JP3159295B2 - 光情報媒体とその製造方法 - Google Patents

光情報媒体とその製造方法

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JP3159295B2
JP3159295B2 JP26874495A JP26874495A JP3159295B2 JP 3159295 B2 JP3159295 B2 JP 3159295B2 JP 26874495 A JP26874495 A JP 26874495A JP 26874495 A JP26874495 A JP 26874495A JP 3159295 B2 JP3159295 B2 JP 3159295B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、再生光が入射する
のと反対側の面に、印刷インクを用いて印刷が可能な光
情報媒体と、その製造方法に関する。
【0002】レーザー光を用いて1回だけ記録すること
ができ、その記録内容をCDプレーヤーで再生できる、
いわゆるCD−WO等のライトワンス型の光情報媒体が
開発されるに至り、自作CDがより手軽に作ることがで
きるようになった。また、コンピュータの分野において
もいわゆるCD−ROMが広く普及し、いわゆるライト
ワンス型の光情報媒体の普及に伴い、CD−WOを用い
てユーザが自作のCD−ROMを作ることも行われるよ
うになっている。
【0003】こうして作られた自作CD等の光情報媒体
の保護層には、何にも記載されていないか、或は紫外線
硬化性樹脂インクや油性インクによって共通の文字や図
柄が印刷されてるだけである。パーソナルな情報を光情
報媒体に記録する前、或は後に保護層の表面或はレーベ
ルの印刷面に記録内容のインデックスや、さらに必要が
あればその他のデザインを表示する必要が生じる。
【0004】しかし、保護層の表面は疎水性であるため
に、パーソナルな情報の記録後に保護層の表面に個人的
な任意の情報を自由に印刷することは困難である。この
ため、一般に油性のフエルトペン等を用いて保護層の表
面に書き込む方法や、ラベル等を貼って表示を施す手段
がとられる。しかし、1枚ずつ手で書き込まなければな
らないため、面倒であると共に、手で描いたパターンや
描画品質はバラツキがあり、体裁が悪く、折角作った光
情報媒体の外観を損ない、描画の際に傷を付けるおそれ
がある。また、ラベルを貼った場合は、表示面がラベル
の厚さだけ盛り上がり、再生や追記の際に光情報媒体の
偏心や面ブレ等を招く。
【0005】そこで本件発明者らは、透光性基板の再生
光が入射する側の裏面に水性の印刷用インクが定着可能
な親水性樹脂膜を形成し、この親水性樹脂膜の表面に、
水性インクで筆記或は印刷することを可能とした光情報
媒体を提案した(特願平5−351296号)。このよ
うな光情報媒体は、板状の透光性基板上に直接又は他の
層を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を
備え、レーザ光により光学的に読み取り可能な情報が再
生及び/又は記録し得るものである。このような光情報
媒体としては、前述のライトワンス型CDがその代表的
なものである。
【0006】このような光情報媒体では、再生光が入射
する側の裏面側にインクの塗れ性や親水性等の印刷性を
良好にするための親水性樹脂膜を有するため、そこに水
性インク等の水分が付着すると膨潤し、それが乾燥する
と収縮する。これにより、水性インクを用いる筆記具や
油性インクを用いる筆記具の何れの筆記手段によっても
任意に文字や図柄を描くことができる。勿論、紫外線硬
化インク等の他の方法によることも可能である。さら
に、インクジェットプリンター等を使用し、親水性樹脂
膜の表面に文字や図柄を印刷することも可能であり、イ
ンクジェットプリンタをパーソナルコンピューターの出
力で動作させるようにすれば、パーソナルコンピュータ
ーで作成した文字や図柄等を繰り返し印刷できるため、
印刷パターンや印刷品質のバラツキの少ない文字や図柄
等が表示できる。
【0007】
【発明が解決しようとしている課題】前述のように、再
生光が入射する側の裏面側に形成された親水性樹脂膜
は、インクの塗れ性や親水性を有するため本来保水性が
あり、そこに水分が多く含まれると膨潤し、その水分が
蒸発して乾燥すると収縮する。そのため、環境湿度によ
って保有する水分の量が変動し、高湿度環境下では多く
の水分を含んで膨潤するが、低湿度環境化下ではその水
分が蒸発して乾燥し、収縮する。
【0008】親水性樹脂膜が水分を保有して膨潤した場
合、光情報媒体の反りに対する影響は小さい。しかし、
親水性樹脂膜から水分が蒸発して乾燥し、収縮した場合
は、親水性樹脂膜側が凹面状となるように光情報媒体が
反る。従って、特に低湿度環境下では、光情報媒体が反
りやすい。さらに、このような光情報媒体の反りは、環
境湿度の変動だけでなく、環境温度によっても生じ、高
温下でも親水性樹脂膜が保有する水分が蒸発して乾燥
し、収縮することにより、光情報媒体が反りやすい。
【0009】このような光情報媒体の反りは、同光情報
媒体に情報を記録し、或は再生するときの光学ピックア
ップによるトラッキング時に、焦点に対するオフセット
を生じさせ、トラッキングサーボ等の誤動作を起す原因
となる。本発明は、このような親水性樹脂膜を有する光
情報媒体の課題に鑑み、環境湿度や環境温度の変動によ
り反りにくい光情報媒体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本発明では、親水性樹脂膜に常温下で難蒸発性の湿
潤剤を含有させることにより、低湿度または高温下でも
親水性樹脂膜の湿潤状態を保持するようにし、これによ
って親水性樹脂膜の乾燥による収縮を防止し、もって光
情報媒体の反りを防止するようにしたものである。
【0011】すなわち、本発明による光情報媒体は、板
状の透光性基板上に直接又は他の層を介して形成された
樹脂からなる保護層を備え、レーザ光により光学的に読
み取り可能な情報が再生及び/又は記録し得るものであ
って、前記透光性基板の再生光が入射する側の裏面に水
性の印刷用インクが定着可能な親水性樹脂膜が形成さ
れ、この親水性樹脂膜が、常温下で難蒸発性の湿潤剤を
含有していることを特徴とするものである。この光情報
媒体は、前記保護層を前記透光性基板上に直接または他
の層を介して形成した後、該保護層主面上に、常温下で
難蒸発性の湿潤剤を含む膜形成用溶液を塗布し、硬化さ
せることにより、水性の印刷用インクが定着可能な親水
性樹脂膜を形成することにより製造される。
【0012】このような光情報媒体では、親水性樹脂膜
が常温下で難蒸発性の湿潤剤を含有していることから、
低湿度環境下或は高温環境下において親水性樹脂膜が保
有している水分が蒸発しても、親水性樹脂膜に含有する
湿潤剤は蒸発せず、親水性樹脂膜が極端に乾燥しない。
これにより、光情報媒体の反りが防止できる。このよう
な湿潤剤は、親水性樹脂膜の素材と化学的に結合しにく
いものがよい。 また、分子量が低いもの、具体的には
5000以下のものを使用する。さらに、この湿潤剤は
常温下で難蒸発性のものであり、水より蒸気圧が低いも
のがよい。
【0013】この湿潤剤は、親水性樹脂膜の吸水性樹脂
成分100重量%に対し、0.1〜30.0重量%含有
させる。湿潤剤の親水性樹脂膜の吸水性樹脂成分100
重量%に対する含有量が0.1重量%に満たない場合
は、湿潤剤の親水性樹脂膜に対する湿潤作用に乏しく、
低湿度或は高温環境下で親水性樹脂膜の乾燥を抑えきれ
ない。他方、湿潤剤の親水性樹脂膜の吸水性樹脂成分1
00重量%に対する含有量が30重量%を越える場合
は、湿潤剤の親水性樹脂膜に対する湿潤作用が過大なた
め、親水性樹脂膜の硬化性、成膜性が低下し、被膜とし
ての機能を失いやすい。親水性樹脂膜に含有させる湿潤
剤は、親水性樹脂膜の親水性を損なわないように、親水
基を有することが必要である。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照しながら、本発
明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、光情
報媒体を再生光が入射する面の裏面側から見たもので、
透光性基板21は同図において下面側となっている。こ
の図に示すように、紫外線硬化樹脂層25の表面に親水
性樹脂膜26が形成されている。光情報媒体の中心に設
けられた孔は、CDプレーヤーに光情報媒体をセットし
たとき、スピンドルのクランパーでクランプするための
クランプ孔4である。
【0015】図2は、図1の光情報媒体のA−A部分の
断面を模式的に示しており、作図の都合上厚み方向を誇
張して示している。さらに図3は、この光情報媒体の例
として、いわゆるライトワンス型の光情報媒体の断面を
より拡大して模式的に示している。ポリカーボネート樹
脂等からなる透光性基板21の上に螺旋状にトラッキン
グ用の案内溝22が形成され、その上に色素記録層23
がコーティングされている。この色素記録層23の上に
金、銀、アルミニウム等の金属膜からなる反射層24が
形成され、その上に保護層25が設けられている。さら
に、この保護層25の上に後述する親水性樹脂膜26が
形成されている。図4は、さらに拡大した光情報媒体の
表示部分の断面を模式的に示しており、保護層25の上
に形成された後述する親水性樹脂膜26には、水性等の
インク27が定着されている。
【0016】光情報媒体2に使用される前記の板状の透
光性基板21は、レーザ光に対する屈折率が1.4〜
1.6の範囲の透明度の高い材料で、耐衝撃性に優れた
樹脂が使用される。具体的には、ポリカーボネート、ポ
リオレフィン、アクリル等が例示できるが、これらに限
られる訳ではない。透光性基板21は、このような樹脂
材料を用いて、例えば、射出成形法等の手段により成形
される。図3に示されたように、このような透光性基板
21の表面には、スパイラル状の案内溝22または、他
の形状によるトラッキングガイド手段を設けておいても
良い。このようなトラッキングガイド手段は、通常、ス
タンパを用い、公知の方法にて形成できる。
【0017】この光情報媒体は、レーザ光により光学的
に読み取り可能な情報を記録するための部分か、或は記
録した部分の少なくとも何れかを備えており、これは例
えば、レーザ光を照射することにより、光学的に情報を
再生または記録し得る層や、記録又は再生に関与する基
板表面或はそれ以外の表面を意味する。例えば、図1〜
図3に示した前述のライトワンス型の光情報媒体の場
合、透光性基板21の上に形成された色素記録層23と
その上に形成された反射層24により、情報の記録と再
生を可能にする。他方、基板上に光反射層及び保護層が
順次積層されたCD等の読み出し専用の光情報媒体で
は、透光性基板21上に形成されたピット列とそれを覆
う反射層とにより情報の再生を行う。
【0018】記録や再生の方式は、光学的なレーザ光の
みによるものや、光磁気的な記録再生方式等が一般的で
ある。このような情報の記録や再生は、光情報媒体の片
面側から行われ、具体的には透光性基板21の表面側か
らレーザ光を入射させる等の手段で行われる。他方の面
側から光学的な情報の記録や再生は行われない。記録
光、再生光としてレーザ光を用いる場合、波長770〜
830nmのものが一般的であるが、これ以外の波長の
レーザ光を使用してもよい。
【0019】さらに、図3に示した色素記録層23や反
射層24の他に、他の層を設けることもある。例えば、
結着性を向上させるための層等、情報を記録する以外に
信頼性を向上させるための層等を設けることもある。さ
らに、光反射層24と保護層25との間に、光反射層2
4の酸化を防止する耐酸化層を介在させることもでき
る。また、図3では、記録層23が透光性基板21上に
直接被着されているが、その間に他の層が設けられる場
合もある。
【0020】保護層25は、透光性基板21と反対側か
ら受ける物理的又は機械的障害に対して情報記録部分を
保護する層であり、透光性基板21側と反対側に設けら
れる。このような保護層25は、耐衝撃性に優れた樹脂
が望ましい。例えば、保護層25の硬度は、えんぴつ硬
度で2H〜7H/Grassが望ましい。また、保護層
25の熱変形温度は、80度以上が望ましく、100度
以上がより望ましい。保護層25の厚みは、5〜10ミ
クロンの範囲が望ましく、それは材質の異なる複数の層
からなるものであっても構わない。
【0021】保護層25は、一般には重合してポリマー
となり得る有機化合物のモノマーおよびオリゴマーを塗
布後、架橋反応させることによりこれを得ることができ
る。架橋反応により有機ポリマーとしてこれを得る場合
には、作業性の面から分子中にひとつ以上の反応性アク
リロイル基(−CH=CH2)を持つ有機化合物のモノ
マーおよびオリゴマーの混合物に反応開始剤、反応触媒
を少量加え、場合によってはメチルエチルケトン、アル
コール等の溶剤で希釈し、液状としたこれらの混合物を
塗布し、紫外線もしくは電子線を照射することにより架
橋させる方法が有利である。特に、保護層25の形成の
際の基板や情報層への悪影響を防止し、短時間で形成で
きるため、紫外線硬化樹脂が望ましい。
【0022】このような紫外線硬化樹脂は、光情報媒体
に用いるものであれば、公知の紫外線硬化樹脂が適用可
能である。具体的には、Nビニルピロリドン、トリプロ
ピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロ
パントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレー
ト等の樹脂を例示できる。しかし、架橋の方法は前述の
ような紫外線照射に限られるわけではなく、エポキシ樹
脂やウレタン樹脂のように、熱によって架橋が進むもの
であってもよいし、ジアルコキシシランカップリング剤
のように空気中の水分で重合反応が進むものであっても
よい。
【0023】こうして得られた架橋物の主鎖および側鎖
は、飽和もしくは不飽和系の直鎖状炭化水素であっても
よいし、メラミン、ビスフェノール系等の環状化合物を
含んでいてもよい。また、この架橋物の主鎖または側鎖
の途中に一個以上のエーテル結合を含むポリエーテル、
エステル結合を含むポリエステル、ウレタン結合を含む
ポリウレタン、イオン結合を含むアイオマー、アミド結
合を含むポリアミド、イミド結合を含むポリイミド、ス
ルホン結合を含むポリスルホン、スルフィド結合を含む
ポリスルフィド等に例示されるその他の結合を含んでい
てもかまわない。これらの結合をふたつ以上含む共重合
化合物であってもよいし、ブロックポリマーであっても
かまわない。これらの架橋物の防湿性を向上させるため
に、側鎖にフルオロカーボン等を含んでいてもよいし、
ハロゲン化水素による劣化を防止するためにエポキシ樹
脂を含んでいてもよい。
【0024】保護層25と光反射層24や親水性樹脂膜
26との密着性を向上させるために、前記架橋物の側鎖
にヒドロキシル基、カルボキシル基、アクリル基、アミ
ノ基、酢酸ビニル基等を含んでいてもよいし、主鎖また
は側鎖に塩基酸が含まれていてもよい。保護層25の形
成の際には、塗布中に樹脂とその反応剤、反応開始剤等
のほかに、塗布性を向上させるために、溶剤、希釈剤が
含まれていてもよい。また、塗膜の安定化を図るため
に、レベリング剤や、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止
剤、等が含まれていてもよい。必要に応じて、顔料や染
料により着色してあってもかまわない。
【0025】樹脂の硬化は、架橋構造の架橋密度ないし
は反応性アクロイル濃度によってこれを変えることがで
き、主鎖となり得るオリゴマー自体の分子回転の自由度
によっても変わってくる。この保護層25の硬化の際の
収縮率を低くすると、これを硬化させた後に、樹脂の歪
みが残らないようにヒートサイクル試験を行ったときで
も、保護層25に割れが生じにくくなる。機械的強度を
考慮すると、この収縮率は12%以下が望ましく、さら
には10%以下がより望ましい。なお、保護層25は、
塗布等の手段によらず、樹脂材料を光反射層24の上に
張り合わせて形成することもできる。また、材質も有機
化合物に限らず、無機物をスパッタ法あるいは蒸着法等
公知の手段により形成してもよい。
【0026】さらに、この光情報媒体では、読み取りレ
ーザ光入射側と反対側の面に印刷用インクが定着できる
ように、親水性樹脂膜26を形成している。この親水性
樹脂膜26とは、水性のインクを滴下し、30分後に手
で触れてもインクがにじまない程度にそのインクを定着
するのに充分な親水性を有する樹脂膜である。すなわ
ち、インクの乾燥により単にインクが付着した状態では
なく、容易に消すことができない程度にインクが定着可
能な膜をいう。親水性樹脂膜26上に印刷されたインク
は、ほとんどその付着面積を縮小することなく、親水性
樹脂膜26の表面に定着する。このようにして定着され
た表示は、平坦な面を有する。ここにいう平坦とは、表
示部分と非表示部分とで実質的に表面粗さに相違がない
ことをいう。
【0027】親水性樹脂膜26は、保護層25の全表面
にわたって設けてもよいが、例えば、図1及び図2に示
すように、保護層25の内外周の縁部を除いて設けるこ
ともできる。さらに、この親水性樹脂膜26は、平面上
において保護層25と透光性基板21との間にある層、
例えば反射層24より内側、つまりその内外周の何れか
の周縁より内側の領域に形成するのが好ましい。より望
ましくは、図2に示すように、親水性樹脂膜26が平面
上において前記反射層24等の内外周の双方の周縁より
内側の領域に形成されているのがよい。しかしながら、
例えば保護層25が透光性基板21の外周縁周面にまで
及び、直接同周面に被着している場合、透光性基板21
と保護層25との外周縁での結着性がきわめて良好なの
で、このような場合、親水性樹脂膜26は、反射層24
等の外周より外側に形成してもよい。
【0028】このような親水性樹脂の例としては、例え
ば、ポリエチレンオキサイド(polyethylen
oxide)、ポリビニルアルコール(polyvi
nyl alcohol)、ポリビニルメチルエーテル
(polyvinylmethyl ether)ポリ
ビニルホルマール(polyvinyl forma
l)、カルボキシビニルポリマー(carboxyvi
nyl polymer)、ヒドロキシエチルセルロー
ス(hydroxyethyl cellulos
e)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxy
propyl cellulose)、メチルセルロー
ス(methyl cellulose)、カルボキシ
メチルセルロースナトリウム塩(sodium car
boxymethyl cellulose)、ポリビ
ニルピロリドン(polyvinylprrolido
ne)、モルホリン(morpholine)、ケトン
ホルムアルデヒド、スチレン/無水マレイン酸共重合
物、セラック、デキストリン、ポリアクリル酸ピロリド
ニルエチルエステル、ポリアクリル酸及びその金属塩、
ポリアミン、ポリアクリルアミド、ポリジエチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシスチレ
ン、ポリビニルアルキルエーテル、ポリビニルヒドロキ
シベンゾエート、ポリフタル酸、酢酸セルロースヒドロ
キシジエンフタレート、例えば幹鎖がメチルメタクリレ
ートで側鎖がN−メチロールアクリルアミドからなるL
H−40(綜研化学社製)のようなグラフトプリマー
類、水溶性アルキッド、水溶性ポリエステル、水溶性ポ
リエポキシ、ポリアミド、カルボキシメチルセルロー
ス、アラビアガム、グアガム、アルギン酸ソーダ等を挙
げることができる。これらの親水性樹脂を少なくとも1
種以上を用意し、下記に述べる光重合モノマーや光開始
剤、また、必要に応じて他の添加剤を配合してコーティ
ングする。
【0029】これらの樹脂は、光情報媒体の耐候性、耐
水性、反り等の信頼性や製造性を考慮し、配合バランス
を調整して混合する。親水性樹脂の添加量は、液総量に
対して5重量%以上、溶解限度(例えば50重量%)程
度が考えられるが、5〜20重量%の範囲とすることが
望ましい。多すぎると耐水性が悪くなり、印刷作業性も
悪化しやすくなる。少くなすぎると、インクのぬれ性が
悪くなり、印刷後のかすれが生じやすくなる。
【0030】前記親水性樹脂には、光重合モノマーを添
加することが望ましい。また、前記の樹脂に代えて、親
水性の光重合モノマーを用いてもよい。親水性の光重合
モノマーとして、例えば、ポリエーテル変性モノ(メ
タ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド誘導体、ア
ミノ基を有するモノ(メタ)アクリレート、水酸基を有
するモノ(メタ)アクリレート、リン酸基を有するモノ
(メタ)アクリレート、含窒素環状ビニルモノマーのう
ちから選択される少なくとも1種のモノマーが挙げられ
る。具体的には、ジエチルアクリルアミド、ジメチルア
クリルアミド、エチレングリコール単位をもつモノ(メ
タ)アクリレート、アルキル置換(メタ)アクリルアミ
ド、アルコキシ変性(メタ)アクリルアミド、メチロー
ル変性(メタ)アクリルアミド、N、N−ジメチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジエチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、多価アルコールジグリシジルエーテルモノ(メ
タ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性リン酸モ
ノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性リン酸モ
ノ(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、N
−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルサクシイミド、N
−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムのうち
から選択される少なくとも1種のモノマーが挙げられ
る。また、光硬化性向上のため、多価アルコール及びそ
のアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリル酸エ
ステル類、多価アルコールジグリシジルエーテルジ(メ
タ)アクリレート等を使用する。これらを適宜50〜1
00重量%程度添加する。すなわち、親水性光重合モノ
マーのみでもよい。
【0031】これらに光開始剤を配合し、紫外線硬化性
樹脂とする。光開始剤として具体的には、アセトフェノ
ン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジルベンゾ
イン、ベンゾインエーテル、ベンゾイルベンゾエート、
ベンジルジメチルケタール、1ーヒドロキシシクロヘキ
シルフェニルケトン、チオキサントン類、ベンジル、2
−エチルアントラキノン、メチルベンゾイルホルメー
ト、ジアセチル等が例示できる。これらの光開始剤を、
適宜1〜8重量%程度、望ましくは2〜6重量%添加す
る。開始剤が多すぎると印刷作業性も悪化しやすくな
り、少くなすぎると、硬化時間が長いため生産性が低く
なったり、或は紫外線硬化性が得られない。なお、粘度
調整のため、光重合モノマーに前記の樹脂を混合しても
よい。
【0032】前記親水性紫外線硬化性樹脂材料中に、別
に添加剤を配合することもできる。例えば、吸水性顔
料、湿潤剤、消泡剤、表面張力調整剤等を配合すること
も望ましい。具体的には、微粉シリカ、タルク、マイ
カ、炭酸カルシウム、酸化チタン、亜鉛華、コロイダル
シリカ、カーボンブラック、ベンガラ等の無機顔料、カ
ルボキシメチルセルロース、デキストリン、メチルセル
ロース等の微粉末、特殊コーティングにより、アミド系
アクリレート等に不溶とされたポリビニルピロリドン、
アクリル酸ビニルアルコール共重合体(スミカゲルSP
−510:住友化学製)、コラーゲン粉末等の有機顔
料、消泡剤(ノプコ8034:サンノプコ製、デヒドラ
ン1620:ヘンケル製、AD9301:三菱レーヨン
製)、表面張力調整剤(ペレノールs43、同s5:ヘ
ンケル製)、ポリエチレンイミン(SP103 日本触媒
(株))等の増粘剤を例示することができる。
【0033】添加剤としての吸水性顔料は、インクの印
刷性の調整や親水性膜形成の際の作業性等を調整すると
いう役割を果たす。湿潤剤は湿潤性を向上させ、流動性
を調整し、低起泡性のものを得ることができ、スクリー
ン印刷等の光情報媒体の製造工程中における他の層形成
工程と同様の設備にて形成することが可能になるため、
製造効率を向上させることができる。消泡剤や表面張力
調整剤は、ムラなく塗膜を形成することができる。
【0034】顔料により、親水性樹脂膜26を不透明又
は濁色としたり着色することも可能である。このように
することにより、インクの色や印刷の程度に応じて適し
た光情報媒体を選択することができ、美観の向上を図る
ことができる。また、保護層下に設けられた層の色彩を
活用して、いわゆるヌキ部分を形成することにより浮き
彫り模様とすることも可能である。
【0035】さらに前記親水性樹脂には、前記のような
各種の添加剤と共に、湿潤剤を添加する。この湿潤剤
は、形成された親水性樹脂膜26の膜成分と化学的に結
合することなく、且つ常温で難蒸発性のもので、親水性
樹脂膜26を適当に湿潤させるものである。そのために
は、湿潤剤は水に代わって親水性樹脂膜中の親水基に集
まる必要があるため、前記膜中をある程度自由に動ける
よう低分子のものが良く、具体的には分子量5000以
下のものを使用する。同様な理由から、湿潤剤は、親水
性樹脂膜の樹脂成分、顔料等に化学結合や吸着等して固
定化されてはならない。また、常温下で難蒸発性とする
ため、湿潤剤は水より蒸気圧が低いものが良い。さら
に、湿潤剤は、親水性樹脂中の親水基と親和性を持つよ
うな親水基を有することが望ましい。この湿潤剤の添加
量は、親水性樹脂膜の吸水性樹脂成分100重量%に対
し、0.1〜30.0重量%とする。
【0036】このような条件を備える湿潤剤としては、
次のようなグリセリン、アルコール類、界面活性剤等を
あげることができる。一価飽和アルコールとしては、エ
チルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピ
ルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチル
アルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコ
ール、n−アミルアルコール、i−アミルアルコール、
活性アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、ジエ
チルカルビノール、i−ペンタノール、メチルイソプロ
ピルカルビノール、t−アミルアルコール、n−ヘキシ
ルアルコール、メチル−t−ブチルカルビノール、n−
ヘプチルアルコール、ペンタメチルエチルアルコール、
n−オクチルアルコール、n−ノニルアルコール、アリ
ルアルコール、クロチルアルコール、アクリルカルビノ
ール、メチルプロベニル等があげられる。一価不飽和ア
ルコールとしては、メチルビニルカルビノール、カルビ
ノール、4−ペンテン−1−オール、4−ペンテン−2
−オール、2−メチル−4−ペンテン−2−オール等が
その例である。
【0037】飽和グリコールとしては、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、エチルエチレングリコー
ル、sym−ジメチルエチレングリコール、2−メチル
−1,2−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオー
ル、2,3−ペンタンジオール、threo−2,3−
ペンタンジオール、erythreo−2,3−ペンタ
ンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、2
−メチル−1,2−ブタンジオール、2−メチル−2,
3−ブタンジオール、ピナコール、トリメチレングリコ
ール、β−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオ
ール、2−メチル−2,4−ブタンジオール、2−メチ
ル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−
2,4−ペンタンジオール、ヘキサメチルトリメチレン
グリコール、2,2−ジメチルトリメチレングリコー
ル、2,2−ジメチル−1,3−ブタンジオール、2,
2−ジメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4
−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、テトラメチ
レングリコール、γ−ベンジレングリコール、2−メチ
ル−2,5−ペンタンジオール、3−メチル−2,5−
ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5
−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキ
サンジオール等をあげることができる。不飽和ジオール
としては、3−ブテン−1,2−ジオール、2−ブテン
−1,4−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキセン
−2,5−ジオール、1,5−ヘキサジエン−3,4−
ジオール、2,6−オクタジエン−4,5−ジオール等
をあげることができる。
【0038】3価アルコールとしては、グリセリン、
1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタン
トリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオー
ル、2−メチル−1,2,3−ブタントリオール、2−
エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−
ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオー
ル、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、
2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、
2,4−ジメチル−2,3,4−ヘキサントリオール、
ペンタメチルグリセリン、2−メチル−2−オキシメチ
ル−1,3−プロパンジオール、2−イソプロピル−2
−オキシメチル−1、3−プロパンジオール、1,2,
4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオー
ル等がその例である。
【0039】4価アルコールとしては、エリトリット、
D−トレイット、L−トレイット、rac−トレイッ
ト、ペンタエリトリット等をあげることができる。5価
アルコールとしては、アドニット、D−アラビット、L
−アラビット、rac−アラビット、シリット等をあげ
ることができる。6価アルコールとしては、アリット、
D−タリット、L−タリット、rac−タリット、D−
ソルビット、L−ソルビット、rac−ソルビット、D
−マンニット、L−マンニット、D−イシジット、L−
イジット、ズルレット等をあげることができる。
【0040】環状アルコールとしては、シクロプロパノ
ール、シクロプロピルメチルカルビノール、シクロブタ
ノール、シクロブチルカルビノール、シクロブチルメチ
ルカルビノール、ソルビタン、シクロペンタノール系ア
ルコール、シクロヘキサノール系アルコール、シクロヘ
キサンジオール系アルコール、シクロヘキサントリオー
ル系アルコール、シクロヘプタン系アルコール等をあげ
ることができる。シクロペンタノール系アルコールとし
ては、シクロペンタノール、2−メチルシクロペンタノ
ール、3−メチルシクロペンタノール、2−プロピルシ
クロペンタノール、2−イソプロピルシクロペンタノー
ル、3−tert−ブチルシクロペンタノール、3−t
ert−アミルシクロペンタノール、cis−2,tr
ans−3−ジフェニルシクロペンタノール、tran
s−2,cis−3−ジフェニルシクロペンタノール、
1−メチルシクロペンタノール、1−エチルシクロペン
タノール、1,2−ジメチルシクロペンタノール、1,
3−ジメチルシクロペンタノール、1,2,2−トリメ
チルシクロペンタノール、1−プロピルシクロペンタノ
ール、1−イソプロピルシクロペンタノール、1−ブチ
ルシクロペンタノール、1−デシルシクロペンタノー
ル、1−テトラデシルシクロペンタノール等がその例で
ある。
【0041】シクロヘキサノール系アルコールとして
は、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノー
ル、cis−2−メチルシクロヘキサノール、tran
s−2−メチルシクロヘキサノール、cis−3−メチ
ルシクロヘキサノール、trans−3−メチルシクロ
ヘキサノール、cis−4−メチルシクロヘキサノー
ル、trans−4−メチルシクロヘキサノール、3,
3−ジメチルシクロヘキサノール、trans−1,t
rans−2−ジメチルシクロヘキサノール、tran
s−1,cis−2−ジメチルシクロヘキサノール、t
rans−1,trans−3−ジメチルシクロヘキサ
ノール、trans−1,cis−3−ジメチルシクロ
ヘキサノール、trans−1,trans−4−ジメ
チルシクロヘキサノール、trans−1,cis−4
−ジメチルシクロヘキサノール、trans−2,tr
ans−6−ジメチルシクロヘキサノール、cis−
2,cis−6−ジメチルシクロヘキサノール、cis
−2,trans−6−ジメチルシクロヘキサノール、
3,3−ジメチルシクロヘキサノール、cis−3,t
rans−5−ジメチルシクロヘキサノール、cis−
3,cis−5−ジメチルシクロヘキサノール、tra
ns−3,trans−5−ジメチルシクロヘキサノー
ル等がその例である。
【0042】シクロヘキサンジオール系アルコールとし
ては、cis−1,2−シクロヘキサンジオール、tr
ans−1,2−シクロヘキサンジオール、1−メチル
−1,cis−2−シクロヘキサンジオール、1−メチ
ル−1,trans−2−シクロヘキサンジオール、3
−メチル−1,cis−2−シクロヘキサンジオール、
3−メチル−1,trans−2−シクロヘキサンジオ
ール、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジオール、
1,2−ジメチル−1,cis−2−シクロヘキサンジ
オール、1,2−ジメチル−1,trans−2−シク
ロヘキサンジオール、1,4−ジメチル−1,cis−
2−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメチル−1,
trans−2−シクロヘキサンジオール、1−エチル
−4−メチル−1,cis−2−シクロヘキサンジオー
ル、1−エチル−4−メチル−1,trans−2−シ
クロヘキサンジオール、1,cis−3−シクロヘキサ
ンジオール、1,trans−3−シクロヘキサンジオ
ール、2,5,5−トリメチル−1,3−シクロヘキサ
ンジオール、2,2,5,5−テトラメチル−1,3−
シクロヘキサンジオール、1,cis−4−シクロヘキ
サンジオール、1,trans−4−シクロヘキサンジ
オール、1,4−ジベンジル−1,cis−4−シクロ
ヘキサンジオール、1,4−ジベンジル−1,tran
s−4−シクロヘキサンジオール等がその例である。
【0043】また、シクロヘキサントリオール系アルコ
ールとしては、α−1,2,3−シクロヘキサントリオ
ール、β−1,2,3−シクロヘキサントリオール、γ
−1,2,3−シクロヘキサントリオール、α−1,
3,5−シクロヘキサントリオール、β−1,3,5−
シクロヘキサントリオール、1,2,4−シクロヘキサ
ントリオール、1−メチル−1,2,3−シクロヘキサ
ントリオール、1,2−ジメチル−1,2,3−シクロ
ヘキサントリオール、2,2,4,4,6,6−ヘキサ
メチル−1,3,5−シクロヘキサントリオール等がそ
の例である。
【0044】シクロヘプタン系アルコールとしては、2
−メチルシクロヘプタノール、4−メチルシクロヘプタ
ノール、3−エチルシクロヘプタノール、2,6,6−
トリメチルシクロヘプタノール、3−プロピルシクロヘ
プタノール、3−ビニルシクロヘプタノール、3−エチ
ニルシクロヘプタノール、2−ベンジリデンシクロヘプ
タノール及びこれらの誘導体等がその例である。
【0045】親水性樹脂膜26の厚みは、光情報媒体と
しての記録再生特性に影響が生じることを防止するため
5〜30ミクロンの範囲とすることが望ましい。このよ
うな膜厚は、上記の材料を適宜配合して粘度等を調整す
ることにより得ることができる。また、親水性樹脂膜2
6は、保護層25の厚みよりも厚くすることにより緩衝
効果を高めることができる。親水性樹脂膜26は紫外線
硬化樹脂からなる保護層25の上に形成することが望ま
しい。特に、保護層25としての紫外線硬化樹脂膜を成
膜した直後、すなわち、下地となる紫外線硬化樹脂が完
全に硬化する前に、親水性樹脂膜26を形成することに
より、それらの層界が一体となって結着性を向上させる
ことができる。
【0046】親水性樹脂膜26と保護層25との層界の
結着性は、透光性基板を構成する他の層の層界の結着性
よりも良好であることが望ましい。このような結着性
は、保護層25を形成する樹脂材料とその上の親水性樹
脂材料との組み合せを適宜選択し、前記のような成膜法
を採用することで得ることができる。例えば、基板上に
色素記録層23と金属反射膜24とを有し、反射膜24
上にエポキシ樹脂、アクリル樹脂等の紫外線硬化樹脂か
らなる保護層25を設けた図3に示すような光情報媒体
の場合、親水性樹脂膜26として、アミド系アクリレー
ト及びポリビニルピロリドンを含む親水性樹脂膜を設け
ることで、前述のような結着性が得られる。保護層25
と親水性樹脂膜26との層界の結着性が良いと、親水性
樹脂膜26を保護層25の表面の一部にのみ形成しても
剥がれ難く、保護層25と共に光情報媒体の保護機能を
発揮する。さらに、光情報媒体の反りや剥がれ等が少な
くなり、記録や再生の特性が劣化するのが防止される。
【0047】光情報媒体の反り等を防止するため、親水
性樹脂膜26の形成時の収縮率が保護層25を形成する
紫外線硬化樹脂の乾燥時の収縮率よりも小さいものが望
ましい。また、筆圧や印字圧等に対する光情報媒体の保
護の観点から、親水性樹脂膜26の硬度は、保護層25
の硬度よりも小さく、例えば、えんぴつ硬度で前述した
保護層25の硬度2H〜7H/Grassより小さいこ
とが望ましい。このような収縮率や硬さとするには、保
護層25を形成する紫外線硬化樹脂及びその上に形成さ
れる親水性樹脂膜26に配合されるモノマーの官能基の
数に依存するので、配合材料の物性に応じ、親水性樹脂
として単官能モノマー又は官能基が2程度のモノマーを
適宜選択することにより得ることができる。このように
することにより、反り、剥がれ等の光情報媒体としての
信頼性低下を防止でき、安定した記録や再生ができる。
【0048】親水性樹脂膜26の表面には、微細な粗面
とするのがよく、この微細表面状態により、保護層25
の表面2に印刷インクが付着したとき、微細な凹部に印
刷インクが保持されて定着する、いわゆる投錨効果が付
与される。また、粗面によって親水性樹脂膜26の表面
積が増大され、インク吸収を促進することができる。こ
こにいう粗面とは、水性インクに対する接触角が粗面と
しない場合よりも小さいものをいい、望ましくは触針式
表面粗さ測定器による平均粗さ(Ra)が2.0〜0.
1μm程度がよい。この表面粗さの水性インクに対する
効果は、膜の物性により多少の違いがあるが、総じて、
表面粗さが小さい場合には、ファインラインは解像度良
好に描くことができるものの、ベタにインクを形成した
場合にかすれが生じる恐れがあり、表面粗さが大きすぎ
ると、ファインラインもベタも共ににじみやすい。特
に、平均粗さ(Ra)を1.0〜0.5μm程度とする
ことにより、ファインライン印刷もベタ印刷も共に実用
上良好に印刷することが可能になる。
【0049】このような親水性樹脂膜26の微細な粗面
は、保護層25の表面に親水性紫外線硬化性樹脂をグラ
ビア塗工することで形成できるが、例えば、保護層25
の表面2にフィラーを混合した樹脂をスクリーン印刷や
スピンコーティングによりコーディングすることで形成
することもできる。例えば親水性樹脂中に、フィラーと
して有機または無機顔料を分散すると、容易に粗面を形
成でき、その投錨効果も大きい。顔料の粒径は、1〜1
0μm程度が適当であり、特に3〜5μmの大きさであ
ると、ベタ印刷性が良好になる。
【0050】親水性樹脂膜26の表面をプラズマ処理す
ると、同膜26の表面へのインクの定着性がさらに向上
する。具体的には、真空状態の希薄不活性ガス雰囲気中
にこの光情報媒体を配置し、このガス中でプラズマを発
生させて処理する。このように処理すると、処理された
表面に付着したインクの表面張力が小さく、インクの接
触角が小さくなり、いわゆるインクの濡れ性が向上す
る。この表面へのインクの印刷は、プラズマ処理後、な
るべく早く行うことが望ましい。なお、本発明の光情報
媒体に適用可能なインクは、水性インクであることが望
ましいが、油性インクや紫外線硬化インク等であっても
良い。
【0051】親水性樹脂膜26の表面2に文字等を印刷
する場合、筆記やスクリーン印刷等によることもできる
が、特にインクジェットプリンターで印刷するのがよ
い。周知の通り、インクジェットプリンターは、パーソ
ナルコンピューター等のプリンターとして用いられてお
り、コンピューターで作成した印刷文字や印刷図柄を前
記親水性樹脂膜26の表面に繰り返し印刷することが可
能である。従って、比較的少数の光情報媒体に一定の文
字や図柄を印刷するのに適している。また、印刷に際し
て打撃等の機械的な衝撃や印刷インクの定着のための熱
等を加える必要がないため、光情報媒体に損傷を与える
こともない。同様にして、ノズル部分をヒーター加熱
し、バブルにより、インク粒子を作成し印刷する、いわ
ゆるバブルジェット方式にも適応できる事は言うまでも
ない。
【0052】
【実施例】次に、本発明のより具体的な実施例について
説明する。 (実施例1)スタンパによりスパイラル状にトラッキン
グガイドを行うための幅0.8μm、深さ0.08μ
m、トラックピッチ1.6μmのガイド溝が直径の46
〜117mmφの範囲に形成された外形120mmφ、
内径15mmφ、厚み1.2mmのポリカーボネート基
板(ユーピロン:三菱ガス化学製)を用意する。
【0053】0.65gの1、1、−ジブチル3、3、
3、3、テトラメチル4、5、4、5、−ジベンゾイン
ドジカーボシアニンパークロレート(日本感光色素研究
所製)をジアセトンアルコール10mlに溶解し、これ
を上記基板上に回転数を適当に変化させながら平均膜厚
130nmになるようにスピンコートし、乾燥させて、
色素記録層を形成した。この上に、金をスパッタリング
し、厚さ100nmの反射層を形成した。
【0054】次にスピンコート法により多官能アクリレ
ートモノマーを主成分とする紫外線硬化樹脂(SD−1
7:大日本インキ製)を塗布し、高圧水銀灯で230m
j/cm2 の紫外線を照射し、硬化させて、厚さ10μ
mの保護層を形成した。光開始剤を含む単官能の紫外線
硬化性アミド系アクリレート(SN5X−2833:サ
ンノプコ製)を63重量%と、2官能で分子量400の
アミノ系アクリレート(SN5X−2803:サンノプ
コ製)を15重量%と、粉末状のポリビニルピロリドン
(PVP K90:東京化成工業製)を13重量%と、
粒径約4μmの微粉シリカ(ファインシールX37B:
徳山遭達製)を9重量%を混合、分散し、親水性樹脂膜
形成用のコーティング液を調整した。
【0055】そして、このコーティング液中の吸水性樹
脂成分100重量%に対して、湿潤剤としてグリセリン
(PEG2000:和光純薬工業社製)、ジエチレング
リコール(和光純薬工業社製)、ソルビタン系ノニオン
活性剤(SN20T:サンノプコ製)を各々5重量%添
加したものと、そのような湿潤剤を添加しないコーティ
ング材とを用意した。前記保護層形成後に、300メッ
シュのスクリーンを用い、このコーティング液を、保護
層の上のφ44〜117の部分に同心円状にスクリーン
印刷し、前記保護層と同様の条件にて紫外線を照射する
ことにより、厚さ15μmの親水性樹脂膜を形成した。
【0056】次にこうして得られた光情報媒体につい
て、温度23℃、相対湿度25%の環境下での反り角
と、温度23℃、相対湿度50%の環境下での反り角と
を各々測定し、前者の反り角と後者の反り角との差を表
1に示した。なお、ここでいう光情報媒体の「反り角」
とは、ディスクのクランピング面を基準面とし、基準面
に対する光入射面の各位置の角度を言い、親水性樹脂膜
側が凹面状となるように光情報媒体が反るのを+の反
り、他方に反るのを−の反りとした。この結果から明か
なように、親水性樹脂膜に湿潤剤を含有させたもので
は、湿潤剤を含有させなかったものに比べて2つの環境
下での反り角の差が小さかったことが分かる。
【0057】
【表1】 ─────────────────────── 湿潤剤の種類 反り角の差(°) ─────────────────────── グリセリン 0.26 PEG2000 0.37 ジエチルグリコール 0.45 ソルビタン系ノニオン活性剤 0.34 添加せず 0.54 ───────────────────────
【0058】(実施例2)前記実施例1に使用した光情
報媒体において、親水性樹脂膜を形成するコーティング
液中の吸水性樹脂成分100重量%に対して、湿潤剤と
してグリセリンを同樹脂膜に7重量%含有させたもの
と、含有させないものとについて、絶対湿度を一定と
し、温度23℃と温度43℃とで各々光情報媒体の反り
角を測定した。その結果を図5に示す。この結果から明
かな通り、親水性樹脂膜にグリセリンを7重量%添加し
たものでは、温度23℃と温度43℃で光情報媒体の反
り角に変化は無かったが、グリセリンを添加しなかった
ものでは、43℃において大幅な反り角の増大が見られ
た。
【0059】同様にして、温度23℃とした状態で、相
対湿度を25%、50%及び85%と3段階に変化さ
せ、各々の環境下で光情報媒体の反り角を測定した。そ
の結果を図6に示す。この結果から明かな通り、親水性
樹脂膜にグリセリンを7重量%添加したものでは、相対
湿度25%での反り角は0.20°と少なかったが、グ
リセリンを添加しなかったものでは、相対湿度25%に
おいて反り角が0.50%と大幅な増大が見られた。
【0060】(実施例3)前記実施例1に使用した光情
報媒体において、親水性樹脂膜を形成するためのコーテ
ィング液中の吸水性樹脂成分100重量%に対して湿潤
剤として添加するグリセリンの量を9段階に変えて9種
類の光情報媒体を作り、それらの温度23℃、相対湿度
25%の環境下での反り角と、温度23℃、相対湿度5
0%の環境下での反り角とを各々測定し、前者の反り角
と後者の反り角との差を表2に示した。なお、光情報媒
体の親水性樹脂膜にグリセリンを32重量%添加したも
のでは、親水性樹脂膜が硬化せず、半ばゲル状となって
しまうため、光情報媒体を作ることが出来なかった。
【0061】
【表2】 ────────────────────────── グリセリン添加量(重量%) 反り角の差(°) ────────────────────────── 0 0.54 0.1 0.52 0.5 0.50 1.0 0.38 5.0 0.26 10.0 0.18 20.0 0.07 30.0 0.02 32.0 −− ──────────────────────────
【0062】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、温
度及び湿度の変動によっても反りが生じにくい光情報媒
体が得られ、特に表面に親水性樹脂膜を有する光情報媒
体において、その親水性樹脂膜の乾燥による反りを効果
的に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光情報媒体の例を示す外観斜視図
である。
【図2】図1のA−A線拡大断面図である。
【図3】前記光情報媒体の例の要部模式縦断面図であ
る。
【図4】前記光情報媒体の例において、その親水性樹脂
膜にインクが定着する状態を示す要部拡大模式縦断面図
である。
【図5】前記光情報媒体の例における温度変動に伴う反
りの変化の例を示すグラフである。
【図6】前記光情報媒体の例における相対湿度変動に伴
う反りの変化の例を示すグラフである。
【符号の説明】
2 光情報媒体 4 クランプ孔 21 透光性基板 22 案内溝 23 色素記録層 24 反射層 25 保護層 26 親水性性樹脂膜
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−60432(JP,A) 特開 平7−169100(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 7/24 G11B 11/105 B42D 15/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状の透光性基板上に直接又は他の層を
    介して形成された樹脂からなる保護層を備え、レーザ光
    により光学的に読み取り可能な情報が再生及び/又は記
    録し得る光情報媒体において、前記透光性基板の再生光
    が入射する側の裏面に水性の印刷用インクが定着可能な
    親水性樹脂膜が形成され、この親水性樹脂膜が、常温下
    で難蒸発性であり、分子量が5000以下の湿潤剤を
    有していることを特徴とする光情報媒体。
  2. 【請求項2】 前記請求項1の光情報媒体において、湿
    潤剤は水より蒸気圧が低いことを特徴とする光情報媒
    体。
  3. 【請求項3】 前記請求項1または2の光情報媒体にお
    いて、湿潤剤は、親水性樹脂膜の吸水性樹脂成分100
    重量%に対し、0.1〜30.0重量%含有しているこ
    とを特徴とする光情報媒体。
  4. 【請求項4】 前記請求項1〜の何れかの光情報媒体
    において、湿潤剤は、親水基を有することを特徴とする
    光情報媒体。
  5. 【請求項5】 板状の透光性基板上に直接または他の層
    を介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備
    え、レーザ光により光学的に読み取り可能な情報が再生
    及び/または記録し得る光情報媒体を製造する方法にお
    いて、前記保護層を前記透光性基板上に直接または他の
    層を介して形成した後、該保護層主面上に、常温下で難
    蒸発性であり、分子量が5000以下の湿潤剤を吸水性
    樹脂成分100重量%に対し、1.0〜30.0重量%
    含有する膜形成用溶液を塗布し、硬化させることによ
    り、水性の印刷用インクが定着可能な親水性樹脂膜を形
    成することを特徴とする光情報媒体の製造方法。
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