以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る通信装置を用いた通信システムの構成の一例を示すブロック図である。図1に示す通信システム1は、電力線に通信信号を重畳させて通信を行う電力線搬送通信(PLC)システムである。通信システム1は、PLC親機N0、及びn個のPLC子機N1〜Nnを備えている。PLC親機N0、及びPLC子機N1〜Nnは、それぞれ通信装置の一例である。
通信システム1は、例えば、電力会社が各住戸の電気使用量(電力量)を検針し、その検針データを取得するために用いられる遠隔検針システムとして構成されている。PLC親機N0は、通信ネットワーク2を介して上位集約サーバ3とデータ送受信可能に接続されている。上位集約サーバ3は、例えば電力会社に設けられたサーバ装置である。
PLC親機N0は、例えば電柱上に配設されている。PLC子機N1〜Nnは、電力会社から電力供給を受ける各住戸に配設されている。PLC親機N0と、PLC子機N1〜Nnとは、電力供給に用いられる電力線Lを介して互いに接続されている。
PLC子機N1〜Nnは、各住戸の電力メータに接続されており、電力メータから、各住戸の電力使用量を示す検針データを取得し、その検針データを電力線搬送通信によって、電力線Lを介してPLC親機N0へ送信する。
PLC親機N0は、PLC子機N1〜Nnから受信した検針データを集約し、集約された検針データを、通信ネットワーク2を介して上位集約サーバ3へ送信する。
図2は、図1に示すPLC親機N0及びPLC子機N1〜Nnの構成の一例を示すブロック図である。以下、PLC子機N1〜Nnを総称してPLC子機Nと称する。PLC親機N0及びPLC子機N1〜Nnは、それぞれ通信システム1における通信ノードである。各ノードには、各ノードを識別するためのアドレスとして、Node_0〜Node_nが付与されている。PLC親機N0にはNode_0が付与され、PLC子機N1〜Nnには、Node_1〜Node_nがそれぞれ付与されている。
以下、PLC親機N0及びPLC子機N1〜Nnを区別する必要がないときは、単にノード、と称する。また、アドレスNode_0のノードのことを単にノード0と称し、アドレスNode_1のノードのことを単にノード1と称し、以下同様にアドレスNode_nのノードのことを単にノードnと称する。
図2に示すPLC子機Nは、通信IF部11、制御部12、モード設定スイッチ13、及び記憶部14を備えている。
PLC親機N0は、通信ネットワーク2を介して上位集約サーバ3と通信を行う上位通信部15を備える点、及び制御部12が上位集約サーバ3と通信を行うための通信制御を行う点を除いてPLC子機Nと同様に構成されている。図2においては、PLC親機N0のみが備える構成を破線で示し、符号を括弧で囲んでいる。PLC親機N0は、PLC子機Nが電力メータから取得した検針データを電力線搬送通信によってPLC親機N0へ送信する代わりに、PLC子機Nから電力線搬送通信により受信した検針データを集約し、集約された検針データを上位集約サーバ3へ送信する点を除いて、PLC子機Nと同様に動作する。以下、主にPLC子機Nの構成及び動作について説明する。
通信IF部11は、自ノード以外の他のノードとの間で、電力線Lを介して電力線搬送通信を行う通信インターフェース回路である。なお、通信IF部11は、必ずしも電力線搬送通信を行うものである必要はなく、電力線搬送通信以外の通信方式によって他のノードと通信を行うものであってもよく、例えば無線通信によって他のノードと通信を行うものであってもよい。通信IF部11と、後述の通信制御部126又は通信制御部126aとによって、通信部の一例が構成されている。
モード設定スイッチ13は、例えばディップスイッチやロータリスイッチ等、ユーザが操作可能な設定スイッチである。モード設定スイッチ13は、モード1,2,3のうち、いずれか一つのモードを選択する設定を、選択指示として受け付ける。モード設定スイッチ13は、選択指示受付部の一例に相当している。
モード1は、応答性を優先するモード、すなわち通信速度を優先するモードである。モード1は、通信IF部11による通信において、所定の受信品質で通信(送信)可能な上限の通信速度が選択されるモードである。モード2は、通信IF部11による通信において、通信の応答性と信頼性とをバランスよく確保するモードである。モード2では、モード1よりも低速の通信速度が選択される。モード3は、通信IF部11による通信の信頼性を最優先するモードである。モード3では、受信品質に関わらず、最も低速の通信速度が選択される。
なお、モード設定スイッチ13を備えず、例えば、ユーザが、電力線Lに接続された電力線搬送通信端末装置を用いて、選択指示を通信信号によって通信IF部11へ送信することで、通信IF部11が選択指示を受け付ける構成としてもよい。また、例えば、IrDA(赤外線通信)のような通信手段を備えて選択指示を受信する構成としてもよい。この場合、通信IF部11その他の通信手段が選択指示受付部の一例に相当する。あるいは、ユーザが、通信ネットワーク2に接続された通信端末装置を用いて、選択指示を通信信号によって上位通信部15へ送信することで、上位通信部15が選択指示を受け付ける構成としてもよい。この場合、上位通信部15が選択指示受付部の一例に相当する。
記憶部14は、例えばROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の不揮発性の記憶素子によって構成されている。記憶部14には、電力線搬送通信の受信品質と、他のノード(通信装置)との間で信号の送受信を行う際に適用するべき通信速度である目標通信速度との対応関係を示す複数の対応情報を含むルックアップテーブルLTが、予め記憶されている。
図3は、図2に示す記憶部14に記憶されるルックアップテーブルLTの一例を示す説明図である。図3に示す受信品質値SQ_1〜SQ_nは、電力線搬送通信の受信品質を指標化(数値化)して表した値である。図3では、受信品質値SQ_1が最も高い(良好な)受信品質を示し、添え字の数値が大きいほど受信品質が低いことを示し、受信品質値SQ_nが最も低い(劣悪な)受信品質を示している。
図3に示す通信速度Rate_1〜Rate_nは、他のノードとの間で通信を行う際に適用するべき目標通信速度を示している。図3では、通信速度Rate_1が最も速い目標通信速度を示し、添え字の数値が大きいほど目標通信速度が遅いことを示し、通信速度Rate_nが最も遅い目標通信速度を示している。
以下、受信品質値SQ_1〜SQ_nを総称して受信品質値SQと称し、通信速度Rate_1〜Rate_nを総称して通信速度Rateと称する。
通信速度Rateは、例えば通信信号の周波数に対応していてもよい。例えば通信速度Rateが速いほど、周波数の高い通信信号が通信IF部11によって用いられる構成であってもよい。
あるいは、通信速度Rateは、通信の変調方式と対応していてもよい。例えば、最も高速の通信速度Rate_1が目標通信速度TRとして設定された場合、通信IF部11はQAM(Quadrature Amplitude Modulation)方式による変調を行い、通信速度Rate_1より遅い通信速度Rate_2が目標通信速度TRとして設定された場合、通信IF部11はQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式による変調を行い、通信速度Rate_2より遅い通信速度Rate_3が目標通信速度TRとして設定された場合、通信IF部11は、BPSK(Binary Phase Shift Keying)方式による変調を行う、というように、通信IF部11で用いられる変調方式を変更することによって、通信速度を変化させる構成としてもよい。
ルックアップテーブルLTは、モード1における受信品質値SQと通信速度Rateとの対応関係を示す対応情報141と、モード2における受信品質値SQと通信速度Rateとの対応関係を示す対応情報142と、モード3における受信品質値SQと通信速度Rateとの対応関係を示す対応情報143とを含んでいる。
例えば、モード1(対応情報141)においては、受信品質値SQ_1〜SQ_nと通信速度Rate_1〜Rate_nとがそれぞれ対応付けられている。モード2(対応情報142)においては、受信品質値SQ_1〜SQ_3と通信速度Rate_5とが対応付けられ、受信品質値SQ_4と通信速度Rate_6とが対応付けられ、以下同様に各通信品質値に対してモード1よりも低速の通信速度が対応付けられている。モード3(対応情報143)においては、受信品質値SQ_1〜SQ_nのすべてと通信速度Rate_nとが対応付けられている。
ルックアップテーブルLTは、例えば以下のようにして作成される。例えば実測データに基づいて、ある受信品質が得られた場合に通信可能な送信速度を予め実験的に設定し、この送信速度に応じて受信品質値SQ_1〜SQ_nに対応する通信速度Rateが設定され、ルックアップテーブルLTのモード1の対応情報141とされている。
モード1における通信速度Rateは、設計段階で、例えば、応答性を重視して可能な限り高い通信速度とされている。しかしながら、受信品質が良好であれば、速い通信速度で通信可能だが、応答性を重視して速い通信速度で通信する程、伝送路状況が悪化した際の通信成功率(信頼性)が低下する。このように、通信速度と通信成功率(信頼性)とはトレードオフの関係にある。
しかしながら、図1に示す遠隔検針システムとしての通信システム1のように、可能な限り高速の通信速度で、かつ、高い通信成功率で通信可能であることを求められる場合、どのような状況であっても、1つの決定ルール(モード)で最適な通信動作が実行できるか否かは、実際に通信システムを導入、運用してみないとわからない。
そこで、通信時の受信品質に基づいて信号の通信速度を決定する決定ルールをモードとして、記憶部14に複数のモードに対応するルックアップテーブルLTが予め記憶されている。
なお、対応情報がルックアップテーブルによって表される例を示したが、ルックアップテーブルを用いず、例えば受信品質値SQと通信速度Rateとの対応関係を数式(関数)で表し、この数式(関数)をモード毎の対応情報として記憶部14に記憶してもよい。
制御部12は、例えば所定の演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、及びその周辺回路等を備えて構成されている。そして、制御部12は、例えばROMに記憶された制御プログラムを実行することによって、受信品質検出部121、選択指示送信部122、成功率取得部123、選択部124、目標速度取得部125、及び通信制御部126(126a)として機能する。なお、PLC親機N0における制御部12は、通信制御部126の代わりに通信制御部126aを備えている。
受信品質検出部121は、通信IF部11によって他のノードから受信された信号の受信品質を検出し、その受信品質を指標化して受信品質値SQとして表す。受信品質の検出方法としては、例えばSNR(信号対雑比:Signal- Noise Ratio)の検出値が大きいほど受信品質が高いものとして受信品質を検出してもよく、FEC(前方誤り訂正:Forward Error Correction)により誤り訂正が実行された頻度が少ないほど受信品質が高いものとして受信品質を検出してもよく、その他種々の公知の受信品質検出手段を用いることができる。
なお、通信IF部11が無線通信を行う場合は、受信品質の検出方法として、例えば、例えばRSSI(受信信号強度表示信号:Received Signal Strength Indicator)値が大きいほど受信品質が高いものとして受信品質を検出してもよく、その他種々の公知の無線受信品質検出手段を用いることができる。
選択指示送信部122は、モード設定スイッチ13によって、モード設定(選択指示)が受け付けられたとき、設定されたモードを示すモード設定情報を、通信IF部11によって他のノードへ送信させる。
成功率取得部123は、通信IF部11による他のノードとの間の信号の送受信の成功率SRを算出し、取得する。図4は、図2に示す成功率取得部123、例えばノード0の成功率取得部123の動作の一例を説明するための説明図である。
成功率取得部123は、通信IF部11によって他のノードへデータを送信した送信回数と、そのデータ送信を行った際の成功数とを記録し、送信回数に対する送信成功数の比率を、成功率として算出する。成功率取得部123は、例えばデータ送信後にそのデータを送信した相手先のノードから正常レスポンスを受信した場合に送信成功と判定し、正常レスポンスが受信されなかった場合に送信失敗と判定することができる。
例えば図4に示すように、成功率取得部123は、ノード1に対して100回送信し、送信成功数が100回であった場合、ノード1に対する成功率を100%と算出し、ノードnに対して100回送信し、送信成功数が90回であった場合、ノードnに対する成功率を90%と算出することができる。
選択部124は、成功率取得部123により取得された成功率SRに基づいて、モードを選択する。具体的には、例えば、選択部124は、あるノードに対応する成功率SRが予め設定された成功率判定値Aに満たなければ、そのノードに対するモードを現状のモードよりも通信速度の遅いモードにモードを切り替える。例えば、選択部124は、ノードnに対応する現状のモードがモード1のとき、ノードnに対応する成功率SRが成功率判定値A以下になれば、ノードnに対応するモードをモード2に切り替える。また、選択部124は、ノードnに対応する現状のモードがモード2のとき、ノードnに対応する成功率SRが成功率判定値A以下になれば、ノードnに対応するモードをモード3に切り替える。
なお、選択部124は、ノードnに対応する成功率SRが成功率判定値Aより高い成功率に設定された成功率判定値Bを上回った場合、ノードnに対応するモードを、ノードnに対応する現状のモードよりも通信速度の速いモードに切り替えるようにしてもよい。なお、選択部124は、通信対象のノード毎にモードを設定する例に限られず、通信対象のノードのうち最も通信品質の悪い、あるいは最も成功率SRが低いノードに対応するモードを、他の全てのノードに適用してもよい。
また、選択部124は、モード設定スイッチ13によってモードの設定が受け付けられた場合、あるいは、通信IF部11によって他のノードからモード設定情報が受信された場合は、成功率SRに関わらず、モード設定スイッチ13によって受け付けられたモード、あるいはモード設定情報により示されるモードを選択する。
なお、モードの数は3つに限らず、モードの内容も上記のモード1,2,3に限らない。また、モードと対応情報とが対応付けられており、モードを選択することによって間接的に対応情報が選択される例を示したが、モードを備えず、直接対応情報が選択される構成としてもよい。また、モードと対応情報とが対応付けられていることから、モードを示す情報は間接的に対応情報を示すので、モードを示す情報は対応情報の一例に相当する。
また、成功率取得部123を備えず、選択部124は、モード設定スイッチ13によってモードの設定が受け付けられた場合、モード設定スイッチ13によって受け付けられたモードを選択し、通信IF部11によって他のノードからモード設定情報が受信された場合、モード設定情報により示されるモードを選択するようにしてもよい。
また、選択指示送信部122を備えず、選択部124は、モード設定情報を用いない構成としてもよい。
目標速度取得部125は、ルックアップテーブルLTを参照し、選択部124によって選択されたモードにおいて受信品質検出部121により検出された受信品質と対応付けられている通信速度Rateを、目標通信速度TRとして取得する。
PLC子機Nの通信制御部126は、図略の電力メータから取得した検針データを通信IF部11によって、目標通信速度TRでPLC親機N0へ送信させる。PLC親機N0の通信制御部126aは、目標通信速度TRで通信IF部11によってPLC子機N1〜Nnと通信を実行させ、PLC子機N1〜Nnから通信IF部11によって受信された検針データを集約し、集約された検針データを、上位通信部15によって通信ネットワーク2を介して上位集約サーバ3へ送信させる。
次に、上述のように構成された通信システム1の動作について説明する。図5は、図1に示す通信システム1の動作の一例を示す説明図である。図5は、PLC親機N0が任意のPLC子機Nの情報を取得する際のデータ通信の動作を示している。具体的には、図5は、例えば、PLC親機N0(ノード0)がPLC子機N1(ノード1)に対し、データ取得要求通知を行い、それを受信したPLC子機N1が保持する情報(遠隔検針システムであれば、電力量の情報)をデータ取得応答通知により、PLC親機N0に返信する場合の動作の一例を示している。
なお、以下の説明において、同一の動作には同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
まず、各ノードの受信品質検出部121は、他のノードから信号を受信したときの受信品質をそれぞれ検出し、その検出値を記憶している。例えば、ノード0の受信品質検出部121は、ノード1から信号を受信するときの受信品質値SQを予め過去に実行された通信において検出し、記憶している。ノード1の受信品質検出部121は、ノード0から信号を受信するときの受信品質値SQを予め過去に実行された通信において検出し、記憶している。
ノード0,1において、初期のモードは予めモード1に設定されている(ステップS1)。例えば、ノード0がノード1から信号を受信するときの受信品質値、及びノード1がノード0から信号を受信するときの受信品質値が、ノード0,1においてそれぞれ受信品質値SQ_1として記憶されている場合、ノード0,1の目標速度取得部125は、それぞれ自ノードのルックアップテーブルLTを参照し、モード1において受信品質値SQ_1と対応付けられている通信速度Rate_1を、目標通信速度TRとして取得する。
次に、ノード0において、通信制御部126aは、データ取得要求通知を通信IF部11から、通信速度Rate_1でノード1へ送信させる(ステップS2)。そうすると、ノード1において、通信制御部126は、データ取得要求通知に応答して、データ取得応答通知を通信IF部11から、通信速度Rate_1でノード0へ送信させる(ステップS3)。
なお、受信品質値SQは、通信対象となる他のノードに対応してそれぞれ検出、記憶されており、通信速度Rateは、通信しようとするノードの受信品質値SQに基づいて設定される。例えば、モード1においてノードnからの受信品質値が受信品質値SQ4であった場合、図6のステップS2aに示すように、ノード0からノードnへの送信は通信速度Rate_4で行われる。例えば、モード2においてノードnからの受信品質値が受信品質値SQ4であった場合、図6のステップS5aに示すように、ノード0からノードnへの送信は通信速度Rate_6で行われる。
図5に戻って、例えばノード0において、ユーザからのモード設定変更操作(選択指示)がモード設定スイッチ13によって受け付けられ、モード2が設定されると、選択部124によってモード2が選択される(ステップS4)。そして、目標速度取得部125は、ルックアップテーブルLTを参照し、モード2において受信品質値SQ_1と対応付けられている通信速度Rate_5を、目標通信速度TRとして取得する。次に、通信制御部126aは、データ取得要求通知を通信IF部11から、通信速度Rate_5でノード1へ送信させる(ステップS5)。
一方、ノード1において、ユーザからのモード設定変更操作がモード設定スイッチ13によって受け付けられ、モード3が設定されると、選択部124によってモード3が選択される(ステップS6)。そして、目標速度取得部125は、ルックアップテーブルLTを参照し、モード3において受信品質値SQ_1と対応付けられている通信速度Rate_nを、目標通信速度TRとして取得する。次に、通信制御部126は、データ取得要求通知に応答して、データ取得応答通知を通信IF部11から、通信速度Rate_nでノード0へ送信させる(ステップS7)。
以上、通信システム1は、複数の決定ルールをモードとして備えているので、ステップS4〜S7に示すように、ユーザがモードを設定することによって、同一の受信品質値に対して異なる通信速度を適用することが可能となる。その結果、通信システムの導入場所の環境や、例えば通信速度優先なのかデータ通信の成功率が優先なのか、といったシステムに求められる要件等の状況に応じた妥当な通信品質を確保することが容易となる。
なお、図5に示す例では、ノード0とノード1とで、それぞれユーザがモード設定を行う例を示したが、例えばモード設定スイッチ13によってモード設定変更操作が受け付けられた場合、図6のステップS8に示すように、モード設定変更操作を受け付けたノードの選択指示送信部122が、モード設定スイッチ13により受け付けられたモードを示すモード設定情報を、自ノード以外の他のノードへ送信してもよい。
モード設定情報の送信手段は、通信IF部11による電力線通信であってもよく、他の通信手段であってもよい。また、他のノードへモード設定情報を送信する通信方法は、例えばブロードキャスト送信であってもよく、各ノードに対してユニキャストあるいはマルチキャストによる送信であってもよい。
モード設定情報を受信した各ノードにおける選択部124は、受信されたモード設定情報が示すモードを、自ノードのモードとして選択する(ステップS9)。
これにより、特定の場所(ノード)1箇所でモード設定を行えば、他のノードもモードが変更されるので、ユーザによるモード設定の手間が低減される。なお、各ノード(通信装置)は、選択指示送信部122を備えていなくてもよい。
ところで、図5,図6に示す動作では、モードをユーザが設定する例を示したが、モードの設定を各ノードが自動的に決定するようにしてもよい。以下、モードを各ノードが自動設定する例について説明する。
図7は、通信の成功率に応じてモードを自動設定する場合の通信システム1の動作の一例を示す説明図である。各ノードの成功率取得部123は、他のノードと通信を行ったときの成功率、例えば100回通信を行ったときの成功率をそれぞれ算出し、その算出値を記憶している。
そして、例えばノード0の成功率取得部123により算出されたノードnとの間の通信の成功率が成功率判定値A以下になると(ステップS11)、ノード0の選択部124は、ノードnに対するモードを、現状の応答性重視のモード1から信頼性も重視するモード2へ切り替える(ステップS12)。そして、通信制御部126aによって、ノードnに対してモード2に対応する通信速度で通信が実行される(ステップS13)。
なお、各ノードの選択部124は、成功率が成功率判定値A以下になったためにモード2に変更後、成功率が成功率判定値Bを上回れば、モード1に戻すようにしてもよいし、モード2に変更後も成功率が改善されない、または低下する場合はさらに信頼性最重視のモード3に変更するようにしてもよい。
このようにすることにより、モードが自動で決定されるため、ユーザがモードを設定する手間が省ける。
なお、通信制御部126(126a)は、通信IF部11による信号の送受信を行わせる際に、信号の種類を示す種別情報をその信号と共に送受信させてもよい。また、記憶部14は、ルックアップテーブルLTに加えて、種別情報と、モード1〜3とを対応付ける種別対応情報を予め記憶するようにしてもよい。
そして、選択部124は、種別対応情報によって通信IF部11により受信された種別情報と対応付けられたモードを自動的に選択するようにしてもよい。
例えば、図1の遠隔検針システムとして用いられる通信システム1の例では、定期的に実行される検針データ取得のためのデータ通信は、電力を消費する需要家に対する課金情報となるため、誤りが許されない。そのため、例えば、種別対応情報は、種別情報”検針データ”と、モード1よりも信頼性の高いモード2とを対応付ける。その結果、例えば種別情報が”検針データ”を示す場合、選択部124は、モード1よりも信頼性の高いモード2を選択することになる。
また、例えば制御部12のROMに記憶されているファームウェアをアップデートする場合など、ファームウェアのデータは管理者が管理しているため、例え通信誤りが発生したとしても再送すればよい。その一方、ファームウェアはデータ量が多いため、通信速度を高めたいというニーズがある。そこで、例えば、種別対応情報は、種別情報”ファームウェア”と、最も通信速度が速いモード1とを対応付ける。その結果、例えば種別情報が”ファームウェア”を示す場合、選択部124は、最も通信速度が速いモード1を選択することになる。
このようにすることにより、モードが自動で決定されるため、ユーザによるモード設定の手間が省ける。また、例えば、信頼性が最重要視されるデータの通信については信頼性重視の通信速度を低速にしたモードとし、多少通信が失敗しても影響がないが、とにかく応答性が要求されるデータの通信については、応答性重視の通信速度を高速にするモードにする、というように、データの種類によりモードを変えることで、通信システム1の通信特性を、求められるシステム要件に適合させることが容易となる。
なお、選択部124は、種別対応情報に基づくモード選択を実行しなくてもよい。また、制御部12は成功率取得部123を備えず、選択部124は成功率に基づくモード選択を実行しなくてもよい。選択部124は、種別対応情報と成功率との両方に基づきモード選択を行う場合、何れかに基づき最も最近に選択されたモードを選択(後優先)するようにしてもよい。
なお、モードを設定する場合、通信システム1内の全ノードを同一のモードで動作するようにしてもよいし、一部、つまり特定のノード間のみモード設定を変更するような構成でもよい。例えば、通常は応答性重視のモードで動作するが、親機がある子機から、緊急で必要な情報を取得したい場合のみ、信頼性重視のモードに切り替えるといった動作としてもよい。
また、以上のような動作をするノード(通信装置)を複数有し、ノード間で通信を行うことを特徴とする通信システムとすることにより、システムの導入場所の環境に応じた、応答性が高く、かつ高信頼のシステムにすることが容易となる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る通信システムについて説明する。第2実施形態に係る通信システム1は、第1実施形態と同様、図1で示される。図8は、本発明の第2実施形態に係る通信装置の一例であるPLC子機NとPLC親機N0を示すブロック図である。以下、図2に示すPLC子機N及びPLC親機N0と同様の部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
図8に示すPLC子機N(PLC親機N0)と図2に示すPLC子機N(PLC親機N0)とでは、下記の点で異なる。すなわち、図8に示すPLC子機N(PLC親機N0)は、制御部12aが、成功率取得部123として機能する代わりに変動判定部127として機能する。また、選択部124aは、選択部124における成功率の代わりに変動判定部127により判定された変動の程度に基づいて、複数のモードのうちいずれか一つを選択する点を除いて、選択部124と同様に動作する。
その他の構成は図2に示すPLC子機N(PLC親機N0)と同様であるのでその説明を省略し、以下本実施形態の特徴的な点について説明する。
受信品質検出部121は、時間の経過に伴い受信品質の検出を繰り返し実行する。
変動判定部127は、受信品質検出部121によって例えば予め設定された期間中に検出された複数の受信品質値SQから、受信品質の変動の程度を判定する。
図9は、ノード0を例に、受信品質検出部121及び変動判定部127の動作を説明するための説明図である。ノード0の受信品質検出部121は、自ノード以外の他のノード1〜nについて、一定時間毎、例えば1時間毎のタイミングT1〜Tnにおいて、受信品質値SQを検出し、その検出結果を受信品質履歴データ151として時系列に例えばRAMに記憶させる。
図9ではノード3〜nについて検出された受信品質値SQの記載を省略している。ノード0以外のノードも同様に、自ノード以外の他のノードについて、一定時間毎に受信品質値SQを検出し、その検出結果を受信品質履歴データ151として時系列に例えば自ノードのRAMに記憶させる。
図9に示す例では、ノード1からの受信品質値は、タイミングT3において受信品質値SQ_3となった以外は受信品質値SQ_1で安定している。一方、ノード2からの受信品質値は、受信品質の検出タイミング毎に受信品質値SQ_1と受信品質値SQ_3との間で変化しており、受信品質が不安定となっている。
変動判定部127は、例えばRAMに記憶された一定の期間内、例えば過去24時間内の受信品質履歴データ151に基づき、各ノードについての受信品質の変動の程度を判定する。具体的には、変動判定部127は、例えば、一定の期間内の受信品質履歴データ151に、判定対象のノードの受信品質値として、複数の受信品質値SQ(例えば受信品質値SQ_1と受信品質値SQ_3)が特定の比率で含まれているか否かを基準として、受信品質の変動の程度が基準を超えて大きいのか、受信品質の変動の程度は基準を超えない範囲内であるのかを判定する。
例えば、変動判定部127は、一定の期間内の受信品質履歴データ151に含まれる判定対象のノードの複数の受信品質値SQのうち、最も検出頻度が高い受信品質値SQの比率が5割以下の場合に、受信品質の変動の程度が基準を超えて大きいと判定し、最も検出頻度が高い受信品質値SQの比率が5割を超える場合、受信品質の変動の程度は基準を超えない範囲内であると判定する。
例えば、図9に示す受信品質履歴データ151において、ノード2に対応する受信品質値SQのように受信品質値SQが頻繁に変動し、例えば24時間内に検出された24個の受信頻度値のうち5割の12個が受信品質値SQ1、残りが受信品質値SQ3であった場合のように、最も検出頻度が高い受信品質値SQの比率が5割以下の場合、周期的なノイズの影響によって、受信品質が低下していると考えられる。そこで、このような場合には、変動判定部127は、受信品質の変動の程度が許容可能な基準を超えて大きいと判定する。
一方、例えば、図9に示す受信品質履歴データ151において、ノード1に対応する受信品質値SQのように、例えば24時間内に検出された24個の受信頻度値のうち最も検出頻度が高い受信品質値SQ1の比率が23/24というように5割を超えている場合は、受信品質の変動の程度は許容可能な基準を超えない範囲内であると判定する。
変動判定部127によって受信品質の変動の程度が許容可能な基準を超えて大きいと判定された場合には、現状のモードのままでは通信の信頼性が充分に保てないと考えられるから、選択部124aは、現状のモードよりも通信速度が低下するモード、すなわち通信の信頼性が向上するモードに切り替える。一方、変動判定部127によって受信品質の変動の程度が許容可能な基準を超えないと判定された場合には、一時的なノイズにより、一時的に伝送路状況が悪化しただけであると考えられるから、選択部124aは、モードを現状のまま維持する。
図10は、図8に示すPLC子機N(PLC親機N0)を備えた通信システム1の動作の一例を示す説明図である。図10では、ノード0とノード2との間の通信動作を例示している。図10においては、図5〜7と同様の動作には同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
まず、図7と同様、ステップS1,S2の動作が実行されるのと並行して、ノード0の受信品質検出部121によって、ノード2からの受信品質値SQが一定の時間毎に検出され、受信品質履歴データ151として記憶される(ステップS21,S22,・・・)。
ノード0の変動判定部127は、受信品質履歴データ151を監視し、例えば過去24時間内の受信品質履歴データ151に基づき、各ノードについての受信品質の変動の程度を判定する。そして、変動判定部127が、受信品質の変動の程度が基準を超えて大きいと判定すると、その判定結果に応じて、ノード0の選択部124aは、ノード2に対するモードを、現状の応答性重視のモード1から信頼性も重視するモード2へ切り替える(ステップS23)。そして、通信制御部126aによって、ノード2に対してモード2に対応する通信速度で通信が実行される(ステップS5)。
以上のように、図8に示すPLC親機N0、及びPLC子機N1によれば、モードが自動で決定されるため、ユーザのモード設定の手間が省ける。また、例えば、伝送路状況が悪化した場合に、データ通信が失敗する前に、モードが変更され、通信速度を最適値に変更することができるので、通信システムの信頼性を保つことができる。また、受信品質履歴データを考慮することで、例えば、一時的に伝送路状況が悪化し、すぐに元に戻るような状況では、伝送路状況の悪化の都度にモードが変更されることがないため、通信装置の処理負荷が低減される。
なお、各ノードの選択部124aは、変動判定部127によって受信品質の変動の程度が基準を超えて大きいと判定されたためにモード2に変更後、変動判定部127によって受信品質の変動の程度が基準を超えない範囲内であると判定されたときは、モード1に戻すようにしてもよいし、モード2に変更後も変動判定部127によって受信品質の変動の程度が基準を超えて大きいと判定された場合はさらに信頼性最重視のモード3に変更するようにしてもよい。
また、例えば、変動判定部127の判定基準を複数設け、最も検出頻度が高い受信品質値SQの比率が5割を超えていればモード1、5割以下かつ2割超えならモード2、2割以下ならモード3、というように複数の判定基準に基づきモードを設定してもよい。
このようにすることにより、モードが自動で決定されるため、ユーザがモードを設定する手間が省ける。
なお、選択部124aは、種別対応情報に基づくモード選択を実行しなくてもよい。また、選択部124aは、受信品質の変動の程度の判定結果と種別対応情報との両方に基づきモード選択を行う場合、何れかに基づき最も最近に選択されたモードを選択(後優先)するようにしてもよい。
また、第1及び第2実施形態において、各ノード(通信装置)においては、モードの設定が、ユーザによる手動設定と、各ノードが通信状況を判断し自動でモードを切り替える動作とが両方実行可能とされていてもよい。このとき、例えば、通常は自動でのモード切り替え動作を実行しており、ユーザがモード設定スイッチ13等により明示的にモード設定した場合は、そのモードを優先する、などとする。また、モード切替の手段を、ユーザからの設定等で切り替えるようにしてもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る通信システムについて説明する。第3実施形態に係る通信システム1は、第1及び第2実施形態と同様、図1で示される。図11は、本発明の第3実施形態に係る通信装置の一例であるPLC子機NとPLC親機N0を示すブロック図である。以下、図2に示すPLC子機N及びPLC親機N0と同様の部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
図11に示すPLC子機N(PLC親機N0)と図2に示すPLC子機N(PLC親機N0)とでは、下記の点で異なる。すなわち、図11に示すPLC子機N(PLC親機N0)は、制御部12bが、制御部12の構成に加えてさらに、リンク品質情報取得部131、モード情報取得部132(対応情報取得部の一例)、及び経路選択部133として機能する。これにより、図11に示すPLC子機N(PLC親機N0)は、他のノードとの間でマルチホップ通信を行う。
選択部124は、経路選択部133により選択されたマルチホップ通信の経路において、自ノードが直接通信を行うノードを対象にして、上述と同様のモード選択を行う。目標速度取得部125は、自ノードが直接通信を行うノードを対象にして選択されたモードに基づき目標通信速度を取得するから、目標速度取得部125は、自ノードが直接通信を行うノードに対する通信速度を決定することになる。通信制御部126(126a)は、経路選択部133により選択されたマルチホップ通信の経路に応じて、マルチホップ通信の通信プロトコルに従い通信IF部11の動作を制御する。
なお、制御部12bは、図8に示す制御部12aと同様、変動判定部127及び選択部124aを備えてもよい。
図1に示す通信システム1では、各ノード間の電力線通信においては、伝送距離やノイズ等により、各ノードが全ての他のノードと直接通信できるとは限らない。そのため、図11に示すPLC子機N(PLC親機N0)は、マルチホップ通信を用いることによって、各ノードが通信しようとする対象ノードと直接通信できないときは、直接通信可能なノードが通信を中継することで、直接通信できないノードと通信する。
マルチホップ通信については、公知のマルチホップ通信プロトコルに従い、通信ルートを構築するための伝送状況の情報のやりとりを行い、その情報を元に通信ルートを決定している。
その他の構成は図2に示すPLC子機N(PLC親機N0)と同様であるのでその説明を省略し、以下本実施形態の特徴的な点について説明する。
リンク品質情報取得部131は、通信システム1に含まれる各ノード相互間のリンク品質を示すリンク品質値X(リンク品質情報)を取得し、例えばRAMに記憶させる。リンク品質値Xは、各ノード間の通信品質を数値化(指標化)して表したもので、例えばリンク品質値Xが小さいほど、通信品質が高いことを示している。以下、ノードaとノードb(a,bは任意のノード番号)との間のリンク品質値Xを、X(a_b)と記載する。
リンク品質情報取得部131は、自ノードと直接通信可能なノードとの間のリンク品質値Xとして、例えば、受信品質検出部121によって検出された受信品質値SQを用いることができる。また、リンク品質情報取得部131は、他の各ノードから、通信IF部11を介したマルチホップ通信を行うことによって、各ノードの受信品質検出部121によって検出された受信品質値SQを、他のノード間におけるリンク品質値Xとして取得してもよい。例えば自ノードがノード0であれば、リンク品質情報取得部131は、ノード1とノード2との間のリンク品質値X(1_2)を、マルチホップ通信によって取得する。
モード情報取得部132は、通信システム1に含まれる各ノードにおいて選択されているモードを示す情報(対応情報)を、マルチホップ通信によってリンク経路モード情報(リンク経路対応情報)として取得し、例えばRAMに記憶させる。
経路選択部133は、各ノード相互間のリンク品質値Xとリンク経路モード情報とに基づいて、マルチホップ通信における通信経路を選択する。
以下、経路選択部133の動作について説明する。
まず、マルチホップ通信における通信経路の選択方法について、理解を容易にするため、リンク経路モード情報を用いず、リンク品質値Xのみに基づき通信経路を選択する方法について説明する。図12は、リンク品質値Xのみに基づき通信経路を選択する方法を説明するための説明図である。
図12は、ノード0とノード3とが通信を行う際に、ノード1を経由する通信経路とノード2を経由する通信経路とがあることを示している。マルチホップ通信では、ノード間の通信品質をリンクコストLCによって評価する。具体的には、リンクコストLCは、通信品質が高いほど小さな値となる。そして、最もリンクコストLCが小さい通信経路が選択される。なお、リンクコストLCは、通信品質が高いほど大きな値とし、最もリンクコストLCが大きい通信経路を選択するようにしてもよい。
図12に示す例では、リンク経路モード情報は考慮しないから、ノード0とノード1との間のリンクコストLCはX(0_1)に等しく、ノード1とノード3との間のリンクコストLCはX(1_3)に等しく、ノード0とノード2との間のリンクコストLCはX(0_2)に等しく、ノード2とノード3との間のリンクコストLCはX(2_3)に等しい。
そして、ノード0がノード1を経由してノード3と通信する場合のリンクコストLCの合計は、X(0_1)+X(1_3)となり、ノード0がノード2を経由してノード3と通信する場合のリンクコストLCは、X(0_2)+X(2_3)となる。従って、X(0_1)+X(1_3)とX(0_2)+X(2_3)とを比較し、X(0_1)+X(1_3)の方が小さければ、ノード0がノード1を経由してノード3と通信する通信経路が選択され、X(0_2)+X(2_3)の方が小さければ、ノード0がノード2を経由してノード3と通信する通信経路が選択される。このように、各通信経路のリンクコストLCの合計が最小となる通信経路が選択される。
次に、経路選択部133が、各ノード相互間のリンク品質値Xとリンク経路対応情報とに基づいて通信経路を選択する動作について説明する。図13は、図11に示す経路選択部133の動作を説明するための説明図である。
例えば記憶部14には、各モード1,2,3にそれぞれ対応するモード係数m1,m2,m3が、予め記憶されている。モード係数m1,m2,m3は、通信速度の速いモードほど、対応するモード係数の値が小さくなるようにされており、例えばm1<m2<m3となっている。この場合、各ノードでは、受信品質が高いほど高速のモードが選択されるから、結果的に受信品質が高いノードほど、小さな値のモード係数と対応付けられることになる。
図13に示す例では、ノード0のノード1に対するモードはモード1であり、ノード1のノード3に対するモードはモード1であり、ノード0のノード2に対するモードはモード1であり、ノード2のノード3に対するモードはモード2となっている。
経路選択部133は、各ノードからリンク品質情報取得部131によって取得された各ノード間のリンク品質値Xと、各ノードからモード情報取得部132によって取得されたリンク経路モード情報とに基づき、各ノード間に対応するリンク品質値Xとモード係数とを乗算(又は加算)することによって、各ノード間のリンクコストLCを算出する。
例えば、図13に示す例では、ノード0とノード1との間のリンクコストLC(0_1)をX(0_1)×m1として算出し、ノード1とノード3との間のリンクコストLC(1_3)をX(1_3)×m1として算出し、ノード0とノード2との間のリンクコストLC(0_2)をX(0_2)×m1として算出し、ノード2とノード3との間のリンクコストLC(2_3)をX(2_3)×m2として算出する。
図13に示す例では、ノード0はノード1,2に対してモード1で動作し、ノード1はノード3に対してモード1で動作している。しかしながら、ノード2では、例えばノイズの影響によって、成功率取得部123で得られた成功率SRが低下したり変動判定部127によって受信品質の変動の程度が基準を超えて大きいと判定されたりしたため、ノード3に対してモード2で動作している。
次に、経路選択部133は、ノード0がノード1を経由してノード3と通信する通信経路のリンクコストLC(0_1_3)と、ノード0がノード2を経由してノード3と通信する通信経路のリンクコストLC(0_2_3)とを、下記の式(1),(2)に基づき算出する。
LC(0_1_3)=LC(0_1)+LC(1_3) ・・・(1)
LC(0_2_3)=LC(0_2)+LC(2_3) ・・・(2)
そして、経路選択部133は、LC(0_1_3)とLC(0_2_3)とを比較し、LC(0_1_3)の方が小さければ、ノード0がノード1を経由してノード3と通信する通信経路を選択し、LC(0_2_3)の方が小さければ、ノード0がノード2を経由してノード3と通信する通信経路を選択する。このように、リンク経路モード情報が考慮されて、各通信経路のリンクコストLCの合計が最小となる通信経路が選択される。
例えば、元々の受信品質より決定されたリンク品質値X(0_1),X(1_3),X(0_2),X(2_3)が同じ値であった場合、ノード1を経由する通信経路と、ノード2を経由する通信経路とは、リンクコストLCの合計が等しいから、図12に示すようにリンク経路モード情報が考慮されない場合は、どちらの通信経路を選択してもよいことになる。
しかしながら、上述のように、モード2となっているノード2とノード3との間では、成功率SRの低下や受信品質の変動が生じていると考えられる。そして、経路選択部133は、リンク経路モード情報を考慮して通信経路を選択する。その結果、ノード1を経由する通信経路の方が、ノード2を経由する通信経路よりリンクコストLCの合計が小さくなるので、経路選択部133は、ノード1を経由する通信経路を選択する。
これにより、経路選択部133は、成功率SRの低下や受信品質の変動が生じて不安定になっていると考えられる通信経路を回避することが容易となる。また、モード係数m1,m2,m3は、通信速度の速いモードほど、対応するモード係数の値が小さくなるようにされているから、通信速度が速いモードが設定されている通信経路ほど、経路選択部133によって選択されやすくなる。その結果、通信信頼性を保ちつつ、応答性の高い通信経路が選択され安くなるので、通信システム1全体の応答性と信頼度とをバランスよく向上させることが容易となる。
すなわち、本発明に係る通信装置は、有線通信又は無線通信によって、他の通信装置との間で信号の送受信を行う通信部と、前記他の通信装置から受信した信号の受信品質を検出する受信品質検出部と、前記信号の受信品質と、前記他の通信装置との間で信号の送受信を行う際に適用するべき通信速度である目標通信速度との対応関係を示す情報であり、かつ互いに異なる対応関係を示す複数の対応情報を予め記憶する記憶部と、前記複数の対応情報のうち、いずれか一つの対応情報を選択する選択部と、前記選択部によって選択された対応情報によって前記受信品質検出部により検出された受信品質と対応付けられている目標通信速度を取得する目標速度取得部とを備え、前記通信部は、前記目標速度取得部によって取得された目標通信速度で、前記他の通信装置との間で信号の送受信を行う。
この構成によれば、信号の受信品質と、他の通信装置との間で信号の送受信を行う際に適用するべき通信速度である目標通信速度との対応関係を示す情報であり、かつ互いに異なる対応関係を示す複数の対応情報が記憶部に記憶されているので、選択部によって対応情報を選択させることによって、他の通信装置との通信速度を、他の通信装置から受信された信号の受信品質に応じてどのような速度にするかの決定方法(ルール)を変更することができる。その結果、状況に応じた妥当な通信品質を確保することが容易となる。
また、使用者から、前記いずれか一つの対応情報として選択すべき対応情報を示す選択指示を受け付ける選択指示受付部をさらに備え、前記選択部は、前記複数の対応情報のうち、前記選択指示により示される対応情報を、前記いずれか一つの対応情報として選択することが好ましい。
この構成によれば、使用者が対応情報を指定することができるので、例えば、通信速度を優先するか、データ通信の成功率を優先するかなど、通信システムに求められる要件に応じて使用者が選択すべき対応情報を指定することで、通信システムに求められる要件に適合させることが容易となる。
また、前記選択指示受付部によって、前記選択指示が受け付けられたとき、前記選択指示を示す情報を、前記他の通信装置へ送信する選択指示送信部をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、使用者は、一つの通信装置に対して選択すべき対応情報を指定することで、同じ対応情報が他の通信装置でも選択されるので、使用者が対応情報を指定する手間が省ける。
また、前記通信部による前記信号の送信の成功率を取得する成功率取得部をさらに備え、前記選択部は、前記成功率取得部により取得された成功率に基づいて、前記複数の対応情報のうちいずれか一つの対応情報を選択することが好ましい。
この構成によれば、通信の成功率に応じて、選択される対応情報が自動的に決定されるので、使用者が対応情報を指定する手間が省ける。
また、前記受信品質検出部は、時間の経過に伴い前記受信品質の検出を繰り返し実行するものであり、前記通信装置は、前記受信品質検出部によって検出された複数の受信品質から、前記受信品質の変動の程度を判定する変動判定部をさらに備え、前記選択部は、前記変動判定部により判定された前記変動の程度に基づいて、前記複数の対応情報のうちいずれか一つの対応情報を選択することが好ましい。
この構成によれば、受信品質の変動の程度が判定され、変動の程度の判定結果に基づいて複数の対応情報のうちいずれか一つの対応情報が自動的に選択されるので、使用者が対応情報を指定する手間が省ける。また、通信路の状況が完全に悪化する前に、受信品質の変動が大きくなって通信路の状況が不安定になったときに、通信速度を低下させるように対応情報を選択することができるので、通信の信頼性を維持することがよういである。
また、前記通信部は、前記信号の送受信を行う際に、前記信号の種類を示す種別情報を前記信号と共に送受信し、前記記憶部は、さらに、前記種別情報と、前記各対応情報とを対応付ける種別対応情報を予め記憶し、前記選択部は、前記種別対応情報によって前記通信部により受信された種別情報と対応付けられた対応情報を選択することが好ましい。
この構成によれば、通信部により受信された種別情報に応じて、複数の対応情報のうちいずれか一つの対応情報が自動的に選択されるので、使用者が対応情報を指定する手間が省ける。また、例えば信頼性が要求される種類の信号に対しては通信速度を低下させて信頼性を高めるような対応情報を選択し、例えば信頼性よりも高速性が要求される種類の信号に対しては通信速度を高めるような対応情報を選択する、というように、信号の種類に応じて対応情報を選択することができるので、通信の信頼性と通信速度とを、信号の種類に応じて要求される要件に適合させることが容易である。
また、本発明に係る通信システムは、上述の通信装置を複数含み、前記各通信装置相互間で、前記信号の送受信を行う。
この構成によれば、状況に応じた妥当な通信品質を確保することが容易な通信システムが得られる。
また、本発明に係る通信システムは、上述の通信装置を複数含み、前記各通信部は、マルチホップ通信によって前記他の通信装置との間で信号の送受信を実行し、前記各通信装置は、前記複数の通信装置相互間のリンク品質を示すリンク品質情報を取得するリンク品質情報取得部と、前記複数の通信装置の選択部によって選択されている複数の対応情報をリンク経路対応情報として取得する対応情報取得部と、前記リンク品質情報と前記リンク経路対応情報とに基づいて、前記マルチホップ通信における通信経路を選択する経路選択部とをさらに備える。
この構成によれば、経路選択部がマルチホップ通信における通信経路を選択する際に、通信装置相互間のリンク品質に加えて、各通信装置においてどの対応情報が選択されているかに基づいて通信経路を選択するので、通信の信頼性を保ちつつ、通信速度の速い通信経路を選択することが容易となる。