JP2008274157A - 紫外線硬化型コート剤および成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コート剤は特定の構造を有する親水性重合体と、重合反応性オリゴマと、水溶性モノマと、光重合開始剤と、吸水性フィラとを含有する。該親水性重合体は、特に、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのみからなる特定の構造を有する重合体で、重量平均分子量が5000以上300000以下のものが好適である。基材の表面に塗布することで、優れたインク吸収性、印刷画像の乾燥性、にじみ性、耐タック性、耐水性を有したインク受理層を形成する。
【選択図】なし
Description
このような情報記録媒体は、情報記録性能を有するとともに、記録された内容を示すインデックスや各種の装飾デザインを、情報記録媒体の表面などに印刷していることが多い。そして、印刷としては、インクジェット印刷やスクリーン印刷などといった従来公知の印刷手段により実施されている。
そして、インク受理層を形成するためのコート剤は紫外線硬化タイプのものが使用されており、このタイプのコート剤で形成されるインク受理層としては、優れたインク吸収性が求められ、いくつか提案されている(例えば、特許文献1ないし特許文献5参照)。
特許文献2に記載のものは、常温で水と任意の比率で溶解する放射線重合性のモノマである多価アルコールなどの液状の水溶性モノマと、この水溶性モノマに溶解可能でフィルム状に製膜した際に水の吸収膨潤や水に実質的に不溶なモノマ可溶性疎水性ポリマと、セルローズ系繊維の粉末やポリペプチド系繊維粉末などで水溶性モノマ100重量部に対して15〜300重量部の割合の天然繊維粉末とを含有した構成が採られている。
特許文献3に記載のものは、常温で水と任意の比率で溶解する放射線重合性のモノマである多価アルコールなどの液状の水溶性モノマと、この水溶性モノマに溶解可能でフィルム状に製膜した際に水の吸収膨潤や水に実質的に不溶な疎水性ポリマと、シリカ、合成雲母、水酸化アルミニウム、アルミナなどの無機フィラと、を含有した構成が採られている。
特許文献4に記載のものは、アクリロイルモルホリン、アルキロキシメチルアクリルアミド、およびメトキシポリエチレングリコール(モノ)アクリレートの合計の含有量が紫外線硬化性インキ100重量部中に25ないし70重量部の割合で含有した構成が採られている。
特許文献5に記載のものは、9.0〜16.0[cal/cm3]1/2の溶解度パラメータ(SP値)を有するアクリル単量体(a)と、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基および第4級アンモニオ基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有するエチレン性不飽和単量体単位を必須構成単位として含有する高分子(b)と、無機微粒子(c)と、9.0〜16.0[cal/cm3]1/2の溶解度パラメータ(SP値)を有するエチレン性不飽和単量体からなる単位を必須構成単位として含有する架橋有機微粒子(d)とからなる組成物である。
この発明では、親水性重合体と、重合反応性オリゴマと、水溶性モノマとを組み合わせて用いる。
このことにより、例えば製膜により形成されるインク受理層は、優れたインク吸収性を有するとともに、印刷画像の乾燥性、印刷画像のにじみ性、耐タック性、耐水性も良好で、優れた印刷適性が得られる。さらには、熱によって硬化させる場合に比べて塗布する対象に余分なエネルギを与えなくてもよいから、塗布対象を劣化させることがない。
そして、親水性重合体の含有量を5質量%以上50質量%以下、重合反応性オリゴマの含有量を5質量%以上30質量%以下、水溶性モノマの含有量を10質量%以上89質量%以下、光重合開始剤の含有量を1質量%以上10質量%以下で含有する。
このことにより、例えば製膜により形成されるインク受理層におけるより優れた印刷適性を提供できる。
ここで、親水性重合体の含有量が5質量%より少なくなると、例えば製膜により形成されるインク受理層の印刷適性、特に印刷画像の乾燥性およびにじみ性が低下するおそれがある。一方、親水性重合体の含有量が50質量%より多くなると、例えば製膜により形成されるインク受理層の印刷適性、特に耐タック性および耐水性が低下するおそれがある。このことにより、親水性重合体の含有量を5質量%以上50質量%以下、好ましくは10質量%以上40質量%以下とする。
また、重合反応性オリゴマの含有量が5質量%より少なくなると、例えば製膜により形成されるインク受理層の印刷適性、特に耐タック性および耐水性が低下するおそれがある。一方、重合反応性オリゴマの含有量が30質量%より多くなると、例えば製膜により形成されるインク受理層の印刷適性、特に印刷画像の乾燥性およびにじみ性が低下するおそれがある。このことにより、重合反応性オリゴマの含有量を5質量%以上30質量%以下、好ましくは10質量%以上25質量%以下とすることが好ましい。
さらに、水溶性モノマの含有量が10質量%より少なくなると、均一組成が得られにくくなるおそれがある。一方、水溶性モノマの含有量が89質量%より多くなると、例えば製膜により形成されるインク受理層の印刷適性、特に印刷画像の乾燥性およびにじみ性が低下するおそれがある。このことにより、水溶性モノマの含有量を10質量%以上89質量%以下、好ましくは29質量%以上78質量%以下とすることが好ましい。
また、光重合開始剤の含有量が1質量%より少なくなると、硬化が不十分となるおそれがある。一方、光重合開始剤の含有量が10質量%より多くなると、タック性が低下するおそれがある。このことにより、光重合開始剤の含有量を1質量%以上10質量%以下、好ましくは2質量%以上6質量%以下とする。
この発明では、親水性重合体として、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのみからなる特定の構造を有する重合体を用いるので、吸水性と疎水性とのバランスに優れ、水性インクの吸収能と耐水性との双方を兼ね備え、例えば製膜により形成されるインク受理層におけるより優れた印刷適性を提供できる。
この発明では、親水性重合体として、重量平均分子量が5000以上300000以下のものを用いるので、低分子量成分による耐タック性が低下する不都合や高分子量成分によるコート剤の粘度上昇により塗膜が不均一となる不都合などを防止でき、例えば製膜により形成されるインク受理層におけるより優れた印刷適性を提供できる。
ここで、親水性重合体の重量平均分子量が5000より小さくなると、例えば製膜により形成されるインク受理層における印刷適性、特に、乾燥性、にじみ性、耐タック性、耐水性が低下するおそれがある。一方、親水性重合体の重量平均分子量が300000より大きくなると、親水性重合体の調製時である合成反応性時の系内粘度が上昇して合成が困難となるおそれがある。このことにより、親水性重合体は、重量平均分子量が5000以上300000以下、好ましくは7000以上26000以下のものを用いることが好ましい。
この発明では、重合反応性オリゴマとして、ウレタンアクリレートオリゴマ、エポキシアクリレートオリゴマ、ポリエステル系オリゴマ、アクリル系オリゴマから選ばれる少なくとも1種類を用いるので、オリゴマ添加により特に耐タック性および耐水性が向上し、優れた印刷適性を提供するための材料である重合反応性オリゴマが容易に得られる。
この発明では、水溶性モノマとして、50質量%以上のアクリロイルモルフォリンを含有したものを用いるので、モノマ添加により特に乾燥性およびにじみ性が向上し、例えば製膜により形成されるインク受理層の優れた印刷適性が得られる。
ここで、アクリロイルモルフォリンの含有量が50質量%より少なくなると、例えば製膜により形成されるインク受理層の印刷適性、特に印刷画像の乾燥性およびにじみ性が低下するおそれがある。このことにより、アクリロイルモルフォリンの含有量を50質量%以上とすることが好ましい。
この発明では、親水性重合体、重合反応性オリゴマ、水溶性モノマおよび光重合開始剤に加えて、3質量%以上50質量%以下の吸水性フィラを含有することで、例えば製膜により形成されるインク受理層におけるより優れた印刷適性が得られる。
ここで、吸水性フィラの含有量が3質量%より少なくなると、水性インク吸収性を十分に付与することができないおそれがある。一方、吸水性フィラの含有量が50質量%より多くなると、増粘して均一な製膜が得られなくなるおそれがある。このことにより、吸水性フィラの含有量を3質量%以上50質量%以下、好ましくは3質量%以上45質量%以下とすることが好ましい。
この発明では、例えば製膜により形成されるインク受理層における優れた印刷適性が得られる請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の紫外線硬化型コート剤を基材の表面に塗布している。
このことにより、例えばインク吸収性を有しない基材やインク吸収性が低い基材などに対しても、良好な印刷を付与できる。
この発明では、優れた印刷適性が得られる請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の紫外線硬化型コート剤を基材の表面にインク受理層として塗布形成する。
このことにより、例えばインク吸収性を有しない基材やインク吸収性が低い基材などに対しても、良好な印刷を付与できる。
なお、本実施形態では、本発明における成形品として、例えばCD−R(Compact Disc−Recordable)やDVD−R(Digital Versatile Disc-Recordable)など、一面に情報記録面を有し他面にレーベル面を有した円盤状の情報記録媒体を例示するが、この限りではない。例えば、フレキシブルディスク(FD:Flexible Disk)、光磁気(MO:Magnet-Optical)ディスク、ミニディスク(MD:Mini Disc)、カセットテープなど、情報記録部を収容するカートリッジ、各種の情報記録媒体に用いられる印刷用ラベル紙などの印刷用紙、さらには、合成樹脂成形品、ガラス、木材、鋼板、皮革品、織布や不織布など、各種基材を対象とすることができる。
図1は、本実施形態における情報記録媒体の概略構成を示す断面図である。
図1において、1は成形品としての情報記録媒体で、この情報記録媒体1は、例えばCD−RやDVD−Rなどのディスク状の記録媒体で、一面に情報が記録される図示しない情報記録面が設けられ、他面にレーベル面が設けられている。
この情報記録媒体1は、円盤状のディスクである基材3の表面に対して、活性エネルギ線としての紫外線照射により硬化されるインク受理層2を備えて構成されている。なお、情報記録媒体1における情報が記録される層(情報記録層)は、図1における基材3の層構成に含まれる。そして、基材3としては、一般的に情報記録媒体1に用いられるポリカーボネート樹脂である円盤状のディスク基板により構成されたものが例示できる。
そして、インク受理層2は、詳細は後述する紫外線硬化型コート剤が各種方法により基材3の表面に塗布されて、例えば水性の皮膜状に形成されている。塗膜方法としては、バーコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコート、スピンコート、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、パッド印刷、インクジェット印刷など、従来公知のコーティングまたは印刷手段を適宜用いることができる。なお、特に、バーコート、スピンコート、スクリーン印刷の方法が、情報記録媒体の塗膜方法として一般的に用いられていることから好ましい。また、塗膜の硬化として照射する活性エネルギ線としては、紫外線、電子線、X線、可視光線など、各種の活性化させるエネルギ線を対象とすることができる。特に、照射装置の構成や塗膜工程における作業性や装置構成などの点で、作業性が容易で汎用の簡単な構成を利用できる紫外線照射による硬化が好ましい。
そして、インク受理層2を構成する紫外線硬化型コート剤は、親水性重合体と、重合反応性オリゴマと、水溶性モノマと、光重合開始剤と、吸水性フィラと、を含有している。
なお、本発明の効果を妨げない範囲で、消泡剤、分散剤、保水剤、増粘剤、離型剤、防腐剤、着色顔料、耐水化剤、湿潤剤、蛍光塗料、紫外線吸収剤などの添加剤を、必要に応じて適宜配合することができる。また、紫外線硬化型コート剤としては、吸水性フィラを含有させなくてもよい。
さらに、親水性重合体は、重量平均分子量が5000以上300000以下のものを用いることが好適である。
ここで、親水性重合体の重量平均分子量が5000より小さくなると、例えば製膜により形成されるインク受理層における印刷適性、特に、乾燥性、にじみ性、耐タック性、耐水性が低下するおそれがある。一方、親水性重合体の重量平均分子量が300000より大きくなると、親水性重合体の調製時である合成反応性時の系内粘度が上昇して合成が困難となるおそれがある。このことにより、親水性重合体は、重量平均分子量が5000以上300000以下、好ましくは7000以上26000以下のものを用いることが好適である。
なお、重合反応性オリゴマとして、ウレタンアクリレートオリゴマ、エポキシアクリレートオリゴマ、ポリエステル系オリゴマ、アクリル系オリゴマから選ばれる少なくとも1種類のものが、特に耐タック性および耐水性の向上という点で好適である。その他、例えば「光硬化技術データブック 材料編」(テクノネット社発行(2000年12月5日発行))の第84頁から第118頁に記載されている水溶性のオリゴマを用いることができる。
具体的には、アクリロイルモルフォリン、ブタンジオールモノアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルなどが例示できる。その他、例えば「光硬化技術データブック 材料編」(テクノネット社発行(2000年12月5日発行))の第6頁から第81頁に記載されている水溶性のモノマを用いることができる。特に、アクリロイルモルフォリンを主体とした系では印刷適性が優れているので好ましい。
この水溶性モノマとしては、50質量%以上のアクリロイルモルフォリンを含有したものを用いることが、特に乾燥性およびにじみ性という点で好適である。
ここで、アクリロイルモルフォリンの含有量が50質量%より少なくなると、例えば製膜により形成されるインク受理層2の印刷適性、特に印刷画像の乾燥性およびにじみ性が低下するおそれがある。このことにより、アクリロイルモルフォリンの含有量を50質量%以上とすることが好ましい。
なお、他の共重合可能な水溶性モノマを、水溶性モノマ中で50質量%以下の割合で含んでいてもよい。さらには、本発明の効果を妨げない範囲で非水溶性モノマを、水溶性モノマに対して30質量%以下の割合で含有させてもよい。
具体的には、ヒドロキシケトンである2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾインエチルエーテル、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、アミノケトンである2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンなどが例示できる。その他、例えば「光硬化技術データブック 材料編」(テクノネット社発行(2000年12月5日発行))の第122頁から第133頁に記載されている光重合開始剤を用いることができる。特に、乾燥性および耐タック性の点で2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾインエチルエーテルを用いることが好適である。また、光重合開始剤は、上記した各種の光重合開始剤の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機フィラとしては、例えば、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ゼオライトなどが挙げられる。また、有機フィラとしては、例えば、天然有機物微粉末(コラーゲン、シルク、セルロース、でんぷん、キチン、キトサン、卵殻膜など)、吸水性樹脂パウダ(例えば、吸水性アクリル樹脂、吸水性ポリエステル樹脂などのパウダ)などが挙げられる。これらの無機フィラおよび有機フィラは、1種を単独で使用してもよく、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ここで、親水性重合体の含有量が5質量%より少なくなると、例えば製膜により形成されるインク受理層の印刷適性、特に印刷画像の乾燥性およびにじみ性が低下するおそれがある。一方、親水性重合体の含有量が50質量%より多くなると、例えば製膜により形成されるインク受理層の印刷適性、特に耐タック性および耐水性が低下するおそれがある。このことにより、親水性重合体の含有量を5質量%以上50質量%以下、好ましくは10質量%以上40質量%以下とすることが好適である。
また、重合反応性オリゴマの含有量が5質量%より少なくなると、例えば製膜により形成されるインク受理層の印刷適性、特に耐タック性および耐水性が低下するおそれがある。一方、重合反応性オリゴマの含有量が30質量%より多くなると、例えば製膜により形成されるインク受理層の印刷適性、特に印刷画像の乾燥性およびにじみ性が低下するおそれがある。このことにより、重合反応性オリゴマの含有量を5質量%以上30質量%以下、好ましくは10質量%以上25質量%以下とすることが好適である。
さらに、水溶性モノマの含有量が10質量%より少なくなると、均一組成が得られにくくなるおそれがある。一方、水溶性モノマの含有量が89質量%より多くなると、例えば製膜により形成されるインク受理層の印刷適性、特に印刷画像の乾燥性およびにじみ性が低下するおそれがある。このことにより、水溶性モノマの含有量を10質量%以上89質量%以下、好ましくは29質量%以上78質量%以下とすることが好適である。
さらに、光重合開始剤の含有量が1質量%より少なくなると、硬化が不十分となるおそれがある。一方、光重合開始剤の含有量が10質量%より多くなると、タック性が低下するおそれがある。このことにより、光重合開始剤の含有量を1質量%以上10質量%以下、好ましくは2質量%以上6質量%以下とすることが好適である。
ここで、吸水性フィラの含有量が3質量%より少なくなると、水性インク吸収性を十分に付与することができないおそれがある。一方、吸水性フィラの含有量が50質量%より多くなると、増粘して均一な製膜が得られなくなるおそれがある。このことにより、吸水性フィラの含有量を3質量%以上50質量%以下、好ましくは3質量%以上45質量%以下とすることが好適である。
上述したように、上記実施形態の紫外線硬化型コート剤によれば、親水性重合体と、重合反応性オリゴマと、水溶性モノマと、光重合開始剤と、を含有したものを用いている。
このため、親水性重合体と、重合反応性オリゴマと、水溶性モノマとを組み合わせて用いているので、親水性重合体の特徴であるインクの吸収能および耐水性と、オリゴマ添加の特徴である耐タック性および耐水性と、モノマ添加の特徴である乾燥性およびにじみ性とのバランスが良好となり、例えば基材3の表面上に塗膜形成されたインク受理層2は、優れたインク吸収性を有するとともに、印刷画像の乾燥性、印刷画像のにじみ性、耐タック性、耐水性も良好で、優れた印刷適性が得られる。さらには、熱によって硬化させる場合に比べて塗布する基材3に余分なエネルギを与えなくてもよいから、例えば基材3の熱変形など損傷が生じるなど、基材3の劣化を防止でき、加熱できないような塗布対象でも適用でき、汎用性を向上できる。
このため、吸水性が高く水性インクの吸収能が向上し、例えば製膜により形成されたインク受理層2におけるより優れた印刷適性が得られる。
このため、吸水性と疎水性とのバランスに優れ、水性インクの吸収能と耐水性との双方を兼ね備え、例えば製膜により形成されるインク受理層2におけるより優れた印刷適性が得られる。
このため、低分子量成分により耐タック性が低下するという不都合や、高分子量成分によるコート剤粘度の上昇により塗膜が不均一となる不都合などを防止でき、例えば製膜により形成されるインク受理層2におけるより優れた印刷適性が得られる。
このため、オリゴマ添加による特に耐タック性および耐水性の向上が得られ、例えば製膜により形成されたインク受理層2の優れた印刷適性が得られる。
このため、モノマ添加による特に乾燥性およびにじみ性の向上が得られ、例えば製膜により形成されるインク受理層2の優れた印刷適性が得られる。
このため、親水性重合体の特徴であるインクの吸収能および耐水性と、オリゴマ添加の特徴である耐タック性および耐水性と、モノマ添加の特徴である乾燥性およびにじみ性とのバランスが良好で、例えば製膜により形成されるインク受理層2の優れた印刷適性が得られる。
このため、フィラ添加による特に乾燥性および耐水性の向上が得られ、例えば製膜により形成されるインク受理層2におけるより優れた印刷適性が得られる。
なお、以上に説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造および形状などは、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状などとしてもよい。
また、紫外線硬化型コート剤としては、例えば親水性重合体と、重合反応性オリゴマと、水溶性モノマと、光重合開始剤と、を含有する1液型のもの、インク受理層2を塗布形成する際に光重合開始剤を混合して用いる多液型のものなど、紫外線硬化型コート剤の形態としてはいずれの構成を適用することができる。
(親水性重合体の合成)
紫外線硬化型コート剤の材料として、以下に示す各種の親水性重合体を調製した。
・親水性重合体(a)
冷却管、窒素導入管、攪拌翼を装着した1リットル容量のセパラブルフラスコ(三商社製)に、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(株式会社興人社製)60gと、メタノール(和光純薬工業株式会社製)510gとを加え、攪拌下しつつ反応フラスコ内を窒素ガス(株式会社巴商会社製)で置換した。この後、アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業株式会社製)0.64gをメタノール30gに溶解した溶液を加え、65℃に昇温して8時間重合反応を実施した。この重合反応後、反応溶液を減圧下で30℃にて溶媒を留去し、黄褐色の固体57gを得た。
この黄褐色の固体を、あらかじめ調製した硝酸ナトリウム0.1M(和光純薬工業株式会社製)と酢酸0.5M(和光純薬工業株式会社製)との混合水溶液を溶離剤とし、ポリエチレンオキサイドを標準物質として、ウルトラハイドロゲル500(商品名 ウォーターズ社製)をカラムとして使用し、溶離剤流量1ml/分、カラム温度30℃にてGPC(Gel Permeation Chromatography)分析を行った。その結果、黄褐色の固形物の重量平均分子量は25500であった。
・親水性重合体(b)
上述したセパラブルフラスコに、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド30gと、イソプロピルアルコール(和光純薬工業株式会社製)540gとを加え、上述したように、攪拌下しつつ反応フラスコ内を窒素ガスで置換した。この後、アゾビスイソブチロニトリル0.64gをイソプロピルアルコール30gに溶解した溶液を加え、75℃に昇温して8時間重合反応を実施した。この重合反応後、反応溶液を減圧下で30℃にて溶媒を留去し、黄褐色の固体27gを得た。
この黄褐色の固体は、上記と同様にGPC分析を実施した結果、重量平均分子量は、7300であった。
・親水性重合体(c)
上述したセパラブルフラスコに、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド120gと、メタノール450gとを加え、上述したように、攪拌下しつつ反応フラスコ内を窒素ガスで置換した。この後、アゾビスイソブチロニトリル0.64gをメタノール30gに溶解した溶液を加え、65℃に昇温して8時間重合反応を実施した。この重合反応後、反応溶液を減圧下で30℃にて溶媒を留去し、黄褐色の固体118gを得た。
この黄褐色の固体は、上記と同様にGPC分析を実施した結果、重量平均分子量は、118000であった。
・親水性重合体(d)
上述したセパラブルフラスコに、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド30gと、イソプロピルアルコール540gとを加え、上述したように、攪拌下しつつ反応フラスコ内を窒素ガスで置換した。この後、アゾビスイソブチロニトリル1.28gをイソプロピルアルコール30gに溶解した溶液を加え、75℃に昇温して8時間重合反応を実施した。この重合反応後、反応溶液を減圧下で30℃にて溶媒を留去し、黄褐色の固体27gを得た。
この黄褐色の固体は、上記と同様にGPC分析を実施した結果、重量平均分子量は、3400であった。
・親水性重合体(e)
上述したセパラブルフラスコに、N,N−ジメチルアクリルアミド30gと、メルカプト酢酸0.28g、イソプロピルアルコール540gとを加え、上述したように、攪拌下しつつ反応フラスコ内を窒素ガスで置換した。この後、アゾビスイソブチロニトリル0.5gをイソプロピルアルコール30gに溶解した溶液を加え、75℃に昇温して8時間重合反応を実施した。この重合反応後、反応溶液を減圧下で30℃にて溶媒を留去し、黄褐色の固体27gを得た。
この黄褐色の固体は、上記と同様にGPC分析を実施した結果、重量平均分子量は、10900であった。
以下の表1および表2に示す配合割合で所定量の原料を計量し、混合機(株式会社シンキー(THINKY Corporation社)製 商品名:A−250)にて混合した。
上述で作製した試料を、100μm厚PET(polyethylene terephthalate)フイルム(東レ株式会社製 商品名:ルミラーT100)に、膜厚が15〜25μmとなるようにバーコータ(R K Print Coat Instruments社 商品名:K−202)で塗布した。
そして、紫外線照射装置(GS Yuasa Lighting社 商品名:CSOT−40)にて積算放射量200mJ/cm2で塗膜を硬化させ、インク受理層を形成した。
上述のインク受理層の形成により形成したインクジェット方式のカラープリンタ(セイコーエプソン株式会社製 商品名:PM−G820)により、黒・青・黄・赤のベタ画像を隣接して印刷した。そして、印刷状況を比較評価した。印刷状況としては、以下に示す乾燥性、にじみ性、耐タック性、耐水性について、4段階評価した。すなわち、非常に良好であったものを「◎」、良好であったものを「○」、やや劣るものを「△」、非常に劣るものを「×」とした。その評価結果を表1および表2に併せて示す。
・乾燥性
印刷5分後に、印刷面に紙(アスクル社製,商品名:マルチペーパースパーエコノミー)を押し当て、紙にインクが転写される程度を評価した。
・にじみ性
塗膜の印刷画像が、滲んでいる程度を評価した。
・耐タック性
塗膜の印刷画像の指への粘着性を評価した。
・耐水性
塗膜の印刷画像に水を滴下し、3分後に紙(日本製紙クレシア社製,商品名キムワイプ ワイパーL100)で拭き取り、印刷画像のにじみ性、塗膜の均一性を評価した。
表1および表2に示す結果から、親水性重合体、重合反応性オリゴマ、水溶性モノマおよび光重合開始剤を、所定の範囲で配合した実施例1ないし実施例6は、同質の材料でも配合比が異なる比較例1ないし比較例6では得られない、総合的に良好な印刷特性が得られることが認められた。
2…インク受理層
3…基材
Claims (9)
- 紫外線で硬化する紫外線硬化型コート剤であって、
親水性重合体と、
重合反応性オリゴマと、
水溶性モノマと、
光重合開始剤と、を含有し、
前記親水性重合体は、含有量が5質量%以上50質量%以下であり、
前記重合反応性オリゴマは、含有量が5質量%以上30質量%であり、
前記水溶性モノマは、含有量が10質量%以上89質量%以下であり、
前記光重合開始剤は、含有量が1質量%以上10質量%以下である
ことを特徴とした紫外線硬化型コート剤。 - 請求項1または請求項2に記載の紫外線硬化型コート剤であって、
前記親水性重合体は、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのみからなる重合体である
ことを特徴とした紫外線硬化型コート剤。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の紫外線硬化型コート剤であって、
前記親水性重合体は、重量平均分子量が5000以上300000以下である
ことを特徴とした紫外線硬化型コート剤。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の紫外線硬化型コート剤であって、
前記重合反応性オリゴマは、ウレタンアクリレートオリゴマ、エポキシアクリレートオリゴマ、ポリエステル系オリゴマ、アクリル系オリゴマから選ばれる少なくとも1種類である
ことを特徴とした紫外線硬化型コート剤。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の紫外線硬化型コート剤であって、
前記水溶性モノマは、アクリロイルモルフォリンを50質量%以上含有した
ことを特徴とした紫外線硬化型コート剤。 - 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の紫外線硬化型コート剤であって、
前記親水性重合体、前記重合反応性オリゴマ、前記水溶性モノマおよび前記光重合開始剤に加えて、3質量%以上50質量%以下の吸水性フィラを含有した
ことを特徴とした紫外線硬化型コート剤。 - 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の紫外線硬化型コート剤が基材の表面に塗布された
ことを特徴とした成形品。 - 請求項8に記載の成形品であって、
前記紫外線硬化型コート剤は、前記基材の表面にインク受理層として塗布形成された
ことを特徴とした成形品。
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