JP2008296104A - 加圧濾過方法と加圧濾過器 - Google Patents

加圧濾過方法と加圧濾過器 Download PDF

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【課題】 固体濾滓だけでなく、微細油分などの液状不純物も除去でき、特に、オフセット印刷機や輪転印刷機などに用いる湿し水に混入したインキ、紙粉、油分などを取り除いて印刷適性を向上させる加圧濾過方法を提供する。
【解決手段】 加圧濾過器において、不純物を含む原液を密閉ハウジング内で加圧充填させ、この原液が回転ドラムの濾網に強制的に押し付けられると、濾液だけが回転ドラムの濾網を通過し、原液中の不純物は回転ドラムの濾網と衝突することで濾網周面上で捕捉され、捕捉された不純物がブラシによって濾網周面上から剥離され、密閉ハウジング内を上昇してハウジング上方部で集合すると、集合不純物を定期的または随時に系外へ排出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体濾滓だけでなく、微細油分などの液状不純物も除去できる加圧濾過方法と加圧濾過器に関し、特に、オフセット印刷機や輪転印刷機などに用いる湿し水に混入したインキ、紙粉、油分などを取り除いて印刷適性を向上させる加圧濾過方法および加圧濾過器に関する。
オフセット印刷において、湿し水は、それ自体で濡性が良く、表面張力を低下させることが必要であるため、現在では湿し水に有機物質のイソプロピルアルコール(IPA)などを添加し、さらにインキの乾燥遅れを防ぐためのpH調節剤や防錆剤を加えている。この湿し水には、インキが練ローラで練られる際に粘度の低下と同時に、印刷機の版面が温度上昇することを防ぎ、インキ温度が版面において適正値となるように版面を冷却する役目がある。このため、湿し水の供給装置には、湿し水を適正に管理するための各種の機器を付設している。
湿し水には、印刷時に各種の不純物が混入しやすく、例えば、インキの練ローラから発生したインキミストが混入し、版面におけるインキまたはインキ成分が乳化によって混入し、さらに印刷用紙から生じる紙粉も混入するうえに、機械油の混入も完全には防止できない。特開2003−80666号のように、一般のオフセット印刷機では、湿し水を濾過・洗浄するための濾過器を湿し水の供給装置に付設し、湿し水を印刷ユニットの版面に供給する水舟と、湿し水を適正に管理するラインタンクとの間で、該濾過器を通して湿し水を循環させ、該濾過器の通過によって不純物を除いている。また、大型のオフセット印刷機や輪転印刷機では、特開2002−59531号のように、各色印刷ユニットの水舟からオーバーフローした湿し水を各水舟からの配管を纏めて中継タンクに集合させ、給水ポンプによって循環タンクに送っている。不純物を効果的に除去する水浄化システムは、中継タンクと循環タンクとの間に設置したり、該循環タンク自体に水浄化システムを付設する。
オフセット印刷機を据え付けた印刷工場では、通常、印刷機の据え付け後に大がかりな水浄化システムを取り付けることは敷地面積の点で難しく、高価な水浄化システムでは経済的にも困難であることが多く、フィルターの頻繁な交換が必要になってランニングコストも非常に高い。このため、一般のオフセット印刷機は、単に湿し水を濾過する濾過器を湿し水の供給装置に付設するだけであり、この濾過器には不純物粒子を物理的に捕捉するスポンジフィルターを収納する。
このスポンジフィルターは、目詰まりを起こす前に交換することを要し、フィルター交換を1日1回だけで済ませしかも濾過器を大型化しないために、各オフセット印刷機に個別に濾過器を設置することが必要であるので、印刷設備の全体費用が高くなる。このスポンジフィルターでは不純物を完全に除くことができず、水舟やラインタンクなどに汚れが付着しやすい。水舟やラインタンクなどに汚れが多く付着すると、それを除くために湿し水供給装置を定期的に清掃することが必要になり、その間はオフセット印刷機を稼働できず、機械の稼働率が低下してしまう。現在の湿し水は、有機物質である各種の添加剤を含み、インキを紙に転写する時ににじみが発生しないように冷却されており、汚れた湿し水の温度が上昇すると、紙に転写する時にインキのにじみが発生したり、湿し水の汚れが紙に付着しやすい。湿し水中において、空気中から入り込んだバクテリアが繁殖し、湿し水が腐敗して悪臭を発生することもある。
特開2003−80666号公報 特開2002−59531号公報 特開2005−288837号公報
本発明者は、既に特開2005−288837号において湿し水の安定化装置を提案している。この安定化装置は、一般のオフセット印刷機において、ラインタンクまたは浄水タンクの近くに搬送した後に接続してラインタンク内の湿し水を洗浄する。また、湿し水の浄化システムが設置されていても、該水浄化システムを補完するかまたは該システムに代えてラインタンクや浄水タンクの近くに据え付ければ、湿し水を洗浄してその透明度を上げることができる。この安定化装置では、1次分離器によって湿し水中に混入した紙粉を物理的に捕捉するとともに、2次濾過ドラムおよび3次濾過タンクにおいて大部分のインキ、機械油などの親油性の分散粒子およびコロイド粒子などの油分を除去することにより、湿し水が十分に洗浄されて印刷物が高品質になる。
特開2005−288837号に開示の安定化装置について、2次濾過ドラムの濾過性能がさらに高められると、湿し水をいっそう効率良く洗浄でき、装置全体をいっそう小型化することができる。また、無毒化処理や焼却処分が必要な廃液の排出量を劇的に減らし、装置のランニングコストを下げることが可能になる。
本発明は、湿し水用を含む濾過器をさらに改善するために提案されたものであり、単なる固体濾滓だけでなく、微細油分などの液状不純物も効果的に除去できる加圧濾過方法を提供することを目的としている。本発明の他の目的は、フィルター交換や機器洗浄などのランニングコストがいっそう安上がりになる加圧濾過方法および加圧濾過器を提供することである。本発明の別の目的は、オフセット印刷機や輪転印刷機などにおいて、湿し水中の油分を効果的に除去して印刷適正を維持できる加圧濾過方法および加圧濾過器を提供することである。
本発明に係る加圧濾過方法では、不純物を含む原液を密閉ハウジング内で加圧充填させ、この原液が回転ドラムの濾網に強制的に押し付けられると、濾液だけが回転ドラムの濾網を通過し、原液中の不純物は回転ドラムの濾網と衝突することで濾網周面上で捕捉される。捕捉された不純物は、ブラシによって濾網周面上から剥離され、密閉ハウジング内を上昇してハウジング上方部で集合すると、集合不純物を定期的または随時に系外へ排出する。
本発明に係る加圧濾過方法では、原液が密閉ハウジング内で密に加圧充填されることにより、通常、密閉ハウジングの内部上方に空気層が残存しない。好ましくは、系外へ排出された不純物はさらに常圧濾過器で濾過され、常圧濾過器を通った濾液をラインタンクに戻す。
本発明に係る加圧濾過器では、内部を加圧状態に維持する密閉ハウジングと、密閉ハウジングの上方部に取り付けた不純物の排出管路と、密閉ハウジングに取り付けた原液の送込み管路と、密閉ハウジング内に設置され且つ周面が微細網目の濾網である回転ドラムと、回転ドラムの端面に接続して密閉ハウジングを貫通する同軸パイプと、ハウジング内部に取り付けて回転ドラムの濾網と接触するブラシとを備える。原液は、送込み管路を経て密閉ハウジング内に加圧送入され、濾液が回転ドラムの濾網を通過するとともに、不純物をハウジング上方部に集合させて排出管路を経て系外へ排出する。
本発明の加圧濾過器において、中空の回転ドラムは、複数個の貫通孔を穿孔した円周面と、液路を除いて閉塞した前後端面とからなるのが普通であり、該円周面の外周に微細網目の濾網を筒状に張り付ける。
望ましくは、常圧濾過器を加圧濾過器の排出管路と接続する。この常圧濾過器は、打ち抜き鋼板製のフレームと、該フレームの内面に配置した厚い繊維フィルターとからなり、排出された不純物をフレームで固定した繊維フィルター内に送り込み、濾液を放流するかまたは水タンクへ戻すことが可能である。
本発明を図面によって説明すると、本発明に係る加圧濾過方法は、図6や図7で例示するような印刷機で用いる湿し水を浄化できるだけでなく、原液として飲料水、ビール、清酒、塗料、工場廃水、液状の化学薬品などを濾過する際に適用したり、一般の固体粒子分離装置としても適用可能である。本発明の加圧濾過方法において、密閉ハウジング10は、通常、横置き円筒形であって開口部60などを形成しても、該ハウジングを上蓋64で気密状態を達成することが必要である。原液は、例えば、約1kgf以上の圧力で密閉ハウジング10内で常に加圧充填され、該密閉ハウジングの内部上方に空気層が残存しないことを要する。この加圧力は、原液の物性および不純物の種類や含有量または濾網18の空隙率などによって適宜調整すればよい。
本発明の加圧濾過方法において、原液が加圧によって密閉ハウジング10内で回転ドラム12の円周面15に強制的に押し付けられることにより、該円周面に張り付けた濾網18を濾液だけが通過し、原液中の不純物は濾網18と衝突することで濾網周面上で捕捉されてしまう。捕捉された不純物は、ドラム12の回転によってブラシ58と接触し、該ブラシによって濾網周面上から剥離される。この結果、加圧濾過器3を通過した濾液には不純物が殆ど残存しない。
加圧濾過器3では、回転ドラム12の濾網18はブラシ58で常に洗浄されるため、該濾網の交換は実質上不要であり、密閉ハウジング10内に設置したままで半永久的に使用できる。濾網18で捕捉された液状の不純物は、通常、水よりも軽く、密閉ハウジング10内に原液が加圧充填されているので、密閉ハウジング10内を上昇してハウジング上方部で集合する。密閉ハウジング10の上方部には、排出管路68,74を接続するニップル66を取り付け、この取付位置は、図2と図3に示した上周端よりも、実際には若干下方へずらす方が望ましい。このニップルは、密閉ハウジング10の端壁44または45の上方部に取り付けることも可能である。
集合した不純物が所定の量になると、排出管路68ないし74のコック(図示しない)を定期的または随時に開くことによって不純物を容易に系外へ排出できる。ハウジング内部上方における不純物の量をセンサーで検知すれば、不純物を自動的に排出することも可能である。
排出管路74を通って系外に出た廃液は、一般に量的に多くないので、常圧濾過器76において時間を掛けて十分に濾過すればよい。常圧濾過器76の濾液は、そのまま放流することができまたは水タンクへ戻すことも可能である。この結果、常圧濾過器76からの廃液は、実質的に零になるので廃液処理費用を劇的に節約でき、装置のランニングコストを下げることができる。常圧濾過器76の繊維フィルター80は長期間使用でき、1回の交換で数年は使用可能である。
図6や図7に示すように、加圧濾過器3を連続濾過装置1に組み込んで印刷機に適用すると、水タンクから取り出す洗浄すべき湿し水を1次濾過器106(図4)、加圧濾過器3から3次濾過タンク5(図2)の順に流通させ、該加圧濾過器から排出した液状不純物をさらに常圧濾過器76に通し、この濾液を水タンクに戻すことも可能である。連続濾過装置1では、1次濾過器106において、紙粉、粉塵、インキ添加剤などの固体粒子を捕集するとともに通過油分を細かく粒状化し、加圧濾過器3において、回転ドラム12の濾網18に湿し水中の微細油分を衝突させて濾網18で捕捉し、3次濾過タンク5において、通過した残存油分を除去することによって湿し水の透明度を確実に上昇させる。
本発明に係る加圧濾過方法では、原液は密閉ハウジング内で常に加圧充填され、該密閉ハウジングの内部上方に空気層が全く残存しないことを要する。密閉ハウジング内において、原液は加圧によって回転ドラムの濾網に強制的に押し付けられ、濾液だけが濾網を通過することで、加圧濾過器を通過した濾液には不純物が殆ど残存しない。この濾網で捕捉された不純物は、ブラシによって濾網周面上から剥離され、水よりも軽いので密閉ハウジング内を上昇してハウジング上方部で集合するので、容易に系外へ排出できる。本発明の加圧濾過方法は、湿し水の浄化だけでなく、一般の固体粒子分離装置などとしても適用でき、系外に出る廃液は実質的に零にできる。
本発明に係る加圧濾過器では、回転ドラムの濾網の交換は実質上不要であり、廃液処理費用を劇的に節約でき、装置のランニングコストを下げることができる。本発明の加圧濾過器をオフセット印刷機や輪転印刷機などに付設すると、従来に比べて湿し水の全量交換が実質的に不要になり、湿し水の交換のために印刷機を停止することが解消して印刷物の生産性が飛躍的に上昇し、しかもラインタンクや浄水タンクの清掃回数が減って清掃自体も簡単になる。
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。加圧濾過器3は、図1に示すように、横置き円筒形の密閉ハウジング10からなり、該ハウジング内に回転ドラム12を偏心設置している。回転ドラム12は、密閉ハウジング10と同様の横置きの円筒形であり、該ハウジングの半径と同等または僅かに短い直径を有し、その横幅はハウジング10の半幅よりも長いが、かなり短くする。
回転ドラム12において、1対の円形端板14,14は、中空筒15に直交固着して所定間隔を保持し、該中空筒に比較的大きい打ち抜き孔16を複数個穿孔する。例えば、中空筒15の直径が50mmであって直径30mmの孔16を100mm間隔で4個設ける。回転ドラム12は、1対の円形端板14,14と、両端板の外周に溶接した筒板17とで構成し、該筒板の全面に多数個の貫通孔を穿孔し、さらに該筒板の外周面に微細網目の濾網18を筒状に張り付ける。また、ステンレス鋼製の回転ドラム12は、直径と横幅がともに170mmであり、且つ濾網18は、非常に細かい網目のステンレス鋼製の金網であると好ましい。
回転ドラム12は、貫通孔20を設けた側の端板にハブ22を溶接し、該ハブはハウジング10の端壁において軸受リング24で回転可能に通過し、メカニカルシールのリング24でハウジング10の液密状態を維持する。同軸パイプ26は、ハブ22に差し込んで溶接し、ハウジング10を通過して水平に延設することで回転ドラム12と連通する。同軸パイプ26つまりドラム12は、軸受28で回転自在に支承され、さらにプーリ30を嵌装することにより、モータ32(図2)によって回転できる。同軸パイプ26の先端雄ねじ部34は、ソケット36を介して他方の回転管37の雄ねじ部38と接続する。回転管37は、回転受け部40を経て、3次濾過タンク5(図2)への管路41と連通する。
密閉ハウジング10は、周壁42および前後の端壁44,45で構成し、該周壁および一方の端壁が二重壁からなり、周壁42,46間および端壁44,48間にエアーまたはガラス繊維などの無機質や有機質の断熱材を介在させる。周壁42の壁面中間には、ニップル50を固着し、該ニップルに送込み管路52(図2)を接続することにより、該管路を経て給水ポンプ7から密閉ハウジング10内に湿し水を送り込むことができる。周壁42の下端壁面に他のニップル54を固着し、該ニップルにコック(図示しない)を取り付けると、回転ドラム12の濾網18で分離されて下降した固体濾滓を適宜排出できる。
また、第3のニップル66を密閉ハウジング10の周壁42の上端壁面に下向き垂直に固着し、該ニップルに排出管路のフレキシブルパイプ68(図2)を接続する。ニップル66の取付位置は、図2に示した上周端よりも若干下方へずらしておく。フレキシブルパイプ68は、ハウジング外部において、周壁42の前方フランジ部70および端壁45の周辺部を通過した排出金具72まで延設する。
図3に示すように、排出金具72には別の長い排出管路74を取り付け、該排出管路をさらに常圧濾過器76と接続する。図示しないけれども、常圧濾過器76は、タンク124(図6)または144(図7)内に配備し、該タンクに引っ掛けるフックを取り付けたりまたは適宜のフロート部材によって水面に浮かせる。常圧濾過器76は、打ち抜き鋼板製のフレーム78と、該フレームの内面に配置した厚い繊維フィルター80とからなり、排出された液状不純物をフレーム78で固定した繊維フィルター80内に送り込む。
また、密閉ハウジング10の壁面上周端において、矩形開口部60(図2参照)を設け、該開口部内に木製柄56と豚毛57からなるブラシ58を収納する。開口部60は、回転ドラム12の上方に位置し、その前後壁面にU字平面の案内枠62,62を垂直に固着する。案内枠62の内寸幅はブラシ58の柄56の幅にほぼ等しく、両案内枠62,62の内寸間隔はブラシ58の柄56の長さにほぼ等しい。ブラシ58は、密閉ハウジング10を開口部60内に収納すると、ブラシ58の毛57が回転ドラム12の周面の濾網18と接触する。開口部60は、ブラシ58の収納後に上蓋64をハウジング壁にボルト止めすることによって気密に閉鎖する。
図2および図3に示すように、3次濾過タンク5は細長い円筒形であり、複数本のボルト82によってタンク上蓋84を上面開口のタンク本体86に開閉可能に締着する。タンク本体86の内部中央において、上面開口の細長い内筒体87を垂直方向に固着し、タンク本体底部に固定した内筒体87の高さは通常タンク高さの8割前後である。タンク本体86の内底には、中心貫通孔を内筒体87に嵌合した円板を水平に載置し、該円板上にフィルターカセットを配置する。タンク本体86およびその内壁の上端に矩形断面のリングを固着し、該リングの上面がタンク上蓋84の下面と接触する。タンク本体86は二重壁からなり、該タンク本体と内壁との間にエアーまたはガラス繊維などの無機質や有機質の断熱材などを介在させ、タンクの水温が上がらないようにする。
前記のフィルターカセットは、内筒体87とタンク本体86との間で円板上に2段で収納され、収納の際にカセット外周面と内壁の垂直鋼板とが接触し、タンク本体86の内壁周面との間に若干の筒状間隙を有する。このフィルターカセットは、孔が7μm程度の細かいネットで両面を補強したシート状の繊維フィルターを有し、該繊維フィルターが円形平面になるようにジグザク状に折り畳んで接触面積を大きくする。繊維フィルターは、打ち抜き鋼板の外筒によってカバーされる。例えば、繊維フィルターは、内層が直径3μmのポリプロピレン繊維ウェブおよび外層が直径10μmのポリプロピレン繊維ウェブで構成する2層構造からなり、押圧成形後の厚みが約2mmであり、所望に応じてグラスウールを添加してもよい。この繊維フィルターは、不織布、フェルトなどでもよく、層数が3〜5層を有していてもよい。この繊維フィルターにおけるウェブ、不織布またはフェルトは、ポリプロピレンのようなポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリ酢酸ビニル、アクリル系、木綿、ビスコース系などの合成繊維である。
タンク上蓋84は、図示しないけれども、その下面において比較短寸の分配筒部を取り付け、該分配筒部の外径は内筒体87の外径よりもわずかに大きい。さらに、タンク上蓋84の下向き中心にソケット部88を固着し、該ソケット部に細長い紫外線殺菌灯を着脱可能に接続することにより、タンク上蓋84から垂直に吊り下げることができる。タンク上蓋84をタンク本体86にボルト止めして密に閉じると、分配筒部の下周縁は内筒体87の上周縁よりも少し下方に位置し、その環状間隙を最終濾過直後の湿し水が通過する。殺菌灯は、内筒体87の中心に位置し、該殺菌灯の下端は内筒体87のほぼ中間高さに位置するとともに、該内筒体の上周縁は殺菌灯の上方部で終わる。
立ち上がり管路90は、図2に示すように、その後端部が内筒体87の下端部と連通し、タンク本体86を水平に通過してタンク外へ出てから、T字管92で分岐した後に上方へ延びる。上方への管延長部の上端が出口部であり、該出口部に電磁バルブ94およびホースコネクタ(図示しない)を取り付ける。この出口部の高さが、内筒体87の上周縁との位置とほぼ対応することにより、最終濾過済みの湿し水が内筒体87内に滞留し、殺菌灯の紫外線で殺菌される。T字管92の他方には、コック96を取り付けた管にホースコネクタを接続し、該コックを開くとタンク本体86内の滞留湿し水を除去することができる。また、タンク本体86内に洗浄水などを充満させておくには、それをタンク本体86に送り込んだ後に電磁バルブ94を閉じ、さらにコック96を閉鎖すればよい。
タンク本体86の他方の外周側では、ニップル(図示しない)を介してエルボ89(図2)をタンク本体86に取り付け、該エルボに管路41を接続する。これによって、加圧濾過器3から出た湿し水を3次濾過タンク5へ送り込むことができる。
連続濾過装置1は、図2および図3に示すように矩形平面の基台2を備え、該基台の上に、ほぼ中央に加圧濾過器3と、フィルターカセットを収納した3次濾過タンク5と、制御盤を収納した直方体形の制御ボックス6と、加圧濾過器3へ送水する給水ポンプ7とを並置する。基台2は、その裏面の四隅にキャスタ8を取り付けることにより、印刷工場内を走行させて所望の場所に配置することができる。
図2と図3に示す給水ポンプ7が、不純物を含む原液を密閉ハウジング10内に加圧充填する。給水ポンプ7は、基台2上で加圧濾過器3の下方に配置し、該給水ポンプから出た送込み管路52に手動コック102を介在させ、ニップル50(図1)を介して加圧濾過器3の密閉ハウジング10と連通する。図示しないけれども、給水ポンプ7の入口部104は流入側管路と連通し、該管路において電磁バルブおよびホースコネクタなどを取り付ければよい。この流入側管路は、1次濾過器106(図4)の導入パイプ108と接続する。
図3に示すように、直方体形の制御ボックス6は、該制御盤に接続するコード類を通すパイプ状のポール116,116によって垂直に立設し、該ボックスは基台2の右側後方に位置する。制御ボックス6の頂面には、電力オンを示す表示ランプ118を突設し、該ボックスの前面に複数のスイッチ120を取り付ける。例えば、上の1個のスイッチ120は電磁バルブ94および給水ポンプ7の電磁バルブの開閉を制御するトグルスイッチであり、下の2個で電力のオンまたはオフを行う。電磁バルブ94および給水ポンプ7の電磁バルブの開口度は、管出口部および給水ポンプ7の入口部104の水圧を計測することで自動制御し、フィルター交換も水圧を計測することで自動的に報知できる。
一方、図4と図5に示す1次濾過器106は、ラインタンク124(図6)内で湿し水の水面に位置するように、常圧濾過器76と同様に、タンク124またはフロート部材によって水面に浮くように構成する。1次濾過器106は、打ち抜き鋼板製の箱状フレーム109を有し、該フレームの底壁110は板材である。フレーム109内に配置した導入パイプ108は、その管端を底壁110に固着してL字形に水平に屈曲し、且つ端部周壁に適宜数の貫通孔112を設ける。箱状フレーム109の側壁は2重構成であり、比較的厚いフィルター114を2重フレーム間に挟む。繊維フィルター114は、厚さ30〜40mmの比較的粗いポリプロピレン繊維ウェブからなる。フィルター114は、上方へ引き出すだけで容易に交換できる。
図6には、連続濾過装置1を通常のオフセット印刷機122で利用する例を示し、該連続濾過装置を印刷機122のラインタンク124の近傍まで搬送する。連続濾過装置1において、導入パイプ108などを経て1次濾過器106を給水ポンプ7と接続し、該1次濾過器を湿し水の水面に位置させ、3次濾過タンク5の立ち上がり管路90に接続したホース126をラインタンク124内に入れる。また、常圧濾過器76を湿し水の水面に位置させ、該常圧濾過器は排出管路74を経て加圧濾過器3につながっている。
ラインタンク124内において、1次濾過器106を戻り管路から可能な限り離隔することにより、整流の湿し水を1次濾過器106に送り込む。ラインタンク124内の湿し水は、ポンプ(図示しない)によって、オフセット印刷機122における印刷ユニットの水舟130に管路132を介して供給し、各管路にはスポンジフィルターを収納した濾過器(図示しない)を取り付けている。水舟130は、両面4色のオフセット印刷機122であれば、1台のオフセット印刷機に8台設ける。水舟130の湿し水は、水元ローラ134とそれに続く複数のローラを経て版胴の版面に送られ、その版面における親水性の非画線部に吸収され、各非画線部にインキが付着しない。
湿し水を供給するローラ134は、版面における親油性の画線部に付着したインキにも接触することにより、湿し水を版面に供給する複数のローラを経由して、インキやインキ成分が水舟130の湿し水に入り込む。この理由は、親油性のインキ成分でも微量は湿し水に溶け、且つインキ成分がエマルジョンとなって湿し水に分散するからである。また、版胴近傍のインキ練りローラやインキ付けローラによってインキ膜が分割されると、インキミストが発生し、該版胴の近くに移送される印刷用紙から紙粉が発生する。インキミスト、紙粉または機械油などの不純物は、湿し水を版面に供給する複数のローラに付着し、これらのローラを経由して水舟130の湿し水へ侵入したり、該水舟の湿し水に直接入り込む不純物もある。この結果、水舟130をオーバーフローする湿し水には、各種の不純物が存在している。複数個の水舟130をオーバーフローした湿し水は、管路136に集束され、該管路を経てラインタンク124に回収する。
連続濾過装置1を稼動するため、電磁バルブ94および給水ポンプ7の電磁バルブを開くと、ラインタンク124内の湿し水の一部は、給水ポンプ7によって1次濾過器106を経て加圧濾過器3に送水される。この湿し水は、1次濾過器106、加圧濾過器3、3次濾過タンク5の順に流通する。1次濾過器106において、比較的厚くて粗い繊維フィルター114で紙粉、粉塵、インキ添加剤などの固体粒子を捕集するとともに通過油分を細かく粒状化する。繊維フィルター114は、上方へ引き出すだけで容易に交換でき、その交換は数ヶ月に1回でよい。
加圧濾過器3において、湿し水は密閉ハウジング10内で給水ポンプ7によって常に加圧充填され、該密閉ハウジングの内部上方に空気層が全く残存しない。密閉ハウジング10内において、湿し水は加圧によって回転ドラム12の濾網18に強制的に押し付けられ、湿し水だけが濾網18を通過し、一方、湿し水中の微粉粒や油分は濾網18と衝突することで濾網周面上で捕捉され、加圧濾過器3を通過した湿し水には微粉粒や油分が殆ど残存しない。濾網18で捕捉された微粉粒や油分は、回転ドラム12を回すことでブラシ58と接触し、該ブラシによって濾網周面上から剥離され、水よりも軽いので密閉ハウジング内10を上昇してハウジング上方部で集合する。
ハウジング上方部で集合した微粉粒や油分は、排出管路74を経て常圧濾過器76に定期的に送り出し、常圧濾過器76においてフレーム78で固定した繊維フィルター80内に送り込む。この微粉粒や油分は、量的に多くないので流れが緩く、常圧で厚い繊維フィルター80を通過すると確実に捕集され、その濾液をラインタンク124に戻すと、系外に出る廃液は実質的に零になる。このため、加圧濾過器3を備えた連続濾過装置1をオフセット印刷機122で使用すると、廃液処理費用を劇的に節約でき、装置のランニングコストを下げることができる。
加圧濾過器3から3次濾過タンク5に送られた湿し水は、タンク本体86内へ流入し、フィルターカセットの外周面から繊維フィルターを半径方向に通過する。この結果、湿し水中に残存するインキミストなどの少量の油分をフィルターで濾取する。繊維フィルターについて、内層が比較的細い繊維ウェブおよび外層が比較的太い繊維ウェブで構成する2層構造であると、多少の油分が付着して濾過能力が低下することが少なく、残存油分自体も少ないので、この繊維フィルターは数年間連続使用できる。
3次濾過タンク5では、フィルターカセットを収納するタンク本体86と内壁との間に断熱材またはエアーを介在させ、繊維フィルターで濾過される湿し水の水温が上昇することを防ぎ、さらに殺菌灯によって湿し水を紫外線で照射する。このため、湿し水が有機物質の添加剤を含んでいても、湿し水の温度が濾過時に上昇することがなく、紙への転写時にインキのにじみが発生せず、空気中からバクテリアが侵入しても殺菌灯で殺菌されることにより、湿し水を常に清澄な状態に維持できる。
濾過後の湿し水は、分配筒部と内筒体87との間の環状間隙を通って内筒体87内に入り、立ち上がり管路90を通過するため、該内筒体内には常に湿し水が存在し、この湿し水を殺菌灯の紫外線で殺菌する。これによって、ラインタンク124において湿し水に混入した各種の不純物を最終的に除去しバクテリアの繁殖を防ぐので、各管路132に取り付けた常圧濾過器のスポンジフィルターに濾取する不純物は殆ど無い。3次濾過タンク5を通過した湿し水は、従前よりも透明度が上がり、湿し水交換のためにオフセット印刷機122を停止する必要が殆どなくなる。
各管路132に取り付けた濾過器のスポンジフィルターは、目詰まりを起こす前に交換することが必要であっても、フィルター交換は殆ど不要である。この濾過器は小型でよく、スポンジフィルターを使い捨てにしてもランニングコストの上昇が小さく、水舟130やラインタンク124などに汚れが付着することもない。連続濾過装置1により、オフセット印刷機122の稼働率が非常に上昇する。また、湿し水に油分などの不純物が殆ど残留しないので、印刷物に画線の太りや地汚れが発生せず印刷品質が良好になる。
図7は、水浄化システム140を備えたオフセット印刷機142で利用する例を示し、連続濾過装置1を浄水タンク144の近傍まで搬送し、1次濾過器106を流出側管路などから離して浄水タンク144内に入れ、さらに常圧濾過器76を浄水タンク144内に入れる。オフセット印刷機142が新聞印刷輪転機であれば、湿し水は弱アルカリ性であるので、連続濾過装置1に自動送水装置を敷設することを要する。浄水タンク144内の湿し水は、ポンプ(図示しない)によって、オフセット印刷機142における印刷ユニットの水舟146に管路148を介して供給する。水舟146の湿し水は、水元ローラ150とそれに続く複数のローラを経て版胴の版面に送られる。湿し水を供給するローラ150は、版面における親油性の画線部に付着したインキにも接触することにより、湿し水を版面に供給する複数のローラを経由して、インキやインキ成分が水舟146の湿し水に入り込む。
複数個の水舟146をオーバーフローした湿し水は、管路152に集束され、該管路を経てラインタンク154に回収する。ラインタンク154には水位計156を取り付け、タンク内の湿し水が一定量を超えると、ポンプ158によって管路160を経て浄水タンク144へ送り出す。浄水タンク144において、湿し水に混入した各種の不純物を除くため、その湿し水を水浄化システム140に通して循環洗浄させる。水浄化システム140は、例えば1日に3〜4時間稼働すればよく、ポンプ(図示しない)によって通常5〜20リットル/分の湿し水が流通する。
水浄化システム140において、各フィルター(図示しない)を通過する際に、湿し水に含まれる紙粉などを物理的に捕捉するとともに、大部分のインキ、機械油などの親油性の分散粒子およびコロイド粒子などを吸着する。例えば、バッグフィルターは密封式であり、定期的に交換するにしても24時間操業で4ヶ月間、8時間操業で1年間の使用を保証している。マイクロフィルターは、バッグフィルターと比較して相対的に気孔が細かく、残留する微細分散粒子やコロイド粒子などをいっそう効果的に除去して湿し水を洗浄する。マクロフィルターの交換は、通常、1〜2年に1回でよい。さらに、各フィルターで浄化された湿し水は、所定の流量で流水殺菌灯を通過し、該流水殺菌灯によって湿し水を常時殺菌することにより、湿し水中のバクテリアの総量を減らして腐敗を防ぐ。
定量交換装置162は、管路164を経て浄水タンク144から湿し水の一部を定期的に取り出し、その水量は例えば1週間1回、20リットル程度であり、この量は湿し水の汚染度に応じて適正値に自動設定する。交換装置162は、湿し水の排出量、自然蒸発量などに応じて管路166を経て新規の湿し水を自動的に供給し、常に一定量の湿し水を浄水タンク144内に保持させる。この定期的な湿し水の部分交換により、浄水タンク144内の湿し水の全面的な交換が不要である。また、交換装置162は、水浄化システム140の電磁バルブ(図示しない)と連動して、給水路168を経てマイクロフィルターへ洗浄水を送り、この水量は通常10〜15リットルである。このマイクロフィルターは、湿し水が流通していない時に水道水で洗浄すると好ましく、この洗浄によってマクロフィルターの交換期間を著しく延長できる。
連続濾過装置1を使用すると、加圧濾過器3において、湿し水は密閉ハウジング10内で給水ポンプ7によって常に加圧充填され、該密閉ハウジングの内部上方に空気層が全く残存しない。密閉ハウジング10内において、湿し水は加圧によって回転ドラム12の濾網18に強制的に押し付けられ、湿し水だけが濾網18を通過し、一方、湿し水中の微粉粒や油分は濾網18と衝突することで濾網周面上で捕捉される。ハウジング上方部で集合した微粉粒や油分は、排出管路74を経て常圧濾過器76に定期的に送り出す。この微粉粒や油分は、量的に多くないので流れが緩く、常圧で厚い繊維フィルター80を通過すると確実に捕集され、その濾液を浄水タンク144に戻すと、系外に出る廃液は実質的に零になる。このため、廃液処理費用を劇的に節約でき、装置のランニングコストを下げることができる。
定量交換装置162は、連続濾過装置1を設置すると実際上不要になる。図示のように、連続濾過装置1を水浄化システム140と併用するならば、前記バッグフィルターやマイクロフィルターの洗浄のために水浄化システム140を停止する際に、その代りに稼動させればよい。水浄化システム140による湿し水の洗浄が完全でないならば、補完的に連続濾過装置1を同時に稼動させてもよく、連続濾過装置1は相当に高性能であるから、水浄化システム140の代わりに設置してもよい。
本発明に係る加圧濾過器を示す横断面図である。 図1の加圧濾過器を含む連続濾過装置の平面図である。 図1の加圧濾過器を含む連続濾過装置の側面図である。 加圧濾過器に接続する常圧濾過器の一例を示す断面図である。 図4の常圧濾過器の平面図である。 連続濾過装置をオフセット印刷機に配置する例を示す説明図である。 水浄化システムを備えたオフセット印刷機に連続濾過装置を配置した状態を示す説明図である。
符号の説明
1 連続濾過装置
2 基台
3 加圧濾過器
5 3次濾過タンク
6 制御ボックス
7 給水ポンプ
10 密閉ハウジング
12 回転ドラム
18 濾網
16 同軸パイプ
32 モータ
58 ブラシ
66 ニップル
68 フレキシブルパイプ
74 排出管路
76 常圧濾過器
78 フレーム
80 繊維フィルター
84 タンク上蓋
86 タンク本体
90 立ち上がり管路

Claims (6)

  1. 不純物を含む原液を密閉ハウジング内で加圧充填させ、この原液が回転ドラムの濾網に強制的に押し付けられると、濾液だけが回転ドラムの濾網を通過し、原液中の不純物は回転ドラムの濾網と衝突することで濾網周面上で捕捉され、捕捉された不純物がブラシによって濾網周面上から剥離され、密閉ハウジング内を上昇してハウジング上方部で集合すると、集合不純物を定期的または随時に系外へ排出する加圧濾過方法。
  2. 原液が密閉ハウジング内で密に加圧充填されることにより、密閉ハウジングの内部上方に空気層が残存しない請求項1記載の濾過方法。
  3. 系外へ排出された不純物はさらに常圧濾過器で濾過され、常圧濾過器を通った濾液を放流する請求項1記載の濾過方法。
  4. 内部を加圧状態に維持する密閉ハウジングと、密閉ハウジングの上方部に取り付けた不純物の排出管路と、密閉ハウジングに取り付けた原液の送込み管路と、密閉ハウジング内に設置され且つ周面が微細網目の濾網である回転ドラムと、回転ドラムの端面に接続して密閉ハウジングを貫通する同軸パイプと、ハウジング内部に取り付けて回転ドラムの濾網と接触するブラシとを備え、原液が送込み管路を経て密閉ハウジング内に加圧送入され、濾液が回転ドラムの濾網を通過するとともに、捕捉された不純物をハウジング上方部に集合させて排出管路を経て系外へ排出する加圧濾過器。
  5. 中空の回転ドラムは、複数個の貫通孔を穿孔した円周面と、液路を除いて閉塞した前後端面とからなり、該円周面の外周に微細網目の濾網を筒状に張り付ける請求項4記載の加圧濾過器。
  6. 常圧濾過器を加圧濾過器の排出管路と接続し、該常圧濾過器は、打ち抜き鋼板製のフレームと、該フレームの内面に配置した厚い繊維フィルターとからなり、排出された不純物をフレームで固定した繊維フィルター内に送り込み、濾液を放流するかまたは水タンクへ戻す請求項4記載の加圧濾過器。
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