JP2008301801A - ポリフェノール含量を多く保持した皮付き乾燥渋柿の製造 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の渋柿加工では遠赤外乾燥装置、除湿機等の設備へ多額の初期投資を要した。更に二段乾燥、硫黄燻蒸等の脱渋除菌処理等のため多額の人件・資材費を要した。また、熟柿や皮付柿は原料に適さず、剥いた皮が廃棄物として大量に出ていた。
【解決手段】
水洗後の渋柿の蔕を切断くり貫きして、果肉内の水分蒸発を早める。皮付の場合、70〜90℃の熱風を0.5〜2.5m/s以上で当てることで乾燥脱渋柿が得られる。
本発明では遠赤外線乾燥装置、除湿機等の製造設備の必要が無く、皮付乾燥脱渋柿は2日間、剥皮丸果は1日、剥皮スライス果は半日で製品化できる。熱風乾燥により除菌、脱渋が同時に行える。また皮付柿や熟柿を原料にできるため収穫や加工の時期調整が可能であり、廃棄物も少ない。よって上記課題を解決するものである。また、ポリフェノール含量が多いという特徴をもつ。
【選択図】図1
【解決手段】
水洗後の渋柿の蔕を切断くり貫きして、果肉内の水分蒸発を早める。皮付の場合、70〜90℃の熱風を0.5〜2.5m/s以上で当てることで乾燥脱渋柿が得られる。
本発明では遠赤外線乾燥装置、除湿機等の製造設備の必要が無く、皮付乾燥脱渋柿は2日間、剥皮丸果は1日、剥皮スライス果は半日で製品化できる。熱風乾燥により除菌、脱渋が同時に行える。また皮付柿や熟柿を原料にできるため収穫や加工の時期調整が可能であり、廃棄物も少ない。よって上記課題を解決するものである。また、ポリフェノール含量が多いという特徴をもつ。
【選択図】図1
Description
本発明は渋柿を脱渋乾燥させた食品に関する。
従来の渋柿乾燥品の加工方法に関する発明には、以下のようなものがあげられる。
遠赤外線乾燥装置、除湿機、吸気ファン、温度センサー、冷却除湿機、乾燥棚の回転・移動装置、回転駆動懸架機構などの大掛かりな製造設備を利用するもの(特許文献1〜特許文献10)がある。例えば、特許文献1の特許公開2007−105003号広報では、柿の乾燥を行うために乾燥室、冷却除湿装置、廃熱温風切替装置などを備えた乾燥装置を用いている。
従来の加工方法では乾燥にかかる時間が1週間〜3週間近く要するもの(特許文献11〜特許文献13)がある。例えば特許文献11の特許公開2006−288269では、カビの発生を防ぐために、酸化防止、漂白、殺菌加工後、除湿機で36時間〜48時間かけて強制的に水分を抜き取り、その後10〜20日間室内遠赤乾燥させる加工方法である。
追熟、二段乾燥、イオン水、塩素剤、硫黄燻蒸、アルコール、熱湯浸水などの脱渋や除菌、防カビの処理の必要なもの(特許文献14〜特許文献21)などがある。例えば特許文献18の特許公開2001−275559では、硫黄燻蒸の代わり亜硫酸ナトリウムおよびクエン酸を使ってカビや黒変を防ぐ処理を行っている。
以上に述べた、従来の乾燥脱渋柿加工方法では遠赤外線乾燥装置、除湿機、吸気ファン、温度センサー、冷却除湿機、乾燥棚の回転・移動装置、回転駆動懸架機構などの大掛かりな製造設備を必要とするものであり、製品製造のために大きな初期投資をする必要のあるものばかりであった。
また、乾燥に3週間以上かかるものが多かった。具体的には乾燥時間が従来の干柿製造では乾燥作業に3週間、また粉出し作業に2週間かかっていた。また水分含量が高いあんぽ柿タイプのものでも1週間程度かかっていた。
さらに、亜硫酸ナトリウム、クエン酸、イオン水、塩素剤、硫黄燻蒸、アルコールなどの脱渋や除菌、防カビの処理についての工程が必要であり、製造工程に人件費や薬品等資材を必要としていた。
従来の乾燥脱渋柿加工方法では、軟熟な熟柿や皮付きの柿は原料として不向きであった。また、剥いた皮が廃棄物として大量に出されていた。
かかる目的を達成するため本発明では、収穫後の脱渋されていない渋柿(追熟の有無は問わない)をシャワー水洗、洗浄した後、蔕部分を切断除去・くり貫きを行い、皮ごと70〜90℃の温・熱風を24〜48時間当てて加熱乾燥・除菌殺菌することにより得られる皮付き乾燥脱渋柿の発明を行った。
また、収穫後の脱渋されていない渋柿(追熟の有無は問わない)をシャワー水洗、洗浄した後、蔕部分を切断除去・くり貫きを行い、剥皮した後、40〜90℃の温・熱風を14〜24時間当てて加熱乾燥・除菌殺菌することにより得られる剥皮乾燥脱渋柿(丸果)の発明を行った。
さらに、収穫後の脱渋されていない渋柿(追熟の有無は問わない)をシャワー水洗、洗浄した後、蔕部分を切断除去し、剥皮した後、スライスして、40〜90℃の温・熱風を8〜12時間当てて加熱乾燥・除菌殺菌することにより得られる剥皮乾燥脱渋柿(スライス果)の発明を行った。
今回の発明によって乾燥加工を行った結果得られた各乾燥脱渋柿について、抗酸化物質であるポリフェノール含量およびラジカル捕捉活性を測定したところ、いずれも乾燥後高いまま保持されていることが発見された。
また、本発明によって製造される乾燥渋柿は、一般的に市販されているドライフルーツ(マンゴー、イチジク、アンズ、ブドウ、ヤマブドウ、ブルーベリー、プルーン)と比較しても高い優位性を示している。参考として、一般的に市販されているドライフルーツのポリフェノール含量およびラジカル捕捉活性の測定結果を下記に示す。なお、ポリフェノール含量(フォーリン・デニス法による)はクロロゲン酸、メチルガレート、タンニン酸の等量混合標品として算出した。
本発明による温・熱風乾燥柿加工方法は、従来の製造工程を大幅に短縮・簡略化し、製造経費の大幅な削減が行える。
乾燥に要する時間が1日〜2日間で加工が終了するため、製造時間の大幅な短縮につながり、時間・労働コストの削減が期待できる。
温・熱風による殺菌を行うため、加熱することにより、除菌・殺菌を同時に行うことができ硫黄燻蒸の必要がない。また一番細菌やカビ等で汚染されやすく洗浄が難しい蔕部分を除去することにより、より衛生的かつ安全性の高い乾燥品を作ることができる。
ポリフェノール含量が多く、ラジカル捕捉活性が強く保持された製品を作ることが可能である。
皮付き、剥皮、スライスなど形態の違いにより様々な色合い・形態の製品を作ることが可能である。
前処理において蔕を切断、あるいはくり貫くことにより、皮付きのままでも水分の蒸発を促進し、乾燥時間の短縮に寄与する。くり貫くことで乾燥はより促進され品質劣化も少ない。さらに剥皮やスライスをした場合にはさらに乾燥時間の短縮につながる。
皮付き乾燥脱渋柿の場合、従来は原料として利用できなかった軟熟柿も利用可能である。このことにより収穫時期や加工時期の大幅な調整が可能となる。
皮付き乾燥脱渋柿の場合には、皮を剥かない分、原料の有効活用ができるだけでなく、廃棄物減量にも寄与することができる。
皮付き乾燥脱渋柿の場合には、皮を剥かない分、食物繊維量が多い製品を作ることが可能である。
温・熱風乾燥をすることにより、皮付きのままでも、やわらかく、風味もよく、食感のよい製品を作ることが可能である。
剥皮乾燥脱渋柿については二次加工が容易であり、様々な用途に用いることが可能である。例えば和洋菓子などの製菓原料として利用できる。
以下、本発明の実施の形態を図1に基づいて説明する。
原料の渋柿を準備する。追熟の必要はないが、多様な熟度の熟柿でも原料として利用できる。(図1の▲1▼)
直ちにシャワー水洗を行い、ごみや表面の汚れを流し取る。(図1の▲2▼)
選別を行い、同じサイズのものを揃えて均一に乾燥できるようにする。(図1の▲3▼)
皮ごと、丸果のまま蔕部分の切断およびくり貫きを行う。この作業により果肉内の水分の蒸発を早めることができる。水分蒸発は切断のみでも起こるが、くり貫きによりさらに促進される。(図1の▲4▼)
図2に示す送風乾燥機で70〜90℃の温・熱風を24時間〜48時間の間、風速0.5から2.5m/s以上の条件で当てる。(図1の▲5▼)この作業により果実内水分の蒸発を促すとともに、除菌・殺菌を行うことができる。
以上の工程で黒紫色の光沢を持つ皮付き乾燥脱渋柿が完成する。これは従来にはない形態の乾燥脱渋柿である。(図1の▲6▼)
空冷した後、包装を行い出荷できるように梱包を行う。(図1の▲7▼、▲8▼)
次に、蔕部分を切断・くり貫いた原料の柿(図1の▲4▼)を剥皮したものから作られる剥皮乾燥脱渋柿(丸果)の製造工程について説明する。(図1の▲9▼)
図2に示す送風乾燥機で40〜90℃の温・熱風を14時間〜24時間の間、風速0.5から2.5m/s以上の条件で当てる。(図1の▲10▼)
この工程により皮無乾燥渋柿が完成する。さらに粉出しをすることにより従来のころ柿タイプ製品を作ることも可能であり、製品の多様化が可能である。(図1の▲11▼)
さらに、蔕部分を除去し、皮を剥いた原料柿(図1の▲8▼)を多様な厚さ(例えば1〜6cm)にスライスしたものから作られる剥皮乾燥脱渋柿(スライス果)の製造工程について説明する。(図1の▲12▼)
図2に示す送風乾燥機で40〜90℃の温・熱風を8時間〜12時間の間、風速0.5から2.5m/s以上の条件で当てる。(図1の▲13▼)
この工程により剥皮乾燥脱渋柿(スライス果)が完成する。この製品は渋柿の柿色を残したままの色鮮やかな形態の製品である。(図1の▲14▼)
A 排気口
B 原料柿を置くトレイ
C 水洗し、蔕部分を切断およびくり貫きした生果(皮付き、剥皮、スライス)
D 通風孔
E ヒーター
Claims (3)
- 収穫後の脱渋されていない渋柿(追熟の有無は問わず軟熟果も利用可能)を、シャワー洗浄、選別した後、蔕の切断およびくり貫きを行い70〜90℃の温・熱風を24〜48時間当てて加熱乾燥・除菌殺菌することにより得られる、ポリフェノール含量およびラジカル捕捉活性(抗酸化力)の値が他の乾燥果実と比べ著しく高く、短時間で省力加工が可能な皮付き乾燥脱渋柿
- 収穫後の脱渋されていない渋柿(追熟の有無は問わない)を、シャワー洗浄、選別した後、蔕の切断およびくり貫き、さらに剥皮を行い40〜90℃の温・熱風を14〜24時間当てて加熱乾燥・除菌殺菌することにより得られる、ポリフェノール含量およびラジカル捕捉活性(抗酸化力)の値が他の乾燥果実と比べ著しく高く、短時間で省力加工が可能であり、二次加工性の高い剥皮乾燥脱渋柿(丸果)
- 収穫後の脱渋されていない渋柿(追熟の有無は問わない)を、シャワー洗浄、選別した後、蔕の切断およびくり貫き、剥皮してスライスを行い、40〜90℃の温・熱風を8〜12時間当てて加熱乾燥・除菌殺菌することにより得られる、ポリフェノール含量およびラジカル捕捉活性(抗酸化力)の値が他の乾燥果実と比べ著しく高く、短時間で省力加工が可能であり、二次加工性の高い剥皮乾燥脱渋柿(スライス果)
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JP2007177786A JP2008301801A (ja) | 2007-06-08 | 2007-06-08 | ポリフェノール含量を多く保持した皮付き乾燥渋柿の製造 |
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JP2012228198A (ja) * | 2011-04-26 | 2012-11-22 | Fumiko Noen:Kk | 乾燥柿及びその製造方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001190242A (ja) * | 2000-01-13 | 2001-07-17 | Masahiro Sano | 渋柿の高温加熱による脱渋法 |
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2007
- 2007-06-08 JP JP2007177786A patent/JP2008301801A/ja active Pending
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