JP3159282B2 - 光情報媒体とその表面印刷方法 - Google Patents

光情報媒体とその表面印刷方法

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JP3159282B2 JP35129693A JP35129693A JP3159282B2 JP 3159282 B2 JP3159282 B2 JP 3159282B2 JP 35129693 A JP35129693 A JP 35129693A JP 35129693 A JP35129693 A JP 35129693A JP 3159282 B2 JP3159282 B2 JP 3159282B2
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有明 辛
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、再生光が入射するのと
反対側の面に、印刷インクを用いて印刷が可能な光情報
媒体と、その表面への印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、オーディオや情報処理等の分野
で、コンパクトディスクの名称を有する光情報媒体(以
下「CD」と称する。)が広く普及している。このCD
は、ポリカーボネート等のドーナツ状の円板からなる基
板の上に金やアルミニウム等を蒸着して反射層を設け、
さらにその上を紫外線硬化性樹脂等の保護層で覆った構
造になっている。そして、データは、前記基板の表面に
螺旋状の配列に従って凹凸状のピットを形成することで
記録してあり、このピットは、基板を成形するときにス
タンパー等の型に倣って予め形成しておき、その上に前
記の反射層が設けられいる。従って、このCDは、製造
されたときは、既にデータが記録されており、再生専用
の光情報媒体として使用される。
【0003】このCDは、それに記録された内容を示す
インデックス表示や各種のデザインを紫外線硬化性樹脂
インクや油性インクによって保護層の表面に印刷してあ
る。これらの印刷は、通常、スクリーン印刷、タンポ印
刷或はオフセット印刷といった版の転写による印刷手段
により行なわれている。これらの印刷手段は、同一パタ
ーンを同時に多数印刷する、いわゆる多量印刷に適する
印刷手段である。
【0004】一方、いわゆるカラオケブームに象徴され
るように、アマチュアによる自演熱が高まり、その裾野
が広がるに伴い、アマチュア演奏家が比較的少数の自作
CDを作る活動も盛んになってきた。これらの自作CD
は、例えば、プロモーション用、オーディション用、テ
スト用或は自費出版用等として作られる。特に、レーザ
ーを用いて1回だけ記録することができ、その記録内容
をCDプレーヤーで再生できる、いわゆるCD−WO等
のワンスライト型の光情報媒体が開発されるに至り、こ
うした自作CDがより手軽に作ることができるようにな
った。また、コンピュータの分野においてもいわゆるC
D−ROMが広く普及し、いわゆるワンスライト型の光
情報媒体の普及に伴い、CD−WOを用いてユーザが自
作のCD−ROMを作ることも行われるようになってい
る。
【0005】
【発明が解決しようとしている課題】こうして作られた
自作CD等の光情報媒体の保護層には、何にも記載され
ていないか、或は紫外線硬化性樹脂インクや油性インク
によって共通の文字や図柄が印刷されてるだけであり、
パーソナルな情報を光情報媒体に記録する前、或は後に
保護層の表面或はレーベルの印刷面に記録内容のインデ
ックスや、さらに必要があればその他のデザインを表示
する必要が生じる。
【0006】しかし、前記の印刷手段は、保護層を設け
た後、その製造工程で印刷するものであり、保護層の面
も印刷面も共に疎水性であるために、パーソナルな情報
の記録後に保護層の表面に印刷するには過大な設備を要
し、個人的に任意の情報を自由に印刷することは困難で
ある。このため、一般に油性のフエルトペン等を用いて
保護層の表面に書き込む方法や、ラベル等を貼って表示
を施す手段がとられる。しかし、1枚ずつ手で書き込ま
なければならないため、面倒であると共に、描いたパタ
ーンや描画品質にバラツキが出たりするため、体裁が悪
く、折角作った光情報媒体の外観を損なうという問題が
あった。また、特にラベルを貼った場合は、表示面がラ
ベルの厚さだけ盛り上がり、再生や追記の際に光情報媒
体の偏心や面ブレ等を招くという問題あった。
【0007】本発明は、このような従来の問題点に鑑
み、第一に光情報媒体の保護層の表面に一定の文字や図
柄を容易かつ良好に形成することができ、しかも記録部
分の保護機能に優れた光情報媒体を提供することを目的
とし、第二に、比較的少数の光情報媒体について、一定
の文字や図柄を容易かつほぼ一定の品質で光情報媒体表
面に印刷可能な光情報媒体への印刷方法を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、前記第一の目
的を達成するため、本発明において採用した手段は、板
状の透光性基板上に直接又は他の層を介して密着されて
形成された樹脂からなる保護層を備え、レーザ光により
光学的に読み取り可能な情報が再生及び/又は記録し得
る光情報媒体において、前記前記保護層が紫外線硬化性
樹脂膜からなり、この保護層上に水性の印刷用インクが
定着可能な親水性紫外線硬化性樹脂膜が形成されている
ことを特徴とするものである。さらに、前記光情報媒体
の親水性紫外線硬化性樹脂膜上に水性インクが定着され
て、表示が施されたことを特徴とするものである。この
表示は平坦な表示である。
【0009】
【0010】親水性紫外線硬化性樹脂膜は、ポリエチレ
ンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチ
ルエーテル、ポリビニルホルマール、カルボキシビニル
ポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロースナトリウム塩、ポリビニルピロリドン、モ
ルホリンのうちの少なくとも1つを含む樹脂により成膜
されてなることが望ましい。
【0011】
【0012】本発明では、前記第二の目的を達成するた
め、光情報媒体の表面に印刷する方法として、前記親水
性紫外線硬化性樹脂膜の表面に向けて水性インクを噴出
させて、同表面にインクを付着させ、この水性インクを
同表面に定着させることを特徴とする光情報媒体の表面
印刷方法を提供する。この場合、印刷は、インクジェッ
トプリンタによって行うことができる。
【0013】
【作用】本発明による光情報媒体では、再生光が入射す
る側の裏面側に、印刷用インクが定着可能な親水性紫外
線硬化性樹脂膜が形成したことにより、水性インクを用
いる筆記具や油性インクの用いる筆記具の何れの筆記手
段によっても任意に文字や図柄を描くことができる。勿
論、紫外線硬化インク等の他の方法によることも可能で
ある。
【0014】前記親水性紫外線硬化性樹脂膜上に水性イ
ンクが定着して施された表示を有する光情報媒体は、ラ
ベル等を貼って表示を施したものに比べて、表示面が平
坦となるために、再生や追記の際の偏心や面ブレ等が発
生するのを防止することができる。下地となる紫外線硬
化樹脂からなる保護層の上に親水性紫外線硬化性樹脂膜
を設けることにより、それらの層界の馴染み、つまり新
和性がよく、それらの結着性が良好となる。これによ
り、経時に伴う光情報媒体の表層の親水性紫外線硬化性
樹脂層の剥がれが起こらず、耐候性が高く、信頼性の高
い光情報媒体を得ることができる。また、このような親
水性紫外線硬化性樹脂膜は、その下の紫外線硬化性樹脂
からなる保護層を形成する工程と同様の工程で形成で
きるため、保護層に続けて親水性紫外線硬化性樹脂膜を
形成することができ、容易に形成できる。しかも、紫外
線硬化性樹脂層からなるる保護層の上に、それと物性の
近い親水性紫外線硬化性樹脂膜を設けるため、親水性紫
外線硬化性樹脂膜を設けるときの光情報媒体の反りや偏
心等も少なく、記録再生特性の劣化の防止等に有効であ
る。
【0015】
【0016】親水性紫外線硬化性樹脂膜の乾燥時の収縮
率が、その下層の紫外線硬化樹脂の乾燥時の収縮率より
も小さいものであると、親水性紫外線硬化性樹脂膜を設
けるときの、光情報媒体の反りを防止することができ
る。このような要請にかない、しかも、インクの塗れ性
や親水性等の印刷性を良好にするための親水性紫外線硬
化性樹脂膜として、前述したポリエチレンオキサイド、
ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポ
リビニルホルマール、カルボキシビニルポリマー、ヒド
ロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナ
トリウム塩、ポリビニルピロリドン、モルホリンのうち
の少なくとも1つを含む樹脂により成膜されているもの
があげられる。
【0017】
【0018】前記親水性紫外線硬化性樹脂膜の表面に向
けて水性インクを噴出させて、同表面にインクを付着さ
せ、この水性インクを同表面に定着させる本発明の表面
印刷方法によれば、保護層や基板を傷めることなく光情
報媒体の表面に表示を施すことができる。また、光情報
媒体の表面が平坦となり、再生や追記の際の偏心や面ブ
レ等が発生するのを防止できる。
【0019】特に、インクジェットプリンタによってイ
ンクを噴出させて印刷する方法では、例えば予めパーソ
ナルコンピューターで印刷する文字や図柄等を作ってお
き、それを繰り返し印刷できるため、印刷パターンや印
刷品質のバラツキの少ない表示が容易に施せる。
【0020】
【実施例】次に、図面を参照しながら、本発明の実施例
について具体的に説明する。図1は、光情報媒体を再生
光が入射する面の裏面側から見たもので、透光性基板2
1は同図において下面側となっている。この図に示すよ
うに、紫外線硬化樹脂層25の表面に親水性紫外線硬化
性樹脂膜26が形成されている。光情報媒体の中心に設
けられた孔は、CDプレーヤーに光情報媒体をセットし
たとき、スピンドルのクランパーでクランプするための
クランプ孔4である。
【0021】図2は、前記光情報媒体の例として、いわ
ゆるワンスライト型の光情報媒体の断面を模式的に示し
ている。ポリカーボネート樹脂等からなる透光性基板2
1の上に螺旋状にトラッキング用の案内溝22が形成さ
れ、その上に色素記録層23がコーティングされてい
る。この色素記録層23の上に金、銀、アルミニウム等
の金属膜からなる反射層24が形成され、その上に保護
層25が設けられている。さらに、この保護層25の上
に後述する親水性紫外線硬化性樹脂膜26が形成されて
いる。
【0022】図4は、このようなワンスライト型の光情
報媒体の前記親水性紫外線硬化性樹脂膜26にインクジ
ェット記録を行う印刷装置の要部構成を示す断面図であ
り、図3は、このような装置でインクジェット記録を行
うときに、光情報媒体2を保持するホルダ31である。
【0023】ホルダ31は矩形であり、その中心に光情
報媒体2の外径よりごく僅かに大きな円形の孔33が設
けられ、この内側に光情報媒体2の外周縁を保持する段
部32が全周にわたって設けられている。この段部3の
深さは、光情報媒体2の厚さより僅かに浅い。このた
め、図3に示すように、親水性紫外線硬化性樹脂膜26
側を上にして光情報媒体2をホルダ31の孔33の中に
嵌め込み、光情報媒体2の再生光の入射面側の外周部を
段部32で支持すると、光情報媒体2は、その親水性紫
外線硬化性樹脂膜26の表面がホルダ31の表面より僅
かに上に出るように同ホルダ31に保持される。
【0024】こうしたホルダ31に保持された光情報媒
体2を、図4に示す印刷装置の送りテーブル41の上に
伸せ、ローラ42、43をホルダ31の端の部分に当た
る位置に送る。コンピュータ等から印刷信号が印刷装置
に入力すると、ローラ42、43の駆動によりホルダ3
1の送りが開始される。この光情報媒体2がテーブル4
1上を通過する位置の真上に印字ヘッド44が配置さ
れ、この印字ヘッド44から印刷用インクの粒を光情報
媒体2の親水性紫外線硬化性樹脂膜26の表面に噴出さ
せ、同膜26の表面に文字や図柄等を印刷する。
【0025】既に述べた通り、図4に示す印刷装置はイ
ンクジェット印刷を行うインクジェットプリンタであ
る。この種のプリンタでは、周知のように、印字ヘッド
44に複数本の細い印字ノズルが配列されている。この
印字ノズルは、例えば、電気信号により動作する電気熱
変換体によって印字ノズル中のインクにバブルを発生さ
せ、ノズル先端からインクを噴出させる。これにより、
前述のように、送りテーブル41に沿って搬送される光
情報媒体2の親水性紫外線硬化性樹脂膜26の表面上の
所定の位置にインクを付着させる。
【0026】光情報媒体2に使用される前記の板状の透
光性基板21は、レーザ光に対する屈折率が1.4〜
1.6の範囲の透明度の高い材料で、耐衝撃性に優れた
樹脂が使用される。具体的には、ポリカーボネート、ポ
リオレフィン、アクリル等が例示できるが、これらに限
られる訳ではない。透光性基板21は、このような樹脂
材料を用いて、例えば、射出成形法等の手段により成形
される。図2に示されたように、このような透光性基板
21の表面には、スパイラル状の案内溝22または、他
の形状によるトラッキングガイド手段を設けておいても
良い。このようなトラッキングガイド手段は、通常、ス
タンパを用い、公知の方法にて形成できる。
【0027】この光情報媒体は、レーザ光により光学的
に読み取り可能な情報を記録するための部分か、或は記
録した部分の少なくとも何れかを備えており、これは例
えば、レーザ光を照射することにより、光学的に情報を
再生または記録し得る層や、記録又は再生に関与する基
板表面或はそれ以外の表面を意味する。例えば、図2に
示した前述のワンスライト型の光情報媒体の場合、透光
性基板21の上に形成された色素記録層23とその上に
形成された反射層24により、情報の記録と再生を可能
にする。他方、基板上に光反射層及び保護層が順次積層
されたCD等の読み出し専用の光情報媒体では、透光性
基板21上に形成されたピット列とそれを覆う反射層と
により情報の再生を行う。
【0028】記録や再生の方式は、光学的なものであ
り、レーザ光によるものや光磁気記録再生方式等が一般
的である。このような情報の記録や再生は、光情報媒体
の片面側から行われ、具体的には透光性基板21の表面
側からレーザ光を入射させる等の手段で行われる。他方
の面側から光学的な情報の記録や再生は行われない。記
録光、再生光としてレーザ光を用いる場合、波長770
〜830nmのものが一般的であるが、これ以外の波長
のレーザ光を使用してもよい。
【0029】さらに、図2に示した色素記録層23や反
射層24の他に、他の層を設けることもある。例えば、
結着性を向上させるための層等、情報を記録する以外に
信頼性を向上させるための層等を設けることもある。ま
た図2では、色素記録層23が透光性基板21上に直接
被着されているが、その間に他の層が設けられる場合も
ある。
【0030】保護層25は、透光性基板21と反対側か
ら受ける物理的又は機械的障害に対して情報記録部分を
保護する層であり、透光性基板21側と反対側に設けら
れる。このような保護層25は、耐衝撃性に優れた樹脂
が望ましい。例えば、保護層25の硬度は、えんぴつ硬
度で2H〜7H/Grassが望ましい。また、保護層
25の熱変形温度は、80度以上が望ましく、100度
以上がより望ましい。保護層25の厚みは、5〜10ミ
クロンの範囲が望ましく、それは材質の異なる複数の層
からなるものであっても構わない。
【0031】保護層25は、一般には重合してポリマー
となり得る有機化合物のモノマーおよびオリゴマーを塗
布後、架橋反応させることによりこれを得ることができ
る。架橋反応により有機ポリマーとしてこれを得る場合
には、作業性の面から分子中にひとつ以上の反応性アク
リロイル基(−CH=CH2)を持つ有機重化合物のモ
ノマーおよびオリゴマーの混合物に反応開始剤、反応触
媒を少量加え、メチルエチルケトン、アルコール等の溶
剤で液状としたこれらの混合物を塗布し、紫外線もしく
は電子線を照射することにより架橋させる方法が有利で
ある。特に、保護層25の形成の際の基板や情報層への
悪影響を防止し、短時間で形成できるため、紫外線硬化
樹脂が望ましい。このような紫外線硬化樹脂は、光情報
媒体に用いるものであれば、公知の紫外線硬化樹脂が適
用可能である。具体的には、Nビニルピロリドン、トリ
プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロール
プロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリ
レート等の樹脂を例示できる。
【0032】しかし、架橋の方法は前述のような紫外線
照射に限られるわけではなく、エポキシ樹脂やウレタン
樹脂のように、熱によって架橋が進むものであってもよ
いし、ジアルコキシシランカップリング剤のように空気
中の水分で重合反応が進むものであってもよい。
【0033】こうして得られた架橋物の主鎖および側鎖
は、飽和もしくは不飽和系の直鎖状炭化水素であっても
よいし、メラミン、ビスフェノール系等の環状化合物を
含んでいてもよい。また、この架橋物の主鎖または側鎖
の途中に一個以上のエーテル結合を含むポリエーテル、
エステル結合を含むポリエステル、ウレタン結合を含む
ポリウレタン、イオン結合を含むアイオマー、アミド結
合を含むポリアミド、イミド結合を含むポリイミド、ス
ルホン結合を含むポリスルホン、スルフィド結合を含む
ポリスルフィド等に例示されるその他の結合を含んでい
てもかまわない。これらの結合をふたつ以上含む共重合
化合物であってもよいし、ブロックポリマーであっても
かまわない。
【0034】これらの架橋物の防湿性を向上させるため
に、側鎖にフルオロカーボン等を含んでいてもよいし、
ハロゲン化水素による劣化を防止するためにエポキシ樹
脂を含んでいてもよい。保護層25と光反射層24や親
水性紫外線硬化性樹脂膜26との密着性を向上させるた
めに、前記架橋物の側鎖にヒドロキシル基、カルボキシ
ル基、アクリル基、アミノ基、酢酸ビニル基等を含んで
いてもよいし、主鎖または側鎖に塩基酸が含まれていて
もよい。
【0035】保護層25の形成の際には、塗布中に樹脂
とその反応剤、反応開始剤等のほかに、塗布性を向上さ
せるために、溶剤、希釈剤が含まれていてもよい。ま
た、塗膜の安定化を図るために、レベリング剤や、可塑
剤、酸化防止剤、帯電防止剤、等が含まれていてもよ
い。必要に応じて、顔料や染料により着色してあっても
かまわない。
【0036】樹脂の硬化は、架橋構造の架橋密度ないし
は反応性アクロイル濃度によってこれを変えることがで
き、主鎖となり得るオリゴマー自体の分子回転の自由度
によっても変わってくる。この保護層25の硬化の際の
収縮率を低くすると、これを硬化させた後に、樹脂の歪
みが残らないようにヒートサイクル試験を行ったときで
も、保護層25に割れが生じにくくなる。機械的強度を
考慮すると、この収縮率は12%以下が望ましく、さら
には10%以下がより望ましい。
【0037】なお、保護層25は、塗布等の手段によら
ず、樹脂材料を光反射層24の上に張り合わせて形成す
ることもできる。また、材質も有機化合物に限らず、無
機物をスパッタ法あるいは蒸着法等公知の手段により形
成してもよい。さらに、光反射層24と保護層25との
間に、光反射層24の酸化を防止する耐酸化層を介在さ
せることもできる。
【0038】本発明では、このような光情報媒体におい
て、読み取りレーザ光入射側と反対側の面に印刷用イン
クが定着できるように、親水性紫外線硬化性樹脂膜26
を形成している。この親水性紫外線硬化性樹脂膜26と
は、水性のインクを滴下し、30分後に手で触れてもイ
ンクがにじまない程度にそのインクを定着するのに充分
な親水性を有する紫外線硬化性の樹脂膜である。すなわ
ち、インクの乾燥により単にインクが付着した状態では
なく、容易に消すことができない程度にインクが定着可
能な膜をいう。親水性紫外線硬化性樹脂膜26上に印刷
されたインクは、その付着面積を縮小することなく、親
水性紫外線硬化性樹脂膜26の表面に定着する。
【0039】例えば、図2に示すように、保護層25の
表面に親水性の樹脂をコーティングし、薄い親水性紫外
線硬化性樹脂膜26を形成することで、その表面に印刷
用インクが定着できるようにしている。このような親水
性樹脂の例としては、例えば、ポリエチレンオキサイド
(polyethylen oxide)、ポリビニル
アルコール(polyvinyl alcohol)、
ポリビニルメチルエーテル(polyvinylmet
hyl ether)ポリビニルホルマール(poly
vinyl formal)、カルボキシビニルポリマ
ー(carboxyvinyl polymer)、ヒ
ドロキシエチルセルロース(hydroxyethyl
cellulose)、ヒドロキシプロピルセルロー
ス(hydroxypropyl cellulos
e)、メチルセルロース(methyl cellul
ose)、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩
(sodium carboxymethyl cel
lulose)、ポリビニルピロリドン(polyvi
nyl prrolidone)、モルホリン(mor
pholine)、ケトンホルムアルデヒド、スチレン
/無水マレイン酸共重合物、セラック、デキストリン、
ポリ(アクリル酸ピロリドニルエチルエステル)、ポリ
アクリル酸及びその金属塩、ポリアミン、ポリアクリル
アミド、ポリエチレングリコール、ポリジエチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシスチレ
ン、ポリビニルアルキルエーテル、ポリビニルヒドロキ
シベンゾエート、ポリフタル酸、酢酸セルロースヒドロ
キシジエンフタレート、例えば幹鎖がメチルメタクリレ
ートで側鎖がN−メチロールアクリルアミドからなるL
H−40(綜研化学社製)のようなグラフトプリマー
類、水溶性アルキッド、水溶性ポリエステル、水溶性ポ
リエポキシ、ポリアミド、ポリビニルメチルエーテル、
ポリ酢酸ビニルのケン化物、カルボキシメチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、アラビ
アガム、グアガム、アルギン酸ソーダ等を挙げることが
できる。これらの親水性樹脂を少なくとも1種以上を用
意し、下記に述べる光重合モノマーや光開始剤、また、
必要に応じて他の添加剤を配合してコーティングする。
【0040】これらの樹脂は、光情報媒体の耐候性、耐
水性、反り等の信頼性や製造性を考慮し、配合バランス
を調整して混合する。親水性樹脂の添加量は、5重量%
以上、溶解限度(例えば50重量%)程度が考えられる
が、5〜20重量%の範囲とすることが望ましい。多す
ぎると耐水性が悪くなり、印刷作業性も悪化しやすくな
る。少くなすぎると、インクのぬれ性が悪くなり、印刷
後のかすれが生じやすくなる。
【0041】前記親水性樹脂には、光重合モノマーを添
加することが望ましい。また、前記の樹脂に代えて、親
水性の光重合モノマーを用いてもよい。親水性の光重合
モノマーとして、例えば、ポリエーテル変性モノ(メ
タ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド誘導体、ア
ミノ基を有するモノ(メタ)アクリレート、水酸基を有
するモノ(メタ)アクリレート、リン酸基を有するモノ
(メタ)アクリレート、含窒素環状ビニルモノマーのう
ちから選択される少なくとも1種のモノマーが挙げられ
る。具体的には、ジメチルアクリルアミド(SN−SX
−2833:サンノプコ社製)、ポリエチレン、グリコ
ール単位をもつモノ(メタ)アクリレート、アルキル置
換(メタ)アクリルアミド、アルコキシ変性(メタ)ア
クリルアミド、メチロール変性(メタ)アクリルアミ
ド、N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、N、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、多価アルコールジグ
リシジルエーテルモノ(メタ)アクリレート、アルキレ
ンオキサイド変性リン酸モノ(メタ)アクリレート、カ
プロラクトン変性リン酸モノ(メタ)アクリレート、ア
クリロイルモルホリン、N−ビニルオキサゾリドン、N
−ビニルサクシイミド、N−ビニルピロリドン、N−ビ
ニルカプロラクタムのうちから選択される少なくとも1
種のモノマーが挙げられる。また、光硬化性向上のた
め、多価アルコール及びそのアルキレンオキサイド付加
物の(メタ)アクリル酸エステル類、多価アルコールジ
グリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート等を使用す
る。これらを適宜50〜100重量%程度添加する。
【0042】これらに光開始剤を配合し、紫外線硬化性
樹脂とする。光開始剤として具体的には、アセトフェノ
ン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジルベンゾ
イン、ベンゾインエーテル、ベンゾイルベンゾエート、
ベンジルジメチルケタール、1ーヒドロキシシクロヘキ
シルフェニルケトン、チオキサントン類、ベンジル、2
−エチルアントラキノン、メチルベンゾイルホルメー
ト、ジアセチル等が例示できる。これらの光開始剤を、
適宜1〜8重量%程度、望ましくは2〜6重量%添加す
る。開始剤が多すぎると印刷作業性も悪化しやすくな
り、少くなすぎると、硬化時間が長いため生産性が低く
なったり、或は紫外線硬化性が得られない。なお、粘度
調整のため、光重合モノマーに前記の樹脂を混合しても
よい。
【0043】前記親水性紫外線硬化性樹脂材料中に、別
に添加剤を配合することもできる。例えば、吸水性顔
料、湿潤剤、消泡剤、表面張力調整剤等を配合すること
も望ましい。具体的には、微粉シリカ、タルク、マイ
カ、炭酸カルシウム、酸化チタン、亜鉛華、コロイダル
シリカ、カーボンブラック、ベンガラ等の無機顔料、カ
ルボキシメチルセルロース、デキストリン、メチルセル
ロース等の微粉末、特殊コーティングにより、アミド系
アクリレート等に不溶とされたポリビニルピロリドン、
アクリル酸ビニルアルコール共重合体(スミカゲルSP
−510:住友化学製)、コラーゲン粉末等の有機顔
料、アニオン系またはノニオン系の公知の湿潤剤(ノプ
コ2272RSN、ノプコウェツト50、ノプコウェツ
トSN20T:いずれもサンノプコ製)、消泡剤(ノプ
コ8034:サンノプコ製、デヒドラン1620:ヘン
ケル製、AD9301:三菱レーヨン製)、表面張力調
整剤(ペレノールs43、同s5:ヘンケル製)、ポリ
エチレンイミン(SP103 日本触媒(株))等の増粘剤
を例示することができる。
【0044】添加剤としての吸水性顔料は、インクの印
刷性の調整や親水性膜形成の際の作業性等を調整すると
いう役割を果たす。湿潤剤は湿潤性を向上させ、流動性
を調整し、低起泡性のものを得ることができ、スクリー
ン印刷等の光情報媒体の製造工程中における他の層形成
工程と同様の設備にて形成することが可能になるため、
製造効率を向上させることができる。消泡剤や表面張力
調整剤は、ムラなく塗膜を形成することができる。
【0045】顔料により、親水性紫外線硬化性樹脂膜2
6を不透明又は濁色としたり着色することも可能であ
る。このようにすることにより、インクの色や印刷の程
度に応じて適した光情報媒体を選択することができ、美
観の向上を図ることができる。また、保護層下に設けら
れた層の色彩を活用して、いわゆるヌキ部分を形成する
ことにより浮き彫り模様とすることも可能である。
【0046】前記親水性紫外線硬化性樹脂には、水、エ
チルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレング
リコール、エチルセロソルブ、ジメチルフォルムアミド
その他の溶剤は含まないことが望ましい。溶剤は、下の
保護層や紫外線硬化樹脂を侵し、信頼性が低下する場合
もある。また、溶剤を含むとスクリーン印刷等の手段に
より親水性紫外線硬化性樹脂膜を形成する際の粘度等が
変化し、製造上不都合が生じるからである。
【0047】親水性紫外線硬化性樹脂膜26の厚みは、
光情報媒体としての記録再生特性に影響が生じることを
防止するため5〜30ミクロンの範囲とすることが望ま
しい。このような膜厚は、上記の材料を適宜配合して粘
度等を調整することにより得ることができる。また、親
水性紫外線硬化性樹脂膜26は、保護層25の厚みより
も厚くすることにより緩衝効果を高めることができる。
【0048】親水性紫外線硬化性樹脂膜26は紫外線硬
化樹脂かなる保護層25の上に形成することが望まし
い。特に、保護層25としての紫外線硬化樹脂膜を成膜
した直後、すなわち、下地となる紫外線硬化樹脂が完全
に硬化する前に、親水性紫外線硬化性樹脂膜26を形成
することにより、それらの層界が一体となって結着性を
向上させることができる。
【0049】親水性紫外線硬化性樹脂膜26と保護層2
5との層界の結着性は、透光性基板を構成する他の層の
層界の結着性よりも良好であることが望ましい。このよ
うな結着性は、保護層25を形成する紫外線硬化性樹脂
材料とその上の親水性紫外線硬化性樹脂材料との組み合
せを適宜選択し、前記のような成膜法を採用することで
得ることができる。例えば、基板上に色素記録層23と
金属反射膜24とを有し、反射膜24上にエポキシ樹
脂、アクリル樹脂等の紫外線硬化樹脂からなる保護層2
5を設けた図2に示すような光情報媒体の場合、親水性
紫外線硬化性樹脂膜26として、アミド系アクリレート
及びポリビニルピロリドンを含む親水性紫外線硬化性樹
脂膜を設けることで、前述のような結着性が得られる。
保護層25と親水性紫外線硬化性樹脂膜26との層界の
結着性が良いと、親水性紫外線硬化性樹脂膜26を保護
層25の表面の一部にのみ形成しても剥がれ難く、保護
層25と共に光情報媒体の保護機能を発揮する。さら
に、光情報媒体の反りや剥がれ等が少なくなり、記録や
再生の特性が劣化するのが防止される。
【0050】光情報媒体の反り等を防止するため、親水
性紫外線硬化性樹脂膜26の形成時の収縮率が保護層2
5を形成する紫外線硬化樹脂の乾燥時の収縮率よりも小
さいものが望ましい。また、筆圧や印字圧等に対する光
情報媒体の保護の観点から、親水性紫外線硬化性樹脂膜
26の硬度は、保護層25の硬度よりも小さく、例え
ば、えんぴつ硬度で前述した保護層25の硬度2H〜7
H/Grassより小さいことが望ましい。このような
収縮率や硬さとするには、保護層25を形成する紫外線
硬化樹脂及びその上に形成される親水性紫外線硬化性樹
脂膜26に配合されるモノマーの官能基の数に依存する
ので、配合材料の物性に応じ、親水性紫外線硬化性樹脂
として単官能モノマー又は官能基が2程度のモノマーを
適宜選択することにより得ることができる。このように
することにより、反り、剥がれ等の光情報媒体としての
信頼性低下を防止でき、安定した記録や再生ができる。
【0051】親水性紫外線硬化性樹脂膜26は、保護層
25の全表面にわたって設けてもよいが、例えば、図1
に示すように、保護層25の内外周の縁部を除いて設け
ることもできる。親水性紫外線硬化性樹脂膜26の表面
には、微細な粗面とするのがよく、この微細表面状態に
より、保護層25の表面2に印刷インクが付着したと
き、微細な凹部に印刷インクが保持されて定着する、い
わゆる投錨効果が付与される。また、粗面によって親水
性紫外線硬化性樹脂膜26の表面積が増大され、インク
吸収を促進することができる。
【0052】ここにいう粗面とは、水性インクに対する
接触角が粗面としない場合よりも小さいものをいい、望
ましくは触針式表面粗さ測定器による平均粗さ(Ra)
が2.0〜0.1μm程度がよい。この表面粗さの水性
インクに対する効果は、膜の物性により多少の違いがあ
るもが、総じて、表面粗さが小さい場合には、ファイン
ラインは解像度良好に描くことができるものの、ベタに
インクを形成した場合にかすれが生じる恐れがあり、表
面粗さが大きすぎると、ファインラインもベタも共にに
じみやすい。特に、平均粗さ(Ra)を1.0〜0.5
μm程度とすることにより、ファインライン印刷もベタ
印刷も共に実用上良好に印刷することが可能になる。
【0053】このような親水性紫外線硬化性樹脂膜26
の微細な粗面は、保護層25の表面に親水性紫外線硬化
性樹脂をグラビア塗工することで形成できるが、例え
ば、保護層25の表面2にフィラーを混合した樹脂をス
クリーン印刷やスピンコーティングによりコーディング
することで形成することもできる。例えば親水性樹脂中
に、フィラーとして有機または無機顔料を分散すると、
容易に粗面を形成でき、その投錨効果も大きい。顔料の
粒径は、1〜10μm程度が適当であり、特に3〜5μ
mの大きさであると、ベタ印刷性が良好になる。
【0054】親水性紫外線硬化性樹脂膜26の表面をプ
ラズマ処理すると、同膜26の表面へのインクの定着性
がさらに向上する。具体的には、真空状態の希薄不活性
ガス雰囲気中にこの光情報媒体を配置し、このガス中で
プラズマを発生させて処理する。このように処理する
と、処理された表面に付着したインクの表面張力が小さ
く、インクの接触角が小さくなり、いわゆるインクの濡
れ性が向上する。この表面へのインクの印刷は、プラズ
マ処理後、なるべく早く行うことが望ましい。なお、本
発明の光情報媒体に適用可能なインクは、水性インクで
あることが望ましいが、油性インクや紫外線硬化インク
等であっても良い。
【0055】既に述べた通り、親水性紫外線硬化性樹脂
膜26の表面2に文字等を印刷する場合、筆記やスクリ
ーン印刷等によることもできるが、特にインクジェット
プリンターで印刷するのがよい。周知の通り、インクジ
ェットプリンターは、パーソナルコンピューター等のプ
リンターとして用いられており、コンピューターで作成
した印刷文字や印刷図柄を前記親水性紫外線硬化性樹脂
膜26の表面に繰り返し印刷することが可能である。従
って、比較的少数の光情報媒体に一定の文字や図柄を印
刷するのに適している。また、印刷に際して打撃等の機
会的な衝撃や印刷インクの定着のための熱等を加える必
要がないため、光情報媒体に損傷を与えることもない。
同様にして、ノズル部分をヒーター加熱するバブルジェ
ット方式により、インク粒子を作成し印刷する、いわゆ
るバブルジェット方式にも適応できる事は言うまでもな
い。
【0056】次に、本発明の具体的な実施例を述べる。
スタンパによりスパイラル状にトラッキングガイドを行
うための幅0.8μm、深さ0.08μm、トラックピ
ッチ1.6μmのガイド溝が直径の46〜117mmφ
の範囲に形成された外形120mmφ、内径15mm
φ、厚み1.2mmのポリカーボネート基板(ユーピロ
ン:三菱ガス化学製)を用意する。この基板の硬さは、
えんぴつ硬度HBであり、熱膨張係数は20〜120℃
において6×10-5/℃であった。
【0057】0.65gの1、1、−ジブチル3、3、
3、3、テトラメチル4、5、4、5、−ジベンゾイン
ドジカーボシアニンパークロレート(日本感光色素研究
所製)をジアセトンアルコール10mlに溶解し、これ
を上記基板上に回転数を適当に変化させながら平均膜厚
130nmになるようにスピンコートし、乾燥させて、
色素記録層を形成した。この上に、金をスパッタリング
し、厚さ100nmの反射層を形成した。
【0058】次にスピンコート法により多官能アクリレ
ートモノマーの紫外線硬化樹脂(SD−17:大日本イ
ンキ製)を塗布し、高圧水銀灯で230mj/cm2
紫外線を照射し、硬化させて、厚さ10μmの保護層を
形成した。この紫外線硬化樹脂からなる保護層の硬さ
は、えんぴつ硬度5H/on glass(2H/on
PC)である。
【0059】A成分として、光開始剤を含む単官能の紫
外線硬化性アミド系アクリレート(SN5X−283
3:サンノプコ製)に、C成分として、2官能で分子量
400のポリエチレングリコールジアクリレート(SN
5X−2911:サンノプコ製)を配合した液体中に、
B成分として、粉末状のポリビニルピロリドン(K9
0:東京化成工業製)を10重量%配合して充分溶解混
合した後、D成分として、この液体中に粒径約4μmの
微粉シリカ(XR37B:徳山遭達製、D成分)或は
D’成分として、表面に不溶コーティングを施した粒径
約4μmの紫外線硬化性樹脂粒子(KOLIDON C
LM:BASF製)を次の割合で配合し、これらを21
ポットの12個のボールを入れたボールミルを用い、2
4時間かけて分散し、親水性樹脂溶液を用意した。
【0060】 実施例1 A成分:B成分:C成分:D 成分=67:15: 5:13 実施例2 A成分:B成分:C成分:D’成分=65:15: 5:15 実施例3 A成分:B成分:C成分:D 成分=57:15:15:13 実施例4 A成分:B成分:C成分:D’成分=50:15:20:15
【0061】前記保護層形成後に、300メッシュのス
クリーンを用い、この親水性樹脂溶液を、保護層の内外
周縁を除いてその上にスクリーン印刷し、前記保護層と
同様の条件にて紫外線を照射することにより、厚さ15
μmの親水性紫外線硬化性樹脂膜を形成した。
【0062】なお、前記実施例1〜4のうち、実施例3
と4において使用した親水製樹脂溶液の粘度の経時変化
は、表1の通りであった。また、収縮率を比較するた
め、保護層に用いた紫外線硬化樹脂と親水性樹脂を厚み
10μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に両
方とも厚さ15μmで塗布し、紫外線を照射することに
より硬化させたところ、保護層に用いた紫外線硬化樹脂
の方はたわみ、親水性紫外線硬化性樹脂膜の方はたわみ
が生じなかった。つまり、収縮率は、保護層に用いた紫
外線硬化樹脂が親水性紫外線硬化性樹脂膜より大であ
る。
【0063】
【表1】
【0064】このようにして形成さた親水性紫外線硬化
性樹脂膜の表面状態は、半透明の粗面であり、その表面
粗さ(Ra)を触針式表面粗さ測定器(DEKTAK3
030:ビーコインスツルメンツインク製)により測定
したところ、0.9〜0.6μmであった。また、その樹
脂の硬さは、何れもえんぴつ硬度4H/on glas
s(2H/on PC)であった。
【0065】このようにして得られた光情報媒体にEF
M信号に変調された波長780nmの半導体レーザを、
パワー7.8mW、線速1.4m/secにて案内溝に沿って
照射することにより、所定の光学的情報を記録した。そ
の後、これら光情報媒体について、温度70℃、湿度8
5%RHの加速劣化試験を行った。試験開始後100時
間経過した後の親水性紫外線硬化性樹脂膜の表面を確認
したところ、初期状態との変化は見られなかった。比較
のため、インクジェット印刷用のOHPシートについて
も同様の加速劣化試験を行ったところ、試験開始後10
0時間経過した後の表面には、所々に溶けたような斑点
が生じた。
【0066】さらにこの加速劣化試験において、試験前
(初期)、試験開始後24時間後のもの及び100時間
後のものに、インクジェットプリンタを用い、各々別の
場所に水性黒インクを用いて印刷し、インクジェット印
刷性能(IJP性能)を調べた。すなわち、インクジェ
ットプリンタで「●」や「■」を印字し、網目状になら
ずに印字できるかどうかのベタ印字性と、画数の多い漢
字を印字し、線の間が潰れずに印字できるかどうかの漢
字印字性を調べた。その結果は、表2の通りであった。
【0067】
【表2】 ────────────────────────────────── 初期 24時間後 100時間後 ────────────────────────────────── 実施例1 ベタ印字性 ややかすれ − 初期よりかすれ多い 漢字印字性 良好 − 良好 実施例2 ベタ印字性 ややかすれ − 初期よりかすれ多い 漢字印字性 良好 − 良好 実施例3 ベタ印字性 良好 良好 良好 漢字印字性 良好 良好 良好 実施例4 ベタ印字性 良好 良好 ややかすれ 漢字印字性 良好 良好 良好 OHPシート ベタ印字性 かすれ − 初期同様(76時間) 漢字印字性 良好 − 初期同様(76時間) ──────────────────────────────────
【0068】実施例3及び実施例4について、温度70
℃、湿度0%RH(DRY)の加速劣化試験を行い、そ
の前後のIJP性能を調べた結果を表3に示す。
【0069】
【表3】
【0070】実施例3及び実施例4について、温度70
℃、湿度0%RH(DRY)の加速劣化試験を行い、そ
の前後に測定した光情報媒体の反り角を表4に示す。ま
た、温度23℃、湿度50%RHの標準条件に98時間
放置した後の反り角も同様にして表4に示した。なお、
反り角は、CD規格に従い、中心からの半径55mmの
位置における径方向のものを測定し、その平均値を示し
た。なお、比較例は、厚さ25μmの保護層を有し、親
水性紫外線硬化性樹脂膜を有しないものである。何れも
CD規格で規定した0.6°以下となっている。
【0071】
【表4】 ──────────────────────────── 反り角(°) 初期 100時間後 標準条件(98時間) ──────────────────────────── 実施例3 0.05 0.18 0.13 実施例4 0.02 0.17 0.15 比較例 0.02 0.17 0.15 ────────────────────────────
【0072】さらに、光情報媒体の親水性紫外線硬化性
樹脂膜の表面にインクジェットプリンターで前述のよう
なIJP試験用の印字をし、これを温度70℃、湿度8
5%RH及び温度70℃で8時間、湿度0%RH(DR
Y)の条件で100時間の加速劣化試験を行い、印字の
かすれやにじみを確認したところ、何れのものも殆どに
じみやかすれを見ることはできなかった。また、親水性
紫外線硬化性樹脂膜の表面に印字後、3分後に手で印刷
面を擦ってみたが、かすれ等は生じなかった。保護層と
親水性紫外線硬化性樹脂膜との間の結着性を比較するた
め、剥離試験(碁盤目試験 )を行った結果、反射層と
保護層との界面においては、97/100であったのに
対し、保護層と親水性紫外線硬化性樹脂膜との界面にお
いては100/100であった。
【0073】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の光情報媒体
によれば、通常の水性インクや油性インクを用いて光情
報媒体の保護層の表面に一定の文字や図柄を容易かつ良
好に書き込むことができる。しかも、親水性紫外線硬化
性樹脂膜と保護層との結着性がよく、光情報媒体の保護
機能にも優れた光情報媒体を提供することができる。ま
た、本発明の方法によれば、比較的少数の光情報媒体に
ついて、一定の文字や図柄を容易かつほぼ一定の品質で
光情報媒体表面に印刷可能な光情報媒体への印刷方法を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光情報媒体の外観斜視図である。
【図2】本発明の実施例を示す光情報媒体の要部模式縦
断面図である。
【図3】光情報媒体の表面にインクジェットプリンタを
用いて印刷するときに使用するホルダと光情報媒体との
分解斜視図である。
【図4】本発明の実施例に用いられるインクジェットプ
リンタを示す要部模式断面図である。
【符号の説明】
2 光情報媒体 4 クランプ孔 21 透光性基板 22 案内溝 23 色素記録層 24 反射層 25 保護層 26 親水性紫外線硬化性樹脂膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石黒 隆 東京都台東区上野6丁目16番20号 太陽 誘電株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−43826(JP,A) 特開 平6−60432(JP,A) 特開 平8−102090(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 7/24 G11B 23/40

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状の透光性基板上に直接又は他の層を
    介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備
    え、レーザ光により光学的に読み取り可能な情報が再生
    及び/又は記録し得る光情報媒体において、前記保護層
    が紫外線硬化性樹脂膜からなり、この保護層上に水性の
    印刷用インクが定着可能な親水性紫外線硬化性樹脂膜が
    形成されていることを特徴とする光情報媒体。
  2. 【請求項2】 板状の透光性基板上に直接又は他の層を
    介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備
    え、レーザ光により光学的に読み取り可能な情報が再生
    及び/又は記録し得る光情報媒体において、前記保護層
    が紫外線硬化性樹脂膜からなり、この保護層上に水性の
    印刷用インクが定着可能な親水性紫外線硬化性樹脂膜が
    形成され、この親水性紫外線硬化性樹脂膜上に水性イン
    クが定着されて、表示が施されたことを特徴とする光情
    報媒体。
  3. 【請求項3】 親水性紫外線硬化性樹脂膜上に水性イン
    クが定着されて、平坦な表示が施されたことを特徴とす
    る請求項2に記載の光情報媒体。
  4. 【請求項4】 前記請求項1〜3の何れかの光情報媒体
    において、親水性紫外線硬化性樹脂膜は、ポリエチレン
    オキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチル
    エーテル、ポリビニルホルマール、カルボキシビニルポ
    リマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロ
    ピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチル
    セルロースナトリウム塩、ポリビニルピロリドン、モル
    ホリンのうちの少なくとも1つを含む樹脂により成膜さ
    れてなることを特徴とする光情報媒体。
  5. 【請求項5】 板状の透光性基板上に直接又は他の層を
    介して密着されて形成された樹脂からなる保護層を備
    え、レーザ光により光学的に読み取り可能な情報が再生
    及び/又は記録し得る光情報媒体の表面に印刷する方法
    において、前記保護層が紫外線硬化性樹脂膜からなり、
    この保護層上に水性の印刷用インクが定着可能な親水性
    紫外線硬化性樹脂膜が形成されている光情報媒体を用意
    し、前記親水性紫外線硬化性樹脂膜の表面に向けて水性
    インクを噴出させて、同表面にインクを付着させ、この
    水性インクを同表面に定着させることを特徴とする光情
    報媒体の表面印刷方法。
  6. 【請求項6】 前記請求項の光情報媒体の表面印刷方
    法において、水性インクは、インクジェットプリンタに
    よって親水性紫外線硬化性樹脂膜の表面に向けて噴出さ
    れることを特徴とする光情報媒体の表面印刷方法。
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