JP2019000991A - 易開封性複合フィルム - Google Patents

易開封性複合フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2019000991A
JP2019000991A JP2017114860A JP2017114860A JP2019000991A JP 2019000991 A JP2019000991 A JP 2019000991A JP 2017114860 A JP2017114860 A JP 2017114860A JP 2017114860 A JP2017114860 A JP 2017114860A JP 2019000991 A JP2019000991 A JP 2019000991A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
density polyethylene
layer
weight
mfr
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017114860A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6837625B2 (ja
Inventor
克典 三好
Katsunori Miyoshi
克典 三好
洋一 松浦
Yoichi Matsuura
洋一 松浦
浩忠 徳田
Hirotada Tokuda
浩忠 徳田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Advanced Film Co Ltd
Original Assignee
Toray Advanced Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Advanced Film Co Ltd filed Critical Toray Advanced Film Co Ltd
Priority to JP2017114860A priority Critical patent/JP6837625B2/ja
Publication of JP2019000991A publication Critical patent/JP2019000991A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6837625B2 publication Critical patent/JP6837625B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】蓋材やレトルトパウチ等の包装袋で、夾雑物を噛み込んでも安定して密封でき、シール面積が小さい場合や、シール部に段差や凹凸が生じる場合でも、高いシール強度を維持しながら、開封時に、フィルムが膜残りする問題がなく、密封性に優れ、開封面が綺麗な易開封性複合フィルムの提供。【解決手段】基材層とシール層が積層された複合フィルムであって、基材層が、MFRが2〜20g/10分のHDPE(a1)が70〜90重量%と、MFRが5〜300g/10分のLDPE(a2)が10〜30重量%からなり、シール層は、MFRが2〜20g/10分のLDPE(b1)が51〜87重量%と、MFRが50〜300g/10分であるLDPE(b2)が10〜40重量%と、ポリブテン−1(b3)が3〜9重量%と、からなり、複合フィルムのエルメンドルフ引裂強度が、MDとTDで共に0.1〜3.0Nである易開封性複合フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、優れた密封性と易開封性を有する易開封性複合フィルムに関する。
包装体の本来の目的は内容物を保護することであって、食品製造時の殺菌工程や、輸送時の振動、荷扱いなどの外力に抗して容易に開封されない高い密封性が重要であることは言うまでもないが、一方で使用時には簡単に開封できるという「易開封性」が求められることが多くなっている。特に近年の高齢者人口の増加および核家族化により個食が増え、利便性が良く容易に開封できる包装体への要望が高まってきている。易開封性の包装体として種々のものが提案されており、なかでもイージーピールと呼ばれる包装体は開封性を付与したシーラントフィルムを用いるものであって、ゼリー、ヨーグルト、プリンなどのデザート食品や米飯などのカップ容器の蓋材、わさび、生姜、辛子などのチューブ容器の内蓋材、ハム、ベーコンなどの畜肉加工品のパックなど広範に用いられており、密封性と開封性のバランスが重要となる。シーラントフィルムに係るこの課題を解決する方法として、特定の比率でポリエチレン系樹脂とα−オレフィン系樹脂を混合したヒートシール層からなる、いわゆる凝集剥離タイプの複合フィルムとして、例えば、特許文献1、2等が提案されている。すなわち、特許文献1、2では低密度ポリエチレンにポリブテン−1を添加し、開封時に低密度ポリエチレンとポリブテン−1を混合したシール層が凝集破壊されて易開封性を付与したものである。しかしながら、特許文献1、2で提供された複合フィルムをシーラントフィルムとして使用した場合、その用途や使用される製品の形状特性から、シール幅が狭く、シール面積が小さい場合や、シール部に段差や凹凸が生じる場合などでシール強度が不足したり、また、シール強度を高めようとすると、シール部分を起点に、剥離開始点でフィルムが破断し、当該複合フィルムにラミネート積層した他基材と当該複合フィルム間でデラミ(デラミネーション:ラミ剥がれ)が発生し、容器側に当該複合フィルムが膜残りする場合があり、外観が悪く改善を求められる場合があった。
特開平10−337829号公報 特開2001−310430号公報
本発明は、容器の蓋材やレトルトパウチのような袋状の包装袋などでシール部に夾雑物を噛み込んでも安定して密封でき、シール幅が狭くシール面積が小さい場合や、シール部に段差や凹凸が生じる場合などで、高いシール強度が求められる場合においても(但し、実際の開封力はシール面積が小さいため、弱い力で開封できるものであるが)、シール部分を起点に、剥離開始点でフィルムが破断することで当該複合フィルムにラミネート積層した他基材と当該複合フィルム間でデラミが発生し、容器側に複合フィルムが膜残りするという問題を解消できる、密封性に優れ、かつ、開封面(剥離外観)が綺麗な易開封性複合フィルムを提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するため、次の構成を特徴とするものである。
すなわち本発明は、基材層とシール層が積層された複合フィルムであって、基材層は、メルトフローレートが2〜20g/10分の高密度ポリエチレン(a1)が70〜90重量%、メルトフローレートが5〜300g/10分の低密度ポリエチレン(a2)が10〜30重量%含有し、シール層は、メルトフローレートが2〜20g/10分の低密度ポリエチレン(b1)が51〜87重量%、メルトフローレートが50〜300g/10分である低密度ポリエチレン(b2)が10〜40重量%、ポリブテン−1(b3)が3〜9重量%含有し、複合フィルムとしての流れ方向(MD)と流れ方向とは垂直方向(TD)の引裂強度が共に、エルメンドルフ引裂法で0.1〜3.0Nの範囲内である易開封性複合フィルムである。
本発明の易開封性複合フィルムは、シール幅が狭くシール面積が小さな容器の蓋材においても、広い温度範囲で安定してシールでき、良好な密封性と易開封性の相反する機能を合わせ持ち、シール部分で当該複合フィルムに樹脂逃げ(ここで、樹脂逃げとはシール条件が高温・高圧な場合などに、複合フィルムが容器側面へと流れ、シール部分における複合フィルムの厚さが減少してしまう現象をいう)が発生し複合フィルムが薄くなった場合でも、剥離開始点で当該複合フィルム全体が破断し膜残りが発生することのない良好な剥離外観を満足させることができる。さらに、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、印刷紙、金属箔から選ばれる少なくとも1層を、前記易開封性複合フィルムの基材層側に積層することにより、易開封性と流通時等の内容物保護を満足する包装体を得ることができる。
本発明の易開封性複合フィルムについて具体的に説明する。
本発明の易開封性複合フィルムは、基材層とシール層の積層された複合フィルムである。基材層を高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンを特定割合で構成することにより、適度な剛性と滑り性をフィルムに与え、製膜性とフィルムの取り扱い性を向上させることができる。さらにそれに加え、エルメンドルフ引裂法で縦方向と横方向の引裂強度を特定の範囲に限定することにより、シール部分で当該複合フィルムに樹脂逃げが発生してフィルムが薄くなることにより、剥離開始点で当該複合フィルム全体が破断して膜残りが発生しやすい形態の容器蓋材においても、膜残りの発生がなく剥離外観が良好なことを可能ならしめる。ここで、膜残りとは開封時に当該複合フィルムの一部や全体が膜状に残り剥離する状態をいい、内容物に混入する懸念や、開封性が悪化する懸念から剥離時に膜残りがない方が好ましい。また、シール層は溶融粘度の異なる2種類の低密度ポリエチレンとポリブテン−1を特定割合で構成することにより、シール面積が小さな容器蓋材などにおいても、適度な開封力を有し、密封性と易開封性の両機能を保持し、かつ糸引きの発生がないことを特徴とした易開封性複合フィルムである。ここで、糸引きとは開封時にフィルムが糸のように伸びて剥離する状態をいい、内容物に混入する懸念から剥離時に糸引き状態がない方が好ましい。
本発明における基材層を構成する樹脂は、メルトフローレートが2〜20g/10分の高密度ポリエチレン(a1)が70〜90重量%と、メルトフローレートが5〜300g/10分の低密度ポリエチレン(a2)が10〜30重量%含有していることが必要である。この構成とすることで、フィルムに適度の剛性と滑り性が得られ、取り扱い性に優れたものとなり、蓋材として適度な大きさにフィルムを打ち抜く際にフィルムの伸びが発生しにくく打ち抜くことができる。
基材層に用いる高密度ポリエチレン(a1)のメルトフローレート(JIS K 7210(1999)に準拠、温度条件;190℃、荷重;21.17N。以下、MFRと省略することがある。)は、2〜20g/10分の範囲であり、5〜15g/10分の範囲が溶融時の流動性がよく製膜安定性に優れ、フィルムの適度な剛性が得られて打ち抜き性が良好で、より好ましい。MFRが2g/10分未満では押出時の流動性が悪くて製膜安定性が低下し、フィルムとしたときの打ち抜き性が悪化する。ここで、打ち抜き性の悪化とは、フィルムを打ち抜いた際に、フィルムの伸びが発生することをいい、フィルムの伸びが発生するとフィルムの端部に糸引きが発生したり、フィルムが打ち抜き出来ずに残ってしまうことが懸念される。MFRが20g/10分を超えると、キャスト時にエッジまくれが大きくなり、安定製膜が困難になる。ここで、エッジまくれとは、口金からフィルム状に押し出して、キャスティングドラム上で冷却する際に、フィルム端部が非ドラム面側にカールする現象をいう。基材層の高密度ポリエチレン(a1)の混合量は70〜90重量%の範囲であり、75〜85重量%の範囲がフィルムに適度な剛性と滑り性が得られ、取り扱い性に優れ、蓋材としてフィルムを打ち抜く際に打ち抜き性に優れる。かつ、上記樹脂逃げや剥離開始点で当該複合フィルムの破断が生じても、剥離終了時点で当該複合フィルムが裂けやすく、膜残りしない優れた剥離外観を達成することが可能となる。高密度ポリエチレン(a1)の混合量が70重量%未満では、剥離終了時点でもフィルムが裂け難く、膜残りし、剥離外観が悪化する場合がある。一方、混合量が90重量%を超えると、キャスト時にエッジまくれが大きくなって製膜性が悪化する。
該高密度ポリエチレン(a1)の密度は、0.935〜0.970g/cmの範囲が好ましく、0.940〜0.965g/cmの範囲がフィルムの適度な剛性が得られて打ち抜き性がよく、膜残り性にも優れることから、より好ましい。
また、基材層に用いる低密度ポリエチレン(a2)は高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレンモノマーを主成分としてα−オレフィンを共重合して得られる直鎖状低密度ポリエチレンまたはこれら両者の混合物であり、低密度ポリエチレン(a2)のMFRは、5〜300g/10分の範囲であり、50〜300g/10分の範囲であれば高密度ポリエチレン(a1)への分散性がよく、より引き裂きやすいものが得られ、膜残りのない優れた剥離外観が得られることからより好ましい。 低密度ポリエチレン(a2)のMFRが5〜300g/10分の範囲を外れると、高密度ポリエチレンへの分散性が低下して製膜性が不安定となる。
低密度ポリエチレン(a2)の密度は、0.900〜0.925g/cmが好ましく、0.905〜0.922g/cmの範囲であると適度な滑り性があり、打ち抜き性がよく、より好ましい。
基材層への低密度ポリエチレン(a2)の混合量は10〜30重量%の範囲であり、15〜25重量%の範囲が、被着体容器の蓋材としてシールしたときに、シール層と共に溶融して被着体容器のフランジ部の重ね合わせ部分の段差や凹凸を埋めることができて、密封性がよくなるのでより好ましい。低密度ポリエチレン(a2)の混合量が10重量%未満では、シール層との積層性が悪化し、30重量%を超えると剥離終了点で裂け難く、膜残りしやすいものとなる。かかる基材層の樹脂構成とすることにより、後述のシール層の構成と相まって、本発明の易開封性複合フィルムにおける、流れ方向(MD)と流れ方向とは垂直方向(TD)の両方向の引裂強度が、エルメンドルフ引裂法で0.1〜3.0Nの範囲内であるものを得ることができ、樹脂逃げや剥離開始点において当該複合フィルムの破断が起こっても、剥離終了点で当該複合フィルムが容易に裂け、膜残りのない綺麗な剥離外観のものを達成することができる。
なお、基材層には、本発明の目的を損なわない範囲で、フィルム加工に適した滑り性やラミネート適性を確保するため、特定の添加剤、具体的には帯電防止剤や有機滑剤、分子量500以上の酸化防止剤、および、シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウムなどの無機粒子や、ポリメチルメタクリレート架橋粒子などの有機粒子を選択して使用してもよい。

また、基材層には、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、必要に応じて本発明のフィルムを生産する際に生じる耳やスリット屑などを混合使用することもできる。
次に、本発明の易開封性複合フィルムのシール層は、MFRが2〜20g/10分の低密度ポリエチレン(b1)が51〜87重量%と、MFRが50〜300g/10分である低密度ポリエチレン(b2)が10〜40 重量% と、ポリブテン−1(b3)が3〜9重量%含有する。
シール層に用いる低密度ポリエチレン(b1)及び(b2)は高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレンモノマーを主成分としてα−オレフィンを共重合して得られる直鎖状低密度ポリエチレンまたはこれら両者の混合物であり、低密度ポリエチレン(b1)のMFRは、2〜20g/10分の範囲にあることが必要である。低密度ポリエチレン(b1)のMFRが2g/10分未満では溶融押出時の流動性が悪く、基材層との積層性が悪く、また、ポリエチレン製容器のフランジ部の重ね合わせ部分の段差を埋めることができず、密封性が悪くなる。低密度ポリエチレン(b1)のMFRが20g/10分を越えると、製膜性が不安定となる。
低密度ポリエチレン(b1)のシール層への混合量は、51〜87重量%の範囲であることが必要である。低密度ポリエチレン(b1)の混合量が51重量%未満ではシール強度が低くなって密封性が悪化し、87重量%を越えるとシール強度が強くなりすぎて易開封性が悪化する。低密度ポリエチレン(b1)のシール層への混合量は、60〜80重量%の範囲が密封性と易開封性が安定してより好ましい。
シール層に用いるもう一方の低密度ポリエチレン(b2)のMFRは、50〜300g/1 0分の範囲であることが必要であり、好ましくは150〜250g/10分の範囲である。低密度ポリエチレン(b2)のMFRが50g/10分未満であると、開封時に糸引きが発生して開封した時の剥離外観が悪化する。また、低密度ポリエチレン(b2)のMFRが低密度ポリエチレン(b1)のMFRと近くなると、開封時の凝集破壊時に糸引きが発生して開封性が悪化する。低密度ポリエチレン(b2)のMFRが300g/10分を越えると、分散不良となり押出時に吐出変動が起こって製膜性が悪化する。
低密度ポリエチレン(b2)の混合率は10重量%〜40重量%の範囲であることが必要である。これは、糸引き改善(剥離外観改善)が目的であり、低密度ポリエチレン(b2)の混合量が10重量%未満では、開封時に糸引きが発生して開封した際の剥離外観が悪化し、40重量%を越えると製膜性が悪化し、また、シール強度が低くなり密封性が悪化する。
低密度ポリエチレン(b1)と(b2)の融点は、80℃〜115℃の範囲が好ましく、特に90〜110℃ の範囲が好ましい。融点が80℃未満では、フィルムがブロッキングを起こして取り扱いが困難になる場合があり、本発明の複合フィルムを蓋材としたポリエチレン製容器を夏季の自動車の車内のように高温になる場所に放置した場合には、蓋がはがれる危険性があるなど流通上の問題が発生する場合もある。一方、融点が115℃を超えると、シール時にポリエチレン製容器のフランジ部の重ね合わせ部分の段差を埋めることができず、密封性不良になる場合がある。
シール層に用いるポリブテン−1(b3)は、ブテン−1の単独重合体或いはブテン−1を主成分にして、これにエチレンまたはプロピレンを共重合したポリマーであり、混合量が3〜9重量%の範囲であることが必要である。ポリブテン−1(b3)の混合量が3重量%未満では、シール強度が強くなりすぎ、易開封性を満足することができなく、9重量%を越えると、シール面積が小さい場合などにおいて、シール強度が低くなって、密封性が悪化する。
ポリブテン−1(b3)のMFRは1〜30g/10分の範囲が好ましい。ポリブテン−1(b3)のMFRが1g/10分未満では低密度ポリエチレンへの分散性が悪化し、30g/10分を越えると吐出変動が起こり、安定して製膜することが困難になる。
本発明の易開封性複合フィルムの厚さは、製膜安定性から20〜100μmの範囲が好ましく、
基材層/シール層の比率は、2/1〜10/1の範囲であることが、良好な押出性と包装フィルムとして用いる場合に十分な機械的強度を得ることができる。
基材層の厚さは15〜90μmが好ましく、更に好ましくは20〜80μmの範囲であると、滑り性と打ち抜き性が両立できて好ましい。
本発明の易開封性複合フィルムのシール層の厚さは2〜30μmとすることが好ましく、より好ましくは5〜20μmの範囲のものが好適である。シール層の厚さが2μm未満では、ヒートシール強度が低くなり密封性が悪化する。また、厚さが30μmを超えると、被着体から剥離する際に糸引きや、膜残りと呼ばれる剥離外観不良が発生する。
本発明の易開封性複合フィルムの流れ方向(MD)と流れ方向とは垂直方向(TD)の両方向の引裂強度は、エルメンドルフ引裂法(JIS K7128−2(1998)で0.1〜3.0Nの範囲内であることが必要である。他基材とラミネートして容器の蓋材を作成して、ポリエチレン製容器の段差の大きいフランジ部の重ね合わせ部分や、また、シール部に凹凸のある、或いはシール時に凹凸が発生しやすいフランジ部分とヒートシールした時に、該引裂強度が0.1N未満ではフィルムが破れ易くて容器蓋材として用いたときに密封性に劣り、3.0Nを超えると、シール層が該容器とのヒートシール時に樹脂逃げが発生し、開封開始点で複合フィルムの破断が起こった場合、剥離終了点ではフィルムが裂け難く、膜残りが発生し易くなる。
かかる引裂強度は0.3〜2.5Nの範囲がより好ましく、低温保管後の開封時においても、膜残りすることなく、易剥離性に優れたものとなる。
本発明の易開封性複合フィルムの流れ方向(MD)と流れ方向とは垂直方向(TD)の両方向のヤング率は、それぞれ150〜1200MPaの範囲であることが好ましく、300〜1000MPaの範囲がより好ましい。両方向のヤング率が150MPa未満では、フィルムの剛性が低くなり他基材とラミネートする際にシワが入りやすく、また、打ち抜き性が悪化する。1200MPaを超えると剛性が高くなり、シール時にポリエチレン製容器のフランジ部の重ね合わせ部分の段差を埋めることができず、密封性が悪化する場合がある。
本発明の易開封性複合フィルムの流れ方向(MD)と流れ方向とは垂直方向(TD)の両方向の破断伸度は、それぞれ150〜1300%であることが好ましく、300〜1000%の範囲がより好ましい。両方向の破断伸度が150%未満では引裂きし易くなり密封性が悪化する場合があり、1300%を超えると、打ち抜き性が悪化する場合がある。
本発明の易開封性複合フィルムは、基材層、シール層の2層からなる複合フィルムであるが、必要に応じて基材層側に第3,第4の層を積層し、3層以上の複合フィルムとしてもよい。
また、本発明の易開封性複合フィルムは、基材層側に、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、印刷紙、金属箔から選ばれる少なくとも他基材の1層を、必要に応じて、単独、あるいは、組合せて積層して使用するのが好ましい。ポリアミドフィルムとしては、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン66などが挙げられ、中でも二軸延伸ナイロン66フィルムが、耐熱性、耐湿性の面でより好ましい。ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルムなどが挙げられ、中でも二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが、耐熱性とフィルム価格等で総合的により好ましい。金属箔としては、アルミ箔、銅箔などが挙げられ、なかでもアルミ箔がより好ましい。印刷紙としては、合成紙、上質紙、中質紙、アート紙、コート紙、更紙などが挙げられるが、印刷の出来具合からアート紙が好ましい。
前記ポリアミドフィルムまたはポリエステルフィルムの厚さは、10〜100μmの範囲が好ましく、特に、12〜70μmの範囲であると印刷加工適性が良く、蓋材とした場合に、耐衝撃性と取り扱い性から好ましい。
前記金属箔の厚さとしては、5〜30μmの範囲であることが、蓋材とした場合に、耐衝撃性、取り扱い性および経済性から好ましい。
基材層側に他基材層を積層する方法としては特に限定されないが、接着剤、ホットメルト剤、低融点の押出ラミネート樹脂を介して積層する方法が挙げられる。
次に、本発明の易開封性複合フィルムの製造法の一例を説明する。
2台の押出機を用いて、1台の押出機から基材層樹脂として、MFRが2〜20g/10分の高密度ポリエチレン(a1)が70〜90重量%と、MFRが5〜300g/10分の低密度ポリエチレン(a2)が10〜30重量%を混合した樹脂組成物を190〜250℃で押出し、もう1台の押出機からシール層樹脂として、MFRが2〜20g/10分の低密度ポリエチレン(b1)が50〜87重量%と、MFRが50〜300g/10分である低密度ポリエチレン(b2)が10〜40 重量% と、ポリブテン−1(b3)が3〜9重量%を混合した樹脂組成物を190〜250℃で押出して、共押出多層口金で基材層/シール層の構成で積層し、基材層の厚さが15〜90μmで、シール層の厚さが2〜30μmとなるようにして、2層積層口金よりフィルム状に押し出し、25〜50℃の冷却ロールでキャスト冷却固化し易開封性複合フィルムとする。
続いて、必要に応じ他基材とラミネートする基材層の表面にコロナ放電処理を施し、巻き取り、さらに所定の幅、長さにスリットする。以上のようにして得られた本発明の易開封性複合フィルムは、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、印刷紙、金属箔から選ばれる少なくとも1層と積層して、一般包装用、イージーピール用容器、レトルト食品包装袋用、医療用輸液バック、流動食用パウチ等のシーラントフィルムとして使用できる。
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明における特性の測定方法並びに効果の評価方法は、次の通りである。
(1)樹脂の密度
JIS K 7112(1980)に規定された密度勾配管法に従い密度を測定した。
(2)フィルム厚さ
ダイヤルゲージ式厚さ計(JIS B 7509(1992)、測定子5mmφ平型)を用いて、フィルムの長手方向及び幅方向に10cm間隔で10点測定して、その平均値とした。
(3)各層の厚さ
フィルムの断面をミクロトームにて切り出し、その断面についてデジタルマイクロスコープVHX−100形(株式会社キーエンス製)を用いて1000倍に拡大観察して撮影した断面写真を用いて、各層の厚さ方向の距離を計測し、拡大倍率から逆算して各層の厚さを求めた。尚、各層の厚さを求めるに当たっては、互いに異なる測定視野から任意に選んだ計5箇所の断面写真計5枚を使用し、それらの平均値として算出した。
(4)メルトフローレート(MFR)
JIS K 7210(1999)に準拠して、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂共に190℃、荷重21.17Nで測定した。
(5)引裂強度(エルメンドルフ引裂法)
JIS K 7128−2(1998)に準拠して、易開封性複合フィルムを幅63mm×長さ75mmに切り出し、切り出したフィルムを16枚重ねる。重ねたフィルムを株式会社東洋精機製のエルメンドルフ引裂試験機を使用し、振り子でフィルムを引き裂いた際の引裂強度を測定した。1試料についてn数5の測定値の平均値をとり、測定値は16枚の数値となっているので、16で割り、1枚の数値に換算する。そのとき、流れ方向(MD)と流れ方向とは垂直方向(TD)の両方向の引裂強度が、0.1〜3.0Nに範囲であるものを合格とし、該範囲を外れたものを不合格とした。
(6)破断伸度
JIS K 7127 (1999)に準拠してサンプルフィルムを、長手方向と幅方向にそれぞれ120mm×10mmの大きさに切り出した。このカットサンプルフィルムを、23℃の雰囲気下で(株)エー・アンド・アイ製の“テンシロン”RTG−1210を用いて、試長50mmとして、引っ張り速度300mm/分の速度で引って、ヤング率と破断伸度を求めた。n数を5として、その平均値をとり、破断伸度は150〜1300%の範囲内を○とし、該範囲を外れたものを×とした。
(7)ヒートシール用複合フィルムの作成方法
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製“ルミラー(登録商標)”P60)にポリウレタン接着剤を固形分塗布量2g/m塗布し、80℃で乾燥後に易開封性複合フィルムの基材層側と重ねて、1対の加圧ロール間に通してラミネートし、40℃、72時間エージングしたサンプルをヒートシール用複合フィルムとした。
(8)ヒートシール強度評価用ポリエチレンシート
本発明の易開封性複合フィルムのヒートシール力を評価するため、高圧法低密度ポリエチレン(後述のLD−1)樹脂を温度200〜220℃に加熱された押出機で溶融し、T型口金よりフィルム状に押出して25〜50℃の冷却ロールでキャスト冷却固化し、厚さ300μmのヒートシール強度評価用のポリエチレンシートを作成した。
(9)ヒートシール強度
(7)で作成したヒートシール用複合フィルムを100mm×15mmに切り出し、シール層と(8)で作成した300μmのヒートシール強度評価用ポリエチレンシートを重ねて、テスター産業株式会社製の平板ヒートシールテスター(TP−701−B)を使用し、シール温度:上面(ヒートシール用複合フィルム側)180℃、下面(ヒートシール強度評価用ポリエチレンシート側)80℃、シール圧力0.2MPa、シール時間1秒の条件でヒートシールしたサンプルを、株式会社オリエンテック製のテンシロン(RTG−1210)を使用して300mm/分の引張速度で、180°剥離したときのヒートシール強度を測定した。そのとき、1試料についてn数10の測定値の平均値をとり、25〜40N/15mmに範囲であるものを○とし、該範囲を外れたものを×とした。
(10)密封性
低密度ポリエチレン製容器(内径95φ×高さ61.9mm×フランジ幅3mm)に、内容物として水道水を180ml充填封入してから、(7)で得たサンプルを重ねて、エーシンパック工業株式会社製のハンドシーラーを使用し、ヒートシール温度(他基材ラミ面側)180℃、シール圧力0.2MPa、シール時間1秒の条件でヒートシールしたサンプルを作成した。該サンプルを常温雰囲気下において50cmの高さからコンクリート面へ蓋を下にして垂直落下させる。そのときに、1試料についてn数10のテストを行い、シール部の開封した個数で下記の通り判定した。
○:開封が、3個未満
×:開封が、3個以上。
(11)打ち抜き性
(7)で作成したサンプルを50mm×50mmにサンプリングし、直径20mmの穴が開いたサンプルホルダーにセットし、株式会社オリエンテック製テンシロン(RTC−1210A)を使用し、針(直径1.0mm、先端形状0.5mm)を毎分50±5mmの速度で突き刺し、突き刺す際に針にフィルムが追従し、伸びるかどうかを目視で評価し判定を行った。ここで、フィルムの伸びとは、フィルムに針を打ち込んだ際に、針にフィルムが追従し、伸びてしまう状態をいい、打ち抜き性悪化の懸念から、フィルムの伸びが起こらない(フィルムの伸びが3mm未満)である方が好ましい。フィルムの伸びが3mm未満を○とし、フィルム伸びが3mm以上を×とした。
(12)開封性
(9)で作成したヒートシール強度測定サンプルを手で剥離したときに、糸引き、膜残りを目視で評価し、下記の通り判定した。
○:糸引き、膜残りが見られない。
×:1mm以上の長い糸引き、膜残りが見られない。
(13)製膜性
前記易開封性フィルムを製膜して巻き取る際、基材層(A層)とシール層(B層)の積層が上手く行かず、フィルムの積層ムラが発生したり、キャスト時にエッジまくれが大きくなって製膜安定性が不安定となるものを×、積層ムラの発生がなく、キャスト時のエッジまくれが小さいものを○とした。
本実施例で使用した原料は次の通りである。
(1)高密度ポリエチレン(HD−1)
MFR=1.0g/10分、密度=0.960g/cm
(2)高密度ポリエチレン(HD−2)
MFR=7.5g/10分、密度=0.961g/cm
(3)高密度ポリエチレン(HD−3)
MFR=20g/10分、密度=0.958g/cm
(4)高密度ポリエチレン(HD−4)
MFR=30g/10分、密度=0.960g/cm
(5)低密度ポリエチレン(LD−1)
MFR=1.5g/10分、密度=0.919g/cm
(6)低密度ポリエチレン(LD−2)
MFR=7.0g/10分、密度=0.919g/cm
(7)低密度ポリエチレン(LD−3)
MFR=20g/10分、密度=0.919g/cm
(8)低密度ポリエチレン(LD−4)
MFR=50g/10分、密度=0.917g/cm
(9)低密度ポリエチレン(LD−5)
MFR=200g/10分、密度=0.919g/cm
(10)ポリブテン−1(PB−1)
MFR=1.8g/10分、密度=0.915g/cm
実施例1
基材層の樹脂は、高密度ポリエチレン(a1)として、高密度ポリエチレン(HD−2)80重量%と、低密度ポリエチレン(a2)として、低密度ポリエチレン(LD−5)20重量%を混合した樹脂組成物を用い、シール層樹脂は、低密度ポリエチレン(b1)として、低密度ポリエチレン(LD−2)65重量%と、低密度ポリエチレン(b2)として、低密度ポリエチレン(LD−5)30重量%と、ポリブテン−1(PB−1)5重量%を混合した樹脂組成物を押出機2台に各々投入し、各々210℃の押出温度で2層共押出積層のT型口金より押し出し、40℃のキャスティングロールで急冷して2層積層の易開封性フィルムを製膜し、基材層にコロナ放電処理を施した。得られた易開封性フィルムの総厚さは50μmで、基材層が40μm、シール層が10μmで基材層/シール層の比率は4/1であった。製膜性は良好で、積層ムラの発生もなく、実施例に記載のヒートシール用フィルムを作成してシーラント用フィルムとしての評価を行なった結果、本発明のフィルムとしての要求特性を全て満足していた。
実施例2
基材層の高密度ポリエチレン(a1)樹脂として、MFRが20g/10minの高密度ポリエチレン(HD−3)を用いた以外は実施例1と同様に、2層積層の易開封性フィルムを得た。実施例1のフィルムに比べて引裂強度が低くなったが、積層ムラの発生はなく巻き取ることができた。得られたフィルムを用いて、実施例に記載のヒートシール用フィルムを作成してシーラント用フィルムとしての評価を行なった結果、本発明のフィルムとしての要求特性を全て満足していた
実施例3
基材層の低密度ポリエチレン(a2)樹脂として、MFRが7g/10minの低密度ポリエチレン(LD−2)を用いた以外は実施例1と同様に、2層積層の易開封性フィルムを得た。実施例1のフィルムに比べて引裂強度が高くなったが、積層ムラの発生はなく巻き取ることができた。得られたフィルムを用いて、実施例に記載のヒートシール用フィルムを作成してシーラント用フィルムとしての評価を行なった結果、本発明のフィルムとしての要求特性を全て満足していた。
実施例4
基材層の樹脂として、高密度ポリエチレン(HD−2)70重量%と、低密度ポリエチレン(LD−5)30重量%を混合した樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様に、2層積層の易開封性フィルムを得た。実施例1のフィルムに比べて引裂強度が高くなったが、積層ムラの発生はなく巻き取ることができた。得られたフィルムを用いて、実施例に記載のヒートシール用フィルムを作成してシーラント用フィルムとしての評価を行なった結果、本発明のフィルムとしての要求特性を全て満足していた。
実施例5
基材層の樹脂として、高密度ポリエチレン(HD−2)90重量%と、低密度ポリエチレン(LD−5)10重量%を混合した樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様に、2層積層の易開封性フィルムを得た。実施例1のフィルムに比べて引裂強度が低くなったが、積層ムラの発生はなく巻き取ることができた。得られたフィルムを用いて、実施例に記載のヒートシール用フィルムを作成してシーラント用フィルムとしての評価を行なった結果、本発明のフィルムとしての要求特性を全て満足していた。
実施例6
シール層の低密度ポリエチレン(b1)樹脂として、MFRが20g/10minの低密度ポリエチレン(LD−3)を用いた以外は実施例1と同様に、2層積層の易開封性フィルムを得た。実施例1のフィルムに比べてヒートシール強度が低くなったが、積層ムラの発生はなく製膜性は安定していた。得られたフィルムは、本発明のフィルムとしての要求特性を全て満足していた。
実施例7
シール層の低密度ポリエチレン(b2)樹脂として、MFRが50g/10minの低密度ポリエチレン(LD−4)を用いた以外は実施例1と同様に、2層積層の易開封性フィルムを得た。実施例1のフィルムに比べてヒートシール強度が低くなったが、積層ムラの発生はなく製膜性は安定していた。得られたフィルムは、本発明のフィルムとしての要求特性を全て満足していた。
実施例8
シール層の樹脂として、MFRが7g/10minの低密度ポリエチレン(LD−2)55重量%と、MFRが200g/10minの低密度ポリエチレン(LD−5)40重量%と、ポリブテン−1(PB−1)5重量%を混合した樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様に、2層積層の易開封性フィルムを得た。実施例1のフィルムに比べてヒートシール強度が低くなったが、積層ムラの発生はなく製膜性は安定していた。得られたフィルムは、本発明のフィルムとしての要求特性を全て満足していた。
実施例9
シール層(B層)の樹脂として、MFRが7g/10minの低密度ポリエチレン(LD−2)85重量%と、MFRが200g/10minの低密度ポリエチレン(LD−5)10重量%と、ポリブテン−1(PB−1)5重量%を混合した樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様に、2層積層の易開封性フィルムを得た。実施例1のフィルムに比べてヒートシール強度が高くなったが、積層ムラの発生はなく製膜性は安定していた。得られたフィルムは、本発明のフィルムとしての要求特性を全て満足していた。
実施例10
シール層の樹脂として、MFRが7g/10minの低密度ポリエチレン(LD−2)67重量%と、MFRが200g/10minの低密度ポリエチレン(LD−5)30重量%と、ポリブテン−1(PB−1)3重量%を混合した樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様に、2層積層の易開封性フィルムを得た。実施例1のフィルムに比べてヒートシール強度が高くなったが、積層ムラの発生はなく製膜性は安定していた。得られたフィルムは、本発明のフィルムとしての要求特性を全て満足していた。
実施例11
シール層(B層)の樹脂として、MFRが7g/10minの低密度ポリエチレン(LD−2)61重量%と、MFRが200g/10minの低密度ポリエチレン(LD−5)30重量%と、ポリブテン−1(PB−1)9重量%を混合した樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様に、2層積層の易開封性フィルムを得た。実施例1のフィルムに比べてヒートシール強度が低くなったが、積層ムラの発生はなく製膜性は安定していた。得られたフィルムは、本発明のフィルムとしての要求特性を全て満足していた。
実施例12
各層の樹脂組成を実施例1と同様にして、2層口金内で基材層とシール層の厚さ比率を2/1として、40℃のキャスティングロールで急冷して2層積層の易開封性フィルムを製膜し、基材層にコロナ処理を施した。得られた易開封性フィルムの総厚さは90μmで、基材層が60μm、シール層が30μmであった。製膜性は良好で積層ムラはなく、安定して巻き取ることができた。得られたフィルムを用いて、実施例に記載の評価を行なった結果、本発明のフィルムとしての要求特性を全て満足していた。
実施例13
各層の樹脂組成を実施例1と同様にして、基材層とシール層の厚さ比率を9/1として2層積層の易開封性フィルムを製膜した。得られた易開封性フィルムの総厚さは50μmで、A層が45μm、B層が5μmであった。製膜性は良好で積層ムラはなく、安定して巻き取ることができた。得られたフィルムを用いて、実施例に記載の評価を行なった結果、本発明のフィルムとしての要求特性を全て満足していた。
比較例1
基材層の樹脂として、MFRが1g/10minの高密度ポリエチレン(HD−1)を用いた以外は、実施例1と同様の組成と構成で製膜を行い、得られたフィルムを実施例1と同様に評価した。基材層の高密度ポリエチレンのMFRが低いために、溶融押し出し時の流動性が悪くて製膜安定性が低下し、実施例1に記載のヒートシール用複合フィルムを作成してシーラント用フィルムとしての評価を行なった結果、フィルムの打ち抜き性と開封性が悪化した。
比較例2
基材層の樹脂として、MFRが30g/10minの高密度ポリエチレン(HD−4)を用いた以外は、実施例1と同様の組成と構成で製膜を行い、得られたフィルムを実施例1と同様に評価した。基材層の高密度ポリエチレンのMFRが高いために、キャスト時にエッジまくれが大きくなって製膜性が悪化し、また、フィルムが脆くなり、引裂強度と破断伸度が低くなって、密封性が悪化した。
比較例3
基材層の樹脂として、高密度ポリエチレン(HD−2)60重量%と、低密度ポリエチレン(LD−5)40重量%とした以外は、実施例1と同様の組成と構成で製膜を行い、得られたフィルムを実施例1と同様に評価した。基材層樹脂の高密度ポリエチレン重量%が減り、低密度ポリエチレン重量%が増えたために、フィルムが柔らかくなり引裂強度が高く、打ち抜き性と開封性が悪化した。
比較例4
基材層の樹脂として、高密度ポリエチレン(HD−2)95重量%と、低密度ポリエチレン(LD−5)5重量%とした以外は、実施例1と同様の組成と構成で製膜を行い、得られたフィルムを実施例1と同様に評価した。A層樹脂の高密度ポリエチレン重量%が増え、低密度ポリエチレン重量%が減ったために、キャスト時にエッジまくれが大きくなって製膜性が悪化し、また、フィルムの引裂強度が低下して、密封性が悪化した。
比較例5
基材層の樹脂として、MFRが1.5g/10minの低密度ポリエチレン(LD−1)20重量%とした以外は、実施例1と同様の組成と構成で製膜を行い、得られたフィルムを実施例1と同様に評価した。低密度のMFRが低いために高密度ポリエチレンへの分散性が低下して製膜性が悪化し、フィルムが突き刺しで伸び易く、打ち抜き性が悪化した。
比較例6
シール層(B層)樹脂の低密度ポリエチレン(b1)として、低密度ポリエチレン(LD−2)40重量%と、低密度ポリエチレン(b2)として、低密度ポリエチレン(LD−5)55重量%と、ポリブテン−1(b3)として、ポリブテン−1(PB−1)5重量%を混合した樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様の組成と構成で製膜を行い、得られたフィルムを実施例1と同様に評価した。低密度ポリエチレン(b1)の混合量が少なく、低密度ポリエチレン(b2)の混合量が多いため、積層ムラが起こって、製膜性が悪化した。また、得られたフィルムを用いて、実施例に記載のヒートシール用複合フィルムを作成してシーラント用フィルムとしての評価を行なった結果、ヒートシール強度が低く、密封性が悪いものであった。
比較例7
シール層樹脂の低密度ポリエチレン(b1)として、低密度ポリエチレン(LD−2)90重量%と、低密度ポリエチレン(b2)として、低密度ポリエチレン(LD−5)5重量%と、ポリブテン−1(b1)として、ポリブテン−1(PB−1)5重量%を混合した樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様の組成と構成で製膜を行い、得られたフィルムを実施例1と同様に評価した。低密度ポリエチレン(b1)の混合量が多いため、打ち抜き性が悪く、開封性も悪いものであった。
比較例8
シール層の低密度ポリエチレン(b1)樹脂として、MFRが1.5g/10minの低密度ポリエチレン(LD−1)を用いた以外は実施例1と同様の組成と構成で製膜を行い、得られたフィルムを実施例1と同様に評価した。b1のMFRが低いために溶融押し出し時の流動性が悪く、基材層との積層性が悪く、また、ヒートシール力が低くなり、ポリエチレン製容器のフランジ部の重ね合わせ部分の段差を埋めることができず、密封性が悪くなった。
比較例9
シール層の低密度ポリエチレン(b2)樹脂として、MFRが20g/10minの低密度ポリエチレン(LD−3)を用いた以外は実施例1と同様の組成と構成で製膜を行い、得られたフィルムを実施例1と同様に評価した。低密度ポリエチレン(b2)のMFRが低密度ポリエチレン(b1)のMFRと近いために、開封時の凝集破壊時に糸引きが発生して開封性が悪化した。
比較例10
シール層樹脂の低密度ポリエチレン(b1)として、低密度ポリエチレン(LD−1)69重量%と、低密度ポリエチレン(b2)として、低密度ポリエチレン(LD−2)30重量%と、ポリブテン−1(b3)として(PB−1)1重量%を混合した樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様の組成と構成で製膜を行い、得られたフィルムを実施例1と同様に評価した。ポリブテン−1の混合量が少ないため、ヒートシール強度が高く、開封性が悪化した。
比較例11
シール層(B層)樹脂として、低密度ポリエチレン(LD−1)50重量%と、低密度ポリエチレン(LD−2)30重量%と、ポリブテン−1(PB−1)20重量%を混合した樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様の組成と構成で製膜を行った。製膜性に問題はなかった。また、得られたフィルムを実施例1と同様に評価を行なった結果、低密度ポリエチレン混合量が少なく、ポリブテン−1混合量が多いため、引裂強度が高く、打ち抜き性が悪化、また、シール強度が低くなって、密封性も悪いものであった。
上記より得られた易開封性複合フィルムの評価を行った。結果を表1から表2に示す。
Figure 2019000991
Figure 2019000991
本発明の易開封性複合フィルムは、広い温度範囲で安定してシールでき、内容物保護と良好な易開封性を両立し、さらに、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、印刷紙、金属箔の少なくとも1層以上の他基材の片面に積層体とすることにより、食品や医療用用具、雑貨等を充填する包装体として用いることができ、特にポリエチレン容器やポリエチレンで被覆された紙容器に好適に用いることができる。

Claims (1)

  1. 基材層とシール層が積層された複合フィルムであって、基材層は、メルトフローレートが2〜20g/10分の高密度ポリエチレン(a1)が70〜90重量%、メルトフローレートが5〜300g/10分の低密度ポリエチレン(a2)が10〜30重量%含有しであり、シール層は、メルトフローレートが2〜20g/10分の低密度ポリエチレン(b1)が51〜87重量%、メルトフローレートが50〜300g/10分である低密度ポリエチレン(b2)が10〜40重量%、ポリブテン−1(b3)が3〜9重量%含有しであり、複合フィルムとしての流れ方向(MD)と流れ方向とは垂直方向(TD)の引裂強度が共に、エルメンドルフ引裂法で0.1〜3.0Nの範囲内であることを特徴とする易開封性複合フィルム。
JP2017114860A 2017-06-12 2017-06-12 易開封性複合フィルム Active JP6837625B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017114860A JP6837625B2 (ja) 2017-06-12 2017-06-12 易開封性複合フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017114860A JP6837625B2 (ja) 2017-06-12 2017-06-12 易開封性複合フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019000991A true JP2019000991A (ja) 2019-01-10
JP6837625B2 JP6837625B2 (ja) 2021-03-03

Family

ID=65004511

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017114860A Active JP6837625B2 (ja) 2017-06-12 2017-06-12 易開封性複合フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6837625B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6624358B1 (ja) * 2018-07-03 2019-12-25 Dic株式会社 積層フィルム及び蓋材
JP2021062508A (ja) * 2019-10-11 2021-04-22 東レフィルム加工株式会社 易開封性複合フィルムおよびその製造方法、並びにそれを用いた紙容器用易開封性蓋材

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10337829A (ja) * 1997-06-05 1998-12-22 Toray Gosei Film Kk 易開封性複合フィルムおよび易開封性紙容器
JPH1158642A (ja) * 1997-08-21 1999-03-02 Toray Gosei Film Kk 易開封性複合フィルムおよび易開封性紙容器
JP2001310433A (ja) * 2000-04-28 2001-11-06 Dainippon Ink & Chem Inc 易開封性複合フィルム及び包装容器
JP2016055433A (ja) * 2014-09-05 2016-04-21 東レフィルム加工株式会社 易開封性多層フィルム

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10337829A (ja) * 1997-06-05 1998-12-22 Toray Gosei Film Kk 易開封性複合フィルムおよび易開封性紙容器
JPH1158642A (ja) * 1997-08-21 1999-03-02 Toray Gosei Film Kk 易開封性複合フィルムおよび易開封性紙容器
JP2001310433A (ja) * 2000-04-28 2001-11-06 Dainippon Ink & Chem Inc 易開封性複合フィルム及び包装容器
JP2016055433A (ja) * 2014-09-05 2016-04-21 東レフィルム加工株式会社 易開封性多層フィルム

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6624358B1 (ja) * 2018-07-03 2019-12-25 Dic株式会社 積層フィルム及び蓋材
WO2020008893A1 (ja) * 2018-07-03 2020-01-09 Dic株式会社 積層フィルム及び蓋材
JP2021062508A (ja) * 2019-10-11 2021-04-22 東レフィルム加工株式会社 易開封性複合フィルムおよびその製造方法、並びにそれを用いた紙容器用易開封性蓋材

Also Published As

Publication number Publication date
JP6837625B2 (ja) 2021-03-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6304547B2 (ja) 易開封性多層フィルム
JP6863483B2 (ja) 積層フィルム及び食品包装袋
JP5229578B2 (ja) ポリプロピレン系複合フィルム
JP5466636B2 (ja) 熱融着性多層フィルム
JP5088575B2 (ja) 複合フィルム
US10543667B2 (en) Easy opening metalized hermetic films and methods to manufacture the same
WO2005092612A1 (ja) ヒートシール性ポリプロピレン系樹脂積層フィルム及び包装体
JP7222210B2 (ja) 植物由来ポリエチレンを含むシーラント層を有する手切り開封包装体用の積層体
JP2017177579A (ja) 易剥離性シーラントフィルム
JP4344997B2 (ja) 易開封性共押出多層フィルムおよび易開封性ラミネートフィルム
JP4613571B2 (ja) ヒートシール性ポリプロピレン系樹脂積層フィルム及び包装体
JP6837625B2 (ja) 易開封性複合フィルム
JP2011201587A (ja) 易開封食品包装袋用積層フィルムおよび易開封食品包装袋
WO2019230416A1 (ja) 積層フィルム及び食品包装袋
JP6315798B2 (ja) 多層シーラントフィルム
JP6150687B2 (ja) 多層シーラントフィルム
JP6103302B2 (ja) 易開封性共押出多層フィルム
JP4352388B2 (ja) 易開封性複合フィルム
JP4938213B2 (ja) 共押出多層フィルムおよびラミネートフィルム
JP2005103904A (ja) 共押出多層フィルム及びラミネートフィルム
JP5737560B2 (ja) 易開封性共押出多層フィルム及びこれを用いた包装体
JP4877062B2 (ja) 共押出多層フィルム及び該フィルムからなる包装材
JP2004314449A (ja) 易開封性多層フィルム、当該フィルムからなる蓋材及び包装体
JP2007038605A (ja) 共押出積層フィルム並びにそれを用いたラミネートフィルム及び包装容器
JP4140307B2 (ja) 包装方法、共押出積層フィルムおよび角底袋

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200304

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210105

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210112

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6837625

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250