JP2005103784A - 可搬型の湿し水浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
主として小型や旧来のオフセット印刷機などの湿し水を洗浄する浄化装置を提供し、所望に応じて移動可能であって、湿し水に混入したインキ、紙粉、油分などを効率よく取り除く。
【解決手段】
フィルタを収納する筒形ハウジングと、該フィルタへ送水する給水ポンプと、筒形ハウジングおよびポンプを並置した基台とを備え、前記基台は裏面にキャスタを取り付けて走行可能であり、筒形ハウジングの内部中央に上面開口の内筒体を垂直に固着し、該内筒体の周囲にフィルタを筒状に配置する。
【選択図】図1
主として小型や旧来のオフセット印刷機などの湿し水を洗浄する浄化装置を提供し、所望に応じて移動可能であって、湿し水に混入したインキ、紙粉、油分などを効率よく取り除く。
【解決手段】
フィルタを収納する筒形ハウジングと、該フィルタへ送水する給水ポンプと、筒形ハウジングおよびポンプを並置した基台とを備え、前記基台は裏面にキャスタを取り付けて走行可能であり、筒形ハウジングの内部中央に上面開口の内筒体を垂直に固着し、該内筒体の周囲にフィルタを筒状に配置する。
【選択図】図1
Description
本発明は、主として小型や旧来のオフセット印刷機などの湿し水を洗浄する浄化装置であって、所望に応じて移動可能であって、湿し水に混入したインキ、紙粉、油分などを効率よく取り除く可搬型の湿し水浄化装置に関する。
オフセット印刷では、周知のように、版面の非画線部にだけ湿し水を選択的に着け、湿し水の存在によって非画線部へのインキの付着を防ぐ。この非画線部には、例えば親水性高分子のアラビアゴムを表面塗布し、そのアラビアゴムは印刷直前に洗い落としても若干残存し、その部分において水分を吸収し且つ油分を弾く。一方、湿し水は、それ自体で濡性が良く、表面張力を低下させることが必要であるため、現在では湿し水に有機物質のイソプロピルアルコール(IPA)などを添加し、さらにインキの乾燥遅れを防ぐためのpH調節剤や防錆剤を加えている。エッチ液は、その表面張力を低下させてもインキを乳化しないことを要する。
この湿し水には、インキが練ローラで練られる際に粘度の低下と同時に、印刷機の版面が温度上昇することを防ぎ、インキ温度が版面において適正値となるように版面を冷却する役目がある。このため、湿し水の供給装置には、湿し水を適正に管理するための各種の機器を付設し、例えば、エッチ液濃度ないしイソプロピルアルコール濃度およびpHの自動制御機、湿し水の水温を検知して自動冷却する機器を取り付けている。
オフセット印刷で重要な湿し水には、印刷時に各種の不純物が混入しやすい。例えば、インキの練ローラから発生したインキミストが混入し、版面におけるインキまたはインキ成分が乳化によって混入し、さらに印刷用紙から生じる紙粉も混入するうえに、機械油の混入も完全には防止できない。小型や旧来のオフセット印刷機は、湿し水を濾過・洗浄するための濾過器を湿し水の供給装置に付設し、湿し水を印刷ユニットの版面に供給する水舟と、湿し水を適正に管理するラインタンクとの間で、該濾過器を通して湿し水を循環させ、該濾過器の通過によって不純物を除いている。
さらに、現在のオフセット印刷機では、各色印刷ユニットの水舟からオーバーフローした湿し水を各水舟からの配管を纏めて中継タンクに集合させ、給水ポンプによって循環タンクに送っている。不純物を効果的に除去する水浄化システムは、中継タンクと循環タンクとの間に設置したり、該循環タンク自体に水浄化システムを付設することにより、湿し水の含有成分、物性および液温などを調節してから各水舟に戻している。
特開2003−80666号公報
特開2002−59531号公報
特開2001−260310号公報
小型や旧来のオフセット印刷機を据え付けた印刷工場では、印刷機の据え付け後に大がかりな水浄化システムを取り付けることは敷地面積の点で難しく、経済的にも困難であることが多い。このため、小型や旧来のオフセット印刷機は、単に湿し水を濾過する濾過器を湿し水の供給装置に付設するだけであり、この濾過器には、隙間を通り抜けようとする不純物粒子を物理的に捕捉するスポンジフィルタを収納している。
このスポンジフィルタは、目詰まりを起こす前に交換することを要し、フィルタ交換を1日1回だけで済ませしかも濾過器を大型化しないために、各オフセット印刷機に個別に濾過器を設置することが必要である結果、印刷設備の全体費用が高くなる。多数のスポンジフィルタの使い捨てするとランニングコストが上昇し、このスポンジフィルタでは不純物を完全に除くことができず、水舟やラインタンクなどに汚れが付着しやすい。水舟やラインタンクなどに汚れが多く付着すると、それを除くために湿し水供給装置を定期的に清掃することが必要になり、その間はオフセット印刷機を稼働できず、機械の稼働率が低下する。この濾過器を設置した印刷機では、湿し水に少量残留する不純物のために、印刷物に画線の太りや地汚れが生じて印刷品質の不良を発生しやすい。
さらに、現在の湿し水は、有機物質である各種の添加剤を含み、インキを紙に転写する時ににじみが発生しないように冷却されており、汚れた湿し水の温度が上昇すると、紙に転写する時にインキのにじみが発生したり、湿し水の汚れが紙に付着しやすくなる。湿し水中において、空気中から入り込んだバクテリアが繁殖し、湿し水が腐敗して悪臭を発生してしまうという問題もある。
本発明は、従来の濾過器に関する前記の問題点を改善するために提案されたものであり、小型や旧来のオフセット印刷機であっても、スポンジフィルタを収納した濾過器の存在の有無にかかわらず、水舟やラインタンクにおける湿し水の汚れを減少させて高品質の印刷を達成できる可搬型の湿し水浄化装置を提供することを目的としている。本発明の他の目的は、浄化装置を移動可能とすることにより、装置コストが安上がりでしかも湿し水の汚れを効果的に除去できる可搬型の湿し水浄化装置を提供することである。本発明の別の目的は、湿し水を循環する際に、湿し水の水温が上昇することを防いで水の腐敗臭が発生することを防止する可搬型の湿し水浄化装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る可搬型の湿し水浄化装置は、フィルタを収納する筒形ハウジングと、該フィルタへ送水する給水ポンプと、筒形ハウジングおよびポンプを並置した基台とを備える。この基台は裏面にキャスタを取り付けて走行可能であり、筒形ハウジングの内部中央に上面開口の内筒体を垂直に固着し、該内筒体の周囲にフィルタを筒状に配置する。この湿し水浄化装置において、流出側管路は内筒体の下方部と連通してから上方へ延び、その出口部においてバルブを取り付け、一方、流入側管路はポンプと連通し、その入口部においてバルブを取り付ける。
本発明の湿し水浄化装置では、筒形ハウジングの内部中央に上面開口の内筒体および外筒体を垂直に固着する。この内筒体と外筒体との間にフィルタを筒状に配置するとともに、内筒体内部に紫外線殺菌灯を垂直に設置する。この湿し水浄化装置において、外筒体の外周壁に断熱材またはエアーを介在させることにより、フィルタで濾過される湿し水の水温が上昇することを防いでいる。
好ましくは、紫外線殺菌灯を筒形ハウジングの上蓋体から内筒体内部に垂直に吊り下げ、内筒体の上周縁は紫外線殺菌灯の上方部で終わり、該内筒体の下端部と連通する流出側管路に手動バルブを取り付け、流出側管路における上方延長部の高さは内筒体の上周縁とほぼ対応することにより、濾過済みの湿し水が内筒体内において殺菌灯の紫外線で殺菌される。また、筒形ハウジングと給水ポンプとを基台上で隣接させて配置し、給水ポンプから出た管路を筒形ハウジングの外筒体の周壁と連通させ、且つこの管路に手動バルブを取り付けると好ましい。
本発明の湿し水浄化装置は、図1から図3に示すように、高さ約45cmの筒状フィルタを同心状に1個収納するタイプが大容量型であり、この場合にはフィルタはフェルトなどの多層構造になっていることが多い。一方、比較的小容量型の湿し水浄化装置では、例えば、ハウジング内に筒状フィルタ4個を円形平面に並べ、ハウジング中心に殺菌灯を配置した構成であり、濾過すべき湿し水はいずれかの筒状フィルタを通過する。
本発明に係る湿し水浄化装置は、湿し水の浄化システムが存在しない小型や旧来のオフセット印刷機において、オフセット印刷機などの湿し水を洗浄するためにラインタンクの近くに搬送し、ラインタンク内の湿し水を適度に洗浄することにより、高品質の印刷物、鮮明な写真現像などを容易に得ることができる。本発明の湿し水浄化装置は、湿し水の浄化システムが設置されていても、該水浄化システムを補完するためにラインタンクの近くに据え付け、ラインタンク内の湿し水をさらに洗浄することもできる。この湿し水浄化装置のフィルタは、湿し水中に混入した紙粉などを物理的に捕捉するとともに、大部分のインキ、機械油などの親油性の分散粒子およびコロイド粒子などを吸着して除去することにより、湿し水が適度に洗浄され、画線の太り、地汚れ、刷りムラ、版面へのゴミ付きなどによる不良が発生せずに印刷物が高品質になる。
本発明に係る湿し水浄化装置は、フィルタを収納する外筒体の外周壁に断熱材またはエアーを介在させ、該フィルタで濾過される湿し水の水温が上昇することを防ぎ、さらに殺菌灯によって湿し水を紫外線で照射している。湿し水が有機物質の添加剤を含んでいても、湿し水の温度が濾過時に上昇することがないので、紙に転写する時にインキのにじみが発生せず、空気中からバクテリアが侵入しても殺菌されることにより、湿し水の腐敗臭の発生を防ぎ、湿し水を常に清澄な状態で維持できる。本発明の湿し水浄化装置は、フィルタ全体を密閉し、濾過すべき湿し水がフィルタの全面をほぼ均等に通過するため、開放式よりも長期間使用できて非常にコストが安くなる。
本発明の湿し水浄化装置は、1日に数時間稼働させればよく、湿し水の洗浄を行わない時にフィルタを数ヶ月に一度交換すればよい。また、本発明の湿し水浄化装置は、湿し水を効果的に洗浄することにより、ラインタンク内の水を全量交換する必要がなくなり、湿し水を全量交換するために印刷機を一時停止する問題が解消して作業効率が向上する。この湿し水浄化装置を用いると、湿し水の総消費量が低下するうえに、印刷機自体の湿し水供給装置などを変更する必要がなく、設備コストとランニングコストが安い。
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明に係る湿し水浄化装置1は、図1から図3に示すように矩形平面の基台2を備え、該基台の上に、フィルタ3を収納する筒形ハウジング5と、該フィルタへ送水する給水ポンプ7とを並置している。基台2は、その裏面の四隅にキャスタ8を取り付けることによって工場敷地内を自由に走行させることができる。
筒形ハウジング5は上面開口の中空円筒形であり、複数本のボルト10によって上蓋体12を開閉可能に取り付ける。筒形ハウジング5の内部中央において、上面開口の細長い内筒体14を垂直方向に固着し、ハウジング底部に固定した内筒体14の高さはハウジング高さの7〜8割程度である。円板16は、その中心貫通孔18を内筒体の下方に密に嵌合して、該円板を水平に取り付ける。外筒体20は、円板16の外周縁に直交状に固着することにより、内筒体14および外筒体20を同心状に配置する(図3参照)。外筒体20は、外径がハウジング5の内径よりもわずかに小さく、その上周縁は上蓋体12の下面と接触する。外筒体20は二重壁からなり、その二重壁内にガラス繊維などの無機質や有機質の断熱材またはエアーを介在させる。
上蓋体12は、その下面において比較短寸の補助筒体21を取り付け、該補助筒体の外径は内筒体14の外径よりもわずかに大きい。さらに、上蓋体12の下面中心にソケット22を固着し、該ソケットに細長い紫外線殺菌灯23を着脱可能に接続することにより、上蓋体12から垂直に吊り下げることができる。上蓋体12をボルト10でハウジング5に密に閉じると、補助筒体21の下周縁は内筒体14の上周縁よりも少し下方に位置し、その環状間隙24を濾過直後の湿し水が通過する。殺菌灯23は、内筒体14の中心に位置し、該殺菌灯の下端は内筒体14の底部と近接するとともに、該内筒体の上周縁は殺菌灯23の上方部で終わる。
流出側管路25は、図2に示すように、内筒体14の下端部と連通し、ハウジング壁を水平に通過してハウジング外へ出てから、T字管26で分岐した後に上方へ延びる。上方への管延長部28の上端が出口部であり、該出口部に電磁バルブ30およびホースコネクタ(図示しない)を取り付ける。この出口部の高さが、内筒体14の上周縁との位置とほぼ対応することにより、濾過済みの湿し水が内筒体14内に滞留し、殺菌灯23の紫外線で殺菌される。T字管26の他方には、手動バルブ31を取り付けた配管とホースコネクタを接続し、該バルブを開くとハウジング5内の滞留湿し水を除去することができる。
フィルタ3は、円板16上において内筒体14と外筒体20との間に筒状に配置し、該フィルタの外周面と外筒体20の内周面との間には若干の筒状間隙32を設ける。フィルタ3は、例えば、気孔が異なる複数のフィルタ層からなり、保護フィルタ層を含む3〜5層を有していてもよい。フィルタ3は、不織布、フェルト、織布などの濾布または合成紙などの濾紙からなり、この不織布またはフェルトは、ポリプロピレンのようなポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリ酢酸ビニル、アクリル系、木綿、ビスコース系などの合成繊維である。フィルタ3には、ポリプロピレンのようなプラスチック製の吸油性チップ、合成繊維やカポック繊維製などの吸油性ファイバー、撥水加工した樹皮や木片などを充填してもよく、これらの充填材は、湿し水を用いる印刷機の規模と稼働時間、湿し水に混入した紙粉、インキミスト、機械油のような不純物の量などで増減する。
給水ポンプ7は、基台2上で筒形ハウジング5に隣接させて配置する。給水ポンプ7から出た管路33は、ハウジング壁を通過して外筒体20の周壁と連通させる。管路33には、手動バルブ34を取り付ける。図示しないけれども、流入側管路は給水ポンプ7の入口部35と連通し、その入口部において電磁バルブおよびホースコネクタを取り付ける。また、ハウジング5内に洗浄水などを充満させておくには、それをハウジング5に送り込んだ後にバルブ30および31を閉じた後に手動バルブ34を閉鎖すればよい。
制御盤を収納した直方体形の制御ボックス36は、該制御盤に接続するコード類を通すパイプ状のポール37によって垂直に立設し、該ボックスは基台2の前方右側においてハウジング5よりも高く配置する。制御ボックス36の頂面には、電力オンを示す表示ランプ38を突設し、該ボックスの前面に複数のスイッチ39を取り付ける。例えば、図1には3個のスイッチ39を示し、上の1個は電磁バルブ30および給水ポンプ7の電磁バルブの開閉を制御するトグルスイッチであり、下の2個で電力のオンまたはオフを行う。電磁バルブ30および給水ポンプ7の電磁バルブの開口度は、管延長部28の出口部および給水ポンプ7の入口部35の水圧を計測することで自動制御すればよい。
図4には、湿し水浄化装置1を旧来のオフセット印刷機40で利用する例を示し、該湿し浄水装置を印刷機40のラインタンク42の近傍まで搬送し、流入および流出側管路25に接続したホース43,44をラインタンク42内に入れるだけである。ラインタンク42内の湿し水は、ポンプ(図示しない)によって、オフセット印刷機40における印刷ユニットの水舟45に管路46を介して供給し、各管路にはスポンジフィルタを収納した濾過器(図示しない)を取り付けている。水舟45は、両面4色のオフセット印刷機40であれば、1台のオフセット印刷機に8台設ける。水舟45の湿し水は、水元ローラ48とそれに続く複数のローラを経て版胴の版面に送られ、その版面における親水性の非画線部に吸収されて、各非画線部にインキを付着させない。
湿し水を供給するローラ48は、版面における親油性の画線部に付着したインキにも接触することにより、湿し水を版面に供給する複数のローラを経由して、インキやインキ成分が水舟45の湿し水に入り込む。この理由は、親油性のインキ成分でも微量は湿し水に溶け、且つインキ成分がエマルジョンとなって湿し水に分散するからである。また、版胴近傍のインキ練りローラやインキ付けローラによってインキ膜が分割されると、インキミストが発生し、該版胴の近くに移送される印刷用紙から紙粉が発生する。インキミスト、紙粉または機械油などの不純物は、湿し水を版面に供給する複数のローラに付着し、これらのローラを経由して水舟45の湿し水へ侵入したり、該水舟の湿し水に直接入り込む不純物もある。この結果、水舟45をオーバーフローする湿し水には、各種の不純物が存在している。
複数個の水舟45をオーバーフローした湿し水は、管路50に集束され、該管路を経てラインタンク42に回収する。ラインタンク42には水浄化装置1を付設させ、例えば、水浄化装置1を1日に1〜2時間稼働すると、給水ポンプ7によって4〜10リットル/分の湿し水が流通・浄化できる。ラインタンク42には水位計52を取り付け、湿し水の追加などでタンク内の湿し水が一定量を超えると、水浄化装置1の手動バルブ31を開いて湿し水を一部除去すればよい。
湿し水浄化装置1を稼動するために、電磁バルブ30(図1)および給水ポンプ7の電磁バルブを開くと、ラインタンク42内の湿し水は、給水ポンプ7によって管路33(図1)を経てハウジング5に送水される。ハウジング5に入った湿し水は、外筒体20内へ流入し、さらに筒状間隙32を経てフィルタ3の外周面から該フィルタを半径方向に通過する。この結果、湿し水内に混入したインキミストなどの不純物をフィルタ3で濾取する。濾過後の湿し水は、筒体14,21間の環状間隙24を通って内筒体14内に入り、流出側管路25から上向きの管延長部28を通過するため、該内筒体内には常に湿し水が存在し、この湿し水を殺菌灯23の紫外線で殺菌する。これによって、ラインタンク42において湿し水に混入した各種の不純物を除去しバクテリアの繁殖を防ぐので、各管路46に取り付けた濾過器(図示しない)のスポンジフィルタに濾取する不純物は少なくなる。
各管路46に取り付けた濾過器のスポンジフィルタは、目詰まりを起こす前に交換することが必要であっても、フィルタ交換は数日に1回だけでよい。この濾過器は小型でよく、スポンジフィルタを使い捨てにしてもランニングコストの上昇が小さく、水舟45やラインタンク42などに汚れが付着することも少ない。水浄化装置1により、水舟45やラインタンク42などを洗浄するために湿し水供給装置を定期的に清掃することが不要になり、オフセット印刷機40の稼働率が上昇する。また、湿し水に不純物が殆ど残留しないので、印刷物に画線の太りや地汚れが発生せず印刷品質が良好になる。
図5は、水浄化システム54を備えたオフセット印刷機55で利用する例を示し、湿し水浄化装置1を浄水タンク56の近傍まで搬送し、流入および流出側管路25に接続したホース57,58を浄水タンク56内に入れる。浄水タンク56内の湿し水は、ポンプ(図示しない)によって、オフセット印刷機55における印刷ユニットの水舟59に管路60を介して供給する。水舟59の湿し水は、水元ローラ61とそれに続く複数のローラを経て版胴の版面に送られる。湿し水を供給するローラ61は、版面における親油性の画線部に付着したインキにも接触することにより、湿し水を版面に供給する複数のローラを経由して、インキやインキ成分が水舟59の湿し水に入り込む。
複数個の水舟59をオーバーフローした湿し水は、管路62に集束され、該管路を経てラインタンク64に回収する。ラインタンク64には水位計65を取り付け、タンク内の湿し水が一定量を超えると、ポンプ66によって管路68を経て浄水タンク56へ送り出す。浄水タンク56において、湿し水に混入した各種の不純物を除くため、その湿し水を水浄化システム54に通して循環洗浄させる。水浄化システム54は、例えば1日に3〜4時間稼働すればよく、ポンプ(図示しない)によって通常5〜20リットル/分の湿し水が流通する。
水浄化システム54において、各フィルタ(図示しない)を通過する際に、湿し水に含まれる紙粉などを物理的に捕捉するとともに、大部分のインキ、機械油などの親油性の分散粒子およびコロイド粒子などを吸着する。例えば、バッグフィルタは密封式であり、定期的に交換するにしても24時間操業で4ヶ月間、8時間操業で1年間の使用を保証している。マイクロフィルタは、バッグフィルタと比較して相対的に気孔が細かく、残留する微細分散粒子やコロイド粒子などをいっそう効果的に除去して湿し水を洗浄する。マクロフィルタの交換は、通常、1〜2年に1回でよい。さらに、各フィルタで浄化された湿し水は、所定の流量で流水殺菌灯を通過し、該流水殺菌灯によって湿し水を常時殺菌することにより、湿し水中のバクテリアの総量を減らして腐敗を防ぐ。
定量交換装置70は、管路71を経て浄水タンク56から湿し水の一部を定期的に取り出し、その水量は例えば1週間1回、20リットル程度であり、この量は湿し水の汚染度に応じて適正値に自動設定する。交換装置70は、湿し水の排出量、自然蒸発量などに応じて管路72を経て新規の湿し水を自動的に供給し、常に一定量の湿し水を浄水タンク56内に保持させる。この定期的な湿し水の部分交換により、浄水タンク56内の湿し水の全面的な交換が不要である。また、交換装置56は、水浄化システム54の電磁バルブ(図示しない)と連動して、給水路74を経てマイクロフィルタへ洗浄水を送り、この水量は通常10〜15リットルである。
前記のマイクロフィルタは、湿し水が流通していない時に水道水で洗浄すると好ましく、この洗浄によってマクロフィルタの交換期間を著しく延長できる。バッグフィルタやマクロフィルの洗浄のために水浄化システム54を停止する際には、代りに湿し水浄化装置1を稼動させればよい。また、水浄化システム54による湿し水の洗浄が完全でないならば、補完的に湿し水浄化装置1を同時に稼動させてもよい。
1 湿し水浄化装置
2 基台
3 フィルタ
5 筒形ハウジング
7 給水ポンプ
8 キャスタ
12 上蓋体
14 内筒体
16 円板
20 外筒体
23 紫外線殺菌灯
25 流出側管路
30 電磁バルブ
31 手動バルブ
33 管路
34 手動バルブ
2 基台
3 フィルタ
5 筒形ハウジング
7 給水ポンプ
8 キャスタ
12 上蓋体
14 内筒体
16 円板
20 外筒体
23 紫外線殺菌灯
25 流出側管路
30 電磁バルブ
31 手動バルブ
33 管路
34 手動バルブ
Claims (4)
- フィルタを収納する筒形ハウジングと、該フィルタへ送水する給水ポンプと、筒形ハウジングおよびポンプを並置した基台とを備え、前記基台は裏面にキャスタを取り付けて走行可能であり、筒形ハウジングの内部中央に上面開口の内筒体を垂直に固着し、該内筒体の周囲にフィルタを筒状に配置し、流出側管路は内筒体の下方部と連通してから上方へ延び、その出口部においてバルブを取り付け、一方、流入側管路はポンプと連通し、その入口部においてバルブを取り付ける可搬型の湿し水浄化装置。
- フィルタを収納する筒形ハウジングと、該フィルタへ送水する給水ポンプと、筒形ハウジングおよびポンプを並置した基台とを備え、筒形ハウジングの内部中央に上面開口の内筒体および外筒体を垂直に固着し、該内筒体と外筒体との間にフィルタを筒状に配置するとともに、内筒体内部に紫外線殺菌灯を垂直に設置し、外筒体の外周壁に断熱材またはエアーを介在させることによってフィルタで濾過される湿し水の水温が上昇することを防いでいる可搬型の湿し水浄化装置。
- 紫外線殺菌灯を筒形ハウジングの上蓋体から内筒体内部に垂直に吊り下げ、内筒体の上周縁は紫外線殺菌灯の上方部で終わり、該内筒体の下端部と連通する流出側管路に手動バルブを取り付け、流出側管路における上方延長部の高さが内筒体の上周縁とほぼ対応することにより、濾過済みの湿し水が内筒体内に滞留して殺菌灯の紫外線で殺菌される請求項1または2記載の湿し水浄化装置。
- 筒形ハウジングと給水ポンプとを基台上で隣接させて配置し、給水ポンプから出た管路を筒形ハウジングの外筒体の周壁と連通させ、且つこの管路に手動バルブを取り付ける請求項1または2記載の湿し水浄化装置。
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