JP2008301445A - マルチホップ通信ネットワークにおける隣接ノード探索方法、マルチホップ通信ネットワークのノード - Google Patents

マルチホップ通信ネットワークにおける隣接ノード探索方法、マルチホップ通信ネットワークのノード Download PDF

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Abstract

【課題】ネットワークトポロジの変化を迅速に検出しながらも、トラフィックの増加を抑制し通信データの使用する帯域の低下を防止する。
【解決手段】複数個のノードNからなるマルチホップ通信ネットワークにおいて、通信手段11が適時にハローメッセージを送信し、直接通信する隣接ノードNとの間のリンクコストを求めて隣接ノードテーブルTb1に登録する。通信データを伝送するルートは各ノードNの隣接ノードテーブルTb1に登録されたリンクコストを用いて選択される。信号処理手段10は、通常モードでは第1の時間間隔で第1のハローメッセージを送信させるが、電源投入直後は通常モードよりも短い時間間隔で第2のハローメッセージを送信させる過渡モードを選択する。第2のハローメッセージを受信した通常モードのノードNは、通常モードよりも短い時間間隔で第1のハローメッセージを送信する。
【選択図】図1

Description

本発明は、通信ネットワーク上に存在するノード間で通信する際に、他のノードによる通信の中継を可能にしたマルチホップ通信ネットワークにおいて、他のノードの中継なしし直接通信することができるノードを探索するマルチホップ通信ネットワークにおける隣接ノード探索方法、当該隣接ノードの探索方法に対応したマルチホップ通信ネットワークのノードに関するものである。
従来から、通信ネットワーク上に存在するノード(すなわち、通信端末)間で通信する際に、情報を伝送しようとするノード間で通信を直接行うことができない場合に、他のノードを通信の中継に用いることによって通信を可能にする技術が知られており、とくに通信ネットワークの一つである無線ネットワークにおいてこの技術を用いることが提案されている。この種の無線ネットワークは、マルチホップ無線ネットワークと呼ばれている。
無線ネットワークでは、ノードが移動したり雑音の影響を受けることにより、通信のルートの通信品質が時間経過に伴って変化する上に、通信可能であったノードとのルートが不通になって通信ネットワークのネットワークトポロジが時間経過に伴って変化するから、ノード間で通信を維持するには、ノード間で経路情報を交換し、使用可能なルートを探索するとともに使用可能なルートのうち通信品質のよいルートを選択することが必要である。
ところで、無線ネットワークにおける上述の問題は、電力線を伝送路に用いる電力線搬送通信(以下、「PLC」(Power Line Communication)と略称する)の技術を用いて構築した通信ネットワークであるPLCネットワークにおいても生じる。PLCネットワークの用途としては、たとえば、集合住宅において各住戸と管理室とにそれぞれノードを設置することによって、各住戸の設備機器を集中監視・制御するシステムが提案されている。
この種のシステムでは、電力線をルートに用いて高周波の搬送波信号を用いて情報を伝送するものであるから、搬送波信号には微弱な電力を用いており、集合住宅のように電力線の総延長が長くなると、各住戸に設置したノードから管理室のノードに対して通信を直接行うことができない場合が生じる。また、PLCネットワークはノードを電力線に接続するものであるから、電力線に接続された負荷機器により発生する雑音が通信品質に影響し、ノードを電力線のコンセントに接続する場合にはコンセントに対するノードの抜き差しによってネットワークトポロジが変化することになる。
したがって、PLCネットワークにおいても、マルチホップ無線ネットワークと同様に、他のノードを通信の中継に用いるとともに、ルートを探索し選択するマルチホップ通信ネットワークの技術が要求される。PLCネットワークにマルチホップ通信ネットワークの技術を適用した事例は知られている(たとえば、特許文献1参照)。
ところで、マルチホップ通信ネットワークでは、通信を開始する前にどのノードを通るルートを用いるかを探索して選択しなければならない。ルートの探索は、通信しようとする出発点のノードと到着点のノードとの間に存在する可能なルートを見つけ出す処理であり、ルートの選択は、可能なルートのうち通信品質が上位であるルートを選び出す処理である。
ルートを探索するには、まず他のノードの中継なしに通信することができるノードの対(言い換えれば、ノード間のリンク)を検出する必要がある。このようなリンクがわかれば、リンクを辿ることにより通信データの出発点と到着点とのノードを結ぶルートを追跡することができる。一方、ルートを選択するには、リンクごとの通信品質を評価する必要がある。すなわち、探索により得られたルートのうちで、通信品質が良好であるルートを採用するのが望ましいから、各リンクの通信品質を適宜の評価値で評価し、この評価値を用いて出発点から到着点までの通信品質を推定し、通信品質が良好なルートを選択するのである。
他のノードの中継なしに通信することができるノードの対を検出する技術としては、特許文献1において、各ノードが適時にハローメッセージと称する信号を送受信し、ハローメッセージをノードが受信することによって受信方向の通信品質を取得し、さらに受信側のノードから受信方向の通信品質を含むハローメッセージを送信することにより、送信側のノードに送信方向の通信品質を取得させる技術が示されている。
特開2006−67557号公報
ところで、ハローメッセージは隣接ノードを検出するために用いているから、ハローメッセージを送信する時間間隔が短いほどネットワークトポロジの変化を検出しやすくなる。一方、ハローメッセージを送信する頻度が高くなると、ルートを検出するためのトラフィックが増加し、本来の通信データで利用可能な帯域が狭くなるという問題が生じる。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、通信ネットワーク内に新たなノードが追加されたときや通信ネットワークから利用できるリンクが消失したときのようなネットワークトポロジの変化を迅速に検出できるようにしながらも、トラフィックの増加を抑制し通信データの使用する帯域の低下を防止したマルチホップ通信ネットワークにおける隣接ノード探索方法、マルチホップ通信ネットワークのノードを提供することにある。
請求項1の発明は、複数個のノードを備えノード間での通信時に他のノードによる通信の中継を可能としたマルチホップ通信ネットワークにおいて他のノードによる中継なしに通信可能なノードである隣接ノードを探索する方法であって、各ノードは、第1の時間間隔で自アドレスを情報に含む第1のハローメッセージを送信する通常モードと、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で自アドレスを情報に含む第2のハローメッセージを送信する過渡モードとの動作モードを有し、通常モードのノードは、第2のハローメッセージを受信すると、第1の時間間隔よりも短い時間間隔で第1のハローメッセージを送信することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ノードが通常モードであるときに第2のハローメッセージを受信すると、第1のハローメッセージを送信する時間間隔を第1の時間間隔から第2の時間間隔に変更することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記ノードは、相手ノードから受信したハローメッセージの種類に応じて相手ノードの動作モードの種別を相手ノードのアドレスに対応付けて登録する隣接ノードテーブルを備え、通常モードのノードでは、第1の時間間隔で送信する第1のハローメッセージには、隣接ノードテーブルに登録されたすべての隣接ノードのアドレスを含め、第1のハローメッセージを第1の時間間隔よりも短い時間間隔で送信する際には、第1のハローメッセージには、隣接ノードテーブルに登録された隣接ノードのうち通常モードのノードのアドレスを含めないことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明において、前記ノードが通常モードであるときに、第2のハローメッセージの受信が最初に成功してから規定した時間は第1の時間間隔よりも短い時間間隔で第1のハローメッセージを送信することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明において、前記ノードが通常モードであるときに、第2のハローメッセージの受信が最初に成功してから規定した回数は第1の時間間隔よりも短い時間間隔で第1のハローメッセージを送信することを特徴とする。
請求項6の発明は、複数個のノードを備えノード間での通信時に他のノードによる通信の中継を可能としたマルチホップ通信ネットワークに用いるノードであって、自アドレスを含むハローメッセージを送信するとともにハローメッセージを受信すると自アドレスを情報に含むハローメッセージを送信することにより相手ノードに隣接アドレスを取得させる通信手段と、ハローメッセージを送信する時間間隔を第1の時間間隔と第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔とから選択するタイマと、第1の時間間隔で第1のハローメッセージを送信する通常モードと第2の時間間隔で第2のハローメッセージを送信する過渡モードとを選択する信号処理手段とを有し、
信号処理手段は、通常モードのときに通信手段を通して第2のハローメッセージを受信すると、第2の時間間隔で第1のハローメッセージを送信させることを特徴とする。
請求項1、6の発明の構成によれば、第1の時間間隔で第1のハローメッセージを送信する通常モードと、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で第2のハローメッセージを送信する過渡モードとを選択可能にし、通常モードのノードは、第2のハローメッセージを受信したときに第1の時間間隔よりも短い時間間隔で第1のハローメッセージを送信するから、いずれかのノードが第2のハローメッセージを送信したときには、第2のハローメッセージを受信したノードのみが短い時間間隔で第1のハローメッセージを送信することになり、他のノードはトラフィックを増加させることがない。つまり、トラフィックの増加が通信ネットワークの一部で局所的に生じるだけで、他の箇所に波及しないから、通信ネットワークの全体でみればトラフィックの増加を抑制することができる。その結果、本来の通信データの伝送に利用できる帯域を狭めることなくルートの探索が可能になる。しかも、第1の時間間隔よりも短い時間間隔で第1のハローメッセージを送信することにより、通信ネットワークに新規に参入し第2のハローメッセージを送信したノードは短時間で隣接ノードとのリンクの状態を把握でき、ルートを早期に検出することが可能になる。
ここで、第2のハローメッセージを受信したノードが第2のハローメッセージを送信すると、さらに他のノードが短い時間間隔で応答することになってトラフィックの増加が通信ネットワークの全体に波及することになるが、第2のハローメッセージを受信したノードは第1のハローメッセージを送信するから、第2のハローメッセージを送信したノードと直接通信するノード以外には第2のハローメッセージが伝播せず、第2のハローメッセージが伝播する領域を通信ネットワーク内の局所に限定することができる。
請求項2の発明の構成によれば、通常モードのノードが第2のハローメッセージを受信したときに、第1のハローメッセージを送信する時間間隔を過渡モードにおいて利用する時間間隔に切り換えるだけであって、各ノードでは2種類の時間間隔が選択可能であればよいから、3種類以上の時間間隔を選択する場合よりも容易に実現することができる。しかも、時間間隔を切り換えるから1個のタイマのみで実現することができ、それぞれ異なる時間間隔を時限する複数のタイマを用意して各タイマを管理する場合に比較すると、ハードウェア資源も少なくなる。たとえば、マイクロコンピュータを用いる場合に、利用できるタイマの個数が少ない低性能のものでも利用可能になる利点がある。
請求項3の発明の構成によれば、通常モードのノードにおいて、第1の時間間隔で第1のハローメッセージを送信する際には隣接ノードテーブルに登録されているすべての隣接ノードのアドレスを第1のハローメッセージの情報に含めるが、第1のハローメッセージを送信する時間間隔を第1の時間間隔よりも短くする際には、第1のハローメッセージに含める情報として、隣接ノードに登録されている隣接ノードのうち通常モードのノードのアドレスを除いているから、隣接ノードに過渡モードのノードが含まれるときには、第1のハローメッセージに含める情報量を低減してトラフィックの増加を抑制することができる。また、第1のハローメッセージの情報量が小さいから第1のハローメッセージを送信する時間間隔の短縮が可能になる。
請求項4、5の発明の構成によれば、たとえば、新規なノードが第2のハローメッセージを送信したことに呼応して既存のノードから第1のハローメッセージが送信されたときに、既存のノードからの第1のハローメッセージを新規なノードにおいて受信しそこなったとしても、既存のノードから第1のハローメッセージが短時間に繰り返して送信されるから、新規のノードで隣接ノードに関する情報を早期に得られる確率が向上する。
(基本構成)
マルチホップ通信ネットワークにおいて、通信データの出発点と到着点となるノードの間のルートを決めるには、他のノードの中継なしに直接通信が可能なノードの対を検出するとともに、対になる各ノード間のリンクにおける通信品質を評価することが必要である。また、通信データの出発点と到着点との間で取りうる通信経路(ルート)を探索し、通信可能なルートのうち通信品質の高いルートを選択することが必要である。
以下に説明する実施形態では、ルートの通信品質に関する評価に、隣接するノードが送信した信号の受信強度と、情報を伝送するルート内に含まれるノードについて隣接するノードを結ぶリンクの本数(以下、「ホップ数」と呼ぶ)とを用いる(ノードが隣接するとは、2つのノード間で他のノードによる中継なしに通信が可能であることを意味し、隣接ノードの間はホップ数が1である)。したがって、ホップ数は、ルートを構成するノード(ルートの両端のノードを含む)の個数から1を引いた値になる。ルートの通信品質は、信号強度が大きくホップ数が少ないほどよいと評価し、探索されたルートのなかで通信品質ができるだけよいルートを選択する。
たとえば、直接通信が可能なノード間の信号強度を複数段階(たとえば、10段階)に分割してコード化した値(以下、このコードをSQ(Signal Quality)と呼ぶ)を用い、通信ネットワーク内における通信データを伝送する2ノード間の通信品質を、次式で求められるルートコストによって評価する。つまり、ルートコストが通信品質の評価値になる。
(ルートコスト)=Ka×(ルート内の各リンクに関するSQ値の総和)+Kb×(ホップ数)
ただし、Ka,Kbは重み係数である。なお、以下では、Kb=0の場合について説明する。
通信データの出発点と到着点となるノードの間に中継する2個のノードの存在するルートがあり、各リンクのSQが、それぞれ3、4、5であれば、ルートコストは、Ka×(3+4+5)+Kb×3=12・Ka+3・Kbになる。
ところで、ルートコストのうち各リンクごとのSQ値に重み係数Kaを乗じた値は、直接通信が可能な互いに隣接ノードとなる2個のノード間のリンクに関する通信品質の評価値であって、以下ではこの評価値をリンクコストと呼ぶ。リンクコストは、通信する2個のノード間において、どちらのノードを送信側とするかによって変化することがあるから、相手ノードからの信号の受信強度により得られるリンクコスト(受信側の通信品質の評価値)を受信リンクコストと呼び、自ノードからの信号を相手ノードが受信したときの受信強度により得られるリンクコスト(送信側の通信品質の評価値)を送信リンクコストと呼ぶ。
各ノードは隣接ノードに関して受信リンクコストおよび送信リンクコストを相手ノードのアドレスに対応付けて登録する隣接ノードテーブルを備える。通信ネットワーク内の各リンクのリンクコストは、受信リンクコストと送信リンクコストとのうち値の大きいほうを用いる。つまり、各リンクのリンクコストを通信品質の悪いほうで評価する。
隣接ノードテーブルは、図6に示すように、隣接ノードごとに付与されているアドレス(隣接ノードアドレス)と、隣接ノードごとの受信リンクコストと、隣接ノードごとの送信リンクコストとの各項目を登録するフィールドを備える。ルートコストは上述した演算により求められたルートコストである。ただし、ルートに含まれる各リンクのリンクコストは重み係数Kaをすでに乗じてあるから、Ka×(ルート内の各リンクに関するSQ値の総和)は、ルートに含まれる各リンクのリンクコストの総和によって求められる。上位コストについては後述する。なお、隣接ノードテーブルでは、実際には、上位コストに関するデータとして、ルート上のノードのアドレスとルートの各リンクのリンクコストとの情報を保持しているが、ここでは、説明を簡単にするために、上位コストをルート上のリンクコストの合計として扱いノードのアドレスについては考慮しない。
まず、隣接する2個のノードに着目してリンクコストを取得する動作を説明する。1個のノードに複数のノードが隣接する場合であってもリンクコストを取得する基本的な手順は同様である。リンクコストの取得には、通信データとは別に適宜の時間間隔で送信するハローメッセージを用いる。各ノードはハローメッセージに自アドレスを含めてブロードキャスト送信により送信する。
いま、図5に示すように、リンクコストを求める2個のノードA,Bに着目し、ノードAが最初にハローメッセージを送信する場合を想定する。ノードAからハローメッセージH1を送信すると、ノードBがノードAが送信したハローメッセージH1を直接受信できる場合には、ノードBにおいて受信リンクコストを取得する。ノードBが取得した受信リンクコストは、図6(a)のように、ノードBの隣接ノードテーブルにおいて、ノードAの隣接ノードアドレスに対応付けて登録される(ここでは、受信リンクコストが「8」)。ハローメッセージH1の送信は適時に行うが、通常は一定の時間間隔で定期的に行う。
次に、ノードBでは、ハローメッセージH1の送信元であるノードAのアドレスと受信リンクコストとを情報に含めたハローメッセージH2を送信する。このハローメッセージH2を受信したノードAでは、ハローメッセージH2によってノードBからの信号を受信したときの受信リンクコストを求めることができるから、図6(b)のように、この受信リンクコストをノードBのアドレスに対応付けて隣接ノードテーブルに登録する(ここでは、受信リンクコストが「5」)。また、ハローメッセージH2には、自アドレスと相手ノードBがハローメッセージH1を受信したときの受信リンクコストとが含まれているから、この受信リンクコストをノードAからノードBへの送信リンクコストとしノードBのアドレスに対応付けて隣接ノードテーブルに登録する(つまり、ノードBに対する送信リンクコストは「8」)。
その後、ノードAはふたたびハローメッセージH3を送信する。このハローメッセージH3は、ノードBからハローメッセージH2を受信したときの受信リンクコストとノードBのアドレスとを情報に含んでいる。したがって、ノードBではハローメッセージH3に含まれる情報としてノードAにハローメッセージH2を送信したときの送信リンクコストを取得することができる(つまり、ノードAい対する送信リンクコストは「5」)。ノードBでは、図6(c)のように、ノードAから受け取った受信リンクコストをノードBからノードAへの送信リンクコストとしノードAのアドレスに対応付けて隣接ノードテーブルに登録する。
上述のように、互いに隣接ノードとなるノードA,Bの間では、ハローメッセージH1〜H3を3回送受信することにより、双方向のリンクコストを隣接ノードテーブルに登録することができる。また、上述の手順から明らかなように、3個のハローメッセージH1〜H3の送受信後には、隣接するノードの隣接ノードテーブルの内容は相補的な内容になる。ここに、相補的であるということは、一方の内容が失われても他方の内容を復元できることになる。
ところで、実際の通信ネットワークは、図7に示すように、多数個(図示例では7個)のノードN0〜N6を含んでいる。ノードN0〜N6は対等に扱うことが可能であるが、ここでは、1つのノードN0を親ノードとしたマスタースレーブ型の通信ネットワークを用いて説明する。マスタースレーブ型の通信ネットワークでは、親ノードN0を除く他のノードN1〜N6は子ノードであり、通信データを伝送するルートの一端は親ノードN0になり、他端はいずれかの子ノードN1〜N6になる。マスタースレーブ型の通信ネットワークでは、通信データを伝送するルートの一端になる子ノードN1〜N6を除く子ノードN1〜N6は、必要に応じて通信を中継する。各子ノードN1〜N6は親ノードN0との間に介在する子ノードN1〜N6の個数が多いほど(つまり、ホップ数が大きいほど)下位であるということができる。どの子ノードN1〜N6が親ノードN0との間のルートに含まれて中継を行うかは、以下に説明する手順で決められる。また、マスタースレーブ型の通信ネットワークは説明の都合上で用いるが、各ノードN0〜N6は対等な関係であってもよい。
上述したように、隣接するノードN0〜N6の間ではハローメッセージH1〜H3を3回送受信することにより、受信リンクコストと送信リンクコストとを取得することができる。
ここで、図7に示す通信ネットワーク(ネットワークトポロジは、リンクコストの取得途中で変化しないものとする)について考察する。マルチホップ通信ネットワークでは、隣接ノードテーブルにデータが登録されるまでは、中継なしに直接通信することができるノードN0〜N6が未知であるから、隣接ノードを探索するために送信するハローメッセージH1〜H3は、ブロードキャストによって送信される。
すなわち、各ノードN0〜N6では、それぞれハローメッセージ(ハローメッセージH1に相当)を送信する。ただし、マスタースレーブ型の通信ネットワークであるから、親ノードN0からハローメッセージの送信を開始する。親ノードN0に隣接する子ノードN1,N2がハローメッセージを受信すると、子ノードN1,N2は、図5および図6を用いて説明した手順で親ノードN0との間で受信リンクコストおよび送信リンクコストを求める。
子ノードN1,N2が送信リンクコストを取得すると、各子ノードN1,N2はブロードキャストによってハローメッセージを送信する。親ノードN0は、受信リンクコストおよび送信リンクコストをすでに取得しているが、子ノードN1,N2が送信したハローメッセージ(ハローメッセージH1に相当)に応答する。このような動作を順次繰り返すことによって、各子ノードN1〜N6は隣接するノードとの間の受信リンクコストおよび送信リンクコストを取得し、隣接ノードテーブルに隣接ノードとの間の受信リンクコストおよび送信リンクコストを登録する。
子ノードN6を例として、受信リンクコストの取得後に送信リンクコストを取得するまでの手順をさらに詳しく説明する。子ノードN6は、隣接する子ノードN1,N3,N4,N5からハローメッセージを受信するから、図8に示すように、各子ノードN1,N3,N4,N5ごとの受信リンクコストを隣接ノードアドレスに対応付けて隣接ノードテーブルに登録する。
ここで、各子ノードN1,N3,N4,N5よりも上位のノードについては、それぞれが受信リンクコストと送信リンクコストを保有しているから、受信リンクコストと送信リンクコストとの大きいほうを当該子ノードN1,N3,N4,N5のリンクコストとし、上位の各子ノードN1,N3,N4,N5のいずれかを通って親ノードN0に至るルートについて、各子ノードN1,N3,N4,N5ごとにリンクコストの和の最小値を求める。このようにして求めた最小値を、各子ノードN1,N3,N4,N5ごとの「上位コスト」と呼ぶ。この時点では、子ノードN6は、隣接する各子ノードN1,N3,N4,N5との間の送信リンクコストを取得していないが、子ノードN1,N3,N4,N5では送信リンクコストをすでに取得して上位コストを決定しているのである。上位コストも隣接ノードテーブルに登録される。上述したように、上位コストに関する情報は、実際には、各子ノードN1,N3,N4,N5から親ノードN0までのルート上の各ノードのアドレスと各リンクのリンクコストとの個々の情報として登録されており、上位コストを求めるにはルート上のリンクについてリンクコストの総和を求める。
いま、図7における各ノードN0〜N6の間で、子ノードN1,N3,N4,N5と子ノードN6との間を除いては送信リンクコストが決定され、その値が隣接するノードN0〜N5を結ぶ直線(リンク)に対応付けて表記した値であるものとする。また、子ノードN1,N3,N4,N5と子ノードN6との間では、ハローメッセージの検出によって、受信リンクコストのみが既知になっているものとする(図7において*を付記した値は受信リンクコストである)。
図7によれば、子ノードN1,N3,N4,N5が送出したハローメッセージを子ノードN6が受信することにより取得される受信リンクコストは、それぞれ15,28,6,7であり、図8に示すように、子ノードN6の隣接ノードテーブルに、子ノードN1,N3,N4,N5のアドレスが隣接ノードアドレスとして登録されるとともに、それぞれの受信リンクコストが登録される。
図8の例では、各子ノードN1,N3,N4,N5ごとの親ノードN0へのルートの中でリンクコストが最小になるのは、それぞれ親ノードN0、子ノードN1→親ノードN0、子ノードN2→親ノードN0(または子ノードN1→親ノードN0)、子ノードN3→子ノードN1→親ノードN0のルートであって、各ルートの送信リンクコストの総和(つまり、上位コスト)は、それぞれ11,20(=11+9),30(=20+10または=11+9+10),16(=11+5)になる。
そこで、隣接する各子ノードN1,N3,N4,N5と着目する子ノードN6との間の受信リンクコストと、隣接する各子ノードN1,N3,N4,N5のそれぞれの上位コストとの加算値を、着目する子ノードN6から親ノードN0への送信リンクコストを反映する仮のルートコストとする。このようにして求めた仮のルートコストは、着目する子ノードN6の隣接ノードテーブルにおいて、隣接する各子ノードN1,N3,N4,N5に対応付けて「ルートコスト」の項目に登録される。図8において、ルートコストに*を付記しているのは、上位コストと受信リンクコストとによって求めた仮のルートコストであることを示す。
ところで、子ノードN6の隣接ノードテーブルにおいて送信リンクコストを求めるには、子ノードN6から隣接する各子ノードN1,N3,N4,N5のそれぞれにハローメッセージを送信する必要がある。ただし、子ノードN6から親ノードN0へのルートが複数存在する場合には、リンクコストの総和がなるべく小さいルートを選択するのが望ましい。
上述した例では、着目する子ノードN6に隣接する子ノードN1,N3,N4,N5が4個あり、各子ノードN1,N3,N4,N5を通って親ノードN0に至るルートについて、各子ノードN1,N3,N4,N5ごとにそれぞれリンクコストの総和の最小値を上位コストとして求めているから、上位コストを求めた4種類のルートについて通信品質(リンクコスト)を比較すれば、着目する子ノードN6が親ノードN0に情報を送信するのに適したルートを選択することができると考えられる。
そこで、着目する子ノードN6から親ノードN0に向かうルートを仮のルートコストによって評価する。ここで、子ノードN6に隣接する4個の各子ノードN1,N3,N4,N5に対して、着目する子ノードN6からそれぞれハローメッセージを送信してもよいが、実際に用いるルートは1種類であるから、予備のルートを含めて通信品質の上位から適数個のルート(2ルート程度)を選択してハローメッセージを送信する。図8の例では、着目する子ノードN6に隣接する子ノードN1,N3,N4,N5のうち、仮のルートコストが上位の2番までになっているのが、子ノードN1と子ノードN5とであるから、この2個の子ノードN1,N5に対してのみ子ノードN6からハローメッセージ(図5のハローメッセージH2に相当)を送信する。
このハローメッセージを受け取った子ノードN1,N5は、ハローメッセージ(図5のハローメッセージH3に相当)を用いて子ノードN6に対して、子ノードN1,N5に登録した受信リンクコストを返送する。すなわち、図9のように、子ノードN6では子ノードN1,N5に対する送信リンクコストを取得することができる。このように送信リンクコストを取得した子ノードN1,N5を通って親ノードN0に至るルートについては、送信リンクコストと上位コストとを加算することによって、仮のルートコストではなく正式のルートコストを得ることができるから、ルートコストの値を更新する。すなわち、図9のように、送信リンクコストを取得したノードN1,N5に対しては正式のルートコストが求められ、他のノードN3,N4に対しては仮のルートコストが用いられる。
上述の手順によって、親ノードN0との通信を行う子ノードN6において、子ノードN1,N5が通信を中継する2つのルートについて正式のルートコストが得られる。正式のルートコストが得られていることは、隣接ノードについて受信リンクコストと送信リンクコストとの双方向のリンクコストが求められていることになるから、以下では、この状態を「2WAY」と呼び、隣接ノードについて受信リンクコストのみが得られている場合を「1WAY」と呼ぶ。
子ノードN6が親ノードN0と通信を行う際には、ルートコスト(親ノードN0に向かうリンクコストの総和)が最小であるルートを最良のルートとして選択する。選択されたルートは、トポロジ通知メッセージを用いて親ノードN0に通知され、親ノードN0では子ノードN6までのルート情報を入手することができる。トポロジ通知メッセージは適時に送信すればよいが、通常は一定の時間間隔で定期的に送信される。
つまり、図9の例では、子ノードN5を通るルートについてルートコストが得られているから、子ノードN6→子ノードN5→子ノードN1→親ノードN0のルートを用いてトポロジ通知メッセージが送信される。このとき、子ノードN6は、子ノードN5だけではなく、正式のルートコストを求めた2個の子ノードN1,N5についてのルートコストをトポロジ通知メッセージに情報として含め、ユニキャストで子ノードN5に送信する。子ノードN5から親ノードN0までに経由する子ノードN1は、子ノードN5において既知であるから、子ノードN5は子ノードN6から受け取ったトポロジ通知メッセージの内容をユニキャストで子ノードN1に送信する。同様にして子ノードN1は親ノードN0に向かってトポロジ通知メッセージを送信する。親ノードN0では、受信したトポロジ通知メッセージの内容を用いて、子ノードN6との間のネットワークトポロジを把握する。
各子ノードN1〜N6の隣接ノードテーブルに受信リンクコストおよび送信リンクコストを登録するために用いられるハローメッセージは、図10に示すように、送信元であるノードの自アドレスSIDと、メッセージの種類を示すタイプTYと、送信元のノードの種類を示すノード種別NCと、ハローメッセージの内容に応じて3種類から少なくとも1種類が選択されるサブメッセージSB1,SB2,SB3とを有している。図6に示したハローメッセージH1,H2,H3はタイプTYは同じであるが、それぞれ異なるサブメッセージSB1,SB2,SB3を有している。
ハローメッセージでは、タイプTYはハローメッセージを示し、ノード種別NCはハローメッセージの送信元であるから親ノードの場合と子ノードの場合とがある。
サブメッセージSB1は、各子ノードN1〜N6が親ノードN0との通信の際に形成するルートのホップ数(つまり、親ノードN0までのノード数)と、ルート上の各ノードのアドレスおよび各ノード間のリンクコストの情報を持ち、図5のハローメッセージH1の内容として下位の子ノードN1〜N6に伝送される。サブメッセージSB1の内容を受信した下位の子ノードN1〜N6は上位コストを知ることができる。
サブメッセージSB2は、隣接ノードについて受信リンクコストのみが得られている1WAYの子ノードN1〜N6が、受信リンクコストが上位である適数個の隣接ノードについて、アドレスおよびリンクコスト(相手ノードの送信リンクコスト)の情報を持ち、図5のハローメッセージH2の内容としてハローメッセージH1の送信元である上位のノードに伝送される。
サブメッセージSB3は、受信リンクコストと送信リンクコストとが得られている2WAYのノードが、ハローメッセージH2により検出した受信リンクコストを相手側の子ノードN1〜N6に返送する際に用いる。つまり、下位の隣接ノードのアドレスおよびリンクコスト(相手ノードの送信リンクコスト)の情報をもち、図5のハローメッセージH3の内容として下位の子ノードN1〜N6に伝送される。
したがって、各サブメッセージSB1,SB2,SB3は、図11に示すように、サブメッセージタイプSTYにより3種類のサブメッセージSB1,SB2,SB3を区別し、サブメッセージSB1,SB2,SB3に含まれるノード数(サブメッセージSB1では親ノードN0までのホップ数)LNと、各ノードのアドレスNIDおよびリンクコストLCとの情報を持つ可変長のフォーマットを有する。
上述のように、ハローメッセージH1には、送信元の子ノードN1〜N6から親ノードN0までのルート上のノードのアドレスおよびリンクコストが含まれるから、ハローメッセージH1を受信した下位の子ノードN1〜N6の隣接ノードテーブルには、図12に示すように、親ノードN0までの各ノードごとに1ホップ目から順にリンクコスト(LC)およびアドレス(NID)が個別に保持される。このようなノードごとのリンクコストおよびアドレスが図6の上位コストの内容に相当する。また、図12に示す隣接ノードテーブルでは、リンク状態(1WAY、2WAY)を項目に備えている。リンク状態に相当する情報は、受信リンクコストと送信リンクコストとの情報の有無によっても知ることが可能である。
トポロジ通知メッセージは、図13に示すように、メッセージの種類を示すタイプTYと、送信元のノードの種類を示すノード種別NCと、2種類のサブメッセージSb1,Sb2とのフィールドを備える。つまり、トポロジ通知メッセージのフォーマットはハローメッセージとほぼ同様である。ただし、サブメッセージSb1,Sb2の内容は異なる。
トポロジ通知メッセージでは、タイプTYはトポロジ通知メッセージを示し、ノード種別NCはトポロジ通知メッセージの送信元のノードであるから子ノードになる。
サブメッセージSb1は、親ノードN0へのルートを示し、トポロジ通知メッセージの送信元である子ノード(上述の例では子ノードN6)を含めて、親ノードN0までのルートに含まれる子ノード(上述の例では、子ノードN6,N5,N1)のアドレスが順に並べられる。つまり、ハローメッセージにおけるサブメッセージSB1とほぼ同様の内容になるが、自ノードのアドレスを含む点が相違する。
サブメッセージSb2は、送信元の子ノード(上述の例では子ノードN6)に隣接する上位側のノードのうちルートコストを求めた子ノード(上述の例では子ノードN1,N5)のアドレスが並べられる。
各サブメッセージSb1,Sb2はは可変長である。また、サブメッセージSb1はトポロジ通知メッセージに必須であって省略することはできないが、サブメッセージSb2はは省略することが可能である。
(実施形態)
本実施形態は、上述した基本構成に以下の機能を付加したものである。ノードNは、通信機能を備えるとともに後述する処理を行うマイクロコンピュータを備えた通信端末であって、図1に示すように、通信手段11を備える。通信手段11は、通信データを送受信するほか、上述したハローメッセージの送受信、上述したトポロジ通知メッセージの送受信などを行う。
ノードNには、上述したように隣接ノードテーブルTb1が設けられる。隣接ノードテーブルTb1の内容は、上述したように、隣接ノードアドレス、受信リンクコスト、送信リンクコストなどであり、通信手段11によりハローメッセージを送受信することによって隣接ノードテーブルTb1の情報が登録される。さらに、ノードNには、他のノードとのデータ通信の際に使用可能なルートの情報を保持したリンク情報テーブルTb2が設けられる。リンク情報テーブルTb2は要旨ではないから詳述しないが、リンク情報テーブルTb2には、各ノードが他のノードと通信する際のルートにおける各リンクのリンクコストを、リンクの両端のノードのアドレスとともに登録してある。したがって、通信相手までのルートをリンク情報テーブルから容易に探し出すことができる。ルートの探索および選択には、ダイクストラ法などの最少リンクコストルート選択アルゴリズムを用いればよい。
各ノードNは、2種類のハローメッセージを選択して用い、通常のハローメッセージ(第1のハローメッセージ)とは別に、新規のノードが既存のノードの中から隣接ノードを探索しようとする場合や、既存のノードが隣接ノードテーブルTb1において隣接ノードに関する情報を喪失して隣接ノードの再度の検出が必要になった場合に用いられるハローメッセージ(第2のハローメッセージ)を通信手段11から送信することが可能になっている。以下では、第1のハローメッセージを送信する状態を通常モードと呼び、第2のハローメッセージを送信する状態を過渡モードと呼ぶ。第1のハローメッセージと第2のハローメッセージとは、それぞれ自アドレスSID(図10参照)を情報に含んでいる。
通常モードと過渡モードとは信号処理手段10により選択される。また、信号処理手段10にはタイマ12が付設され、タイマ12では、通常モードにおいて第1のハローメッセージを送信する時間間隔を長いほうの第1の時間間隔と短いほうの第2の時間間隔とから選択することができ、過渡モードにおいて第2のハローメッセージを送信する時間間隔は通常モードにおける第2の時間間隔と等しくしてある。ただし、通常モードにおいて短いほうの時間間隔は過渡モードにおける時間間隔とは異なっていてもよく、第1の時間間隔よりも短ければよい。第1のハローメッセージと第2のハローメッセージとは、図10に示したハローメッセージのフォーマットにおけるタイプTYによって指定する。つまり、ハローメッセージは、タイプTYにより、第1のハローメッセージ(通常ハロー)と第2のハローメッセージ(ファーストハロー)とが識別される。
以下では、図2に示す構成の通信ネットワークを例として動作を説明する。この通信ネットワークは、基本構成と同様にマスタースレーブ型であって、ここでは、ノードN0とノードN1〜N5とが通信ネットワーク内にすでに存在しており、ここにノードN6が新たに参加する場合を例として説明する。
ノードN0〜N5については、通信手段11でハローメッセージを送受信することにより、隣接ノードとの間のリンクコストがすでに求められ、各ノードN0〜N5の隣接ノードテーブルTb1に受信リンクコストと送信リンクコストとがすでに登録されているものとする。登録されたリンクコストは各リンクに付記してある。既存の各ノードN0〜N6は、図4に示すように、第1の時間間隔Tsで第1のハローメッセージSHを送信しており、この状態において、図4に「電源投入」と記述しているタイミングでノードN6の電源が投入されたとすると、ノードN6は第2の時間間隔Tfで第2のハローメッセージFHを繰り返し送信する。
ここで、ノードN6に対する隣接ノードとしてノードN2に着目する。つまり、図4における既存ノードをノードN2とし新規参入ノードをノードN6とする。ノードN6から第2のハローメッセージFHを受信した直後は、ノードN2における隣接ノードテーブルTb1には、図3(a)のように、ノードN0(親)、ノードN1(1)、ノードN3(3)に関する受信リンクコストおよび送信リンクコストがすでに登録されている。ノードN6については受信強度を取得することができるから受信リンクコストが登録されている。
図3(a)において動作モードは、上述した通常モードか過渡モードかを区別する項目であり、第2のハローメッセージFHを受信することにより相手ノードが過渡モードであると認識することができる。有効期限と通知回数との項目は一方のみでもよく、第2のハローメッセージFHを最初に受信してから第2のハローメッセージFHに対応する処理を行う期間を制限するために設定される。
有効期限は、最初に第2のハローメッセージFHを受信したときに一定時間後の時刻として設定される。また、通知回数は、最初に第2のハローメッセージFHを受信したときに第1のハローメッセージSHを送信する回数として設定される。有効期限と通知回数とのどちらを用いてもよいが、ここでは、通知回数を用い通知回数を3回に制限している。通知回数を用いると、送信間隔を管理するタイマ12に追加してタイマを設ける必要がなく、低性能のマイクロコンピュータを用いることができるという利点がある。
ノードN6の電源が投入されて第2のハローメッセージFHが送信され、この第2のハローメッセージFHをノードN2が受信すると、ノードN2の隣接ノードテーブルTb1において、ノードN6に対応付けて受信リンクコストが登録されるとともに、ノードN6に対応付けて通知回数が3に設定される。
ノードN2では通知回数を3に設定することによって、ノードN6を認識する準備が整い、以後は、自アドレスとともにノードN6のアドレスと受信リンクコストとを情報に含めた第1のハローメッセージSHを送信する。第2のハローメッセージFHに応答する第1のハローメッセージSHを送信する時間間隔は、適宜に選択することができるが、上述のように第2の時間間隔としてある。
ここで、ノードN2に設定されている通知回数は、ノードN6への第1のハローメッセージSHの送信毎にデクリメントされ、通知回数が0になると、第1の時間間隔で第1のハローメッセージを送信する動作に復帰する。
上述のような動作の間に、ノードN6では、ノードN2との間の受信リンクコストおよび送信リンクコストを取得し、また同様にしてノードN5との間でも受信リンクコストおよび送信リンクコストを取得し、図3(b)のように、隣接ノードテーブルに取得した値が登録される(図3(b)において受信リンクコストおよび送信リンクコストの「X」は取得した数値を表す)。
以上説明したように、第2のハローパケットFHを用いると、第1の時間間隔Tsで送信される第1のハローパケットHを用いる場合よりも短時間で隣接ノードを探索することができ、かつ隣接ノードに関するリンクコストを短時間で取得することができる。しかも、第2のハローパケットFHを受信したノードは第1のハローパケットHを送信するから、第2のハローパケットが次々に他のノードに波及して伝送されることがなく、したがって、第2の時間間隔Tfで第1のハローパケットHを送信するノードが通信ネットワーク内で増加することがなく、トラフィックの増加は通信ネットワーク内で局所的にしか生じない。つまり、本来の通信データで使用する帯域を狭くすることがない。
過渡モードを選択するのは、上述のような電源投入直後だけではなく、ネットワークトポロジの変化によって隣接ノードが消失した場合であってもよい。つまり、通信データを送信しようとするノードへのルートがリンク情報テーブルTb2に存在しないときに、過渡モードを選択して隣接リンクを探索した後に、通常モードに切り換える動作を行えばよい。また、各ノードにおける隣接ノードテーブルTb1をEEPROMのような不揮発性メモリで構成しておき、電源投入直後には隣接ノードテーブルTb1を読み出して仮のルートを構築しておき、その後、第2のハローメッセージFHを用いて隣接ノードを迅速に検出するようにしてもよい。
ところで、基本構成において説明したように、ハローメッセージには隣接ノードテーブルTb1に登録されたすべての隣接ノードのアドレスやリンクコストを情報として含めているが、第2のハローメッセージFHを用いるのは、ノードが新規参入する場合や、ネットワークトポロジの変化によってノードが消失した場合であり、新規参入したノードや消失したノードを認識できればよいから、すべての隣接ノードのアドレスやリンクコストは不要である。つまり、他の隣接ノードに関する情報をすでに保有しているから、第2のハローメッセージFHを受信したノードでは、第2のハローメッセージFHを送信したノードにのみ応答すればよい。
したがって、通常モードのノードが第2のハローメッセージFHに応答する場合には、隣接ノードテーブルTb1に登録された隣接ノードのうち通常モードのノードのアドレスおよび受信リンクコストを含まない第1のハローメッセージSHを送信する。こうすることで、第2のハローメッセージFHに応答して送信される第1のハローメッセージSHに含まれる情報量を低減することができ、結果的にトラフィックの増加を抑制することができる。また、第1のハローメッセージSHの情報量を小さくすることにより、第1のハローメッセージSHを送信する時間間隔の短縮が可能になる。
上述した構成例は、従来構成において説明したPLCネットワークに用いることを想定しているが、他の有線の伝送路を用いる通信ネットワーク、あるいは小電力無線による無線LANのように無線の伝送路を用いる無線ネットワークなど、種々のマルチホップ通信ネットワークに上述の技術を適用してもよい。
さらにいえば、PLCネットワークには、10〜450kHzの低周波帯を利用する低速PLCと、2〜30MHzの高周波帯を利用する高速PLCとが知られており、低速PLCのノードは、高速PLCより伝送速度が遅いから、上述の構成のように低トラフィックでもネットワークトポロジを把握できることはとくに有効であり、また、通信ネットワーク全体のリンクを各ノードが持たなくとも隣接ノードテーブルがあればよいから、ノードに実装するメモリの容量を小さくすることができる。しかも、他の有線の伝送路を用いる場合に比較すると、PLCでは各ノードとなる電気機器のオン/オフや稼働状態によってネットワークトポロジや通信品質が変化しやすいから、本発明の技術は有効である。
実施形態に用いるノードを示すブロック図である。 同上を用いる通信ネットワークの例を示す図である。 同上に用いる隣接ノードテーブルの例を示す図である。 同上の動作例を示す図である。 ハローメッセージを示す動作説明図である。 ハローメッセージによる隣接ノードテーブルの変化を示す動作説明図である。 通信ネットワークの構成例を示す図である。 隣接ノードテーブルの一例を示す図である。 隣接ノードテーブルの一例を示す図である。 ハローメッセージのフォーマットを示す図である。 ハローメッセージにおけるサブメッセージの構成例を示す図である。 隣接ノードテーブルの一例を示す図である。 トポロジ通知メッセージのフォーマットを示す図である。
符号の説明
10 信号処理手段
11 通信手段
12 タイマ
FH 第2のハローメッセージ
SH 第1のハローメッセージ
H1 ハローメッセージ
H2 ハローメッセージ
H3 ハローメッセージ
N ノード
N0〜N6 ノード
Tb1 隣接ノードテーブル
Tb2 リンク情報テーブル
Tf 第2の時間間隔
Ts 第1の時間間隔

Claims (6)

  1. 複数個のノードを備えノード間での通信時に他のノードによる通信の中継を可能としたマルチホップ通信ネットワークにおいて他のノードによる中継なしに通信可能なノードである隣接ノードを探索する方法であって、各ノードは、第1の時間間隔で自アドレスを情報に含む第1のハローメッセージを送信する通常モードと、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で自アドレスを情報に含む第2のハローメッセージを送信する過渡モードとの動作モードを有し、通常モードのノードは、第2のハローメッセージを受信すると、第1の時間間隔よりも短い時間間隔で第1のハローメッセージを送信することを特徴とするマルチホップ通信ネットワークにおける隣接ノード探索方法。
  2. 前記ノードが通常モードであるときに第2のハローメッセージを受信すると、第1のハローメッセージを送信する時間間隔を第1の時間間隔から第2の時間間隔に変更することを特徴とする請求項1記載のマルチホップ通信ネットワークにおける隣接ノード探索方法。
  3. 前記ノードは、相手ノードから受信したハローメッセージの種類に応じて相手ノードの動作モードの種別を相手ノードのアドレスに対応付けて登録する隣接ノードテーブルを備え、通常モードのノードでは、第1の時間間隔で送信する第1のハローメッセージには、隣接ノードテーブルに登録されたすべての隣接ノードのアドレスを含め、第1のハローメッセージを第1の時間間隔よりも短い時間間隔で送信する際には、第1のハローメッセージには、隣接ノードテーブルに登録された隣接ノードのうち通常モードのノードのアドレスを含めないことを特徴とする請求項1または請求項2記載のマルチホップ通信ネットワークにおける隣接ノード探索方法。
  4. 前記ノードが通常モードであるときに、第2のハローメッセージの受信が最初に成功してから規定した時間は第1の時間間隔よりも短い時間間隔で第1のハローメッセージを送信することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のマルチホップ通信ネットワークにおける隣接ノード探索方法。
  5. 前記ノードが通常モードであるときに、第2のハローメッセージの受信が最初に成功してから規定した回数は第1の時間間隔よりも短い時間間隔で第1のハローメッセージを送信することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のマルチホップ通信ネットワークにおける隣接ノード探索方法。
  6. 複数個のノードを備えノード間での通信時に他のノードによる通信の中継を可能としたマルチホップ通信ネットワークに用いるノードであって、自アドレスを含むハローメッセージを送信するとともにハローメッセージを受信すると自アドレスを情報に含むハローメッセージを送信することにより相手ノードに隣接アドレスを取得させる通信手段と、ハローメッセージを送信する時間間隔を第1の時間間隔と第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔とから選択するタイマと、第1の時間間隔で第1のハローメッセージを送信する通常モードと第2の時間間隔で第2のハローメッセージを送信する過渡モードとを選択する信号処理手段とを有し、信号処理手段は、通常モードのときに通信手段を通して第2のハローメッセージを受信すると、第2の時間間隔で第1のハローメッセージを送信させることを特徴とするマルチホップ通信ネットワークのノード。
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