JP2008274409A - 防曇膜の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】無機酸化物を主成分とする防曇膜を気相成膜法によって形成するに際し、防曇膜を形成する基板12の法線と、防曇膜の材料粒子が前記基板に入射する入射方向とが成す角度を20〜85°として、防曇膜の形成を行う。さらに基板と材料源との距離を100〜2000mmとし、成膜圧力を5x10-4〜5x101Paとし、基板温度を600℃以下に制御する。
【選択図】図1
Description
このように、表面を多孔質状とすることにより、毛細管現象によって表面の濡れ性が向上して親水性が高められて、表面に付着した水滴を凹凸で吸収することにより、防曇性が得られる。
この防曇素子は、無機酸化物膜の多孔質の開口にワックス等の有機物や酸化窒素等が入り込んで付着しても、光触媒反応物質膜の光触媒反応によってワックス等を分解して除去することができるので、その結果、親水性の低下を防止でき、長期間に渡って防曇性を維持している。
この防曇性物質は、充填率の低い膜に親水性物資を固定することにより、親水性物質の密度を高め、十分な防曇性能と耐磨耗性を維持している。
この防曇鏡は、防曇性を発現する酸化スズ被膜が柱状構造を有すために、柱の細長い間隙に水滴あるいは水滴の一部が達すると、毛管現象によって水滴が被膜内部に吸収され、しかも、柱の表面に微細な凹凸を有するので、表面積が非常に大きく、水滴が濡れ広がり易いため、曇りを好適に防止して優れた防曇性能を発揮する。
上記各防曇材は、いずれも良好な防曇性を有する。しかしながら、防曇材に対する要求は、近年、ますます厳しくなる傾向にあり、より厳しい環境でも、より優れた防曇性を発揮する防曇材の出現が望まれている。
このような本発明の形成方法で形成した防曇膜は、柱状の無機酸化物によって構成される柱状構造を有し、かつ、この柱(すなわち無機酸化物の柱)が、基板の法線に対して、傾いた状態となる。
このような傾いた柱からなる柱状構造を有する防曇膜は、表面積が非常に大きく、その結果、多量の水を吸収でき、非常に優れた防曇性を発現する。また、この防曇膜は、柱が斜めに形成された柱状構造を有することにより、柱間の間隙に余裕ができ、その結果、応力の逃げ場を十分に確保でき、環境変化や外部から受ける力に対して、非常に良好な強度を有する。また、無機酸化物からなり、傾斜する柱で構成される柱状構造の防曇膜は、経時安定性にも優れる。しかも、本発明は、真空蒸着等の気相堆積法において、基板を傾けて配置するだけで、このような優れた特性を有する防曇膜を形成できる。
図1に示す真空蒸着装置10(以下、蒸着装置10とする)は、EB加熱によって、成膜材料を溶融/蒸発して、真空蒸着によって基板12の表面に無機酸化物からなる防曇膜14(図2参照)を形成するものであり、EB(電子ビーム)を出射する電子銃22と、真空チャンバ24と、蒸発源(ルツボ)26と、真空ポンプ28と、基板ホルダ30と、ガス導入手段32と、EB電源34とを有する。
また、基板ホルダ30は、基板12の角度調節手段を有し、また、基板12の温度を調節するための温度調節手段30aを内蔵しており、温度調節手段30aには、その駆動電源36が接続される。
具体的には、蒸発源26の中心(成膜材料蒸気の排出口の中心)と基板12の中心とを結ぶ線Sと、基板12の中心からの法線Hcとがなす角度αを20〜85°として、基板12の表面に防曇膜14を形成する。なお、形状によって、基板12や蒸発源26の中心が容易に決められない場合には、基板12や蒸発源26(成膜材料蒸気の排出口)を内接する円を想定し、この円の中心を、中心とすればよい。
以下、便宜的に、「基板12を傾斜して防曇膜14(無機酸化物膜)を形成」とする。
その結果、前記表面積が大きくなる効果、各柱間の間隙が大きくなる効果が、より強く発現し、しかも、表面の水分を好適に下方に導くことができ、優れた防曇性および強度を有する防曇膜14が得られる。
さらに、形成する防曇膜14は、無機酸化物であるので、可視光透過性(透明性)、耐薬品性、耐候性、および、耐摩擦性にも優れる。
この角度αが20°未満では、基板12を傾斜して防曇膜を形成することの効果、すなわち、防曇膜14を構成する柱を好適に傾斜させることができず、防曇性が高い防曇膜14を形成できない。逆に、前記角度αを85°超にすると、逆に、防曇膜14を構成する柱が傾斜しすぎてしまい、その結果、得られた防曇膜14が、いわゆるヘイズ(不可逆的な曇り)を生じやすくなってしまう。
言い換えると、本発明の形成方法で形成する防曇膜14は、良好な防曇性およびヘイズの防止の点では、図2に示すような基板12の法線Hと傾斜する柱とが成す角度βは10〜70°であるのが好ましいが、成膜材料の蒸発流の入射方向と基板12の法線とが成す角度αを20〜85°とすることにより、柱の角度βが10〜70°の防曇膜14を安定して形成できる。
言い換えると、本発明の形成方法で形成する防曇膜14は、より高い防曇性と、より確実なヘイズの防止性の点では、基板12の法線Hと傾斜する柱とが成す角度βは、25〜45°がより好ましいが、成膜材料の蒸発流の入射方向と基板12の法線とが成す角度αを55〜75°とすることにより、柱の角度βが25〜45°の防曇膜を安定して形成できる。
なお、防曇膜14を形成する柱の上記角度βは、膜が傾斜している方向(基板12面と平行な方向 図2矢印a方向)と、直交する方向から見た断面を走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)で観察して、基板12の法線Hに対する柱の角度を測定すればよい。
例えば、本発明の形成方法(図1に示す蒸着装置10)で形成した防曇膜14であれば、柱が最も傾斜している方向は、一般的に、基板12の法線Hcから、蒸発源26の中心と基板12の中心を結ぶ線Sに向かう方向となる。従って、柱状結晶が最も傾斜してる方向と平行な断面は、この法線Hcと線Sとが成す面と平行な面となる。
防曇膜14の膜厚が300nm未満である場合には、基板12(もしくは防曇膜14の下層)の表面から防曇膜14の厚さ方向で10%の領域、および、防曇膜14の表面から同方向で10%の領域を除いた、厚さ方向の中央80%の領域を設定する。この中央80%の領域において、柱の最大角度および最小角度を測定して、その平均値を柱の角度βとするのが好ましい。
防曇膜14の膜厚が300nm以上である場合には、基板12(もしくは防曇膜14の下層)の表面から防曇膜14の厚さ方向で30nmの領域、および、防曇膜14の表面から同方向で30nmの領域を除いた、厚さ方向の中央領域を設定する。この中央領域において、柱の最大角度および最小角度を測定して、その平均値を柱の角度βとするのが好ましい。
すなわち、防曇膜14の膜厚に応じて、防曇膜14の膜厚が300nm未満である場合には、厚さ方向の中央80%の領域を設定し、また、防曇膜14の膜厚が300nm以上である場合には、基板12および防曇膜14の表面からの30nmを除いた中央領域を設定する。その上で、異なる任意の10本の柱において、前記中央領域で角度βを測定し、その平均値を防曇膜14における柱の角度とする。
しかしながら、本発明は、これに限定はされず、製造誤差等の範囲において、上記範囲に含まれない柱を有してもよい。
具体的には、防曇膜14の表面において、面積の60%以上を構成する柱の角度βが、前記範囲に入っているのが好ましく、特に、防曇膜14の表面において、面積の80%以上を構成する柱の角度βが、前記範囲に入っているのが好ましい。
なお、防曇膜14において、全ての柱の角度βを計るのは、非常に手間がかかる。そのため、本発明においては、簡易的に、防曇膜14の中央において前記断面を形成し、この中央の断面において、60%以上の柱の角度βが前記範囲に入っていれば、防曇膜14の表面において、面積の60%以上を構成する柱の角度βが、前記範囲に入っていると見なしても良い。なお、言うまでもなく、前記断面とは、防曇膜14を構成する柱が最も傾斜している方向と平行で、かつ、基板12と直交する断面である。
防曇膜14の厚さ(膜厚)を100nm以上とすることにより、十分な防曇性を安定して得ることができ、また、防曇膜14の厚さを3000nm以下とすることにより、ヘイズの発生を好適に防止できる防曇膜を安定して得ることができる。
また、上記効果が、より好適に発現できる等の点で、防曇膜14の厚さは、150〜1000nmが、より好ましい。
図2を例示して前述したように、無機酸化物を気相堆積法で形成すると、当初は独立した細い柱が成長し、次第に統合して太い柱となる。ここで、基板12を傾けて成膜を行なうと、この統合の状態は基板面方向によって異なり、基板面に平行で柱が傾く方向(柱の傾斜方向)すなわち図2の矢印a方向(後述する製法における基板を傾けた方向)よりも、基板面に平行で柱の傾斜方向と直交する方向(図2紙面に垂直方向)の方が、より多くの柱が統合する。
すなわち、防曇膜14の表面では、柱状構造を形成する柱の径は、柱の傾斜方向が細く、この傾斜方向と直交する方向が太い、楕円のような形状になる。
本発明者の検討によれば、柱の径は、防曇膜14の表面(基板12と逆側の面)において、長径方向が50〜10000nm、短径方向で2〜300nmであるのが好ましい。 形成する防曇膜14の柱の径を上記範囲とすることにより、防曇性、防曇性の経時安定性、防曇膜14の強度等の点で、好ましい結果を得る。
柱の間隔を上記範囲とすることにより、防曇性、防曇性の経時安定性、防曇膜14の強度等の点で、好ましい結果を得る。
この粒状物の径にも特に限定はないが、2〜20nmが好ましく、また、粒状物の間隔にも、特に限定はないが、0.5〜7nmであるのが好ましい。
防曇膜14の柱を形成する粒状物の径および間隔を上記範囲とすることにより、防曇性、防曇性の経時安定性、防曇膜14の強度等の点で、好ましい結果を得る。
この防曇膜14の充填率にも、特に限定は無いが、本発明者の検討によれば、0.5〜0.9、特に、0.7〜0.9が好ましい。
防曇膜14の充填率を上記範囲とすることにより、防曇性、防曇性の経時安定性、防曇膜14の強度等の点で、好ましい結果を得る。
また、基板ホルダ30は、基板12の角度調節手段を有し、また、基板12の温度を調節するための温度調節手段30aを内蔵しており、温度調節手段30aには、その駆動電源36が接続される。
すなわち、一般的な真空蒸着では、基板12(基板12表面)の法線と、基板12への蒸気の入射方向(蒸発流の入射方向)とを、重ねた状態(α=0)で蒸着を行なうが、本発明においては、上記の入射方向に対して、基板12を傾斜した状態で、蒸着を行なう。
すなわち、蒸発源26(ルツボ)の所定位置に成膜材料Mを充填し、傾いた状態の基板ホルダ30のの所定位置に基板12を装填して、真空チャンバを閉塞し、真空ポンプ28によって真空チャンバ24内を真空にする。
真空チャンバ24内が所定の圧力となった時点で、必要に応じて、ガス導入手段32によって酸素ガスや不活性ガスを導入して真空度を調整し、EB電源34を駆動して、電子銃22(図示例は180°偏向の電子銃であるが、これに限定はされない)を駆動して、電子ビーム(EB)を成膜材料に入射して、成膜材料を加熱溶融して、蒸発させて、基板12に成膜を行なう。また、この際に、必要に応じて、電源36を駆動して、温度調節手段30aによって、基板12の温度を調節する。
また、本発明は、このようなシート状物を基板として防曇膜14を形成するのに限定はされず、車両用バックミラー、浴室用鏡、洗面所用鏡、歯科用鏡、道路鏡のなどの各種の鏡; 眼鏡レンズ、光学レンズ、写真機レンズ、内視鏡レンズ、照明用レンズ、半導体用レンズ、複写機用レンズなどの各種のレンズ; プリズム; 建物や監視塔の窓ガラスやその他建材用ガラス; 自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、種々の乗物の窓ガラス; 自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、スノーモービル、オートバイ、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、種々の乗物の風防ガラス; 冷凍食品陳列ケースのガラス; 計測機器のカバーガラス; 防護用ゴーグル、スポーツ用ゴーグル、防護用マスク、スポーツ用マスク、ヘルメットなどに設けられるシールド; さらには、これらの物品の表面に貼付させるためのフィルム; 等の各種の物品を基板として、防曇膜14を形成してもよい。
無機酸化物としては、親水性を有するものであれば、全てのものが利用可能でである。
製造が容易である、使用上の安全性、基材や防曇性層の周辺部材に対して不活性である等の点で、硅素(Si)酸化物、アルミニウム(Al)酸化物、イットリウム(Y)酸化物、ジルコニウム(Zr)酸化物、スズ(Sn)酸化物、チタン(Ti)酸化物、タンタル(Ta)酸化物、ハフニウム(Hf)酸化物等が例示される。中でも特に、硅素酸化物およびアルミニウム酸化物は好適である。また、無機酸化物は、アモルファスであってもよい。
なお、成膜材料は、成膜する防曇膜14に応じて、通常の真空蒸着と同様の材料(例えば、成膜するのが酸化珪素であればSiO2)を成膜材料として用いればよい。
抗菌機能材料としては、水銀,銀,銅,亜鉛,鉄,鉛,ビスマスなどが挙げられる。例えば、銀、銅、亜鉛、ニッケル等の金属や金属イオンをケイ酸塩系担体、リン酸塩系担体、酸化物、ガラスやチタン酸カリウム、アミノ酸等に担持させたものが挙げられる。
より具体的には、ゼオライト系抗菌剤、ケイ酸カルシウム系抗菌剤、リン酸ジルコニウム系抗菌剤、リン酸カルシウム抗菌剤、酸化亜鉛系抗菌剤、溶解性ガラス系抗菌剤、シリカゲル系抗菌剤、活性炭系抗菌剤、酸化チタン系抗菌剤、チタニア系抗菌剤、有機金属系抗菌剤、イオン交換体セラミックス系抗菌剤、層状リン酸塩−四級アンモニウム塩系抗菌剤、抗菌ステンレス等が例示されるが、これらに制限されるものではない。
抗菌機能材料を含有する場合には、その量は、0.001〜20wt%程度とするのが好ましい。
ここで、この距離が近すぎると、基板12に形成される柱の傾斜(基板の法線に対する角度)にバラツキが生じる、組成や粒状物や充填率などの膜質にバラツキが生じる、蒸着源26から発生する熱等によって基板12がダメージを受けてしまう等の不都合を生じる可能性が有る。逆に遠すぎると、組成や粒状物や充填率などの膜質にバラツキが生じる、材料利用効率の低下、過剰な設備の巨大化による生産性の低下やコスト高等の不都合が生じる可能性が有る。
以上の点を考慮すると、蒸発源26と基板12との距離は、100〜2000mm、特に、300〜1000mmとするのが好ましい。
蒸発源26と基板12との距離を上記範囲とすることにより、防曇膜14を構成する柱の角度が適切に揃った、かつ、基板12(基材/被処理物)にダメージが少ない、均一な膜質の防曇膜14を安定して形成できる。
ここで、成膜圧力は、防曇膜14の充填率に影響を与え、成膜圧力が高い(真空度が低い)方が、充填率が低くなる。また、成膜圧力は、防曇膜14を構成する柱の角度にも影響を与える。
本発明者の検討によれば、成膜圧力を5×10-4〜5×101Paの範囲とすることにより、より安定して、前記の角度で傾斜した柱からなる通常構造を有し、また、前述の充填率(0.5〜0.9)を有する防曇膜14を形成できる。
これに応じて、成膜圧力範囲内(好ましくは、前記成膜範囲内)において、酸素ガスを導入しつつ防曇膜14を形成してもよい。
防曇膜14を形成する際にも、必要に応じて、このような温度調整手段30aを用いる等の手段によって、基板12の温度を調整しつつ、成膜するのが好ましい。
例えば、防曇膜14として、酸化珪素膜を形成する場合には、ガラスの転移温度は600〜800℃程度であるので、基板12の温度を600℃以下として、防曇膜14を形成するのが好ましい。また、基板12が高分子フィルムで有る場合には、基板12の変性を防止するために、基板12の温度を80℃以下として、防曇膜14を形成するのが好ましい。
ここで、本発明者の検討によれば、蒸着レートは、膜厚として、1nm/min〜1000nm/min程度が好ましい。
基板12として厚さ0.7mmのコーニング社製合成ガラス1737を用い、図1に示す蒸着装置10によって、この基板12に、防曇膜14として酸化硅素膜を成膜した。
成膜材料としては、1〜3mmの顆粒状の酸化硅素(SiO2)を用いた。
基板12を基板ホルダ30に取り付け、蒸発源26に成膜材料を充填した後、真空チャンバ24を閉塞して、真空ポンプ28を稼働して、真空チャンバ24内を減圧した。
真空チャンバ24内の圧力が8.0×10-4Paとなった時点で、電子銃22を駆動して、電子ビーム(EB)によって酸化硅素を約2000℃に加熱して溶解を開始し、真空チャンバ24内の圧力が1.5×10-3Paで安定した時点で、図示しないシャッタを開放して、基板12への酸化硅素膜すなわち防曇膜14の形成を開始した(成膜圧力は1.5×10-3Pa)。
なお、成膜レートは300nm/minとした。これは、予め行なった実験に応じて制御した。また、防曇膜14の形成中は、温度調整手段30aによって、基板12の温度を50℃に調整した。
作製した11種の各防曇膜について、断面をSEMで観察して、基板12の法線Hと、防曇膜の柱状構造を形成する柱とが成す角度β(傾斜角[°])を調べた。
各防曇膜14の表面に、温度が40℃で、湿度が90%RHの水蒸気混合気体を1cmの距離から吹きかけ、曇りを生じる時間を調べ、防曇性を確認した。
水蒸気混合気体を1分以上秒吹きかけても全く曇らない防曇膜をA;
水蒸気混合気体を10秒吹きかけた時点で曇り始めた防曇膜をB;
水蒸気混合気体を5秒吹きかけた時点で曇り始めた防曇膜をC;
水蒸気混合気体を3秒吹きかけた時点で曇り始めた防曇膜をD;
水蒸気混合気体を1秒吹きかけた時点で曇り始めた防曇膜をE;
と評価した。
前記防曇性試験の結果に対して、曇り始める時間が半分になった時点(例えば、前記防曇性試験で10秒で曇り始めた検体が、5秒で曇り始めるようになった時点)を防曇効果が50%以下となったと判断して、防曇効果が50%以下になるまでの経時時間で、防曇持続性を確認した。
半年以上でも防曇効果が50%以下にならない防曇膜を5;
1カ月以内で防曇効果が50%以下になった防曇膜を4;
10日以内で防曇効果が50%以下になった防曇膜を3;
3日以内で防曇効果が50%以下になった防曇膜を2;
1日以内で防曇効果が50%以下になった防曇膜を1;
と評価した。
前記防曇性の検査で蒸気を吹きかけても全く防曇膜14の剥離を生じないものを○;
前記防曇性の検査で蒸気を吹きかけた際に防曇膜14の一部に剥離を生じたものを△;
前記防曇性の検査で蒸気を吹きかけなくても、自然に防曇膜14の一部に剥離を生じたものを×;
と評価した。
表1に示されるように、本発明の形成方法による防曇膜14は、柱が10〜70°の範囲で傾斜しており、いずれも、防曇膜14の柱が基板面に直立している従来の防曇膜に比して優れた特性を有しており、特に、柱の傾斜角(角度β)が25〜45°のものは、非常に優れた防曇性、防曇持続性、および、基板密着性を有している。
12 基板
14 防曇膜
22 電子銃
24 真空チャンバ
26 蒸発源
28 真空ポンプ
30 基板ホルダ
32 ガス導入手段
34 EB電源
36 電源
Claims (8)
- 無機酸化物を主成分とする防曇膜を気相成膜法によって形成するに際し、
前記防曇膜を形成される基板の法線と、防曇膜の材料粒子が前記基板に入射する入射方向とが成す角度を20〜85°として、前記防曇膜の形成を行なうことを特徴とする防曇膜の形成方法。 - 真空蒸着によって前記防曇膜の形成を行なう請求項1に記載の防曇膜の形成方法。
- 基板と材料源との距離を100〜2000mmとして前記防曇膜の形成を行なう請求項1または2に記載の防曇膜の形成方法。
- 成膜圧力を5×10-4〜5×101Paとして前記防曇膜の形成を行なう請求項1〜3のいずれかに記載の防曇膜の形成方法。
- 成膜圧力の調整用ガスとして、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、および、キセノンガスから選択される1以上を用いる請求項1〜4に記載の防曇膜の形成方法。
- 酸素ガスを導入しつつ前記防曇膜の形成を行なう請求項1〜5のいずれかに記載の防曇膜の形成方法。
- 前記基板の温度を600℃以下に制御して前記防曇膜の形成を行なう請求項1〜6のいずれかに記載の防曇膜の形成方法。
- 前記基板の温度を80℃以下に制御して前記防曇膜の形成を行なう請求項1〜6のいずれかに記載の防曇膜の形成方法。
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