JP2008283043A - 多層配線板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】リフロー後の変形が防止され、実装性に優れた多層配線板を提供する。
【解決手段】多層配線板1は、配線層11と絶縁層101とが交互に積層された多層構造を有し、最外層として互いに厚さの異なる第1の導体層12Aと第2の導体層12Bとが形成されている。第1の導体層12Aより厚みが大きい第2の導体層12Bは、プリント基板と接続する側とすることが好ましく、第1の導体層12Aには半導体素子201実装用のバンプ203A形成用の開口等のパターンが形成され、第2の導体層12Bにはプリント基板実装用のバンプ203B形成用の開口等のパターンが形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリイミド等の樹脂からなる絶縁層と導体配線層が交互に積層してなる多層構造を有する薄型多層配線基板およびその製造方法に関し、特に、半導体素子搭載用インターポーザとして用いられる多層配線基板及びその製造方法に関する。
近年、半導体大規模集積回路(LSI)等の半導体素子ではトランジスタの集積度が高まり、入出力端子数も年々増加している。こうした半導体素子をプリント配線基板に実装するため、インターポーザと呼ばれる基板が用いられ、FC−BGA(Flip-Chip Ball Grid Array)やCSP(Chip Size Package)等が開発され、実用化されている。
半導体素子内の処理速度が高まるにつれ、インターポーザ内を伝送する信号も高速化の要求が高まってきている。また、半導体素子の入出力端子数も増加の傾向にあり、半導体素子とインターポーザとの接続方法は、ワイヤーボンディングでは対応しきれなくなり、格子配列のフリップチップ接続が必要となる。このため、インターポーザ内の接続端子からの配線の引き回しが単層では困難になり、少なくとも2層に分けて配線を行う必要が出てくる。一方、信号の高速化に対応するため、配線のマイクロストリップ構造やストリップ構造、あるいは、コプレナー構造を採用する必要が出てくることになり、インターポーザの構造はますます多層化の方向にある。
インターポーザとして用いられるこのような多層配線基板は、銅貼基板やセラミック基板上に絶縁樹脂層と導体配線層を交互に積み上げて形成される(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示された工法にて作製された多層配線基板の絶縁層は、ポリイミド等の樹脂を塗布することにより形成され、薄膜化することができる。また、導体配線層はめっきで形成でき、微細配線が可能となる。一方、上下の導体配線層を接続するビアホールはレーザ加工等にて絶縁層を貫通する孔を形成し、孔の内部をめっきで埋めることにより形成できる。このため、銅貼基板を一括積層してなる多層プリント配線基板、あるいは、グリーンシートを積層して一括焼成するセラミック多層配線基板に比べ、高配線密度化、薄膜化、小型化を図ることができる。
また、これとは別に、従来用いられている多層プリント配線基板に銅箔付ポリイミドフィルムを接着剤で貼り合わせた構成の多層配線基板もある。この構成においても、銅箔の薄さから微細配線を形成することが可能となり、同じように、高配線密度化、薄膜化、小型化を図ることができる(例えば特許文献2参照)。さらに特許文献2に開示された多層配線基板はテープ状のフィルムであるため、リールトゥリール方式での処理が可能となり従来の枚葉処理とは異なり生産効率の向上も可能となる。
しかし、このような構造の多層配線基板は絶縁層および導体層を薄膜化して積層する為、基板の剛性が低下し、半導体素子をフリップチップ実装等で基板に実装する際にリフロー時に基板の変形が発生し、半導体素子側のバンプと基板側のバンプの接合がうまく出来ないという実装不良を起こす問題があった
また半導体素子を基板に実装できたとしても、基板と半導体素子の熱膨張係数差により、半導体素子を実装した基板(「パッケージ基板」と呼ぶ)に変形が発生し、マザーボード等のプリント基板にパッケージ基板を実装する際に実装不良を起こす問題もあった。
さらに、複数のダイ・チップを一つのパッケージに封止するSiP(System In Package)とする場合のように複数の半導体素子を基板に実装する場合、はじめに実装した半導体素子により基板が変形し、次に実装する半導体素子において実装不良がおきる問題もあった。
特開平4−148590号公報 特開2001−53115号公報
本発明は係る従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、有機絶縁材からなる絶縁層と導体材料からなる配線層が交互に積層してなる多層構造を有する多層配線基板において、最外層の導体層の厚さを変えることにより、基板の剛性を高め、実装性の良好な基板を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る発明は、第1の導体層と第2の導体層とを最外層とし、前記第1の導体層と第2の導体層との間に配線層と絶縁層とが交互に積層された多層配線基板において、前記第1の導体層と、前記第2の導体層の厚さが異なることを特徴とする多層配線基板としたものである。
本発明の請求項2に係る発明は、前記多層配線基板は、総厚が300μm以下であることを特徴とする請求項1記載の多層配線基板としたものである。
本発明の請求項3に係る発明は、前記第1の導体層は、前記第2の導体層より薄く、当該第1の導体層に半導体素子を実装するためのバンプが配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の多層配線基板としたものである。
本発明の請求項4に係る発明は、前記第1の導体層の層厚は20μm未満であり、前記第2の導体層の層厚は20μm以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の多層配線基板としたものである。
本発明の請求項5に係る発明は、前記第1の導体層の層厚と、前記第2の導体層の層厚との差は5μm以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の多層配線基板としたものである。
本発明の請求項6に係る発明は、前記第1の導体層および前記第2の導体層は、銅めっきであり、前記第1の導体層または前記第2の導体層のどちらか一方が化学研磨されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の多層配線基板としたものである。
本発明の請求項7に係る発明は、絶縁層と配線層とを交互に積層した積層体の最外層の一方に第1の導体層を形成し、他方に第2の導体層を形成してなる多層配線基板の製造方法において、前記第1の導体層および前記第2の導体層を銅めっきにより形成し、前記第1の導体層または前記第2の導体層のどちらか一方の層厚を他方の層厚より厚くしたことを特徴とする多層配線基板の製造方法としたものである。
本発明の請求項8に係る発明は、前記第1の導体層または前記第2の導体層のどちらか一方を化学研磨することにより、前記一方の層厚を他方の層厚より薄くしたことを特徴とする請求項7に記載の多層配線基板の製造方法としたものである。
本発明の請求項9に係る発明は、前記積層体の最外層面の一方を銅めっきする際の電流密度と、前記積層体の最外層面の他方を銅めっきする際の電流密度とを変えることにより、前記第1の導体層または前記第2の導体層のどちらか一方の層厚を他方の層厚より厚くした請求項7に記載の多層配線基板の製造方法としたものである。
本発明によれば、薄型の多層配線基板においても、基板の剛性を高め、実装性を良好にすることができる。
以下、図面を参照して本発明について詳細に説明する。以下、同一部材には同一符号、同一模様を付し説明を省略又は簡略化する。なお、図面は模式的であり、長さ、巾、及び厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、部材の模様は材質を表すものではない。
図1は、本発明の第1実施態様に係る多層配線基板1に半導体素子201を実装した状態の断面模式図である。図2と図3は図1に示す多層配線基板1の製造工程の一例を示す。
多層配線基板1は、導体パターン11Pを有する複数の配線層11が絶縁層101を介して積層されて構成されている。多層配線基板1の対向する表面は、第1の導体層12Aと第2の導体層12Bがそれぞれソルダーレジスト108に覆われた面となっている。換言すれば、第1の導体層12Aと第2の導体層12Bは、複数の配線層11と絶縁層101とが積層された積層体の最外層にある導体層である。
図1に示すように、第1の導体層12Aと第2の導体層12Bとは互いに層厚が異なる。第1の導体層12Aには半導体素子201を実装するためのバンプ203Aが配置され、第2の導体層12Bにはプリント基板202に多層配線基板10を実装するためのバンプ203Bが配置されている。以下、図2および図3を参照してこのような多層配線基板10の製造方法の一例について説明する。
まず、図2(a)に示すように、有機絶縁材で構成した板状体の両面に導電性材料からなる層を形成した基材1000を用意する。基材1000は、有機絶縁材からなる絶縁層101と、導体材料からなり絶縁層101を挟む2層の導体膜100を有する。基材1000としては、各種基材が使用できるが、生産効率の向上の為にリールトゥリールによって処理できる基材とすることが好ましい。基材としては、絶縁材料としてポリイミド、導体材料として銅箔を使用した銅箔付きポリイミドフィルムが好ましい。ここで銅箔付きポリイミドフィルムを推奨する理由として、リールトゥリール処理ができることが挙げられる。絶縁層を構成する材料としては液晶ポリマー、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられるが、耐熱性、可撓性、平滑性、低吸水率を満足するものとしてポリイミド樹脂が好ましい。また配線層は金属で構成され、導電性のよいものであれば構わないが、コストおよび導電性から銅を材料とするものが好ましく、電解銅箔、圧延銅箔等の平滑性の良い銅箔がより好ましい。
次に、図2(b)に示すように、絶縁層101を挟む上下2層の導体膜100同士を接続するビアホール102を形成する。ビアホールを形成する方法については、レーザ加工が好ましい。レーザについては炭酸ガスレーザ、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ、エキシマーレーザ等がある。YAGレーザは、基本波、第2高調波、第3高調波、第4高調波のいずれを用いてもよいが、導体膜、絶縁層共に加工を行う為、両者を同時に加工することの出来る400nm以下の短波長レーザであるYAG第3高調波、第4高調波ならびにエキシマーレーザがより好ましい。
ビアホール下層に堆積した有機絶縁材料の残さを取り除く。具体的には、絶縁層101を貫通するビアホール102を形成した後、過マンガン酸カリウムと水酸化ナトリウムの混合液等の液中に基板1000を浸漬させ、デスミア処理を行う。
次に、図2(c)に示すように絶縁層101の上下にある導体膜100同士を接続する為にフィルドビアめっきとして銅めっきを行う。銅めっきを行うことで、ビアホール102がめっき銅で充填され、フィルドビア103が形成される。フィルドビアめっきを行う工程には、基板の表面に電解めっきのシード層を形成するために無電解銅めっきまたはダイレクトプレーティングを行う工程と、シード層を給電パターンとして電解めっきを行いビアホール102に銅を充填する工程とが含まれる。フィルドビアめっきを行うめっき浴については銅濃度が高く、硫酸濃度の低いいわゆる一般浴といわれる浴で行うとよい。フィルドビアめっき後の基材1000断面は絶縁層101の上下に形成された銅箔由来の導体膜100それぞれの表面上に、電解めっきによりめっきされた銅104が析出した状態となる。
フィルドビアめっき後は、導体膜100の表面にめっきされた銅が析出して導体材料の層14が厚くなる。導体材料の層14が厚いと配線パターンの形成に不利であるため、図2(d)に示すように膜厚を減らすとよい。導体材料の層14の膜厚を減らすために行う研磨については物理研磨と化学研磨がある。基材1000がテープ状である場合に物理的研磨を行うと、基材が伸縮して、後の工程においてアライメント不良等の不具合を起こすため、化学研磨を用いることが好ましい。化学研磨は公知のエッチング液を使用して行うことが出来る。
次に、図2(e)に示すように、薄くした2層の導体材料の層14それぞれをフォトレジスト105でコートする。そして、図2(f)に示すように露光、現像を行い、基板1000の表裏両面にフォトレジスト105で回路配線のパターンを描き、フォトレジスト105をマスクとして、図2(g)に示すように基板1000の表裏両面をエッチングする。基板1000は、フォトレジストで覆われた表裏両面を同時にエッチングしてもよく、別々にエッチングしてもよい。エッチング後、図2(h)に示すようにフォトレジスト105を剥離して、配線パターンとする。このように公知のフォトリソグラフィー技術を使用して基板1000の両面に回路を描く配線パターンを有する配線層11を形成する。
このようにして回路を形成した基板1000に対して、図2(i)に示すように2つの配線層11のそれぞれを覆う積層接着層106を設ける。そして、片面に銅箔100Bがついたポリイミド薄板107を、ポリイミド樹脂製部分が積層接着層106と接するように配置してロールラミネートする。これにより、ポリイミド薄板107が積層接着層106を介して基板1000に積層された積層体が得られる。得られた積層体において、銅箔100B部分をエッチングすることで配線パターンを有する配線層11が形成され、配線層11と配線層11にあってポリイミド薄板107のポリイミド樹脂製の部分および積層接着層106を構成する接着剤部分は絶縁層101となる。
ポリイミド薄板107を加工して配線層11を形成する工程は、図2(b)〜(h)に示した基材1000の加工工程と同様であるため、以下に簡略化して説明する。まず、基材1000に積層したポリイミド薄板107をレーザ加工して、ポリイミド樹脂層を貫通するビアホール用の孔を形成する。ビアホールは、フィルドビアめっき処理することにより、フィルドビアを形成する。フィルドビアめっきに伴い銅箔100B上に析出する銅は化学研磨等により処理して導体層を加工しやすいようにした後、フォトレジストをコートし、露光、現像、エッチングする。その後、レジストを剥離して図3(j)に示すように、銅箔100Bとこの表面に析出した銅との積層部に回路を形成して配線パターンを有する配線層11とする。
配線層11上に積層接着層106を介してポリイミド薄板107を積層し、ポリイミド薄板107片面の銅箔を加工する上記工程を繰り返すことで、所望の数の配線層11と絶縁層101とが交互に積層された多層構造の多層配線基板原体1000´を得る。
この基板原体1000´の両面に銅等の導電性材料を成膜して、最外層となる第1の導体層12Aと第2の導体層12Bとを形成する。銅めっき時には、第1の導体層12Aと第2の導体層12Bとに膜厚差をつけるために、板状の基板原体1000´の表面と裏面をめっきする際の陰極電流密度を変えるとよい。これにより、基板原体1000´の表裏それぞれで析出する銅に差が出る為、最外層の銅厚差をつけることが出来る。なおこの際の銅厚差は、剛性を挙げる効果を出す為にも5μm以上の差をつけることが好ましい。
なお、最外層の2つの導体層に挟まれた配線層は1以上であればよく、複数ある場合、層厚は同一であることが好ましい。積層体内部の複数の配線層の厚さが異なる場合は、複数の層を同一の厚さの接着層で積層すれば接着層の埋め込み不良が生じるおそれがあり、接着層の厚さを変えれば各配線層間の絶縁層の厚さが変わり電気特性上、好ましくない。これに対し、最外層の2つの導体層に挟まれた配線層の厚さを同一とすれば、上記問題を回避できる。
配線層は、厚すぎると配線パターンをエッチングすることが難しくなる一方、薄すぎると基板の剛性が低くなるため、厚さ10〜15μmが好ましい。配線層間の絶縁層の厚さは22〜27μmが好ましい。なお、本実施態様では絶縁層101の厚さはポリイミド薄板107のポリイミド樹脂部分とポリイミド薄板107とポリイミド薄板に塗布した積層接着層106を含んだ部分の厚さ(すなわち、ある配線層11の片側面から、この片側面に接する絶縁層101を介してこの配線層11と向かい合う別の配線層11の片側面までの距離)である。このため、絶縁層の厚さはポリイミド薄膜の樹脂の厚さや積層接着層の厚さによって異なるが、本実施態様に用いたようなポリイミド薄膜の樹脂部分の厚さは25μmであるので、絶縁層の厚さを上記範囲内にすれば絶縁層の厚さを概ね、均一にできる。
配線層は偶数、設けることが好ましい。基材1000の両面に対して配線層を形成して配線層の数を偶数とすれば、積層が容易である。また、片側面のみに積層すると基板のそりが大きくなる傾向があるが、配線層を偶数として基材1000両面に層を重ねることでそりが大きくなることを防止できるためである。
最外層の2つの導体層の厚さを変化させるためには、基板原体1000´の表面と裏面とを同条件でめっきした後、銅めっきした線基板原体1000´に対して化学研磨等を行ってどちらか一方の導体層を薄くしてもよい。具体的には、化学研磨を行う場合であれば、最外層にある2つの導体層のどちらか一方に処理薬液がスプレーされないようにする、導体層をフィルムで保護する等して、当該一方の導体層は銅めっき後の銅厚がほぼそのままの状態で残るようにし、他方の導体層の銅厚を薄くすれば最外層の銅厚差をつけることが出来る。この場合も表裏の銅厚差は5μm以上になるようにするとよい。
なお、導体層の厚さを厚くする導体層(この例では第2の導体層12B)は、半導体素子とフリップチップ接続を行う側(FC側)ではなく、プリント基板と接続する側(BGA側)の導体層であることが好ましい。この理由については、BGA側とFC側を比較した場合に、配線の太さに関しても一般的にBGAのほうが太く、剛性を高くする為の銅の面積も比較的多くすることが可能であるからである。また銅厚を厚くした導体層の銅厚は20μm以上であると、反りに対する効果が顕著に出る為望ましい。
最外層を化学研磨等して層厚に差をつけた後は、最外層の第1の導体層12Aおよび第2の導体層12Bそれぞれに、フォトレジストをコートし、露光、現像、エッチングを行った後、レジストを剥離して、パターン形成を行う。ここで、BGA側の導体層の層厚を厚くするためには、層厚を厚くした第2の導体層12Bのパターンをプリント基板接続用のバンプ203Bが配置される回路パターンとし、層厚の薄い第1の導体層12Aのパターンをフリップチップ接続用のバンプ203Aが配置される回路パターンとすればよい。
なお、エッチングの際に第1の導体層12Aおよび第2の導体層12Bとでは、銅厚が異なるため、一般的な条件でエッチングするには、第1の導体層12Aと第2の導体層12Bそれぞれを異なる条件でエッチングする必要がある。しかし、両面同時にエッチングを行う方が生産性も良い。そこで、エッチング時のスプレー圧や、マスクの補正等を行うことで、表裏の第1の導体層12Aと第2の導体層12Bを同時にエッチング可能なような条件設定することが好ましい。このようにして図3(k)に示すようなBGA側の銅厚が厚い積層体を作成することが出来る。
このようにして、第1の導体層12Aと第2の導体層12Bとに回路パターンを形成した後、図3(l)に示すように第1の導体層12Aと第2の導体層12Bそれぞれの表裏にソルダーレジスト108を加工し、バンプを配置する部分にニッケル金めっき109を行うといった表面処理を施してよい。第1の導体層12Aと第2の導体層12Bに対するこれらの加工は、公知の方法によればよい。
上述した加工を行った基板原体1000´は、外形をパッケージサイズとする外形抜きを行い、所望の形状の多層配線基板1とする。多層配線基板1には、必要に応じてさらに図1(m)に示すようにフリップチップ接続の為のパッド部分にはんだ110を付けるはんだプリコート処理や、スティフナと呼ばれる補強板111貼り付ける等の処理を行う。
なお、本発明では、多層配線基板1の板厚が厚い場合には最外層の銅厚の一方を厚くした場合の効果が明確に出ない。一方、多層配線基板1全体の厚さ(総厚)は300μm以下であれば、最外層の銅厚の一方を厚くする効果が明確である。このように総厚が薄い多層配線基板1は半導体素子を搭載した場合のパッケージとして薄型であるため、電子機器の小型化に寄与し、本発明は、このような薄型の多層配線基板1に好適に用いられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明は後述する実施例に何ら限定されるものではない。実施例では、上述した第1実施態様に係る多層配線基板1と同様の構成の多層配線板を作成した。
[実施例1]
基材1000に相当する部材として、両面銅箔付ポリイミドテープ(三井化学製 商品名ネオフレックス Cu/PI/Cu=6μm/30μm/6μm)を使用した。この基材にビアホール用孔部を加工する為に、355nmの波長の紫外線レーザを使用し、ビアホール用孔部加工を行った。加工したビアホール用孔部の直径は60μmであった。
その後、ビアホール用孔部底部に堆積した樹脂残さを除去する為に、過マンガン酸カリウムと水酸化ナトリウムを3対2の割合でイオン交換水に溶解させ、約50℃に加熱してデスミア処理用の溶液を作成した。この混合液中に基材を浸漬させ、樹脂残さを除去した。
次いで、基材の両面に電気めっきのシード層を形成する為に無電解銅めっき処理を行った。その後、硫酸銅めっき液により電解めっき処理を行い、ビアホール用孔部に銅を充填してフィルドビアを形成した。電解めっき処理は陰極電流密度2ASDで約30分間めっきを行った。
次に銅厚を薄くする為に化学研磨を行った。化学研磨液は硫酸過水系の化学研磨液を使用し、めっき後に約20μmであった導体層(基材由来の銅箔とその上に析出した銅とが積層してなる層)の厚さが約11μmとなるまで導体層の両面を研磨した。
次に、基材両面の導体層それぞれに配線パターン形成するために、配線形成用のドライフィルムレジストをラミネーターにより加熱加圧し、基材に張り合わせ、それぞれの導体層の上にレジスト層を形成した。
次いで、所定のパターンを形成したフォトマスクを用いて超高圧水銀ランプを光源とした平行光にて露光し、1%炭酸ナトリウム水溶液にて現像を行い、所望のレジスト形状を得た。
銅のエッチングは比重1.40の塩化第二鉄にて行い、銅をレジスト形状に沿ってエッチングした。その後、レジストを3%水酸化ナトリウム水溶液にて剥離を行い、回路パターンが描かれた配線層を得た。
その後、基材両面の配線層それぞれの上に、接着剤を塗布し、この接着剤からなる積層接着層を介して片面銅箔付きポリイミドテープ(三井化学 商品名ネオフレックス)をロールラミネーターにて張り合わせた。ポリイミドの厚さは13μmであり、配線層上に塗布された接着剤とこのポリイミドテープとを合わせてなる絶縁層の厚さは23μmであった。その後、それぞれのポリイミドテープのポリイミド部分に同様にビアホール用の孔部を形成し、孔部に銅を充填してフィルドビアを形成した。また、それぞれの銅箔部分は、エッチングして回路形成を行い、4層の配線層が3層の絶縁層と交互に積層された4層の積層体を形成した。
そして4層の積層体の最外層に接着剤を介して再度、上述した片面銅箔付きポリイミドテープを積層し、ポリイミド部分にビアホールを形成し、銅めっきを行った。銅めっきされた積層体は、6層の導電性材料の層が5層のポリイミド樹脂製の絶縁層を介して積層されてなる。この積層体の最外層の2つの層は、2回目に積層された片面銅箔付きポリイミドテープの銅箔上に銅めっきされた銅が析出した導体層である。
最外の2つの導体層は、一方をFC側、他方をBGA側とし、両者の銅厚に差をつけるように化学研磨した。具体的には、水平処理で行っている化学研磨用の処理液をスプレーする際、スプレーノズルを片面目止めして、BGA側に処理液がスプレーされないようにし、FC側とする導体層(第1の導体層)のみを11μmとするように化学研磨を行った。また処理液がスプレーされなかったBGA側の導体層(第2の導体層)はめっき後の銅厚約20μmのままであった。
その後、両方の導体層それぞれにレジストをコートし、露光、現像を行い、エッチングした。エッチングに際しては、マスクで表裏の補正値を変更し、エッチング時も表裏でスプレー圧とスプレーノズルを表裏で異なるように設定することで、厚さの異なる第1の導体層および第2の導体層を同時に加工することが出来た。
そして、回路パターンを形成した第1の導体層および第2の導体層それぞれを覆うようにソルダーレジストをコートし、それぞれにバンプ等を設けるための開口パターンを形成した。開口部には、ニッケル金めっき処理を行った。
その後、膜厚の薄い第1の導体層の開口部に形成されたフリップチップパッドにはんだ付けを行うはんだプリコートを施した。そしてパッケージサイズとなるように外形抜きを行い、反り防止の為のスティフナをチップ実装部の周囲に張り合わせて薄型多層基板を得た。
得られた多層配線基板1に対し、図1に示すように半導体チップ201を実装し、リフロー後にX線検査装置によって接合状態を確認した。その結果、基板リフロー時の反りによるはんだバンプの接合不良は、チップの端部でも確認されず、良好な実装状態であった。また、実装後の実装部のパッケージ基板の反りは200μm以下であり、パッケージ基板をプリント配線基板202に実装する場合も接合状態は良好であった。
[比較例1]
比較例として実施例1の基板の最外層に銅厚差をつけず、第1の導体層、および第2の導体層の厚さをともに11μmとなるように化学研磨した基板を用いて、多層配線基板を作成した。比較例1で作成した多層配線基板は、第1の導体層と第2の導体層とに銅厚差を設けなかった以外は実施例1と同様に作成されている。
比較例1で作成した多層配線基板について、実施例1と同様に半導体チップを実装したところ基板作成時の反りは大きく変わらなかったものの、チップ実装後のリフローにおいて変形が大きかった。その後のX線検査では、チップ端部にバンプが接合していない部分や、接合していても形状がよくないいわゆるコールドジョイントが多発していることが認められた。また、チップ実装後の実装部のパッケージ基板の反りは200μm以上であった。
以上に示すように、本発明の多層配線基板およびその製造方法によれば、薄型多層配線基板のチップ実装後の変形を抑えることが可能で、実装性の非常に良好な基板を提供することが可能となる。
本発明は、半導体チップを搭載するパッケージ用のインターポーザに使用できる。
本発明の一実施態様に係る多層配線基板に半導体素子を実装した断面模式図。 図1の多層配線板の製造工程の一例を示す図。 図1の多層配線板の製造工程の一例を示す図。
符号の説明
1・・・・・多層配線基板
11・・・・配線層
12A・・・第1の導体層
12B・・・第2の導体層
101・・・絶縁層
102・・・ビアホール(孔)
103・・・フィルドビア
104・・・電解めっき層(導体材料の層の一部)
105・・・フォトレジスト(感光性樹脂)
106・・・積層接着層
107・・・片面銅箔付きポリイミドテープ(片面導体層付絶縁樹脂)
108・・・ソルダーレジスト
109・・・ニッケル金めっき層
111・・・スティフナ
201・・・半導体素子
202・・・プリント基板
203A、203B・・・はんだバンプ
1000・・基材
1000´・・・・・・・基板原体

Claims (9)

  1. 第1の導体層と第2の導体層とを最外層とし、前記第1の導体層と第2の導体層との間に配線層と絶縁層とが交互に積層された多層配線基板において、
    前記第1の導体層と、前記第2の導体層の厚さが異なることを特徴とする多層配線基板。
  2. 前記多層配線基板は、総厚が300μm以下であることを特徴とする請求項1記載の多層配線基板。
  3. 前記第1の導体層は、前記第2の導体層より薄く、当該第1の導体層に半導体素子を実装するためのバンプが配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の多層配線基板。
  4. 前記第1の導体層の層厚は20μm未満であり、前記第2の導体層の層厚は20μm以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の多層配線基板。
  5. 前記第1の導体層の層厚と、前記第2の導体層の層厚との差は5μm以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の多層配線基板。
  6. 前記第1の導体層および前記第2の導体層は、銅めっきであり、
    前記第1の導体層または前記第2の導体層のどちらか一方が化学研磨されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の多層配線基板。
  7. 絶縁層と配線層とを交互に積層した積層体の最外層の一方に第1の導体層を形成し、他方に第2の導体層を形成してなる多層配線基板の製造方法において、
    前記第1の導体層および前記第2の導体層を銅めっきにより形成し、前記第1の導体層または前記第2の導体層のどちらか一方の層厚を他方の層厚より厚くしたことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
  8. 前記第1の導体層または前記第2の導体層のどちらか一方を化学研磨することにより、前記一方の層厚を他方の層厚より薄くしたことを特徴とする請求項7に記載の多層配線基板の製造方法。
  9. 前記積層体の最外層面の一方を銅めっきする際の電流密度と、前記積層体の最外層面の他方を銅めっきする際の電流密度とを変えることにより、前記第1の導体層または前記第2の導体層のどちらか一方の層厚を他方の層厚より厚くした請求項7に記載の多層配線基板の製造方法。
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