JP3197419B2 - 光情報媒体の製造方法 - Google Patents

光情報媒体の製造方法

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JP3197419B2
JP3197419B2 JP35129993A JP35129993A JP3197419B2 JP 3197419 B2 JP3197419 B2 JP 3197419B2 JP 35129993 A JP35129993 A JP 35129993A JP 35129993 A JP35129993 A JP 35129993A JP 3197419 B2 JP3197419 B2 JP 3197419B2
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resin film
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザ光が入射するの
と反対側の面に、印刷インクを用いて印刷が可能な光情
報媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、オーディオや情報処理等の分野
で、コンパクトディスクの名称を有する光情報媒体(以
下「CD」と称する。)が広く普及している。このCD
は、ポリカーボネート等のドーナツ状の円板からなる透
光性基板の上に金やアルミニウム等を蒸着して反射層を
設け、さらにその上を紫外線硬化性樹脂等の保護層で覆
った構造になっている。そして、データは、前記透光性
基板の表面に螺旋状の配列に従って凹凸状のピットを形
成することで記録してあり、このピットは、透光性基板
を成形するときにスタンパー等の型に倣って予め形成し
ておき、その上に前記の反射層が設けられいる。従っ
て、このCDは、製造されたときは、既にデータが記録
されており、再生専用の光情報媒体として使用される。
【0003】このCDは、それに記録された内容を示す
インデックス表示や各種のデザインを紫外線硬化性イン
クや油性インクによって保護層の表面に印刷してある。
これらの印刷は、通常、スクリーン印刷、タンポ印刷或
はオフセット印刷といった版の転写による印刷手段によ
り行なわれている。これらの印刷手段は、同一パターン
を同時に多数印刷する、いわゆる多量印刷に適する印刷
手段である。
【0004】一方、いわゆるカラオケブームに象徴され
るように、アマチュアによる自演熱が高まり、その裾野
が広がるに伴い、アマチュア演奏家が比較的少数の自作
CDを作る活動も盛んになってきた。これらの自作CD
は、例えば、プロモーション用、オーディション用、テ
スト用或は自費出版用等として作られる。特に、レーザ
ーを用いて1回だけ記録することができ、その記録内容
をCDプレーヤーで再生できる、いわゆるCD−WO等
のワンスライト型の光情報媒体が開発されるに至り、こ
うした自作CDがより手軽に作ることができるようにな
った。また、コンピュータの分野においてもいわゆるC
D−ROMが広く普及し、いわゆるワンスライト型の光
情報媒体の普及に伴い、CD−WOディスクを用いてユ
ーザが自作のCD−ROMを作ることも行われるように
なっている。
【0005】
【発明が解決しようとしている課題】こうして作られた
自作CD等の光情報媒体の保護層には、何にも記載され
ていないか、或は紫外線硬化性インクや油性インクによ
って共通の文字や図柄が印刷されてるだけであり、パー
ソナルな情報を光情報媒体に記録する前、或は後に保護
層の表面或はレーベルの印刷面に記録内容のインデック
スや、さらに必要があればその他のデザインを表示する
必要が生じる。
【0006】しかし、前記の印刷手段は、保護層を設け
た後、その製造工程で印刷するものであり、保護層の面
も印刷面も共に疎水性であるために、パーソナルな情報
の記録後に保護層の表面に印刷するには過大な設備を要
し、個人的に任意の情報を自由に印刷することは困難で
ある。このため、一般に油性のフエルトペン等を用いて
保護層の表面に書き込む方法や、ラベル等を貼って表示
を施す手段がとられる。しかし、1枚ずつ手で書き込ま
なければならないため、面倒であると共に、描いたパタ
ーンや描画品質にバラツキが出たりするため、体裁が悪
く、折角作った光情報媒体の外観を損なうという問題が
あった。また、特にラベルを貼った場合は、表示面がラ
ベルの厚さだけ盛り上がり、再生や追記の際に光情報媒
体の偏心や面ブレ等を招くという問題あった。
【0007】本発明は、このような従来の問題点に鑑
み、光情報媒体の保護層の表面に一定の文字や図柄を容
易かつ良好に形成することができ、しかも記録部分の保
護機能に優れた光情報媒体を容易に得ることができる製
造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、前記第一の目
的を達成するため、本発明において採用した手段は、板
状の透光性基板上に直接または他の層を介して密着され
て形成された樹脂からなる保護層を備え、レーザ光によ
り光学的に読み取り可能な情報が再生及び/または記録
し得る光情報媒体を製造する方法において、前記保護層
を前記透光性基板上に直接または他の層を介して密着さ
せて形成し後、該保護層主面上に、同保護層表面の活性
が失われないうちに水性の印刷用インクが定着可能な親
水性樹脂膜を形成することを特徴とする光情報媒体の製
造方法である。さらに、前記光情報媒体の保護層上に親
水性樹脂膜を形成し、該親水性樹脂膜上に水性インクを
定着させて表示を施すことを特徴とするものである。
【0009】この場合において、本発明の望ましい実施
態様は次の通りである。保護層は、紫外線硬化性インク
を塗布した後、紫外線照射により硬化させて形成される
ことが望ましい。親水性樹脂膜は、親水性紫外線硬化性
インクを塗布した後、紫外線照射により硬化させて形成
されることが望ましい。
【0010】
【作用】保護層を前記透光性基板上に直接または他の層
を介して密着させて形成し硬化させた後、該保護層主面
上に水性の印刷用インクが定着可能な親水性樹脂膜を形
成し硬化することにより、それらの層界の結着性は、透
光性基板を構成する他の層の層界の結着性よりも良好と
なる。これにより、光情報媒体の表層の親水性樹脂層の
剥がれが起こらず、耐候性が高く、信頼性の高い光情報
媒体を得ることができる。
【0011】保護層は、紫外線硬化性インクを塗布した
後、紫外線照射により硬化させて形成されることによ
り、短時間で成膜することが可能になる。また、親水性
樹脂膜は、親水性紫外線硬化性インクを塗布した後、紫
外線照射により硬化させて形成されることにより、その
下の紫外線硬化性樹脂層を形成する工程と同様の工程で
形成できるため、一連のライン工程で短時間で容易に形
成できる。しかも、親水性樹脂膜を設けるときの光情報
媒体の反りや偏心等も少なく、記録再生特性の劣化等に
有効である。
【0012】保護層表面の活性が失われないうち、すな
わち、紫外線硬化性樹脂中のラジカルな分子が反応また
は消滅ぜずに残っている状態のときにその上に親水性樹
脂膜を形成することにより、なお一層それらの層界の結
着性を向上させることができる。これにより、光情報媒
体の表層の親水性樹脂の剥がれが起こらず、耐候性が
高く、信頼性の高い光情報媒体を得ることができる。
【0013】
【0014】
【0015】
【実施例】次に、図面を参照しながら、本発明の実施例
について具体的に説明する。図1は、光情報媒体をレー
ザ光が入射する面の裏面側から見たもので、透光性基板
21は同図において下面側となっている。この図に示す
ように、紫外線硬化樹脂層25の表面に親水性樹脂膜2
6が形成されている。光情報媒体の中心に設けられた孔
は、CDプレーヤーに光情報媒体をセットしたとき、ス
ピンドルのクランパーでクランプするためのクランプ孔
4である。
【0016】図2は、前記光情報媒体の例として、いわ
ゆるライトワンス型の光情報媒体の断面を模式的に示し
ている。ポリカーボネート樹脂等からなる透光性基板2
1の上に螺旋状にトラッキング用の案内溝22が形成さ
れ、その上に色素記録層23がコーティングされてい
る。この色素記録層23の上に金、銀、アルミニウム等
の金属膜からなる反射層24が形成され、その上に保護
層25が設けられている。さらに、この保護層25の上
に後述する親水性樹脂膜26が形成されている。
【0017】図4は、このようなライトワンス型の光情
報媒体の前記親水性樹脂膜26にインクジェット記録を
行う印刷装置の要部構成を示す断面図であり、図3は、
このような装置でインクジェット記録を行うときに、光
情報媒体2を保持するホルダ31である。
【0018】ホルダ31は矩形であり、その中心に光情
報媒体2の外径よりごく僅かに大きな円形の孔33が設
けられ、この内側に光情報媒体2の外周縁を保持する段
部32が全周にわたって設けられている。この段部3の
深さは、光情報媒体2の厚さより僅かに浅い。このた
め、図3に示すように、親水性樹脂膜26側を上にして
光情報媒体2をホルダ31の孔33の中に嵌め込み、光
情報媒体2のレーザ光の入射面側の外周部を段部32で
支持すると、光情報媒体2は、その親水性樹脂膜26の
表面がホルダ31の表面より僅かに上に出るように同ホ
ルダ31に保持される。
【0019】こうしたホルダ31に保持された光情報媒
体2を、図4に示す印刷装置の送りテーブル41の上に
伸せ、ローラ42、43をホルダ31の端の部分に当た
る位置に送る。コンピュータ等から印刷信号が印刷装置
に入力すると、ローラ42、43の駆動によりホルダ3
1の送りが開始される。この光情報媒体2がテーブル4
1上を通過する位置の真上に印字ヘッド44が配置さ
れ、この印字ヘッド44から印刷用インクの粒を光情報
媒体2の親水性樹脂膜26の表面に噴出させ、同膜26
の表面に文字や図柄等を印刷する。
【0020】既に述べた通り、図4に示す印刷装置はイ
ンクジェット印刷を行うインクジェットプリンタであ
る。この種のプリンタでは、周知のように、印字ヘッド
44に複数本の細い印字ノズルが配列されている。この
印字ノズルは、例えば、電気信号により動作する電気熱
変換体によって印字ノズル中のインクにバブルを発生さ
せ、ノズル先端からインクを噴出させる。これにより、
前述のように、送りテーブル41に沿って搬送される光
情報媒体2の親水性樹脂膜26の表面上の所定の位置に
インクを付着させる。
【0021】光情報媒体2に使用される前記の板状の透
光性基板21は、レーザ光に対する屈折率が1.4〜
1.6の範囲の透明度の高い材料で、耐衝撃性に優れた
樹脂が使用される。具体的には、ポリカーボネート、ポ
リオレフィン、アクリル等が例示できるが、これらに限
られる訳ではない。透光性基板21は、このような樹脂
材料を用いて、例えば、射出成形法等の手段により成形
される。図2に示されたように、このような透光性基板
21の表面には、スパイラル状の案内溝22または、他
の形状によるトラッキングガイド手段を設けておいても
良い。このようなトラッキングガイド手段は、通常、ス
タンパを用い、公知の方法にて形成できる。
【0022】この光情報媒体は、レーザ光により光学的
に読み取り可能な情報を記録または再生するための部分
か、或は記録した部分の少なくとも何れかを備えてお
り、これは例えば、レーザ光を照射することにより、光
学的に情報を再生または記録し得る層や、記録または再
生に関与する透光性基板表面或はそれ以外の表面を意味
する。例えば、図2に示した前述のライトワンス型の光
情報媒体の場合、透光性基板21の上に色素材料をコー
ティングし、色素記録層23を設け、さらにその上に金
銀、アルミニウムの膜をスパッタリング等の手段で形成
し、反射層24を形成する。この色素記録層23と反射
層24とにより、情報の記録と再生を可能にする。他
方、透光性基板上に光反射層及び保護層が順次積層され
たCD等の読み出し専用の光情報媒体では、透光性基板
21上に形成されたピット列とそれを覆う反射層とによ
り情報の再生を行う。
【0023】記録や再生の方式は、光学的なものであ
り、レーザ光によるものや光磁気記録再生方式等が一般
的である。このような情報の記録や再生は、光情報媒体
の片面側から行われ、具体的には透光性基板21の表面
側からレーザ光を入射させる等の手段で行われる。他方
の面側から光学的な情報の記録や再生は行われない。記
録光、再生光としてレーザ光を用いる場合、波長750
〜830nmのものが一般的であるが、これ以外の波長
のレーザ光を使用してもよい。
【0024】さらに、図2に示した色素記録層23や反
射層24の他に、他の層を設けることもある。例えば、
結着性を向上させるための層等、情報を記録する以外に
信頼性を向上させるための層等を設けることもある。ま
た図2では、色素記録層23が透光性基板21上に直接
被着されているが、その間に他の層が設けられる場合も
ある。
【0025】保護層25は、透光性基板21と反対側か
ら受ける物理的または機械的障害に対して情報記録部分
を保護する層であり、透光性基板21側と反対側に設け
られる。このような保護層25は、耐衝撃性に優れた樹
脂が望ましい。例えば、保護層25の硬度は、えんぴつ
硬度で2H〜7H/Grassが望ましい。また、保護
層25の熱変形温度は、80度以上が望ましく、100
度以上がより望ましい。保護層25の厚みは、5〜10
ミクロンの範囲が望ましく、それは材質の異なる複数の
層からなるものであっても構わない。
【0026】保護層25は、一般には重合してポリマー
となり得る有機化合物のモノマー及びオリゴマーを塗布
後、架橋反応させることによりこれを得ることができ
る。架橋反応により有機ポリマーとしてこれを得る場合
には、作業性の面から分子中にひとつ以上の反応性アク
リロイル基(−CH=CH2)を持つ有機重化合物のモ
ノマー及びオリゴマーの混合物に反応開始剤、反応触媒
を少量加え、メチルエチルケトン、アルコール等の溶剤
で液状としたこれらの混合物を塗布し、紫外線もしくは
電子線を照射することにより架橋させる方法が有利であ
る。特に、保護層25の形成の際の透光性基板や情報層
への悪影響を防止し、短時間で形成できるため、紫外線
硬化樹脂が望ましい。
【0027】このような紫外線硬化樹脂は、光情報媒体
に用いるものであれば、公知の紫外線硬化樹脂が適用可
能である。具体的には、Nビニルピロリドン、トリプロ
ピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロ
パントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレー
ト等の樹脂を例示できる。
【0028】しかし、架橋の方法は前述のような紫外線
照射に限られるわけではなく、エポキシ樹脂やウレタン
樹脂のように、熱によって架橋が進むものであってもよ
いし、ジアルコキシシランカップリング剤のように空気
中の水分で重合反応が進むものであってもよい。
【0029】こうして得られた架橋物の主鎖及び側鎖
は、飽和もしくは不飽和系の直鎖状炭化水素であっても
よいし、メラミン、ビスフェノール系等の環状化合物を
含んでいてもよい。また、この架橋物の主鎖または側鎖
の途中に一個以上のエーテル結合を含むポリエーテル、
エステル結合を含むポリエステル、ウレタン結合を含む
ポリウレタン、イオン結合を含むアイオマー、アミド結
合を含むポリアミド、イミド結合を含むポリイミド、ス
ルホン結合を含むポリスルホン、スルフィド結合を含む
ポリスルフィド等に例示されるその他の結合を含んでい
てもかまわない。これらの結合をふたつ以上含む共重合
化合物であってもよいし、ブロックポリマーであっても
かまわない。
【0030】これらの架橋物の防湿性を向上させるため
に、側鎖にフルオロカーボン等を含んでいてもよいし、
ハロゲン化水素による劣化を防止するためにエポキシ樹
脂を含んでいてもよい。保護層25と光反射層24や親
水性樹脂膜26との密着性を向上させるために、前記架
橋物の側鎖にヒドロキシル基、カルボキシル基、アクリ
ル基、アミノ基、酢酸ビニル基等を含んでいてもよい
し、主鎖または側鎖に塩基酸が含まれていてもよい。
【0031】保護層25の形成の際には、塗布中に樹脂
とその反応剤、反応開始剤等のほかに、塗布性を向上さ
せるために、溶剤、希釈剤が含まれていてもよい。ま
た、塗膜の安定化を図るために、レベリング剤や、可塑
剤、酸化防止剤、帯電防止剤、等が含まれていてもよ
い。必要に応じて、顔料や染料により着色してあっても
かまわない。
【0032】樹脂の硬化は、架橋構造の架橋密度ないし
は反応性アクロイル濃度によってこれを変えることがで
き、主鎖となり得るオリゴマー自体の分子回転の自由度
によっても変わってくる。この保護層25の硬化の際の
収縮率を低くすると、これを硬化させた後に、樹脂の歪
みが残らないようにヒートサイクル試験を行ったときで
も、保護層25に割れが生じにくくなる。機械的強度を
考慮すると、この収縮率は12%以下が望ましく、さら
には10%以下がより望ましい。
【0033】なお、保護層25は、塗布等の手段によら
ず、樹脂材料を光反射層24の上に張り合わせて形成す
ることもできる。また、材質も有機化合物に限らず、無
機物をスパッタ法あるいは蒸着法等公知の手段により形
成してもよい。さらに、光反射層24と保護層25との
間に、光反射層24の酸化を防止する耐酸化層を介在さ
せることもできる。
【0034】本発明では、このような光情報媒体におい
て、読み取りレーザ光入射側と反対側の面に印刷用イン
クが定着できるように、親水性樹脂膜26を形成する。
この親水性樹脂膜26とは、水性のインクを滴下し、3
0分後に手で触れてもインクがにじまない程度にそのイ
ンクを定着するのに充分な親水性を有する紫外線硬化性
の樹脂膜である。すなわち、インクの乾燥により単にイ
ンクが付着した状態ではなく、容易に消すことができな
い程度にインクが定着可能な膜をいう。親水性樹脂膜2
6上に印刷されたインクは、その付着面積を縮小するこ
となく、親水性樹脂膜26の表面に定着する。
【0035】例えば、図2に示すように、保護層25の
表面に親水性の樹脂をコーティングし、薄い親水性樹脂
膜26を形成することで、その表面に印刷用インクが定
着できるようにする。このような親水性樹脂の例として
は、例えば、ポリエチレンオキサイド(polyeth
ylen oxide)、ポリビニルアルコール(po
lyvinyl alcohol)、ポリビニルメチル
エーテル(polyvinylmethyl ethe
r)ポリビニルホルマール(polyvinyl fo
rmal)、カルボキシビニルポリマー(carbox
yvinylpolymer)、ヒドロキシエチルセル
ロース(hydroxyethylcellulos
e)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxy
propyl cellulose)、メチルセルロー
ス(methyl cellulose)、カルボキシ
メチルセルロースナトリウム塩(sodium car
boxymethyl cellulose)、ポリビ
ニルピロリドン(polyvinyl prrolid
one)、モルホリン(morpholine)、ケト
ンホルムアルデヒド、スチレン/無水マレイン酸共重合
物、セラック、デキストリン、ポリ(アクリル酸ピロリ
ドニルエチルエステル)、ポリアクリル酸及びその金属
塩、ポリアミン、ポリアクリルアミド、ポリエチレング
リコール、ポリジエチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルアルキルエ
ーテル、ポリビニルヒドロキシベンゾエート、ポリフタ
ル酸、酢酸セルロースヒドロキシジエンフタレート、例
えば幹鎖がメチルメタクリレートで側鎖がN−メチロー
ルアクリルアミドからなるLH−40(綜研化学社製)
のようなグラフトプリマー類、水溶性アルキッド、水溶
性ポリエステル、水溶性ポリエポキシ、ポリアミド、ポ
リビニルメチルエーテル、ポリ酢酸ビニルのケン化物、
カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロ
ースナトリウム塩、アラビアガム、グアガム、アルギン
酸ソーダ等を挙げることができる。これらの親水性樹脂
を少なくとも1種以上を用意し、下記に述べる光重合モ
ノマーや光開始剤、また、必要に応じて他の添加剤を配
合してコーティングする。
【0036】これらの樹脂は、光情報媒体の耐候性、耐
水性、反り等の信頼性や製造性を考慮し、配合バランス
を調整して混合する。親水性樹脂の添加量は、5重量%
以上、溶解限度(例えば50重量%)程度が考えられる
が、5〜20重量%の範囲とすることが望ましい。多す
ぎると耐水性が悪くなり、印刷作業性も悪化しやすくな
る。少くなすぎると、インクのぬれ性が悪くなり、印刷
後のかすれが生じやすくなる。
【0037】前記親水性樹脂には、光重合モノマーを添
加することが望ましい。また、前記の樹脂に代えて、親
水性の光重合モノマーを用いてもよい。親水性の光重合
モノマーとして、例えば、ポリエーテル変性モノ(メ
タ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド誘導体、ア
ミノ基を有するモノ(メタ)アクリレート、水酸基を有
するモノ(メタ)アクリレート、リン酸基を有するモノ
(メタ)アクリレート、含窒素環状ビニルモノマーのう
ちから選択される少なくとも1種のモノマーが挙げられ
る。具体的には、ジメチルアクリルアミド(SN−SX
−2833:サンノプコ社製)、ポリエチレン、グリコ
ール単位をもつモノ(メタ)アクリレート、アルキル置
換(メタ)アクリルアミド、アルコキシ変性(メタ)ア
クリルアミド、メチロール変性(メタ)アクリルアミ
ド、N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、N、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、多価アルコールジグ
リシジルエーテルモノ(メタ)アクリレート、アルキレ
ンオキサイド変性リン酸モノ(メタ)アクリレート、カ
プロラクトン変性リン酸モノ(メタ)アクリレート、ア
クリロイルモルホリン、N−ビニルオキサゾリドン、N
−ビニルサクシイミド、N−ビニルピロリドン、N−ビ
ニルカプロラクタムのうちから選択される少なくとも1
種のモノマーが挙げられる。また、光硬化性向上のた
め、多価アルコール及びそのアルキレンオキサイド付加
物の(メタ)アクリル酸エステル類、多価アルコールジ
グリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート等を使用す
る。これらを適宜50〜100重量%程度添加する。
【0038】これらに光開始剤を配合し、紫外線硬化性
樹脂とする。光開始剤として具体的には、アセトフェノ
ン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジルベンゾ
イン、ベンゾインエーテル、ベンゾイルベンゾエート、
ベンジルジメチルケタール、1ーヒドロキシシクロヘキ
シルフェニルケトン、チオキサントン類、ベンジル、2
−エチルアントラキノン、メチルベンゾイルホルメー
ト、ジアセチル等が例示できる。これらの光開始剤を、
適宜1〜8重量%程度、望ましくは2〜6重量%添加す
る。開始剤が多すぎると印刷作業性も悪化しやすくな
り、少くなすぎると、硬化時間が長いため生産性が低く
なったり、或は紫外線硬化性が得られない。なお、粘度
調整のため、光重合モノマーに前記の樹脂を混合しても
よい。
【0039】前記親水性樹脂材料中に、別に添加剤を配
合することもできる。例えば、吸水性顔料、湿潤剤、消
泡剤、表面張力調整剤等を配合することも望ましい。具
体的には、微粉シリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウ
ム、酸化チタン、亜鉛華、コロイダルシリカ、カーボン
ブラック、ベンガラ等の無機顔料、カルボキシメチルセ
ルロース、デキストリン、メチルセルロース等の微粉
末、特殊コーティングにより、アミド系アクリレート等
に不溶とされたポリビニルピロリドン、アクリル酸ビニ
ルアルコール共重合体(スミカゲルSP−510:住友
化学製)、コラーゲン粉末等の有機顔料、アニオン系ま
たはノニオン系の公知の湿潤剤(ノプコ2272RS
N、ノプコウェツト50、ノプコウェツトSN20T:
いずれもサンノプコ製)、消泡剤(ノプコ8034:サ
ンノプコ製、デヒドラン1620:ヘンケル製、AD9
301:三菱レーヨン製)、表面張力調整剤(ペレノー
ルs43、同s5:ヘンケル製)、ポリエチレンイミン
(SP103 日本触媒(株))等の増粘剤を例示すること
ができる。
【0040】添加剤としての吸水性顔料は、インクの印
刷性の調整や親水性膜形成の際の作業性等を調整すると
いう役割を果たす。湿潤剤は湿潤性を向上させ、流動性
を調整し、低起泡性のものを得ることができ、スクリー
ン印刷等の光情報媒体の製造工程中における他の層形成
工程と同様の設備にて形成することが可能になるため、
製造効率を向上させることができる。消泡剤や表面張力
調整剤は、ムラなく塗膜を形成することができる。
【0041】顔料により、親水性樹脂膜26を不透明ま
たは濁色としたり着色することも可能である。このよう
にすることにより、インクの色や印刷の程度に応じて適
した光情報媒体を選択することができ、美観の向上を図
ることができる。また、保護層下に設けられた層の色彩
を活用して、いわゆるヌキ部分を形成することにより浮
き彫り模様とすることも可能である。
【0042】親水性樹脂膜26の厚みは、光情報媒体と
しての記録再生特性に影響が生じることを防止するため
5〜30ミクロンの範囲とすることが望ましい。このよ
うな膜厚は、上記の材料を適宜配合して粘度等を調整す
ることにより得ることができる。また、親水性樹脂膜2
6は、保護層25の厚みよりも厚くすることにより緩衝
効果を高めることができる。
【0043】親水性樹脂膜26は紫外線硬化樹脂かなる
保護層25の上に形成することが望ましい。特に、保護
層25としての紫外線硬化樹脂膜を成膜した直後、その
表面の活性が失われないうち、すなわち、下地となる紫
外線硬化樹脂が完全に硬化する前に、親水性樹脂膜26
を形成することにより、それらの層界が一体となって結
着性を向上させることができる。
【0044】親水性樹脂膜26と保護層25との層界の
結着性は、透光性基板を構成する他の層の層界の結着性
よりも良好であることが望ましい。このような結着性
は、保護層25を形成する紫外線硬化性樹脂材料とその
上の親水性樹脂材料との組み合せを適宜選択し、前記の
ような成膜法を採用することで得ることができる。例え
ば、透光性基板上に色素記録層23と金属反射膜24と
を有し、反射膜24上にエポキシ樹脂、アクリル樹脂等
の紫外線硬化樹脂からなる保護層25を設けた図2に示
すような光情報媒体の場合、親水性樹脂膜26として、
アミド系アクリレート及びポリビニルピロリドンを含む
親水性樹脂膜を設けることで、前述のような結着性が得
られる。保護層25と親水性樹脂膜26との層界の結着
性が良いと、親水性樹脂膜26を保護層25の表面の一
部にのみ形成しても剥がれ難く、保護層25と共に光情
報媒体の保護機能を発揮する。さらに、光情報媒体の反
りや剥がれ等が少なくなり、記録や再生の特性が劣化す
るのが防止される。
【0045】光情報媒体の反り等を防止するため、親水
性樹脂膜26の形成時の収縮率が保護層25を形成する
紫外線硬化樹脂の乾燥時の収縮率よりも小さいものが望
ましい。また、筆圧や印字圧等に対する光情報媒体の保
護の観点から、親水性樹脂膜26の硬度は、保護層25
の硬度よりも小さく、例えば、えんぴつ硬度で前述した
保護層25の硬度2H〜7H/Grassより小さいこ
とが望ましい。このような収縮率や硬さとするには、保
護層25を形成する紫外線硬化樹脂及びその上に形成さ
れる親水性樹脂膜26に配合されるモノマーの官能基の
数に依存するので、配合材料の物性に応じ、親水性樹脂
として単官能モノマーまたは官能基が2程度のモノマー
を適宜選択することにより得ることができる。このよう
にすることにより、反り、剥がれ等の光情報媒体として
の信頼性低下を防止でき、安定した記録や再生ができ
る。
【0046】親水性樹脂膜26は、保護層25の全表面
にわたって設けてもよいが、例えば、図1に示すよう
に、保護層25の内外周の縁部を除いて設けることもで
きる。親水性樹脂膜26の表面には、微細な粗面とする
のがよく、この微細表面状態により、保護層25の表面
2に印刷インクが付着したとき、微細な凹部に印刷イン
クが保持されて定着する、いわゆる投錨効果が付与され
る。また、粗面によって親水性樹脂膜26の表面積が増
大され、インク吸収を促進することができる。
【0047】ここにいう粗面とは、水性インクに対する
接触角が粗面としない場合よりも小さいものをいい、望
ましくは触針式表面粗さ測定器による平均粗さ(Ra)
が2.0〜0.1μm程度がよい。この表面粗さの水性
インクに対する効果は、膜の物性により多少の違いがあ
るもが、総じて、表面粗さが小さい場合には、ファイン
ラインは解像度良好に描くことができるものの、ベタに
インクを形成した場合にかすれが生じる恐れがあり、表
面粗さが大きすぎると、ファインラインもベタも共にに
じみやすい。特に、平均粗さ(Ra)を1.0〜0.5
μm程度とすることにより、ファインライン印刷もベタ
印刷も共に実用上良好に印刷することが可能になる。
【0048】このような親水性樹脂膜26の微細な粗面
は、保護層25の表面に親水性樹脂をグラビア塗工する
ことで形成できるが、例えば、保護層25の表面2にフ
ィラーを混合した樹脂をスクリーン印刷やスピンコーテ
ィングによりコーディングすることで形成することもで
きる。例えば親水性樹脂中に、フィラーとして有機また
は無機顔料を分散すると、容易に粗面を形成でき、その
投錨効果も大きい。顔料の粒径は、1〜10μm程度が
適当であり、特に3〜5μmの大きさであると、ベタ印
刷性が良好になる。
【0049】親水性樹脂膜26の表面に印刷する場合
は、同膜26を形成した後、その表面の活性が失われな
いうちに印刷を行うと、インクの定着性が良好となる。
また、親水性樹脂膜26を形成してから暫く経過した後
でも、同膜26の表面をプラズマ処理すると、同膜26
の表面が活性化され、同表面へのインクの定着性がさら
に向上する。具体的には、真空状態の希薄不活性ガス雰
囲気中にこの光情報媒体を配置し、このガス中でプラズ
マを発生させて処理する。このように処理すると、処理
された表面に付着したインクの表面張力が小さく、イン
クの接触角が小さくなり、いわゆるインクの濡れ性が向
上する。この表面へのインクの印刷は、プラズマ処理
後、なるべく早く行うことが望ましい。なお、本発明の
光情報媒体に適用可能なインクは、水性インクであるこ
とが望ましいが、油性インクや紫外線硬化インク等であ
っても良い。
【0050】既に述べた通り、親水性樹脂膜26の表面
2に文字等を印刷する場合、筆記やスクリーン印刷等に
よることもできるが、特にインクジェットプリンターで
印刷するのがよい。周知の通り、インクジェットプリン
ターは、パーソナルコンピューター等のプリンターとし
て用いられており、コンピューターで作成した印刷文字
や印刷図柄を前記親水性樹脂膜26の表面に繰り返し印
刷することが可能である。従って、比較的少数の光情報
媒体に一定の文字や図柄を印刷するのに適している。ま
た、印刷に際して打撃等の機会的な衝撃や印刷インクの
定着のための熱等を加える必要がないため、光情報媒体
に損傷を与えることもない。同様にして、ノズル部分を
ヒーター加熱するバブルジェット方式により、インク粒
子を作成し印刷する、いわゆるバブルジェット方式にも
適応できる事は言うまでもない。
【0051】次に、本発明の具体的な実施例を述べる。
スタンパによりスパイラル状にトラッキングガイドを行
うための幅0.8μm、深さ0.08μm、トラックピ
ッチ1.6μmのガイド溝が直径の46〜117mmφ
の範囲に形成された外形120mmφ、内径15mm
φ、厚み1.2mmのポリカーボネート透光性基板(ユ
ーピロン:三菱ガス化学製)を用意する。この透光性基
板の硬さは、えんぴつ硬度HBであり、熱膨張係数は2
0〜120Cにおいて6×10-5/Cであった。
【0052】0.65gの1、1、−ジブチル3、3、
3、3、テトラメチル4、5、4、5、−ジベンゾイン
ドジカーボシアニンパークロレート(日本感光色素研究
所製)をジアセトンアルコール10mlに溶解し、これ
を上記透光性基板上に回転数を適当に変化させながら平
均膜厚130nmになるようにスピンコートし、乾燥さ
せて、色素記録層を形成した。この上に、金をスパッタ
リングし、厚さ100nmの反射層を形成した。
【0053】次にスピンコート法により多官能アクリレ
ートモノマーを主成分とする紫外線硬化樹脂(SD−1
7:大日本インキ製)を塗布し、高圧水銀灯で230m
j/cm2 の紫外線を照射し、硬化させて、厚さ10μ
mの保護層を形成した。この紫外線硬化樹脂からなる保
護層の硬さは、えんぴつ硬度5H/on glass
(2H/on PC)である。
【0054】A成分として、光開始剤を含む単官能の紫
外線硬化性アミド系アクリレート(SN5X−283
3:サンノプコ製)に、C成分として、2官能で分子量
400のポリエチレングリコールジアクリレート(SN
5X−2911:サンノプコ製)を配合した液体中に、
B成分として、粉末状のポリビニルピロリドン(K9
0:東京化成工業製)を10重量%配合して充分溶解混
合した後、D成分として、この液体中に粒径約4μmの
微粉シリカ(XR37B:徳山遭達製、D成分)或は
D’成分として、表面に不溶コーティングを施した粒径
約4μmのポリビニルピロリドン樹脂粒子(KOLID
ON CLM:BASF製)を次の割合で配合し、これ
らを21ポットの12個のボールを入れたボールミルを
用い、24時間かけて分散し、親水性樹脂溶液を用意し
た。
【0055】 実施例1 A成分:B成分:C成分:D 成分=67:15: 5:13 実施例2 A成分:B成分:C成分:D’成分=65:15: 5:15 実施例3 A成分:B成分:C成分:D 成分=57:15:15:13 実施例4 A成分:B成分:C成分:D’成分=50:15:20:15
【0056】前記保護層形成後30分以内に、300メ
ッシュのスクリーンを用い、この親水性樹脂溶液を、保
護層の内外周縁を除いてその上にスクリーン印刷し、前
記保護層と同様の条件にて紫外線を照射することによ
り、厚さ15μmの親水性樹脂膜を形成した。
【0057】なお、前記実施例1〜4のうち、実施例3
と4において使用した親水製樹脂溶液の粘度の経時変化
は、表1の通りであった。また、収縮率を比較するた
め、保護層に用いた紫外線硬化樹脂と親水性樹脂を厚み
10μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に両
方とも厚さ15μmで塗布し、紫外線を照射することに
より硬化させたところ、保護層に用いた紫外線硬化樹脂
の方はたわみ、親水性樹脂膜の方はたわみが生じなかっ
た。つまり、収縮率は、保護層に用いた紫外線硬化樹脂
が親水性樹脂膜より大である。
【0058】
【表1】
【0059】このようにして形成さた親水性樹脂膜の表
面状態は、半透明の粗面であり、その表面粗さ(Ra)
を触針式表面粗さ測定器(DEKTAK3030:ビー
コインスツルメンツインク製)により測定したところ、
0.9〜0.6μmであった。また、その樹脂の硬さは、
何れもえんぴつ硬度4H/on glass(2H/o
n PC)であった。
【0060】このようにして得られた光情報媒体にEF
M信号に変調された波長780nmの半導体レーザを、
パワー7.8mW、線速1.4m/secにて案内溝に沿って
照射することにより、所定の光学的情報を記録した。そ
の後、これら光情報媒体について、温度70℃、湿度8
5%RHの加速劣化試験を行った。試験開始後100時
間経過した後の親水性樹脂膜の表面を確認したところ、
初期状態との変化は見られなかった。比較のため、イン
クジェット印刷用のOHPシートについても同様の加速
劣化試験を行ったところ、試験開始後100時間経過し
た後の表面には、所々に溶けたような斑点が生じた。
【0061】さらにこの加速劣化試験において、試験前
(初期)、試験開始後24時間後のもの及び100時間
後のものに、インクジェットプリンタを用い、各々別の
場所に水性黒インクを用いて印刷し、インクジェット印
刷性能(IJP性能)を調べた。すなわち、インクジェ
ットプリンタの「●」や「■」を印字し、網目状になら
ずに印字できるかどうかのベタ印字性と、画数の多い漢
字を印字し、線の間が潰れずに印字できるかどうかの漢
字印字性を調べた。その結果は、表2の通りであった。
【0062】
【表2】 ─────────────────────────────────── 初期 24時間後 100時間後 ─────────────────────────────────── 実施例1 ベタ印字性 ややかすれ − 初期よりかすれ多い 漢字印字性 良好 − 良好 実施例2 ベタ印字性 ややかすれ − 初期よりかすれ多い 漢字印字性 良好 − 良好 実施例3 ベタ印字性 良好 良好 良好 漢字印字性 良好 良好 良好 実施例4 ベタ印字性 良好 良好 ややかすれ 漢字印字性 良好 良好 良好 OHPシート ベタ印字性 かすれ − 初期同様(76時間) 漢字印字性 良好 − 初期同様(76時間) ───────────────────────────────────
【0063】実施例3及び実施例4について、温度70
℃、湿度0%RH(DRY)の加速劣化試験を行い、そ
の前後のIJP性能を調べた結果を表3に示す。
【0064】
【表3】
【0065】実施例3及び実施例4について、温度70
℃、湿度0%RH(DRY)の加速劣化試験を行い、そ
の前後に測定した光情報媒体の反り角を表4に示す。ま
た、温度23℃、湿度50%RHの標準条件に98時間
放置した後の反り角も同様にして表4に示した。なお、
反り角は、CD規格に従い、中心からの半径55mmの
位置における径方向のものを測定し、その平均値を示し
た。なお、比較例は、厚さ25μmの保護層を有し、親
水性樹脂膜を有しないものである。何れもCD規格で規
定した0.6°以下となっている。
【0066】
【表4】 ──────────────────────────── 反り角(°) 初期 100時間後 標準条件(98時間) ──────────────────────────── 実施例3 0.05 0.18 0.13 実施例4 0.02 0.17 0.15 比較例 0.02 0.17 0.15 ────────────────────────────
【0067】さらに、光情報媒体の親水性樹脂膜の表面
にインクジェットプリンターで前述のようなIJP試験
用の印字をし、これを温度70℃、湿度85%RH及び
温度70℃で8時間、湿度0%RH(DRY)の条件で
100時間の加速劣化試験を行い、印字のかすれやにじ
みを確認したところ、何れのものも殆どにじみやかすれ
を見ることはできなかった。また、親水性樹脂膜の表面
に印字後、3分後に手で印刷面を擦ってみたが、かすれ
等は生じなかった。
【0068】保護層と親水性樹脂膜との間の結着性を比
較するため、剥離試験(碁盤目試験)を行った結果、
射層と保護層との界面においては、97/100であっ
たのに対し、保護層と親水性樹脂膜との界面においては
100/100であった。さらに、保護膜形成後1時間
(本実施例において活性が失われない限界時間)、2時
間、24時間のそれぞれの時間経過後に親水性樹脂膜を
形成した以外は実施例3と同様にして得た光情報媒体の
結着性を上記と同様の試験にて評価した結果、表5の通
りであった。
【0069】
【表5】 ─────────────────────────────── 1時間 2時間 24時間 ─────────────────────────────── 保護層部分 97/100 97/100 97/100 親水性樹脂膜部分 100/100 98/100 98/100 ───────────────────────────────
【0070】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の光情報媒体
の製造方法によれば、光情報媒体の保護層の表面に一定
の文字や図柄を容易かつ良好に形成することができ、し
かも記録部分の保護機能に優れた光情報媒体を容易に得
ることができる製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例により得られる光情報媒体の外
観斜視図である。
【図2】同実施例により得られる光情報媒体の要部模式
縦断面図である。
【図3】光情報媒体の表面にインクジェットプリンタを
用いて印刷するときに使用するホルダと光情報媒体との
分解斜視図である。
【図4】本発明の実施例に用いられるインクジェットプ
リンタを示す要部模式断面図である。
【符号の説明】
2 光情報媒体 4 クランプ孔 21 透光性基板 22 案内溝 23 色素記録層 24 反射層 25 保護層 26 親水性樹脂膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 7/24 G11B 11/105 G11B 7/26

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状の透光性基板上に直接または他の層
    を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備
    え、レーザ光により光学的に読み取り可能な情報が再生
    及び/または記録し得る光情報媒体を製造する方法にお
    いて、前記保護層を前記透光性基板上に直接または他の
    層を介して密着させて形成した後、該保護層主面上に、
    同保護層表面の活性が失われないうちに水性の印刷用イ
    ンクが定着可能な親水性樹脂膜を形成することを特徴と
    する光情報媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 板状の透光性基板上に直接または他の層
    を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備
    え、レーザ光により光学的に読み取り可能な情報が再生
    及び/または記録し得る光情報媒体を製造する方法にお
    いて、前記保護層を前記透光性基板上に直接または他の
    層を介して密着させて形成した後、該保護層主面上に、
    同保護層表面の活性が失われないうちに水性の印刷用イ
    ンクが定着可能な親水性樹脂膜を形成し、該親水性樹脂
    膜上に水性インクを定着させて表示を施すことを特徴と
    する光情報媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記請求項1または2の光情報媒体の製
    造方法において、保護層は、紫外線硬化性インクを塗布
    した後、紫外線照射により硬化させて形成されることを
    特徴とする光情報媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記請求項1〜3の何れかの光情報媒体
    の製造方法において、親水性樹脂膜は、親水性紫外線硬
    化性インクを塗布した後、紫外線照射により硬化させて
    形成されることを特徴とする光情報媒体の製造方法。
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