JP2008284686A - ピンセット及びこれを備えたマニュピレータシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電子顕微鏡観察用の試料を挟持可能なピンセットであって、所定間隔離間して隣接配置され、それぞれ対向する側の先端に試料を挟持する挟持面71a、72aを有する一対の棒状挟持部材71、72を備え、一対の棒状挟持部材が、挟持面の基端側に挟持面と電気的に独立した状態で互いに対向して配された導電部73、74と、これら導電部間の静電容量を測定する静電容量センサ75とを備えていることを特徴とするピンセット70を提供する。
【選択図】図22
Description
また、FIB中から試料をピックアップする方法として、上述したマイクロピペットによる方法以外に、例えば、プローブ先端と試料とをデポジション膜によって固定することでピックアップしたり、ピンセットで試料を挟持してピックアップを行うことができるプローブ移動装置(例えば、特許文献1参照)が知られている。更に、試料を挟持したときの保持力を検出する力センサを有するマイクロピンセット等も知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、ピンセットを構成する材質に絶縁体が使用されている場合には、チャージアップによって像が歪んでしまい試料の挟持がより困難になる可能性があった。試料には静電気が帯電しているので、ピンセットにくっついてしまい、該ピンセットからのリリースが困難であったり、静電気により試料やピンセットに悪影響を与えたりする恐れもあった。
本発明に係るピンセットは、電子顕微鏡観察用の試料を挟持可能なピンセットであって、所定間隔離間して隣接配置され、それぞれ対向する側の先端に前記試料を挟持する挟持面を有する一対の棒状挟持部材を備え、前記一対の棒状挟持部材が、前記挟持面の基端側に挟持面と電気的に独立した状態で互いに対向して配された導電部と、これら導電部間の静電容量を測定する静電容量センサとを備えていることを特徴とする。
また、制御部は、静電容量センサの測定値が所定の値に達したとき、即ち、挟持力が一定の値になったときに移動機構を停止させるので、最適な挟持力で試料を挟持することができる。従って、試料及びピンセットに余計な負荷を与えないので、試料にキズ等をつけないばかりかピンセットの信頼性、耐久性を向上させることができる。
また、本発明に係るマニュピレータシステムによれば、最適な挟持力で試料を挟持することができると共に、試料にキズ等をつけないばかりかピンセットの信頼性、耐久性を向上させることができる。
本実施形態のマニュピレータシステム1は、図1及び図2に示すように、透過型電子顕微鏡(電子顕微鏡)Aと、ウエハ状の試料基板2から透過型電子顕微鏡Aによる観察用の試料3を作製する試料作製装置Bと、作製した試料3を挟持可能なピンセット4と、ピンセット4を保持して任意の位置に移動可能なマニュピレータ5とを備えており、これら各構成品は、真空ポンプPにより内部を真空状態に設定可能なチャンバ6に設けられている。
上記2次粒子検出器21は、検出した2次電子や2次イオン等を図示しない表示器に表示する機能を有しており、試料3の加工領域等を観察できるようになっている。
上記ステージ23は、チャンバ6の底面上に固定されたベース24上に、XY方向及びZ方向に移動可能であると共に、XY軸回りの回転及びZ軸回りの回転が可能となるように取り付けられている。なお、ステージ23は、制御部15によって制御されるようになっている。
また、ベース24には、ステージ23以外に、複数の上記ピンセット4を収納するホルダ25が取り付けられている。なお、ホルダ25の位置は、ベース24上に限られるものではなく、チャンバ6内であればどこでも構わない。
一対のピン31、32は、共に基端側が後述するSi支持基板61及びBOX層62上に固定されており、これらSi支持基板61及びBOX層62から先端が突出するように所定間隔離間して隣接配置されている。
また、各ピン31、32は、ピエゾ抵抗体33、34の基端側を2つに分岐する位置に貫通孔36を有している。これによりピエゾ抵抗体33、34は、上面視略コ型形状となっている。そして、ピエゾ抵抗体33、34の2つに分岐した基端側には、それぞれ貫通孔36を挟むように配線37が電気的に接続されている。
更に、各ピン31、32には、上面以外の面に電気的にグランド接続可能な導電膜38が形成されている。これにより、互いに対向する面、即ち、上記挟持面31a、32aの表面には、導電膜38が形成されている。
上記ホルダ25は、図7に示すように、ピンセット4の横幅より大きく、且つ、実装基板40の横幅より小さく形成された収納凹部25aを複数備えている。つまり、収納凹部25a内にピンセット4を挿入した状態でピンセットASSY45を載置できるようになっている。また、ピンセットASSY45を載置した際、図示しない爪部が実装基板40に嵌合して所定の力でピンセットASSY45を保持できるようになっている。
これにより、マニュピレータ5は、ホルダ25に載置されている実装基板ASSY45を、コネクタ部52により電気的に接続した状態で保持した後、多関節アーム51により任意の位置に移動できるようになっている。また、ピンセットASSY45を収納凹部25aに載置した際、収納凹部25aの爪部が実装基板40を保持するので、ピンセットASSY45をコネクタ部52から離間させることができる。
これらピン用マニュピレータ55及びマニュピレータ5は、上記制御部15により作動が制御されるようになっている。また、ピエゾ抵抗体33、34で測定した測定値は、マニュピレータ5を介して制御部15に送られるようになっている。
更に、制御部15は、上述した各構成品を総合的に制御する機能を有している。
本実施形態のピンセット4は、半導体基板60にフォトリソグラフィ技術によって上記一対のピン31、32本体をパターン形成する本体形成工程と、一対のピン31、32本体に供される領域の一部に不純物を添加して上記ピエゾ抵抗体33、34を形成するセンサ部形成工程とを有している。
なお、本実施形態では、上記半導体基板60は、図9に示すように、シリコン(Si)支持基板(例えば、厚さ数100μm)61と、該Si支持基板61上に形成された二酸化ケイ素(SiO2)のBOX層62と、該BOX層63上に形成されたSi活性層(例えば、厚さ1μm〜10μm)63とを有するSOI(Silicon On Insulater)基板として説明する。
また、上記本体形成工程は、Si活性層63をパターンエッチングして一対のピン31、32本体を形成するパターンエッチング工程と、該パターンエッチング工程後にBOX層62及びSi支持基板61を一対のピン31、32本体の基端側を残した状態で除去する除去工程とを有している。
これら各工程については、以下に詳細に説明する。
次に、表面のシリコン酸化膜64に、エッチングマスクとなる図示しないフォトレジスト膜を、フォトリソグラフィ技術によって図10に示す一対のピン31、32の形状でパターニングする。この際、上記応力集中部35及び貫通孔36も同時にパターニングする。そして、フォトレジスト膜をマスクとしてエッチングすることで、シリコン酸化膜64が一対のピン31、32の形状でパターニングされる。なお、レジストはポジでもネガでも構わない。また、フォトレジスト膜をマスクとしてフッ酸溶液(BHF)を用いてシリコン酸化膜64を溶液エッチングしても構わない。
なお、P型のSi活性層63にボロンやガリウムをドーピングしたり、N型のSi活性層63にリンやヒ素をドーピングしても良い(抵抗値が元のSiよりも下がっていれば良い)。
コンタクトホール67の形成後、図13に示すように、層間絶縁膜66上の各コンタクトホール67とSi活性層63の基端側との間に、アルミニウム(Al)等の金属により導電層をパターニングすることで、上記配線37を形成する。
その後、図16に示すように、フォトレジスト膜68を除去すると共に、BHF等によりBOX層62を、同様に基端側を残した状態で除去する。なお、この工程が上記除去工程である。
これにより、図3に示されるピエゾ抵抗体33、34を内蔵したピンセット4を半導体技術により製造することができる。
まず、真空ポンプPによってチャンバ6内を真空状態にした後、ステージ23により試料基板2を集束イオンビーム照射光学系20のFIB照射位置に位置決めする。位置決め後、デポガス源22により試料基板3のFIB照射領域に、例えば、ヘキサカルボニルタングステン(W(CO)6)等のガスを吹き付けて、保護膜を形成した後、集束イオンビーム照射光学系20から試料基板2上にFIBを照射する。この際、FIBの照射角度を偏向させると共に、ステージ23をXY軸、Z軸回りに傾斜させて、図18及び図19に示すように、試料基板3に切り込み加工を行って、例えば、厚さ1μm、高さ5μm、幅10μmの寸法の試料3を作製する。なお、この際、試料3は、底面も切り離されており、FIBの照射によって、試料基板2と試料3との間に働く静電気力によって立設している状態である。また、この試料3の作製は、2次粒子検出器21により検出された2次電子や2次イオオン等に基づいた観察画像を見ながら行われる。
一対のピン31、32の位置決め後、図2に示すように、ピン用マニュピレータ55により互いの挟持面31a、32aが接近するように、一対のピン31、32の基端側を移動させる。即ち、一対の31、32は、図20に示すように、基端側を中心として、先端が円弧を描くように移動する。そして、挟持面31a、32aの更なる接近によって、図21に示すように、試料3を挟持する。
また、ピエゾ抵抗体33、34は、応力集中部35に配されているので、僅かな保持力によって生じる歪みを大きな抵抗変化として検出することができ、高精度に挟持力を検出することができる。
更に、ピエゾ抵抗体33、34及び電線37は、貫通孔36を挟んでU字状になるようになるように形成されているので、基端側から先端側の亘る領域に電流路が確保されて確実且つ高精度に抵抗値変化の検出が行えることからも、高精度に挟持力を検出することができる。
更に、制御部15は、リファレンスピン56からリファレンス値が入力されるので、一対のピン31、32周囲の温度変化等の環境条件により発生する電気特性の影響を相殺でき、より正確な抵抗値変化の検出を行うことができる。
また、本体形成工程の際、パターンエッチング工程を行った後に、除去工程でBOX層62及びSi支持基板61を除去するので、薄くて高精度なピンセット4を確実に形成することができる。
また、本発明のマニュピレータシステム1によれば、最適な挟持力で試料を挟持することができると共に、試料3にキズ等をつけないばかりかピンセット4の信頼性、耐久性を向上させることができる。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、ピンセット4がピエゾ抵抗33、34により一対のピン31、32に働く歪を検出することで、挟持力を検出していたのに対し、第2に実施形態のピンセット70は、静電容量により挟持力を検出する点である。
また、本実施形態のピンセット70は、半導体材料に限られものではないが、絶縁材料であることが好ましい。例えば、母材としてシリコン、SiO2、ダイヤモント等を採用し、その表面にスパッタ法や蒸着法によりAl、Au、Ti等の金属で導電膜78を形成する。なお、この導電膜78は、挟持面71a、72aを電気的にグランド接続可能な導電膜として機能する。また、ピンセット71、72を半導体材料により形成することで、上記導電部73、74を、例えば、ドライエッチング等により形成することができる。
上記静電容量センサ75は、導電部73、74の先端に形成されており、例えば、金属等を蒸着して形成する。なお、ピンセット71、72を半導体材料により形成することで、第1実施形態と同様にドーピングにより形成することが可能である。
一対のピン71、72をピン用マニュピレータ55により接近、即ち、導電部73、74同士を接近させると、静電容量センサ75が両者の距離に応じた導電部73、74の静電容量の変化を測定する。例えば、一対のピン71、72が接近するにつれて静電容量が増大するので、一対のピン71、72がまだ試料3を挟持する前の状態であることを検出できる。
そして、試料3を挟持した場合には、一対のピン71、72の接近が止まり、静電容量の変化がなくなる。従って、静電容量センサ75は、静電容量の変化がなくなったことを検出することで、一対のピン71、72が試料3を挟持したことを容易且つ確実に検出することができる。
また、試料3を挟持したときに、内側の分岐部である導電部73、74は、挟持面71、72aが配されている外側の分岐部76、77とは別に分岐しているので、さらに導電部73、74同士が接近可能な状態である。つまり、試料3を挟持した後でも静電容量の測定が行える。従って、所定の静電容量を予め設定することで、所定の挟持力で試料3を挟持することができ、試料3に応じた挟持力を得ることができる。
例えば、上記核実施形態のマニュピレータシステムは、透過型電子顕微鏡をチャンバに備えた構成にしたが、チャンバとは別に設けても構わない。この場合には、ピンセットで試料を挟持した後に、チャンバ外部に設けられたメッシュ上に試料を移送できるように構成されていればかまわない。なお、透過型電子顕微鏡に限られず、電子顕微鏡であれば構わない。
また、ピンセットで試料を挟持してメッシュに移送したが、例えば、図24に示すように、電子顕微鏡用の試料台に一旦固定して再加工しても構わない。この場合には、試料台上に、ピンセットで挟持した試料を載置した状態で、デポガス源よりデポジション用ガスを流出させつつFIBを照射することで、デポジション膜により試料と試料台とを固定させれば良い。
更に、ピン用マニュピレータは、第1実施形態及び第2実施形態において、一対のピンの両方を移動させたが、どちらか一方のピンを移動できるように構成されていれば構わない。また、マニュピレータである必要はなく、例えば、圧電素子やマイクロモータにより駆動されるボールネジ等を利用した移動機構であれば良い。
1 マニュピレータシステム
3 試料
4、70 ピンセット
5 マニュピレータ
15 制御部
31、32、71、72 ピン(棒状挟持部材)
31a、32a、71a、72a 挟持面
33、34 ピエゾ抵抗体(歪センサ)
35 応力集中部
36 貫通孔
37 配線
38、78 導電膜
55 ピン用マニュピレータ(移動機構)
56 リファレンス用ピン
60 半導体基板
61 Si支持基板
62 BOX層
63 Si活性層
73、74 導電部(内側の分岐部)
75 静電容量センサ
76、77 外側の分岐部
Claims (5)
- 電子顕微鏡観察用の試料を挟持可能なピンセットであって、
所定間隔離間して隣接配置され、それぞれ対向する側の先端に前記試料を挟持する挟持面を有する一対の棒状挟持部材を備え、
前記一対の棒状挟持部材が、前記挟持面の基端側に挟持面と電気的に独立した状態で互いに対向して配された導電部と、これら導電部間の静電容量を測定する静電容量センサと、を備えていることを特徴とするピンセット。 - 請求項1に記載のピンセットにおいて、
前記一対の棒状挟持部材は、基端部から先端に向けて2つに分岐するように形成されており、外側の分岐部の先端に前記挟持面が配され、内側の分岐部が前記導電部とされていることを特徴とするピンセット。 - 請求項1又は2に記載のピンセットにおいて、
前記挟持面には、電気的にグランド接続可能な導電膜が形成されていることを特徴とするピンセット。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載のピンセットにおいて、
前記一対の棒状挟持部材は、前記試料を挟持したときに、前記挟持面同士が互いに平行状態となるように形成されていることを特徴とするピンセット。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載のピンセットと、
前記静電容量センサよりも基端側に配され、互いの前記挟持面を接近させるように少なくとも一方の前記棒状挟持部材を他方の棒状挟持部材に移動可能な移動機構と、
前記ピンセットを保持して任意の位置に移動可能なマニュピレータと、
前記静電容量センサの測定値が所定の値に達したときに、前記一対の棒状挟持部材の接近を停止するように前記移動機構を制御する制御部と、を備えることを特徴とするマニュピレータシステム。
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