JP2008291073A - 樹脂製機構部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動源からロックトルクを断続的に与えられて使用された場合において、作動耐久性と静音性に優れた樹脂製機構部品を提供する。
【解決手段】ロックトルクが12N・m以下である駆動源からロックトルクを断続的に与えられて使用される樹脂製機構部品であって、該樹脂が、ポリアセタールホモポリマーと平均粒径0.1〜10μmである結晶核生成無機粒子10〜90ppmを含む樹脂組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、駆動源からロックトルクを断続的に与えられて使用される樹脂製機構部品に関する。
これまで樹脂製の機構部品は、複写機、プリンター等のOA機器の動力伝達部品やVTRテープ駆動機構、レーザーディスクプレーヤのローディング機構等に多用されてきている。これらの樹脂製機構部品においては、低騒音性能および高速性能への要求が強くなってきた。この要求に応えるために、例えば歯車の場合、噛み合い率を高めたり、はすば歯車を使用したりという試みがなされてきた。
最近、このような樹脂製機構部品を設計する場合、疲労強度、伝達効率、摩擦、摩耗特性、強度・剛性、各部要素の形状及び寸法等における高度な初期精度に加え、伝達誤差が考慮されるようになってきた(例えば、特許文献1、2)。一般に、駆動源であるモータは、作動時に瞬間的に定格トルクより大きな始動トルクがかかるものの、その後の作動範囲は定格トルク付近での運転であるため、上記のような精度や摺動性を重視した設計で問題が解決される場合が多かった。
しかし、樹脂製機構部品の使用用途の広がりに応じて、定格トルク付近から外れたロックトルクをかけて、その負荷を数秒、または時には数時間かけた状態を維持し、後に再び作動させるという動作を繰り返し行うという状況下で使用される場合がでてきた。
一方、ポリアセタール樹脂は、機械的強度・剛性が高く、耐油性・耐有機溶剤性に優れ、広い温度範囲でバランスがとれた樹脂であり、且つその加工性が容易であることから、代表的エンジニアリングプラスチックスとして、電気機器や電気機器の機構部品、自動車部品及びその他の機構部品を中心に用いられている。特に、ポリアセタールホモポリマーは、ポリアセタ−ルコポリマーに比べて、剛性、靭性に優れ、熱変形温度が高いことが知られている。
これまで、ポリアセタールホモポリマーの物性改善の処方として、種々の結晶核生成剤について検討がなされており、添加による高寸法精度と低反り性による生産性改善、せん断強度や耐衝撃性の改善、硬度や生産性の改善、収縮率と生産性の改善などが挙げられている(例えば、特許文献3、4、5、6)。
しかし、これらは全て結晶核生成剤の添加量が、本発明範囲から外れたところでの検討であり、本発明のように過酷な状況下における使用について検討または記載したものはなかった。
そこでロックトルクが断続的に加えられて作動する場合でも、良好な作動耐久性を確保し、かつ低騒音性を維持した機構部品が要望されていた。
特開2001−323991号公報 特開2002−31213号公報 特開昭51−97652号公報 特開平5−279551号公報 特開昭57−94036号公報 特表2002−500256号公報
本発明は、駆動源からロックトルクを断続的に与えられて使用された場合において、作動耐久性と静音性に優れた樹脂製機構部品を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ポリアセタールホモポリマーと結晶核生成無機粒子を特定量含む組成物を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の樹脂製機構部品は、ロックトルクが12N・m以下である駆動源からロックトルクを断続的に与えられて使用される樹脂製機構部品であって、該樹脂が、ポリアセタールホモポリマーと平均粒径0.1〜10μmである結晶核生成無機粒子10〜90ppmを含む樹脂組成物であることを特徴とする。
本発明の樹脂製機構部品は、従来からのポリアセタールホモポリマーによる機構部品と同等の品位・熱安定性を有すると共に、駆動源からロックトルクを断続的に与えられて使用された場合において、作動耐久性と静音性に優れる。
以下、本発明の樹脂製機構部品に関して説明する。
≪樹脂製機構部品≫
本発明の樹脂製機構部品は、ロックトルクが12N・m以下である駆動源からロックトルクを断続的に与えられて使用される。ロックトルクが12N・mを超えると、樹脂製機構部品の耐久性を維持することが難しくなる。
駆動源としてはモータが挙げられる。モータの回転数は、負荷トルクが無いときに最大となり、負荷がかかっていくと徐々に低下していく。モータにおけるロックトルクとは、回転させているモータに負荷をかけていき、その回転が止まるときのトルクをいう。通常の運転における定格の作動回転数および作動トルクは、そのモータの特性において効率の良い領域に設定することが多く、その性能からロックトルクは定格の作動トルクの1.5〜5倍かかる場合が多い。本発明において樹脂製機構部品に実質的に接続しているモータは、作動回転数15000rpm以下であることが好ましい。これを超えると樹脂製機構部品は静音性が発現することが難しくなる場合がある。
樹脂製機構部品としては、例えば、ギア、カム、スライダー、レバー、アーム、クラッチ、フェルトクラッチ、アイドラギアー、プーリー、ローラー、コロ、キーステム、キートップ、シャッター、リール、シャフト、関節、軸、軸受け及びガイド等が挙げられる。加えて、アウトサート成形の樹脂部品、インサート成形の樹脂部品、シャーシ、トレー、側板などが挙げられる。
これらのうちでも、ギアが好ましい。ここでギアとは、例えば、はすば歯車、平歯車、内歯車、ラック歯車、やまば歯車、すぐばかさ歯車、はすばかさ歯車、まがりばかさ歯車、冠歯車、フェースギア、ねじ歯車、ウォームギア、ウォームホイールギア、ハイポイドギア、ノビコフ歯車等を挙げることができる。またこれらのはすば歯車や平歯車等は、シングル歯車や2段歯車に、または、駆動モータから多段に組み合わせて回転ムラをなくして減速するような構造をもつ組合せ歯車であってもかまわない。樹脂製歯車としては、ピッチ円相当直径が12cm以下のものが好ましい。これを超えると生産性が低下するだけでなく、安定した成形品を得ることが困難となり、これにより耐久性を維持することが難しくなる場合がある。
本発明の樹脂製機構部品は、グリースを塗布して使用されることが好ましい。これにより、作動耐久性と静音性が大きく向上する場合がある。
本発明の樹脂製機構部品の製造については特に制限するものではなく、公知の成形方法、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発砲射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の成形方法の何れかによって成形することができる。特に、生産性・耐久性・品位などから射出成形・射出圧縮成形、またはこれらと金型内複合成形を組み合わせた成形方法が好ましい。
本発明の樹脂製機構部品は、従来からのポリアセタールホモポリマーによる機構部品と同等の品位・熱安定性を有すると共に、駆動源からロックトルクを断続的に与えられて使用された場合において、作動耐久性と静音性に優れているため、様々な用途の成形品に使用することが可能である。
本発明の樹脂製機構部品の具体的用途としては、オフィスオートメーション機器用機構部品、カメラまたはビデオ機器用機構部品、音楽、映像または情報機器用機構部品、通信機器用機構部品、電気機器用機構部品、電子機器用機構部品、自動車用の機構部品(ドア周辺部品、シート周辺部品、空調器周辺部品)、スイッチ部品、文具機構部品、住居設備の機構部品、自動販売機機構部品、スポーツ・レジャー・レクリエーション関係機器の機構部品、工業用機器の機構部品、医療用品や介護用品の機構部品が挙げられる。
≪樹脂組成物≫
[ポリアセタールホモポリマー]
<重合>
本発明のポリアセタールホモポリマーとは、オキシメチレン基を主鎖に有し、重合体連鎖の両末端がエステル基またはエーテル基により封鎖された重合体を表す。ポリアセタールホモポリマーの製造における重合形態は、公知のスラリー重合法(例えば特公昭47−6420公報や特公昭47−10059公報)を用いて実施することができる。これにより、末端が安定化されていない粗ポリアセタールを得ることができる。
<モノマー>
モノマーとしては、例えばホルムアルデヒドを用いることができる。安定した分子量の樹脂を継続的に得るために、精製され、かつ不純物濃度が低く安定したホルムアルデヒドガスを用いる。ホルムアルデヒドの精製方法は公知の方法(例えば特公平5−32374公報や特表2001−521916公報)を用いることができる。本発明におけるホルムアルデヒドガスは、水、メタノール、蟻酸などの重合反応中の重合停止および連鎖移動作用を有する不純物を極力含まないものを用いる。これらの不純物が過大に存在すると、予期せぬ連鎖移動反応により目的の分子量物が得られなくなる。中でも特に水については、100ppm以下であることが好ましく、さらには50ppm以下であることが好ましい。
<連鎖移動剤>
連鎖移動剤としては、一般にはアルコール類、酸無水物が用いることができる。また、ブロックポリマーや分岐ポリマーを得るためにポリオール、ポリエーテルポリオールやポリエーテルポリオール・アルキレンオキサイドを用いてもかまわない。また、連鎖移動剤についても不純物を極力含まないものを用いる。中でも特に水については、2000ppm以下であることが好ましく、さらには1000ppm以下であることが好ましい。これらの不純物の少ない連鎖移動剤を得る方法としては、例えば、汎用的であり水分含有量が規定量を越える連鎖移動剤を入手し、これを乾燥窒素でバブリングし、活性炭やゼオライト等の吸着剤により不純物を除去し、精製する方法などが挙げられる。ここで用いる連鎖移動剤は、一種または二種類以上併用してもかまわない。
<重合触媒>
重合反応に使用するオニウム塩系重合触媒は、下記一般式(1)で表されるものを用いることができる。
[R1234M]+-・・・(1)
(式中、R1、R2、R3及びR4は各々独立にアルキル基を示し、Mは孤立電子対を持つ元素、Xは求核性基を示す。)
上記一般式(1)で表されるオニウム塩系重合触媒のなかでも、第4級アンモニウム塩系化合物や第4級ホスホニウム塩系化合物が好ましく用いられる。さらに好ましくはテトラメチルアンモニウムブロミド、ジメチルジステアリルアンモニウムアセタート、テトラエチルホスホニウムヨージド、トリブチルエチルホスホニウムヨージドが用いられる。
<反応器>
重合の反応器としては、バッチ式の攪拌機付き反応槽、及び連続式のコニーダー、二軸スクリュー式連続押し出し混練機、二軸パドル型連続混合機等を用いることができる。これらの胴の外周は反応混合物を加熱または冷却できる構造を有することが好ましい。
<末端安定化>
粗ポリアセタールの末端安定化をエーテル基で封鎖する方法としては、特公昭63−452公報に記載の方法があり、アセチル基で封鎖する方法としては、米国特許第3,459,709号明細書記載の大量の酸無水物を用い、スラリー状態で行う方法と、米国特許第3,172,736号明細書に記載の酸無水物のガスを用いて気相で行う方法があるが、本発明においては特に規定されるものではない。
エーテル基で封鎖するのに用いるエーテル化剤としては、オルトエステル、通常は脂肪族又は芳香族酸と脂肪族、脂環式族又は芳香族アルコールとのオルトエステル、例えばメチル又はエチルオルトホルメート、メチル又はエチルオルトアセテート及びメチル又はエチルオルトベンゾエート、並びにオルトカーボネート、例えばエチルオルトカーボネートが挙げられる。エーテル化反応はp−トルエンスルホン酸、酢酸及び臭化水素酸のような中強度有機酸、ジメチル及びジエチルスルフェートのような中強度鉱酸等のルイス酸型の触媒をエーテル化剤1重量部に対して0.001〜0.02重量部導入して行うことが挙げられる。エーテル化反応の好ましい溶媒はペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及びベンゼン等の低沸点脂肪族、脂環式族及び芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム及び四塩化炭素等のハロゲン化低級脂肪族化合物等の有機溶媒が挙げられる。
一方、重合体の末端をエステル基で封鎖する場合、エステル化に用いられる有機酸無水物としては、下記一般式(2)で表される有機酸無水物が挙げられる。
1COOCOR2 ・・・(2)
(式中、R1及びR2は、各々独立にアルキル基を示す。R1及びR2は、同じであっても異なっていてもよい。)
上記一般式(2)で表される有機酸無水物の中でも、無水プロピオン酸、無水安息香酸、無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸等が好ましく、無水酢酸が特に好ましい。有機酸無水物は1種でもよいが2種以上を用いることも可能である。
また、気相でエステル基封鎖を行う方法においては、重合体樹脂中にオニウム塩系重合触媒が残留していると、末端封鎖する際に、オニウム塩系重合触媒が重合体の分解反応を促進して安定化反応におけるポリマー収率を著しく低下すると共に、重合体を着色させるという問題が特に顕著に現れることから、特開平11−92542公報記載の方法によってオニウム塩系重合触媒を除去した後に末端封鎖を行うことが特に好ましい。
重合体の末端はエーテル基及び/又はエステル基で封鎖することにより、末端水酸基の濃度が5×10-7mol/g以下に低減されることが好ましい。末端水酸基の濃度が5×10-7mol/gより多いと熱安定性が損なわれる場合があるため、本来のポリアセタール樹脂が有する品位を低下する場合がある。より好ましくは末端水酸基の濃度は0.5×10-7mol/g以下である。
[仕上げ工程]
末端安定化を行ったポリマーパウダーは乾燥を行った後、取扱い性を良くするために押出機を用いてペレタイズする。ポリアセタールホモポリマーと結晶核生成無機粒子をヘンシェルミキサー、タンブラー、V字型ブレンダーなどで混合した後、1軸又は多軸混錬押出機等を用いて溶融混錬することにより、本発明の樹脂組成物を得ることができる。この場合、減圧装置を備えた2軸押出機が好ましい。また、予め混合することなく、定量フィーダーなどで結晶核生成無機粒子を一括または分割して押出機に連続フィードすることにより樹脂組成物を得ることも可能である。また、予めポリアセタールホモポリマーと添加剤成分からなる高濃度マスターバッチを作製しておき、押出溶融混練時または成形時にポリアセタールホモポリマーに添加することにより、樹脂組成物又は成形体を得ることもできる。
[MFR]
従来の使われ方において静音性を保持するためには、樹脂組成物はMFR値が大きく、流動性が良いことで精度の良い成形品を得ようとする試みが成されていた。しかし、本発明の駆動源からロックトルクを断続的に与えられて使用される機構部品においては、樹脂組成物は、MFRの下限が1.5g/10min以上であることが好ましく、さらには1.7g/10min以上であることがより好ましい。MFRが1.5g/10minより小さいと安定した成形品の生産が困難となり、これにより静音性を維持することが難しくなる場合がある。また、MFRの上限が、15.0g/10min以下であることが好ましく、さらには9.0g/10min以下であることがより好ましい。MFRが15.0g/10minより大きいと、安定した成形品は得られるものの、作動耐久性を維持することが難しくなる場合がある。
[結晶核生成無機粒子]
本発明の結晶核生成無機粒子は、平均粒径が0.1〜10.0μmであり、好ましくは0.5〜6.0μmである。平均粒径が0.1μmより小さいと静音性を低下させる。また、10.0μmより大きいと作動耐久性を低下させる。平均粒径は、公知の方法により測定を行う。例えば、得られた樹脂製機構部品を切り出して樹脂部分を分解させ、残った無機分を顕微鏡(光学顕微鏡やSEM、SEM−EDX)観察を行い、任意の粒子の粒径を測定することにより、平均粒径を導出する方法などが挙げられる。
本発明の結晶核生成無機粒子は、ポリアセタールホモポリマーに10〜90ppm、好ましくは20〜80ppm含まれる。10ppmより少ないと静音性を低下させる。また、90ppmより多いと作動耐久性を低下させる。結晶核生成無機粒子を定量するには、例えば、得られた樹脂製機構部品を塩酸等で加水分解し定量する方法や高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により金属成分を定量する方法が挙げられる。
本発明の結晶核生成無機粒子は、例えば、タルク、シリカ、石英粉末、ガラス粉、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、葉ロウ石、クレー、珪藻土、ウォラストナイト等の珪酸塩、酸化鉄や酸化チタンやアルミナ等の金属酸化物、硫酸カルシウムや硫酸バリウム等の金属硫酸塩、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムやドロマイト等の炭酸塩、その他炭化珪素、窒化硅素、窒化ホウ素、各種金属粉末などポリアセタールホモポリマーにおいて通常知られている結晶核生成無機物の細分された固体であればよい。これらの結晶核生成無機粒子の中では、特に窒化ホウ素またはタルクが好ましい。
本発明の結晶核生成無機粒子には、樹脂との親和性・分散性を向上させるために公知の表面処理剤を用いることができる。表面処理剤として例えば、アミノシラン、エポキシシラン等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、さらには脂肪酸(飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸)、脂環族カルボン酸及び樹脂酸や金属石鹸をあげることができる。表面処理剤の添加量としては好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下であり、最も好ましくは実質的に添加されていないことである。
[その他の添加剤]
本発明の樹脂組成物は、その他の添加剤として、熱安定剤と酸化防止剤、酸捕捉剤、耐候(光)安定剤、離型剤・潤滑剤、導電材・帯電防止剤、熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマー、顔料など、本発明の目的を損なわない範囲において、通常のポリアセタールホモポリマーに添加することの可能な公知の添加剤を必要に応じて配合することができる。添加の方法としては、結晶核生成無機粒子と同様、ポリアセタールホモポリマーとその他の添加剤とをヘンシェルミキサー、タンブラー、V字型ブレンダーなどで混合した後、1軸又は多軸混錬押出機等を用いて溶融混錬することにより、樹脂組成物を得ることができる。中でも、減圧装置を備えた2軸押出機が好ましい。また、予め混合することなく、定量フィーダーなどで各成分を単独あるいは数種類づつまとめて押出機に連続フィードすることにより組成物を得てもかまわない。また、高濃度マスターバッチを作成しておき、押出溶融混練時または成形時にポリアセタールホモポリマーで希釈することにより本発明の樹脂組成物を得ることもできる。
<熱安定剤と酸化防止剤>
本発明の脂組成物には、熱安定剤と酸化防止剤が含まれることが好ましい。熱安定剤はホルムアルデヒド反応性窒素を含むものが好ましく、酸化防止剤はヒンダードフェノール系のものが好ましい。
ホルムアルデヒド反応性窒素を含む熱安定剤の例としては、ナイロン4−6、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン12等のポリアミド樹脂、及びこれらの重合体、例えば、ナイロン6/6−6/6−10、ナイロン6/6−12等を挙げることができる。また他に、アクリルアミド及びその誘導体、アクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとの共重合体が挙げられ、例えばアクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとを金属アルコラートの存在下で重合して得られたポリ−β−アラニン共重合体を挙げることができる。その他にアミド化合物、アミノ置換トリアジン化合物、アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドの付加物、アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドの縮合物、尿素、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、イミダゾール化合物、イミド化合物を挙げることができる。
アミド化合物の具体例としては、イソフタル酸ジアミドなどの多価カルボン酸アミド、アントラニルアミドが挙げられる。アミノ置換トリアジン化合物の具体例としては、2,4−ジアミノ−sym−トリアジン、2,4,6−トリアミノ−sym−トリアジン、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym−トリアジン)、アセトグアナミン(2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン)、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン等である。アミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの付加物の具体例としては、N−メチロールメラミン、N,N’−ジメチロールメラミン、N,N’,N”−トリメチロールメラミンを挙げることができる。アミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの縮合物の具体例としては、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物を挙げることができる。尿素誘導体の例としては、N−置換尿素、尿素縮合体、エチレン尿素、ヒダントイン化合物、ウレイド化合物を挙げることができる。N-置換尿素の具体例としては、アルキル基等の置換基が置換したメチル尿素、アルキレンビス尿素、アーリル置換尿素を挙げることができる。尿素縮合体の具体例としては、尿素とホルムアルデヒドの縮合体等が挙げられる。ヒダントイン化合物の具体例としては、ヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、5,5−ジフェニルヒダントイン等が挙げられる。ウレイド化合物の具体例としては、アラントイン等が挙げられる。ヒドラジン誘導体としてはヒドラジド化合物を挙げることができる。ヒドラジド化合物の具体例としては、ジカルボン酸ジヒドラジドを挙げることができ、更に具体的には、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スペリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボジヒドラジド等が挙げることができる。イミド化合物の具体例としてはスクシンイミド、グルタルイミド、フタルイミドを挙げることができる。
これらのホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む重合体又化合物は、1種類で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。好ましくは、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]及びペンタエリスリトールテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンである。
これらの酸化防止剤は1種類で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
本発明の機構部品は、静音性をさらに高めるためにグリースを塗布して使用してもかまわない。この場合、グリースを塗布して使用しても従来の機構部品と同様な作動耐久性を維持することが望まれる。このためポリアセタールホモポリマー100重量部に対し、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む熱安定剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤をそれぞれ0.1〜1.5重量部含むことが好ましい。これより少ないとグリースへの耐性保持が、これより多いと静音性の維持が困難になる場合がある。
<その他>
酸捕捉剤としては、上記のアミノ置換トリアジン化合物やアミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの縮合物、例えばメラミン・ホルムアルデヒド縮合物等を挙げることができる。他のギ酸捕捉剤としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、カルボン酸塩又はアルコキシドが挙げられる。例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムもしくはバリウムなどの水酸化物、上記金属の炭酸塩、リン酸塩、珪酸塩、ホウ酸塩、カルボン酸塩、さらには層状複水酸化物を挙げることができる。
上記カルボン酸塩のカルボン酸としては、10〜36個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸が好ましく、これらのカルボン酸は水酸基で置換されていてもよい。飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸塩の具体的な例としては、ジミリスチン酸カルシウム、ジパルミチン酸カルシウム、ジステアリン酸カルシウム、(ミリスチン酸−パルミチン酸)カルシウム、(ミリスチン酸−ステアリン酸)カルシウム、(パルミチン酸−ステアリン酸)カルシウムが挙げられ、中でも好ましくは、ジパルミチン酸カルシウム、ジステアリン酸カルシウムである。
層状複水酸化物としては例えば下記一般式(3)で表されるハイドロタルサイト類をあげることができる。
〔(M2+1-X(M3+)X(OH)2X +〔(An-x/n・mH2O〕X -・・・(3)
〔式中、M2+は2価金属、M3+は3価金属、An-はn価(nは1以上の整数)のアニオン表わし、Xは、0<X≦0.33の範囲にあり、mは正の数である。〕
一般式(1)において、M2+の例としてはMg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+等、M3+の例としては、Al3+、Fe3+、Cr3+、Co3+、In3+等、An-の例としては、OH-、F-、Cl-、Br-、NO3 -、CO3 2-、SO4 2-、Fe(CN)6 3-、CH3COO-、シュウ酸イオン、サリチル酸イオン等をあげることができる。特に好ましい例としては、OH-、CO3 2-をあげることができる。具体例としては、Mg0.75Al0.25(OH)2(CO30.125・0.5H2Oで示される天然ハイドロタルサイト、Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O、Mg4.3Al2(OH)12.6CO3等で示される合成ハイドロタルサイトを挙げることができる。
これらの酸捕捉剤は、1種類で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
耐候(光)安定剤は、ベンゾトリアゾール系及び蓚酸アニリド系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤の中から選ばれる1種若しくは2種以上が好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’、5’−ビス−(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。蓚酸アリニド系紫外線吸収剤の例としては、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリド等が挙げられる。好ましくは、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾールである。これらのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
ヒンダードアミン系光安定剤の例としては、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3―テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの縮合物、デカン2酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステルと1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物などが挙げられる。好ましくはビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物である。これらヒンダードアミン系光安定剤はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
離型剤・潤滑剤としては、アルコール、脂肪酸及びそれらの脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリコール、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物、シリコーンが好ましく使用される。
導電剤としては、導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブ又はナノ繊維又はナノ粒子、金属粉末又は繊維などが挙げられる。帯電防止剤としては、脂肪族ポリエーテル(但し、末端が脂肪酸エステルとなった化合物を除く)、末端が脂肪酸エステルとなった脂肪族ポリエーテル、脂肪酸と多価アルコールから得られる遊離水酸基を有する多価アルコールの脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステルのホウ酸エステル、アミン化合物のエチレンオキサイド付加体、塩基性炭酸塩またはそのアニオン交換体を基体としてこれにポリアルキレンポリオール類或いはアルカリ金属塩溶解ポリアルキレンポリオール類を包接させた帯電防止剤等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーネート樹脂、未硬化のエポキシ樹脂が挙げられる。また、これらの変性物も含まれる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマーが挙げられる。
顔料としては、無機系顔料及び有機系顔料、メタリック系顔料、蛍光顔料等が挙げられる。無機系顔料とは樹脂の着色用として一般的に使用されているものを言い、例えば、硫化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、チタンイエロー、コバルトブルー、燃成顔料、炭酸塩、りん酸塩、酢酸塩やカーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等を言う。有機系顔料とは縮合ウゾ系、イノン系、フロタシアニン系、モノアゾ系、ジアゾ系、ポリアゾ系、アンスラキノン系、複素環系、ペンノン系、キナクリドン系、チオインジコ系、ベリレン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系等の顔料である等の顔料である。
以下、駆動源及び機構部品の代表としてモータ及び歯車を用い、実施例及び比較例よって、本発明をより具体的に説明する。本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
[評価サンプル]
<ポリアセタールホモポリマーの採取>
図1に示すような撹拌機を付帯したジャケット付き5Lタンク重合器を用い、ポリアセタールホモポリマーP1〜P4を製造した。
図1において、(a)は撹拌翼付帯撹拌用モータ、(b)はジャケット付反応器、(c)はスラリー循環ポンプ、(1)はホルムアルデヒドガスの供給、(2)は連鎖移動剤および重合溶媒の供給、(3)は重合触媒の供給、(4)はスラリー採取である。
ジャケット付反応器(b)にn−ヘキサンを2L満たし、循環ラインを設ける。ラインの長さは6φ×2.5mとし、スラリー循環ポンプ(c)により20L/hrで循環する。この中に脱水したホルムアルデヒドガス200g/hrを直接供給する(1)。触媒(ジメチルジステアリルアンモニウムアセテート)は反応器直前の循環ラインに供給し(3)、連鎖移動剤(無水酢酸)は次工程に抜いていくスラリー分を補うためのヘキサンに添加し、連続的にフィードしながら(2)、58℃で重合を行い、粗ポリマーを含む重合スラリーを得た。添加する重合触媒と連鎖移動剤は、最終製品である組成物のMFRに応じて調整した。
得られたスラリーをヘキサンと無水酢酸の1対1混合物中で140℃×2時間反応させ、分子末端をアセチル化することにより安定化を行う。反応後のポリマーを濾取、2mmHg以下に減圧し、80℃に設定した減圧乾燥機で3時間かけて乾燥を行い、ポリアセタールホモポリマーのパウダーを得た。
<ペレットサンプルの作製>
ポリアセタールホモポリマーのパウダーと添加剤を表1に示す割合でヘンシェルミキサーにて1分間混合した後、200℃に設定したベント付きスクリュー型二軸押出機(プラスチック工業(株)社製 BT−30、L/D=44)にてスクリュー回転数100rpmとし、24アンペアで溶融混練して樹脂組成物のサンプルペレットを得た。原料投入からペレット採取まで、できるだけ酸素の混入を避けて操作を行った。
Figure 2008291073
<歯車の成形>
上記樹脂組成物のペレットを射出成形機(ファナック株式会社製ROBOSHOT α−50iA)により、シリンダー温度210℃、金型温度80℃に設定し、表2に示すはす歯歯車金型を用いて成形を実施し、歯溝誤差JIS3〜5級の試験歯車を得た。
Figure 2008291073
[評価方法]
<樹脂組成物の評価>
1.樹脂組成物のMFR
得られたペレットサンプルを80℃で3時間乾燥した後、荷重2.16kg・シリンダー温度190℃でMFR(ASTM D−1238−57Tに準拠)の測定を行った。一般的には、この値が大きいと流動性が高く、成形性に優れるという指標となる。結果を表1に示す。
2.ダンベルの成形
上記樹脂組成物のペレットを射出成形機(住友重機工業(株)製SH−75)により、シリンダー温度200℃、金型温度を90℃に設定し、射出圧力70MPa、射出時間60秒、冷却15秒の射出条件で、ISO金型(ISO527に準拠)を用いて成形を実施し、評価用ダンベル試験片を得た。
3.結晶核生成無機粒子の平均粒子径
上記ダンベル試験片を凍結粉砕し、0.1N塩酸水溶液と混合し、ガラス製耐圧瓶に仕込んだ状態の物を準備した。これを滅菌器により加圧状態で130℃、6〜10時間分解させた後、分解液を濾過しその濾過残渣物を更に蟻酸およびクロロホルムで洗浄及び濾過を行い、結晶核生成無機粒子以外の添加剤を除去した。
残った結晶核生成無機粒子を減圧乾燥後、デジタルマイクロスコープ((株)KEYENCE社製VHX−200/100F 500〜5000倍)を用いて、粒子像を観察及び写真撮影し、任意に選んだ100個の結晶核生成無機粒子の最大粒子径(最大長径)を測定し、その数平均を平均粒子径とした。結果を表1に示す。
4.結晶核生成無機粒子の含有量
上記ダンベル試験片を凍結粉砕後秤量し、0.1N塩酸水溶液と混合した後、ガラス製耐圧瓶に仕込んだ状態の物を10バッチ準備した。これらを滅菌器により加圧状態で130℃、6〜10時間分解させた後、10バッチ分の分解液を濾過しその濾過残渣物を更に蟻酸およびクロロホルムで洗浄及び濾過を行い、結晶核生成無機粒子以外の添加剤を除去した。
残った結晶核生成無機粒子を減圧乾燥後、秤量し組成物中の結晶核生成無機粒子含有量を質量%で表した。結果を表1に示す。
<歯車の評価>
作動耐久性・静音性の評価には、軸間を調整できる図2に示すような動力吸収式の歯車強度試験機を用いた。試験条件により適当な駆動モータ、動力吸収装置(パウダークラッチ/ブレーキ)を選択した。
図2において、(a1)は駆動モータ、(a2)は軸受支持台、(a3)は回転計、(b1)は動力吸収装置、(b2)は軸受支持台、(b3)はトルク計、(c1)はマイクロホン、(c2)は騒音計、(d1)は防音箱、(A)は金属歯車、(B)は試験歯車である。
図2に示す試験機は、駆動モータ(a1)に軸を介して金属歯車(A)(モジュール:0.8、ピッチ円直径:20mm、歯幅:10mm、ねじれ角:20度)のはす歯金属歯車が設置され、任意の回転数で運転できるようになっている。この金属歯車(A)と試験歯車(B)は、バックラッシ量0.1mmをとり噛み合わされている。試験歯車(B)は軸を介して動力吸収装置(b1)に接続し任意の負荷トルクを与えられる構造となっている。
◇歯車強度試験機におけるテスト方法
作動トルク(想定)にて1時間回転(運転1)→ロックトルク(想定)を10秒間付与
→再度作動トルクにて1時間回転(運転2)→再度ロックトルクを10秒間付与
→再々度作動トルクにて1時間回転(運転3)
種々のモータの特性を想定し、ここでのロックトルクは、作動トルクがロックトルクの25%となるように設定し、ロックする場合の歯車停止位置は常に同じ個所とした。また、駆動源が同等の仕事をする場合の種々の条件における試験歯車の性能を評価するため、駆動モータの出力を一定(回転数(rpm)と作動トルク(N・m)の積を200)として実施した。試験は、室温23℃、湿度50%の恒温室で行った。
1.作動耐久性
作動耐久性については、“運転3”終了直前の作動性とテスト前後で歯車の外観について、以下の基準で評価した。
◎:“運転3”終了直前の作動性、テスト前後での歯車の外観上、特に問題がない
○:テスト前後で歯車の外観上変化がみられたものの“運転3”の終了直前の作動性に問 題ない
△:“運転3”の終了直前の作動性で一部問題がある
×:“運転3”に至るまでに歯の破損や軸穴の変形などで作動不良となった
2.静音性の評価
静音性については、図2に示すように金属歯車(A)の軸より50mm離れた箇所にマイク(c1)を設置し、“運転1”の開始30分後の1分(前期静音性)と“運転3”の開始30分後の1分(後期静音性)において、騒音計(c2)(JIS C1502準拠)にて騒音レベルを測定し、以下の基準で評価した。
◎:最大の騒音レベルが70dBより低い
○:最大の騒音レベルが70dB以上75dB未満
△:最大の騒音レベルが75dB以上85dB未満が
×:最大の騒音レベルが85dBより大きい
<耐グリース性の評価>
上記ダンベル試験片のグリース浸漬を行った。評価グリースとしてマルテンプ−D No.2(協同鉱油(株)製)を用いて、浸漬条件として温度を100℃、時間を1000時間で実施した。評価は、ISO527に準拠して引張試験を実施し、以下の基準で評価した。
◎:浸漬前と浸漬後の伸度保持率が90%以上
○:浸漬前と浸漬後の伸度保持率が80%以上90%未満
△:浸漬前と浸漬後の伸度保持率が70%以上80%未満
×:浸漬前と浸漬後の伸度保持率が70%未満
[実施例1〜12、比較例1〜8]
用いたサンプル、評価条件および評価結果を表3および表4に示す。
実施例1〜12より、本発明の歯車は、トルクおよび回転数の異なる種々の運転条件において、優れた作動耐久性・静音性を有することがわかる。
一方、結晶核生成無機粒子を含まない比較例1〜8は、種々の条件において、実施例1〜12と比較して、作動耐久性または静音性で劣る。
Figure 2008291073
Figure 2008291073
[比較例9〜14]
用いたサンプル、評価条件および評価結果を表5に示す。
ロックトルクが本発明の範囲から外れる比較例9〜11は、同じ樹脂組成物を用い同じ仕事をする実施例1〜3と比較して、静音性および作動耐久性が低下する。
また、ロックトルクが本発明の範囲を外れる比較例12〜14は、仕事は異なるが同じサンプルを用いた実施例1〜3と比較して、静音性および作動耐久性が低下することがわかる。
Figure 2008291073
[実施例13〜15、比較例15〜17]
用いたサンプル、評価条件および評価結果を表6に示す。
実施例13〜15より、本発明の歯車は優れた作動耐久性・静音性を有することがわかる。
一方、結晶核生成無機粒子の粒径が本発明の範囲から外れた比較例15〜17は、実施例13〜15及び実施例1、2、4と比較して、作動耐久性または静音性で劣る。
Figure 2008291073
[実施例16〜18、比較例18〜20]
用いたサンプル、評価条件および評価結果を表7に示す。
実施例16〜18より、本発明の歯車は優れた作動耐久性・静音性を有することがわかる。
一方、結晶核生成無機粒子の添加量が本発明の範囲から外れた比較例18〜20は、実施例16〜18及び実施例1、2、4、13、14と比較して、作動耐久性または静音性で劣る。
Figure 2008291073
[実施例19〜24]
用いたサンプル、評価条件および評価結果を表8に示す。
実施例19〜21より、同じ仕事をする実施例4〜6の回転数を上げていくと徐々に静音性が低下していくことがわかる。また、作動耐久性については大きく低下がないことがわかる。
また、実施例22〜24と実施例19〜21の比較より、仕事は異なるが同じ作動トルク・回転数において歯車径を大きくすると、歯のトルクは低下するものの、残留していた成形歪が大きいためか、作動耐久性が低下していくことがわかる。
Figure 2008291073
[実施例25〜30]
用いたサンプル、評価条件および評価結果を表9に示す。
実施例25〜30より、樹脂組成物のMFRが低くなる、または高くなると静音性・作動耐久性が低下していくことがわかる。流動性が良くなり精度が上がることは、本発明の評価に影響しなかった。
Figure 2008291073
[実施例31〜34]
用いたサンプル、評価条件および評価結果を表10に示す。
実施例31〜34より、樹脂組成物の熱安定剤・酸化防止剤が多くなると徐々に静音性が低下していくことがわかる。また、熱安定剤・酸化防止剤が少なくなると徐々に耐グリース性が低下していくことがわかる。
Figure 2008291073
本発明の樹脂製機構部品は、上述のとおり、駆動源からロックトルクを断続的に与えられて使用された場合にあって、作動耐久性と静音性に優れるため、自動車、電機電子、その他工業などの分野で好適に利用することが可能である。
ホモポリマー重合器周辺略図である。 評価に用いた歯車強度試験機の略図である。
符号の説明
(a)・・・撹拌翼付帯撹拌用モータ
(b)・・・ジャケット付反応器
(c)・・・スラリー循環ポンプ
(1)・・・ホルムアルデヒドガスの供給
(2)・・・連鎖移動剤および重合溶媒の供給
(3)・・・重合触媒の供給
(4)・・・スラリー採取
(a1)・・・駆動モータ
(a2)・・・軸受支持台
(a3)・・・回転計
(b1)・・・動力吸収装置
(b2)・・・軸受支持台
(b3)・・・トルク計
(c1)・・・マイクロホン
(c2)・・・騒音計
(d1)・・・・防音箱
(A)・・・・金属歯車
(B)・・・・試験歯車

Claims (7)

  1. ロックトルクが12N・m以下である駆動源からロックトルクを断続的に与えられて使用される樹脂製機構部品であって、該樹脂が、ポリアセタールホモポリマーと平均粒径0.1〜10μmである結晶核生成無機粒子10〜90ppmを含む樹脂組成物であることを特徴とする樹脂製機構部品。
  2. グリースを塗布して使用されることを特徴とする請求項1記載の樹脂製機構部品。
  3. 前記駆動源が、作動回転数15000rpm以下のモータであることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂製機構部品。
  4. ピッチ円直径が12cm以下のギアであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂製機構部品。
  5. 前記樹脂組成物のMFRが、1.5g/10min〜15.0g/10minであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂製機構部品。
  6. 前記結晶核生成無機粒子が、タルク、窒化ホウ素の何れか一方を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂製機構部品。
  7. 前記樹脂組成物が、ポリアセタールホモポリマー100重量部に対し、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む熱安定剤と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を、それぞれ0.1〜1.5重量部含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂製機構部品。
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