JP2001315247A - 親水性被膜を具えた物品 - Google Patents

親水性被膜を具えた物品

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coating
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Toru Nakamura
徹 中村
Akiko Miyagawa
晶子 宮川
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Nikon Corp
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/22Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with other inorganic material
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C2217/00Coatings on glass
    • C03C2217/70Properties of coatings
    • C03C2217/77Coatings having a rough surface

Abstract

(57)【要約】 【課題】 油性物質を主成分とする汚れを容易に除去可
能な物品を得る。 【解決手段】 本発明の物品は、無機酸化物を主成分と
する親水性被膜であって、付着する油性物質を水により
除去可能にする微細凹凸の集合体を表面に有するもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、付着した油性物質
が容易に除去できる親水性被膜を具えた物品に関し、特
に油性物質が水で除去できる構造を有する親水性被膜を
具えた物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】汚れ物質は、水性の物質からなるものと
油性の物質からなるものに大別することができる。水性
物質は、水で洗い流すことで容易に除去することができ
るが、油性物質は、水では除去することができない。そ
のため、油性物質の除去には、ベンジンやアルコール等
の有機溶媒を用いるか、または界面活性剤水溶液等を用
いて落とす必要があった。このように、水性物質を主成
分とする汚れに比べ、油性物質を主成分とする汚れの除
去は、困難なものであった。
【0003】また、例えば化粧品には、油性物質を含む
ものが多くある。そのため化粧品の容器の汚れは除去し
難いものであるが、商品の性格上、汚れの問題は排除し
たいものであった。
【0004】また、ホワイトボードへの記載に用いる筆
記具は、水溶性又はアルコール可溶性の親水性のインク
を使用したものが一般的である。このような筆記具で文
字等をボード上に記載し、記載された文字等は、布等で
拭き取ることにより容易に消去することができる。
【0005】ホワイトボードは、アルミニウム等の金属
基板の上に白色塗料等の白色樹脂が形成されたものが一
般的である。また、PET(ポリエチレンテレフタレー
ト)からなる白色に着色された樹脂層上に、硬質樹脂か
らなるトップコート層を積層したものもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、酸化チタン製の
光触媒を表面にコートした防汚性物品が報告されてい
る。このコートを用いればコート上の油汚れは、水で洗
い流すことが可能になる。しかし、光触媒効果で除去で
きる汚れの種類には限りがあるのに加え、その効果を発
揮させるためには、コート表面に多量の紫外線を頻繁に
照射しなければならず、手間がかかるものであった。ま
た、紫外線を人為的に照射することは、安全衛生上望ま
しくないものであった。
【0007】また、油性物質に対して優れた除去効果を
奏する洗剤もあるが、近年、排水による海洋汚染の原因
としてその使用が制限されるようになってきており、従
来の様に無制限に用いることは困難になりつつある。ま
た、油性物質の除去に有効な有機溶剤も環境汚染や発癌
性の問題があり、使用が制限されるのに加え、物品を構
成する材料が侵されることもあり、事前のテスト無しに
安全に使用することができない問題があった。
【0008】このようなことから、頑固な油汚れをこれ
ら特殊な化学物質を用いずに、除去することが長年求め
られてきた。また、従来のホワイトボードの場合、筆記
具は、前記したとおり専用のインクを用いたものが必要
であった。そして、従来から広い用途に用いられてお
り、入手が容易である一般的な油性ペンを用いホワイト
ボードに記載した場合、これを容易に消去することがで
きなかった。そのため、一般的な油性ペンをホワイトボ
ードに使用することができないために、例えばホワイト
ボード専用の筆記具のインクが無くなった場合、従来か
ら身近かにある一般的な油性ペンを代用することができ
ず、不便なものであった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、表面に付
着する油性物質を容易に除去できる手段を研究した。そ
の結果、表面に微細凹凸を具えた無機酸化物からなる被
膜の表面に付着した油汚れは、乾いた布等で容易に除去
できることを見い出した。更に、従来、水では除去でき
なかった油性物質からなる汚れも、本発明のような、表
面に微細凹凸を具えた無機酸化物からなる被膜上の汚れ
であれば、水を用いて洗い流すか、あるいは水に濡らし
た布等を用いて、容易に除去できることを見い出した。
【0010】また、本発明者は、本発明の無機酸化物よ
りなる被膜の表面に油性ペンで書いた字は、容易に拭き
取れることを見出した。そこで本発明は、第1に「無機
酸化物を主成分とする親水性被膜であって、付着する油
性物質を水により除去可能にする微細凹凸の集合体を表
面に有することを特徴とする親水性被膜を具えた物品
(請求項1)」を提供する。第2に「前記物品は、シー
ト状であることを特徴とする請求項1に記載の親水性被
膜を具えた物品(請求項2)」を提供する。第3に「請
求項2に記載の前記シート状の物品が表面に設けられて
いることを特徴とする親水性被膜を具えた物品(請求項
3)」を提供する。第4に「前記微細凹凸の深さのRM
S値は、10Å以上、500Å以下であることを特徴と
する請求項1又は2又は3に記載の親水性被膜を具えた
物品(請求項4)」を提供する。第5に「前記微細凹凸
のピッチは、1Å以上、1000Å以下であることを特
徴とする請求項1又は2又は3又は4に記載の親水性被
膜を具えた物品(請求項5)」を提供する。第6に「前
記微細凹凸の集合体は、下記条件を満足するものである
ことを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5に
記載の親水性被膜を具えた物品。[凹凸のピッチ平均
値]/[凹凸の深さのRMS値]≦1(請求項6)」を
提供する。第7に「前記親水性被膜の膜厚は、500Å
以上であることを特徴とする請求項1又は2又は3又は
4又は5又は6に記載の親水性被膜を具えた物品(請求
項7)」を提供する。第8に「前記親水性被膜の表面の
[炭素の原子数]/[Mの原子数](但し、無機酸化物
をMxOyで表わす)は、0.1以下であることを特徴
とする前記1又は2又は3又は4又は5又は6又は7に
記載の親水性被膜を具えた物品(請求項8)」を提供す
る。第9に「前記親水性被膜は、柱状構造を有すること
を特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5又は6
又は7又は8に記載の親水性被膜を具えた物品(請求項
9)」を提供する。第10に「前記親水性被膜の下側に
反射防止膜を具えるか、或いは前記親水性被膜が反射防
止膜の最上層を構成していることを特徴とする請求項1
又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9に
記載の親水性被膜を具えた物品(請求項10)」を提供
する。第11に「無機酸化物を主成分とする親水性被膜
であって、油性ペンにより記載された文字等を水により
除去可能にする微細凹凸の集合体を表面に有することを
特徴とする親水性被膜を具えたホワイトボード(請求項
11)」を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において、親水性被膜を形
成する材料は、無機酸化物であり、その中でも、酸化珪
素が好ましい。酸化珪素は、単独で構成されていても良
いし、他の無機酸化物との混合物でも良い。また、チタ
ンと珪素の混合酸化物、ジルコニアと珪素の混合酸化
物、アルミニウムと珪素の混合酸化物等で構成されてい
ても良い。
【0012】これら以外で使用可能な無機酸化物として
は、酸化亜鉛や酸化タンタル、酸化タングステン等が挙
げられる。また酸化珪素を用いる場合、酸化珪素の屈折
率は、1.5程度と比較的低いため、表面の光反射を抑
える効果を具える。従って、ホワイトボードの表面に本
発明の親水性被膜を形成すれば、記載された文字等が見
易く、油性ペンが使用できるホワイトボードを得ること
ができる。
【0013】親水性被膜の全面に形成する微細凹凸の深
さのRMS値は、10Å以上、500Å以下であること
が好ましく、20Å以上のものが更に好ましい。このよ
うな微細凹凸の深さは、原子間力顕微鏡(AFM)で求
めることができる。
【0014】また、凹凸のピッチは、1Å以上、100
0Å以下が好ましい。また、微細凹凸は、[凹凸のピッ
チ平均値]/[凹凸の深さのRMS値]≦1の条件を満
たすことが好ましい。つまり、凹凸のRMS値が大きい
方が望ましく、凹凸のピッチが細かい方が望ましい条件
ということである。このときの凹凸のピッチ平均値は、
任意に凸部を10個選択し、これらの平均をとることが
好ましいが、10個を超える凸部の平均をとってもよ
い。
【0015】このように表面に微細凹凸を有する親水性
被膜が、優れた親水性を長期間継続できる理由は明らか
ではない。しかし、本発明者等は、本発明を成した経緯
の中で、膜の表面に微細凹凸を具えると膜表面に付着す
る水分量が増え、その付着した水分が油性物質の強固な
付着を妨げるものと推測している。
【0016】親水性被膜の膜厚は、500Å以上が好ま
しい。更に好ましくは、1000Å以上である。このよ
うな膜厚にした場合、親水性が長期間持続するものであ
る。本発明者等は、基材上に堆積した膜厚が薄い状態で
は膜表面の粗さは小さく、堆積させる膜の膜厚が次第に
厚くなるのに従って、膜の表面粗さが増大することを見
い出した。これは、膜厚が500Å以上になると、膜の
表面に十分な親水性を有するために必要な水分量の水が
付着できる表面粗さになるためと推測している。
【0017】また親水性被覆は、反射防止膜の上又は反
射防止膜の一部(最上層)として構成することにより、
反射防止性能と親水性を兼ね備えた被膜とすることがで
きる。このようなな反射防止膜は、光学物品全般に有効
である。このように親水性被膜を反射防止膜の一部とし
て成膜する場合の膜厚は、500Å以上、1200Å以
下にすることが好ましい(より好ましくは1000Å以
下)。
【0018】また、本発明の親水性薄膜の表面は、X線
光電子分光法で分析し、検出された元素の原子数の比
で、[炭素の原子数]/[Mの原子数](ただし、無機
酸化物をMxOyで表す)が0.1以下にすることが好
ましい。このようにすることにより、より親水性に優れ
た親水性被膜を得ることが可能になる。
【0019】この値から判るように、親水性被膜表面の
炭素の量を通常の無機酸化物被膜表面に比べて少量にす
ることが好ましい。炭素は、表面に存在する油性物質の
成分である有機系物質を構成する主要元素である。炭素
の量が小さい程、表面の油性物質が少なく、親水性に優
れたものになる。
【0020】このような親水性被膜表面に存在する炭素
原子の量及びM原子の量は、X線光電子分光法で分析可
能である。X線光電子分光法とは、試料表面にX線を照
射し、放出された電子(光電子)を検出する分析法であ
る。検出した光電子のエネルギーからその光電子を放出
した元素を特定して定性分析を行う。更に、検出した光
電子の量から、その光電子を放出した元素の定量分析を
行う。光電子の脱出深さはX線の照射角度や照射された
元素により異なるが、おおよそ数Åから数十Å程度であ
る。従って分析試料の表面情報のみを検出することがで
き、優れた表面分析法であると言える。
【0021】更に、本発明の親水性被膜は、シート状の
部材、例えばプラスチックシートやプラスチックフィル
ム等の基材上に形成してもよい。。前記のようにシート
上やフィルム上に親水性被膜を形成し、これを適当な大
きさ、形状に分離し、親水性被膜を形成したい部材上に
貼着すれば、直接、スパッタリング法により親水性被膜
を成膜することが困難な大きさの部材や、スパッタリン
グ法で成膜し難い形状の部材にも親水性を容易に付与す
ることが可能になる。
【0022】また、シート状やフィルム状であることか
ら、これを自由に曲げることもできるので、自由曲面等
の複雑な表面形状の建材等の表面にも親水性を付与する
ことができる。更に、親水性被膜が形成された面とは、
反対側のシートの表面に予め粘着剤を塗布しておけば、
貼り付けが極めて簡単になる。
【0023】本発明の親水性被膜の膜構造は、柱状構造
にすることが好ましく、柱状構造にすることにより、親
水性の性能をより向上させることができる。これは、柱
状構造を有する膜は、その構造上、表面に付着する水分
量が多くなり、油性物質の付着を妨げる効果が大きいた
めと推測している。
【0024】このような柱状構造を形成するには、スパ
ッタリング法を用いて形成する場合、成膜時の真空槽内
の圧力を比較的高めに設定する(例えば、1Pa以上、
10Pa以下)か、RFパワーを通常の反射防止膜等に
用いる酸化膜の形成時よりも高めに設定する。また、親
水性被膜を形成する基材表面を予めプラズマ処理する
か、アルカリ処理することにより粗面化しておくことも
柱状構造を形成するのに有効である。
【0025】スパッタリング法を用いると、成膜温度を
80℃以下、条件によっては50℃以下という低温にす
ることが可能になる。従って、耐熱性の低いプラスチッ
ク基材の表面にも親水性被膜を安心して成膜することが
できる。
【0026】本発明の親水性被膜は、従来、油汚れが付
着し易く、かつ除去することが困難であった物品全てに
幅広く用いることができる。例えば、口紅キャップやコ
ンパクト等の様な化粧用品は、汚れがつき易い反面、常
に清潔に保っておくことが必要とされる。これらの物品
の表面に本発明の無機酸化物を成膜すると、例え汚れて
も、水に濡らした布や紙で容易に汚れを落とすことがで
きる。
【0027】また、テレビやパソコン等のモニター類
も、油性物質を含む汚れが付着しやすい物品に挙げるこ
とができる。これらのディスプレイの表面に本発明の親
水性被膜を成膜しておくと、汚れが付着し難いだけでな
く、一般家庭で通常行う拭き掃除の要領で、汚れを容易
に除去することができる。
【0028】更に蛍光灯や電球、及びそれらの傘等も油
性物質に伴う汚れが目立つ物品として挙げられる。これ
らの表面に本発明の親水性被膜を成膜しておくと、やは
り簡単な拭き掃除で汚れを容易に除去することができ
る。
【0029】また自動車やオートバイ、自転車等、屋外
に置かれることが多い乗物も油汚れが付着し易い。これ
らの表面を本発明の無機酸化膜で覆えば、水をかけて洗
い流すだけで、簡単に洗車することができる。
【0030】更に、食器の表面に本発明の親水性被膜を
成膜すると、洗剤を使わなくても水洗するだけで油汚れ
を落とすことが可能になる。そして、ホワイトボードの
表面に使用することができる。前記したように従来のホ
ワイトボードは、専用の筆記具を必要としており、誤っ
て油性ペンで書くと、消すことが困難になるという問題
があった。しかし、本発明の無機酸化膜を表面に具えた
ホワイトボードは、一般の油性マジック(登録商標)で
書き込んだ文字も容易に拭き取る事ができる。拭き取る
際には乾いた布や水に濡らした紙や布で軽く拭くだけで
良い。
【0031】また、ホワイトボード専用の筆記具が無く
なった場合、従来は、当然、専用の筆記具に交換しなけ
ればならず、交換する専用の筆記具が無い場合、ホワイ
トボードの使用ができなくなってしまう場合があった。
しかし、前記したように本発明の親水性被膜を具えたホ
ワイトボードは、一般的な油性ペンでの記載、及び消去
が容易にできるものである。そのため、ホワイトボード
専用の筆記具を用いずに、より身近に存在する一般的な
油性ペンを用いてホワイトボードを使用することが可能
なため、専用の筆記具を用意する必要はなくなり、筆記
具の交換もより障害なく行えるようになる。
【0032】以下、実施例により本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。 [実施例1] (1)親水性被膜の成膜 基材として、厚さ3mmのポリカーボネート板を使用し
た。この基材表面にRFスパッタリング法にてケイ素酸
化物からなる親水性被膜を形成した。尚、スパッタター
ゲットとしてSiO2ターゲットを使用し、スパッタガ
スとしてArガスを使用した。スパッタ時の圧力は2P
aとし、RFパワーは800W、成膜時間は30分で、
1000Åの親水性被膜を有する物品を得た。 (2)防汚性能の評価 前記(1)で無機酸化膜を成膜したポリカーボネート板
を家庭用テレビのブラウン管の前に据付け、ディスプレ
イカバーとして3ヶ月間使用した。比較のために、親水
性被膜を成膜しないポリカーボネート板も同様の評価に
供した。
【0033】本発明の親水性被膜を具えたポリカーボネ
ート板は、薄っすらと汚れていたものの、濡らした紙で
拭くと、汚れは完全に除去できた。これに対し、本発明
の親水性被膜を設けていないポリカーボネートは、汚れ
が目立ち、かつ水に濡らした紙では汚れは落ちなかっ
た。この汚れは、洗剤により除去することはできた。 (3) 親水性被膜表面のAFM及びSEM観察 上記(1)で成膜した酸化膜をAFMおよびSEMにて
形態観察した。AFM観察から膜表面のRMS値を求め
たところ、10Åであった。また、SEMにより膜断面
を観察した結果、柱状構造を成していることが判った。
【0034】[実施例2] (1)親水性被膜の成膜 市販の口紅の容器に実施例1と同じ条件でケイ素酸化物
からなる親水性被膜を成膜した。 (2)防汚性能の評価 前記(1)で無機酸化物を成膜した口紅の容器に口紅を
セットし、1ヶ月間使用した。また、比較のために、ケ
イ素酸化物を成膜しない容器に入った口紅も同様に使用
した。
【0035】1ヶ月間の使用後には、どちらの口紅容器
にも口紅や油汚れが付着していた。しかし、本発明の親
水性被膜を設けた容器の汚れは、濡らした紙で容易に拭
き取る事ができた。これに対し、親水性被膜を設けてい
ない容器の汚れは、アルコールを用いないと完全に落と
すことはできなかった。
【0036】[実施例3]市販のホワイトボードの表面
に実施例1と同じ要領で親水性被膜を成膜した。市販の
油性ペンで被膜上に文字を書いたところ、問題なく書く
ことができた。
【0037】次に、市販のウェットティッシュで書いた
文字の上を擦ったところ、容易に文字を消すことができ
た。
【0038】
【発明の効果】以上の様に本発明の親水性被膜を施せ
ば、従来は洗剤や有機溶剤等を使用しなければ除去でき
なかった油性の物質を、容易に除去することが可能な表
面を得ることができる。そのため、環境の汚染や人体へ
の悪影響を起こすことなく油性物質からなる汚染の除去
を容易に行うことが可能になる。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機酸化物を主成分とする親水性被膜で
    あって、付着する油性物質を水により除去可能にする微
    細凹凸の集合体を表面に有することを特徴とする親水性
    被膜を具えた物品。
  2. 【請求項2】 前記物品は、シート状であることを特徴
    とする請求項1に記載の親水性被膜を具えた物品。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の前記シート状の物品が
    表面に設けられていることを特徴とする親水性被膜を具
    えた物品。
  4. 【請求項4】 前記微細凹凸の深さのRMS値は、10
    Å以上、500Å以下であることを特徴とする請求項1
    又は2又は3に記載の親水性被膜を具えた物品。
  5. 【請求項5】 前記微細凹凸のピッチは、1Å以上、1
    000Å以下であることを特徴とする請求項1又は2又
    は3又は4に記載の親水性被膜を具えた物品。
  6. 【請求項6】 前記微細凹凸の集合体は、下記条件を満
    足するものであることを特徴とする請求項1又は2又は
    3又は4又は5に記載の親水性被膜を具えた物品。[凹
    凸のピッチ平均値]/[凹凸の深さのRMS値]≦1
  7. 【請求項7】 前記親水性被膜の膜厚は、500Å以上
    であることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又
    は5又は6に記載の親水性被膜を具えた物品。
  8. 【請求項8】 前記親水性被膜の表面の[炭素の原子
    数]/[Mの原子数](但し、無機酸化物をMxOyで
    表わす)は、0.1以下であることを特徴とする前記1
    又は2又は3又は4又は5又は6又は7に記載の親水性
    被膜を具えた物品。
  9. 【請求項9】 前記親水性被膜は、柱状構造を有するこ
    とを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5又は
    6又は7又は8に記載の親水性被膜を具えた物品。
  10. 【請求項10】 前記親水性被膜の下側に反射防止膜を
    具えるか、或いは前記親水性被膜が反射防止膜の最上層
    を構成していることを特徴とする請求項1又は2又は3
    又は4又は5又は6又は7又は8又は9に記載の親水性
    被膜を具えた物品。
  11. 【請求項11】 無機酸化物を主成分とする親水性被膜
    であって、油性ペンにより記載された文字等を水により
    除去可能にする微細凹凸の集合体を表面に有することを
    特徴とする親水性被膜を具えたホワイトボード。
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