JP6580968B2 - 食品の乾燥方法及び乾燥装置 - Google Patents
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Description
このような食品乾燥のための処理方法としては、様々な方法が知られているが、例えば、天日乾燥、高温加熱する場合にはマイクロ波や遠赤外線、熱風を利用した乾燥があり、また、減圧(真空)乾燥、凍結乾燥等もある。
また、高温加熱下での乾燥は、食材に含まれるビタミン類や蛋白質の破壊又は熱変性が生じ、また、食材の表面のみが急激に乾燥硬化しやすく、均質に乾燥されない場合もあり、栄養価の大幅な低減のみならず、色や香り、食味も損なわれる等の課題を有していた。
一方、減圧(真空)乾燥は、装置内の密閉性が要求され、使用する装置が高コストである。また、凍結乾燥は、上記のような高温加熱による栄養価の低減を抑制することができるものの、装置自体が高価であり、また、装置の稼働コストも高く、さらに、凍結による細胞組織の破壊により、香りや食味が損なわれるという課題を有していた。
農産物、海産物及び畜産物の食材を、大気圧下、温度60℃以下で除湿乾燥すると共に、イオンにより除菌することを特徴とする。
このような雰囲気下での常温又は低温での乾燥に加えて、乾燥庫内をイオンにより除菌することで、食材本来の栄養価、色や香り、食味の変化及び雑菌の繁殖による食品の劣化を抑制して乾燥することができる。
尚、前記ガスは、大気(空気)のほか、不活性ガス、酸素濃度10%以下としたガスを含む意味である。
特に、乾燥時間を考慮して、15℃〜50℃で除湿乾燥することがより好ましい。
また、前記イオンによる除菌において、イオン密度が338000個/ml以上あることが十分な除菌を行うことができ、より好ましい。
尚、前記乾燥庫内の側面に設けられたファンがダクトファンであることが好ましい。また前記乾燥庫内に水平方向にランダム風を発生させることが望ましい。
前記乾燥庫の側面に沿って縦方向に形成された、乾燥庫内の上部のガスを乾燥庫の下部に送るダクトと、前記ダクト内に設けられたイオン発生器と、を備えていることを特徴とする。
前記第2のダクトの途中には、前記乾燥庫内の空気を攪拌するための攪拌ファンが設けられていると共に、前記乾燥庫内にガスを送る前記ダクトの送風口近傍に、前記イオン発生器が設けられていることが好ましい。
したがって、本発明によれば、従来の常温乾燥食品よりも品質向上が図られた乾燥食品を提供することができる。
本発明に係る食品の乾燥方法は、農産物、海産物及び畜産物の食材を、前記食材を収容して乾燥する乾燥庫内に配置し、前記乾燥庫内の側面に設けられたファンにより該乾燥庫内の上部と下部のガスを循環させて、大気圧下、温度60℃以下で除湿乾燥すると共に、イオンにより除菌することを特徴とするものである。
食材を、常温で、このような雰囲気下で、かつ、イオンによる除菌を行いながら乾燥することにより、食材本来の栄養価の低減を抑制し、色や香り、食味が維持され、かつ、雑菌の繁殖による劣化も抑制された乾燥食品を得ることができる。
本発明でいう農産物としては、穀物、豆類、芋類、野菜、山菜、きのこ、種実類、果物、ハーブ等が挙げられ、また、海産物としては、海藻類、魚介類等が挙げられ、更に、畜産物としては、牛肉、豚肉、鶏肉等が挙げられる。
カットするサイズは、食材を満遍なく、均等に乾燥させるために、ほぼ同等のサイズに揃えるようにカットすることが好ましい。例えば、乾燥時間を短縮する観点から、また、取り扱い容易とするために、厚さ5mm以下のスライス又は細片とする。魚貝類の場合は、開き加工を行うだけでも良い。
常温乾燥によれば、食材に含まれる酵素等を失活させず、凍結乾燥のような高価な設備や稼働コストを要することなく、栄養価も凍結乾燥と同等程度に保持することができ、添加物を使用しなくても、生に近い色や香り、凝縮された味を有する乾燥食品を得ることができる。
尚、乾燥温度が15℃を下回る場合には、冷却のための装置のイニシャルコストと運転コストが高くなるため、好ましくない。
そのためには、前記乾燥庫内の側面にダクトファンにより該乾燥庫内の上部と下部のガスを循環させることが好ましい。
このようにダクトファンを設けることにより、前記乾燥庫内のガス循環をより効果的に制御することができる。
なお、前記乾燥庫内の容積に応じて、効果的なガス循環の観点から、前記ダクトファンは、同一側面に複数設けてもよい。
なお、前記ランダム風は、上記特許文献2に記載されているような方法を用いて、一定時間間隔で発生させるようにすることが好ましい。具体的には、前記乾燥庫内の側面に、該乾燥庫内に水平方向にランダム風を発生させるファンを複数設けることが好ましい。
通常、乾燥庫内に送り込むガスは、空気を酸素濃度10%以下としたものが用いられ、外気よりも湿度の低い空気であることが好ましい。これにより、効率的に除湿乾燥することができる。
大気中(酸素濃度約20%)よりも、低酸素濃度の雰囲気下で除湿乾燥することにより、食材中の抗酸化作用を有する物質の減少が抑制され、また、活性酸素除去能力の低下を抑制することができる。このため、乾燥食品の酸化の抑制が図られる。
10%を超える場合は、十分な酸化抑制効果が得られない。
前記不活性ガスは、具体的には、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンであるが、コストの観点からは、窒素を用いることが好ましい。より好ましくは、純度90%以上の窒素が用いられる。
イオン発生方式としては、レナード式、コロナ放電式、電子放射式、放射性物質利用式などが知られているが、いずれを用いてもよい。
尚、イオンを発生させることで除菌の効果を得ることができるが、より有効な除菌効果を得るといった観点から、イオン密度は338000個/ml以上あることが好ましい。
図1に示す乾燥装置は、筐体1の内部に設けられた乾燥庫2及びダクト3と、筐体1に取り付けられた除湿器4とを主体に構成されている。乾燥庫2の内部には、トレ−5が上下方向に10段配置されている。また、筐体1には、乾燥庫2内にガスを導入する導入口1a、乾燥庫2外にガスを排出する導入口1bが設けられている。
したがって、前記ダクト3の吸気口が吸引されたガスの一部は、ダクト3の下端部の送風口から乾燥庫内に導出される。一方、残りの前記ガスは、前記第2の第2のダクトに流入し、トレ−5が配置されている位置において前記ガスが乾燥庫内に導出するように構成されている。
具体的には、ダクト3の上方に位置する吸気口近傍には、吸気用ダクトファン6が設けられており、ダクト3の下方に位置する送風口近傍には、排気用ダクトファン7が設けられている。ダクトファン6,7としては、他のファンも含めて、軸流ファン、クロスフローファン、シロッコファン、ターボファン等のいずれでも使用することができる。
これらのダクトファン6,7の回転によって、吸気口から取り込まれた空気がダクト3を流れて下方に導かれ、送風口より乾燥庫2内に放出される。
このように乾燥庫2へ送風することで、乾燥庫2内の湿度を下げ、乾燥を促進させることができる。
また、図2に示すように、熱交換器9を、乾燥庫内に空気を送るダクトの送風口近傍に設けても良い。
上記したように、イオン発生器10が乾燥庫内に空気を送るダクト内に設けられている場合には、イオン発生器10から発生したイオンを乾燥庫内により拡散せることができ、乾燥庫内を均一に除菌することができる。
尚、乾燥庫2内には、図示しない計測機器類(例えば、イオン測定器、品温を計るためのT型熱電対、庫内温湿度を計るための装置等)が設置されており、乾燥庫2内の温度等のパラメータの分布(偏り)を把握すべく、1,5,9段目のトレー5にそれぞれ取り付けられている。
ここでは、イオン発生器による除菌能力検証実験を行った。
(実験対象物の選定)
ほうれん草は、大腸菌と一般性菌の両方を持ち、そのまま常温で乾燥させると大腸菌が残ってしまい、安全上問題のある食材である。また、乾燥の前処理で除菌をしたとしても、大腸菌は殺しても一般性菌が残ってしまう傾向があることが予備実験で明らかになった。その理由としては、茎に空洞部を持つために、空洞部に消毒剤が行き渡らないこと、あるいは、熱湯が浸透しないなどの理由で、90℃以上のお湯で煮たとしても菌が完全に消えない場合がある。
図1に示した乾燥装置を用いて、イオン発生器を運転させた時の乾燥庫2内のプラスイオンとマイナスイオンの密度を調べた。
イオン発生器としては、シャープ製のIG−EX20を用いた。
測定には空気イオンカウンター(アンデス電気株式会社製ITC-201A)を使用した。5段目のトレー中心にこの装置を置いて、ヒータや排気ファンを停止した状態で行った。
除湿器4としては、株式会社カンキョー製 condence ELD)を用い、除湿能力は355Wと545wの時でそれぞれ3回ずつ10分間測定した。
また温度は常温で排気流量0.6m3/minで行った。その結果を図4に示す。
図4から分かるように、除湿器4の出力設定を変えても結果に大きな違いは見られず、イオンを発生させないときはプラスイオンとマイナスイオンのいずれの値も0であった。
次に、ほうれん草を乾燥させてイオンによる除菌能力を検証した。検証方法は、以下の通りである。
まず、ほうれん草は汚れている根や茎の部分を約10cm切り落として、流水での洗浄を行う。3つの容器を使い約300gずつ3回洗浄する。
その後、沸騰したお湯5.5Lが入った鍋にほうれん草を約500g入れ90℃で3分間ブランチングを行う。
最後に、流水で2分間洗浄したものを使用した。
また、いずれも排気は0.6m3/min、除湿機は545wとし、トレー1枚に500gのほうれん草を載せ、ほうれん草500g、1kg、3kgを乾燥庫内に収容し、乾燥を行った。各実施例、比較例は下記の通りである。
尚、各計測機器を上述した実験1と同様に設置した。乾燥前、乾燥終了後、食品自動検査システム(株式会社バイオ・シータ製DOX-30F)を使用して一般生菌と大腸菌の検査を行った。
ほうれん草3kg、設定温度40℃、除湿機545w、排気流量0.6m3/min、イオン発生器をオフとした条件で乾燥を行った。
この場合の乾燥曲線(含水率曲線)を図5に示す。尚、図5には併せて庫内温度、庫内湿度、品温を併せて示す。また、その時の外気温湿度を図6に示す。
ほうれん草1kg、設定温度40℃、除湿機545w、排気流量0.6m3/min、イオン発生器をオンとした条件で乾燥を行った。
この場合の乾燥曲線(含水率曲線)を図7に示す。尚、図7には併せて庫内温度、庫内湿度、品温を併せて示す。また、その時の外気温湿度を図8に示す。
ほうれん草500g、設定温度50℃、除湿機545w、排気流量0.6m3/min、イオン発生器をオフとした条件で乾燥を行った。
この場合の乾燥曲線(含水率曲線)を図7に示す。尚、図9には併せて庫内温度、庫内湿度、品温を併せて示す。また、その時の外気温湿度を図10に示す。
ほうれん草500g、設定温度50℃、除湿機545w、排気流量0.6m3/min、イオン発生器をオフとした条件で乾燥を行った。
この場合の乾燥曲線(含水率曲線)を図9に示す。尚、図11には併せて庫内温度、庫内湿度、品温を併せて示す。また、その時の外気温湿度を図12に示す。
各実施例、比較例において、乾燥前、乾燥終了後、前記食品自動検査システムを使用して一般生菌と大腸菌の検査を行った。その結果を図13に示す。尚、比較例1の40℃でイオンを発生させなかった時の一般生菌の数を100%とし、比較を行った。
また実施例1と比較例1を比較すると、イオン発生装置を運転させた時は菌数を約60%まで抑えることができる。
また比較例2に示すように設定温度を50℃に上げて乾燥時間を短くすると、イオンの発生がなくても、比較例1の菌数を2%まで抑えることができる。
即ち、設定温度を上げることにより、除菌能力が高まり、設定温度60℃を超える場合にはイオンの除菌によらなくても、一般生菌をほとんど除菌することができる。
尚、大学生協東北事業連合食材微生物判定基準によるとカット野菜の一般生菌の数は105CFU/gであり、50℃でイオン除菌をすればこの基準をクリアできる結果となった。大腸菌に関しては乾燥前後で陽性の反応は見られなかった。
2 乾燥庫
3 ダクト
3a 第2のダクト
4 除湿器
5 トレー
6 吸気用ダクトファン
7 排気用ダクトファン
8 攪拌用ファン
9 熱交換器
10 イオン発生器
Claims (7)
- 農産物、海産物及び畜産物の食材を、前記食材を収容して乾燥する乾燥庫内に配置し、
前記乾燥庫内の側面に設けられたダクトファンにより該乾燥庫内の上部と下部のガスを循環させると共に、
乾燥庫の側面に沿って縦方向に形成されたダクト内に設けられたイオン発生器に、
前記乾燥庫内の上部からガスを送り、イオン発生器から発生したイオンを、ダクトの下端部から導出し、前記乾燥庫内に拡散させ、
農産物、海産物及び畜産物の食材を、大気圧下、温度60℃以下で除湿乾燥すると共に、イオンにより除菌することを特徴とする食品の乾燥方法。 - 前記ファンがダクトファンであることを特徴とする請求項1記載の食品の乾燥方法。
- 前記乾燥庫内に水平方向にランダム風を発生させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の食品の乾燥方法。
- 前記温度が15℃〜50℃であることを特徴とする請求項1記載の食品の乾燥方法。
- 前記イオンによる除菌において、イオン密度が33800個/ml以上あることを特徴とする請求項1記載の食品の乾燥方法。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の乾燥方法に用いられる乾燥装置であって、
前記乾燥庫内又は前記乾燥庫外に設けられた、該乾燥庫内のガスを除湿する除湿器と、
前記乾燥庫の側面に沿って縦方向に形成された、乾燥庫内の上部のガスを乾燥庫の下部に送るダクトと、
前記ダクト内に設けられたイオン発生器と、
を備えていることを特徴とする食品乾燥装置。 - 前記ダクトの下端部には前記ガスを乾燥庫内に導出する送風口が設けられる共に、前記ダクトの下端部から上方に第2のダクトが延設され、
前記第2のダクトの途中には、前記乾燥庫内の空気を攪拌するための攪拌ファンが設けられていると共に、前記乾燥庫内にガスを送る前記ダクトの送風口近傍に、前記イオン発生器が設けられていることを特徴とする請求項6記載の食品乾燥装置。
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