JP2007252253A - 乾燥脱渋柿及び該乾燥脱渋柿の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】広い作業場所を必要とせず作業性も良く、生産性が高く製品コストも低廉となり、しかも、脱渋・除菌が同時に行なえ二次加工も容易に行える品質の良好な乾燥脱渋柿及び該乾燥脱渋柿の製造方法を提供する。
【解決手段】乾燥脱渋柿は、保存性、嗜好性、栄養・健康機能性が高く二次加工が行い易い。乾燥脱渋柿の製造方法は、収穫後の追熟・脱渋されてない渋柿を剥皮、除種すると共にスライスし、このスライスした生果肉Cに75〜85℃の温風を8〜14時間当てて該スライスした生果肉を加熱乾燥するようにした。この際、前記温風を当てて加熱乾燥した乾燥脱渋柿を150〜180℃の油で10〜120秒間揚げるようにしても良い。
【選択図】図1
【解決手段】乾燥脱渋柿は、保存性、嗜好性、栄養・健康機能性が高く二次加工が行い易い。乾燥脱渋柿の製造方法は、収穫後の追熟・脱渋されてない渋柿を剥皮、除種すると共にスライスし、このスライスした生果肉Cに75〜85℃の温風を8〜14時間当てて該スライスした生果肉を加熱乾燥するようにした。この際、前記温風を当てて加熱乾燥した乾燥脱渋柿を150〜180℃の油で10〜120秒間揚げるようにしても良い。
【選択図】図1
Description
本発明は、収穫後の追熟・脱渋されてない渋柿を剥皮、除種すると共にスライスし、このスライスした生果肉に温風を当てて加熱乾燥することにより得られる品質の良好な乾燥脱渋柿及び該乾燥脱渋柿の製造方法に関するものである。
従来、そのままでは食することができない渋柿を小片状にスライスすると共に脱渋処理を施し、カット面を含め小片全面の色艶を良好とししかも異臭やカビの発生を抑えることにより茶菓子などとして食することができるようにした乾燥脱渋柿がある。このような乾燥脱渋柿は次の方法により製造されている。
すなわち、収穫した渋柿を、室内に5〜6日間静置して室温で追熟させる。次に、この追熟された渋柿を剥皮、除蔕した後に小片状にスライスし、更に、この小片状の果肉に熱湯浸漬又は水蒸気噴霧による一次渋抜き処理を施す。しかる後、この渋抜きされた小片状の果肉に天日乾燥または遠赤外線の照射による二次渋抜き処理を施し、70〜80重量%重量減になるまでその処理を行って乾燥脱渋柿を製造するものである(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−180241号公報(第2−3頁、表1)
しかしながら、前記特許文献1記載のような乾燥脱渋柿の製造方法は、まず、収穫した渋柿を5〜6日間室温で追熟させ、次いで、この追熟させた渋柿を小片状にスライスすると共に一次渋抜き処理を施し、更に、この渋抜きされた小片状の果肉を2〜3日の間天日乾燥するか遠赤外線を4〜5日の間照射して二次渋抜き処理を施さねばならない。このように多くの工程を経ることから、それら工程を経るための広い作業場所が必要となるばかりか、多くの面倒な作業を強いられて作業性が悪い。しかも、最終的な乾燥脱渋柿を得るに6〜8日といった非常に長い時間を必要とすることから、生産性が低く製品コストもいたずらに高くなるといった課題があった。
そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、広い作業場所を必要とせず作業性も良く、生産性が高く製品コストも低廉となり、しかも、脱渋・除菌が同時に行なえ二次加工も容易に行える品質の良好な乾燥脱渋柿及び該乾燥脱渋柿の製造方法を提供することを目的とするものである。
かかる目的を達成するため請求項1記載の乾燥脱渋柿は、収穫後の追熟・脱渋されてない渋柿を剥皮、除種すると共にスライスして成形した生果肉に75〜85℃の温風を8〜14時間当てて加熱乾燥することにより得られることを特徴とする。
この際、請求項2記載の乾燥脱渋柿のように、前記温風を当てて加熱乾燥した乾燥脱渋柿を150〜180℃の油で10〜120秒間揚げるようにしても良い。
請求項3記載の乾燥脱渋柿の製造方法は、収穫後の追熟・脱渋されてない渋柿を剥皮、除種すると共にスライスし、このスライスした生果肉に75〜85℃の温風を8〜14時間当てて該スライスした生果肉を加熱乾燥するようにしたことを特徴とする。
この際も、請求項4記載の乾燥脱渋柿の製造方法のように、前記温風を当てて加熱乾燥した乾燥脱渋柿を150〜180℃の油で10〜120秒間揚げるようにしても良い。
請求項1及び請求項3記載の乾燥脱渋柿及び該乾燥脱渋柿の製造方法は、収穫後の追熟・脱渋されてない渋柿を剥皮、除種すると共にスライスし、このスライスした生果肉に75〜85℃の温風を8〜14時間当てて加熱乾燥するのみであるから、多くの工程が不要となって広い作業場所を必要とせず、面倒な作業を強いられないので作業性も良い。また、作業時間が短いことから生産性が高く製品コストも低廉になし得るという有益な効果を奏する。
しかも、このようにして75〜85℃の温風により加熱乾燥した乾燥脱渋柿は、脱渋・除菌が同時に行なえ、また、該乾燥脱渋柿の果肉内に含まれ成分を破壊する酵素が不活性化されて品質の劣化が少なくなる。よって、甘味・嗜好性・保存性に富むなど品質が良好であるばかりか、二次加工が行い易いという有益な効果を奏する。
請求項2及び請求項4記載の乾燥脱渋柿及び乾燥脱渋柿の製造方法のように、前記温風を当てて加熱乾燥した乾燥脱渋柿を150〜180℃の油で10〜120秒間揚げるようにすれば、嗜好性・保存性が一層高められるという効果を奏する。
以下、本発明に係る乾燥脱渋柿及び乾燥脱渋柿の製造方法を詳しく説明する。まず、素材としては例えば収穫適期である10月下旬〜11月中旬に収穫される渋柿が好ましい。ただ、厳密にこの範囲に限定されるものではなく、その前後多少ずれても問題はない。そして、収穫した渋柿は、追熟・脱渋することなく直ちに皮を剥くと共に蔕及び種を取り除く。脱渋柿の加工品の目的により多少異なるが、皮を剥いた渋柿を例えば厚さ5mm前後の幅でスライスし、更に、これを整形・型取りしてスライスした生果肉Cを作る。この場合、スライスの仕方は、渋柿を小片状にスライスしたもの、輪切状にスライスしたものなどその仕方は自由である。
次に、このようにしてスライスした生果肉Cを、図1に示すように送風乾燥機Aに入れて乾燥させる。この送風乾燥機Aは、密閉される乾燥機本体1の底部に床面より一定の高さ間隔離して水平な仕切り底板2が張設され、該仕切り底壁2の上側が乾燥室3になっている。該仕切り底壁2には無数の噴出し孔4が開設され、該仕切り底壁2の下側にヒーター(図示せず。)を備えた送風機5が配置される。該送風機5から放出される温風は、前記仕切り底壁2の無数の噴出し孔4からその上側の乾燥室3に送られる。
前記乾燥室3には、水平に配置される網目状の乾燥棚6が上下方向に一定の間隔離して多段に列設されている。また、乾燥室3の天井面に該乾燥室3内の温風を外気に放出する排気口7が設けられている。なお、前記各乾燥棚6は取り外し自在に設けられていることが好ましく、各乾燥棚6を取り外した状態でその上面に前記スライスした生果肉Cを並べるようにすれば便利である。
そこで、前記乾燥室3内に複数のスライスした生果肉Cを並べた乾燥棚6を多段に積重ね、密閉した状態で所定温度の温風を無数の噴出し孔4から乾燥室3内に噴出させ、各スライスした生果肉Cにその温風を所定時間当てる。これにより、甘味・嗜好性・保存性に富むなど品質の良好な乾燥脱渋柿が得られる。
通常、温風による乾燥時間が短かすぎると、前記スライスした生果肉Cは、その表面のみ硬くなり中は水分が十分に抜けないことから柔らかく、しかも、渋味も十分に抜けない。この状態では、色、味、香りといった嗜好性や保存性に問題が生ずる。また、温風による乾燥時間が長すぎると、前記スライスした生果肉Cは、渋味が十分に抜けるもののその中は水分が抜けて硬く表面の艶も悪くなる。この状態では、嗜好性に問題が生ずる。
本発明では、温風の温度は75〜85℃の間で選択されるが、中でも75〜80℃が好ましく、特に80℃が最適である。例えば、温風の温度が80℃の場合、乾燥時間が短すぎて8時間未満であると、スライスした生果肉Cに含まれ成分を作る酵素の働きが弱くて可溶性タンニンが不溶性タンニンに変化し難く、可溶性タンニンが多く残って渋みが抜けない。可溶性タンニンは、渋味を感じさせるタンニン(渋)である。また、成分を破壊する酵素が活性化して品質の劣化が多くなるばかりか、表面のみ硬く中に水分が多い状態であって嗜好性・保存性に劣る。
ところが、乾燥時間8時間を経過すると、スライスした生果肉Cに含まれるタンニンを縮合・不溶化させる酵素の働きが活発化され、可溶性タンニンをすべて不溶性タンニンに変化させ、可溶性タンニンがなくなり渋みが抜けて甘くなる。また、成分を破壊する酵素が不活性化して品質の劣化が少なくなり、しかも、スライスした生果肉Cが餅状に柔らかくなって10時間に達する頃が嗜好性・保存性の面で優れることになる。一方、乾燥時間が長すぎて14時間を経過すると、水分が抜け過ぎて硬くなり嗜好性に劣る。
ここで、表1によりスライスした生果肉C内に含有される可溶性タンニン及び総糖量や大腸菌群、一般生菌数の経時変化(100gあたり)を示す。条件は、温風80℃、風速0.5〜2.5m/sである。この表1によると、8時間以上経過すると可溶性タンニンが不溶性タンニンに変化して含有量が零になり、同時に大腸菌群及び一般生菌数も零となっている。一般生菌には好気性細菌、嫌気性細菌があるが、食中毒菌も含まれる。
次に、表2によりスライスした生果肉Cの乾燥歩留と糖度計示度の経時変化を示す。条件は、温風80℃、風速0.5〜2.5m/sである。この表2によると、時間の経過と共に乾燥歩留は低下しすなわち水分が徐々に抜け、糖度計示度はそれに伴い徐々に上昇している。
そこで、本発明では、温風の温度を75〜85℃に設定し、また、可溶性タンニン及び大腸菌群・一般生菌数が共に零になること及び嗜好性・保存性に優れるという条件を満たすべく、温風による乾燥時間を8〜14時間に設定した。そして、このように渋柿のスライスした生果肉Cを75〜85℃の温風により8〜14時間の間で急速に加熱乾燥することによって、スライスした生果肉Cが熟成しつつ渋抜きも同時に行われる。つまり、乾燥、脱渋、除菌及び蔗糖の転化(ショ糖の分解に伴いブドウ糖と果糖が生成し、甘味が増すと共に爽やかになる。)が同時に行なわれることになる。
しかも、このようにして温風により加熱乾燥した乾燥脱渋柿は、該乾燥脱渋柿の果肉内の成分を破壊する酵素が不活性化され品質の劣化が少なくなる。よって、得られた乾燥脱渋柿は甘味・嗜好性・保存性(冷蔵で1年以上の保存が可能である。)・健康機能性に富むなど品質が良好であるばかりか二次加工が行い易い。
次に、表3により温風の温度の違いによる嗜好度合い(色・味・香りの総合判定)を示す。条件は、温風の風速0.5〜2.5m/s、乾燥時間は10時間である。70〜90℃の乾燥温度の範囲を5℃の間隔で設定し、渋柿のスライスした生果肉Cを乾燥させた。そして、選択法(カイ二乗検定)を用いて得られた乾燥脱渋柿の嗜好差の有意性を検定した。表3によると、危険率0.5%未満の確率で嗜好順位に有意性が認められた。温風の温度が75〜85℃(最適80℃)で乾燥させたものが好まれると判断される。
また、表4により乾燥時間の違いによる嗜好度合い(色・味・香りの総合判定)を示す。条件は、乾燥温度80℃、風速0.5〜2.5m/sである。6〜16時間の間の乾燥時間を2時間間隔で設定し、渋柿のスライスした生果肉Cを乾燥させた。そして、選択法(カイ二乗検定)を用いて得られた乾燥脱渋柿の嗜好差の有意性を検定した。表4によると、危険率0.5%未満の確率で嗜好順位に有意性が認められた。温風による乾燥時間が8〜14時間(最適10時間)で乾燥させたものが好まれると判断される。
本発明の乾燥脱渋柿及び該乾燥脱渋柿の製造方法によれば、追熟・脱渋されてない収穫後の渋柿を剥皮、除種すると共にスライスし、このスライスした生果肉Cに75〜85℃の温風を8〜14時間当てて加熱乾燥するものであって、従来のような収穫後の追熟、一次・二次渋抜き処理などの多くの面倒な作業や多くの作業日数が不要となる。すなわち、渋柿の収穫から乾燥製品の出荷までほんの1日で完了でき極めて生産性が高く、製品コストも低廉になし得る。
また、このようにして温風により加熱乾燥した乾燥脱渋柿は、脱渋・除菌が同時に行なえ、しかも、該乾燥脱渋柿の果肉内の酵素が不活性化され品質の劣化が少ないことから、得られた乾燥脱渋柿は甘味・嗜好性・保存性に富むなど品質が良好であるばかりか二次加工が行い易い。例えば、乾燥脱渋柿にチョコレート、ココア、糖類、バター、チーズ、ヨーグルト、マヨネーズ等の他の食品を掛け合わせるといった二次加工が容易に行え、それらとの相性も良い。
前記乾燥脱渋柿及び該乾燥脱渋柿の製造方法にあっては、温風を当てて加熱乾燥した後、150〜180℃の油で10〜120秒間揚げるようにしても良い。これにより、嗜好性・保存性が一層高められることになり、また、この場合も二次加工が容易に行える。
C スライスした生果肉
Claims (4)
- 収穫後の追熟・脱渋されてない渋柿を剥皮、除種すると共にスライスして成形した生果肉に75〜85℃の温風を8〜14時間当てて加熱乾燥することにより得られることを特徴とする乾燥脱渋柿。
- 前記温風を当てて加熱乾燥した乾燥脱渋柿を150〜180℃の油で10〜120秒間揚げるようにした請求項1記載の乾燥脱渋柿。
- 収穫後の追熟・脱渋されてない渋柿を剥皮、除種すると共にスライスし、このスライスした生果肉に75〜85℃の温風を8〜14時間当てて該スライスした生果肉を加熱乾燥するようにしたことを特徴とする乾燥脱渋柿の製造方法。
- 前記温風を当てて加熱乾燥した乾燥脱渋柿を150〜180℃の油で10〜120秒間揚げるようにした請求項3記載の乾燥脱渋柿の製造方法。
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JP2006079178A JP2007252253A (ja) | 2006-03-22 | 2006-03-22 | 乾燥脱渋柿及び該乾燥脱渋柿の製造方法 |
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JP2012228198A (ja) * | 2011-04-26 | 2012-11-22 | Fumiko Noen:Kk | 乾燥柿及びその製造方法 |
CN109567090A (zh) * | 2018-12-12 | 2019-04-05 | 赣南医学院 | 一种南酸枣糕及其制备方法 |
-
2006
- 2006-03-22 JP JP2006079178A patent/JP2007252253A/ja active Pending
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