JP2001260267A - 防汚酸化膜を有する成形体 - Google Patents

防汚酸化膜を有する成形体

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JP2001260267A
JP2001260267A JP2000078008A JP2000078008A JP2001260267A JP 2001260267 A JP2001260267 A JP 2001260267A JP 2000078008 A JP2000078008 A JP 2000078008A JP 2000078008 A JP2000078008 A JP 2000078008A JP 2001260267 A JP2001260267 A JP 2001260267A
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film
oxide
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Akiko Miyagawa
晶子 宮川
Toru Nakamura
徹 中村
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Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防汚性は長期間持続する防汚性薄膜を具えた
成形対を得る。 【解決手段】 本発明の成形対は、基材と、該基材上に
形成された無機酸化物を主成分とする防汚酸化膜とを有
する成形体であって、前記防汚酸化膜表面は、下記条件
を満足する微細凹凸の集合体を有する。 [凹凸のピッチ平均値]/[凹凸の表面粗さのRMS
値]≦1

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面の汚染を防止
し、また汚染されても容易に除去可能な防汚酸化膜を具
えた成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】建築や塗装の分野では、環境汚染に伴う
建築外装材料や屋外建造物及びその塗膜の汚れが問題に
なっている。大気中に浮遊する煤塵や粒子は、晴天時に
は建物の屋根や外壁に堆積する。そして、その堆積物
は、雨天時に降雨に伴い雨水により流され、建物の外壁
を流下する。その結果、外壁等の表面には、雨水の道筋
に沿って汚染物質が付着してしまっていた。その後、外
壁の表面が乾燥するとその表面には、縞状の汚れが現れ
る。
【0003】汚染物質としては、建築外装材料や塗膜の
汚れは、カーボンブラックのような燃焼生成物からなる
ことが多い。
【0004】従来の通念では、建築外装等の汚れを防止
するためには、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)のような撥水性の塗料の塗布が好ましいとされてい
た。しかし、最近では親油性成分を多く含む都市煤塵に
対しては、塗膜表面をできるだけ親水性にするのが望ま
しいと考えられている。
【0005】従来、親水性塗料としては、アクリル樹
脂、アクリルシリコン樹脂、水性シリコーン、シリコー
ン樹脂とアクリル樹脂とのブロック重合体、アクリルス
チレン樹脂、ソルビタン脂肪酸エチレンオキサイド、ソ
ルビタン脂肪酸エステル、ウレタン系アセテート、ポリ
カーボネートジオール、および、またはポリイソシアネ
ートの架橋型ウレタン、ポリアクリル酸アクリルエステ
ル架橋体等からなるさまざまな塗料が市販されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来、アクリル樹脂や
アクリルシリコン樹脂、水性シリコーン、シリコーン樹
脂とアクリル樹脂とのブロック重合体、アクリルスチレ
ン樹脂、ソルビタン脂肪酸エチレンオキサイド、ソルビ
タン脂肪酸エステル、ウレタン系アセテート、ポリカー
ボネートジオール、又はポリイソシアネートの架橋型ウ
レタン、ポリアクリル酸アクリルエステル架橋体等から
成る様々な親水性塗料が市販されている。しかし、これ
らの塗料も親油性成分を多く含む都市煤塵による汚れを
効果的に防止することはできなかった。
【0007】また、建築や塗装の分野以外でも防汚膜に
対するニーズは高まっている。例えば、ミラーやレンズ
等の光学部品、元素分析等に使用する分析装置の内壁、
試料保管容器等である。これらの場合、建材と異なり揮
発成分を含有する塗料を使用することができず、そのた
め表面に防汚効果を付与することは非常に困難であっ
た。
【0008】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたものであり、表面の汚染を防止し、更に防汚効果が
長期間に渡り継続する防汚膜を具えた成形体を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記の課
題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、無機酸
化物からなる薄膜を基材の最表面になるようにコーティ
ングすることにより、表面の汚染が防止できることを見
出した。そして、この防汚性を有する酸化膜の表面に微
細な凹凸構造を形成することが、防汚性の向上に有効で
あることを見出した。更に、(凹凸のピッチ平均値)/
(凹凸の表面粗さのRMS値)≦1である場合に、優れ
た防汚効果が奏することを見出した。
【0010】また、この防汚膜中に珪素酸化物を含む場
合に、防汚性が向上することも分かった。
【0011】更にこの防汚膜は、反射防止膜に利用する
ことも可能であり、防汚機能を付与した反射防止膜を作
製できることを見出した。
【0012】したがって、本発明は第一に「基材と、該
基材上に形成された無機酸化物を主成分とする防汚酸化
膜とを有する成形体であって、前記防汚酸化膜表面は、
下記条件を満足する微細凹凸の集合体を有することを特
徴とする成形体。[凹凸のピッチ平均値]/[凹凸の表
面粗さのRMS値]≦1(請求項1)」を提供する。第
二に「前記防汚酸化膜は、少なくとも珪素酸化物を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の防汚酸化膜を有する
成形体(請求項2)」を提供する。第三に「前記RMS
値は、10Å以上、500Å以下であることを特徴とす
る請求項1又は2に記載の防汚酸化膜を有する成形体
(請求項3)]を提供する。第四に「前記微細凹凸のピ
ッチは、1Å以上、1000Å以下であることを特徴と
する請求項1又は2又は3に記載の防汚酸化膜を有する
成形体(請求項4)」を提供する。第五に「前記防汚酸
化膜の膜厚は、500Å以上であることを特徴とする請
求項1又は2又は3又は4に記載の防汚酸化膜を有する
成形体(請求項5)」を提供する。第六に「前記防汚酸
化膜は、柱状構造を成すことを特徴とする請求項1又は
2又は3又は4又は5に記載の防汚酸化膜を有する成形
体(請求項6)」を提供する。第七に「前記防汚酸化膜
は、前記基材上に形成される多層反射防止膜を構成する
多層膜の最上層であることを特徴とする請求項1又は2
又は3又は4又は5又は6に記載の防汚酸化膜を有する
成形体(請求項7)」を提供する。第八に「前記防汚酸
化膜表面の[炭素の原子数]/[Mの原子数](但し、
無機酸化物をMxOyで表わす)が0.1以下であるこ
とを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5又は
6又は7に記載の成形体(請求項8)」を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の防汚酸化膜は、膜の表面
に微細凹凸を有するものであり、この凹凸は、[凹凸の
ピッチ平均値]/[凹凸の表面粗さのRMS値]≦1の
条件を満たすことを特徴としている。つまり、凹凸の深
さが大きい方が望ましく、凹凸のピッチが細かい方が望
ましい条件ということである。
【0014】膜の表面のRMS値は、特に限定されるも
のではないが、原子間力顕微鏡(AFM)により観察し
て得られた膜の表面粗さのRMS値が10Å以上、50
0Å以下であることが望ましい。更に好ましくは、20
Å以上である。
【0015】また、本発明の防汚酸化膜表面の微細凹凸
のピッチは、1Å以上、1000Å以下が好ましいが、
500Å以下にすることがより好ましい。このピッチ
は、RMS値との関係で、請求項1に記載した式の範囲
([凹凸のピッチ平均値]/[凹凸の表面粗さのRMS
値]≦1)に成るように適宜、決定することが必要であ
る。
【0016】凹凸のピッチ平均値としては、任意に10
個の凸部を選択し、これの平均をとることが好ましい
が、これ以上の凸部を選択し平均し、凹凸のピッチ平均
値としてもよい。
【0017】このような酸化膜(以下、防汚酸化膜)が
優れた防汚効果を長期間継続できる理由は明らかでな
い。しかし、本発明者等は、本発明を成した経緯の中
で、膜表面に付着する水分の量が増え、その付着した水
分が有機系汚染物質の付着を妨げるのであろうと推測し
ている。
【0018】また、本発明の防汚酸化膜は、縦断面構造
が柱状構造を成していることが望ましい。本発明者等
は、柱状構造を有する膜は表面に付着する水分量が多
く、有機系汚染物質の付着を妨げる効果が大きくなると
推測している。
【0019】また、本発明の防汚酸化膜の膜厚は、表面
粗さを粗くし、防汚効果を向上させるために500Å以
上にすることが望ましい。
【0020】本発明者等は、基材に堆積した膜厚が薄い
状態では膜表面の粗さは小さく、堆積した膜厚が厚くな
るにつれて膜表面粗さが増大することを見出した。そし
て、膜厚が500Å以上になると、膜の表面に十分な防
汚効果を有するために必要な水分量が付着できる表面粗
さになると推測している。
【0021】本発明の防汚酸化膜の表面をX線光電子分
光法で分析したとき、検出元素の原子数の比[炭素の原
子数]/[Mの原子数]が0.1以下(但し、無機酸化
物をMxOyで表わす)にすることが好ましい。
【0022】通常の無機酸化膜の場合、成膜直後は[炭
素の原子数]/[Mの原子数]が小さくても、直ちに値
が上昇してしまう。即ち、成膜直後の清浄な表面が、直
ちに炭素を含む有機系汚染物質の付着により汚染されて
いくことを示している。炭素は、有機系汚染物質を構成
する主要元素であり、検出される炭素の量が小さいほど
表面が汚染されていないことを意味する。
【0023】X線光電子分光法とは、試料表面にX線を
照射し、放出された電子(光電子)を検出する分析法で
ある。検出した光電子のエネルギーからその光電子を放
出した元素を特定して定性分析を行う。更に、検出した
光電子の量からその光電子を放出した元素の定量分析を
行うことも可能である。
【0024】光電子の脱出深さは、X線の照射角度や照
射された元素により異なるが、おおよそ数Åから数十Å
程度である。従って分析試料の表面情報のみを検出する
ことができ、優れた表面分析法であると言える。
【0025】本発明の防汚酸化膜は、[炭素の原子数]
/[Mの原子数](但し、前記無機酸化物をMxOyで
表す)が0.1以下であり、成膜から1ヶ月以上、防汚
効果が持続するものである。これは、成膜直後の清浄な
表面の状態が1ヶ月以上持続することを意味している。
【0026】本発明の防汚酸化膜の製造方法は、特に限
定されるものではなく、ウエットプロセスやドライプロ
セス等、適当な方法を採用することができるが、スパッ
タリング法で形成することが好ましい。スパッタリング
法の場合、スパッタ時の真空槽内の圧力を高めに設定
し、成膜することで本発明の酸化防汚膜を得ることがで
きる。
【0027】また、ウエットプロセスを用いる場合、使
用する液の濃度や処理時間、温度等を調整することで防
汚酸化膜表面に所望の凹凸を形成することが出来る。
【0028】また、ゾルゲル法により防汚酸化膜を形成
する場合、微粒子を含む液を用い、これを塗布すること
でも表面の凹凸を形成することができる。
【0029】また、防汚酸化膜の表面に凹凸を形成する
場合、前記のように防汚酸化膜の形成方法を制御するこ
とで凹凸を形成する他に、防汚酸化膜が形成される下地
に凹凸を形成し、この上に防汚酸化膜を形成してもよ
い。
【0030】本発明の防汚酸化膜を構成する無機酸化物
の種類は、特に限定されるものではないが、珪素酸化物
を含有する防汚酸化膜は、優れた防汚効果を呈する。
【0031】珪素酸化物の他に使用可能な無機酸化物と
しては、酸化チタンや酸化ジルコニウム、酸化アルミニ
ウム等が使用可能である。これら無機酸化物は、単独で
使用しても良いし、また、複数の無機酸化物との混合物
でもよい。更に、チタンと珪素の混合酸化物、ジルコニ
アと珪素の混合酸化物、アルミニウムと珪素の混合酸化
物等から構成されていても良い。
【0032】本発明の防汚酸化膜は、基材に直接コーテ
ィングしても良いし、また基材を覆っているコーティン
グ層上に形成してもよい。後者の場合、本発明の防汚酸
化膜や本発明以外のコーティング層の特性や膜厚を制御
することで、コーティング層に防汚効果の他に更に優れ
た特性を付与することが出来る。特に、本発明の防汚膜
をドライプロセスにて成膜した場合、精密な膜厚制御が
可能になるため、光学薄膜としての効果を付与すること
ができる。例えば、反射防止効果を付与することができ
る。この場合、多層反射防止膜の最上層を防汚酸化膜で
形成することも可能である。
【0033】本発明の防汚酸化膜を前記のように反射防
止膜として利用する場合、防汚酸化膜の膜厚は、120
0Å以下にすることが好ましい(より好ましくは100
0Å以下)。
【0034】本発明の防汚酸化膜は、様々な基材に形成
することができる。例えば、ガラスやプラスチックス、
金属、セラミックス、それらの積層体を挙げることがで
きる。従って、本発明は、様々な用途に応用することが
できる。例えば、レンズやミラー、プリズム等の光学部
品や車両用バックミラー、浴室や洗面所用ミラー、道路
用ミラー等の汎用鏡、建築用窓ガラス、自動車やオート
バイの風防ガラス、防護用又はスポーツ用のゴーグル、
マスクのシールド、ヘルメットのシールド等を挙げるこ
とができる。
【0035】また、本発明の防汚酸化膜の表面は、汚染
物質が従来の防汚膜(例えば塗料等を塗布した場合)に
比べて非常に少ないので、上記に挙げたような用途以外
にも、表面汚染を非常に嫌うような用途に使用すること
が出来る。例えば、半導体製造装置の光学系の光学部品
に使用し、光学部品表面の汚染が原因となる光学系の透
過率低下を防ぐことが出来る。
【0036】また、分析装置(例えば、元素分析装置)
の分析室内壁の汚染を防ぐことも出来る。また、半導体
関連部品や分析サンプル等を保管する容器の内壁にも使
用することができる。
【0037】また、最近、蛍光顕微鏡による観察におい
て、観察試料サンプルからの蛍光だけでなく、顕微鏡の
光学系に付着した汚染物質からも蛍光が発せられ、試料
観察を見難くしているという問題が生じている。本発明
の防汚酸化膜を蛍光顕微鏡の光学系にコーティングすれ
ば表面汚染が防げるため、このような問題を解決するこ
とができる。
【0038】以下、実施例により本発明を具体的に説明
するが、本発明は、これら実施例に限定されるものでは
ない。
【0039】[実施例] (1) 防汚酸化膜の成膜 本実施例では、基材として日本板硝子製の白板ガラス1
0を使用した。この基材表面にRFスパッタリング法で
珪素酸化物から成る防汚酸化膜を形成し、これを最表面
に具えた成形体を作製した。
【0040】スパッタターゲットとしてSiO2ターゲ
ットを使用し、スパッタガスとしてArガスを使用し
た。スパッタ時の圧力は2Paとし、RFパワーは80
0W、成膜時間は15分とした。そして、成膜する防汚
酸化膜の膜厚は、500Åとした。 (2)防汚酸化膜のAFM及びSEMを用いた観察 上記(1)で成膜した防汚酸化膜をAFMにて形態観察
した。
【0041】その結果、[凹凸のピッチ平均値]/[凹
凸の表面粗さのRMS値]は、0.8であった。
【0042】また防汚酸化膜の表面のRMS値は、10
Åであった。更に、SEMにより膜断面を観察した結
果、本実施例の防汚酸化膜は、柱状構造を成しているこ
とが判った。 (3) X線光電子分光法による分析 上記(1)で成膜した酸化膜を成膜1日後にX線光電子
分光法にて分析した。
【0043】ワイドスキャンで定性分析した結果を図1
に示す。
【0044】図中、珪素に起因する光電子のピークを
1、表面に付着した有機系汚染物資である炭素に起因す
る光電子のピーク2に示す。図を見ても判るように、表
面に付着した炭素に起因する光電子のピーク2は、非常
に小さかった。
【0045】更に、炭素及び珪素に起因する光電子のエ
ネルギー範囲の部分をナロースキャンし、その光電子の
ピーク面積から定量分析を行い、炭素及び珪素の原子比
を求めた。その結果、[炭素の原子数]/[珪素の原子
数]は、0.1であった。 (4) 表面汚染の経時変化の追跡 上記(1)で成膜した防汚酸化膜の表面汚染の経時変化
を、上記(2)と同じ方法で追跡した。その結果、成膜
後1ヶ月を経過しても、[炭素の原子数]/[珪素の原
子数]は、0.1であった。
【0046】これにより、本発明の防汚酸化膜は、膜表
面に有機系汚染物質の付着を防止する防汚効果が長期間
に渡り、継続することが示された。
【0047】[比較例] (1) 酸化膜の成膜 本比較例では、基材として、前記実施例と同様の白板ガ
ラスを使用した。この基材表面に真空蒸着法で珪素酸化
物からなる膜を形成した。蒸着源として粒状のSiO2
を使用した(粒径1〜3mm)。蒸着時の真空度は、2×1
-5Torr(2.66×10-3でPa)で2分間成膜
し、500Åの酸化膜を得た。 (2) 酸化膜のAFM及びSEMを用いた観察 上記(1)で成膜した酸化膜をAFMにて形態観察し
た。その結果、[凹凸のピッチ平均値]/[凹凸の表面
粗さのRMS値]は、3であった。
【0048】また、酸化膜の表面のRMS値は、5Åで
あった。更に、SEMにより膜断面を観察した結果、特
に特徴的な構造(例えば、実施例のような柱状構造等)
は、認められなかった。 (3) X線光電子分光法による分析 前記実施例と同様に上記(1)で成膜した酸化膜を成膜
してから1日後にX線光電子分光法にて分析した。そし
て定量分析を行い、炭素及び珪素の原子比を求めた。
【0049】その結果、[炭素の原子数]/[珪素の原
子数]は、0.2であった。 (4) 表面汚染の経時変化の追跡 上記(1)で成膜した酸化膜の表面汚染の経時変化を上
記(2)と同じ方法で追跡した。その結果、成膜してか
ら1ヶ月後の[炭素の原子数]/[珪素の原子数]は、
0.4であり、成膜してから1日後の結果に比べて、膜
表面に付着した有機系汚染物質が急激に増大しているこ
とが示された。
【0050】[防汚ミラーを製造した場合の比較]基材
として日本板硝子製の鏡を使用した。この基材の表面に
前記実施例と同様に珪素酸化物からなる防汚酸化膜を成
膜し、防汚ミラーを作成した。また、前記基材の表面に
前記比較例と同様の酸化膜を成膜し、比較のためのミラ
ーを作成した。
【0051】そして、上記2つのミラーを家庭の洗面所
に1ヶ月間放置した。その結果、比較例の酸化膜が形成
されたミラーには、斑状の汚れが観察されたのに対し、
実施例の防汚酸化膜が形成された防汚ミラーに汚れは観
察されず、本発明の防汚酸化膜の防汚効果が示された。
【0052】[防汚レンズを製造した場合の比較]基材
としてポリカーボネートからなるプラスチックス(CR
39)レンズを使用した。この基材表面に真空蒸着法に
より酸化珪素/酸化ジルコニウム4層膜を成膜した。最
下層が酸化珪素、第二層が酸化ジルコニウム、第三層が
酸化珪素、第四層が酸化ジルコニウムと交互に成膜し、
反射防止効果を考慮して最下層から第三層合計の光学的
膜厚をλ/4、第四層の光学的膜厚をλ/2にした。こ
こで中心波長λは535nmである。
【0053】その後、この4層膜上に、前記実施例の珪
素酸化物からなる防汚酸化膜を成膜して防汚レンズを作
成した。また、同様に4層膜を形成した基材の上に前記
比較例の酸化膜を成膜して比較用のレンズを作成した。
【0054】これら2つのレンズの表面にオレイン酸を
塗布し、水平に保ちながら水の中に浸漬した。その結
果、比較用のレンズでは、オレイン酸がレンズ表面に付
着したままであったのに対し、実施例の防汚酸化膜を形
成した防汚レンズでは、オレイン酸は、レンズ表面から
離れて水面上に浮き上がった。
【0055】また、防汚レンズの分光反射率特性を測定
した結果、450nmから800nmの波長域の光で反
射率が3%を下回り、レンズに成膜されたコーティング
層(即ち酸化珪素/酸化ジルコニウム4層膜と、この上
に実施例の防汚酸化膜を成膜した合計5層からなるコー
ティング層)は、反射防止効果を有していることが示さ
れた。
【0056】このように、本発明の防汚酸化膜は、従来
の膜に比べて表面に付着した汚れを容易に除去すること
ができることが示された。更に、本発明の防汚酸化膜
は、反射防止効果を有するコーティング層としても適用
できることが示された。
【0057】
【発明の効果】以上の通り、本発明の防汚酸化膜は、長
期間にわたり優れた防汚効果が継続するものである。従
って、本発明の防汚酸化膜が形成された成形体は、優れ
た耐久性を有することから、様々な環境下で使用可能な
防汚性が付与された物品を提供することができる。
【0058】また、本発明の防汚酸化膜の表面に付着し
た汚染物質は、容易に除去することができることから、
頻繁に汚染される環境に有る部材の防汚膜として適した
ものになる。
【0059】また、本発明の防汚酸化膜は、単独又は他
のコーティング層と組み合わせることにより、防汚効果
のみならず、例えば反射防止効果も付与することができ
る。このような、本発明の防汚酸化膜は、従来、防汚性
を付与できなかった分野、例えば光学部品などにも適用
可能となる。従って、防汚膜の用途がこれまで以上に広
げることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の防汚酸化膜をX線光電子分光法で
表面分析したワイドスキャンスペクトルである。
【符号の説明】
1・・・・・珪素に起因する光電子のピークである。 2・・・・・炭素に起因する光電子のピークである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 1/10 C03C 17/245 A 4J038 // C03C 17/245 G02B 1/10 Z Fターム(参考) 2E001 DH23 GA06 GA17 HB01 HB04 HB08 HF00 2K009 AA08 BB02 BB06 BB11 CC03 CC42 DD02 DD03 DD04 EE05 4F006 AB74 AB76 BA11 CA00 DA04 4F100 AA17B AA20 AA20B AA27 AG00 AK45 AR00C AR00D AT00A BA02 BA03 BA04 BA05 BA07 BA10A BA10B BA13 DD07 DD07B EH46 EH66 GB07 GB32 GB90 JA20B JL00 JL06 JL06B JN06 JN06C JN06D YY00B 4G059 AA01 AB09 AB11 AB13 AC22 EA01 EA02 EB04 GA02 GA04 GA12 4J038 AA011 HA441 NA03 NA05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材と、該基材上に形成された無機酸化
    物を主成分とする防汚酸化膜とを有する成形体であっ
    て、前記防汚酸化膜表面は、下記条件を満足する微細凹
    凸の集合体を有することを特徴とする成形体。 [凹凸のピッチ平均値]/[凹凸の表面粗さのRMS
    値]≦1
  2. 【請求項2】 前記防汚酸化膜は、少なくとも珪素酸化
    物を含むことを特徴とする請求項1に記載の防汚酸化膜
    を有する成形体。
  3. 【請求項3】 前記RMS値は、10Å以上、500Å
    以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の防
    汚酸化膜を有する成形体。
  4. 【請求項4】 前記微細凹凸のピッチは、1Å以上、1
    000Å以下であることを特徴とする請求項1又は2又
    は3に記載の防汚酸化膜を有する成形体。
  5. 【請求項5】 前記防汚酸化膜の膜厚は、500Å以上
    であることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4に
    記載の防汚酸化膜を有する成形体。
  6. 【請求項6】 前記防汚酸化膜は、柱状構造を成すこと
    を特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5に記載
    の防汚酸化膜を有する成形体。
  7. 【請求項7】 前記防汚酸化膜は、前記基材上に形成さ
    れる多層反射防止膜を構成する多層膜の最上層であるこ
    とを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5又は
    6に記載の防汚酸化膜を有する成形体。
  8. 【請求項8】 前記防汚酸化膜表面の[炭素の原子数]
    /[Mの原子数](但し、無機酸化物をMxOyで表わ
    す)が0.1以下であることを特徴とする請求項1又は
    2又は3又は4又は5又は6又は7に記載の成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007187846A (ja) * 2005-01-12 2007-07-26 Canon Inc 光学機器
JP2011222012A (ja) * 2010-04-05 2011-11-04 Honeywell Internatl Inc 無機の表面構造を有するフィルム構造および関連する製造方法
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