JP2008280542A - 自己浄化コーティング組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面に付着した多種多様な性質の堆積物または汚染物を降雨または流水に曝すだけで容易に洗い流すことができる、自己浄化性部材およびその製造に用いられるコーティング組成物が開示される。
【解決手段】この自己浄化性部材は、多孔性表面を備えてなる。そして、拡張収縮法による動的接触角測定により測定された、表面層における、前進接触角θaと後退接触角θrの差である接触角ヒステリシスΔθ(=θa−θr)が80゜以上であって、かつ、後退接触角θrが25゜以下であることにより、上記自己浄化性が発揮される。
【選択図】図1

Description

本発明は、自己浄化性部材を形成するためのコーティング組成物に関する。
近年、住空間や外部環境において、汚れの付着をいかに防止するか大いに注目されている。例えば、屋内では、身の回りに存在する油分や黴・藻等の微生物による生活環境や美観の悪化、屋外では環境汚染等による建築外装部への汚れ付着による美観悪化が問題となっている。中でも、建築外装分野においては、環境汚染に伴い建築外装材料や屋外構造物の表面の汚れが問題となっている。大気中に浮遊する煤塵や粒子は、晴天時に建物の屋根や外装に堆積する。堆積物は降雨に伴い雨水により流され、建物の外装を流下する。更に、空中に浮遊する煤塵は雨に捕捉され、煤塵を捕捉した雨は、建物の外装や屋外構造物の表面を流下する。その結果、表面には、雨水の筋道に沿って汚染物質が付着する。そして、このような表面が乾燥すると表面には縞状の汚れが現れる。
また、高層ビル等の外壁は、空気中に含まれる煤塵や排気ガスなどの燃焼生成物や、上方にあるシーラントから溶出する汚れや、建物の排気口から排出される汚染物質等の疎水性汚れにより汚れる。これらの疎水性汚れはうす黒く、建物の美観を著しく損ねる。建築外装材料や塗膜の汚れは、カーボンブラックのような燃焼生成物や、都市煤塵や粘土粒子のような無機質物質の汚染物質からなると考えられている(例えば、非特許文献1参照)。
従来の通念では、上記建築外装などの汚れを防止するためにはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のような撥水性の塗料が好ましいと考えられていたが、雨筋状の汚れがつきやすいことから、最近では疎水性成分を多く含む都市煤塵に対しては、塗膜の表面を出来るだけ親水性にするのがよいと考えられている(例えば、非特許文献2参照)。
このような状況において、近年、親水性のグラフトポリマーやアクリルシリコーンなどの親水成分をコーティング材に付与して、塗布後の塗膜表面を親水性にする技術が知られている。このような塗膜は水との接触角に換算して20〜60゜の親水性を呈する。
しかしながら、粘土鉱物で代表される無機質塵埃の水との接触角は20゜から50゜であり、水との接触角が20〜60゜の上記親水成分に対して親和性を有し、その表面に付着しやすいので、このグラフトポリマーの塗膜は無機質塵埃による汚れを防止することができない。更に、20〜60゜の接触角を有する塗膜表面では、降雨などにより表面に付着した水滴は、均一な水膜とならず、逆に微小な水滴として表面に残りやすく、その水滴に汚れ成分が付着して、結局汚れとして残りやすく、美観を損ねることが考えられる。上記の多様な汚染原因に加え、カビ・藻等の微生物の付着による汚染を防ぐための防汚技術として、表面を水との接触角を20゜以下の超親水性にすることが提案されている。中でも、光触媒材料を建物外装に被覆することで、太陽光の照射により親水化して降雨によるセルフクリーニング機能やNOx等の有害ガスを分解する環境上好ましい手法として注目されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
特開2003-342526号公報 特開2004-143452号公報 日本建築学会構造系論文報告集、第404号、1989年10月、p.15−24 月刊機能材料、シーエムシー出版、44巻、2005年8月号、p.47
本発明は、表面に付着した多種多様な性質の堆積物または汚染物を降雨または流水に曝すだけで容易に洗い流すことができる、自己浄化性部材を形成するためのコーティング組成物を提供することを目的としている。
本発明者らは、今般、基材の表面に、拡張収縮法による動的接触角測定により測定された、前進接触角θaと後退接触角θrの差である接触角ヒステリシスΔθ(=θa−θr)が80゜以上であり、かつ、後退接触角θrが25゜以下である表面を設けることにより、表面に付着した堆積物または汚染物を降雨または流水に曝すだけで容易に洗い流すことができるとの知見を得た。特に、疎水性の堆積物または汚染物のみならず、鉄腐食によって生じる鉄イオンや、降雨に含まれるシリケート分、シリコンシーラントに含まれる、基材と反応固着して外観不良を誘引する成分、すなわち反応性汚染物質についても、表面への吸着を抑制し、降雨または流水に曝すだけで水膜を形成し、容易に洗い流すことができるとの驚くべき知見を得た。
すなわち、本発明による自己浄化コーティング組成物は、疎水性樹脂エマルジョン粒子と、ウィスカーと、光触媒粒子と、水とを少なくとも含んだコーティング組成物であって、前記ウィスカーに対する前記疎水性樹脂エマルジョン粒子の重量比が2以上5.5以下であり、かつコーティング組成物の全固形分重量に対し前記疎水性樹脂エマルジョン粒子と前記ウィスカーの固形分重量の和が0.4以上1.0以下であることを特徴とする。
また、本発明の一態様による自己浄化性部材は、基材と、前記基材上に設けられたコーティング層とを備えてなり、前記コーティング層は上記コーティング組成物を適用してなるものである。
定義
本発明において、「多孔性表面」とは、開孔率5%以上75%以下の独立した開孔部を有する表面である。ここで、開孔率は、走査型電子顕微鏡像:倍率5千〜10万倍のコントラスト比を利用した画像解析により算出した値である。「開孔径」とは、走査型電子顕微鏡像:倍率5千〜10万倍のコントラスト比を利用した画像解析により、独立した開口部の長径を測定した値である。
本発明において、「接触角ヒステリシス」とは、拡張収縮法による動的接触角測定において、前進接触角θaと後退接触角θrの差Δθ(=θa−θr)として定義される。本発明において、前進接触角θaおよび後退接触角θrは、拡張収縮法による動的接触角測定により決定される。「動的接触角」とは、洗浄や塗布など、固体表面上を液体が動く状態を想定した動的な接触角の変化として知られている。通常、液滴の界面が前進する際の接触角を前進接触角θa、後退する際の接触角を後退接触角θrと定義される。この定義の詳細は、“ぬれの基礎と応用”、リアライズ社、1992年発行に開示されており、その開示内容は本明細書の開示の一部として参照のため含まれる。「拡張収縮法」は、固体表面に接した液滴にシリンジのニードルの先端を刺して、一定量の水を注入する際に水滴が前進するときの接触角を前進接触角とし、一定量注入後の水滴から水を吸引する際に水滴が後退するときの接触角を後退接触角と定義することができる。
本発明における拡張収縮法による動的接触角は、例えば、英弘精機(株)製自動接触角測定装置(OCA20)により、測定することが可能である。具体的には、まず、上記自動接触角測定装置により、試験体上に蒸留水0.1μLを付着させて水滴を形成する。次に、500μL用ガラス製シリンジ(英弘精機(株)製DS500/GT)に取り付けた外径0.21mmで内孔径0.11mmのステンレス製ニードル(英弘精機(株)製SNS021/011)を、前記ニードル先端が試験体表面より高さ0.2mmになるように水滴の中心部から刺す。そして、蒸留水をニードルから20μL/sの速さで40μL注入した直後の接触角を前進接触角とし、さらに1秒静置後、20μL/sの速さで40μL吸引した直後の接触角を後退接触角とする。
本発明における「自己浄化性」とは、降雨あるいは流水を受ける都度、表面に付着した煤塵のような疎水性汚染物質、無機質塵埃のような粒状汚染物質のみならず、鉄イオンのようなイオン性汚染物質や、水垢・シリコンシール材から発生するような反応性汚染物質に対する低吸着性をも発現し、容易に降雨あるいは流水により洗い流され、ほぼ恒久的に表面の清浄性が維持される特性のことを示す。なお、反応性汚染物質とは、部材表面と化学的に結合し、容易に除去することが困難となるような汚染物質を指し、具体的には水道水中に含まれるケイ酸(塩)やシリコンシール材のアルコキシシラン等が挙げられる。
自己浄化性部材
本発明による自己浄化性部材の表面は、拡張収縮法による動的接触角測定により測定された、前進接触角θaと後退接触角θrの差である接触角ヒステリシスΔθ(=θa−θr)が80゜以上であり、かつ後退接触角θrが25゜以下である。これにより、表面に付着した堆積物または汚染物を降雨または流水に曝すだけで容易に洗い流すことができる。特に、本発明の自己浄化性部材では、既存の親水性表面が得意とする疎水性の堆積物または汚染物ばかりでなく、親水性表面が苦手とするイオン性汚染物質や反応性汚染物質の表面への吸着力が弱い為、降雨または流水に曝すだけで表面の清浄性を長期にわたり保持できる。このため、本発明による自己浄化性部材は、外壁用建材の用途に適している。特に効果が期待できる用途としては、鉄イオンの溶出と表面への固着が問題となる鋼材が露出している部分、シリコンシール処理がなされているパネル継目や窓枠周辺部などである。
上記のように、表面の接触角ヒステリシスが80゜以上、かつ後退接触角θrが25゜以下であると、優れた自己浄化性が発現する機構は定かではないが、およそ以下のようなものではないかと考えられる。もっとも、以下に述べる説明はあくまで仮説であって、本発明が以下の説明によって限定されることがあってはならないことは言うまでもない。まず、前述の定義から明らかなように、接触角ヒステリシスが80゜以上である表面においては、外部より水滴が付着されると、前進接触角と後退接触角の差が大きくなる。これは、垂直あるいは斜めに配置した表面において、付着した水滴が高い保持力で水滴状態を維持できる、つまり水滴がある程度の大きさに成長するまでは流れ落ちにくいことを意味する。このような状態の水滴を模式的に表した図が、図1である。図1においては、表面1が垂直に配置されており、水滴2の上側で水接触角θuが小さく、水滴2の下側で水接触角θlが大きい。すなわち、その差(θl−θu)が大きくなるように表されている。これは、水滴の上側部分は水滴の自重により水が下へと誘引されて液滴の界面が後退する傾向にあるため、水滴の上側で水接触角θuは後退接触角θrで置き換えて議論可能である一方、水滴の下側部分は水滴の自重により水が上から下へと供給されて液滴の界面が前進する傾向にあるため、水滴の下側の水接触角θlは前進接触角θaに置き換えて議論可能であると考えられるためである。そして、このように、水滴の上側で水接触角θuが小さく、水滴の下側で水接触角θdが大きいと、下側に溜まってきた水はその高い水接触角により肥大化する一方で、上側の薄くなった部分が表面上を広がって水滴を大きな接触面積で表面に引きつける。
その結果、水滴がある程度の大きさに成長するまでは流れ落ちないで持ち堪えた後、肥大化した水滴として自重に耐えかねて一気に表面を流れ落ちる現象が起こる。換言すれば、この現象下では、水滴は微細な水滴のまま落下するのではなく、むしろ表面上に広がりやすい傾向にあると言える。そして、この微視的な現象は、外部から降雨や水洗浄により表面に連続的に水滴が供給された場合には、次第に肥大化した水滴同士が結合しながら連続的に流れ落ちることができるため、巨視的に見れば、あたかも均一な水膜が表面上に形成されたかような状態が生じうるものと考えられる。この状態は、動的な親水性とも表現することができよう。このような現象を通じて、通常よりも大きな肥大化した水滴ないし水膜が形成されるので、表面に付着した水滴が肥大化する過程で、表面の汚れを溶出あるいは分散して取り込んだ汚染水が、新たに供給された水によって一気に置換されて洗い流されるのではないかと考えられる。そして、この現象下では、表面に付着した水滴が肥大化する過程で、そもそも静的に撥水性表面であるため、鉄イオンのような、親水性表面には強固に固着する汚染物の吸着も抑制されており、さらに該汚染物を徐々に溶出できるだけの時間的余裕をも確保できるので、疎水性の堆積物または汚染物のみならず、イオン性汚染物質についても、降雨または流水に曝すだけで容易に洗い流すことができるのではないかと考えられる。
そして、拡張収縮法による動的接触角測定により測定された、前記表面における、後退接触角θrが25゜以下であることによって、図1に示されるような付着した水滴の上側の薄くなった部分が表面上を十分に広がって、肥大化しつつある水滴を大きな接触面積で強力に表面に引きつけることができ、自己浄化性をより一層有効に発揮させることができると考えられる。
本発明のより好ましい態様によれば、自己浄化性部材は、6ヶ月の間屋外で暴露した後においても、接触角ヒステリシスΔθが80゜以上であり、かつ後退接触角θrが25゜以下である状態を維持するのが好ましい。これにより、耐候性に優れて、かつ優れた防汚性を長く持続させることができる。本発明において、「6ヶ月の間屋外で暴露」については、JIS−K−5400 9.8促進耐候性試験のサンシャインカーボンアーク式試験に基づいた150時間の加速促進試験を行うことを、暴露6ヶ月相当とみなすことができる。
自己浄化性部材表面
本発明の表面は、80゜以上の接触角ヒステリシスΔθ(=θa−θr)を実現できるような材料で構成されるかぎり、その材質および微細構造は特に限定されない。
本発明の好ましい態様によれば、80゜以上の接触角ヒステリシスによる表面における高い水滴保持能力は、開孔径が0.01μmから30μmの開孔部を有する多孔性表面で実現される。これは、多孔性表面の細孔に水滴がトラップされることによって、微細な水滴がそのまま落下するのではなく、むしろ表面上に蓄積されて広がりやすい傾向が生じるためと考えられる。
自己浄化性表面の実現手段は、基材表面にコーティング組成物を適用してコーティング層を形成する態様1、陽極酸化処理により形成した多孔性表面へ撥水化処理を施す態様2、およびその他の態様がある。
態様1: コーティング組成物による自己浄化性表面の実現 塗料
本発明のより好ましい態様によれば、自己浄化性部材のコーティング層表面は多孔性であることが好ましく、そのような多孔性表面は、直径約5〜約30μmの細孔が、200個以上/mm2の密度で形成されているのがより好ましい。このような細孔サイズおよび個数密度であると、細孔内に水が侵入しやすく、なおかつ多孔性表面の細孔に水滴が強力にトラップされるので、肥大化した水滴が一気に表面を流れ落ちることによる自己浄化性をより一層有効に発揮させることができる。このような細孔のサイズや個数密度は、レーザー顕微鏡の粒子(円)形状解析機能により測定することができる。
本発明の好ましい態様によれば、表面は、疎水性物質を基質として含んでなるのが好ましい。これにより、表面に静的な疎水性を付与することにより従来から知られる撥水性表面による防汚機能を確保しながら、接触角ヒステリシスが80゜以上であることにより表面に実現される前述の動的な親水性に寄与することができる。具体的には、表面に付与された静的な撥水性が、表面の細孔との相互作用によって、付着した水滴がある程度の大きさに成長するまでは流れ落ちにくくする傾向を促進するため、各種汚れに対する自己浄化性を向上できる。また、表面が疎水化であることにより、鉄錆等に含まれる易水溶性のイオン性汚染物質との相互作用を弱めて、この汚れに対する流水による自己浄化性を向上することができる。本発明の好ましい態様によれば、疎水性物質の添加により、コーティング層の表面に80〜130°の水に対する接触角が付与されるのが好ましい。
疎水性物質としては疎水性を呈する物質であればいかなる物質も使用することができるが、疎水性樹脂を用いるのが好ましく、疎水性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、およびその組合せが挙げられる。より好ましくは、より疎水性の高いシリコーン樹脂、フッ素樹脂、およびその組合せが挙げられる。このような疎水性樹脂は、疎水性樹脂エマルジョン粒子の形態で基材表面に与えられ、乾燥ないし加熱により硬化されたものであるのが好ましい。本発明における「疎水性樹脂エマルジョン粒子」とは、主として水等の分散媒中に、一部もしくは完全に重合した疎水性樹脂が、場合によっては乳化剤を含んで乳化状態で分散安定化している粒状物を表わす。そのような疎水性樹脂エマルジョン粒子としては、例えば、フッ素樹脂エマルジョン粒子およびシリコーンエマルジョン粒子から選ばれる少なくとも一種を用いるか、あるいはこれらを混合して使用するのが好ましい。
疎水性樹脂として使用可能なシリコーン樹脂エマルジョン粒子は、如何なる製造方法によって得られたものでも何ら限定されないが、以下のような製造方法で作製されたものを好ましく用いることができる。
(1)アルコキシシラン化合物あるいはその部分加水分解・縮合物を各種界面活性剤を用いて乳化し、水性エマルジョンとする方法(例えば、特開平3−200793号公報参照)。
(2)無溶剤で固形のシリコーンレジンを、鎖状のシリコーン化合物と共に、強制的に機械粉砕・分散させた水性エマルジョンとする方法(例えば、特開平7−247434号公報参照)。
(3)界面活性剤を使用せずにアルコキシシランを水中で加水分解して得られる水溶性ポリマーの存在下、ラジカル重合可能なビニルモノマーを乳化重合する方法(例えば、特開平8−60098号公報参照)。
(4)ビニル重合性アルコキシシランを含有するアルコキシシラン混合物を加水分解・縮合することにより、固形のシリコーン樹脂を含む水性エマルジョンとし、更にラジカル重合性ビニルモノマーを加え、乳化重合することにより、グラフト共重合体微粒子(固形)エマルジョンを得る方法(例えば、特開平7−196750号公報参照)。
(5)ラジカル重合性官能基を乳化重合したエマルジョンにアルコキシシランを添加し、加水分解・縮合させ、エマルジョン粒子中にシリコーン樹脂を導入する方法(例えば、特開平8−3409号公報参照)。
(6)ビニル重合性官能基含有アルコキシシランを、ラジカル重合性ビニルモノマーと共に乳化重合し、エマルジョンを作成する方法(例えば、特開平8−27347号公報参照)。
シリコーン樹脂エマルジョンを製造する際に用いる原料モノマーの好ましい例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン、nープロピルトリメトキシシラン、nープロピルトリエトキシシラン、nープロピルトリクロシラン、nープロピルトリブロムシラン、nープロピルトリイソプロポキシシラン、nープロピルトリt−ブトキシシラン、nーヘキシルトリメトキシシラン、nーヘキシルトリエトキシシラン、nーヘキシルトリクロシラン、nーヘキシルトリブロムシラン、nーヘキシルトリイソプロポキシシラン、nーヘキシルトリt−ブトキシシラン、nーデシルトリメトキシシラン、nーデシルトリエトキシシラン、nーデシルトリクロシラン、nーデシルトリブロムシラン、nーデシルトリイソプロポキシシラン、nーデシルトリt−ブトキシシラン、nーオクタトリメトキシシラン、nーオクタトリエトキシシラン、nーオクタトリクロシラン、nーオクタトリブロムシラン、nーオクタトリイソプロポキシシラン、nーオクタトリt−ブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン、トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリジブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノメタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メチルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メチルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メチルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メチルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メチルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メチルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどが挙げられる。そして、シリコーン樹脂エマルジョンとしては、これら上記のシラン化合物モノマーを前記記載の製造方法で、加水分解物もしくは部分加水分解による重合物として乳化分散したものを好ましく用いることができる。
疎水性樹脂として使用可能なフッ素樹脂エマルジョン粒子は、如何なる製造方法によって得られたものでも何ら限定されず、種々の方法、例えば、ラジカル重合法、カチオン重合法、アニオン重合法、の重合機構に基づき、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、あるいは乳化重合法等によって製造されるものであってよい。また、上記重合機構に基づいたランダム、交互、ブロック共重合体、各種リビング重合法或いは高分子反応を応用し分子量分布を制御したブロック、グラフト、スター型重合体等を自由に選択可能である。更に、このような重合体を得た後に、各種高分子反応、放射線、電子線紫外線等のエネルギー線を応用した方法等により重合体を変性することも可能である。フッ素樹脂エマルジョンの好ましい例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、パーフルオロシクロポリマー、ビニルエーテル−フルオロオレフィンコポリマー、ビニルエステル−フルオロオレフィンコポリマー、テトラフルオロエチレン−ビニルエーテルコポリマー、クロロトリフルオロエチレン−ビニルエーテルコポリマー、テトラフルオロエチレンウレタン架橋体、テトラフルオロエチレンエポキシ架橋体、テトラフルオロエチレンアクリル架橋体、テトラフルオロエチレンメラミン架橋体等フルオロ基を含有するポリマーのエマルジョン粒子が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、疎水性樹脂エマルジョン粒子の平均粒径は80nm〜2000nmとするのが好ましく、より好ましくは80nm〜1000nmであり、さらに好ましくは100nm〜1000nmである。これにより、効果的に架橋構造を形成できるとともに、形成された架橋構造中の表面凹凸や細孔が小さくなりすぎるのを防止して十分な多孔性を確保することもでき、防汚性を向上させることができる。例えば、後述するウィスカーを併用する好適態様においては、疎水性エマルジョンの平均粒径が80nm〜2000nmであると、ウィスカーの周囲に速やかに吸着して架橋構造を形成することができ、特に100nm〜1000nmの範囲では、最も効率的にウィスカーに吸着し架橋構造を形成することができる。なお、本発明における疎水性樹脂エマルジョン粒子の平均粒径は、動的光散乱法を利用した濃厚系対応粒度分布測定装置(大塚電子(株)製FPAR-1000)を用いて測定される。本発明における平均粒径の測定方法としては、例えば、固形分10重量%に調整したエマルジョン分散液について、散乱強度の時間変化から直接算出できる二次自己相関関数を求めることにより、キュムラント法で平均粒径(流体力学的径)を平均粒径として用いる。ちなみに、本発明における疎水性樹脂エマルジョン粒子の平均粒径には、エマルジョンの性質上、乳化剤が含まれる場合は、乳化剤層を含む粒径で算出される。
本発明の好ましい態様によれば、コーティング層がウィスカーをさらに含んでなるのが好ましく、これによりコーティング層の表面に開孔部を有す無数の細孔を効率良く形成することができ、自己浄化性を向上することができる。本発明における「ウィスカー」とは、短径と長径を有するアスペクト比のある、棒状体や繊維状体等である。本発明の特に好ましい態様によれば、ウィスカーは疎水性樹脂と併用される、すなわちコーティング層が疎水性樹脂とウィスカーとを含んでなるのが好ましい。上記疎水性樹脂(硬化前にあっては疎水性エマルジョン樹脂粒子)がウィスカーの固定リンカーとして働くことで、部材表面に凹凸を含む多孔質な構造を形成することにより、例えば降雨の場合は雨水が、水洗浄の場合は水滴が、外部から供給されたときに、部材表面近傍を水が出入りしやすくなることが考えられる。この特異な作用により、表面が疎水性でありながらも、水との親和性が大きい特性を有することができ、界面における水との付着強度が大きくなることで、接触角ヒステリシスが大きくなる。この優れた表面特性がある為に、部材表面に付着した疎水性付着堆積物または汚染物を容易に洗い流すことができる。更に、疎水性樹脂エマルジョン粒子をリンカーとして用いることで、部材表面を疎水化できることにより、鉄錆等に含まれるイオン性汚染物質との相互作用が弱まり、上記のように外部から供給された水滴により、容易に洗い流すことができる。本発明においては、上記のような接触角ヒステリシスを有する表面を有する部材は、長期間にわたり、その表面が、降雨や水洗浄による水付与にさらされた時に、付着堆積物および/または汚染物が雨滴により洗い流されるようになり、また水で洗浄するのが容易になり、水濯ぎや簡単な水拭き程度で清浄化される。
本発明に使用可能なウィスカーとしては、コーティング層中で疎水性樹脂エマルジョン粒子と結合して構造体を形成するものであればよく、好ましい例としては、金属酸化物ウィスカー、金属酸塩ウィスカー、およびそれらの混合物が挙げられ、より好ましい例としては、部材の高い耐候性が期待できる観点から、チタン酸カリウム(K2Ti4O9、K2Ti8O17等)、炭酸カルシウム、セピオライト、ウォラストナイト、酸化チタン(ルチル型、TiO2-B等)、酸化亜鉛、ホウ酸アルミニウム等の無機ウィスカーが挙げられ、さらに好ましくはチタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、および酸化チタンウィスカーである。
本発明の好ましい態様によれば、ウィスカーの平均短径/平均長径で表わされるアスペクト比は、5〜100であるのが好ましく、より好ましくは10〜50である。この態様によれば、クラック等の発生の恐れを無くして効率良く三次元的な架橋構造を形成するとともに、ウィスカー1本あたりに吸着するエマルジョン粒子数が多すぎることによる表面凹凸や細孔の狭小化を防止して、自己浄化性を向上することができる。なお、本発明におけるウィスカーの短径および長径は、走査型電子顕微鏡(日立製作所(株)製S-4100)により、倍率1000倍の視野でウィスカーを50本観察することで、ウィスカーの短径および長径の平均値を算出することで得られる。
本発明の好ましい態様によれば、ウィスカーの平均短径は、50nm〜2000nmであるのが好ましく、より好ましくは100nm〜1000nmである。この態様によれば、ウィスカー粒子1本あたりに吸着するエマルジョン粒子数が少なすぎることによる架橋構造の形成不良を防止するとともに、ウィスカー粒子1本あたりに付着するエマルジョン粒子数が多すぎることによる架橋構造中の表面凹凸や細孔が狭小化を防止して、自己浄化性を向上することができる。
本発明の好ましい態様によれば、疎水性樹脂エマルジョン粒子の平均粒径に対する、ウィスカーの平均短径の比が0.1〜5であるのが好ましい。この態様によれば、ウィスカー粒子1本あたりに吸着するエマルジョン粒子数が少なすぎることによる架橋構造の形成不良を防止するとともに、ウィスカー粒子1本あたりに付着するエマルジョン粒子数が多すぎることによる架橋構造中の表面凹凸や細孔の狭小化を防止して、自己浄化性を向上することができる。
本発明の好ましい態様によれば、ウィスカーに対する疎水性樹脂の重量比が、2以上5.5以下であるのが好ましく、より好ましくは2以上5以下であり、さらに好ましくは2以上4以下である。このような重量比は、コーティング層の形成時に、疎水性樹脂エマルジョン粒子に対するウィスカーの固形分重量比を上記範囲内に調整したコーティング組成物を用いることにより容易に実現することができる。なお、本明細書において、「固形分重量」とは、150℃で5時間加熱した後に残る固形分の加熱残部重量を表し、「固形分重量比」とはその比を表す。この態様によれば、疎水性樹脂エマルジョン粒子とウィスカーが三次元的に架橋しやすくして、表面凹凸の狭小化を防止するとともに、部材表面の疎水性をも確保することで、前進接触角の低下による接触角ヒステリシスが相対的な低下を防止することができる。また、部材表面における疎水性樹脂エマルジョン粒子の比率が大きくなりすぎることによる架橋構造中の凹凸や細孔の狭小化も防止できる。その結果、疎水性樹脂エマルジョン粒子とウィスカーによる架橋構造により、表面凹凸および細孔を適切に増加させて、自己浄化性を向上することができる。
本発明の好ましい態様によれば、コーティング層の全体重量に対するウィスカーおよび疎水性樹脂の重量比が、0.1以上1以下であるのが好ましく、より好ましくは0.3以上1.0以下であり、更に好ましくは0.4以上1.0以下である。このような重量比は、コーティング層の形成時に、コーティング組成物の固形分重量に対する、ウィスカーと疎水性樹脂エマルジョン粒子の固形分重量の合計量の比を上記範囲内に調整したコーティング組成物を用いることにより容易に実現することができる。この態様によれば、表面中におけるウィスカーと疎水性樹脂エマルジョンの存在比率を十分に高めることができ、自己浄化性が向上する。
本発明の好ましい態様によれば、表面が光触媒粒子をさらに含んでなることができる。好ましい光触媒粒子の例としては、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化第二鉄、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン、チタン酸ストロンチウム、およびこれらの組合せが挙げられる。本発明の好ましい態様によれば、コーティング層の全体重量に対する前記光触媒粒子の重量比が、0.001〜0.1であることができる。本発明の好ましい態様によれば、コーティング層に光触媒粒子を含有させることができる。本発明の自己浄化性部材の中に光触媒粒子を補完的に含ませることにより、太陽光や人工光の照射環境下で、光触媒粒子による有機物分解性による汚染物の除去やNOx等の有害ガス分解性が期待でき、本発明の自己浄化性部材の防汚性を更に向上させることが期待できる。本発明における光触媒粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ジルコニウム、三酸化タングステン、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化銅、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マンガン、酸化ロジウム、酸化第二鉄、酸化ニッケル、三酸化二ビスマス、酸化レニウム、チタン酸ストロンチウム等の粒子が利用できる。酸化チタンを光触媒として用いる場合は、結晶型がアナターゼ型、ルチル型またはブルッカイト型のものを用いることが、光触媒活性がもっとも強く、しかも長期間発現するので好ましい。更に、酸化チタンの結晶構造中に異種元素をドーピングさせて可視光に応答させるように設計された粒子についても用いることができる。酸化チタンにドーピングさせる元素としては、窒素、硫黄、炭素、フッ素、リン等のアニオン元素や、クロム、鉄、コバルト、マンガン等のカチオン元素が好適に用いられる。本発明に用いる光触媒粒子としては、更に好ましくは、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化第二鉄、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン、およびチタン酸ストロンチウムであり、これらを混合して用いても良い。本発明の光触媒粒子としては、アナターゼ型酸化チタンを最も好適に用いることができる。
本発明における光触媒粒子の平均粒径は、特に限定されないが、好ましくは5〜100nmであり、より好ましくは10nm〜50nmである。ここでいう「平均粒径」とは、動的光散乱法を利用した濃厚系対応粒度分布測定装置(大塚電子(株)製FPAR-1000)を用いて測定される。本発明における平均粒径の測定方法としては、例えば、固形分10重量%に調整した光触媒分散液について、散乱強度の時間変化から直接算出できる二次自己相関関数を求めることにより、キュムラント法で平均粒径(流体力学的径)を測定することで平均粒径として用いる。本発明の好ましい態様によれば、コーティング層の全体重量(硬化前におけるコーティング組成物の全体の固形分重量に相当)に対する光触媒粒子の重量比は、0.1以下が好ましく、0.05以下がより好ましい。この態様によれば、太陽光等の紫外線を含む光が照射される環境であっても、コーティング層中の有機物の光触媒による分解反応の優勢的な発現を抑えてチョーキング等の劣化を少なくしながらも、紫外光照射環境下での有機物分解性が期待できる。特に0.05以下の場合、長期の屋外暴露下でも部材の安定性が向上する。
本発明の好ましい態様によれば、コーティング層が親水性無機粒子をさらに含んでなることができる。この態様によれば、コーティング層中での硬化性を向上させたり、疎水性汚れの微視的な付着を抑制することが期待できる。親水性無機粒子の好ましい例としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、およびそれらの混合物が挙げられ、より好ましくはシリカである。本発明の好ましい態様によれば、コーティング層の全体重量(硬化前におけるコーティング組成物の全体の固形分重量に相当)に対する前記親水性無機粒子の重量比が、0.001〜0.5であるのが好ましく、より好ましくは0.5以下であり、さらに好ましくは0.3以下である。この態様によれば、コーティング層中に含まれる無機成分が多くなりすぎることによるクラックの発生を防止しつつ、効率的に疎水性汚れの付着を防止することで、自己浄化性を向上することができるものと期待される。親水性無機粒子の平均粒径は、特に限定されないが、3〜100nmであるのが好ましく、より好ましくは5nm〜50nmである。ここでいう「平均粒径」とは、動的光散乱法を利用した濃厚系対応粒度分布測定装置(大塚電子(株)製FPAR-1000)を用いて測定される。本発明における平均粒径の測定方法としては、例えば、固形分10重量%に調整した親水無機粒子の分散液について、散乱強度の時間変化から直接算出できる二次自己相関関数を求めることにより、キュムラント法で平均粒径(流体力学的径)を測定することで平均粒径として用いる。
本発明の好ましい態様によれば、コーティング層が着色顔料をさらに含んでなることができる。これにより、外観に色付け・模様等の意匠を付与できることができる。着色顔料としては、無機顔料、有機顔料、およびそれらの混合物が挙げられる。無機顔料の好ましい例としては、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、酸化クロム、コバルトブルー、鉄黒などの金属酸化物系、アルミナホワイト、黄色酸化鉄などの金属水酸化物系、紺青などのフェロシアン化合物系、黄鉛、ジンクロメート、モリブデンレッドなどのクロム酸鉛系、硫化亜鉛、朱、カドミウムイエロー、カドミウムレッドなどの硫化物、セレン化合物、バライト、沈降性硫酸バリウムなどの硫酸塩系、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウムなどの炭酸塩系、含水珪酸塩、クレイ、群青などの珪酸塩系、カーボンブラックなどの炭素系、アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛粉などの金属粉系、雲母・酸化チタン系などのパール顔料系などが挙げられる。有機顔料の好ましいとしては、ナフトールグリーンBなどのニトロソ系顔料、ナフトールSなどのニトロ顔料系、リソールレッド、レーキレッドC、ファストエロー、ナフロールレッドなどのアゾ顔料系、アルカリブルーレッド、ローダミンキレート、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレッド、イソインドリノンエローなどの縮合多環顔料系などが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、コーティング層の膜厚は、1μm〜1mmとあるのが好ましく、より好ましくは5μm〜500μmである。この態様によれば、膜厚が疎水性樹脂エマルジョン粒子の平均粒径とウィスカーの短径よりも小さくなるのを回避して、均一なコーティング層を形成し易いとともに、クラックの発生も起こりにくい。
基材
本発明における自己浄化性部材に用いる基材としては、コーティング層が形成されることができる材料であれば特に限定されないが、好ましい例としては、プラスチック、金属、ガラス、セラミック、セメント、有機物の繊維、有機物の布帛、塗装鋼板等が挙げられる。本発明の好ましい態様によれば、自己浄化性部材は、外壁用建材に使用されるのが好ましい。例えば、外壁用建材基材に、本発明における自己浄化性を発現するコーティング層を形成することで、表面が降雨にさらされた時に雨滴により、表面に付着した堆積物または汚染物が洗い流され、もしくは水で洗浄することが可能となる。更には、光触媒粒子を添加した場合は、太陽光照射による有機物分解性による防汚性の更なる向上も期待できる。外壁用建材基材の好ましい例としては、施釉タイル、無釉タイル、レンガ、結晶化ガラス、ガラスブロック、コンクリート、石材、木材;軽量気泡コンクリート板、石綿セメントケイ酸カルシウム板、プレキャスト鉄筋コンクリート板、石綿スレート板、パルプセメント板、石膏ボード板などの無機基材の表層に、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、シリコーン、フッ素樹脂、アクリルシリコーン樹脂などの樹脂塗料を塗装した化粧無機建材;アルミニウム、ステンレス、鉄鋼等の金属基材の表層に、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、シリコーン、フッ素樹脂、アクリルシリコーン樹脂などの樹脂塗料を塗装した塗装鋼板;アクリル板、ポリカーボネート板等のプラスチック板またはその塗装物等が挙げられる。
コーティング組成物
本発明の自己浄化性部材は、基材の表面にコーティング組成物を塗布することにより製造することができる。この製造に好ましく用いられるコーティング組成物は、前述したような、疎水性樹脂エマルジョン粒子と、ウィスカーと、分散媒と、および所望により光触媒粒子、親水性無機粒子、着色顔料等の各種任意成分とを含んでなる。これにより、ウィスカーの表面に分散媒中で高度に分散している疎水性樹脂エマルジョン粒子が吸着することで、疎水性樹脂エマルジョン粒子がウィスカーにリンカーとして高度に三次元架橋した構造を形成することが考えられる。なお、コーティング組成物中における各成分の好ましい組成および配合割合は既に説明した通りであり、前述した好適固形分重量比を満たすように処方されるのが好ましい。また、コーティング組成物中の固形分比率は、特に限定されないが、0.1重量%〜80重量%が好ましく、より好ましくは10重量%〜60重量%である。
本発明の好ましい態様によれば、分散媒として水を好適に用いることができる。この態様によれば、疎水性樹脂エマルジョン粒子の高度な分散性が維持されるので、ウィスカーとの均一な架橋構造が形成できるとともに、地球環境や人体への悪影響も無い。
本発明の好ましい態様によれば、基材への造膜性を向上させるために、コーティング組成物に造膜助剤を添加することが可能である。造膜助剤とは、大部分の水分が気化した後も塗膜中に残存し、エマルション粒子どうしの融合を促進させる機能をもつ添加剤である。好ましい造膜助剤は、沸点が100℃以上の有機化合物であり、そのような有機化合物の例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、等のエチレン系グリコールエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、 ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、等のプロピレン系グリコールエーテル類;および2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、n−ペンチルプロピオネ−ト(n-PENTYL PROPIONATE)、フタル酸ジブチル等のエステル類などが挙げられる。 そのうち、エステル類の一種である2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートは、フッ素樹脂エマルジョンへの浸透能力が高いこと、最低造膜温度(MFT)の低下効果が高いことから、その使用は好ましい。逆にエチレン系グリコールエーテル類は人体への毒性が強いので、その使用は好ましくない。
本発明のコーティング組成物は、コーティング組成物中の各原料を均一に分散することにより作製される。この均一な分散は、ディゾルバー、ディスパー、スターラー、振盪機等の攪拌装置を用いて、攪拌および混合することにより好ましく行うことができる。
自己浄化性部材の製造方法
前述の通り、本発明の自己浄化性部材は、コーティング組成物を基材に塗布し、この組成物を乾燥または加熱することにより硬化させることにより製造することができる。コーティング組成物の基材への製膜方法としては、特に限定されず、ローラーコート法、スプレーコート法、バーコート法、ドクターブレード法、ディップコート法、スピンコート法、テープ成形法、キャスト法等を用いて好ましく行うことができる。本発明の好ましい態様によれば、0〜40℃程度の常温でも塗膜の乾燥および硬化が可能であり、屋外等においても塗布可能である。また、本発明の別の好ましい態様によれば、上記製膜法により製膜された後、塗膜の硬化を促進させる為、10℃〜300℃の温度で加熱して乾燥および硬化させてもよい。
本発明の好ましい態様によれば、基材へのコーティング層を形成する際に、密着性を向上させるために、基材への前処理を施してもよい。前処理の好ましい例としては、洗浄、研磨、電解研磨、電気的酸化、サンドブラスト、等が挙げられる。また、本発明におけるコーティング層を、外壁用建材基材に形成する場合、基材との密着性を向上させる為、基材上にプライマー層となる下塗剤を塗布等の方法により形成した上で、コーティング層を形成させても良い。
態様2: 陽極酸化処理により形成した多孔性表面への撥水化処理
本発明の好ましい態様によれば、多孔性表面の形成手段として陽極酸化処理を利用し、該表面の低表面エネルギー化手段として撥水性物質による処理を利用することで自己浄化性部材を製造することができる。
前記、陽極酸化処理とは、硫酸やしゅう酸溶液などを電解浴とした電解槽に電極として、アルミニウムを浸し、これに直流あるいは交流で電気分解を行うことで、アルミニウム表面に5〜100μm厚の緻密な酸化アルミニウム皮膜を得る処理である。条件によっては、被膜を数mm厚さにまで成長させることができる。通電時間に依存して酸化皮膜は成長とともに硫酸根などのイオンにより溶解されるため、成長した酸化アルミニウム被膜は表面に数nmから数百nmオーダーの円筒形の微細孔を高密度で形成している。一般に、微細孔の開孔径は印加電圧の大きさに依存して大きくなり、通電時間に依存して深くなる。高密度に水酸基が露出した多孔性表面であるため、親水性が高く、高表面エネルギーである。
前記の陽極酸化処理を施す基材としては、アルミニウム基材のほかに、チタン、ニオブ、シリコンなどのバルブ金属を採用することができる。
前記、低表面エネルギー化とは、陽極酸化で形成した多孔質基材表面を撥水性物質にて被覆し、基材の表面エネルギーを制御することである。低表面エネルギー化に適用可能な撥水性物質としては、シランカップリング剤を利用できる。
態様3: その他
本発明の好ましい態様によれば、自己浄化性部材を製造する手段として、本来疎水性表面である樹脂基材に多孔性の表面を形成しても良い。多孔性表面の形成手段は特に限定されず任意の手段を利用できる。例えば、ドリル・エンドミルなどを用いた機械加工技術、エキシマレーザーやCO2レーザーによるレーザー加工技術などを利用して樹脂基材に、直接、多孔性表面を形成しても良いし、成形型を利用して樹脂基材表面に所望の多孔構造を形成しても良い。
前記、樹脂基材としては、特に限定されないが、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。
本発明を以下の例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
コーティング組成物の調製
コーティング組成物の原料として、以下のものを用意した。
ウィスカー成分
・チタン酸カリウムウィスカー:平均短径450nm、平均長径15μm、アスペクト比=33
・ホウ酸アルミニウムウィスカー:平均短径750nm、平均長径20μm、アスペクト比=27
・炭酸カルシウムウィスカー:平均短径1000nm、平均長径20μm、アスペクト比=20
・ルチル型酸化チタンウィスカー:平均短径130nm、平均長径1.7μm、アスペクト比=13
・TiO(B)型酸化チタンウィスカー:平均短径450nm、平均長径15μm、アスペクト比=33
燐片状フィラー成分
・燐片状タルク:平均板直径5μm、平均厚み0.5μm
水系無機着色顔料スラリー
・顔料スラリー(1):酸化チタン顔料粉体を水とともにボールミルでミリングしたスラリー、 固形分含有率 50%
・顔料スラリー(2):市販水性酸化チタン顔料スラリー:固形分含有率65%
疎水性樹脂エマルジョン粒子
・水性シリコーン樹脂エマルジョン(1):樹脂含有率50%、平均粒径780nm
・水性シリコーン樹脂エマルジョン(2):平均粒径760nm、樹脂含有率50%
・水性シリコーン樹脂エマルジョン(3):平均粒径365nm、樹脂含有率50%
・水性シリコーン樹脂エマルジョン(4):平均粒径265nm、樹脂含有率50%
・水性フッ素樹脂エマルジョン:平均粒径100nm、樹脂含有率48%
シリカゾル
・水性コロイダルシリカゾル(1):平均粒子径20nm、固形分含有率50%
・水性コロイダルシリカゾル(2):平均粒子径50nm、固形分含有率40%
・水性コロイダルシリカゾル(3):平均粒子径85nm、固形分含有率40%
光触媒ゾル
・水性酸化チタン光触媒ゾル(トリポリリン酸ナトリウムを分散剤として解膠したゾル)
:平均粒子径15nm、固形分含有率25%
シリケート系バインダー
・アルカリ金属シリケート:珪酸リチウム固形分含有率24%
溶媒
・イオン交換水
配合例1
顔料スラリー(1)26.2重量部、チタン酸カリウムウィスカー粉末5.7重量部、水性シリコーン樹脂エマルジョン(1)を14.4重量部、水性フッ素樹脂エマルジョン9.6重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。ウィスカーに対する撥水エマルジョンの固形分比は、2.1である。またコーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.57である。
配合例2
顔料スラリー(1)26.2重量部、チタン酸カリウムウィスカー粉末5.7重量部、水性光触媒ゾル4.8重量部、水性シリコーン樹脂エマルジョン(1)を14.4重量部、水性フッ素樹脂エマルジョン9.6重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。ウィスカーに対する撥水エマルジョンの固形分比は、2.1である。またコーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.55である。
配合例3
顔料スラリー(1)26.2重量部、チタン酸カリウムウィスカー粉末5.7重量部、水性コロイダルシリカゾル(1)16重量部、水性シリコーン樹脂エマルジョン(1)を14.4重量部、水性フッ素樹脂エマルジョン9.6重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。ウィスカーに対する撥水エマルジョンの固形分比は、2.1である。またコーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.46である。
配合例4
顔料スラリー(1)26.2重量部、チタン酸カリウムウィスカー粉末5.7重量部、水性コロイダルシリカゾル(1)16重量部、水性光触媒ゾル4.8重量部、水性シリコーン樹脂エマルジョン(1)を14.4重量部、水性フッ素樹脂エマルジョン9.6重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。ウィスカーに対する撥水エマルジョンの固形分比は、2.1である。またコーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.44である。
配合例5
顔料スラリー(1)26.2重量部、チタン酸カリウムウィスカー粉末5.7重量部、水性コロイダルシリカゾル(1)16重量部、水性光触媒ゾル4.8重量部、水性シリコーン樹脂エマルジョン(2)を14.4重量部、水性フッ素樹脂エマルジョン9.6重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。ウィスカーに対する撥水エマルジョンの固形分比は、2.1である。またコーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.44である。
配合例6
顔料スラリー(1)26.2重量部、チタン酸カリウムウィスカー粉末5.7重量部、水性コロイダルシリカゾル(1)16重量部、水性光触媒ゾル4.8重量部、水性シリコーン樹脂エマルジョン(3)を14.4重量部、水性フッ素樹脂エマルジョン9.6重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。ウィスカーに対する撥水エマルジョンの固形分比は、2.1である。またコーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.44である。
配合例7
顔料スラリー(1)26.2重量部、チタン酸カリウムウィスカー粉末5.7重量部、水性コロイダルシリカゾル(1)16重量部、水性光触媒ゾル4.8重量部、水性シリコーン樹脂エマルジョン(4)を14.4重量部、水性フッ素樹脂エマルジョン9.6重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。ウィスカーに対する撥水エマルジョンの固形分比は、2.1である。またコーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.44である。
配合例8
顔料スラリー(1)26.2重量部、ホウ酸アルミニウムウィスカー粉末5.7重量部、水性コロイダルシリカゾル(1)16重量部、水性光触媒ゾル4.8重量部、水性シリコーン樹脂エマルジョン(1)を14.4重量部、水性フッ素樹脂エマルジョン9.6重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。ウィスカーに対する撥水エマルジョンの固形分比は、2.1である。またコーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.44である。
配合例9
顔料スラリー(1)26.2重量部、炭酸カルシウムウィスカー粉末5.7重量部、水性コロイダルシリカゾル(1)16重量部、水性光触媒ゾル4.8重量部、水性シリコーン樹脂エマルジョン(1)を14.4重量部、水性フッ素樹脂エマルジョン9.6重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。ウィスカーに対する撥水エマルジョンの固形分比は、2.1である。またコーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.44である。
配合例10
顔料スラリー(1)26.2重量部、ルチル型酸化チタンウィスカー粉末5.7重量部、水性コロイダルシリカゾル(1)16重量部、水性光触媒ゾル4.8重量部、水性シリコーン樹脂エマルジョン(1)を14.4重量部、水性フッ素樹脂エマルジョン9.6重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。ウィスカーに対する撥水エマルジョンの固形分比は、2.1である。またコーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.44である。
配合例11
顔料スラリー(1)26.2重量部、TiO(B)型ウィスカー粉末5.7重量部、
水性コロイダルシリカゾル(1)16重量部、水性光触媒ゾル4.8重量部、水性シリコーン樹脂エマルジョン(1)を14.4重量部、水性フッ素樹脂エマルジョン9.6重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。ウィスカーに対する撥水エマルジョンの固形分比は、2.1である。またコーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.44である。
配合例12
顔料スラリー(1)26.2重量部、チタン酸カリウムウィスカー粉末2.9重量部、水性コロイダルシリカゾル(1)16重量部、水性光触媒ゾル4.8重量部、水性シリコーン樹脂エマルジョン(1)を14.4重量部、水性フッ素樹脂エマルジョン9.6重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。ウィスカーに対する撥水エマルジョンの固形分比は、4.2である。またコーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.40である。
配合例13
顔料スラリー(1)26.2重量部、チタン酸カリウムウィスカー粉末5.7重量部、水性コロイダルシリカゾル(1)16重量部、水性光触媒ゾル4.8重量部、水性シリコーン樹脂エマルジョン(4)を48重量部、水性フッ素樹脂エマルジョン9.6重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。ウィスカーに対する撥水エマルジョンの固形分比は、5.1である。またコーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.61である。
配合例14
顔料スラリー(1)26.2重量部、チタン酸カリウムウィスカー粉末5.7重量部、水性コロイダルシリカゾル(1)16重量部、水性光触媒ゾル4.8重量部、水性フッ素樹脂エマルジョン24重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。ウィスカーに対する撥水エマルジョンの固形分比は、2.1である。またコーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.44である。
配合例15
顔料スラリー(1)26.2重量部、チタン酸カリウムウィスカー粉末5.7重量部、水性コロイダルシリカゾル(1)16重量部、水性光触媒ゾル4.8重量部、水性シリコーン樹脂エマルジョン(4)を24重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。ウィスカーに対する撥水エマルジョンの固形分比は、2.1である。またコーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.44である。
配合例16(比較)
顔料スラリー(1)26.2重量部、水性コロイダルシリカゾル(1)16重量部、水性光触媒ゾル4.8重量部、水性シリコーン樹脂エマルジョン(1)を14.4重量部、水性フッ素樹脂エマルジョン9.6重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。コーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.35である。
配合例17(比較)
顔料スラリー(2)24.7重量部、チタン酸カリウムウィスカー粉末7・8重量部、燐片状タルク粉末8.2重量部、水性光触媒ゾル5.7重量部、水性シリコーン樹脂エマルジョン(1)を14.7重量部、水性フッ素樹脂エマルジョン15.3重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。ウィスカーに対する撥水エマルジョンの固形分比は、1.9である。またコーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.46である。
配合例18(比較)
顔料スラリー(1)56.0重量部、チタン酸カリウムウィスカー粉末7.0重量部、水性コロイダルシリカゾル(1)14重量部、水性光触媒ゾル30重量部、水性シリコーン樹脂エマルジョン(1)を60.2重量部、水性フッ素樹脂エマルジョン25.8重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。ウィスカーに対する撥水エマルジョンの固形分比は、6.1である。またコーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.50である。
配合例19(比較)
顔料スラリー(1)26.2重量部、チタン酸カリウムウィスカー粉末5.7重量部、水性コロイダルシリカゾル(1)16重量部、水性光触媒ゾル4.8重量部、水性シリコーン樹脂エマルジョン(4)を57.6重量部、水性フッ素樹脂エマルジョン9.7重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。ウィスカーに対する撥水エマルジョンの固形分比は、5.9である。またコーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.63である。
配合例20(比較)
顔料スラリー(1)26.2重量部、チタン酸カリウムウィスカー粉末5.7重量部、水性コロイダルシリカゾル(1)16重量部、水性光触媒ゾル4.8重量部、水性シリコーン樹脂エマルジョン(4)を84.0重量部、水性フッ素樹脂エマルジョン9.7重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。ウィスカーに対する撥水エマルジョンの固形分比は、8.2である。またコーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.70である。
配合例21(比較)
顔料スラリー(1)26.2重量部、タルク粉末5.7重量部、水性コロイダルシリカゾル(1)16重量部、水性光触媒ゾル4.8重量部、水性シリコーン樹脂エマルジョン(1)を14.4重量部、水性フッ素樹脂エマルジョン9.6重量部を添加し、ディゾルバーによって3時間攪拌しコーティング組成物を得た。コーティング組成物の固形分全体に占めるエマルジョンとウィスカーの合計固形分重量の比は、0.35である。
配合例22(比較)
光触媒超親水性塗膜を作製する目的で、水性光触媒ゾル100重量部をコーティング組成物として用いた。
配合例23(比較)
イオン交換水98.8重量部に、水性コロイダルシリカゾル(1)0.25重量部、水性コロイダルシリカゾル(2)0.30重量部、水性コロイダルシリカゾル(3)0.25重量部、アルカリ金属シリケート0.40重量部を添加し、スターラーによって1時間攪拌しコーティング組成物を得た。
配合例24(比較)
平滑で透明性が高い被膜を形成し、該被膜表面の水の接触角が10°未満となるような市販のアクリル系親水コート剤。
配合例25(比較)
平滑で透明性が高い被膜を形成し、該被膜表面の水の接触角が90°より大きくなるような市販のアクリルシリコン系撥水コート剤。
参考例1、2、実施例1〜13、および比較例1〜6の作製
配合例1〜21に記載の各コーティング組成物について、50mm×100mmに切断したアルミ板に、(株)住友スリーエム製メンディングテープ(テープ厚63μm)をアルミ板長辺部の両側に5mmずつ貼り付け、アプリケーターによりコーティング組成物を塗布し、温度23℃、湿度50%RHで1週間乾燥および養生を行い、40mm×100mmの部材を作製した。走査型電子顕微鏡観察により得た破断面における任意の5点の膜厚の平均値は、いずれも約30μmであった。配合例1および配合例3に記載のコーティング組成物から得た部材を、それぞれ、参考例1および参考例2とした。配合例2,4〜15に記載のコーティング組成物から得た部材を、それぞれ、実施例1〜13とした。配合例16〜21に記載のコーティング組成物から得た部材を、それぞれ、比較例1〜6とした。
比較例7の作製
配合例22に記載のコーティング組成物について、50mm×100mmに切断したアルミ板に、コーティング組成物1mlを滴下し、スピンコーターにより2000rpmで10秒回転させることにより塗布、温度23℃、湿度50%RHで1週間乾燥および養生を行い、50mm×100mmの部材を作製、比較例7とした。走査型電子顕微鏡観察により得た破断面における任意の5点の膜厚の平均値は、いずれも約1μmであった。
比較例8の作製
配合例23に記載のコーティング組成物について、50mm×100mmに切断したソーダガラス板にフローコート、温度23℃、湿度50%RHで16時間乾燥した後に、大気下、300℃にて30分間の焼成を行ない部材を作製、比較例8とした。
比較例9の作製
配合例24に記載のコート剤について、50mm×100mmに切断したソーダガラス板にフローコートし部材を作製、比較例9とした。
比較例10の作製
配合例25に記載のコート剤について、50mm×100mmに切断したソーダガラス板にフローコートし、温度23℃、湿度50%RHで16時間乾燥した後に、大気下、150℃にて2時間の加熱乾燥を行ない、部材を作製、比較例10とした。
参考例3の作製
30mm×60mmに切断したアルミニウム板を2.7%のシュウ酸浴中で、100Vで2分間電圧を印加した後、5%のりん酸水溶液に1時間浸漬した。蒸留水洗浄後、大気下にて80℃で1時間乾燥させたアルミニウム板をオクタデシルトリエトキシシランの0.1%トルエン溶液に、50℃で4時間浸漬させ、トルエン、エタノールで洗浄後、大気下、80℃で1時間乾燥させ部材を作製、実施例17とした。走査型電子顕微鏡により観察した表面像は多孔性であり、開孔径約0.1μmの円柱状の細孔が、視野全体に対し、面積比で50%の領域を占めていた。また断面観察像から得た該円柱状の細孔の深さは約2μmであった。
評価1:動的接触角の測定
参考例1〜3、実施例1〜13、比較例1〜10の部材表面について、自動接触角測定装置(英弘精機(株)製OCA20)を用いて拡張収縮法による測定を行い、試験体の水滴に対する前進接触角および後退接触角、ならびにその接触角ヒステリシスを測定した。本発明における拡張収縮法での動的接触角測定の測定条件としては、基板上で拡張・収縮させる水滴の注入・吸引速度は20μL/sで、最大注入量40μLで行った。また水滴を注入する際に用いるシリンジとしては、500μLマイクロシリンジ(Hamilton社製 DS500/GT)を使用し、さらにシリンジに接続するニードルとしては、外形0.1mm、針穴径0.05mmの90°カット先端のステンレス製ニードル(Data physics社製 SNS021/011)を使用した。得られた結果を表1に示す。
評価2:耐候性試験
実施例2の部材について、促進耐候性の評価は、JIS−K−5400「9.8 促進耐候性試験のサンシャインカーボンアーク式試験」に基づいて試験を行った。暴露6ヶ月相当である150時間促進試験後、評価1と同様にして動的接触角測定による水接触角を調べた。結果、θa=123.7°、θr=19.6°、Δθ=104.1°であり、耐候性試験後も初期の濡れ特性を保持した。
評価3:カーボン汚染性試験
参考例1〜3、実施例1〜13、比較例1〜10の部材表面の部材について、疎水性カーボンブラックの水分散液(固形分1%)を霧吹きにて、上記部材表面に10回スプレーし、温度23℃、湿度50%RHで2時間乾燥した。乾燥後の塗膜表面へのカーボン付着度を目視により汚染性を評価した。試験の評価指標としては、以下の通りとした。
A:カーボンの付着跡が全く目立たなかった。
B:カーボンの付着が目立たなかった。
C:カーボン付着が目立った。
得られた結果を表1に示す。
評価4:錆汚染性試験
下塗処理したアルミ基材上に、配合例1〜22の各配合のコーティング組成物を塗布し、1週間室温で乾燥養生させた。こうして得られた試験体の上に、予め1%硝酸水溶液に1時間浸漬して表面を酸化させた鉄クギ(長さ4cm)を貼り付けたサンプルを、屋外(神奈川県茅ヶ崎市)にて2ヶ月間暴露した。暴露後、発生して塗膜面を流下した錆の、表面への付着状況を目視で判断した。試験の評価指標としては、以下の通りとした。
A:錆の付着跡が全く目立たなかった。
B:錆の付着が目立たなかった。
C:錆の付着が目立った。
得られた結果を表1に示す。
評価5:細孔サイズ・細孔個数密度の測定
参考例1、実施例2、7、および8の多孔性表面の表面を3次元レーザー顕微鏡((株)キーエンス製VF8710)により観察し、粒子(円)形状解析機能を用いることで、細孔サイズ・細孔個数密度を算出した。円形換算で直径5〜30μmの独立した細孔が、1mmあたり、それぞれ917個、348個、312個、220個の密度で観測された。一方、比較例2では、円形換算で直径5〜30μmの独立した細孔が、1mmあたり91個の密度で観測された。
評価6:水に対する静的接触角の測定
参考例1〜3、実施例1〜13、比較例1〜10の部材表面の水に対する静的接触角を、自動接触角測定装置(英弘精機(株)製OCA20)を用いて、5μLの水滴を付着させることで、セシル法により測定し、水滴付着後30秒静置後の値を静的接触角とした。その結果を表1に示す。その結果、比較例7、8、および9を除く、測定した各部材の表面が、80〜130°の水に対する接触角を有することが確認された。
Figure 2008280542
評価7:水垢汚染性試験
参考例1〜3、実施例2、6および比較例2、8、9、10の部材表面に、水道水散布と乾燥を2ヶ月間繰り返した後の、水垢付着による汚染度を目視により評価した。評価指標を以下の通りとした。
A:部材表面が試験開始時と比較してほとんど変化していない場合をA
C:部材表面にリング状あるいは筋状の水垢形成が認められたものをC
得られた結果を表2に示す。
評価8:シリコンシール剤汚染性試験
参考例2、3、実施例2、6および、比較例1、8、9、10の部材を0.5cm間隔で2枚固定し、試験片間に1液型シリコンシール剤(セメダイン8000)を注入した。シール剤注入後、温度25℃、湿度50%RHで16時間乾燥させた後に、霧吹きによる蒸留水散布と2時間乾燥を5回繰り返した。シリコンシール材から移行する疎水成分による表面の汚染度を、蒸留水噴霧による水膜形成性、および、さらに評価3:カーボン汚染性試験により判定した。評価指標を以下の通りとした。
水膜形成性
A:部材表面全面に水膜が形成したもの
B:部材表面の一部が水をはじいたもの
C:部材表面の全面が水をはじいたもの
カーボン付着性
A:カーボンの付着跡が全く目立たなかった
B:カーボンの付着が目立たなかった
C:カーボン付着が目立った
結果を表2に示す。
Figure 2008280542
上記結果から分かるように、接触角ヒステリシスΔθ(=θa−θr)が80゜以上であるような部材は、カーボンブラックによる疎水性汚れにも、鉄錆汚染や水垢汚染、シリコンシール汚染のようなイオン性汚染物質あるいは反応性汚染物質に対しても、優れた耐汚染性を持つことがわかる。また、サンシャインカーボンアーク式試験の結果、屋外暴露6ヶ月相当の処理後においても、上記特性を維持し、耐候性に優れた部材であることが判明した。
本発明の自己浄化性部材の表面に付着した水滴を説明する模式図である。

Claims (11)

  1. 疎水性樹脂エマルジョン粒子と、ウィスカーと、光触媒粒子と、水とを少なくとも含んだコーティング組成物であって、前記ウィスカーに対する前記疎水性樹脂エマルジョン粒子の重量比が2以上5.5以下であり、かつコーティング組成物の全固形分重量に対し前記疎水性樹脂エマルジョン粒子と前記ウィスカーの固形分重量の和が0.4以上1.0以下である、自己浄化コーティング組成物。
  2. 基材表面に適用して形成したコーティング層の表面が、拡張収縮法による動的接触角測定により求めた、水滴の前進接触角θaと後退接触角θrの差である接触角ヒステリシスΔθ(=θa−θr)が80°以上であって、かつ、後退接触角θrが25°以下である、請求項1に記載のコーティング組成物。
  3. 基材表面に適用して形成したコーティング層の表面が、水滴に対する静的接触角θが80〜130°であり、かつ水噴霧によって水膜を形成する、請求項1または2に記載のコーティング組成物。
  4. 前記疎水性樹脂エマルジョン粒子が、シリコーン樹脂エマルジョン粒子およびフッ素樹脂エマルジョン粒子からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  5. 前記ウィスカーが、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、セピオライト、ウォラストナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、およびホウ酸アルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種のウィスカーである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  6. さらに、無機親水性微粒子を含んでなり、前記無機親水性微粒子は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、およびセリアからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  7. 前記コーティング組成物の全固形分重量に対して前記無機親水性微粒子を0.001〜0.5の重量比で含んでなる、請求項6に記載のコーティング組成物。
  8. 前記光触媒粒子は、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化第二鉄、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン、及びチタン酸ストロンチウムからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  9. 前記コーティング組成物の全固形分重量に対して前記光触媒粒子を0.001〜0.1の重量比で含んでなる、請求項8に記載のコーティング組成物。
  10. さらに着色顔料を含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  11. 基材と、前記基材上に設けられたコーティング層とを備え、
    前記コーティング層は請求項1〜10のいずれか一項に記載のコーティング組成物を適用してなる、自己浄化性部材。
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