JP2008296881A - 車両及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電動機の保護を図ると共により容易に走行を開始することができる。
【解決手段】ハイブリッド自動車20は、モータMG2のロック時制御の実行条件が成立しているときに、モータMG2の回転数Nm2の絶対値がモータロック状態である低回転数の範囲である閾値Nm2refを超えるような第1トルクTm2Aとこの第1トルクTm2Aより大きい第2トルクTm2Bとを設定し、ロック時制御の実行条件が成立しているときに、この設定された第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとの間で変化させたトルクを出力するロック時制御を実行するようモータMG2を制御する。このように、モータMG2がロック状態であるときには、トルクを変化させてモータMG2の回転数Nm2を変化させ、電流がモータMG2の特定の相に片寄って流れ温度上昇するのを抑制すると共にモータMG2への電流を流しやすくする。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両及びその制御方法に関する。
従来、車両としては、駆動力を出力するモータがロック状態となったときには、モータへ電力を供給するスイッチング素子の温度に基づいてトルク制限を行い、出力トルクが低下することにより、通電しているスイッチング素子が隣の相の素子に移り、この素子に応じたトルク制限を行うことにより、大きなトルク制限を継続しないようにして急激に出力トルクが低下してしまうのを抑制するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−122703号公報
しかしながら、この特許文献1に記載された車両では、モータがロック状態を解除して走行を開始しようとしたときについては考慮されていなかった。例えば、登坂時などにロック状態となった状態からモータがトルクを出力しようとするとモータのトルクと勾配により車両に作用する力とが釣り合ってしまい、走行を開始しにくい問題があった。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、電動機の保護を図ると共により容易に走行を開始することができる車両及びその制御方法を提供することを目的とする。
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の車両は、
駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
前記電動機の回転数である電動機回転数を検出する電動機回転数検出手段と、
第1駆動力と該第1駆動力よりも大きな第2駆動力との間で変化させた駆動力を前記電動機から出力するよう制御するロック時制御における、前記電動機から駆動力を出力しているが前記検出された電動機回転数が所定の低回転数範囲内にある条件を含む該ロック時制御の実行条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、
前記条件判定手段によって前記ロック時制御の実行条件が成立していると判定されているときに、前記電動機回転数が前記低回転数範囲から外れるような前記第1駆動力と前記第2駆動力とを設定する駆動力設定手段と、
前記条件判定手段によって前記ロック時制御の実行条件が成立していると判定されているときに、前記設定された第1駆動力と前記第2駆動力との間で変化させた駆動力を出力する前記ロック時制御を実行するよう前記電動機を制御する制御手段と、
を備えるものである。
この車両では、電動機から駆動力を出力しているが検出された電動機回転数が所定の低回転数範囲内にある条件を含むロック時制御の実行条件が成立しているか否かを判定し、ロック時制御の実行条件が成立していると判定されているときに、電動機回転数が低回転数範囲から外れるような第1駆動力とこの第1駆動力よりも大きな第2駆動力とを設定し、ロック時制御の実行条件が成立していると判定されているときに、この設定された第1駆動力と第2駆動力との間で変化させた駆動力を出力するロック時制御を実行するよう電動機を制御する。このように、電動機から駆動力を出力しているが電動機回転数が所定の低回転数範囲内となる状態、即ち電動機がロック状態であるときには、第1駆動力と第2駆動力との間で変化させた駆動力を電動機から生じさせて電動機回転数を変化させ、電流が電動機の特定の相に片寄って流れるのを抑制することにより電動機の保護を図ることができる。また、ロック時制御の実行条件が成立しているときに、電動機回転数が低回転数範囲から外れるような第1駆動力と第2駆動力との間で変化する駆動力を電動機に発生させ電動機回転数を比較的大きく変化させることによって、電動機への電流を流しやすくすることにより、より容易に走行を開始することができる。ここで、前記電動機回転数検出手段は、前記電動機の回転軸の回転数を検出することにより直接的に電動機回転数を検出するものとしてもよいし、電動機に接続されるなどした軸の回転数を検出することにより間接的に電動機回転数を検出するものとしてもよい。
本発明の車両において、前記駆動力設定手段は、前記第1駆動力と前記第2駆動力との間で交互に変化させる前記電動機の駆動力を設定し且つ前記第1駆動力と前記第2駆動力との間で交互に変化させる繰返し数が大きくなると前記第1駆動力が小さくなる傾向に前記第1駆動力を設定する手段であるものとしてもよい。こうすれば、第1駆動力を徐々に小さくしてより確実に電動機回転数を変化させることによって、例えば登坂時の傾斜など走行に関する様々な状態に対応し、より確実に走行を開始することができる。
本発明の車両において、前記駆動力設定手段は、前記第1駆動力と前記第2駆動力との間で交互に変化させた駆動力を設定し且つ前記第1駆動力と前記第2駆動力との間で交互に変化させる繰返し数が大きくなると前記第2駆動力が大きくなる傾向に前記第2駆動力を設定する手段であるものとしてもよい。こうすれば、第1駆動力よりも大きな第2駆動力を徐々に大きくしてより確実に電動機回転数を変化させることによって、より確実に走行を開始することができる。
本発明の車両において、前記ロック時制御の実行条件は、車両が勾配にある条件を含み、前記駆動力設定手段は、車両が勾配にあり前記電動機回転数が所定の低回転数範囲内となる前記電動機の駆動力よりも大きな駆動力に前記第2駆動力を設定する手段であるものとしてもよい。こうすれば、電動機回転数が所定の低回転数範囲内となる、即ち電動機がロック状態となる駆動力よりも大きな駆動力を電動機から出力するため、電動機のロック状態を解除しやすく、より走行を開始しやすい。
本発明の車両は、前記電動機を冷却媒体により冷却する冷却手段、を備え、前記駆動力設定手段は、前記電動機の温度及び前記冷却手段の温度のうち少なくとも一方に基づいて前記第1駆動力及び前記第2駆動力のうち少なくとも一方を設定する手段であるものとしてもよい。こうすれば、電動機から出力可能な駆動力に関係する電動機の温度や電動機の冷却手段の温度により第1駆動力や第2駆動力を設定するから、電動機の保護をより図ることができる。ここで、「電動機の温度」には、例えば電動機自体の温度や、電動機を駆動するスイッチング部の温度、電動機を冷却する冷却媒体の温度などが含まれる。また、「冷却手段の温度」には、例えば電動機を冷却する冷却媒体の温度や、送風により該冷却媒体を冷却する冷却手段が備える熱交換機の温度などが含まれる。このとき、前記冷却手段は、前記電動機を駆動するスイッチング部をも冷却する手段であり、前記駆動力設定手段は、前記電動機の温度として前記スイッチング部の温度に基づいて前記第1駆動力及び前記第2駆動力のうち少なくとも一方を設定する手段であるものとしてもよい。
冷却手段を備える態様を採用した本発明の車両において、前記駆動力設定手段は、前記冷却手段の温度が低いほど大きくなる傾向に前記第1駆動力及び前記第2駆動力のうち少なくとも一方を設定する手段であるものとしてもよい。こうすれば、冷却手段の温度に応じてより適切な第1駆動力や第2駆動力を設定することが可能であり、ひいては電動機の保護をより図ることができる。
冷却手段を備える態様を採用した本発明の車両において、前記駆動力設定手段は、前記電動機の温度が高いほど小さくなる傾向に前記第1駆動力及び前記第2駆動力のうち少なくとも一方を設定する手段であるものとしてもよい。こうすれば、電動機の温度に応じてより適切な第1駆動力や第2駆動力を設定することが可能であり、ひいては電動機の保護をより図ることができる。このとき、電動機は、該電動機を駆動するスイッチング部を含み、前記駆動力設定手段は、前記スイッチング部の温度が高いほど小さくなる傾向に前記第1駆動力と前記第2駆動力とを設定するものとしてもよい。
冷却手段を備える態様を採用した本発明の車両は、車両が勾配にあるか否かを検出する勾配検出手段、を備え、前記制御手段は、車両が登り勾配にあるときには、前記冷却手段の冷却能力を高めるよう前記冷却手段を制御する手段であり、前記駆動力設定手段は、前記冷却手段の冷却能力に基づいて前記第1駆動力及び前記第2駆動力のうち少なくとも一方を設定する手段であるものとしてもよい。こうすれば、車両が登り勾配にあるという電動機がロック状態となりやすいときに、電動機をより冷却可能とすることにより駆動力を出しやすい状態とするため、一層電動機の保護を図ると共に一層容易に走行を開始することができる。このとき、前記制御手段は、前記検出された登り勾配が大きくなるほど前記冷却手段の冷却能力がより高くなる傾向に前記冷却手段を制御する手段であるものとしてもよい。こうすれば、登り勾配に応じて電動機から駆動力を出しやすい状態として、一層電動機の保護を図ると共に一層容易に走行を開始することができる。また、前記冷却手段は、前記電動機を冷却する冷却媒体を前記電動機に流通させる冷却媒体供給手段と、送風により該冷却媒体を冷却する送風手段と、を備え、前記制御手段は、前記冷却手段の冷却能力を高めるに際して、前記冷却媒体の供給量を高めるよう前記冷却媒体供給手段を制御するか、前記送風の風量を高めるよう前記送風手段を制御するかのうち少なくとも一方を行う手段であるものとしてもよい。
本発明の車両において、前記ロック時制御の実行条件は、車両が登り勾配にある条件を含み、前記駆動力設定手段は、前記検出された登り勾配が大きいほど大きくなる傾向に前記第1駆動力及び前記第2駆動力のうち少なくとも一方を設定する手段であるものとしてもよい。こうすれば、登り勾配に応じて適切な第1駆動力や第2駆動力を設定可能であり、一層電動機の保護を図ると共に一層容易に走行を開始することができる。
本発明の車両は、前記ロック時制御で前記第1駆動力と前記第2駆動力との間で変化させた駆動力を前記電動機から出力したときの前記電動機回転数に基づいて前記車両の勾配の大きさを推定する勾配推定手段、を備え、前記駆動力設定手段は、前記推定した登り勾配が大きいほど大きくなる傾向に前記第1駆動力及び前記第2駆動力のうち少なくとも一方を設定する手段であるものとしてもよい。こうすれば、比較的簡単な構成で電動機の保護を図ると共に容易に走行を開始することができる。
本発明の車両は、内燃機関と、前記駆動軸に接続されると共に該駆動軸とは独立に回転可能に前記内燃機関の出力軸に接続され電力と動力の入出力を伴って前記駆動軸と前記出力軸とに動力を入出力する電力動力入出力手段、を備えたものとしてもよい。このとき、前記電力動力入出力手段は、動力を入出力可能な発電機と、前記駆動軸と前記出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちいずれか2軸に入出力した動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、を備える手段であるものとしてもよい。
なお、本発明の車両において、登り勾配、電動機の温度、冷却手段の温度の各条件のうちいずれか2つ以上に基づいて第1駆動力と第2駆動力とを設定するときには、各条件に反映度合い(重み付け)を設定しこの反映度合いを加味して第1駆動力と第2駆動力とを設定するものとしてもよいし、いずれか1つの条件を優先して第1駆動力と第2駆動力とを設定するものとしてもよい。このとき、電動機の保護の観点からは、電動機の温度を最優先して第1駆動力と第2駆動力とを設定することが好ましい。
本発明の車両の制御方法は、
駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電動機の回転数である電動機回転数を検出する電動機回転数検出手段と、を備えた車両の制御方法であって、
第1駆動力と該第1駆動力よりも大きな第2駆動力との間で変化させた駆動力を前記電動機から出力するよう制御するロック時制御における、前記電動機から駆動力を出力しているが前記検出された電動機回転数が所定の低回転数範囲内にある条件を含む該ロック時制御の実行条件が成立しているか否かを判定し、
前記ロック時制御の実行条件が成立していると判定されているときに、前記検出された電動機の回転数が前記低回転数範囲から外れるような前記第1駆動力と前記第2駆動力とを設定し、
前記ロック時制御の実行条件が成立していると判定されているときに、前記設定された第1駆動力と前記第2駆動力との間の駆動力を出力する前記ロック時制御を実行するよう前記電動機を制御する、ことを含むものである。
この車両の制御方法では、電動機から駆動力を出力しているが検出された電動機回転数が所定の低回転数範囲内にある条件を含むロック時制御の実行条件が成立しているか否かを判定し、ロック時制御の実行条件が成立していると判定されているときに、電動機回転数が低回転数範囲から外れるような第1駆動力とこの第1駆動力よりも大きな第2駆動力とを設定し、ロック時制御の実行条件が成立していると判定されているときに、この設定された第1駆動力と第2駆動力との間で変化させた駆動力を出力するロック時制御を実行するよう電動機を制御する。このように、電動機から駆動力を出力しているが電動機回転数が所定の低回転数範囲内となる状態、即ち電動機がロック状態であるときには、第1駆動力と第2駆動力との間で変化させた駆動力を電動機から生じさせて電動機回転数を変化させ、電流が電動機の特定の相に片寄って流れるのを抑制することにより電動機の保護を図ることができる。また、ロック時制御の実行条件が成立しているときに、電動機回転数が低回転数範囲から外れるような第1駆動力と第2駆動力との間で変化する駆動力を電動機に発生させ電動機回転数を比較的大きく変化させることによって、電動機への電流を流しやすくすることにより、より容易に走行を開始することができる。なお、この車両の制御方法において、上述した車両の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した車両の機能を実現するようなステップを追加してもよい。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
[第1実施例]
図1は、本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、モータMG1,MG2などを冷却する冷却システム90と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
冷却システム90は、冷却媒体としての冷却水によりインバータ41,42やモータMG1,モータMG2に供給してこれらの冷却対象を冷却するシステムとして構成されている。この冷却システム90は、冷却水が循環可能に各冷却対象を流通する冷却水流路91と、冷却水流路91に設けられ冷却水を圧送する循環ポンプ92と、循環ポンプ92の上流側に設けられ外気との熱交換により冷却水を冷却するラジエータ93と、ファンを駆動してラジエータ93に外気を送風するファンモータ94と、ラジエータ93で冷却された冷却水の温度を検出する冷却水センサ95と、を備えている。循環ポンプ92やファンモータ94は、モータECU40からの制御信号によって駆動されている。また、冷却水センサ95は、モータECU40へ冷却水温度Tcを出力する。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,勾配センサ89からの勾配θなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の駆動制御の動作、特にモータMG2がロック状態になった際の動作について説明する。図2は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度AccやモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,第1トルク実行フラグFの値,第2トルク実行フラグGの値などのほか、車速センサ88からの車速V,エンジン22の回転数Ne,バッテリ50の入出力制限Win,Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されるモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて計算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。第1トルク実行フラグFは、RAM76に記憶されており、後述するモータMG2のロック時制御において、設定された第1モータトルクTm2AまでモータMG2のトルクを減少させる第1トルク実行処理を行う際に値1に設定されるフラグであり、初期値は値0である。第2トルク実行フラグGは、RAM76に記憶されており、後述するモータMG2のロック時制御において、設定された第1モータトルクTm2BまでモータMG2のトルクを増加させる第2トルク実行処理を行う際に値1に設定されるフラグであり、初期値は値0である。なお、エンジン22の回転数Neはクランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいて計算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、温度センサ51により検出されたバッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accが閾値Accrefを超えているか否かを判定し(ステップS110)、アクセル開度Accが閾値Accrefを超えているときには、入力したモータMG2の回転数Nm2の絶対値が閾値Nm2refを超えているか否かを判定する(ステップS120)。この閾値Accrefは、車両が走行するよう要求されていると判定可能な値に定められている。また、閾値Nm2refは、車両が停止しているか又は略車両が停止していると判定可能な値、例えば値0近傍の低回転数に定められている。したがって、ステップS120では、モータMG2の回転数Nm2が低回転数範囲を外れているか否かを判定するのである。このように、ステップS110,S120では、車両に対して走行が要求されモータMG2からトルクを出力しているがモータMG2の回転数Nm2が小さい状態、即ちモータMG2がモータロック状態であるか否かを判定するのである。ステップS110でアクセル開度Accが閾値Accrefを超えていないとき、または、ステップS120で入力したモータMG2の回転数Nm2の絶対値が閾値Nm2refを超えているときには、モータロック状態でないものとして通常駆動処理を実行し(ステップS130)、このルーチンを終了する。
ここで、通常駆動処理について説明する。この通常駆動処理では、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*とこの要求トルクTr*を少なくとも出力可能なエンジン22に要求される要求パワーPe*とを設定し、エンジン22を効率よく動作させる動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)の曲線との交点からエンジンの運転ポイントとしての目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する。続いて、この運転ポイントでエンジン22を運転したときに要求するトルクが出力可能なようにモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定する。このとき、モータMG1から出力したトルクによりリングギヤ軸32aに作用する反力トルクを加味してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する。また、モータMG2のトルク指令Tm2*をバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で制限したトルクとして設定する。そして、エンジン22の運転ポイントについてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信する。運転ポイントを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とで運転されるようにエンジン22における燃料噴射制御や点火制御などの制御を行う。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行う。このように、モータロック状態でない通常時には、車両に要求されるパワーが効率よく出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とを駆動制御する。
一方、ステップS110でアクセル開度Accが閾値Accrefを超え、且つステップS120で入力したモータMG2の回転数Nm2の絶対値が閾値Nm2refを超えていないときには、例えば登坂路で車両から出力された前進駆動力と車両に作用するずり下がる力とが略釣り合った状態や、路面の穴に駆動輪63a,63bがはまった状態などを含むモータMG2のロック状態であるものとしてモータMG2のロック時制御を実行する(ステップS140〜S280)。このモータMG2のロック時制御は、モータMG2の特定の相に電流が片寄って流れ続けないようにする処理であり、モータMG2から出力可能な最大トルクTm2maxを所定時間tのあいだ出力させ、ロック時の熱をもたせるために最大トルクTm2maxより小さな第1トルクTm2Aとこの第1トルクTm2Aより大きく最大トルクTm2maxより小さな第2トルクTm2Bとの間で交互に変化させるトルクをモータMG2から出力する制御、即ちトルクの抜き差しを行う制御である。ここでは、運転者が違和感を感じすぎないよう、車両が揺れすぎない程度にトルクの抜き差しを行うよう設定されている。なお、以下のモータMG2のロック時制御では、説明の便宜のため、モータMG1からのトルクを加味せず、モータMG2のトルク指令Tm2*について主に説明する。
具体的には、CPU72は、まず第2トルク実行フラグGに値1がセットされているか否かを判定し(ステップS140)、第2トルク実行フラグGに値1がセットされていないときには、第2トルク実行処理を行っていないものとして、第1トルク実行フラグFに値1がセットされているか否かを判定する(ステップS150)。第1トルク実行フラグFに値1がセットされていないときには、第1トルク実行処理をまだ行っていないものとして、ロック状態でモータMG2から出力可能な最大のトルクである最大トルクTm2maxにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してから所定時間tが経過したか否かを判定する(ステップS160)。最大トルクTm2maxに設定してから所定時間tが経過していないときには、最大トルクTm2maxにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定すると共にこのトルク指令Tm2*をモータECU40へ送信し(ステップS170)、このルーチンを終了する。このトルク指令Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ42のスイッチング素子のスイッチング制御を行う。
一方、ステップS160で最大トルクTm2maxに設定してから所定時間tが経過したときには、最大トルクTm2max(1回目)から徐々に小さなトルクを出力させる第1トルク実行処理を実行すべく、第1トルク実行フラグFに値1をセットし(ステップS180)、第1トルクTm2Aの設定処理を実行する(ステップS190)。ここでは、第1トルクTm2Aを、ハイブリッド自動車20が所定の登り勾配(例えば15°や20°など)にあるときに、所定のモータMG2の回転数以上(例えば50rpmや100rpm以上など)でずり下がるようなトルクの値に経験的に定めるものとした。この所定のモータMG2の回転数は、上述した閾値Nm2refに定められているものとする。第1トルクTm2Aを設定すると、前回設定したモータMG2のトルク指令Tm2*から所定値T1を差し引いた値をモータMG2のトルク指令Tm2*に設定すると共に、設定したトルク指令Tm2*をモータECU40へ送信し(ステップS200)、このルーチンを終了する。この所定値T1は、トルクの減少によって運転者にできるだけ違和感を与えないような値に経験的に設定するものとした。このトルク指令Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ42のスイッチング素子のスイッチング制御を行う。
続いて、ステップS150で第1トルク実行フラグFに値1がセットされているときには、第1トルク実行処理を行うものとし、設定されているモータMG2のトルク指令Tm2*が第1トルクTm2A以下であるか否かを判定する(ステップS210)。トルク指令Tm2*が第1トルクTm2A以下でないときには、第1トルク実行処理を継続し、ステップS200で更に、前回設定したモータMG2のトルク指令Tm2*から所定値T1を差し引いた値をモータMG2のトルク指令Tm2*に設定すると共に、設定したトルク指令Tm2*をモータECU40へ送信する。即ち、モータMG2のトルク指令Tm2*が第1トルクTm2A以下となるまでトルク指令Tm2*を減少させるのである。したがって、モータMG2のトルク指令Tm2*が第1トルクTm2A以下となると、ハイブリッド自動車20が上記経験的に求めた所定の登り勾配にあれば、モータMG2の回転数Nm2の絶対値が閾値Nm2refを超えるので、ステップS120で肯定判定され、ロック状態から抜け出したものとなる。
一方、ステップS120で肯定判定されず、ステップS210でトルク指令Tm2*が第1トルクTm2A以下であるときには、モータMG2の回転数Nm2が閾値Nm2refを超えずモータMG2のロック状態が解消されていないものとみなし、第1トルクTm2Aから徐々に大きなトルクを出力させる第2トルク実行処理を行うのに先んじて、次回に用いる第1トルクTm2Aを設定する(ステップS220)。ここでは、前回設定した第1トルクTm2Aから所定値Taを差し引いた値を第1トルクTm2Aに設定するものとした。ここでは、所定値Taを、所定値T1よりも十分大きな値であり、第1トルク実行処理と第2トルク実行処理とを繰り返したときにモータMG2の回転数Nm2が閾値Nm2refを超えることが期待されるような値に経験的に定めるものとした。このように、モータMG2のロック時制御の繰り返し数が大きくなると小さくなるように第1トルクTm2Aを設定するのである。次回の第1トルクTm2Aを設定すると、第2トルク実行処理を行うべく、第2トルクTm2Bの設定処理を実行する(ステップS230)。ここでは、第2トルクTm2Bを、モータMG2のロック状態判定時のモータMG2のトルク指令Tm2*を連続ロックトルク値として記憶しこの連続ロックトルク値が前回の第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとの中間となるような値に設定するものとした。つまり、モータMG2のロック状態が継続される連続ロックトルク値よりも大きな値に第2トルクTm2Bを設定するのである。続いて、第1トルク実行フラグFに値0をセットすると共に第2トルク実行フラグGに値1をセットし(ステップS240)、前回設定したモータMG2のトルク指令Tm2*に所定値T2を加えた値をモータMG2のトルク指令Tm2*に設定すると共に、設定したトルク指令Tm2*をモータECU40へ送信し(ステップS250)、このルーチンを終了する。この所定値T2は、トルクの増加によって運転者にできるだけ違和感を与えないような値に経験的に設定するものとした。このトルク指令Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ42のスイッチング素子のスイッチング制御を行う。
続いて、ステップS140で第2トルク実行フラグGに値1がセットされているときには、第2トルク実行処理を行うものとし、設定されているモータMG2のトルク指令Tm2*が第2トルクTm2B以上であるか否かを判定する(ステップS260)。トルク指令Tm2*が第2トルクTm2B以上でないときには、第2トルク実行処理を継続し、ステップS250で更に、前回設定したモータMG2のトルク指令Tm2*に所定値T2を加えた値をモータMG2のトルク指令Tm2*に設定すると共に、設定したトルク指令Tm2*をモータECU40へ送信する。即ち、モータMG2のトルク指令Tm2*が第2トルクTm2B以上となるまでトルク指令Tm2*を増加させるのである。したがって、モータMG2のトルク指令Tm2*が連続ロックトルク値よりも高くなると、通常はモータMG2の回転数Nm2の絶対値が閾値Nm2refを超えるので、ステップS120で肯定判定され、ロック状態から抜け出したものとなる。
一方、ステップS120で肯定判定されず、ステップS260でトルク指令Tm2*が第2トルクTm2B以上であるときには、モータMG2の回転数Nm2が閾値Nm2refを超えずモータMG2のロック状態が解消されていないものとみなし、次回の第1トルク実行処理を行うのに先んじて、次回に用いる第2トルクTm2Bを設定する(ステップS270)。ここでは、前回設定した第2トルクTm2Bに所定値Tbを加えた値を第2トルクTm2Bに設定するものとした。ここでは、所定値Tbを、所定値T2よりも十分大きな値であり、第1トルク実行処理と第2トルク実行処理とを繰り返したときにモータMG2の回転数Nm2が閾値Nm2refを超えることが期待されるような値に経験的に定めるものとした。このように、モータMG2のロック時制御の繰り返し数が大きくなると大きくなるように第2トルクTm2Bを設定するのである。次回の第2トルクTm2Bを設定すると、第1トルク実行フラグFに値1をセットすると共に第2トルク実行フラグGに値0をセットし(ステップS280)、上述したステップS200の処理を実行し、このルーチンを終了する。
ここで、上述した第1実施例の駆動制御ルーチンのうちモータMG2のロック時制御について説明する。図3は、モータMG2のロック時制御の一例を表すタイミングチャートである。まず、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、モータMG2からトルクを出力しているが、モータMG2の回転数Nm2の絶対値が閾値Nm2ref未満であるモータMG2がロック状態であると判定すると(時刻t0)、モータMG2のトルク指令Tm2*を最大トルクTm2maxに設定する。次に、最大トルクTm2maxで所定時間tが経過すると(時刻t1)、第1トルクTm2Aを設定しこの第1トルクTm2Aに向けてトルク指令Tm2*を所定のレートで減少させる(時刻t1〜t2)。トルク指令Tm2*が第1トルクTm2Aに至ってもモータMG2の回転数Nm2の絶対値が閾値Nm2refを超えないときは、第2トルクTm2Bを設定し(時刻t2)、この第2トルクTm2Bに向けてトルク指令Tm2*を所定のレートで増加させる(時刻t2〜t3)。繰り返し数が大きくなると第1トルクTm2Aがより小さくなると共に、第2トルクTm2Bがより大きくなるようにこれらの値を設定し、モータMG2の回転数Nm2の絶対値が閾値Nm2refを超えるとモータMG2のロック状態が解除されたものとして通常駆動処理を実行する(時刻t4)。このように、ロック時制御の実行条件が成立しているときには、モータMG2のロック時制御の実行条件が成立しなくなるまで、ロック時制御の繰り返し数が大きくなると第1トルクTm2Aが徐々に小さくなると共に第2トルクTm2Bが徐々に大きくなるよう、即ちモータMG2の回転数Nm2をより大きく変化させハイブリッド自動車20をより大きく揺するようにモータMG2を制御するのである。
以上詳述した第1実施例のハイブリッド自動車20によれば、モータMG2のロック時制御の実行条件が成立していると判定されているときに、モータMG2の回転数Nm2の絶対値が低回転数の範囲である閾値Nm2refを超えるような第1トルクTm2Aとこの第1トルクTm2Aより大きい第2トルクTm2Bとを設定し、ロック時制御の実行条件が成立していると判定されているときに、この設定された第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとの間で変化させたトルクを出力するロック時制御を実行するようモータMG2を制御する。このように、モータMG2がロック状態であるときには、第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとの間で変化させたトルクをモータMG2から生じさせて回転数Nm2を変化させ、電流がモータMG2の特定の相に片寄って流れ温度上昇するのを抑制することによりモータMG2の保護を図ることができる。また、ロック時制御の実行条件が成立しているときに、モータMG2の回転数Nm2の絶対値が閾値Nm2refを超えるような第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとの間で交互に変化させるトルクをモータMG2に発生させ回転数Nm2を比較的大きく変化させることによって、モータMG2への電流を流しやすくすることにより、より容易に走行を開始することができる。また、第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとの間で交互に変化させる繰返し数が大きくなると第1トルクTm2Aが小さくなるように第1トルクTm2Aを設定するため、第1トルクTm2Aを徐々に小さくしてより確実にモータMG2の回転数Nm2を変化させることによって、例えば登坂時の傾斜など走行に関する様々な状態に対応し、より確実に走行を開始することができる。また、登坂時にはずり下がりやすいため、より容易にモータMG2の回転数Nm2を変化させることができる。更に、この繰返し数が大きくなると第2トルクTm2Bが大きくなるように第2トルクTm2Bを設定するため、第1トルクTm2Aよりも大きな第2トルクTm2Bを徐々に大きくしてより確実にモータMG2の回転数Nm2を変化させることによって、より確実に走行を開始することができる。更にまた、車両が登り勾配にあり連続ロックトルク値よりも大きなトルクに第2トルクTm2Bを設定するため、モータMG2がロック状態となる駆動力よりも大きな駆動力をモータMG2から出力することにより、モータMG2のロック状態を解除しやすく、より走行を開始しやすい。そして、この繰り返し数が大きくなるごとに第1トルクTm2Aを小さく、且つ第2トルクTm2Bを大きく設定するため、乗員の違和感を比較的低減することができる。
[第2実施例]
次に、第2実施例のハイブリッド自動車20について説明する。なお、ハイブリッド自動車20の構成は第1実施例と同様であるためその説明を省略する。この第2実施例のハイブリッド自動車20では、車両の勾配θやモータMG2の温度に関係するモータMG2の冷却水温Tcに基づいて第1トルクTm2Aや第2トルクTm2Bを設定するものとした。次に、この第2実施例のハイブリッド自動車20の駆動制御の動作、特にモータMG2がロック状態になった際の動作について説明する。図4は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。なお、上述した第1実施例と同様の処理については、同じステップ番号を付し、その説明を省略する。
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度AccやモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,第1トルク実行フラグFの値,第2トルク実行フラグGの値,勾配センサ89からの車両の勾配θ,冷却水センサ95からの冷却水温度Tcなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS300)。次に、ファンモータ94によりラジエータ93へ送風させる冷却風量Cdを車両の勾配θに基づいて設定する(ステップS310)。ここでは、車両の登り勾配θが大きいほど、モータMG2がロック状態となったときなどモータMG2やインバータ42の発熱量が大きくなることから、車両の登り勾配θが大きくなるほど大きくなる傾向に経験的に定められた冷却風量設定マップをROM74に記憶しておき、登り勾配θが与えられるとこのマップを用いて冷却風量Cdを設定するものとした。図5は、冷却風量設定マップの一例を表す説明図である。ここでは、勾配θに対して多段的に冷却風量Cdを定めるものとした。なお、多段的ではなくある傾きをもった直線状のマップとしてもよい。
冷却風量Cdを設定すると、循環ポンプ92が供給する冷却水の冷却水流量Cwを車両の勾配θに基づいて設定する(ステップS320)。ここでは、車両の登り勾配θが大きいほど、モータMG2がロック状態となったときなどモータMG2やインバータ42の発熱量が大きくなることから、車両の登り勾配θが大きくなるほど大きくなる傾向に経験的に定められた冷却水流量設定マップをROM74に記憶しておき、登り勾配θが与えられるとこのマップを用いて冷却水流量Cwを設定するものとした。図6は、冷却水流量設定マップの一例を表す説明図である。ここでは、勾配θに対して多段的に冷却水流量Cwを定めるものとした。なお、多段的ではなくある傾きをもった直線状のマップとしてもよい。続いて、冷却風量Cd及び冷却水流量CwをモータECU40へ送信する(ステップS330)。この冷却風量Cdや冷却水流量Cwを受信したモータECU40は、受信した値になるようにファンモータ94や循環ポンプ92を駆動制御する。このように、ハイブリッド自動車20が登り勾配にあるときには、モータMG2のロック状態に備えてモータMG2やインバータ42などの冷却能力を高める(冷却水温度Tcをより低くする)のである。
次に、上述したステップS110,S120を実行してモータMG2がロック状態にあるか否かを判定し、モータMG2がロック状態にないときには、上述した通常駆動処理を実行し(ステップS130)、このルーチンを終了する。一方、ステップS110,S120でモータMG2がロック状態にあるときには、モータMG2のロック時制御を実行する。具体的には、CPU72は、ステップS140,S150で第2トルク実行フラグG及び第1トルク実行フラグFのいずれにも値1がセットされていないときには、第1トルク実行処理及び第2トルク実行処理がまだ行われていないものとして、上述したステップS160〜S180,S200の処理を実行し、このルーチンを終了する。即ち、所定時間tのあいだ最大トルクTm2maxをモータMG2から出力し、この所定時間tが経過すると第1トルク実行フラグFに値1をセットして第1トルク実行処理を開始し、前回のトルク指令Tm2*から所定値T1を減じる処理を実行するのである。
一方、ステップS150で第1トルク実行フラグFが値1にセットされているときには、モータMG2の温度や冷却システム90の冷却能力に相関がある冷却水温度Tcに基づいて第1トルクTm2Aを設定する(ステップS340)。ここでは、冷却水温度Tcが低いほどモータMG2やインバータ42からの発熱を許容可能であるから、冷却水温度Tcが低いほど大きくなる傾向に経験的に定められた第1トルク設定マップをROM74に記憶しておき、冷却水温度Tcが与えられるとこのマップを用いて第1トルクTm2Aを設定するものとした。図7は、第1トルク設定マップ及び第2トルク設定マップの一例を表す説明図である。ここでは、冷却水温度Tcに対して多段的に第1トルクTm2A(第2トルクTm2B)を定めるものとした。なお、図7には、後述する第2トルク設定マップの一例も共に示した。これらのマップは、多段的ではなくある傾きをもった直線状のマップとしてもよい。この第1トルク設定マップでは、登り勾配θが大きくなると、より冷却水温度Tcを低くする一方で、第1トルクTm2Aが大きくても車両がずり下がりやすくなることから、冷却水温度Tcが低いほど大きくなる傾向に第1トルクTm2Aを設定するものとした。
第1トルクTm2Aを設定すると、上述したステップS210,S200,S240,S250の処理を実行する。即ち、入力した冷却水温度Tcに基づいて設定した第1トルクTm2A以下になるまで所定のレートでトルク指令Tm2*を減少させ、モータMG2の回転数Nm2の絶対値が閾値Nm2refを超えずにトルク指令Tm2*が第1トルクTm2A以下となると第2トルク実行処理を開始すべく第2トルク実行フラグGに値1をセットし、前回のトルク指令Tm2*に所定値T2を加える処理を行う。
一方、ステップS140で第2トルク実行フラグGが値1にセットされているときには、入力した冷却水温度Tcに基づいて第2トルクTm2Bを設定する(ステップS350)。ここでは、図7に示すように、冷却水温度Tcが低いほどモータMG2やインバータ42からの発熱を許容可能であるから、冷却水温度Tcが低いほど大きくなる傾向且つ第1トルクTm2Aよりも十分に大きな値に経験的に定められた第2トルク設定マップをROM74に記憶しておき、冷却水温度Tcが与えられるとこのマップを用いて第2トルクTm2Bを設定するものとした。この第2トルク設定マップでは、モータMG2のロック状態と相関のある登り勾配θが大きくなると冷却システム90の冷却能力をより高めていることから、車両が勾配にないときに比して冷却水温度Tcが低いほどより大きな値となるように第2トルクTm2Bを設定するものとした。
第2トルクTm2Bを設定すると、上述したステップS260,S250,S280,S200の処理を実行する。即ち、入力した冷却水温度Tcに基づいて設定した第2トルクTm2B以上になるまで所定のレートでトルク指令Tm2*を増加させ、モータMG2の回転数Nm2の絶対値が閾値Nm2refを超えずにトルク指令Tm2*が第2トルクTm2B以上となると第1トルク実行処理を開始すべく第1トルク実行フラグFに値1をセットすると共に第2トルク実行フラグGに値0をセットし、前回のトルク指令Tm2*に所定値T1を加える処理を行う。このように第1トルク実行処理と第2トルク実行処理とを繰り返しているうちにモータMG2の回転数Nm2の絶対値が閾値Nm2refを超えると、ステップS130の通常駆動処理に移行するのである。
ここで、上述した第2実施例の駆動制御ルーチンのうちモータMG2のロック時制御について説明する。図8は、モータMG2のロック時制御の一例を表すタイミングチャートである。まず、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、登り勾配θに応じた冷却風量Cdと冷却水流量Cwを設定し、登り勾配θが大きいほど冷却システム90の冷却能力をより高めるよう(冷却水温度Tcをより低くするよう)冷却システム90を制御する。このように冷却システム90を制御しながら、モータMG2がロック状態であると判定すると(時刻t10)、モータMG2のトルク指令Tm2*を最大トルクTm2maxに設定し、この最大トルクTm2maxで所定時間tが経過すると(時刻t11)、冷却水温度Tcが低いほど大きくなる傾向に第1トルクTm2Aを設定しこの第1トルクTm2Aに向けてトルク指令Tm2*を所定のレートで減少させる(時刻t11〜t12)。トルク指令Tm2*が第1トルクTm2Aに至ってもモータMG2の回転数Nm2の絶対値が閾値Nm2refを超えないときは、冷却水温度Tcが低いほど大きくなる傾向に第2トルクTm2Bを設定し(時刻t12)、この第2トルクTm2Bに向けてトルク指令Tm2*を所定のレートで増加させる(時刻t12〜t13)。このような処理を繰り返し、モータMG2の回転数Nm2の絶対値が閾値Nm2refを超えるとモータMG2のロック状態が解除されたものとして通常駆動処理を実行する(時刻t14)。このように、ロック時制御の実行条件が成立しているときには、モータMG2のロック時制御の実行条件が成立しなくなるように、冷却システム90の冷却能力を高め、よりモータMG2に電流を流せるようにしてより大きな第2トルクTm2Bや第1トルクTm2Aを設定し、モータMG2の回転数Nm2をより大きく変化させハイブリッド自動車20をより大きく揺するようにモータMG2を制御するのである。
以上詳述した第2実施例のハイブリッド自動車20によれば、登り勾配θが大きいほど冷却風量Cdを大きくすると共に冷却水流量Cwを大きく設定することにより冷却システム90の冷却能力をより高め、モータMG2のロック時制御の実行条件が成立していると判定されているときに、モータMG2の回転数Nm2の絶対値が低回転数の範囲である閾値Nm2refを超えるような第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとを冷却水温度Tcが低いほど大きくなる傾向に設定し、ロック時制御の実行条件が成立していると判定されているときに、この設定された第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとの間で変化させたトルクを出力するロック時制御を実行するようモータMG2を制御する。このように、モータMG2がロック状態であるときには、第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとの間で変化させたトルクをモータMG2から生じさせて回転数Nm2を変化させ、電流がモータMG2の特定の相に片寄って流れて温度上昇するのを抑制することによりモータMG2の保護を図ることができる。また、ロック時制御の実行条件が成立しているときに、モータMG2の回転数Nm2の絶対値が閾値Nm2refを超えるような第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとの間で交互に変化させるトルクをモータMG2に発生させ回転数Nm2を比較的大きく変化させることによって、モータMG2への電流を流しやすくすることにより、より容易に走行を開始することができる。また、冷却水温度Tcが低いほど大きくなる傾向に第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bを設定するため、より適切な第1トルクTm2Aや第2トルクTm2Bを設定することが可能であり、ひいてはモータMG2の保護をより図ることができる。更に、車両が登り勾配にあるというモータMG2がロック状態となりやすいときに、モータMG2をより冷却可能とすることにより駆動力を出しやすい状態とし、一層モータMG2の保護を図ると共に一層容易に走行を開始することができるし、車両が登り勾配θが大きいほど、冷却風量Cdや冷却水流量Cwを大きくし冷却システム90の冷却能力を高め、冷却水温度Tcが低いほど大きくなる傾向に第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bを設定するため、より一層適切にモータMG2の保護を図ると共により一層容易に走行を開始することができる。
上述した第1実施例では、第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとの繰り返し数が大きくなると第1トルクTm2Aを小さく設定すると共に、第2トルクTm2Bを大きく設定するものとしたが、図9に示すように、繰り返し数が大きくなると第1トルクTm2Aを小さくなる傾向に設定し、第2トルクTm2Bを一定値に設定するものとしてもよい(時刻t20〜t24)。こうすれば、登坂時にはずり下がりやすいため、より容易にモータMG2の回転数Nm2を変化させることができる。あるいは、繰り返し数が大きくなると第2トルクTm2Bを大きくなる傾向に設定し、第1トルクTm2Aを一定値に設定するものとしてもよい。
上述した第1実施例では、連続ロックトルク値よりも大きな値に第2トルクTm2Bを設定すると共に、第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとの繰り返し数が大きくなると第1トルクTm2Aを小さく設定し、第2トルクTm2Bを大きく設定するものとしたが、図10に示すように、連続ロックトルク値(点線参照)よりも大きな値に第2トルクTm2Bを設定するものとし、繰り返し数にかかわらず同じ第1トルクTm2Aと同じ第2トルクTm2Bとを設定するものとしてもよい。こうしても、車両が登り勾配にあり連続ロックトルク値よりも大きなトルクに第2トルクTm2Bを設定するため、モータMG2がロック状態となる駆動力よりも大きな駆動力をモータMG2から出力することにより、モータMG2のロック状態を解除しやすく、より走行を開始しやすい。
上述した第1実施例では、連続ロックトルク値よりも大きな値に第2トルクTm2Bを設定するものとしたが、連続ロックトルク値と同じ値に第2トルクTm2Bを設定するものとしてもよい。なお、このとき、繰り返し数が大きくなると第1トルクTm2Aが小さくなる傾向に設定するものとする。
上述した第2実施例では、モータMG2の温度又は冷却システム90の温度を反映する冷却水温度Tcに基づいて第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bを設定するものとしたが、モータMG2自体の温度を検出する温度センサをモータMG2に設け、この温度に基づいて第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bを設定するものとしてもよい。または、ラジエータ93の温度を検出する温度センサをラジエータ93に設け、この温度に基づいて第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bを設定するものとしてもよい。または、モータMG2の温度を反映するパラメータとしてモータMG2を駆動するスイッチング部の温度を検出する温度センサをインバータ42に設け、この温度に基づいて第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bのうち少なくとも一方を設定するものとしてもよい。なお、スイッチング部の温度が低いほど大きくなる傾向に第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bを設定するものとするのが好ましい。
上述した第2実施例では、モータMG2の温度又は冷却システム90の温度を反映する冷却水温度Tcが低いほど大きくなる傾向に第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bを設定するものとしたが、モータMG2の温度又は冷却システム90の温度を反映するパラメータに基づいてモータMG2の回転数Nm2の絶対値が閾値Nm2refを超えるような第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとを設定するものとすれば、このような傾向に限られず、第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bに一定値を設定するものとしてもよいし、モータMG2の温度又は冷却システム90の温度が高いほど小さくなる傾向に第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bの少なくとも一方を設定するものとしてもよい。特に、モータMG2からのトルクの出力が制限されるような条件では、第2トルクTm2Bを小さくする傾向に設定することが好ましい。
上述した第2実施例では、冷却水温度Tcに基づいて第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bを設定するものとしたが、冷却水温度Tcに基づいて第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bのうち少なくとも一方を設定するものとしてもよい。
上述した第2実施例では、車両の登り勾配θに基づいて冷却風量Cdと冷却水流量Cwとを設定するものとしたが、いずれか一方のみを登り勾配θに基づいて設定するものとしてもよい。こうしても、冷却システム90の冷却能力を高めることはできる。
上述した第2実施例では、登り勾配θが大きいほど冷却水温度Tcを低くするようにすると共に、冷却水温度Tcが低いほど大きくなる傾向に第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bを設定する、即ち間接的に登り勾配θが大きいほど大きくなる傾向に第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bを設定するものとしたが、図11に示すように、冷却水温度Tcにかかわらず、直接的に登り勾配θが大きいほど大きくなる傾向に第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bのうち少なくとも一方を設定するものとしてもよい。図11は、登り勾配θに基づく第1トルク設定マップ及び登り勾配θに基づく第2トルク設定マップの一例を表す説明図である。上述した冷却水温度Tcに基づく第1及び第2トルク設定マップ(図7参照)の代わりにこのマップを用いるのである。こうすれば、登り勾配θに応じて適切な第1トルクTm2Aや第2トルクTm2Bを設定可能であり、一層モータMG2の保護を図ると共に一層容易に走行を開始することができる。
上述した第2実施例では、勾配センサ89により勾配θを検出するものとしたが、ロック時制御で第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとの間で変化させた駆動力をモータMG2から出力したときのモータMG2の回転数Nm2に基づいて車両の勾配θの大きさを推定するものとし、推定した登り勾配θと第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bとの関係を予め経験的に求めておき、登り勾配θを推定すると、以降の第1トルク実行処理や第2トルク実行処理で用いる第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bを設定するものとしてもよい。このとき、第1トルク実行処理や第2トルク実行処理の繰り返し数が大きくなるほど小さくなる傾向に第1トルクTm2Aを設定してもよいし、一定値になるように第1トルクTm2Aを設定してもよい。また、第1トルク実行処理や第2トルク実行処理の繰り返し数が大きくなるほど大きくなる傾向に第2トルクTm2Bを設定してもよいし、一定値になるように第2トルクTm2Bを設定してもよい。こうすれば、勾配センサ89を用いずに比較的簡単な構成でモータMG2の保護を図ると共に容易に走行を開始することができる。
上述した実施例では、第1実施例において、経験的に求めた第1トルクTm2Aと連続ロックトルク値に基づいて第2トルクTm2Bとを設定し第1トルク実行処理と第2トルク実行処理との繰り返し数に基づいてこれらの値を変化させるものとし、第2実施例において、登り勾配θに基づいて冷却システム90の冷却能力を定め冷却システム90の冷却能力(冷却水温度Tc)に基づいて第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bを設定するものとしたが、これらの内容を適宜組み合わせて行うものとしてもよい。例えば、モータMG2のロック状態が検出されると第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bの基本値を経験的にあるいは連続ロックトルク値などに基づいて定め、登り勾配θ、モータMG2の温度tmg、冷却水温度Tcなどの各々について第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bを補正する補正係数を定め、これらの基本値に各補正係数を乗算することにより、連続ロックトルク値、登り勾配θ、モータMG2の温度tmg、冷却水温度Tcなどのうちいずれか1以上を加味した第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bを設定するものとしてもよい。また、冷却システム90の冷却能力(冷却水温度Tc)に基づいて第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bを設定し、第1トルク実行処理と第2トルク実行処理との繰り返し数に基づいて第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bの値を変化させるものとしてもよい。また、第1トルク実行処理と第2トルク実行処理との繰り返し数に基づいて第1トルクTm2A及び第2トルクTm2Bの値を変化させるものとし、登り勾配θ、モータMG2の温度tmg、冷却水温度Tcのうちいずれか1以上を用いて、所定値Taや所定値Tbを補正するものとしてもよい。あるいは、登り勾配θ、モータMG2の温度tmg、冷却水温度Tcなどのうち、いずれか1つの条件を優先して第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとを設定するものとしてもよい。このとき、モータMG2の保護の観点からは、モータMG2の温度tmgを最優先して第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとを設定することが好ましい。
上述した実施例では、回転位置検出センサ44及びモータECU40によりモータMG2のロータ軸の回転数Nm2を直接的に検出するものとしたが、モータMG2の回転軸の回転数を検出するものであれば特にこれに限定されず、モータMG2に接続されるなどしたいずれかの軸の回転数を検出することにより間接的にモータMG2の回転数Nm2を検出するものとしてもよい。
上述した実施例では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図12の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図12における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。あるいは、上述した実施例では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図13の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
上述した実施例では、エンジン22とモータMG1,MG2とを備えたハイブリッド自動車20として説明したが、例えばバッテリと車両の駆動用のモータとを備えた電動自動車や燃料電池とバッテリと車両の駆動用のモータとを備えた燃料電池自動車など、走行用の電動機を備えるものであれば特に限定されずに本発明を適用することができる。また、自動車以外の車両や船舶,航空機などの移動体に搭載されるものとしてもよい。また、車両の形態ではなく、動力出力装置の形態としてもよいし、車両の制御方法の形態としてもよい。
ここで、実施例や変形例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。第1実施例では、モータMG2の回転数Nm2を検出する回転位置検出センサ44及びモータECU40が「電動機回転数検出手段」に相当し、モータMG2からトルクを出力しているがモータMG2の回転数Nm2の絶対値が所定の低回転数範囲内としての閾値Nm2ref内にある条件を含むロック時制御の実行条件が成立しているか否かを判定するハイブリッド用電子制御ユニット70が「条件判定手段」に相当し、ロック時制御の実行条件が成立していると判定されているときに、モータMG2の回転数Nm2の絶対値が閾値Nm2refを超えるような第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとを設定するハイブリッド用電子制御ユニット70が「駆動力設定手段」に相当し、ロック時制御の実行条件が成立していると判定されているときに、設定された第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとの間で変化させたトルクを出力するロック時制御を実行するようモータMG2を制御するハイブリッド用電子制御ユニット70及びモータECU40が「制御手段」に相当する。また、エンジン22のクランクシャフト26と駆動軸としてのリングギヤ軸32aに接続された動力分配統合機構30と動力分配統合機構30に接続されたモータMG1とが「電力動力入出力手段」に相当し、リングギヤ軸32aに接続されたモータMG2が「電動機」に相当する。第2実施例では、モータMG2を冷却する冷却水をモータMG2に流通させる循環ポンプ92と送風によりこの冷却水を冷却するファンモータ94とを備えモータMG2を冷却水により冷却する冷却システム90が「冷却手段」に相当し、車両の登り勾配θを検出する勾配センサ89が「勾配検出手段」に相当し、冷却水温度Tcが低いほど大きくなる傾向に第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとを設定するハイブリッド用電子制御ユニット70が「駆動力設定手段」に相当し、車両が登り勾配にあるときには冷却システム90の冷却能力を高めるよう循環ポンプ92やファンモータ94を制御するハイブリッド用電子制御ユニット70及びモータECU40が「制御手段」に相当する。変形例では、ロック時制御で前第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとの間で変化させたトルクをモータMG2から出力したときのモータMG2の回転数Nm2に基づいて車両の勾配の大きさを推定するハイブリッド用電子制御ユニット70が「勾配推定手段」に相当する。
ここで、「3軸式動力入出力手段」としては、上述の動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものや複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるものやデファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる差動作用を有するものなど、駆動軸と内燃機関の出力軸と発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸に動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「条件判定手段」としては、ロック時制御の実行条件が成立しているか否かを判定することが可能であれば、如何なるものとしても構わない。「駆動力設定手段」としては、モータMG2の回転数Nm2の絶対値が閾値Nm2refを超えるような第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとを設定するものであれば如何なるものであってもよい。「制御手段」としては、ロック時制御の実行条件が成立していると判定されているときに、設定された第1トルクTm2Aと第2トルクTm2Bとの間で変化させたトルクを出力するロック時制御を実行するようモータMG2を制御するものであれば、如何なるものとしても構わない。「冷却手段」としては、モータMG2を冷却水により冷却するものであれば、如何なるものとしても構わない。「勾配検出手段」としては、車両の登り勾配θを検出するものであれば、如何なるものとしても構わない。なお、実施例や変形例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、車両の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 モータMG2のロック時制御の一例を表すタイミングチャートである。 ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 冷却風量設定マップの一例を表す説明図である。 冷却水流量設定マップの一例を表す説明図である。 第1トルク設定マップ及び第2トルク設定マップの一例を表す説明図である。 モータMG2のロック時制御の一例を表すタイミングチャートである。 モータMG2のロック時制御の一例を表すタイミングチャートである。 モータMG2のロック時制御の一例を表すタイミングチャートである。 登り勾配θに基づく、第1トルク設定マップ及び第2トルク設定マップの一例を表す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、89 勾配センサ、90 冷却システム、91 冷却水流路、92 循環ポンプ、93 ラジエータ、94 ファンモータ、95 冷却水センサ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ。

Claims (15)

  1. 駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
    前記電動機の回転数である電動機回転数を検出する電動機回転数検出手段と、
    第1駆動力と該第1駆動力よりも大きな第2駆動力との間で変化させた駆動力を前記電動機から出力するよう制御するロック時制御における、前記電動機から駆動力を出力しているが前記検出された電動機回転数が所定の低回転数範囲内にある条件を含む該ロック時制御の実行条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、
    前記条件判定手段によって前記ロック時制御の実行条件が成立していると判定されているときに、前記電動機回転数が前記低回転数範囲から外れるような前記第1駆動力と前記第2駆動力とを設定する駆動力設定手段と、
    前記条件判定手段によって前記ロック時制御の実行条件が成立していると判定されているときに、前記設定された第1駆動力と前記第2駆動力との間で変化させた駆動力を出力する前記ロック時制御を実行するよう前記電動機を制御する制御手段と、
    を備える車両。
  2. 前記駆動力設定手段は、前記第1駆動力と前記第2駆動力との間で交互に変化させる前記電動機の駆動力を設定し且つ前記第1駆動力と前記第2駆動力との間で交互に変化させる繰返し数が大きくなると前記第1駆動力が小さくなる傾向に前記第1駆動力を設定する手段である、請求項1に記載の車両。
  3. 前記駆動力設定手段は、前記第1駆動力と前記第2駆動力との間で交互に変化させた駆動力を設定し且つ前記第1駆動力と前記第2駆動力との間で交互に変化させる繰返し数が大きくなると前記第2駆動力が大きくなる傾向に前記第2駆動力を設定する手段である、請求項1又は2に記載の車両。
  4. 前記ロック時制御の実行条件は、車両が勾配にある条件を含み、
    前記駆動力設定手段は、車両が勾配にあり前記電動機回転数が所定の低回転数範囲内となる前記電動機の駆動力よりも大きな駆動力に前記第2駆動力を設定する手段である、請求項1〜3のいずれかに記載の車両。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の車両であって、
    前記電動機を冷却媒体により冷却する冷却手段、を備え、
    前記駆動力設定手段は、前記電動機の温度及び前記冷却手段の温度のうち少なくとも一方に基づいて前記第1駆動力及び前記第2駆動力のうち少なくとも一方を設定する手段である、請求項1〜4のいずれかに記載の車両。
  6. 前記駆動力設定手段は、前記冷却手段の温度が低いほど大きくなる傾向に前記第1駆動力及び前記第2駆動力のうち少なくとも一方を設定する手段である、請求項5に記載の車両。
  7. 前記駆動力設定手段は、前記電動機の温度が高いほど小さくなる傾向に前記第1駆動力及び前記第2駆動力のうち少なくとも一方を設定する手段である、請求項5又は6に記載の車両。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載の車両であって、
    車両が勾配にあるか否かを検出する勾配検出手段、を備え、
    前記制御手段は、車両が登り勾配にあるときには、前記冷却手段の冷却能力を高めるよう前記冷却手段を制御する手段であり、
    前記駆動力設定手段は、前記冷却手段の冷却能力に基づいて前記第1駆動力及び前記第2駆動力のうち少なくとも一方を設定する手段である、車両。
  9. 前記制御手段は、前記検出された登り勾配が大きくなるほど前記冷却手段の冷却能力がより高くなる傾向に前記冷却手段を制御する手段である、請求項8に記載の車両。
  10. 前記冷却手段は、前記電動機を冷却する冷却媒体を前記電動機に流通させる冷却媒体供給手段と、送風により該冷却媒体を冷却する送風手段と、を備える手段であり、
    前記制御手段は、前記冷却手段の冷却能力を高めるに際して、前記冷却媒体の供給量を高めるよう前記冷却媒体供給手段を制御するか、前記送風の風量を高めるよう前記送風手段を制御するかのうち少なくとも一方を行う手段である、請求項8又は9に記載の車両。
  11. 前記ロック時制御の実行条件は、車両が登り勾配にある条件を含み、
    前記駆動力設定手段は、前記検出された登り勾配が大きいほど大きくなる傾向に前記第1駆動力及び前記第2駆動力のうち少なくとも一方を設定する手段である、請求項1〜10のいずれかに記載の車両。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の車両であって、
    前記ロック時制御で前記第1駆動力と前記第2駆動力との間で変化させた駆動力を前記電動機から出力したときの前記電動機回転数に基づいて前記車両の勾配の大きさを推定する勾配推定手段、を備え、
    前記駆動力設定手段は、前記推定した登り勾配が大きいほど大きくなる傾向に前記第1駆動力及び前記第2駆動力のうち少なくとも一方を設定する手段である、車両。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の車両であって、
    内燃機関と、前記駆動軸に接続されると共に該駆動軸とは独立に回転可能に前記内燃機関の出力軸に接続され電力と動力の入出力を伴って前記駆動軸と前記出力軸とに動力を入出力する電力動力入出力手段、を備えた車両。
  14. 前記電力動力入出力手段は、動力を入出力可能な発電機と、前記駆動軸と前記出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちいずれか2軸に入出力した動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、を備える手段である、請求項13に記載の車両。
  15. 駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電動機の回転数である電動機回転数を検出する電動機回転数検出手段と、を備えた車両の制御方法であって、
    第1駆動力と該第1駆動力よりも大きな第2駆動力との間で変化させた駆動力を前記電動機から出力するよう制御するロック時制御における、前記電動機から駆動力を出力しているが前記検出された電動機回転数が所定の低回転数範囲内にある条件を含む該ロック時制御の実行条件が成立しているか否かを判定し、
    前記ロック時制御の実行条件が成立していると判定されているときに、前記検出された電動機の回転数が前記低回転数範囲から外れるような前記第1駆動力と前記第2駆動力とを設定し、
    前記ロック時制御の実行条件が成立していると判定されているときに、前記設定された第1駆動力と前記第2駆動力との間の駆動力を出力する前記ロック時制御を実行するよう前記電動機を制御する、
    車両の制御方法。
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