JP2917525B2 - 表面を光触媒的に親水化する方法、および、光触媒性親水性表面を備えた複合材 - Google Patents

表面を光触媒的に親水化する方法、および、光触媒性親水性表面を備えた複合材

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信 早川
栄一 小島
圭一郎 則本
町田  光義
厚 北村
俊也 渡部
真 千国
昭 藤嶋
和仁 橋本
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、光触媒の作用により物品の表面を親水化す
る(即ち、親水性にする)方法に関する。本発明は、ま
た、光触媒で形成された親水性の表面を備えた複合材に
関する。本発明は、物品の防曇、汚れ防止、自己浄化、
その他の用途に利用することができる。
背景技術 本発明者は、先に、光触媒の作用により物品の表面を
高度に親水化する方法を提案した(国際公開公報WO96/2
9375)。この方法に従えば、物品の表面はアナターゼ型
チタニアのような半導体光触媒のコーティングによって
被覆される。この光触媒性コーティングに光を照射する
ことにより光触媒を充分な照度で充分な時間にわたり光
励起すると、光触媒性コーティングの表面は水との接触
角が約0度になる程度に高度に親水化される。
WO96/29375に開示されているように、このような高度
に親水化可能な光触媒性コーティングは、防曇、汚れ防
止、自己浄化、その他種々の目的で種々の物品に適用す
ることができる。例えば、車両の風防ガラス、建物の窓
ガラス、眼鏡のレンズ、或いは鏡のような透明物品を光
触媒性コーティングで被覆した場合には、光触媒の光励
起に伴いコーティングの表面は高度に親水化され、その
結果、物品が凝縮湿分や湯気で曇ったり付着水滴で翳っ
たりするのが防止される。或いは、屋外に配置された建
物や物品が光触媒性コーティングで被覆されている場合
には、親水化された表面に付着した親油性又は疎水性の
煤塵や汚染物は降雨の都度雨水により洗い流され、表面
は自己浄化される。
光触媒を光励起するためには、半導体である光触媒の
バンドギャップエネルギよりも高いエネルギをもった光
を照射する種々の光源が利用される。チタニアのように
光励起波長が紫外線領域にある光触媒の場合には、その
光励起には紫外線を要する。その場合、物品が太陽光の
照射を受けるような条件では、有利なことに光触媒は太
陽光に含まれる紫外線によって光励起される。
光励起が継続する限りは、光触媒性コーティングの表
面は恒久的に親水性に維持される。光励起を中断する
と、表面の親水性は次第に低下する。これは、光触媒性
コーティングの表面が疎水性の物質によって次第に汚染
されるからであると考えられる。しかし、光触媒を再び
光励起すれば、親水性は回復する。
太陽光によって光触媒を光励起する場合のように、光
励起が断続的に行われる場合には、光励起の中断に伴い
表面の親水性は減衰し、光励起の再開に伴い親水性は回
復するので、親水性の減衰と回復が交互に繰り返される
ことになる。
本発明の主たる目的は、上記方法を改良し、より容易
に表面を親水化することの可能な方法を提供することで
ある。
本発明の他の目的は、上記方法を改良し、より微弱
な、即ち、照度のより小さな光をもってしても表面を高
度に親水化することの可能な方法を提供することであ
る。
本発明の他の目的は、光励起を中断したり物品が暗闇
に置かれた時でも、表面の高度の親水性をできるだけ長
時間持続させることの可能な方法を提供することであ
る。
また、本発明の他の目的は、光励起中断後再び光励起
した時に、短時間で或いは微弱な光で表面の親水性を回
復させることの可能な方法を提供することである。
他の観点においては、本発明の目的は、上記方法の実
施に使用する複合材を提供することである。
発明の開示 固体と気体との界面における表面エネルギγは、分
子分散力成分γs dと双極子成分γs pと水素結合成分γs h
の3成分で構成されることが知られている。
本発明者は、光触媒に光励起に伴い光触媒性コーティ
ングの表面が親水化されたときには、表面エネルギγ
の上記3成分のうちで水素結合成分γs hのみが顕著に増
加することを発見した。
本発明者は、更に、光触媒性コーティングの親水化
は、その表面に光触媒作用による水が物理吸着されるこ
とに因るものであることを発見した。
本発明は斯る発見に基づくもので、本発明に従えば、
基材は光触媒を含有する光触媒性コーティングによって
被覆される。光触媒性コーティングに光を照射すること
により光触媒を光励起すると、光触媒作用により光触媒
性コーティングの固/気界面における表面エネルギγ
の水素結合成分γs hが増加し、これにより、光触媒性コ
ーティングの表面に水分子が水素結合により物理吸着す
るのが促進され、表面には高密度の物理吸着水層が形成
される。
このように、光触媒性コーティングの表面に物理吸着
水層が形成されるので、光触媒性コーティングは容易に
高度に親水化される。この物理吸着水層があるので、光
励起が中断した後でも表面の親水性は長時間持続し、親
水性の減衰は最小限となる。また、再び光励起した時に
は、短時間で或いは微弱な光で表面の親水性は容易に回
復する。
本発明者の知見によれば、光触媒性コーティングの表
面の親水性は、表面エネルギの水素結合成分γs hに関連
がある。そこで、本発明の好適な実施態様においては、
光触媒性コーティングには、その固/気界面における表
面エネルギの水素結合成分γs hを増加させる固体物質を
担持させる。
このようにすれば、光触媒性コーティング表面エネル
ギの本来の(即ち、光触媒の非励起時における)水素結
合成分γs hが高くなるので、光触媒を光励起した時の表
面エネルギの水素結合成分はそれに応じて一層高まる。
その結果、光触媒作用による物理吸着水層の形成が一層
促進される。更に、光励起を中断した時に物理吸着水層
が減少するのが遅延される。
光触媒性コーティングの表面エネルギの水素結合成分
γs hを増加させる物質には、陽子供与体(ブレンステッ
ド酸)若しくは電子受容体(ルイス酸)として働く固体
酸がある。かかる固体酸は、それ自体、水素結合成分γ
s hが大きいので、光触媒性コーティングの表面に担持さ
せると光触媒性コーティングの表面の水素結合成分γs h
を増加させる。
固体酸には、例えば、金属酸化物複合体、又はAl2O3
・SiO2がある。金属酸化物複合体は、酸化物超強酸、Ti
O2/WO3、WO3/ZrO2、又はWO3/SnO2を含む。酸化物超強酸
は、100%硫酸よりも強い酸強度を有する固体酸化物と
定義され、ハメットの酸度関数Hoで表してHo≦−11.93
の酸強度を持つ固体酸化物である。
本発明者は、また、光触媒性コーティングの表面エネ
ルギの水素結合成分γs hが増加すると、それに対応して
水中における固体表面の油との接触角が増加することを
発見した。
従って、他の観点においては、本発明は、基材の表面
の水中における撥油性を向上させる方法を提供する。本
発明に従えば、基材は光触媒を含有する光触媒性コーテ
ィングによって被覆される。光触媒性コーティングに光
を照射することにより光触媒を光励起すると、光触媒作
用により光触媒性コーティングの固/気界面における表
面エネルギγの水素結合成分γs hが増加し、これによ
り、基材の表面の水中における撥油性が向上する。
表面の水中溌油性を向上させるこの方法は、油で汚れ
た基材を清浄化するのに利用することができる。即ち、
油が付着した光触媒性コーティングを水中に浸漬し或い
は水で濡らしたときには、油汚れは容易に表面から釈放
され、洗剤を使用することなく除去される。
本発明の上記特徴や効果、並びに他の特徴や効果は、
以下の実施例の記載につれて明らかとなろう。
図面の簡単な説明 第1A〜1C図は、異なる波長の紫外線を光触媒性コーテ
ィングの表面に照射したときの水との接触角の時間的変
化を示すグラフであり; 第2A図および第2B図、第3A図および第3B図、第4A図お
よび第4B図、第5A図および第5B図、第6A図および第6B図
は、夫々、光触媒性コーティングの表面の赤外分光スペ
クトルを示し; 第7図は、光触媒性コーティングの固/気界面を顕微
鏡的に拡大して示す模式的断面図で、光触媒作用により
表面に水分子が物理吸着される様子を示し; 第8図は、硫酸担持光触媒性コーティングの固/気界
面を顕微鏡的に拡大して示す模式的断面図; 第9図は、或る実施例における硫酸担持或いは硫酸無
担持の光触媒性コーティングを暗所に放置したときの水
との接触角の時間的変化を示すグラフ; 第10図は、光触媒性コーティングを再び光励起したと
きの水との接触角の時間的変化を示すグラフ; 第11図は、第8図同様の図で、硫酸担持チタニアの表
面のブリッジOH基の水分子が物理吸着されたところを示
し; 第12図は、第8図同様の図で、硫酸担持チタニアの表
面のチタン原子に水分子が結合したところを示す。
発明を実施するための最良の形態 親水性の光触媒性コーティングは目的に応じて種々の
物品に設けることができる。
湿分凝縮水や水滴の付着による光学障害を防止する防
曇の目的のためには、建物の窓ガラス;自動車、鉄道車
両,航空機,船舶,潜水艇のような乗り物の窓ガラスお
よび風防ガラス;車両用バックミラー、浴室用又は洗面
所用鏡、歯科用歯鏡、道路鏡のような鏡;眼鏡レンズ,
光学レンズ,写真機レンズ、内視鏡レンズ、照明用レン
ズのようなレンズ;防護用又はスポーツ用ゴグル又はマ
スク(潜水用マスクを含む)のシールド;ヘルメットの
シールド;計測機器のカバーガラスを親水性光触媒性コ
ーティングで被覆することができる。
屋外に曝露される建造物、建築物、機械装置や物品の
表面を親水性光触媒性コーティングで被覆すれば、それ
らの表面はセルフクリーニングされる。或いは、煤塵や
排気ガスが接触するおそれのある物品を光触媒性コーテ
ィングで被覆すれば、その表面に疎水性の煤塵が付着す
るのを防止することができる。
光触媒性コーティングの水中撥油性を利用し、油汚れ
を簡単に除去するためには、機械や部品、食器、台所用
品、その他油で汚れやすい物品を光触媒性コーティング
で被覆することができる。
光触媒 光触媒性コーティングに用いる光触媒としては、チタ
ニア(TiO2)が最も好ましい。チタニアは、無害であ
り、化学的に安定であり、かつ、安価に入手可能であ
る。更に、チタニアはバンドギャップエネルギが高く、
従って、光励起には紫外線を必要とし、光励起の過程で
可視光を吸収しないので、補色成分による発色が起こら
ない。従って、ガラスやレンズや鏡のような透明部材に
コーティングするのに特に適している。ルチル型チタニ
アも使用可能であるが、アナターゼ型チタニアの方が好
ましい。アナターゼ型チタニアの利点は、非常に細かな
微粒子を分散させたゾルを市場で容易に入手することが
でき、非常に薄い薄膜を容易に形成することができるこ
とである。高度に親水化可能な光触媒性コーティングを
得るためには、硝酸解膠型のチタニアゾルを使用するの
が好ましい。
使用可能な他の光触媒としては、ZnO、SnO2、SrTi
O3、WO3、Bi2O3、Fe2O3のような金属酸化物がある。こ
れらの金属酸化物光触媒は、チタニアと同様に、表面に
金属元素と酸素が存在するので、表面が親水化しすいと
考えられる。
光触媒性コーティングの形成 光触媒性コーティングはWO96/29375に開示されている
種々のやり方で基材に被着することができ、その開示は
ここに援用する。単に概略的に述べるに、基材が金属、
セラミックス、ガラスのような耐熱性の材料で形成され
ている場合には、水との接触角が0゜になる程度の高度
の親水性を呈する耐摩耗性に優れた光触媒性コーティン
グを形成する好ましいやり方の1つは、例えばテトラエ
トキシチタンのような有機チタン化合物の加水分解と脱
水縮重合により先ず基材の表面を無定形チタニアで被覆
し、次いで400〜600℃の温度で焼成することにより無定
形チタニアを結晶性チタニア(アナターゼ)に相変化さ
せることである。
水との接触角が0゜になる程度の高度の親水性を呈す
る耐摩耗性に優れた光触媒性コーティングを形成する他
の好ましいやり方は、光触媒性チタニアにシリカ又は酸
化錫を配合することである。
基材がプラスチックスのような非耐熱性の材料で形成
されている場合や、基材が有機塗料で塗装されている場
合には、水との接触角が0゜になる程度の超親水性を呈
する光触媒性コーティングを形成する更に他の好ましい
やり方は、未硬化の若しくは部分的に硬化したシリコー
ン(オルガノポリシロキサン)又はシリコーンの前駆体
からなる塗膜形成要素に光触媒の粒子を分散させてなる
塗料用組成物を用いることである。
WO96/29375に開示したように、この塗料用組成物を基
材の表面に塗布し、塗膜形成要素を硬化させてシリコー
ン塗膜を形成した後、光触媒を光励起すると、シリコー
ン分子のケイ素原子の結合した有機酸は光触媒の光触媒
作用により水酸基に置換され、光触媒性コーティングの
表面は超親水化される。
表面エネルギ増強剤の担持 光触媒性コーティングの表面エネルギの水素結合成分
を増加させ、もって、水の物理吸着を促進するため、光
触媒性コーティングには固体酸を担持させることができ
る。
例えば、固体酸として硫酸又は硝酸を担持させる場合
には、基材を光触媒性チタニアコーティングで予め被覆
し、その上に硫酸又は硝酸を塗布し、次いで約400〜600
℃の温度で熱処理する。これにより、チタニアの表面の
チタン原子にスルホン酸基又はニトロ基が結合し、表面
エネルギの水素結合成分が増加する。硫酸や硝酸に代え
て、スルホン酸やピクリン酸を用いてもよい。
或いは、固体酸として金属酸化物複合体又はAl2O3・S
iO2を担持させてもよい。その際、TiO2/WO3は600〜800
℃の温度で焼成したときに最も酸度が大きく、ハメット
の酸度関数HoはHo=−13〜−14になる。WO3/SnO2は900
〜1100℃の温度で焼成したときに最も酸度が大きく、Ho
=−13〜−14になる。WO3/ZrO2は700〜900℃の温度で焼
成したときに最も酸度が大きく、Ho=−13〜−15にな
る。WO3/Fe2O3は600〜800℃の温度で焼成したときに最
も酸度が大きく、Ho=−12〜−13になる。Al2O3・SiO2
は400〜600℃の温度で焼成したときに最も酸度が大き
く、Ho=−12〜−13になる。
従って、酸度の大きさの観点からは、TiO2/WO3、WO3/
ZrO2、WO3/SnO2が好ましい。
他方、光触媒性コーティングをガラス基材上に形成す
る場合には、ガラス基材に顕著な軟化が生じない400〜6
00℃の温度で焼成したときに最も酸度が大きなAl2O3・S
iO2が好ましい。
固体酸として金属酸化物複合体を担持させる場合に
は、金属酸化物複合体を構成する金属元素の少なくとも
一部を含む酸化物粒子又は金属酸を使用することができ
る。基材を光触媒性チタニアコーティングで予め被覆
し、その上にこの酸化物量子又は金属酸を塗布し、次い
で金属酸化物複合体が強い酸度を示す温度で焼成する。
光触媒励起用光源 光触媒性コーティングの光触媒を光励起するために
は、半導体である光触媒のバンドギャップエネルギより
高いエネルギの波長の光を照射しなければならない。あ
る種の光触媒の励起には紫外線を要する。例えば、アナ
ターゼ型チタニアは波長387nm以下、ルチル型チタニア
は413nm以下、酸化錫は344nm以下、酸化亜鉛は387nm以
下の紫外線で光励起される。
チタニアのように励起波長が紫外線領域に位置する光
触媒の場合には、紫外線光源としては、紫外線ランプ、
水銀灯、メタルハライドランプなどを使用することがで
きる。蛍光灯や白熱電灯のような室内照明灯に含まれる
微弱な紫外線でも光触媒を励起することができる。
建物の窓ガラスや車両のバックミラーや屋外に配置さ
れた物品のように、物品が太陽の照射を受ける条件で
は、太陽光に含まれる紫外線による光触媒を光励起する
のが有利である。
表面の親水化 光触媒性コーティングに光を照射することにより光触
媒を光励起すると、光触媒性コーティングの表面は高度
に親水化される。光励起を中断すると親水性は次第に減
衰するが、再び光励起すると親水性は回復する。例え
ば、光触媒を太陽光によって励起する場合には、日中は
太陽の照射により光触媒性コーティングの表面は親水化
され、夜間には親水性は低下しながらも或る程度のレベ
ルを持続し、再び太陽が昇ると親水性は回復する。こう
して、物品の表面は高度の親水性を維持する。
従って、建物窓ガラス、乗り物の窓ガラスおよび風防
ガラス、鏡、レンズ、ゴグルやヘルメットのシールド、
又は計測機器のカバーガラスのような物品を光触媒性コ
ーティングで被覆した場合には、空気中の湿分や湯気が
結露しても、凝縮水は個々の水滴を形成することなく一
様な水膜になるので、表面には光散乱性の曇りは発生し
ない。
同様に、窓ガラスや車両用バックミラーや車両用風防
ガラスや眼鏡レンズやヘルメットのシールドが降雨や水
しぶきを浴びても、表面に付着した水滴は速やかに一様
な水膜に広がるので、離散した目障りな水滴が形成され
ない。
従って、高度の視界と可視性を確保することができ、
車両や交通の安全性を保証し、種々の作業や活動の能率
を向上させることができる。
建物や屋外に配置された機械装置や物品を光触媒性コ
ーティングで被覆した場合には、光触媒は日中は太陽の
照射により光励起され、光触媒性コーティングの表面は
親水化される。さらに、物品は時折降雨にさらされる。
親水化された表面には疎水性の煤塵や汚染物質よりも水
の方が馴染みやすく、疎水性の煤塵や汚染物質は水によ
り表面から遊離されるので、親水化された表面が降雨を
受ける都度、表面に付着した煤塵や汚染物質は雨水によ
り洗い流され、表面はセルフクリーニングされる。ま
た、親水性の光触媒性コーティングの表面には親油性の
煤塵は付着しにくい。
機械やその部品、食器、台所用品、その他油で汚れや
すい物品を光触媒性コーティングで被覆した場合には、
光触媒作用により表面の水中撥油性が向上する。従っ
て、油や脂肪で汚れたこれらの物品を水に浸漬し、水で
濡らし、又は水で濯ぐと、光触媒性コーティングの表面
は油を弾くので、油汚れは表面から釈放され、容易に除
去される。従って、例えば、油や脂肪で汚れた物品を洗
剤を使用することなく洗浄することができる。
参考例 参考例1 光触媒作用による親水化現象 エタノールの溶媒86重量部に、テトラエトキシシラン
Si(OC2H5(和光純薬、大阪)6重量部と純水6重
量部とテトラエトキシシランの加水分解速度調整剤とし
て36%塩酸2重量部を加えて混合し、シリカコーティン
グ溶液を調製した。混合により溶液は発熱するので、混
合液を約1時間放置冷却した。この溶液をフローコーテ
ィング法により10cm四角のソーダライムガラス板の表面
に塗布し、80℃の温度で乾燥させた。乾燥に伴い、テト
ラエトキシシランは加水分解を受けて先ずシラノールSi
(OH)になり、続いてシラノールの脱水縮重合により
無定形シリカの薄膜がガラス板の表面に形成された。
次に、テトラエトキシチタンTi(OC2H5(Merck)
1重量部とエタノール9重量部との混合物に加水分解速
度調整剤として36%塩酸を0.1重量部添加したチタニア
コーティング溶液を調製し、この溶液を前記ガラス板の
表面に乾燥空気中でフローコーティング法により塗布し
た。塗布量はチタニアに換算して45μg/cm2とした。テ
トラエトキシチタンの加水分解は極めて早いので、塗布
の段階でテトラエトキシチタンの一部は加水分解され、
水酸化チタンTi(OH)が生成し始めた。
次に、このガラス板を1〜10分間約150℃の温度に保
持することにより、テトラエトキシチタンの加水分解を
完了させると共に、生成した水酸化チタンを脱水縮重合
に付し、無定形チタニアを生成させた。こうして、無定
形シリカのベースコートの上に無定形チタニアのトップ
コートが形成されたガラス板を得た。
この試料を500℃の温度で焼成して、無定形チタニア
をアナターゼ型チタニアに変換さて、#1試料を得た。
#1試料を数日間暗所に放置した後、20Wのブラック
ライトブルー(BLB)蛍光灯(三共電気、FL20BLB)を用
いて試料の表面に0.5mW/cm2の紫外線照度(アナターゼ
型チタニアのバンドギャップエネルギより高いエネルギ
の紫外線−387nmより短い波長の紫外線−の照度)で約
1時間紫外線を照射し、#2試料を得た。
比較のため、シリカおよびチタニアのコーティングを
施さないガラス板を数日間暗所に放置した後、#3試料
とした。
#2試料と#3試料の水との接触角を接触角測定器
(埼玉県朝霞市の協和界面科学社製、形式CA−X150)に
より測定した。この接触角測定器の低角度側検出限界は
1゜であった。接触角は、マイクロシリンジから試料表
面に水滴を滴下した後30秒後に測定した(以下の参考例
でも同じ)。#2試料の表面の水に対する測定器の読み
は0゜であり、超親水性を示した。これに対し、#3試
料の水との接触角は30〜40゜であった。
このことは、チタニアコーティングの表面がチタニア
の光触媒作用により高度に親水化されたことを示してい
る。
同様にして、ソーダライムガラス板の表面を無定形チ
タニアの薄膜で被覆し、このガラス板を500℃の温度で
焼成して無定形チタニアをアナターゼ型チタニアに変換
させることにより#4試料を得た。#4試料をデシケー
タ(温度24℃、湿度45〜50%)内に配置し、0.5mW/cm2
の照度で、水との接触角が3゜になるまで紫外線を照射
した。
次に、#4試料を暗所に放置し、異なる時間間隔で#
4試料を暗所から取り出し、水との接触角をその都度測
定した。接触角の変化を次表1に示す。
表1は、光触媒の光励起を中断すると、時間の経過に
つれて次第に親水性が減衰することを示している。これ
は、光触媒性コーティングの表面が疎水性の物質によっ
て汚染されるからであると考えられる。
参考例2 励起波長の影響 アナターゼ型チタニアゾル(大阪の石原産業、STS−1
1)を15cm四角の施釉タイル(東陶機器、AB02E01)の表
面にスプレーコーティング法により塗布し、800℃の温
度で10分間焼成し、#1試料を得た。この試料と、比較
のためチタニア被覆のない施釉タイルを10日間暗所に放
置した後、Hg−Xeランプを用いて次表2の条件で単色紫
外線を照射しながら水との接触角の時間的変化を計測し
た。
測定結果を第1A図から第1C図のグラフに示す。これら
のグラフにおいて、白点でプロットした値は#1試料の
水との接触角を表し、黒点でプロットした値はチタニア
被覆のない施釉タイルの接触角を表す。
第1C図のグラフから分かるように、アナターゼ型チタ
ニアのバンドギャップエネルギに相当する波長387nmよ
り低いエネルギの紫外線(387nmより長い波長の紫外
線)では、紫外線を照射しても親水化が起こらない。
それに対して、第1A図および第1B図のグラフに示すよ
うに、アナターゼ型チタニアのバンドギャップエネルギ
より高いエネルギの紫外線では、紫外線照射に応じて表
面が親水化されることが分かる。
以上のことから、表面の親水化は半導体光触媒が光励
起されなければ起こらないのであり、表面の親水化は光
触媒作用に起因することが確認された。
なお、この参考例の試料の水との接触角が0゜になら
なかったのは、参考例1に較べ、この参考例ではガラス
基材とチタニア層との間にシリカの層が介在させてない
ので、800℃での焼成中にナトリウムのようなアルカリ
網目修飾イオンがタイル釉薬からチタニアコーティング
中に拡散し、アナターゼの光触媒活性を阻害したものと
考えられる。
参考例3 光触媒作用による水の物理吸着 アナターゼ型チタニアの粉末(日本エアロゾル社製、
P−25)をプレスして3個のディスク状の試料を製作し
た。これらの試料を夫々下記の試験1〜試験3に付し、
試料の表面をフーリエ変換型赤外分光計(FTS−40A)を
用いてフーリエ変換型赤外分光分析(FT−IR)により検
査した。各試験において紫外線照射には波長366nmの紫
外線ランプ(UVL−21)を用いた。
赤外吸収スペクトルの分析に際しては、下記の吸収帯
は夫々下記の情報を示すものとした。
波数3690cm-1の鋭い吸収帯:化学吸着水のOH結合の伸
縮 波数3300cm-1の広い吸収帯:物理吸着水のOH結合の伸
縮 波数1640cm-1の鋭い吸収帯:物理吸着水のHOH結合の
曲がり 波数1700cm-1、1547cm-1、1475cm-1、1440cm-1、1365
cm-1の吸収帯:試料表面への汚染物質の吸着により形成
したカルボニル基 試験1 先ず、プレス直後のチタニア・ディスクについて赤外
分光分析を行った。プレス直後のディスクの吸収スペク
トルを第2A図および第2B図のグラフに#1カーブで示
す。
次に、シリカゲルの乾燥剤を入れたドライボックス中
にチタニア・ディスクを17時間保管した後、吸収スペク
トルを検出した。吸収スペクトルを第2A図および第2B図
に#2カーブで示す。#1スペクトルと#2スペクトル
を対比すれば分かるように、#2スペクトルでは波数36
90cm-1の吸収が激減しており、化学吸着水が減少したこ
とを示している。同様に、#2スペクトルでは波数3300
cm-1および1640cm-1の吸収が激減しており、物理吸着水
もやはり減少したことを示している。このことから、乾
燥空気中での17時間の保管により化学吸着水と物理吸着
水のいずれもが減少したことが分かる。試料がチタニア
粉末をプレス成形した多孔質のディスクであるためディ
スク表面の水との接触角を測定することはできなかった
が、上記操作をアナターゼ型チタニアの薄膜上で行った
場合には薄膜の表面の水との接触角は増加するものと考
えられる。
これに対し、カルボニル基に因る波数1300cm-1〜1700
cm-1の吸収は増加しており、保管中に汚染物質(カルボ
ニル基を含む化合物)が試料表面に吸着され、表面が汚
染されたことを示唆している。
次に、ドライボックス中でチタニアディスクに約0.5m
W/cm2の紫外線照度で約1時間紫外線を照射した後、吸
収スペクトルを検出した。吸収スペクトルを第2A図およ
び第2B図のグラフに#3カーブで示す。
#3スペクトルから分かるように、波数3690cm-1の吸
収はほぼ回復している。また、波数3300cm-1および1640
cm-1の吸収も初期値と同じレベルまでに回復している。
従って、紫外線照射により化学吸着水の量と物理吸着水
の量のいづれもが元通りに回復したことが分かる。
前述の参考例1から推測されるように、上記操作を薄
膜上で行った場合には、紫外線照射により薄膜の表面は
親水化され、水との接触角は減少するものと考えられ
る。
次に、試料を大気に連通する暗室中に24時間保管した
後、吸収スペクトルを検出した。線図が過剰に錯綜する
のを避けるため、吸収スペクトルを第2A図および第2B図
とは別の第3A図および第3B図のグラフに#4カーブで示
す。なお、対比の便宜上、第3A図および第3B図のグラフ
には#2スペクトルが再現してある。#4スペクトルが
示すように、波数3690cm-1および1640cm-1の吸収は若干
減少している。従って、紫外線照射後の試料を大気中の
湿分の存在下で暗室中に保管すると化学吸着水および物
理吸着水がやや減少することが分かる。しかし、波数13
00cm-1〜1700cm-1の吸収は増加しており、カルボニル化
合物が更に付着したことを示している。上記操作を薄膜
上で行った場合には汚染に伴い薄膜の表面の水との接触
角は増加するものと考えられる。
最後に、同じく大気に連通する暗室中でチタニアディ
スクに再び0.5mW/cm2の紫外線照度で約1時間紫外線を
照射した後、赤外分光分析に付した。吸収スペクトルを
第3A図および第3B図のグラフに#5カーブで示す。グラ
フに示されているように、波数3690cm-1の吸収には変化
はないが、波数3300cm-1の吸収は急増し、波数1640cm-1
の吸収は増加している。従って、紫外線の再度の照射に
より化学吸着水の量は変化しなかったが、物理吸着水の
量は増加したことが分かる。汚染物質(カルボニル化合
物)の量には変化が無く、紫外線照射によって除去され
ていない。上記操作を薄膜上に行った場合には薄膜の表
面の水との接触角は減少するものと考えられる。
試験2 先ず、プレス直後のチタニア・ディスクについて赤外
吸収スペクトルを測定した(第4A図および第4B図のグラ
フの#1スペクトル)。次に、ディスクに約0.5mW/cm2
の照度で1時間紫外線を照射した後、吸収スペクトルを
検出した(第4A図および第4B図の#2スペクトル)。デ
ィスクに同じ照度で更に1時間(計2時間)、更に1時
間(計3時間)、および更に2時間(計5時間)紫外線
を照射した後、吸収スペクトルを夫々検出した(夫々、
第5A図および第5B図の#3、#4、および#5スペクト
ル、)。
#1スペクトルと#2スペクトルを対比すれば分かる
ように、最初に紫外線を照射したときには、化学吸着水
および物理吸着水の量は共に増加した。その間にカルボ
ニル化合物の付着量は僅かに増加した。上記操作を薄膜
上で行った場合には、紫外線照射に伴い水との接触角は
減少するであろう。
更に1時間(計2時間)紫外線を照射したときには、
化学吸着水の量はやや減少したが、物理吸着水の量は変
化しなかった(#2スペクトルと#3スペクトル対
比)。カルボニル化合物の付着量は僅かに増加した。物
理吸着水の量に変化がなかったのは、物理吸着水が飽和
したためと考えられる。上記操作を薄膜上で行った場合
には、水との接触角は不変に維持されると考えられる。
更に1時間(計3時間)、および、更に2時間(計5
時間)紫外線を照射すると、化学吸着水の量は更に減少
したが、物理吸着水の量は変化しなかった(#4および
#5スペクトル参照)。カルボニル化合物の付着量は増
加した。上記操作を薄膜上で行った場合には、水との接
触角は不変であると考えられる。
試験3 この試験は試験1に似ており、主な相違点は紫外線照
度を小さくしたことである。
先ず、プレス直後のチタニア・ディスクについて赤外
吸収スペクトルを測定した(第6A図および第6B図のグラ
フの#1スペクトル)。次に、試料を大気に連通する暗
室中に34時間保管した後、吸収スペクトルを検出した
(第6A図および第6B図の#2スペクトル)。次に、同じ
暗室中でチタニアディスクに0.024mW/cm2の照度で約2
時間紫外線を照射した後、吸収スペクトルを検出した
(第6A図および第6B図の#3スペクトル)。
グラフから分かるように、大気中の湿分の存在下で暗
室中にディスクを放置することにより、化学吸着水およ
び物理吸着水の量は共に減少する。カルボニル化合物の
付着量は増加しているので、上記操作を薄膜上で行った
場合には、水との接触角は増加すると考えられる。
紫外線照射に応じて、化学吸着水の量はやや増加し、
物理吸着水の量は元通りに回復するまでに増加してい
る。その間にカルボニル化合物の付着量はやや増加して
いる。上記操作を薄膜上で行った場合には、水との接触
角は増加すると考えられる。
評価 以上の試験の結果を次表3にまとめた。
表3から良く分かるように、物理吸着水の量の増加は
紫外線照射に良く対応している。
この点に関し、第7図の上部に示したように、チタニ
アコーティング10のチタニア結晶の結晶面では、1個の
チタン原子にはターミナルOH基12が結合し、 隣接する2個のチタン原子にはブリッジOH基14が結合
し、これらのOH基が化学吸着水の層を形成していると考
えられる。大気中の湿分の存在下で紫外線を照射する
と、第7図の下部に示したように、水分子がターミナル
OH基およびブリッジOH基の水素原子に水素結合16により
物理吸着し、物理吸着水の層18を形成すると考えられ
る。
前述したように、物理吸着水量の増加は紫外線照射に
良く対応しているので、この参考例は、物理吸着水層16
の生成はチタニアの光触媒作用によって引き起こされる
ことを示している。この物理吸着水層16の存在によりチ
タニアの表面の親水性が向上すると解される。
これに対し、カルボニル化合物の付着量は空気との接
触時間が増大するに応じて増加するように見受けられ
る。光触媒を光励起すれば、カルボニル化合物の付着量
の増加にも拘わらず、表面の親水性が向上すると考えら
れる。
参考例4 表面エネルギと親水性 エタノールの溶媒86重量部に、テトラエトキシシラン
(和光純薬)6重量部と純水6重量部とテトラエトキシ
シランの加水分解速度調整剤として36%塩酸2重量部を
加えて混合しシリカコーティング溶液を調製し、1時間
放置後、ソーダライムガラスにフロー・コーティング法
により塗布し、無定形シリカのベースコートで被覆され
た2枚のガラス板を得た。
次に、テトラエトキシチタン(Merck)1重量部とエ
タノール9重量部との混合物に加水分解速度調整剤とし
て36%塩酸を0.1重量部添加したチタニアコーティング
溶液を調製し、この溶液を前記ガラス板の表面に乾燥空
気中でフローコーティング法により塗布した。塗布量は
チタニアに換算して45μg/cm2とした。
次に、このガラス板を乾燥空気中で1〜10分間約150
℃の温度に保持することにより、無定形チタニアのトッ
プコートで被覆された2枚のガラス板を得た。
更に、これらのガラス板を夫々440℃および550℃の温
度で焼成して無定形チタニアをアナターゼ型チタニアに
変換さて、#1試料と#2試料を夫々得た。
これらの試料の表面の水との接触角を測定した。さら
に、表面エネルギの各成分が既知の液体として、ホルム
アミド、β−チオジグリコール、エチレングリコール、
α−ブロモナフタレン、ヘキサクロロブタジエン、ヨウ
化メチレンを選び、これらの液体との接触角を夫々測定
した。
次に、これらの試料の表面にブラックライトブルー蛍
光灯(FL20BLB)を用いて0.5mW/cm2の紫外線照度で約1
時間紫外線を照射した後、再び、水、ホルムアミド、β
−チオジグリコール、エチレングリコール、α−ブロモ
ナフタレン、ヘキサクロロブタジエン、ヨウ化メチレン
との接触角を夫々測定した。
紫外線照射の前後で測定された各液体との接触角を次
表4に示す。特に、#1試料が高度に親水化され、水と
の接触角が0゜になっているのが注目される。
次に、斯く測定された接触角に基づいて、以下のやり
方でチタニアコーティングの表面自由エネルギーを求め
た。
先ず、固体表面に液体を滴下したときに液体が固体表
面に対して成す接触角θは、固体と気体との界面におけ
るギブスの自由エネルギをγ、液体と気体との界面に
おけるギブスの自由エネルギをγ、固体と液体との界
面におけるギブスの自由エネルギをγSLとしたときに、
次のヤングの式(1)が成立することが知られている。
γ・cosθ=γ−γSL (1) また、液体と固体が接触する時に放出されるギブスの
自由エネルギは接触仕事(WSL)と言われ、次のデュブ
レの式(2)で与えられる。
WSL=γ+γ−γSL (2) さらに、畑および北崎氏の拡張Fowkes式(日本接着協
会誌8、131、1972)によれば、 (式中、添字dは表面エネルギの分子分散力成分を表
し、添字pは表面エネルギの双極子成分を表し、添字h
は表面エネルギの水素結合成分を表す) 式(1)および式(2)より、 WSL=(1+cosθ)・γ (4) 式(3)および式(4)より、 が得られる。
或る液体Lの表面エネルギの分子分散力成分γL d、双
極子成分γL p、および水素結合成分γL hが既知であり、
かつ、接触角θが既知である場合には、式(5)から最
小二乗法により或る固体Sの3つのパラメータγS d、γ
S p、およびγS hを求めることができる。
ところで、水、ホルムアミド、β−チオジグリコー
ル、エチレングリコール、α−ブロモナフタレン、ヘキ
サクロロブタジエン、およびヨウ化メチレンの表面エネ
ルギの3成分γL d、γL p、およびγL hは次表5に示すよ
うに知られている(原崎勇二『わかりやすいコーティン
グ技術』、理工出版、93頁)。
表4に示した接触角θの実測値と表5に示した種々の
液体の表面エネルギの既知の3成分γL d、γL p、および
γL hを式(5)に代入し、最小二乗法によりチタニアコ
ーティング表面エネルギの各成分γS d、γS p、およびγ
S hを計算した。その結果を次表6に示す。
表6から分かるように、#1試料および#2試料のい
づれにおいても、紫外線照射に伴い表面エネルギの水素
結合成分γS hが著しく増加していることが発見された。
これに対し、表面エネルギの分子分散力成分γS dおよび
双極子成分γS dには明確な変化は観察されない。
このことから、光触媒の光励起により起こる光触媒作
用により光触媒性コーティングの表面エネルギの水素結
合成分γS hが増加し、これが水分子の物理吸着を促進
し、その結果物理吸着水の量が増加して表面が高度に親
水化されるものと考えられる。
参考例5 水中における撥油性 この参考例は、光触媒性コーティングの表面エネルギ
の水素結合成分γS hが増加すると、それに対応して表面
の水中における撥油性が向上するという発見に関する。
参考例4の#1試料と#2試料の表面の水中撥油性を
紫外線照射の前後で検査した。このため、慣用のやり方
に従い、油を代表する液体としてヨウ化メチレンを選ん
だ。紫外線照射の前後の#1試料と#2試料の表面にヨ
ウ化メチレンを滴下し、試料表面を水平姿勢に保持しな
がら水槽に満たした水中に浸漬した。
紫外線照射前の#1試料および#2試料では、ヨウ化
メチレンは光触媒性コーティングと水との界面にレンズ
状に付着したままであった。横から写真を撮り、写真に
基づいて水中における光触媒性コーティング表面のヨウ
化メチレンとの接触角を測定したところ、接触角は#1
試料では80゜、#2試料では70゜であった。
紫外線照射後の#1試料および#2試料では、水中に
浸漬したところ、光触媒性コーティングの表面はヨウ化
メチレンを良く弾き、ヨウ化メチレンは丸まって油滴と
なり、間もなく試料表面から遊離して浮上した。従っ
て、接触角を測定することができなかった。
そこで、水中におけるヨウ化メチレンとの接触角を以
下のようにして計算により求めた。
一般に、固体表面に油を滴下して水中に浸漬したとき
の油と固体表面との接触角θ(即ち、水中における固体
表面の油との接触角)については、固体と水の界面にお
けるギブスの自由エネルギをγSW、油と水との界面にお
けるギブスの自由エネルギをγLW、固体と油との界面に
おけるギブスの自由エネルギをγSLとすると、ヤング式
より、次式が適用する。
γLW・cosθ=γSW−γSL (6) よって、 cosθ=(γSW−γSL)/γLW (7) また、畑および北崎氏の拡張Fowkes式によれば、
γSW、γSL、γLWは、夫々、 (ここで、γは水と気体との界面におけるギブスの自
由エネルギ) 従って、油の種類が決定されれば、式(8)、
(9)、(10)より、γSW、γSL、γLWが求まり、それ
らを式(7)に代入すれば、水中における固体表面の油
との接触角θを算出することができる。
参考例4の#1試料と#2試料について、前掲表5に
記載した紫外線照射の前後におけるデータと、表4に示
した水およびヨウ化メチレンの表面エネルギの各成分の
既知の値を式(8)〜式(10)に代入することにより、
自由エネルギγSW、γLW、γSLを求め、次いで式(7)
により水中における光触媒性コーティング表面のヨウ化
メチレンとの接触角θを計算した。結果を次表7に示
す。
表7から分かるように、#1試料と#2試料のいづれ
においても、紫外線照射後のヨウ化メチレンとの接触角
θは大幅に増加している。これは、前記実験において水
中で光触媒性コーティングの表面がヨウ化メチレンを良
く弾いたことに一致している。これは、また、油が付着
した光触媒性コーティングを水中に浸漬し或いは水は濡
らしたときには、油汚れは簡単に取り除かれることを意
味している。
この現象を考察するに、前掲表5から分かるように、
水と油とで表面エネルギの値に最も差があるのは表面エ
ネルギの水素結合成分である。即ち、ヨウ化メチレンで
代表される油では表面エネルギの水素結合成分γL hは一
般に小さくゼロに近いのに対して、水では表面エネルギ
の水素結合成分γW hは42.4と大きい。このため、式
(8)では、γS hが増加すると が大きく増加し、γS Wが減少する。
これに対し、式(9)では、γS hが増加するとその分
γは増加するが、γL hがゼロに近いので は変化せず、結局γSLは増加する。
従って、式(7)から分かるように、光触媒性コーテ
ィング表面の表面エネルギの水素結合成分γS hが増加す
ると、水中における固体表面の油との接触角θが増加
し、光触媒性コーティングの表面は水中における撥油性
を呈するものと考えられる。
参考例6 水中における撥油性−オレイン酸 参考例4と同様のやり方で無定形シルカのベースコー
トと無定形チタニアのトップコートで被覆されたガラス
板を得た。このガラス板を475℃の温度で焼成すること
により無定形チタニアをアナターゼ型チタニアに変換さ
せた。
次に、この試料の表面にブラックライトブルー蛍光灯
(FL20BLB)を用いて0.5mW/cm2の紫外線照度で約1時間
紫外線を照射した。
この試料と、光触媒性コーティングなしのソーダライ
ムガラス板とに、空気中でオレイン酸を滴下し、夫々の
試料の表面のオレイン酸との接触角を測定した。空気中
でのオレイン酸との接触角はいづれの試料も35゜であっ
た。
次に、夫々の試料を水中に浸漬し、水中でのオレイン
酸との接触角を測定した。水中でのオレイン酸との接触
角は、光触媒性コーティング付きのガラス板では85゜、
光触媒性コーティングなしのガラス板では38.5゜であっ
た。このことから、光励起された光触媒性コーティング
は水中で撥油性を示すことが確認された。
参考例7 光触媒含有シリコーン被膜の水中撥油性 10cm四角のアルミニウム板を使用した。基材の表面を
平滑化するため、予めシリコーン樹脂被膜で被覆した。
次に、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産
化学、TA−15、平均粒径0.01μm)にシリコーン前駆体
であるトリメトキシメチルシラン(日本合成ゴムの塗料
用組成物“グラスカ”のB液)を、チタニアとシリコー
ンとの固形分重量和に対しチタニアの割合が50重量%に
なるように添加し、プロパノールで希釈した後、硬化剤
を添加してチタニア含有シリコーン塗料を調製した。
このチタニア含有シリコーン塗料をアルミニウム板に
塗布した150℃の温度で硬化させ、アナターゼ型チタニ
ア粒子がシリコーン被膜中に分散されたトップコートを
形成した。
この試料にブラックライトブルー蛍光灯(FL20BLB)
を用いて0.5mW/cm2の紫外線照度で約1日間紫外線を照
射した。得られた試料の吸牛率は1%未満であった。
この試料と、チタニア含有シリコーン被膜なしのアル
ミニウム板とに、空気中でサラダ油を滴下し、夫々の試
料の表面のサラダ油との接触角を測定した。空気中での
サラダ油との接触角は、チタニア含有シリコーン被膜試
料では22゜、チタニア含有シリコーン被膜なしの試料で
は39゜であった。
次に、夫々の試料を水中に浸漬し、水中でのサラダ油
との接触角を測定した。水中でのサラダ油との接触角
は、チタニア含有シリコーン被膜のガラス板では105
゜、チタニア含有シリコーン被膜なしのガラス板では35
゜であった。
チタニア含有シリコーンで被覆された試料を指で弾い
て振動を与えると、表面に付着していたサラダ油はサン
プル表面を離れて浮上した。しかし、チタニア含有シリ
コーン被覆のない試料では、サラダ油は表面に付着した
ままであり、かえってサラダ油は表面に広がった。
以上から、光触媒を配合したシリコーン被覆に光を照
射し、光触媒を光励起すると、光触媒作用により表面が
親水化して表面エネルギの水素結合成分が増加し、水中
における撥油性が増加するものと考えられる。
参考例8 硫酸担持光触媒性コーティング 参考例1と同様のやり方で無定形シリカのベースコー
トと無定形チタニアのトップコートで被覆された2枚の
ソーダライトガラス板を調製した。
一方のガラス板の表面に5重量%硫酸水溶液を約0.8m
l塗布した後、約525℃の温度で焼成することにより、#
1試料を得た。焼成により、無定形チタニアはアナター
ゼ型チタニアに変換すると共に、チタニアの表面のチタ
ン原子には第8図に示したようにスルホン酸基が結合
し、硫酸担持チタニアが形成される。
比較のため、硫酸を塗布しない他方のガラス板を同様
に約525℃の温度で焼成することにより、無定形チタニ
アをアナターゼ型チタニアに変換させ、#2試料を得
た。
夫々の試料を2日間暗所に放置しながら、試料表面の
水との接触角を測定した。接触角の変化を第9図に示
す。第9図のグラフから分かるように、硫酸を表面に担
持させた#1試料では、硫酸無担持の#2試料に較べ、
暗所に放置したときの接触角の増加の度合いが小さく、
製造直後の親水性がより良く維持される、つまり、疎水
化が遅いことが注目される。
次に、2日間暗所に放置した後の#1および#2試料
の表面にブラックライトブルー蛍光灯(FL20BLB)を用
いて0.5mW/cm2の紫外線照度で紫外線を照射し、照射時
間に対する試料表面の水との接触角の変化を測定した。
結果を第10図に示す。
第10図のグラフから分かるように、硫酸無担持の#2
試料では水との接触角が3゜未満になるまで親水化する
のに2時間かかるのに対して、硫酸を表面に担持させた
#1試料では1時間で同レベルまで親水化されている。
このことから、表面に硫酸を担持させると、暗所放置後
に光触媒を光励起したときの光触媒性コーティングの親
水化が促進されることが分かる。
スルホン酸基の存在により、第11図に示したようにチ
タニア表面のブリッジOH基の水素原子がブレンステッド
酸点(陽子供与点)として働いて水分子の物理吸着を促
進するか、或いは、第12図に示したように表面のチタン
原子がルイス酸点(電子受容点)として働いて水分子の
物理吸着を促進し、それにより表面の物理吸着水の量が
増加すると考えられる。
実施例 以下の実施例は本発明を種々の観点から示す 実施例1 TiO2/WO3担持光触媒性コーティング アンモニア解膠型アナターゼゾル(大阪の石原産業、
STS−11)1gと、タングステン酸を溶解させた25%アン
モニア水2gを混合し、さらに2gの蒸留水を加えてコーテ
ィング液を得た。コーティング液中のチタニア粒子とタ
ングステン酸のモル比は10:1であった。
次いで5×10cmの施釉タイル(東陶機器、AB02E11)
に、このコーティング液を塗布し、700℃の温度で30分
焼成して、TiO2/WO3を担持したアナターゼ型チタニアの
コーティングで被覆された#1試料を得た。なお、表面
コーティングによる発色は認められなかった。
比較のため、同様の施釉タイル(AB02E11)にチタニ
アゾル(STS−11)を塗布し、700℃の温度で30分焼成し
て、チタニアのみのコーティングで被覆された#2試料
を得た。
焼成直後の各々の試料の表面の水との接触角を測定し
たところ、#2試料では9゜であったのに対し、#1試
料では1゜と低い値を示した。従って、TiO2/WO3担持チ
タニアコーティングは、製造直後において高度の親水性
を呈することが分かる。
次に、夫々の試料を暗所に1日放置し、試料表面の水
との接触角の変化を測定した。#2試料では水との接触
角は40゜まで上昇したのに対し、#1試料では5゜未満
と低い値に維持された。#1試料を暗所に更に4日放置
したが、水との接触角は5゜程度に維持された。
次に、ブラックライトブルー蛍光灯(FL20BLB)を用
いて、0.5mW/cm2の照度で紫外線を約2時間#1試料表
面に照射した。その結果、#1試料の表面は水との接触
角が0゜になるまで超親水化された。
次に、#1試料と#2試料の表面にオレイン酸を塗布
し、中性洗剤でこすり、水道水及び蒸留水で濯いだ後、
乾燥器により50℃で30分乾燥させることにより、表面を
故意に汚染させた。その結果、水との接触角は30〜40゜
まで上昇した。
次に、ブラックライトブルー蛍光灯を用い、0.3mW/cm
2の照度で紫外線を約2時間#1試料の表面に照射し
た。その結果、水との接触角は0゜まで超親水化され
た。#2試料の表面に0.3mW/cm2の照度で紫外線を約1
日間照射したが、水との接触角は9゜であった。
実施例2 TiO2/WO3担持コーティング−焼成温度 焼成温度を除いては実施例1と同じ方法でTiO2/WO3
持アナターゼ型チタニアコーティングで被覆させた2枚
のタイルを調製した。#1試料の焼成温度は600℃と
し、#2試料の焼成温度は750℃とした。
いずれの試料においても、焼成直後の水との接触角は
1゜と低い値を示した。暗所に1日放置した後の試料表
面の水との接触角は5゜未満と低い値に維持された。
次に、これらの試料を実施例1と同様にオレイン酸と
中性洗剤で故意に汚染させたところ、水との接触角は#
1試料では50゜、#2試料では60゜まで上昇した。
次に、0.3mW/cm2の照度で紫外線を約2時間照射した
ところ、いづれの試料の表面も水との接触角が0゜にな
るまで超親水化された。
実施例3 TiO2/WO3担持コーティング−TiO2/WO3の割合 実施例1と同様の方法で、タングステン酸の割合の異
なる4種のコーティングを調製し、タイルに塗布した後
焼成して、TiO2/WO3担持アナターゼ型チタニアコーティ
ングで被覆された4枚のタイル#1〜#4を調製した。
用いたコーティング液中のチタニア粒子とタングステン
酸のモル比は、#1試料では20:1、#2試料では100:
1、#3試料では200:1、#4試料では1000:1であった。
いづれの試料も焼成は700℃の温度で行った。
焼成直後の夫々の試料を実施例1と同様にオレイン酸
と中性洗剤で故意に汚染させた後、0.3mW/cm2の照度で
紫外線を約1日間照射したところ、いづれの試料でも表
面の水との接触角は1゜と低い値を示した。
次に、各試料を暗所に1日放置した後、試料表面の水
との接触角を測定した。水との接触角は、#1試料と#
2試料では10゜未満、#3試料では8゜、#4試料では
9゜と低い値に維持された。
この実施例は、光触媒性コーティングに金属酸化物複
合体であるTiO2/WO3を担持させた場合には、光触媒の光
励起を中断しても親水性が維持されることを示してい
る。
実施例4 スパッタリングによる光触媒性コーティングの形成 10cm角のソーダライムガラム板の表面に電子ビーム蒸
着法により無定型チタニア膜を被着し、その後500℃の
温度で焼成することにより、無定型チタニアを結晶化さ
せてアナターゼ型チタニアを生成させた。アナターゼ型
チタニア被膜の膜厚は100nmであった。
アナターゼ型チタニア被膜の上に25%アンモニア水に
溶解させたタングステン酸を、タングシステン酸重量に
換算して0.6μg/cm2の割合で塗布した後、500℃の温度
で焼成し、試料を得た。
焼成直後の試料表面の水との接触角は2゜と低い値を
示した。
次に、暗所に1日放置し、試料表面の水との接触角の
変化を測定したところ、9゜と低い値に維持されてい
た。
次に、照度0.3mW/cm2で紫外線を1日試料の表面に照
射した。水との接触角を測定したところ0゜であり、表
面は高度に親水化された。
実施例5 アルコキシドによる光触媒性コーティングの形成 エタノールにシリカ前駆体としてのテトラエトキシシ
ランと加水分解抑制剤としてのエタノールアミンを添加
し、テトラエトキシシラン濃度3.5重量%のシリカコー
ティング溶液を調製した。この溶液に10cm角のソーダラ
イムガラム板を浸漬した後、毎分24cmの速度で引き上げ
て、溶液をディップコーティング法によりガラス板の表
面に塗布し、乾燥させた。これにより、テトラエトキシ
シランは加水分解を受けてまずシラノールになり、続い
てシラノールの脱水縮重合により無定型シリカの薄膜が
ガラス板の表面に形成された。
また、エタノールにチタニア前駆体としてのテトラエ
トキシチタンと加水分解抑制剤としてのエタノールアミ
ンを添加し、テトラエトキシチタン濃度3.5重量%のチ
タニアコーティング溶液を調製した。次に、無定型シリ
カの薄膜で予め被覆されたガラス板をこのチタニアコー
ティング溶液に浸漬した後、毎分24cmの速度で引き上げ
て、チタニアコーティング溶液をディップコーティング
法により表面に塗布し、乾燥させた。これにより、テト
ラエトキシチタンは加水分解を受けてまず水酸化チタン
になり、続いて水酸化チタンの脱水縮重合により無定型
チタニアの薄膜(膜厚50nm程度)が表面に形成された。
次に、25%アンモニア水溶液にタングステン酸を0.25
重量%の濃度で溶解させた水溶液にガラス板を浸漬後、
毎分24cmの速度で引き上げて、溶液をディップコーティ
ング法により表面に塗布した。これを500℃で焼成し
て、#1試料を得た。焼成により無定型チタニアが結晶
化してアナターゼ型チタニアが生成した。同時に、少な
くともチタニア膜とタングステン酸膜との界面において
は、TiO2/WO3複合酸化物が生成していると考えられる。
比較のため、タングステン酸水溶液を塗布しないガラ
ス板を500℃で焼成して、#2試料を得た。焼成により
無定型チタニアが結晶化してアナターゼ型チタニアが生
成した。
焼成直後の#1試料及び#2試料の表面にオレイン酸
を塗布し、中性洗剤でこすり、水道水及び蒸留水で濯い
だ後、乾燥器により50℃で30分乾燥させることにより、
表面を故意に汚染させた。次に、これらの試料表面に0.
3mW/cm2の照度で紫外線を1日間照射した後、試料表面
の水との接触角を測定したところ、水との接触角は共に
1゜と低い値を示した。
次に、暗所に6時間放置し、試料表面の水との接触角
の変化を測定した。その結果、#2試料では22゜まで上
昇したのに対し、#1試料では7゜と低い値に維持され
た。
実施例6 硫酸およびTiO2/WO3担持光触媒性コーティング 実施例5と同様のやり方でソーダライムガラス板を先
ず無定型シリカの薄膜で、次いで無定型チタニアの薄膜
で被覆した。
次に、0.25重量%のタングステン酸と0.33重量%の硫
酸アンモニウムを溶解させた1%アンモニア水溶液にガ
ラス板を浸漬した後、毎分24cmの速度で引き上げて、溶
液をディップコーティング法により表面に塗布した。こ
れを500℃で焼成して、試料を得た。焼成により無定型
チタニアが結晶化し、アナターゼからなる光触媒性コー
ティングが表面に生成した。同時に、光触媒性コーティ
ングの表面には、TiO2/WO3複合酸化物が生成すると共
に、チタニアの表面のチタン原子にはスルホン酸基結合
したと考えられる。
焼成直後の試料の表面を実施例5と同様のやり方でオ
レイン酸と中性洗剤で故意に汚染させたところ、水との
接触角は35゜まで上昇した。
次に、試料の表面に0.3mW/cm2の照度で紫外線を1日
間照射した後、試料表面の水との接触角を測定したとこ
ろ、水との接触角は0゜と低い値を示した。
次に、暗所に1日間放置し、試料表面の水との接触角
の変化を測定したところ、9゜と低い値に維持されてい
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C03C 17/23 C03C 17/23 C04B 41/85 C04B 41/85 Z (31)優先権主張番号 特願平8−257304 (32)優先日 平8(1996)8月22日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平8−275193 (32)優先日 平8(1996)9月10日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 町田 光義 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番 1号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 北村 厚 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番 1号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 渡部 俊也 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番 1号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 千国 真 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番 1号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 藤嶋 昭 神奈川県川崎市中原区中丸子710−5 (72)発明者 橋本 和仁 神奈川県横浜市栄区飯島町2037番地2 ニューシティ本郷台D棟213号 (56)参考文献 特開 平7−100378(JP,A) 特開 平7−171408(JP,A) 特開 平6−278241(JP,A) 特開 平7−51646(JP,A) 特開 平6−315614(JP,A) 特開 平7−303835(JP,A) 特開 平8−67835(JP,A) 特開 平10−140046(JP,A) 特開 平10−114544(JP,A) 特開 平10−114545(JP,A) 特開 平9−228072(JP,A) 特開 平9−232096(JP,A) 特開 平9−228326(JP,A) 特開 平9−227159(JP,A) 特開 平9−224960(JP,A) 特開 平9−228134(JP,A) 特開 平9−230107(JP,A) 特開 平9−230493(JP,A) 特開 平9−230108(JP,A) 特開 平9−224793(JP,A) 特開 平9−228602(JP,A) 特開 平9−227161(JP,A) 特開 平9−224800(JP,A) 特開 平9−230118(JP,A) 特開 平9−225387(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09D 1/00,5/00,5/14,5/16 B01J 35/02 C03C 17/23 - 17/25

Claims (32)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材の表面を親水化する方法であって: 光触媒を含む層で被覆された基材を準備する工程と; 前記光触媒を光励起することにより光触媒の光触媒作用
    により表面を親水化する工程と;からなり、 前記層の表面には、固体酸としての金属酸化物複合体が
    担持させてあることを特徴とする基材の表面を光触媒的
    に親水化する方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の方法において、前記金属
    酸化物複合体は酸化物超強酸であることを特徴とする基
    材の表面を光触媒的に親水化する方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の方法において、前記金属
    酸化物複合体はTiO2/WO3、WO3/ZrO2、およびWO3/SnO2
    ら選ばれることを特徴とする基材の表面を光触媒的に親
    水化する方法。
  4. 【請求項4】基材の表面を親水化する方法であって: 光触媒を含む層で被覆された基材を準備する工程と; 前記光触媒を光励起することにより光触媒の光触媒作用
    により表面を親水化する工程と;からなり、 前記層の表面には、固体酸としてのAl2O3・SiO2が担持
    させてあることを特徴とする基材の表面を光触媒的に親
    水化する方法。
  5. 【請求項5】基材の表面を親水化する方法であって: 光触媒を含む層で被覆された基材を準備する工程と; 前記光触媒を光励起することにより光触媒の光触媒作用
    により前記層の固/気界面における表面エネルギの水素
    結合成分(γs h)を増大させる工程と;からなり、 前記層の表面には、前記層の固/気界面における表面エ
    ネルギの水素結合成分(γs h)を増大させる固体酸とし
    ての金属酸化物複合体が担持させてあることを特徴とす
    る基材の表面を光触媒的に親水化する方法。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の方法において、前記金属
    酸化物複合体は酸化物超強酸であることを特徴とする基
    材の表面を光触媒的に親水化する方法。
  7. 【請求項7】請求項5に記載の方法において、前記金属
    酸化物複合体はTiO2/WO3、WO3/ZrO2、およびWO3/SnO2
    ら選ばれることを特徴とする基材の表面を光触媒的に親
    水化する方法。
  8. 【請求項8】基材の表面を親水化する方法であって: 光触媒を含む層で被覆された基材を準備する工程と; 前記光触媒を光励起することにより光触媒の光触媒作用
    により前記層の固/気界面における表面エネルギの水素
    結合成分(γs h)を増大させる工程と;からなり、 前記層の表面には、前記層の固/気界面における表面エ
    ネルギの水素結合成分(γs h)を増大させる固体酸とし
    てのAl2O3・SiO2が担持させてあることを特徴とする基
    材の表面を光触媒的に親水化する方法。
  9. 【請求項9】基材の表面を親水化する方法であって: 光触媒を含む層で被覆された基材を準備する工程と; 前記光触媒を光励起することにより光触媒の光触媒作用
    により前記層の固/気界面における表面エネルギの水素
    結合成分(γs h)を増大させ、もって、前記層の表面に
    水分子が水素結合により物理吸着するのを促進する工程
    と;からなり、 前記層の表面には、前記層の固/気界面における表面エ
    ネルギの水素結合成分(γs h)を増大させる固体酸とし
    ての金属酸化物複合体が担持させてあることを特徴とす
    る基材の表面を光触媒的に親水化する方法。
  10. 【請求項10】請求項9に記載の方法において、前記金
    属酸化物複合体は酸化物超強酸であることを特徴とする
    基材の表面を光触媒的に親水化する方法。
  11. 【請求項11】請求項9に記載の方法において、前記金
    属酸化物複合体はTiO2/WO3、WO3/ZrO2、およびWO3/SnO2
    から選ばれることを特徴とする基材の表面を光触媒的に
    親水化する方法。
  12. 【請求項12】基材の表面を親水化する方法であって: 光触媒を含む層で被覆された基材を準備する工程と; 前記光触媒を光励起することにより光触媒の光触媒作用
    により前記層の固/気界面における表面エネルギの水素
    結合成分(γs h)を増大させ、もって、前記層の表面に
    水分子が水素結合により物理吸着するのを促進する工程
    と;からなり、 前記層の表面には、前記層の固/気界面における表面エ
    ネルギの水素結合成分(γs h)を増大させる固体酸とし
    てのAl2O3・SiO2が担持させてあることを特徴とする基
    材の表面を光触媒的に親水化する方法。
  13. 【請求項13】親水性表面を呈する複合材であって: 基材と、 前記基材の表面に形成された層であって、光触媒を含
    み、前記光触媒の光励起に応じて表面を親水化する層
    と、からなり、 前記光触媒含有層の表面には、固体酸としての金属酸化
    物複合体が担持させてあることを特徴とする親水性表面
    を呈する複合材。
  14. 【請求項14】請求項13に記載の複合材において、前記
    金属酸化物複合体は酸化物超強酸であることを特徴とす
    る親水性表面を呈する複合材。
  15. 【請求項15】請求項13に記載の複合材において、前記
    金属酸化物複合体はTiO2/WO3、WO3/ZrO2、およびWO3/Sn
    O2から選ばれることを特徴とする親水性表面を呈する複
    合材。
  16. 【請求項16】親水性表面を呈する複合材であって: 基材と、 前記基材の表面に形成された層であって、光触媒を含
    み、前記光触媒の光励起に応じて表面を親水化する層
    と、からなり、 前記光触媒含有層の表面には、固体酸としてのAl2O3・S
    iO2が担持させてあることを特徴とする親水性表面を呈
    する複合材。
  17. 【請求項17】親水性表面を呈する複合材であって: 基材と、 前記基材の表面に形成された層であって、光触媒を含
    み、前記光触媒の光励起に応じてその固/気界面におけ
    る表面エネルギの水素結合成分(γs h)を増大する層
    と、からなり、 前記光触媒含有層の表面には、前記層の固/気界面にお
    ける表面エネルギの水素結合成分(γs h)を増大させる
    固体酸としての金属酸化物複合体が担持させてあること
    を特徴とする親水性表面を呈する複合材。
  18. 【請求項18】請求項17に記載の複合材において、前記
    金属酸化物複合体は酸化物超強酸であることを特徴とす
    る親水性表面を呈する複合材。
  19. 【請求項19】請求項17に記載の複合材において、前記
    金属酸化物複合体はTiO2/WO3、WO3/ZrO2、およびWO3/Sn
    O2から選ばれることを特徴とする親水性表面を呈する複
    合材。
  20. 【請求項20】親水性表面を呈する複合材であって: 基材と、 前記基材の表面に形成された層であって、光触媒を含
    み、前記光触媒の光励起に応じてその固/気界面におけ
    る表面エネルギの水素結合成分(γs h)が増大する層
    と、からなり、 前記光触媒含有層の表面には、前記層の固/気界面にお
    ける表面エネルギの水素結合成分(γs h)が増大させる
    固体酸としてのAl2O3・SiO2が担持させてあることを特
    徴とする親水性表面を呈する複合材。
  21. 【請求項21】親水性表面を呈する複合材であって: 基材と、 前記基材の表面に形成された層であって、光触媒を含
    み、前記光触媒の光励起に応じてその固/気界面におけ
    る表面エネルギの水素結合成分(γs h)が増大する層
    と、 前記光触媒の光励起に応じて前記層の表面に物理吸着さ
    れた水分子の層と、からなり、 前記光触媒含有層の表面には、前記層の固/気界面にお
    ける表面エネルギの水素結合成分(γs h)を増大させる
    固体酸としての金属酸化物複合体が担持させてあること
    を特徴とする親水性表面を呈する複合材。
  22. 【請求項22】請求項21に記載の複合材において、前記
    金属酸化物複合体は酸化物超強酸であることを特徴とす
    る親水性表面を呈する複合材。
  23. 【請求項23】請求項21に記載の複合材において、前記
    金属酸化物複合体はTiO2/WO3、WO3/ZrO2、およびWO3/Sn
    O2から選ばれることを特徴とする親水性表面を呈する複
    合材。
  24. 【請求項24】親水性表面を呈する複合材であって: 基材と、 前記基材の表面に形成された層であって、光触媒を含
    み、前記光触媒の光励起に応じてその固/気界面におけ
    る表面エネルギの水素結合成分(γs h)が増大する層
    と、 前記光触媒の光励起に応じて前記層の表面に物理吸着さ
    れた水分子の層と、からなり、 前記光触媒含有層の表面には、前記層の固/気界面にお
    ける表面エネルギの水素結合成分(γs h)を増大させる
    固体酸としてのAl2O3・SiO2が担持させてあることを特
    徴とする親水性表面を呈する複合材。
  25. 【請求項25】水中溌油性の表面を呈する複合材であっ
    て: 基材と、 前記基材の表面に形成された層であって、光触媒を含
    み、前記光触媒の光励起に応じてその固/気界面におけ
    る表面エネルギの水素結合成分(γs h)が増大し、もっ
    て、表面の水中における溌油性が増加するようになった
    層と、からなり、 前記光触媒含有層の表面には、前記層の固/気界面にお
    ける表面エネルギの水素結合成分(γs h)を増大させる
    固体酸としての金属酸化物複合体が担持させてあること
    を特徴とする水中溌油性の表面を呈する複合材。
  26. 【請求項26】請求項25に記載の複合材において、前記
    金属酸化物複合体は酸化物超強酸であることを特徴とす
    る水中溌油性の表面を呈する複合材。
  27. 【請求項27】請求項26に記載の複合材において、前記
    金属酸化物複合体はTiO2/WO3、WO3/ZrO2、およびWO3/Sn
    O2から選ばれることを特徴とする水中溌油性の表面を呈
    する複合材。
  28. 【請求項28】水中溌油性の表面を呈する複合材であっ
    て: 基材と、 前記基材の表面に形成された層であって、光触媒を含
    み、前記光触媒の光励起に応じてその固/気界面におけ
    る表面エネルギの水素結合成分(γs h)が増大し、もっ
    て、表面の水中における溌油性が増加するようになった
    層と、からなり、 前記光触媒含有層の表面には、前記層の固/気界面にお
    ける表面エネルギの水素結合成分(γs h)を増大させる
    固体酸としてのAl2O3・SiO2が担持させてあることを特
    徴とする水中溌油性の表面を呈する複合材。
  29. 【請求項29】洗浄容易な表面を呈する複合材であっ
    て: 基材と、 前記基材の表面に形成された光触媒を含む層、 からなり、 前記層は、前記光触媒の光励起に応じてその固/気界面
    における表面エネルギの水素結合成分(γs h)を増大さ
    せる固体酸としての金属酸化物複合体が担持され、表面
    の水中における溌油性が増加すべく作動し、もって、複
    合材を水中に浸漬し又は水で濡らしたときに表面に付着
    した油汚れが表面から釈放されるようになっていること
    を特徴とする洗浄容易な表面を呈する複合材。
  30. 【請求項30】請求項29に記載の複合材において、前記
    金属酸化物複合体は酸化物超強酸であることを特徴とす
    る洗浄容易な表面を呈する複合材。
  31. 【請求項31】請求項29に記載の複合材において、前記
    金属酸化物複合体はTiO2/WO3、WO3/ZrO2、およびWO3/Sn
    O2から選ばれることを特徴とする洗浄容易な表面を呈す
    る複合材。
  32. 【請求項32】洗浄容易な表面を呈する複合材であっ
    て: 基材と、 前記基材の表面に形成された光触媒を含む層、 からなり、 前記層は、前記光触媒の光励起に応じてその固/気界面
    における表面エネルギの水素結合成分(γs h)を増大さ
    せる固体酸としてのAl2O3・SiO2が担持され、表面の水
    中における溌油性が増加すべく作動し、もって、複合材
    を水中に浸漬し又は水で濡らしたときに表面に付着した
    油汚れが表面から釈放されるようになっていることを特
    徴とする洗浄容易な表面を呈する複合材。
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