JP2008279336A - 保護被膜の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐擦傷性、耐クラック性、基材密着性に優れた透明な保護被膜を短時間に形成可能な保護被膜の形成方法を提供する。
【解決手段】(A)式(1)のオルガノシラン類
R1 aSi(OR2)4−a ・・・(1)
(R1はC1-10アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、R2はC1-5アルキル基、C1-4アシル基、aは1〜3)
あるいは前記式(1)のオルガノシラン類とアルキルシリケート類を加水分解・縮合して得られるシロキサン化合物と、
(B)カウンターイオンが六フッ化アンチモン酸イオンである活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤
とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物を基材に塗布し、活性エネルギー線を照射して保護被膜を形成するに際して、活性エネルギー線照射時あるいは照射後に被膜の温度を60℃〜90℃の範囲に加熱する。
【選択図】なし
【解決手段】(A)式(1)のオルガノシラン類
R1 aSi(OR2)4−a ・・・(1)
(R1はC1-10アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、R2はC1-5アルキル基、C1-4アシル基、aは1〜3)
あるいは前記式(1)のオルガノシラン類とアルキルシリケート類を加水分解・縮合して得られるシロキサン化合物と、
(B)カウンターイオンが六フッ化アンチモン酸イオンである活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤
とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物を基材に塗布し、活性エネルギー線を照射して保護被膜を形成するに際して、活性エネルギー線照射時あるいは照射後に被膜の温度を60℃〜90℃の範囲に加熱する。
【選択図】なし
Description
本発明は、耐擦傷性、耐クラック性、基材密着性に優れた透明な保護被膜を短時間に形成可能な保護被膜の形成方法に関する。
近年、透明ガラスの代替として、耐破砕性、軽量性に優れるアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの透明プラスチック材料が広く使用されるようになってきた。しかし、透明プラスチック材料はガラスに比較して表面硬度が低いので、表面に傷を受け易いという問題を有している。これらの欠点を改良するために、表面にハードコート剤をコーティングすることが一般的に行われている。このハードコート剤としては、アクリル系材料やシリコン系材料などが挙げられる。
前記ハードコート剤のうち、アクリル系材料は、光や熱により硬化させることができるが、硬化させたコーティング膜は表面硬度が低いため、十分な耐擦傷性を得ることができなかった。一方、シリコン系材料は、シリコンアルコキシドを主成分とするコート液を100℃程度で数十分〜数時間加熱し、アルコキシドの重縮合反応が進行することで硬化する。(特許文献1、2参照)このようにして形成されたコーティング膜は、十分な表面硬度を持ち、耐擦傷性に優れているが、硬化被膜を形成するのに長時間を要し、生産性の点で問題がある。
この問題を解決するために、シロキサン骨格を有する直鎖型無機系オリゴマーと活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤を必須成分とする組成物を、活性エネルギー線照射により硬化してシロキサン系の保護被膜を形成する方法が提案されている(特許文献3参照)。しかし、架橋度の高い4官能のアルキルシリケート類とカチオン重合開始剤を用いた硬化被膜では、硬化に際して短時間に急激な重縮合反応が起こり、その後も被膜中に残存する酸の触媒効果で、長期に亘り硬化収縮が起こる。それに伴って発生する応力で、クラックが発生しやすいという問題がある。
これに対し、3官能のオルガノシラン類を使用して被膜の架橋度を低くすることにより、クラックの発生を抑制することができるが、このような硬化被膜は硬化効率が低いため、短時間の活性エネルギー線照射のみでは十分な架橋構造が形成されず、特に耐擦傷性の点で十分な性能が発現されにくい。
硬化効率を改善する方法として、特許文献4では、アルコキシシリル基を分子内に有するシロキサン化合物と活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤とを含有する組成物を基材に塗布し、予備加熱を行ってから活性エネルギー線を照射して保護被膜を形成する方法が提案されている。これによると、予備加熱により基材上に塗布された被膜中の溶剤をある程度除くことで、活性エネルギー線照射による被膜の硬化効率が良くなり、耐擦傷性に優れた保護被膜を形成することができる。しかし、このような方法を用いても、硬化被膜には未反応のシラノール基やオルガノシリル基が残存しており、さらに反応を進めることが望まれていた。
特開昭48−26822号公報
特開昭55−94971号公報
特開2001−348515号公報
特開2005−279416号公報
本発明は、上述の従来技術における課題を解決するためになされたものである。すなわち本発明の目的は、耐擦傷性、耐クラック性、基材密着性に優れた透明な保護被膜を短時間に形成可能な保護被膜の形成方法を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定構造のオルガノシラン類あるいはアルキルシリケート類を加水分解・縮合して得られるシロキサン化合物と、特定の活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤とを使用した組成物を、活性エネルギー線の照射と加熱を併用して硬化させることで、硬化効率が著しく向上し、十分な耐擦傷性を有しかつ耐クラック性、基材密着性に優れた保護被膜を形成できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、下記一般式(1)で示されるオルガノシラン類の少なくとも1種
R1 aSi(OR2)4−a ・・・(1)
(式中R1は炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、またはアリール基を示し、R2は炭素数1〜5のアルキル基、または、炭素数1〜4のアシル基を示し、aは1〜3の整数を示す。)
あるいは前記一般式(1)で示されるオルガノシラン類の少なくとも1種と下記一般式(2)で示されるアルキルシリケート類の少なくとも1種
R1 aSi(OR2)4−a ・・・(1)
(式中R1は炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、またはアリール基を示し、R2は炭素数1〜5のアルキル基、または、炭素数1〜4のアシル基を示し、aは1〜3の整数を示す。)
あるいは前記一般式(1)で示されるオルガノシラン類の少なくとも1種と下記一般式(2)で示されるアルキルシリケート類の少なくとも1種
(式中R3、R4、R5、R6はそれぞれ同一もしくは異なってもよい炭素数1〜5のアルキル基または、炭素数1〜4のアシル基を示し、nは3〜20の整数を示す。)
を加水分解・縮合して得られるシロキサン化合物と、
(B)カウンターイオンが六フッ化アンチモン酸イオンである活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤
とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物を基材に塗布し、活性エネルギー線を照射して保護被膜を形成するに際して、活性エネルギー線照射時あるいは、活性エネルギー線照射後に被膜の温度を60℃〜90℃の範囲に加熱する保護被膜の形成方法である。
を加水分解・縮合して得られるシロキサン化合物と、
(B)カウンターイオンが六フッ化アンチモン酸イオンである活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤
とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物を基材に塗布し、活性エネルギー線を照射して保護被膜を形成するに際して、活性エネルギー線照射時あるいは、活性エネルギー線照射後に被膜の温度を60℃〜90℃の範囲に加熱する保護被膜の形成方法である。
通常、シロキサン化合物と活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤を主成分とし、活性エネルギー線を照射して得た硬化被膜では、縮合基であるシラノール基やオルガノシリル基が十分に縮合できず、かなりの量が被膜中に残存する傾向が認められた。その為、硬化被膜の耐擦傷性、耐クラック性などの物性が低下する傾向があった。
しかし、本発明によれば、特定のシロキサン化合物を使用し、かつ特定のカウンターイオンを有する活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤を使用し、活性エネルギー線の照射と特定の温度範囲への加熱を併用することで、温度向上による反応促進に加えて、縮合反応で生じた水やアルコールを効率的かつ安定して除去することができるため、さらに硬化反応が促進されて、耐擦傷性に優れた無機系の透明な保護被膜を安定して短時間で形成することができる。
本発明で使用するシロキサン化合物(A)は、前記一般式(1)で示されるオルガノシラン類の少なくとも1種、あるいは前記一般式(1)で示されるオルガノシラン類の少なくとも1種と前記一般式(2)で示されるアルキルシリケート類の少なくとも1種を加水分解・縮合して得られるシロキサン化合物である。オルガノシラン類及びアルキルシリケート類を予め加水分解・縮合し、アルキルシリケート分子間に架橋構造を形成して高分子量化することにより、シロキサン化合物とした際の硬化性の向上と、得られる保護被膜の物性を向上させることができる。また、高分子量化したシロキサン化合物を用いることにより、硬化時の重縮合による収縮とそれに伴い発生する応力を低減でき、その結果クラックの低減と基材密着性を向上することができる。
前記一般式(1)において、R1は炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、またはアリール基を示し、R2は炭素数1〜5のアルキル基、または、炭素数1〜4のアシル基を示し、aは1〜3の整数を示す。R2は、製造が容易な点、加水分解速度が速い点から、メチル基、エチル基が好ましい。
オルガノシラン類の具体例としては、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランが好ましい。本発明においては、これらを1種または2種以上の混合物として使用できる。
一般式(2)において、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す。それらの基は、同一でも良いし異なっていても良い。nは、アルキルシリケート類の繰り返し単位の数を表し、3〜20の整数である。nが3未満では、アルキルシリケート類の加水分解・縮合により得られるシロキサン化合物の分子量が小さいので、硬化性、成膜性と得られる保護被膜の物性が低下する。また、nが20より大きいと、加水分解・縮合の際にゲル化し易くなる。良好な硬化性、被膜物性が得られる点とゲル化し難い点から、nは4〜10(シリカ換算濃度:約51〜54質量%に相当)の整数であることが好ましい。ここで、シリカ換算濃度とは、アルキルシリケート類を完全に加水分解し、縮合させたと仮定した際に得られるSiO2の質量百分率を意味する。
一般式(2)で示されるアルキルシリケート類の具体例としては、R3〜R6がメチル基であるメチルシリケート、R3〜R6がエチル基であるエチルシリケート、R3〜R6がイソプロピル基であるイソプロピルシリケート、R3〜R6がn−プロピル基であるn−プロピルシリケート、R3〜R6がn−ブチル基であるn−ブチルシリケート、R3〜R6がn−ペンチル基であるn−ペンチルシリケート、R3〜R6がアセチル基であるアセチルシリケート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、入手が容易な点、加水分解速度が速い点から、メチルシリケート、エチルシリケートが好ましい。
加水分解は、既知の方法を用いて行うことができる。例えば、オルガノシラン類をアルコール類に混合し、さらに水(オルガノシラン類1モルに対して、例えば水1〜1000モル)および塩酸や酢酸などの酸を加えて溶液を酸性(例えばpH2〜5)とし、攪拌する方法がある。また、オルガノシラン類をアルコール類に混合し、さらに水(オルガノシラン類1モルに対して、例えば1〜1000モル)を加えて加熱(例えば30〜100℃)する方法がある。加水分解に際して発生するアルコールは、系外に留去してもよい。加水分解に続く縮合は、加水分解状態にあるオルガノシラン類を放置することにより進行させることができる。その際、加熱(例えば30〜100℃)する、あるいは、pHを中性付近(例えば、pH6〜7)に制御することにより、縮合の進行を速めることができる。縮合に際して発生する水は、系外に留去してもよい。
オルガノシラン類とアルキルシリケート類との比率は、保護被膜の耐クラック性が良好となれば特に限定されないが、オルガノシラン類1モルに対して、アルキルシリケート類0モル〜1モルが好ましく、0〜0.1モルがより好ましい。
本発明で使用する活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤(B)は、可視光線、紫外線、熱線、電子線などの活性エネルギー線によりカチオン重合反応を起こす開始剤の中で、カウンターイオンとして六フッ化アンチモン酸イオンを有する開始剤である。これらから発生した酸の作用により、シロキサン化合物の重縮合反応が進み、保護被膜の硬化反応が進行する。カウンターイオンが六フッ化アンチモン酸イオンでない場合には、活性エネルギー線照射時に加熱を行うことの効果が少なく、十分な耐擦傷性を得ることができない。
以下に、(B)成分の活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤の例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。具体例としては、下記式
(式中、R7はアリール基、R8はアルキル基、X−は六フッ化アンチモン酸イオン:SbF6 −)で示されるジアリールヨードニウム塩、ジアルキルヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ジアリールモノアルキルスルホニウム塩、モノアリールジアルキルスルホニウム塩、トリアリールセレノニウム塩、テトラアリールホスホニウム塩、アリールジアゾニウム塩、さらには、その他の芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族セレノニウム塩、芳香族ホスホニウム塩等が使用できる。
カウンターイオンとして六フッ化アンチモン酸イオンを有する活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤(B)の配合量は、特に限定されないが、(A)成分の固形分100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲内が好ましい。但し、固形分とは、(A)成分のシロキサン化合物が完全に加水分解・縮合したと仮定した場合に生成する加水分解・縮合物の質量部を意味する。活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤(B)の配合量が、0.01質量部以上であれば、活性エネルギー線の照射によって良好に硬化し、良好な保護被膜が得られる傾向にある。また、10質量部以下であれば、硬化して得られる保護被膜の物性について、特に着色が低く、表面硬度や耐擦傷性が良好となる傾向にある。さらに、硬化性が良好である点、良好な性能の保護被膜が得られる点から、その配合量は0.05〜5質量部の範囲内がより好ましい。
なお、これらの活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤は単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、その他、必要に応じて、ポリマー、ポリマー微粒子、コロイダルシリカ、コロイド状金属、充填剤、染料、顔料、顔料分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、ゲル粒子、微粒子粉などを配合してもよい。
使用しうるコロイダルシリカは、水または有機溶剤に分散させた、一次粒子径が1〜200nmのコロイダルシリカがある。例として、例えばメチルエチルケトンに分散したコロイダルシリカ(日産化学工業(株)製 商品名「MEK−ST」)が挙げられる。コロイダルシリカの分散媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの多価アルコール類及びその誘導体;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;トルエン、キシレンなどの非極性溶媒;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;及びその他一般溶剤類が使用できる。
これらのコロイダルシリカは周知の方法で製造され市販されているものを使用できる。また、コロダルシリカの表面をシランカップリング剤等で処理してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、固形分濃度調整、分散安定性向上、塗布性向上、基材への密着性向上等を目的として、有機溶剤を含有することが好ましい。有機溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、セロソルブ類、芳香族化合物類などが挙げられる。
具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、グリセリンエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセテート、2−エチルブチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−フェノキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、例えば、プラスチック基材の表面に塗布し(硬化被膜厚0.5〜100μm程度)、次いで被膜温度を60〜90℃に加熱した状態で、活性エネルギー線を照射して硬化させて、保護被膜を形成することができる。
また、活性エネルギー線硬化性組成物は、例えば、プラスチック基材の表面に塗布し(硬化被膜厚0.5〜100μm程度)、ついで、活性エネルギー線を照射して硬化させて、さらに被膜温度を60〜90℃に加熱することにより保護被膜を形成することができる。この場合、加熱のみによる硬化よりも低温、短時間で同等の硬化を行うことができる。
活性エネルギー線硬化性組成物の塗布は、従来から公知の方法、例えば、バーコート法、スプレーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソコート法、スクリーン法、スピンコート法、フローコート法、静電塗装法等で行うことができる。
活性エネルギー線としては、真空紫外線、紫外線、可視光線、近赤外線、赤外線、遠赤外線、マイクロ波、電子線、β線、γ線などが挙げられる。中でも、紫外線、可視光線を、カウンターイオンが六フッ化アンチモン酸イオンである光感応性カチオン重合開始剤と組み合わせて使用することが、重合速度が速い点、基材の劣化が比較的少ない点から好ましい。
具体例としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、白熱電球、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマーレーザー、太陽などを光源とする活性エネルギー線が挙げられる。活性エネルギー線は、一種類を単独で使用しても良いし、異なるものを複数種使用しても良い。異なる複数種の活性エネルギー線を使用する場合は、同時に照射しても良いし、順番に照射しても良い。
本発明においては、特定の活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤を使用し、活性エネルギー線の照射と被膜温度の特定の温度範囲への加熱を併用することで、活性エネルギー線による被膜の硬化効率が良くなり、保護被膜の物性を向上させることができる。本発明における最適な被膜温度は60℃〜90℃である。被膜温度が60℃以上の場合には、活性エネルギー線照射による被膜の硬化を効果的に促進することができる。また、90℃以下の場合には、急激な硬化収縮に伴い発生する応力によるクラックの発生や基材密着性の低下を抑制しつつ硬化を促進することができる。
被膜温度を特定の温度範囲に加熱する方法は特に制限されないが、例えば熱風炉、電気炉、蒸気乾燥炉、赤外線照射、誘導加熱などを用いることができる。被膜温度を特定の温度に加熱する工程は、活性エネルギー線の照射前、照射中、照射後のいずれにおいても行うことができるが、活性エネルギー線の照射前に加熱を行った場合には、活性エネルギー線を照射する際の被膜温度が自然冷却によって特定の温度範囲を外れないように、保温材などを用いて保温しても良い。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、プラスチック、金属、缶、紙、木質材、無機質材、電着塗装板、ラミネート板等の様々な基材、あるいはこれらの基材にプライマー層を形成したものの塗料として応用することができる。特にプラスチック基材、具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメタクリルスチレン等の塗料などに好適である。
尚、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物により形成される保護被膜が密着しにくい基材には、プライマー層を形成することが好ましい。プライマー層としては特に限定はないが、活性エネルギー線ラジカル重合性ビニル系化合物と活性エネルギー線感応性ラジカル重合開始剤を含有する組成物を光硬化させて得られる層が好ましい。より具体的には、ポリカーボネートなどの基材に、多官能(メタ)アクリレートと活性エネルギー線感応性ラジカル重合開始剤を含む組成物でプライマー層を形成した基材などを例示することができるが、本発明はこれらに限られたものではない。尚、ここでいう多官能(メタ)アクリレートとは、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。
以下に、本発明について実施例を掲げて詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。以下の記載において「部」は「質量部」を示す。
<合成例1:シロキサン化合物(A1)の合成>
オルガノシラン類としてメチルトリメトキシシラン(多摩化学工業株式会社製、分子量136)54.0部、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量198)6.0部に、イソプロピルアルコール45.0部を加え、攪拌して均一な溶液とした。さらに、水45.0部を加え、攪拌しつつ80℃で3時間加熱し、加水分解・縮合を行った。その後25℃まで冷却し、24時間攪拌して縮合を進行させ、固形分濃度20質量%のシロキサン化合物(A1)の溶液150部を得た。なお、ここでの固形分濃度とは、完全に加水分解・縮合させたと仮定した際に得られるシロキサン化合物の溶液全体に対する質量百分率を意味する。
オルガノシラン類としてメチルトリメトキシシラン(多摩化学工業株式会社製、分子量136)54.0部、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量198)6.0部に、イソプロピルアルコール45.0部を加え、攪拌して均一な溶液とした。さらに、水45.0部を加え、攪拌しつつ80℃で3時間加熱し、加水分解・縮合を行った。その後25℃まで冷却し、24時間攪拌して縮合を進行させ、固形分濃度20質量%のシロキサン化合物(A1)の溶液150部を得た。なお、ここでの固形分濃度とは、完全に加水分解・縮合させたと仮定した際に得られるシロキサン化合物の溶液全体に対する質量百分率を意味する。
<合成例2:シロキサン化合物(A2)の合成>
オルガノシラン類としてメチルトリメトキシシラン(多摩化学工業株式会社製、分子量136)40.5部、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量198)4.5部、アルキルシリケート類としてシリカ換算濃度51質量%のメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製、平均約4量体、平均分子量約470、商品名「メチルシリケート51」)15.0部に、イソプロピルアルコール45.0部を加え、攪拌して均一な溶液とした。さらに、水45.0部を加え、攪拌しつつ80℃で3時間加熱し、加水分解・縮合を行った。その後25℃まで冷却し、24時間攪拌して縮合を進行させ、固形分濃度20質量%のシロキサン化合物(A2)の溶液150部を得た。
オルガノシラン類としてメチルトリメトキシシラン(多摩化学工業株式会社製、分子量136)40.5部、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量198)4.5部、アルキルシリケート類としてシリカ換算濃度51質量%のメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製、平均約4量体、平均分子量約470、商品名「メチルシリケート51」)15.0部に、イソプロピルアルコール45.0部を加え、攪拌して均一な溶液とした。さらに、水45.0部を加え、攪拌しつつ80℃で3時間加熱し、加水分解・縮合を行った。その後25℃まで冷却し、24時間攪拌して縮合を進行させ、固形分濃度20質量%のシロキサン化合物(A2)の溶液150部を得た。
<合成例3:シロキサン化合物(A3)の合成>
分子内にエポキシ基を有するオルガノシラン類として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量236)100.0部に、イソプロピルアルコール205.0部を加え、攪拌して均一な溶液とした。さらに、水45.0部を加え、攪拌しつつ80℃で3時間加熱し、加水分解・縮合を行った。その後25℃まで冷却し、24時間攪拌して縮合を進行させ、固形分濃度20質量%のシロキサン化合物(A3)の溶液350部を得た。
分子内にエポキシ基を有するオルガノシラン類として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量236)100.0部に、イソプロピルアルコール205.0部を加え、攪拌して均一な溶液とした。さらに、水45.0部を加え、攪拌しつつ80℃で3時間加熱し、加水分解・縮合を行った。その後25℃まで冷却し、24時間攪拌して縮合を進行させ、固形分濃度20質量%のシロキサン化合物(A3)の溶液350部を得た。
<実施例1>
[活性エネルギー線硬化性組成物の調製]
(A)成分として合成例1で得たシロキサン化合物(A1)の固形分濃度20質量%溶液50.0部(固形分10.0部)に、(B)成分としてカウンターイオンが六フッ化アンチモン酸イオン(SbF6 −)であるトリアリールスルホニウム塩(サンアプロ株式会社製、商品名「CPI−101A」)0.2部(固形分0.1部)を配合し、レベリング剤としてシリコン系界面活性剤(東レダウコーニング株式会社製、商品名「L−7001」)0.01部を混合して、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
[活性エネルギー線硬化性組成物の調製]
(A)成分として合成例1で得たシロキサン化合物(A1)の固形分濃度20質量%溶液50.0部(固形分10.0部)に、(B)成分としてカウンターイオンが六フッ化アンチモン酸イオン(SbF6 −)であるトリアリールスルホニウム塩(サンアプロ株式会社製、商品名「CPI−101A」)0.2部(固形分0.1部)を配合し、レベリング剤としてシリコン系界面活性剤(東レダウコーニング株式会社製、商品名「L−7001」)0.01部を混合して、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
[被膜の形成]
この活性エネルギー線硬化性組成物を、長さ10cm、幅10cm、厚み3mmのアクリル板(三菱レイヨン株式会社製、商品名「アクリライトEX」)上に適量滴下し、バーコート法(バーコーターNo.28使用)にて塗布し、乾燥機にて90℃で10分間加熱した。
この活性エネルギー線硬化性組成物を、長さ10cm、幅10cm、厚み3mmのアクリル板(三菱レイヨン株式会社製、商品名「アクリライトEX」)上に適量滴下し、バーコート法(バーコーターNo.28使用)にて塗布し、乾燥機にて90℃で10分間加熱した。
[被膜の硬化]
加熱後の被膜温度を放射温度計(アズワン株式会社製、商品名「IT−311」)にて測定し、被膜温度が90℃の状態で、被膜が冷えない内に素早くベルトコンベアー型高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、紫外線照射装置、商品名「ハンディーUV−1200」、QRU−2161型)にて、約1,000mJ/cm2の紫外線を照射し、膜厚約5μmの硬化被膜(保護被膜)を得た。尚、紫外線照射量は、紫外線光量計(株式会社オーク製作所製、ピーク感度波長360nm、商品名「UV−351型」)にて測定した。また、照射直後の被膜温度は、76℃であった。
加熱後の被膜温度を放射温度計(アズワン株式会社製、商品名「IT−311」)にて測定し、被膜温度が90℃の状態で、被膜が冷えない内に素早くベルトコンベアー型高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、紫外線照射装置、商品名「ハンディーUV−1200」、QRU−2161型)にて、約1,000mJ/cm2の紫外線を照射し、膜厚約5μmの硬化被膜(保護被膜)を得た。尚、紫外線照射量は、紫外線光量計(株式会社オーク製作所製、ピーク感度波長360nm、商品名「UV−351型」)にて測定した。また、照射直後の被膜温度は、76℃であった。
[被膜の評価]
得られた硬化被膜を、以下の方法により評価した。
得られた硬化被膜を、以下の方法により評価した。
1)外観
目視にて硬化被膜を有するアクリル板の透明性、耐クラック性、白化の有無を観察し、以下の基準により評価した。
「○」:透明で、クラックや白化等の欠陥の無いもの(良好)。
「×」:不透明な部分のあったもの、クラック、白化等の欠陥があったもの(不良)。
目視にて硬化被膜を有するアクリル板の透明性、耐クラック性、白化の有無を観察し、以下の基準により評価した。
「○」:透明で、クラックや白化等の欠陥の無いもの(良好)。
「×」:不透明な部分のあったもの、クラック、白化等の欠陥があったもの(不良)。
2)膜厚
硬化被膜を有するアクリル板の断面を走査型電子顕微鏡で観察し膜厚を測定した。
硬化被膜を有するアクリル板の断面を走査型電子顕微鏡で観察し膜厚を測定した。
3)基材密着性
アクリル板表面の硬化被膜へ、カミソリの刃で1mm間隔に縦横11本ずつのアクリル板にまで達する切れ目を入れて100個のマス目を作り、セロハンテープを良く密着させた後、45度手前方向に急激に剥がし、硬化被膜が剥離せずに残存したマス目数を計測して、以下の基準で評価した。
「○」:剥離したマス目がない(密着性良好)。
「△」:剥離したマス目が1〜5個(密着性中程度)。
「×」:剥離したマス目が6個以上(密着性不良)。
アクリル板表面の硬化被膜へ、カミソリの刃で1mm間隔に縦横11本ずつのアクリル板にまで達する切れ目を入れて100個のマス目を作り、セロハンテープを良く密着させた後、45度手前方向に急激に剥がし、硬化被膜が剥離せずに残存したマス目数を計測して、以下の基準で評価した。
「○」:剥離したマス目がない(密着性良好)。
「△」:剥離したマス目が1〜5個(密着性中程度)。
「×」:剥離したマス目が6個以上(密着性不良)。
4)耐擦傷性
硬化被膜を有するアクリル板の表面を、#0000スチールウールで、9.8×104Paの圧力を加えて10往復擦り、1cm×3cmの範囲に発生した傷の程度を観察し、以下の基準で評価した。
「A」:ほとんど傷が付かない。
「B」:1〜9本のキズが付く。光沢面あり。
「C+」:10〜49本のキズが付く。光沢面あり。
「C−」:50〜99本のキズが付く。光沢面あり。
「D」:100本以上のキズが付く。光沢面あり。
「E」:光沢面が無くなる。
硬化被膜を有するアクリル板の表面を、#0000スチールウールで、9.8×104Paの圧力を加えて10往復擦り、1cm×3cmの範囲に発生した傷の程度を観察し、以下の基準で評価した。
「A」:ほとんど傷が付かない。
「B」:1〜9本のキズが付く。光沢面あり。
「C+」:10〜49本のキズが付く。光沢面あり。
「C−」:50〜99本のキズが付く。光沢面あり。
「D」:100本以上のキズが付く。光沢面あり。
「E」:光沢面が無くなる。
その結果、本実施例の硬化被膜は、良好な外観、耐クラック性、基材密着性、耐擦傷性を有していた。結果を表1に示した。
<実施例2>
加熱後の被膜温度を80℃にして紫外線を照射した以外は、実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物の調製、被膜の形成・硬化、被膜の評価を実施した。尚、照射直後の被膜温度は、70℃であった。結果を表1に示した。
加熱後の被膜温度を80℃にして紫外線を照射した以外は、実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物の調製、被膜の形成・硬化、被膜の評価を実施した。尚、照射直後の被膜温度は、70℃であった。結果を表1に示した。
<実施例3>
加熱後の被膜温度を70℃にして紫外線を照射した以外は、実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物の調製、被膜の形成・硬化、被膜の評価を実施した。尚、照射直後の被膜温度は、62℃であった。結果を表1に示した。
加熱後の被膜温度を70℃にして紫外線を照射した以外は、実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物の調製、被膜の形成・硬化、被膜の評価を実施した。尚、照射直後の被膜温度は、62℃であった。結果を表1に示した。
<実施例4>
実施例1と同じ活性エネルギー線硬化性組成物を、長さ10cm、幅10cm、厚み3mmのアクリル板(三菱レイヨン株式会社製、商品名「アクリライトEX」)上に適量滴下し、バーコート法(バーコーターNo.28使用)にて塗布し、乾燥機にて60℃で10分間加熱した。加熱後の被膜温度を放射温度計(アズワン株式会社製、商品名「IT−311」)にて測定し、被膜温度が25℃になったところで、高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、紫外線照射装置、商品名「ハンディーUV−1200」、QRU−2161型)にて、約1,000mJ/cm2の紫外線を照射した。尚、紫外線照射量は、紫外線光量計(株式会社オーク製作所製、ピーク感度波長360nm、商品名「UV−351型」)にて測定した。また、照射直後の被膜温度は、31℃であった。その後、乾燥機にて90℃で10分間加熱し、膜厚約5μmの硬化被膜(保護被膜)を得た。なお、加熱後の被膜温度は90℃であった。実施例1と同様の方法により被膜の評価を実施した。結果を表1に示した。
実施例1と同じ活性エネルギー線硬化性組成物を、長さ10cm、幅10cm、厚み3mmのアクリル板(三菱レイヨン株式会社製、商品名「アクリライトEX」)上に適量滴下し、バーコート法(バーコーターNo.28使用)にて塗布し、乾燥機にて60℃で10分間加熱した。加熱後の被膜温度を放射温度計(アズワン株式会社製、商品名「IT−311」)にて測定し、被膜温度が25℃になったところで、高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、紫外線照射装置、商品名「ハンディーUV−1200」、QRU−2161型)にて、約1,000mJ/cm2の紫外線を照射した。尚、紫外線照射量は、紫外線光量計(株式会社オーク製作所製、ピーク感度波長360nm、商品名「UV−351型」)にて測定した。また、照射直後の被膜温度は、31℃であった。その後、乾燥機にて90℃で10分間加熱し、膜厚約5μmの硬化被膜(保護被膜)を得た。なお、加熱後の被膜温度は90℃であった。実施例1と同様の方法により被膜の評価を実施した。結果を表1に示した。
<実施例5>
(A)成分として合成例2で得たシロキサン化合物(A2)の固形分濃度20質量%溶液50.0部(固形分10.0部)を用いた以外は、実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物の調製、被膜の形成・硬化、被膜の評価を実施した。尚、紫外線照射直後の被膜温度は、78℃であった。結果を表1に示した。
(A)成分として合成例2で得たシロキサン化合物(A2)の固形分濃度20質量%溶液50.0部(固形分10.0部)を用いた以外は、実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物の調製、被膜の形成・硬化、被膜の評価を実施した。尚、紫外線照射直後の被膜温度は、78℃であった。結果を表1に示した。
<比較例1>
長さ10cm、幅10cm、厚み3mmのアクリル板(三菱レイヨン株式会社製、商品名「アクリライトEX」)上にバーコート法にて活性エネルギー線硬化性組成物を塗布し、乾燥機にて90℃で10分間加熱した後、被膜を25℃まで冷却した以外は、実施例1と同様の方法にて紫外照射による硬化、被膜の評価を実施した。尚、紫外線照射直後の被膜温度は、31℃であった。
長さ10cm、幅10cm、厚み3mmのアクリル板(三菱レイヨン株式会社製、商品名「アクリライトEX」)上にバーコート法にて活性エネルギー線硬化性組成物を塗布し、乾燥機にて90℃で10分間加熱した後、被膜を25℃まで冷却した以外は、実施例1と同様の方法にて紫外照射による硬化、被膜の評価を実施した。尚、紫外線照射直後の被膜温度は、31℃であった。
活性エネルギー線(紫外線)照射時の被膜温度が低いため、硬化被膜の耐擦傷性が実施例1に比べて劣っていた。結果を表2に示した。
<比較例2>
長さ10cm、幅10cm、厚み3mmのアクリル板(三菱レイヨン株式会社製、商品名「アクリライトEX」)上にバーコート法にて活性エネルギー線硬化性組成物を塗布し、乾燥機にて90℃で10分間加熱した後、被膜を50℃まで冷却した以外は、実施例1と同様の方法にて紫外照射による硬化、被膜の評価を実施した。尚、紫外線照射直後の被膜温度は、48℃であった。
長さ10cm、幅10cm、厚み3mmのアクリル板(三菱レイヨン株式会社製、商品名「アクリライトEX」)上にバーコート法にて活性エネルギー線硬化性組成物を塗布し、乾燥機にて90℃で10分間加熱した後、被膜を50℃まで冷却した以外は、実施例1と同様の方法にて紫外照射による硬化、被膜の評価を実施した。尚、紫外線照射直後の被膜温度は、48℃であった。
活性エネルギー線(紫外線)照射時の被膜温度が低いため、硬化被膜の耐擦傷性が実施例1に比べて劣っていた。結果を表2に示した。
<比較例3>
実施例1の活性エネルギー線硬化性組成物を長さ10cm、幅10cm、厚み3mmのガラス板上に適量滴下し、バーコート法(バーコーターNo.28使用)にて塗布し、乾燥機にて130℃で10分間加熱した後、被膜温度を120℃まで冷却した以外は、実施例1と同様の方法にて紫外照射による硬化、被膜の評価を実施した。尚、紫外線照射直後の被膜温度は、100℃であった。
実施例1の活性エネルギー線硬化性組成物を長さ10cm、幅10cm、厚み3mmのガラス板上に適量滴下し、バーコート法(バーコーターNo.28使用)にて塗布し、乾燥機にて130℃で10分間加熱した後、被膜温度を120℃まで冷却した以外は、実施例1と同様の方法にて紫外照射による硬化、被膜の評価を実施した。尚、紫外線照射直後の被膜温度は、100℃であった。
活性エネルギー線(紫外線)照射時の被膜温度が高過ぎるため、無数のクラックおよび基材からの剥離が生じ、硬化被膜を得ることができなかった。結果を表2に示した。
<比較例4>
(B)成分としてカウンターイオンが六フッ化リン酸イオン(PF6 −)であるトリアリールスルホニウム塩(サンアプロ株式会社製、商品名「CPI−100P」)0.2部(固形分0.1部)を配合した以外は、比較例1と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物の調製、被膜の形成・硬化、被膜の評価を実施した。カウンターイオンが六フッ化アンチモン酸イオンでないことに加え、活性エネルギー線照射時の被膜温度が低いため、硬化被膜の耐擦傷性が実施例1に比べて劣っていた。結果を表2に示した。
(B)成分としてカウンターイオンが六フッ化リン酸イオン(PF6 −)であるトリアリールスルホニウム塩(サンアプロ株式会社製、商品名「CPI−100P」)0.2部(固形分0.1部)を配合した以外は、比較例1と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物の調製、被膜の形成・硬化、被膜の評価を実施した。カウンターイオンが六フッ化アンチモン酸イオンでないことに加え、活性エネルギー線照射時の被膜温度が低いため、硬化被膜の耐擦傷性が実施例1に比べて劣っていた。結果を表2に示した。
<比較例5>
(B)成分としてカウンターイオンが六フッ化リン酸イオン(PF6 −)であるトリアリールスルホニウム塩(サンアプロ株式会社製、商品名「CPI−100P」)0.2部(固形分0.1部)を配合した以外は、実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物の調製、被膜の形成・硬化、被膜の評価を実施した。カウンターイオンが六フッ化アンチモン酸イオンでないため、活性エネルギー線照射時の被膜温度が適当でも、硬化被膜の耐擦傷性が実施例1に比べて劣っていた。結果を表2に示す。
(B)成分としてカウンターイオンが六フッ化リン酸イオン(PF6 −)であるトリアリールスルホニウム塩(サンアプロ株式会社製、商品名「CPI−100P」)0.2部(固形分0.1部)を配合した以外は、実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物の調製、被膜の形成・硬化、被膜の評価を実施した。カウンターイオンが六フッ化アンチモン酸イオンでないため、活性エネルギー線照射時の被膜温度が適当でも、硬化被膜の耐擦傷性が実施例1に比べて劣っていた。結果を表2に示す。
<比較例6>
(B)成分としてカウンターイオンが六フッ化リン酸イオン(PF6 −)であるトリアリールスルホニウム塩(サンアプロ株式会社製、商品名「CPI−100P」)0.2部(固形分0.1部)を配合した以外は、実施例4と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物の調製、被膜の形成・硬化、被膜の評価を実施した。カウンターイオンが六フッ化アンチモン酸イオンでないため、活性エネルギー線照射後の加熱処理を行っても、硬化被膜の耐擦傷性が実施例4に比べて劣っていた。結果を表2に示した。
(B)成分としてカウンターイオンが六フッ化リン酸イオン(PF6 −)であるトリアリールスルホニウム塩(サンアプロ株式会社製、商品名「CPI−100P」)0.2部(固形分0.1部)を配合した以外は、実施例4と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物の調製、被膜の形成・硬化、被膜の評価を実施した。カウンターイオンが六フッ化アンチモン酸イオンでないため、活性エネルギー線照射後の加熱処理を行っても、硬化被膜の耐擦傷性が実施例4に比べて劣っていた。結果を表2に示した。
<比較例7>
乾燥後の被膜温度を25℃にして紫外線を照射した以外は、実施例5と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物の調製、被膜の形成・硬化、被膜の評価を実施した。活性エネルギー線照射時の被膜温度が低いため、硬化被膜の耐擦傷性が実施例5に比べて劣っていた。結果を表2に示す。
乾燥後の被膜温度を25℃にして紫外線を照射した以外は、実施例5と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物の調製、被膜の形成・硬化、被膜の評価を実施した。活性エネルギー線照射時の被膜温度が低いため、硬化被膜の耐擦傷性が実施例5に比べて劣っていた。結果を表2に示す。
<比較例8>
(A)成分として合成例3で得たシロキサン化合物(A3)の固形分濃度20質量%溶液50.0部(固形分10.0部)を用いた以外は、実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物の調製、被膜の形成・硬化、被膜の評価を実施した。一般式(1)に含まれないエポキシ基を有するオルガノシラン類を使用した場合、基材密着性が実施例1に比べて劣っていた。結果を表2に示す。
(A)成分として合成例3で得たシロキサン化合物(A3)の固形分濃度20質量%溶液50.0部(固形分10.0部)を用いた以外は、実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物の調製、被膜の形成・硬化、被膜の評価を実施した。一般式(1)に含まれないエポキシ基を有するオルガノシラン類を使用した場合、基材密着性が実施例1に比べて劣っていた。結果を表2に示す。
下記表1および表2から明らかなように、実施例の硬化被膜は、比較例のものと比較して、耐擦傷性が良好で、併せて外観、基材密着性も良好であった。
表1、2の略号
「A1溶液」:合成例1で得たシロキサン化合物(A1)の20質量%溶液
「A2溶液」:合成例2で得たシロキサン化合物(A2)の20質量%溶液
「A3溶液」:合成例3で得たシロキサン化合物(A3)の20質量%溶液
「CPI−101A」:サンアプロ株式会社製、商品名CPI−101A
「CPI−100P」:サンアプロ株式会社製、商品名CPI−100P
「A1溶液」:合成例1で得たシロキサン化合物(A1)の20質量%溶液
「A2溶液」:合成例2で得たシロキサン化合物(A2)の20質量%溶液
「A3溶液」:合成例3で得たシロキサン化合物(A3)の20質量%溶液
「CPI−101A」:サンアプロ株式会社製、商品名CPI−101A
「CPI−100P」:サンアプロ株式会社製、商品名CPI−100P
Claims (3)
- (A)下記一般式(1)で示されるオルガノシラン類の少なくとも1種
R1 aSi(OR2)4−a ・・・(1)
(式中R1は炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、またはアリール基を示し、R2は炭素数1〜5のアルキル基、または、炭素数1〜4のアシル基を示し、aは1〜3の整数を示す。)
あるいは前記一般式(1)で示されるオルガノシラン類の少なくとも1種と下記一般式(2)で示されるアルキルシリケート類の少なくとも1種
を加水分解・縮合して得られるシロキサン化合物と、
(B)カウンターイオンが六フッ化アンチモン酸イオンである活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤
とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物を基材に塗布し、活性エネルギー線を照射して保護被膜を形成するに際して、活性エネルギー線照射時あるいは、活性エネルギー線照射後に被膜の温度を60℃〜90℃の範囲に加熱する保護被膜の形成方法。 - 前記(A)成分は、一般式(1)で表されるオルガノシラン類1モルに対して、一般式(2)で表されるアルキルシリケート類を0モル〜1モル含んでなるものである請求項1に記載の保護被膜の形成方法。
- 前記活性エネルギー線硬化性組成物は、前記(A)成分の固形分100質量部に対し、(B)成分を0.01〜10質量部配合してなるものである請求項1または2に記載の保護被膜の形成方法。
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