JP2008273433A - 車両盗難防止装置、盗難防止方法 - Google Patents

車両盗難防止装置、盗難防止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】不正行為でない人為的行為が検出された場合に誤作動を低減する車両盗難防止装置、盗難防止方法を提供すること。
【解決手段】車両に対する盗難行為が検出された場合に警報又は通報の少なくとも一方を行う警報状態に遷移する車両盗難防止装置10において、車両状況を検出する車両状況検出手段23と、車両状況検出手段23により検出された車両状況が人為的によるものか否かを判定する不正行為判定手段31と、車両周辺の状態を検出する周辺状態検出手段24と、不正行為判定手段31により人為的な車両状況であると判定された場合、周辺状態検出手段24により検出された車両周辺の状態から不正行為を確定する不正行為確定手段32と、を有することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両に対する盗難行為が検出された場合に警報又は通報の少なくとも一方を行う車両盗難防止装置等に関し、特に、誤作動を低減する車両盗難防止装置及び盗難防止方法に関する。
駐停車中の車両を盗難する車両盗難を防止する車両盗難防止装置が提案されている。例えば、イモビライザシステムにより、キーに内蔵された電子回路に記憶されたIDを認証する車両盗難防止装置では、キー側のIDが車両に登録されているものと一致しないとエンジン始動が許可されないようにして車両の盗難防止を図っている。
また、車両そのものをレッカー車や大型トレーラにて持ち去る車両盗難を防止するため、傾斜角センサにより駐停車中の車両の傾斜角が所定値以上変動した場合に、警報音を吹鳴したり運転者等に通知したりする車両盗難防止装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平9−240432号公報
しかしながら車両は、例えば駐車違反した場合には車両盗難以外の目的で、正当な権限に基づきレッカー車等により移動される場合があるため、駐停車中の車両の傾斜角が所定値以上変動した場合に一律に警告すると誤作動となる場合がある。
本発明は、上記課題に鑑み、不正行為でない人為的行為が検出された場合に誤作動を低減する車両盗難防止装置、盗難防止方法を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明は、車両に対する盗難行為が検出された場合に警報又は通報の少なくとも一方を行う警報状態に遷移する車両盗難防止装置において、車両状況(例えば、傾斜・振動)を検出する車両状況検出手段(例えば、盗難検出センサ23)と、車両状況検出手段により検出された車両状況が人為的によるものか否かを判定する不正行為判定手段と、車両周辺の状態を検出する周辺状態検出手段(例えば、周辺状態検出センサ24)と、不正行為判定手段により人為的な車両状況であると判定された場合、周辺状態検出手段により検出された車両周辺の状態から不正行為を確定する不正行為確定手段(例えば、権限行為確定手段32)と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、車両状況だけでなく車両周辺の状態を検出して不正行為を確定するので、誤作動を低減することができる。
また、本発明の一形態において、周辺状態検出手段は、駐停車中の車両の移動に権限を有する者又はその者の行為を検出する、ことを特徴とする。
本発明によれば、駐車監視員、警察官等による行為は不正行為でないと確定できるので、誤作動を低減することができる。
また、本発明の一形態において、不正行為確定手段により人為的な車両状況が不正行為によるものでないと確定された場合、警報状態への遷移を禁止する状態遷移制御手段、を有することを特徴とする。
本発明によれば、不正行為でないことが車両状況から確定されると警報状態への遷移がなされなくなるので、誤警報を防止することができる。
また、本発明の一形態において、状態遷移制御手段は、警報状態への遷移を禁止してから所定時間の経過後、禁止を解除する、ことを特徴とする。
本発明によれば、所定時間経過後は警報状態へ遷移できるので、セキュリティの低下を抑制することができる。
また、本発明の一形態において、状態遷移制御手段が警報状態への遷移を禁止した状態であっても、車室への侵入が検知された場合、状態遷移制御手段は警報状態へ遷移する、ことを特徴とする。
本発明によれば、駐車監視員、警察官等による行為は不正行為でないと判定し、侵入による不正行為については警報状態に遷移するのでセキュリティの低下を抑制できる。
不正行為でない人為的行為が検出された場合に誤作動を低減する車両盗難防止装置、盗難防止方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
本実施形態の車両盗難防止装置10は、車両そのものをレッカー車や大型トレーラにて持ち去る移動形態の車両盗難や車上荒らしのような盗難(以下、単に車両盗難という)を防止すると共に、振動や傾斜が車両盗難(不正行為)以外の権限行為によるものであることを検出して、このような権限行為により生じる振動や移動による誤作動を低減することを可能にする。権限行為を行う者は、例えば、駐車監視員(放置車両確認事務の業務を委託された、民間法人の従業員)、警察官等、法令又は契約に基づいてその職権を行いうる者である。以下、権限行為を行う者を権限者という。
図1は、車両盗難防止装置10のブロック図を示す。始めに、車両盗難防止装置10の盗難検出について説明する。車両盗難防止装置10のセキュリティ状態は、例えば、無警戒状態、警戒準備状態、警戒状態、警報状態、を所定の遷移条件に従い遷移する。無警戒状態は、ユーザが車内又は車両近くにいると判断される状況(ドアアンロック、ドア開状態、IG−ON等)で、警戒を行っていない状態である。
無警戒状態から、全ドアの閉状態、ドアロック等の遷移条件が検出されると、車両盗難防止装置10は、センサの初期化等のための警戒準備状態になり、所定時間が経過すると自動的に警戒状態に遷移する。この警戒状態において、車両盗難防止装置10はユーザが車両から離れたと判断し、車両盗難のおそれありと推定される車両状況が検出されると警報音の吹鳴、運転者への通知などを実行する警報状態となる。
車両盗難防止装置10は盗難防止ECU20により制御される。盗難防止ECU20には、車両状況を検出する盗難検出センサ23、車両周辺状態を検出する周辺状態検出センサ24、警報音を吹鳴する警報装置22、及び、サーバ51と通信する通信装置21が接続されている。盗難検出センサ23は、車両盗難のおそれありと推定される車両状況を検出する種々のセンサであり、例えば、傾斜センサ11、振動センサ12及び侵入センサ13である。
盗難防止ECU20は、プログラムを実行するCPU、プログラム実行の作業領域となりまた一時的にデータを記憶するRAM、ブートプログラムやBIOSを記憶するROM、及び、プログラムやファイルを記憶する不揮発メモリ及びデータを入出力する入出力部、が内部バスにより接続されたコンピュータである。CPUがプログラムを実行することで、不正行為判定手段31、権限行為確定手段32,人為的行為情報通知手段34、状態遷移制御手段35、が実現される。また、禁止フラグ33はRAMや不揮発メモリ等の記憶部に記憶される。
傾斜センサ11は、水平に対する車両のロール角又はピッチング角の大きさに応じた信号を出力する。振動センサ12は、車体全体又は一部の車高の変化に応じた信号を出力する。侵入センサ13は、車室内に侵入した盗賊を、例えば超音波の変動、赤外線、カメラ等により検出する。
不正行為判定手段31は、傾斜センサ11の出力信号及び振動センサ12の出力信号の大きさや時間波形に基づいて車両の傾く要因が、ジャッキアップやレッカー等による人為的な傾斜・振動なのか、風圧や路面からの振動などの自然現象によるものなのかを判定する。
続いて、権限行為による傾斜や振動について説明する。不正行為判定手段31により、ジャッキアップやレッカー等による人為的な傾斜・振動であると判定されても、例えば、駐車監視員により車両に加えられる振動や、警察又は警察から委託された車両移動業者によるレッカー移動のように、それが権限行為によるものである場合がある。そこで、車両盗難防止装置10は、周辺状態検出センサ24により検出された周辺状態に基づき、権限行為確定手段32により権限行為であるか否かを判定し、人為的行為であっても権限行為の場合には警報状態への遷移を禁止する(警報音の吹鳴、通報をしない)。言い換えれば、権限行為確定手段32は周辺状態に基づき不正行為を確定する。
周辺状態検出センサ24は、例えば車外カメラ14、マイク16又は電波検出器18である。車外カメラ14は、牽引フック、ナンバープレート、運転席付近等を、主に人の撮影が期待できる車両周辺を撮影するカメラである。車外カメラ14により、撮影された画像データは画像処理装置15に出力される。
画像処理装置15は、画像データから予め登録された服装、腕章、証明書、物、等の画像対象物を検出する。例えば、駐車監視員の場合、所定の帽子や腕章を着用することが多く、駐車監視員資格者証及び駐車違反の証拠を記録するためのカメラを携帯している。また、警察官の場合、所定の帽子や階級章を着用し、警察手帳等を携帯している。
画像処理装置15は、このような予め定めた権限者と共に撮影される画像対象物を登録しておき、画像データから検出する。画像対象物は、例えば、パターンマッチングにより検出してもよいし、背景の静止物との差分画像から人型が撮影されている場合にはその一部に駐車監視員の腕章の色が撮影されたか、警察官の制服色が撮影されたか、等の情報を利用して検出の確度を向上させることができる。また、駐車監視員がナンバープレートを撮影する差異にカメラから発するフラッシュを検出してもよい。
また、駐車監視員や警察官は、車両盗難防止装置10が誤作動して警報音が吹鳴されることを望まないので、車外カメラ14に向かって自ら駐車監視員資格証や警察手帳を提示することが期待できる。画像処理装置15は、例えば、OCR(Optical Character Reader)処理にて駐車監視員資格証や警察手帳の文字を検出してもよい。
画像処理装置15は、画像データから検出された画像対象物の種類とその確度を含む権限者撮影情報(例えば、検出対象:駐車監視員、腕章、確度:60%)を車両盗難防止装置10に出力する。
マイク16は、機械の動作音や人の話し声を集音するため運転席付近やナンバープレートの付近に設置されている。上述のように、駐車監視員の場合、ナンバープレートを撮影する場合が多く、また、駐車監視員や警察官は「違法駐車確認」など駐車違反に関し発話すると考えられる。
音声処理装置17は、予め定めた権限者により発せられる音声対象物を登録しておき、マイク16が集音したカメラによるシャッター音、発話の音声データからそれを検出する。音声処理装置17は、音声データから検出された音声対象物の種類とその確度を含む権限者音声情報(例えば、検出対象:シャッター音、確度:80%)を車両盗難防止装置10に出力する。
電波検出器18は、車両の周辺の電波を受信しスペクトル解析等により電波の周波数帯や強度等を検出する。例えば、駐車監視員の場合、トランシーバにより会話することがあり、また、カメラにより撮影された画像データを記録のため所定の警察署に送信することがある。
電波検出器18は、予め定めた権限者が発信する電波対象物を登録しておき、受信した電波から電波対象物を検出する。電波検出器18は、電波から検出された電波対象物の種類とその確度を含む権限者電波情報(例えば、検出対象:トランシーバ、確度:80%)を車両盗難防止装置10に出力する。
不正行為判定手段31により人為的行為が検出された場合、権限行為確定手段32は、権限者撮影情報、権限者音声情報及び権限者電波情報、から、それが権限行為であるか否かを確定する。例えば、権限者撮影情報、権限者音声情報及び権限者電波情報の全てが検出された場合には、権限行為であると判定してもよいし、それぞれに重み付けして判定してもよい。なお、権限行為か否かの判定が困難な場合は、権限行為でないと判定し車両盗難を防止することで、警報状態に遷移でき確実に盗難を防止する。
そして、権限行為であると確定された場合、状態遷移制御手段35は人為的行為が検出されても警報状態への遷移を禁止する。これにより、例えば警報装置22の誤警報を低減できる。
また、権限者はICカード、無線装置等の権限者のみに携帯が許可される認証装置を携帯する場合がある。したがって、この認証装置により権限者を認証できれば、人為的行為を行った者は権限者であると確定してよい。
権限者認証装置19は、駐車監視員や警察官などの権限者を認証する装置であって、例えば、認証装置が車両からの応答要求に対して送信した認証情報に基づき、人為的行為が権限者によりもたらされたか否かを判定する。例えば、認証装置が特殊な電波を発する場合は当該電波により判定してもよいし、認証装置が認証情報として駐車監視員を識別するIDコードを送信する場合、権限者認証装置19が民間法人や警察署のコンピュータにアクセスし身分照会してもよい。権限者認証装置19が権限者であると認証した場合、権限行為確定手段32は権限行為であると確定する。
権限者認証装置19により権限行為確定手段32が、人為的行為が権限者によりもたらされたと確定した場合、状態遷移制御手段35は警報状態への遷移を禁止する。
ところで、権限者が車両から去った後も継続して警報状態への遷移が禁止されていると、次いで現れた権限者でない者が盗難行為を働いても警報装置22等が作動せず好ましくない。
そこで、権限行為を確定した場合、権限行為確定手段32は禁止フラグ33をオンにセットし、所定時間が経過すると禁止フラグ33をオフにセットする。状態遷移制御手段35は、禁止フラグ33がオフの間にのみ警報状態へ遷移し、また、禁止フラグ33がオンの間は警報状態への遷移を禁止する。
また、車両盗難防止装置10はネットワーク54を介してサーバ51と接続可能である。通信装置21は、ネットワーク54に接続された基地局52と、携帯電話網、無線LAN、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等の無線により、基地局52からサーバ51までは公衆電話交換網(PSTN)や光ファイバ等の有線により接続可能となっている。データの送受信には例えばTCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)等のプロトコルと上位互換であるHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)やFTP(File Transfer Protocol)等のプロトコルが用いられる。
サーバ51は、車両盗難防止装置10と携帯端末53を携帯した運転者を仲介して種々のサービスを運転者に提供するものである。例えば、サーバ51には携帯端末53のメールアドレスや電話番号が登録されている。不正行為判定手段31が人為的行為を検出して、人為的行為情報通知手段34が通信装置21を介し人為的行為検知情報(検知時刻、傾斜や振動などの盗難行為の別)をサーバ51に送信すると、サーバ51はその旨を運転者の携帯端末53に通知する。また、運転者が携帯端末53からサーバ51にアクセスすると携帯端末53の操作内容に基づき車両の車載装置を遠隔操作することができる。なお、サーバ51は、プログラムを実行するCPU、ハードディスクドライブ、ROM、RAM、NIC(Network Interface Card)などが相互にバスで接続されたコンピュータである。
人為的行為情報通知手段34は、権限行為確定手段32が人為的行為を権限行為であると確定した場合、権限者撮影情報、権限者音声情報又は権限者電波情報等の権限行為検知情報をサーバ51に送信する。権限行為検知情報を受信したサーバ51は、例えば「車両に対する人為的行為を検知しましたが車両盗難以外と認識しました」等のメッセージを携帯端末53に送信する。なお、権限行為検知情報がサーバ51に送信されないよう、又は、権限行為検知情報をサーバ51に送信してもそれにかかるメッセージが携帯端末53に送信されないよう設定されてもよい。
図2は、権限行為又は権限者を検出した場合は警報状態への遷移を禁止する車両盗難防止装置10の制御手順を示すフローチャート図である。図2のフローチャート図は、例えばドアをロックすることでスタートする。
車両盗難防止装置10は警戒状態に遷移し(S10)、不正行為判定手段31は所定のサイクル時間毎に人為的行為が検出されるか否かを判定する(S20)。
人為的行為が検出された場合(S20のYes)、権限行為確定手段32は禁止フラグ33がオンか否かを判定する(S30)。禁止フラグ33がオンの場合(S30のYes)、権限行為確定手段32は禁止フラグ33をオンに設定してから所定時間が経過したか否かを判定する(S90)。所定時間が経過していた場合(S90のYes)、権限行為確定手段32は禁止フラグ33をオフに設定する(S100)。そして、状態遷移制御手段35は人為的行為が検出されても警報状態に遷移せずに図2の処理を繰り返す。なお、ステップS30で既に禁止フラグ33がオンになっている場合とは次述するように権限行為又は権限者が検知されている場合である。
禁止フラグ33がオフの場合(S30のNo)、盗難防止ECU20は周囲に人がいるか否かを判定する(S40)。周囲に人がいる場合を判定するのは、駐車中、周囲状態検出センサ24により定常的に車両周囲の状態を検出することは検出精度や消費電力の点から好ましくないため、まず、権限者の可能性のある人が周囲に存在するか否かにより周囲状態をフィルタリングするためである。なお、ステップS20により周囲に人がいることが明らかであれば必ずしも周囲の人を検出しなくてもよい。
周囲に人がいるか否かは、運転席ドアやナンバープレート付近、牽引フックの付近に設けた赤外線検知装置、動体検知装置など、周辺状態検出センサ24よりも比較的、処理負荷の小さい装置により判定する。
周囲に人がいない場合(S40のNo)、車両が盗難されるおそれがあるので状態遷移制御手段35は警報状態に遷移する(S80)。
周囲に人がいる場合(S40のYes)、権限行為確定手段32が周辺状態検出センサ24により周辺状態を検出し、権限者撮影情報、権限者音声情報、権限者電波情報に応じて、車両周辺の状態が権限行為によるものと確定する(S50)。権限行為であると確定できない場合(S50のNo)、状態遷移制御手段35は警報状態に遷移する(S80)。
権限行為であると確定された場合(S50のYes)、権限行為確定手段32は権限者認証装置19により権限者の認証が成立したか否かを判定する(S60)。認証が成立しない場合(S60のNo)、状態遷移制御手段35は警報状態に遷移する(S80)。なお、ステップS50、S60の判定は順不同であって、いずれか一方のみ判定してもよい。
認証が成立した場合(S60のYes)、権限行為確定手段32は禁止フラグ33をオンに設定する(S70)。以降、盗難防止ECU20はステップS10から処理を繰り返す。これにより、権限行為及び権限者が検出された場合、警報状態への遷移を禁止できる。
以上のように、本実施例の車両盗難防止装置10は、単に車両状況だけでなく、車両の周辺状態を検知して警報状態に遷移するか否かを判定するので、誤作動を低減することができる。
実施例1では直接的な車両への行為により権限者か否かを判定したが、より間接的な情報から車両の盗難の可能性を判定してもよい。本実施例では、警察車両が車両の付近にいる場合や接近してくることを検出して、その場合には警報状態への遷移を禁止することで誤作動を低減する車両盗難防止装置10について説明する。
ブロック図は実施例1と同様であるが、本実施例の音声処理装置17及び電波検出器18は実施例1の態様に加え、さらに、警察車両が発する音や電波を検出する。
音声処理装置17は、マイク16から集音された警察車両のサイレン音を検出する。また、サイレン音を検出した場合はその音量、サイレン音の周波数のドップラー効果や音量の変化から警察車両が自車両からどのくらいの距離に存在し、かつ、その距離が接近しているのか離間しているのかを検出する。
また、電波検出器18は、アンテナから受信された電波より警察車両の警察無線を検出する。また、警察無線を検出した場合はその強度、電波のドップラー効果や強度の変化から警察車両が自車両からどのくらいの距離に存在し、かつ、その距離が接近しているのか離間しているのかを検出する。
警察車両が自車両付近に存在する場合、人為的行為が検出されてもそれは警察官などの権限者によるものである可能性が高く、また、警察車両が付近に存在する場合、車両盗難の可能性は低くなる。音声処理装置17又は電波検出器18により、警察車両が近くに存在することが明らかな場合、権限行為確定手段32は禁止フラグ33をオンにセットすることとし、警報状態への遷移を禁止する。
図3は、権限行為、権限者又は警察車両を検出した場合は警報状態への遷移を禁止する車両盗難防止装置10の制御手順を示すフローチャート図である。なお、図3において図2と同一ステップには同一の符号を付した。図3では、ステップS45のみが異なるので、ステップS45について説明する。
周囲に人がいると判定された場合(S40のYes)、権限行為確定手段32は音声処理装置17により検出される警察車両のサイレン音の音量、及び、電波検出器18により検出される警察無線の強度から警察車両が付近に存在するか否かを判定する(S45)。
警察車両が付近に存在しない場合(S45のNo)、状態遷移制御手段35は警報状態に遷移し(S80)、警察車両が付近に存在する場合(S45のYes)、権限行為確定手段32が周辺状態検出センサ24により周辺状態を検出し、権限者撮影情報、権限者音声情報、権限者電波情報、から権限行為と確定するか否かを判定する(S50)。
以降の処理は実施例1と同様である。すなわち、権限行為であると確定された場合(S50のYes)、権限行為確定手段32は権限者認証装置19により権限者の認証が成立したか否かを判定し(S60)、認証が成立した場合(S60のYes)、権限行為確定手段32は禁止フラグ33をオンに設定する(S70)。
したがって、本実施例の車両盗難防止装置10は、警察車両が付近に存在し、権限行為であると確定し、かつ、権限行為者の認証が成立した場合に、警報状態への遷移を禁止するので、権限者をより精度良く検出でき、また、これらの条件を1つでも満たさない場合は形状状態に遷移するので車両盗難を確実に防止できる。
実施例1又は2では、権限行為確定手段32が、権限者撮影情報、権限者音声情報及び権限者電波情報に基づき権限行為を確定したが、権限者撮影情報、権限者音声情報及び権限者電波情報による確定は必ずしも100%権限行為を確定できるとは限らず、権限行為であるとの確定が困難な場合は、権限行為でないと判定していた。すなわち、車両盗難であるとの疑いがある場合は警報状態に遷移することで、確実に盗難を防止していた。
しかしながら、車両盗難の疑いがある段階で警報状態に遷移すると、なお車両盗難防止装置10が誤作動する場合がある。そこで、本実施例では、権限者撮影情報、権限者音声情報及び権限者電波情報では権限者か否かの確定が困難な場合、人為的行為情報通知手段34が車外カメラ14により撮影された画像データを電子メールに添付して、サーバ51を介し携帯端末53へ送信する。運転者が画像データにより権限者か否かを確認して、警報状態への遷移を禁止する旨の確認結果情報を、サーバ51を介し車両盗難防止装置10に送信することで、車両盗難防止装置10は誤作動を確実に防止すると共に、警報状態にも確実に遷移できる。
運転者が単に画像データの添付された電子メールを返送すれば、それが確認結果情報となるので、警報状態に遷移すべきと判断すれば電子メールを返送しなければよい。
図4は、運転者からの確認結果情報に基づき、警報状態への遷移を禁止する車両盗難防止装置10の制御手順を示すフローチャート図である。図2のフローチャート図は、例えばドアをロックすることでスタートする。
車両盗難防止装置10は警戒状態に遷移し(S10)、不正行為判定手段31は所定のサイクル時間毎に人為的行為が検出されるか否かを判定する(S20)。
人為的行為が検出された場合(S20のYes)、権限行為確定手段32は禁止フラグ33がオンか否かを判定する(S30)。禁止フラグ33がオンの場合(S30のYes)、権限行為確定手段32は禁止フラグ33をオンに設定してから所定時間が経過したか否かを判定する(S90)。所定時間が経過していた場合(S90のYes)、権限行為確定手段32は禁止フラグ33をオフに設定する(S100)。そして、車両盗難ECU20は警報状態に遷移せずに図2の処理を繰り返す。
禁止フラグ33がオフの場合(S30のNo)、盗難防止ECU20は周囲に人がいるか否かを判定する(S40)。周囲に人がいる場合を判定するのは、駐車中、周囲状態検出センサ24により定常的に周囲状態を検出することは検出精度や消費電力の点から好ましくないため、まず、権限者の可能性のある人が周囲に存在するか否かにより周囲状態をフィルタリングするためである。
周囲に人がいるか否かは、運転席ドアやナンバープレート付近、牽引フックの付近に設けた赤外線検知装置、動体検知装置など、周辺状態検出センサ24よりも比較的な処理の負荷の小さい装置により判定する。
周囲に人がいない場合(S40のNo)、車両が盗難されるおそれがあるので状態遷移制御手段35は警報状態に遷移する(S80)。
周囲に人がいると判定された場合(S40のYes)、権限行為確定手段32は音声処理装置17により検出される警察車両のサイレン音の音量、及び、電波検出器18により検出される警察無線の強度から警察車両が付近に存在するか否かを判定する(S45)。警察車両が付近に存在しない場合(S45のNo)、状態遷移制御手段35は警報状態に遷移する(S80)。
警察車両が付近に存在する場合(S45のYes)、人為的行為情報通知手段34は周辺状態検出センサ24により周辺状態を検出し、権限者撮影情報、権限者音声情報、権限者電波情報のいずれかが検出されたか否かを判定する(S51)。いずれかも検出されない場合(S51のNo)、状態遷移制御手段35は警報状態に遷移する(S80)。
権限者撮影情報、権限者音声情報、権限者電波情報のいずれかが検出された場合(S51のYes)、人為的行為情報通知手段34は画像データを携帯端末53に送信する(S55)。
ついで、権限行為確定手段32は、携帯端末53から確認結果情報が受信されたか否かを判定する(S56)。確認結果情報が送信されれば、画像データを視認した運転者が車両の周囲の人は権限者であると確認したことを意味する。
したがって、確認結果情報が受信された場合(S56のYes)、権限行為確定手段32は禁止フラグ33をオンに設定する(S70)。
確認結果情報が受信されない場合(S56のNo)、権限行為確定手段32は権限者認証装置19により権限者の認証が成立したか否かを判定する(S60)。権限者認証装置19により認証が成立しない場合(S60のNo)、状態遷移制御手段35は警報状態に遷移する(S80)。
なお、ステップS56では、画像データを送信してから所定時間T内に確認結果情報が受信されない場合には、確認結果情報が受信されないと判定する。これにより、車両盗難防止装置10は安全を確保するように作動できる。所定時間Tは、例えば、一般的な携帯端末53のユーザが電子メールの受信から最小限の操作をして返信するまでの時間である。
権限者認証装置19により認証が成立した場合(S60のYes)は権限者であると判定してよいので、権限行為確定手段32は禁止フラグ33をオンに設定する(S70)。
図4の処理によれば、警報状態に遷移するか否かの判定を示す確認結果情報を、サーバ51を介し車両盗難防止装置10に送信することで、車両盗難防止装置10は誤作動を確実に防止すると共に、警報状態にも確実に遷移できる。
ところで、ステップS56の判定において、所定時間T内に確認結果情報が受信されない場合には、確認結果情報が受信されないと判定するとしたが、例えば、通信の遅延やすぐには運転者が少し遅れて確認結果情報を送信する場合もある。
このため、警報状態に遷移した後も所定時間α内に確認結果情報が受信された場合は、警報状態から警戒状態へすぐに遷移することが好ましい。したがって、図4において、権限者認証装置19により認証が成立しない場合(S60のNo)、状態遷移制御手段35は警報状態に遷移する(S80)が、その後、所定時間α内に「警報状態に遷移しない」という確認結果情報が受信された場合、状態遷移制御手段35は、警報状態から警戒状態に遷移させる。所定時間αは、例えば通信の遅延を許容する程度の時間である。かかる処理により車両盗難防止装置10の盗難防止の検出に柔軟性を持たせることができる。
実施例1〜3では、禁止フラグ33をオンに設定した後、所定時間が経過するとオフに再設定することとしたが、禁止フラグ33がオンの間は依然として警報状態への遷移が禁止されている点でセキュリティが低下している。そこで、本実施例では、禁止フラグ33がオンとなった後、移動による車両盗難については警報状態への遷移を禁止するが、その他の、例えば侵入センサ13により検知される移動以外の車両盗難については警報状態への遷移を許可する車両盗難防止装置10について説明する。
本実施例の状態遷移制御手段35は、侵入センサ13により侵入者が検知された場合には禁止フラグ33がオンであるか否かに関わらず、セキュリティ状態を警報状態に遷移させる。
また、傾斜センサ11,振動センサ12により侵入を検知してもよく、禁止フラグ33がオンである場合、不正行為判定手段31は移動やジャッキアップによる振動検知を看過し、ドアガラスの破壊のような侵入にかかる振動検知は不正行為であると判定し、状態遷移制御手段35に警報状態への遷移を要求する。
図5は、権限行為又は権限者を検出した場合に警報状態への遷移を禁止しても、侵入者が検知された場合は警報状態へ遷移する車両盗難防止装置10の制御手順を示すフローチャート図である。図5のフローチャート図は、例えばドアをロックすることでスタートする。なお、図5において、図5と同一ステップの処理については説明を省略する。
図5では、ステップS90又はS100に続き、不正行為判定手段31が侵入者が検知されたか否かを判定する(S110)。そして侵入者が検知された場合(S110のYes)、状態遷移制御手段35は、禁止フラグ33がオンであっても警報状態に遷移する(S120)。
したがって、権限行為が検出されたため禁止フラグ33がオンになり駐車監視員の作業等が許容されても、車内に侵入する車上荒らしについては警報音を吹鳴するため、セキュリティを低下させることがない。
以上説明したように、本実施形態の車両盗難防止装置10は、人為的行為が検出されてもそれが不正行為以外の権限行為によるものであることを検出して、警報状態への遷移を禁止するので、不正行為以外により生じる振動や移動による誤作動を低減することができる。特に、駐車監視員などにより振動や移動が生じても誤作動することがない。また、周辺を撮影した画像データを運転者に送信して、運転者が確認することもできるので不正行為以外の権限行為を精度よく検出できる。また、侵入など振動や移動以外の車両盗難については警報状態に遷移するのでセキュリティの低下を抑制できる。
車両盗難防止装置のブロック図の一例である。 権限行為を検出した場合は警報状態への遷移を禁止する車両盗難防止装置の制御手順を示すフローチャート図である。 権限行為、権限者又は警察車両を検出した場合は警報状態への遷移を禁止する車両盗難防止装置の制御手順を示すフローチャート図である。 運転者からの確認結果情報に基づき、警報状態への遷移を禁止する車両盗難防止装置の制御手順を示すフローチャート図である。 権限行為又は権限者を検出した場合に警報状態への遷移を禁止しても、侵入者が検知された場合は警報状態へ遷移する車両盗難防止装置の制御手順を示すフローチャート図である。
符号の説明
10 車両盗難防止装置
11 傾斜センサ
12 振動センサ
13 侵入センサ
14 車外カメラ
15 画像処理装置
16 マイク
17 音声処理装置
18 電波検出器
19 権限者認証装置
20 盗難防止ECU
21 通信装置
22 警報装置
23 盗難検出センサ
24 周辺状態検出センサ
31 不正行為判定手段
32 権限行為確定手段
33 禁止フラグ
34 人為的行為情報通知手段
35 状態遷移制御手段
51 サーバ
53 携帯端末

Claims (6)

  1. 車両に対する盗難行為が検出された場合に警報又は通報の少なくとも一方を行う警報状態に遷移する車両盗難防止装置において、
    車両状況を検出する車両状況検出手段と、
    前記車両状況検出手段により検出された車両状況が人為的によるものか否かを判定する不正行為判定手段と、
    車両周辺の状態を検出する周辺状態検出手段と、
    前記不正行為判定手段により人為的な車両状況であると判定された場合、前記周辺状態検出手段により検出された車両周辺の状態から不正行為を確定する不正行為確定手段と、
    を有することを特徴とする車両盗難防止装置。
  2. 前記周辺状態検出手段は、駐停車中の車両の移動に権限を有する者又はその者の行為を検出する、ことを特徴とする請求項1記載の車両盗難防止装置。
  3. 前記不正行為確定手段により人為的な車両状況が不正行為によるものでないと確定された場合、前記警報状態への遷移を禁止する状態遷移制御手段、を有することを特徴とする請求項1又は2記載の車両盗難防止装置。
  4. 前記状態遷移制御手段は、前記警報状態への遷移を禁止してから所定時間の経過後、禁止を解除する、ことを特徴とする請求項3記載の車両盗難防止装置。
  5. 前記状態遷移制御手段が前記警報状態への遷移を禁止した状態であっても、前記車両状況検出手段により車室への侵入が検知された場合、前記状態遷移制御手段は前記警報状態へ遷移する、
    ことを特徴とする請求項3記載の車両盗難防止装置。
  6. 車両状況検出手段が、車両状況を検出するステップと、
    不正行為判定手段が、前記車両状況検出手段により検出された車両状況が人為的によるものか否かを判定するステップ、
    周辺状態検出手段が、車両周辺の状態を検出するステップと、
    不正行為確定手段が、前記不正行為判定手段により人為的な車両状況であると判定された場合、前記周辺状態検出手段により検出された車両周辺の状態から不正行為を確定するステップと、
    を有することを特徴とする車両盗難防止装置の盗難防止方法。


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