/cm3の範囲のL−LDPEによって形成することができる。
このようにして構成してなる包装用フィルムは、たとえばそれを自動充填包装機等に適用して、液状その他の形態の被包装物を充填した、三方シール、四方シール等の周知のシール形態の包装袋に製袋した場合に、ベースフィルム層1はもちろん、中間層2およびシーラント層3の作用の下ですぐれた耐熱性を発揮するとともに、とくには中間層2の作用の下に高い腰度を実現することができ、そして、シーラント層3による、適正なヒートシールのための温度範囲の拡大に基き、フィルムの高速走行においてもなお、すぐれたヒートシール性、いいかえれば高いヒートシール強度をもたらすことができる。
自動充填包装機(NT−DANGAN TYPE−III 日本精機株式会社製)を用い、縦横寸法が110mm×75mmの包装袋に、45gの水を、30℃および90℃のそれぞれの温度として充填包装した場合の、充填速度の変化に伴う、適正なシートシールが得られる、横ヒートシール刃の設定温度範囲の変化を、実施例フィルムおよび従来フィルムのそれぞれについて測定したところ図2に示す結果を得た。
ここで、実施例フィルムは、ベースフィルム層を、厚みが15μmで、密度が1.20 g/cm3のナイロンフィルムで形成し、中間層を、厚みが30μmで、密度が0.920g/cm3〜0.940g/cm3のL−LDPEで形成し、シーラント層を、厚みが30μmで、密度が0.900g/cm3〜0.920g/cm3未満のL−LDPEで形成したものであり、
従来フィルムは、同様の二軸延伸フィルムより構成されるベースフィルム層に、シーラント層としての、厚みが60μmで、密度が0.920g/cm3〜0.940g/cm3のL−LDPEを、ドライラミネートによって積層したものである。
30℃の温水について示す図2(a)によれば、従来フィルムは、図に破線で示すように、包装用フィルムの、20m/minを越える高速走行に対しては、十分なヒートシールを施すことが不可能であり、また、それ以下のフィルム速度に対しても、所期したヒートシールを行い得る横シール温度の、上限値と下限値の幅が、図に実線で示す実施例フィルムのそれに比して極めて狭くなるので、フィルムの走行速度に応じた横ヒートシール刃の正確な温度管理が必須となることが解かる。
しかるに、実施例フィルムでは、25m/minを越えてなお、十分なヒートシールが可能であり、また、その速度においてなお、15℃前後の、広いシール可能温度幅を確保することができる。
一方、90℃の温水について示す図2(b)によれば、従来フィルムもまた広いシール可能温度幅を有することになるも、20m/minを越えるフィルム速度に対しては依然として十分なヒートシールを実現し得ないことが解かる。
かくして、実施例フィルムによれば、包装用フィルムの25m/minを越える走行速度に対してもすぐれたヒートシール性を発揮させることができ、また、被包装物の温度のいかんにかかわらず、ヒートシール可能温度幅を広く確保して、横ヒートシール刃の温度管理を容易にするとともに、シール不良の発生のおそれを大きく低減させることができる。
実施例1で述べたそれぞれのフィルムにつき、ヒートシーラーを用い食品包装用プラスチックフィルム試験法JIS Z 1707に基づき、上下のヒートシール刃の間にフィルムを2枚に折り畳んで挟み込み、ヒートシール刃の圧力0.196MPa、ヒートシール時間1秒で、ヒートシール刃の設定温度を変化させて、低温ヒートシール強度を求めたところ図3に示す結果が得られた。
JIS Z 1707に基き、引張試験機(テンシロンRTM−1 オリエンテック社製)を用いて行った図3の結果によれば、実施例フィルムは、従来フィルムに対して、そん色のない程度の低温ヒートシール強度をもたらし得ることが解かる。
実施例1と同一の実施例フィルムと従来フィルムとのそれぞれにつき、腰度を測定したところ図4(a)に示す結果を得た。
なお、腰度は、一端をチャックで固定した15mm×17mmの短冊状フィルムの先端に押圧力を作用させて、それが折れ曲がったときの力を測定することによって求めた。
同図によれば、実施例フィルムは、従来フィルムと同等の腰度を発揮し得ることが解かる。
なお、実施例フィルムおよび従来フィルムのそれぞれのシーラント層の厚みを変化させた場合の腰度の変化は、図4(b)に、それぞれ実線および破線で示す通りとなった。
これによれば、いずれのフィルムも、シーラント層の厚みの増加につれて腰度がほぼ同等に増加することなる。
実施例1で述べた実施例フィルムと従来フィルムとのそれぞれを、縦横寸法110mm×75mmの包装袋に、45gの水を30℃一定として、直径250mmの回転ドラム試験機へ、装入し、そのドラムを60rpmで回転させたときの、各フィルムのピンホールの発生時間を測定したところ図5(a)に示す結果が得られた。
これによれば、実施例フィルムの耐ピンホール性は、従来フィルムのそれと同等であることが解かる。
なおここで、各フィルムのシーラント層の厚みだけを変化させた場合のピンホール発生時間は図5(b)に示す通りとなった。図中実線は、この発明に係る構成を有するものであり、破線は従来のドライ積層構造を有するものである。
この発明に係る構成を有するフィルムでは、シーラント層に比べて高密度のL−LDPEからなる中間層の存在、ひいては、フィルムのトータル厚みが、ドライ積層構造のフィルムより薄くなることから、シーラント層の厚みが55μm程度までは、耐ピンホール性が、ドライ積層構造のそれより劣ることになるも、それを越えると、同等の耐ピンホール性を発揮できることが解かる。
実施例1と同一の実施例フィルムおよび従来フィルムのそれぞれにつき、フィルムをシーラント層の対向姿勢で二つ折りにするとともに、クリップで挟持し、それを90℃で30分間ボイルした場合および、95℃で30分間ボイルした場合のそれぞれにつき、シーラント層の融着の有無を調べたところ表1に示す通りとなった。
Figure 2008302977
表1によれば、実施例フィルムは、従来フィルム以上の耐ボイル性を発揮し得ることがわかる。
本発明は、耐熱性および腰度を発揮させてなお、高速での自動充填包装が可能な包装用フィルムを提供するものであり、飲食品包装、医薬品包装等の分野で利用できる。
この発明の実施の形態を示す拡大断面図である。 充填速度に応じたシール可能温度幅の変化を示すグラフである。 ヒートシール温度と低温ヒートシール強度との関係を示すグラフである。 腰度および腰度変化を示すグラフである。 ピンホール発生時間およびその変化を示すグラフである。
符号の説明
1 ベースフィルム層
2 中間層
3 シーラント層

Claims (6)

  1. L−LDPEからなるシーラント層と該シーラント層に比べて高密度のL−LDPEからなる中間層と二軸延伸フィルムからなるベースフィルム層との押出し三層構造を有し、高温状態を維持して25m/minを越える充填包装速度においてなお、15℃前後のシール可能温度幅を有してなることを特徴とする耐熱性およびヒートシール性にすぐれる包装用フィルム。
  2. 中間層およびシーラント層のそれぞれを、ベースフィルム層に押出し積層してなる請求項1に記載の耐熱性およびヒートシール性にすぐれる包装用フィルム。
  3. 前記中間層を構成するL−LDPEの密度を0.920g/cm3以上0.940g/cm3以下とするとともに、前記シーラント層を構成するL−LDPEの密度を0.900g/cm3以上0.920
    g/cm3未満としてなる請求項1もしくは2に記載の耐熱性およびヒートシール性にすぐれる包装用フィルム。
  4. 前記シーラント層を構成するL−LDPEの密度を0.900g/cm3以上0.910g/cm3以下としてなる請求項1〜3のいずれかに記載の耐熱性およびヒートシール性にすぐれる包装用フィルム。
  5. 前記ベースフィルム層を構成する二軸延伸フィルムを、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムもしくはポリビニルアルコールにて形成するとともに、該ベースフィルム層の厚みを10μm〜30μmとしてなる請求項1〜4のいずれかに記載の耐熱性およびヒートシール性にすぐれる包装用フィルム。
  6. 前記中間層および前記シーラント層の厚みをともに10μm〜50μmとしてなる請求項1〜5のいずれかに記載の耐熱性およびヒートシール性にすぐれる包装用フィルム。
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