JP2008273296A - 車両用サスペンション装置 - Google Patents

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Masachika Takamatsu
正周 高松
Koichi Koyama
晃一 小山
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Abstract

【課題】左右クロス配管により左右サスペンションユニット間を相関させて高めたアンチロール効果が旋回走行中、時間の経過とともに低下するのを回避可能にする。
【解決手段】左旋回走行中、室2Sを容積減少されると共に室1Lも容積を減少され、室2Lを容積増大されると共に室1Sも容積を増大され、ガスばね6は作動液の矢印で示す流入によりバネ反力を大きくされ、ガスばね5は作動液の矢印で示す流出によりバネ反力を低下される。上記の液流はオリフィス8,7を介して行われ、これらによる絞り効果が、ガスばね5,6の上記バネ反力変化と相まって、アンチロール効果を発揮するが、時間の経過に伴う絞り効果の低下でアンチロール効果も低下する。ところで上記の液流によりオリフィス8,7の前後に差圧が発生し、オリフィス8の前後差圧が弁体24,25を下方へ変位させて対応する遮断弁21を閉じ、オリフィス7の前後差圧が弁体24,25を上方へ変位させて対応する遮断弁21を閉じることから、上記アンチロール効果の低下を防止可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、車輪の懸架に用いる車両用サスペンション装置の改良提案に関するものである。
車両用サスペンション装置としては従来、例えば特許文献1〜3に記載のごときものが知られている。
このサスペンション装置は、各車輪を、個々のピストン・シリンダ型液圧式サスペンションユニットにより懸架する。
そして、前および後の左右輪間でそれぞれ、サスペンションユニットの収縮ストローク時に容積減少する収縮時高圧室と、伸長ストローク時に容積減少する伸長時高圧室とを相互に、左右クロス配管により接続する。
また、左右同じ側の前後輪間で、収縮時高圧室同士が相互に、また、伸長時高圧室同士が相互に連通されるよう、前輪に係わる上記左右配管と後輪に係わる上記左右配管とを相互に、前後パラレル配管で接続する。
さらに、左右配管および前後配管のうち、相互に連通した左右配管および前後配管よりなる連通系にそれぞれ、これら連通系内の容積変化を個々に吸収可能にするアキュムレータ等のガスばねを、オリフィスなどによる液流制限下に接続する。
かかるサスペンション装置によれば、前左右輪間および後左右輪間で同相(同じ方向)のバウンド・リバウンド(サスペンションストローク)が発生する左右同相モードにおいては、左右一方のサスペンションユニットの収縮時高圧室に係わる容積増減量が、他方のサスペンションユニットの伸長時高圧室に係わる容積減増量と同じであるため、
前左右輪サスペンションユニットの相互に通じた収縮時高圧室および伸長時高圧室間で作動液の流出入量がバランスすると共に、後左右輪サスペンションユニットの相互に通じた収縮時高圧室および伸長時高圧室間で作動液の流出入量がバランスし、
前後輪サスペンションユニット間でもこのバランスが補償され、
各連通系に接続したガスばねに対する液の出入りが理論上ないため、サスペンション剛性が柔らかくて良好な乗り心地を確保することができる。
一方で、旋回走行時のように前左右輪間および後左右輪間で逆相(逆の方向)のサスペンションストロークを生ずるロールモードにおいては、旋回方向外輪のサスペンションユニットが収縮時高圧室を容積減少されると共に、この室に通じた旋回方向内輪におけるサスペンションユニットの伸長時高圧室も容積を減少されるため、
これら両室から出た作動液が、これら室に係わる連通系に接続した共通なガスばねに流入してそのバネ反力を大きくすることとなり、サスペンションロール剛性が高まって車体が大きくロールするのを抑制する(アンチロール効果を発揮する)ことができる。
更に、オフロード走行時のように前左右輪と後左右輪とで逆相(逆の方向)のサスペンションストロークが発生する前後逆相モードにおいては、前および後の双方において前記左右同相モードにおけると同様に、左右輪サスペンションユニットの相互に通じた収縮時高圧室および伸長時高圧室間で作動液の流出入量がバランスすると共に、前後輪サスペンションユニット間でもこのバランスが補償され、
各連通系に接続したガスばねに対する液の出入りが理論上ないため、サスペンション剛性が柔らかくて良好な乗り心地を確保することができる。
ところで上記した従来のサスペンション装置にあっては、温度上昇で作動液が体積膨張すると、この体積膨張分の作動液がガスばね内に流入してガスばねのバネ反力を高め、サスペンション剛性が高くなることで乗り心地を悪化させるという問題を生ずる。
また、相互に連通した左右配管および前後配管よりなる2個の連通系内における作動液が異なる体積膨張変化を生ずると、これら両連通系に係わるガスばねのバネ反力が異なることとなって、車体が左右に傾斜するという問題を生ずる。
そこで、上記両連通系の定常的な圧力変動を吸収すると共にこれら連通系間の差圧をなくすよう、オリフィスなどによる液流制限下でこれら両連通系に接続して圧力補償ユニットを設ける構成が従来より提案されている。
この圧力補償ユニットは、一方で、温度変化に伴う作動液の体積膨縮時にこの作動液体積変化分を吸収して、この作動液体積変化分がガスばねに対し出入りするのを抑制することにより、ガスばねのバネ反力変化を緩和するよう機能し、
他方で、両連通系内における作動液が異なる体積膨張変化を生じて、これら両連通系間に差圧を生じそうになると、高圧側連通系から低圧側連通系へ作動液を流入させて差圧を解消することにより、両連通系に係わるガスばねのバネ反力が異なるのを防止するよう機能する。
特表2002−541014号公報 特表2002−541015号公報 特表2006−508853号公報
ところで上記の圧力補償ユニットは、オリフィスなどによる液流制限下であるとはいえ、両連通系間を相互に連通させることになるため、前記した旋回走行時において以下のようにアンチロール効果を阻害するという問題を生ずる。
つまり、旋回走行時のように前左右輪間および後左右輪間で逆相(逆の方向)のサスペンションストロークを生ずるロールモードにおいては、前輪および後輪の双方で、
旋回方向外輪のサスペンションユニットが収縮時高圧室を容積減少されると共に、この室に通じた旋回方向内輪におけるサスペンションユニットの伸長時高圧室も容積を減少される結果、これらに係わる連通系内が高圧にされると共に、
旋回方向外輪のサスペンションユニットが伸長時高圧室を容積増大されると共に、この室に通じた旋回方向内輪におけるサスペンションユニットの収縮時高圧室も容積を増大される結果、これらに係わる連通系内が低圧にされる。
このとき圧力補償ユニットは、オリフィスなどによる液流制限下ではあるが、高圧となった連通系から低圧になった連通系へ作動液を通流させ、高圧となった連通系の圧力を、オリフィスなど液流制限手段により決まる時定数で徐々に低下させる。
高圧となった連通系の圧力は、本来なら前記したごとくこの連通系に係わるガスばねのバネ反力を大きくして、車体が大きくロールするのを抑制する(アンチロール効果を発揮する)ところながら、
高圧となった連通系の上記圧力低下は、オリフィスなど液流制限手段により決まる時定数でアンチロール効果を徐々に弱め、時間の経過とともに車体が大きくロールするという問題を生ずる。
この現象を図9の実験結果に基づき以下に説明する。
図9は、0.5G旋回時におけるロール角Φと横加速度Gyとの時系列変化を示し、従来は上記のごとく圧力補償ユニットが、高圧となった連通系から低圧になった連通系へ作動液を通流させて高圧側連通系の圧力を、オリフィスなど液流制限手段により決まる時定数で徐々に低下させ、この時定数でアンチロール効果が徐々に弱められるため、ロール角Φが破線で示すように時間の経過とともに初期ロール角よりも、15秒後ロール角増大量として示すように大きくなるという問題を生ずる。
この問題は、上記の圧力補償ユニットを持たず、前後左右輪サスペンションユニット間を前記左右クロス配管および前後配管により前記のごとくに相関させたサスペンション装置や、圧力補償ユニットだけでなく前後配管も持たず、左右輪サスペンションユニット間を左右クロス配管により前記のごとくに相関させるも、前後サスペンションユニット間を全く相関させない型式のサスペンション装置においても同様に生ずる。
つまり、圧力補償ユニットだけでなく前後配管も持たず、左右輪サスペンションユニット間を左右クロス配管により前記のごとくに相関させただけのサスペンション装置について説明すると、
この場合においても、左右クロス配管内の容積変化を個々に吸収可能にするアキュムレータ等のガスばねが不可欠で、左右クロス配管にそれぞれアキュムレータ等のガスばねを、オリフィスなどによる液流制限下に接続する。
これがため、旋回走行時に高圧となる側の左右配管から、対応するガスばね内へオリフィスなどによる液流制限下に作動液が流入し、また、旋回走行時に低圧となる側の左右配管に対しては、対応するガスばねから低圧側左右配管へとオリフィスなどによる液流制限下に作動液が流入する。
この時、オリフィスなどによる液流制限が過渡的にサスペンションユニットのストロークに対し抵抗を付与し、高圧側左右配管に係わるガスばねのバネ反力が大きくなることとも相まって、過渡的にはサスペンションロール剛性が大きくなり、旋回走行時に車体が大きくロールするのを抑制する(アンチロール効果を発揮する)ことができる。
しかし、上記オリフィスなどによる液流制限の絞り効果は時間の経過とともに低下し、旋回走行時に高圧となった左右配管を徐々に圧力低下させると共に旋回走行時に低圧となった左右配管を徐々に圧力上昇させる。
これら左右配管の圧力低下および圧力上昇は、オリフィスなど液流制限手段により決まる時定数でアンチロール効果を徐々に弱め、図9につき前述したと同様の問題、つまり、時間の経過とともに車体が大きくロールする(ロール角Φが破線で示すように大きくなる)という問題を生ずる。
本発明は、上記の問題を生ずる旋回走行時に、圧力補償ユニットやガスばねに対する作動液の出入りを遮断するようにすれば、上記の問題を解消し得るとの観点から、この着想を具体化した車両用サスペンション装置を提案することを目的とする。
この目的のため、本発明による車両用サスペンション装置は、請求項1に記載のごとくに構成する。
先ず前提となる車両用サスペンション装置を説明するに、これは、
各車輪を、個々のピストン・シリンダ型液圧式サスペンションユニットにより懸架し、
左右輪間でそれぞれ、該サスペンションユニットの収縮ストローク時に容積減少する収縮時高圧室と、伸長ストローク時に容積減少する伸長時高圧室とを相互に接続する左右配管を設け、
これら左右配管にそれぞれ、該左右配管内の容積変化を個々に吸収可能にするガスばねを、液流制限下に接続して設けたものである。
本発明は、かかる車両用サスペンション装置において、
前記左右配管と前記ガスばねとの間の連通を車両の旋回走行時に遮断する遮断弁を設けたことを特徴とするものである。
かかる本発明の車両用サスペンション装置によれば、車両の旋回走行時に遮断弁が、左右配管とガスばねとの間の連通を遮断するため、
旋回走行時に高圧となった左右配管とこれに係わるガスばねとの間における作動液の往来、および/または、旋回走行時に低圧となった左右配管とこれに係わるガスばねとの間における作動液の往来が行われなくなり、
両左右配管と対応するガスばねとの間での液流を制限する手段の絞り効果に関係なく、アンチロール効果を発生させることができる。
従って、旋回走行中に時間の経過につれ液流制限手段の絞り効果が低下してアンチロール剛性を高く保つことができなくなり、旋回走行中に時間の経過とともに車体のロールが大きくなるという前記の問題を解消することができる。
以下、本発明の実施例を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の前記着想を適用した車両用サスペンション装置の一例構成を示し、
1は、前または後の左輪(図示せず)を上下方向ストローク可能に懸架する左輪用サスペンションユニット、
2は、前または後の右輪(図示せず)を上下方向ストローク可能に懸架する右輪用サスペンションユニットである。
これらサスペンションユニット1,2はそれぞれ、ピストン・シリンダ型液圧式サスペンションユニットとし、
ピストン1p,2pを車体側に取り付け、シリンダ1c,2cを車輪側に取り付け、これらピストンおよびシリンダ間にサスペンションスプリング1a,2aを縮設して、対応する車輪を個々に上下方向ストローク可能に弾支して懸架する。
サスペンションユニット1,2はそれぞれ、対応車輪のバウンドに伴う収縮ストローク時に容積減少して高圧となる収縮時高圧室1S,2Sと、対応車輪のリバウンドに伴う伸長ストローク時に容積減少して高圧となる伸長時高圧室1L,2Lとを具える。
左右輪サスペンションユニット1,2間は、以下のようなクロス配管により相互に接続する。
左輪サスペンションユニット1の収縮時高圧室1Sと、右輪サスペンションユニット2の伸長時高圧室2Lとを、左右配管3により両端オリフィス3L,3Rを介して相互に接続し、
左輪サスペンションユニット1の伸長時高圧室1Lと、右輪サスペンションユニット2の収縮時高圧室2Sとを、左右配管4により両端オリフィス4L,4Rを介して相互に接続する。
そして、左右クロス配管3,4にそれぞれ、これら左右クロス配管3,4内の容積変化を個々に吸収可能にするアキュムレータなどのガスばね5,6を接続する。
これらの接続に当たっては、左右配管3とガスばね5との接続をオリフィスなどの液流制限手段7を介して行い、また、左右配管4とガスばね6との接続をオリフィスなどの液流制限手段8を介して行い、
これらオリフィスなどの液流制限手段7,8により、ガスばね5,6に対する作動液の出入り(液流の往来速度)に制限を付与する液流制限下に行わせることで、振動減衰機能を持たせる。
ガスばね5,6はそれぞれ、液室5a,6aと、高圧ガスを封入したガス室5b,6b と、これら2室間を区画するフリーピストン5c,6cとより成り、液室5a,6a にオリフィス(液流制限手段)7,8を介して左右配管3,4に接続する。
図1に示す上記したサスペンション装置の作用は以下のとおりである。
先ず、左右輪間で同相(同じ方向)のバウンド・リバウンド(サスペンションストローク)が発生する左右同相モードにおける作用を説明する。
この左右同相モードでは、先ず左右2輪のバウンドによりサスペンションユニット1,2が収縮ストロークを行う場合につき説明すると、
サスペンションユニット1の収縮時高圧室1Sに係わる容積減少量が、サスペンションユニット2の伸長時高圧室2Lに係わる容積増大量と同じであると共に、サスペンションユニット2の収縮時高圧室2Sに係わる容積減少量が、サスペンションユニット1の伸長時高圧室1Lに係わる容積増大量と同じである。
このため、左右輪サスペンションユニット1,2の相互に通じた収縮時高圧室1S(2S)および伸長時高圧室2L(1L)間で作動液の流出入量がバランスする。
従って、左右配管3に接続したガスばね5に対する作動液の出入りが理論上ないと共に、左右配管4に接続したガスばね6に対する作動液の出入りも理論上ないため、サスペンション剛性が柔らかくて良好な乗り心地を確保することができる。
左右同相モードとしては、上記のほかに、左右2輪のリバウンドによりサスペンションユニット1,2が伸長ストロークを行う場合が存在するが、
この場合の左右同相モードにおいても、上記したと同じ原理により、つまり、左右輪サスペンションユニット1,2の相互に通じた収縮時高圧室1S(2S)および伸長時高圧室2L(1L)間で作動液の流出入量がバランスするため、
左右配管3,4に接続したガスばね5,6に対する液の出入りが理論上ないため、サスペンション剛性が柔らかくて良好な乗り心地を確保することができる。
次に、旋回走行時のように左右輪間で逆相(逆方向)のサスペンションストロークを生ずるロールモードでの作用を説明する。
このロールモードとしては、右輪が旋回方向外輪となってサスペンションユニット2を収縮させると共に、左輪が旋回方向内輪となってサスペンションユニット1を伸長させる左旋回走行時のロールモードと、
逆に、右輪が旋回方向内輪となってサスペンションユニット2を伸長させると共に、左輪が旋回方向外輪となってサスペンションユニット1を収縮させる右旋回走行時のロールモードとが存在する。
左旋回走行時のロールモードにおいては、旋回方向外輪のサスペンションユニット2が収縮時高圧室2Sを容積減少されると共に、この室2Sに通じた旋回方向内輪におけるサスペンションユニット1の伸長時高圧室1Lも容積を減少され、
一方で、旋回方向外輪のサスペンションユニット2が伸長時高圧室2Lを容積増大されると共に、この室2Lに通じた旋回方向内輪におけるサスペンションユニット1の収縮時高圧室1Sも容積を増大される。
従って、左右配管4に接続したガスばね6に対し、上記室2S,1Lの容積増大分の作動液が矢印で示すごとくに流入して旋回方向外輪に係わるガスばね6のバネ反力が大きくなると共に、左右配管3に接続したガスばね5から上記室2L,1Sの容積減少分の作動液が矢印で示すごとくに流出して旋回方向内輪に係わるガスばね5のバネ反力が低下する。
一方で、上記矢印で示す液流はオリフィス(液流制限手段)8,7を介して行われ、これらオリフィス(液流制限手段)8,7による絞り効果は、上記のごとく旋回方向外輪に係わるガスばね6のバネ反力が大きくなると共に旋回方向内輪に係わるガスばね5のバネ反力が低下することとも相まって、サスペンションロール剛性を高めることとなり、車体が大きくロールするのを抑制する(アンチロール効果を発揮する)ことができる。
右旋回走行時のロールモードにおいても、左旋回時における上記したと同様な原理により、矢印とは逆方向の液流によるガスばね6,5への作動液の往来が発生して、オリフィス(液流制限手段)8,7による絞り効果が、旋回方向外輪に係わるガスばね5のバネ反力増大および旋回方向内輪に係わるガスばね6のバネ反力低下と相まって、サスペンションロール剛性を高め、車体が大きくロールするのを抑制する(アンチロール効果を発揮する)ことができる。
ところで上記ロールモードにおいては、オリフィス(液流制限手段)8,7による絞り効果が、旋回走行中における時間の経過とともに低下し、オリフィス(液流制限手段)8,7による絞り効果により高められていたサスペンションロール剛性(アンチロール効果)も旋回走行中における時間の経過につれ低下し、旋回走行中に車体のロールが徐々に大きくなるという問題を生ずる。
この問題を解決するため本実施例においては、オリフィス(液流制限手段)7,8を内蔵した遮断弁21を、ガスばね5,6(詳しくは、液室5a,6a)と左右配管3,4との接続部にそれぞれ設ける。
遮断弁21は図2に示すごときものとし、同図(a)は、遮断弁21の定常(開弁)状態を、また、同図(b)は、遮断弁21の作動(閉弁)状態を示す。
この遮断弁21は、旋回走行時の液流(左旋回時の液流を矢印で示す)に起因してオリフィス(液流制限手段)7,8の前後に発生する差圧に応動し、図2(a)の定常(開弁)状態から図2(b)の作動(閉弁)状態(または逆方向閉弁状態)へと状態変化するものとし、以下の構成となす。
22は弁ハウジングを示し、この弁ハウジングを筒型として、その軸線方向中程に、図1のオリフィス7(8)と同等なオリフィス(同符号で示す)を設定し、軸線方向両端にそれぞれ、ガスばね液室5a(6a)と通じる液室側ポート22a、および、左右配管3(4)と通じる左右配管側ポート22bを形成する。
液室側ポート22aとオリフィス7(8)との間に弁体23を配置し、左右配管側ポート22bとオリフィス7(8)との間に弁体24を配置し、
これら弁体23,24はそれぞれ、オリフィス7(8)に着座してこれを閉じる同仕様のものとする。
そしてこれら弁体23,24は、オリフィス7(8)を貫通した共通な弁ステム25により一体化し、
該弁ステム25の長さは、一方の弁体23(24)がオリフィス7(8)に着座して閉弁するとき他方の弁体24(23)がオリフィス7(8)から離れた開弁位置となるよう、両弁体23,24間の間隔に保つ長さにする。
弁体23,24には更に、これらが接近する方向に附勢されるようバネなどの弾性手段26,27を作用させ、これにより弁体23,24を、共にオリフィス7(8)から離れて開弁した図2(a)の中立位置に弾支する。
上記の構成になる複動弁型式の遮断弁21は、ポート22aをガスばね5(6)の液室5a(6a)と通じるよう接続し、ポート22bを左右配管3(4) と通じるよう接続することにより、オリフィス7(8)と置き換えるように配置して用い、以下のように機能する。
左右配管3,4とガスばね5,6との間に液流を生じない旋回走行時以外は、オリフィス7,8の前後に差圧を生じないため弁体23,24はバネなどの弾性手段26,27により図2(a)の中立位置に弾支され、オリフィス7(8)から離れて開弁しているため、図1のサスペンション装置は遮断弁21の存在に関係なく、前記したとおりに機能する。
ところで、旋回走行により前記したごとく左右配管3,4とガスばね5,6との間に液流を生じると、オリフィス7,8の絞り効果によりオリフィス7,8の前後に差圧が発生する。
図1に矢印で示す液流が発生する左旋回時は、オリフィス8を内蔵した遮断弁21およびオリフィス7を内蔵した遮断弁21がそれぞれ、オリフィス8,7の前後差圧に応動して以下のように機能する。
オリフィス8を内蔵した遮断弁21は、左右配管4に近いオリフィス8の側における圧力P2が、ガスばね液室6aに近いオリフィス8の側における圧力P1よりも高くなるため、これら両者間におけるオリフィス8の前後差圧により以下の原理によって、図2(a)の定常(開弁)状態から同図(b)の作動(閉弁)状態にされる。
弁体23,24の大きい方の受圧面積をA、これから弁ステム25の受圧面積を差し引いた弁体23,24の小さい方の受圧面積をa、弁体23,24に個々に作用するストローク力をそれぞれF1,F2、弁体23,24に作用する閉弁力をFtotal、弁体23,24のストローク量をX、弾性手段26,27の弾性係数をKとすると、以下の関係式が成立する。
弁体23,24に個々に作用するストローク力F1,F2はそれぞれ、
F1=P1(A−a)+K・X
F2=P2(A−a)=K・X
で表され、従って、弁体23,24に作用する閉弁力Ftotalは
Ftotal=F2−F1
=(P2−P1)(A−a)−2K・X
となる。
ここで、弁体23,24に作用する閉弁力Ftotalが0となる弁体23,24のストローク量Xは、上式においてFtotal=0を代入することにより、
X={(A−a)/2K}・(P2−P1)
のように求めることができ、閉弁力Ftotalが0となる弁体23,24のストローク量Xは差圧(P2−P1)の関数として、図3のように表される。
なお図3において、Psは、弁体24が閉じた時の差圧(P2−P1)を、また、Xsは、弁体24が閉じた時の弁体ストローク量Xを示し、
これらPs、Xsは、旋回走行時に発生するような大きな値とし、温度変化などに起因して発生する差圧(P2−P1)および弁体ストローク量Xよりも大きな値とする。
ところで、差圧(P2−P1)が(P2−P1)>Ps(弁体ストローク量XがX=Xs)となる領域においては、図2(b)に示すように弁体24が弁体23をオリフィス8から遠ざけつつオリフィス8に着座する閉弁位置となる。
この時における閉弁力Ftotalは、弁体ストローク量XがX=Xsに保たれるため、
Ftotal=(P2−P1)(A−a)−2K・Xs
となり、差圧(P2−P1)の上昇に比例して図3のごとくに大きくなる。
一方で、オリフィス7を内蔵した遮断弁21は、図1に矢印で示す液流によりガスばね液室5aに近いオリフィス7の側における圧力P1が、左右配管3に近いオリフィス7の側における圧力P2よりも高くなるため、これら両者間におけるオリフィス7の前後差圧により上記したと同様な原理によって、図2(a)の定常(開弁)状態から弁体23,24および弁ステム25を図の上方へストロークされ、ついには弁体23がオリフィス7に着座して同図(b)の作動(閉弁)状態とは逆方向の作動(閉弁)状態にされる。
上記したオリフィス8を内蔵する遮断弁21およびオリフィス7を内蔵する遮断弁21の作用により、これら遮断弁21はそれぞれ旋回走行時に、左右配管4およびガスばね6間の連通および左右配管3およびガスばね5間の連通を遮断し、以下の作用効果を達成することができる
つまり遮断弁21を設けない場合、旋回走行中におけるオリフィス8,7の絞り効果が時間の経過とともに低下し、オリフィス8,7の絞り効果により高められていたサスペンションロール剛性(アンチロール効果)も旋回走行中における時間の経過につれ低下し、旋回走行中に車体のロール角Φが図9に破線で示すごとく徐々に大きくなるという問題を生ずるが、
本実施例のように、オリフィス8を内蔵した遮断弁21およびオリフィス7を内蔵した遮断弁21を設ける場合、これら遮断弁21が旋回走行中は閉じて左右配管4およびガスばね6間の連通および左右配管3およびガスばね5間の連通を遮断することから、
サスペンションロール剛性(アンチロール効果)が旋回走行中における時間の経過につれ低下することがなくなり、旋回走行中に車体のロール角Φを図9に実線で示すごとく初期ロール角近辺の値に保つことができ、旋回走行中に車体のロール角Φが図9に破線で示すごとく徐々に大きくなるという問題を解消することができる。
なお上記の作用効果は、図1に矢印で示す液流を発生する左旋回時についてのものであるが、矢印で示すとは逆向きの液流を発生する右旋回時においても、オリフィス8を内蔵した遮断弁21およびオリフィス7を内蔵した遮断弁21の弁体動作方向が逆向きになるだけで、これら遮断弁21が旋回走行時に閉動作して左旋回時と同様の作用効果を達成することができる。
ところで本実施例のように遮断弁21を、旋回走行時にガスばね5,6に対し出入りする液流によりオリフィス7,8の前後に発生した差圧に応動して閉じる複動弁で構成する場合、
当該差圧応動式の遮断弁21を、左右配管3,4とガスばね5,6(詳しくは液室5a,6a)との接続部におけるオリフィス7,8の少なくとも一方の代わりに設けるだけでよく、コスト的に大いに有利である。
また図1では、オリフィス7を内蔵した遮断弁21およびオリフィス8を内蔵した遮断弁21を1組として設けたが、いずれか一方の遮断弁を設けるだけでも、程度の差はあれ同様の作用効果を奏し得ることは言うまでもない。
図4は、上記実施例と同様の作用効果を発揮するよう構成した、図1,2の遮断弁21に代わる遮断弁31を示し、この遮断弁31は、図4(a)に実線で示すごとくオリフィス7,8よりも左右配管3,4に近い側における管路中に挿置して用いたり、図4(a)に破線で示すごとくオリフィス7,8よりもガスばね5,6の液室5a,6aに近い側における管路中に逆向きに挿置して用いたり、図4(a)に実線で示す配置と、破線で示す配置とを少なくとも一対1組として任意に組み合わせたり、或いは、4個セットで用いる。
図4(b),(c)は、図4(a)に実線で示すごとくオリフィス7,8よりも左右配管3,4に近い側における管路中に挿置して用いる遮断弁31の具体的な構造を示し、
図4(b)は、遮断弁31の定常(開弁)状態を、また、同図(c)は、遮断弁31の作動(閉弁)状態を示す。
この遮断弁31は、旋回走行時に前記したごとくガスばね5,6に対し出入りする液流によりオリフィス7,8の上流側に発生した高圧に応動して閉じる単動弁とし、以下の構成となす。
32は弁ハウジングを示し、この弁ハウジングを筒型として、その軸線方向両端にそれぞれ、オリフィス7(8)を経てガスばね液室5a(6a)と通じる液室側ポート32a、および、左右配管3(4)と通じる左右配管側ポート22bを形成し、軸線方向中程に弁座32cを設定する。
左右配管側ポート32bと弁座32cとの間に弁体33を配置し、該弁体33の弁ステム33aを弁座32cに遊嵌すると共に、その先端を弁ハウジング32に軸線方向摺動自在に嵌合して、弁体33を図4(b)の開弁位置と図4(c)の閉弁位置との間でストローク可能にガイドする。
そして弁ステム32aには、弁体33を図4(b)の開弁位置に弾支するバネなどの弾性手段34を作用させ、これにより常態で遮断弁31を、弁体33が図4(b)のごとく弁座32cから離れた開弁状態に保つものとする。
上記の構成になる単動弁型式の遮断弁31は、図4(a)に実線で示すごとく、オリフィス7,8と左右配管3,4との間における管路中にそれぞれ挿置し、これら一対1組の遮断弁31は、ポート32aをガスばね5,6の液室5a,6a(オリフィス7,8)と通じるよう接続し、ポート32bを左右配管3,4 と通じるよう接続して実用する。
単動弁型式の遮断弁31を上記のごとくに用いた本実施例のサスペンション装置の作用を以下に説明する。
左右配管3,4とガスばね5,6との間に液流を生じない旋回走行時以外は、オリフィス7,8よりも左右配管3,4に近い管路内の圧力が上昇することがないため、弁体33はバネなどの弾性手段34により図4(b)の開弁位置に弾支され、サスペンション装置は遮断弁31の存在に関係なく、図1につき前述したとおりに機能する。
ところで、旋回走行中は前記したごとくガスばね5,6に対し出入りする液流によりオリフィス7,8の上流側に高圧が発生し、下流側が低圧になるが、図4(a)にP2で示す圧力、つまりオリフィス7(8)よりも左右配管3(4)に近い管路内の圧力が高くなり、オリフィス7(8)よりもガスばね液室5a(6a)に近い管路内の圧力が低くなった場合につき遮断弁31の作用を説明すると、遮断弁31は以下のように機能する。
弁体33の大きい方の受圧面積をA、これから弁ステム33aの受圧面積を差し引いた弁体33の小さい方の受圧面積をa、弁体33に作用する閉弁力をFtotal、弁体33のストローク量をX、弾性手段34の弾性係数をKとすると、以下の関係式が成立する。
P1=0となる停車状態での弁体33の位置と、P1=P2>0となる直進時の弁体33の位置との間における弁体33の初期ストローク量をXiとすると、弁体33に作用する閉弁力Ftotalは、
Ftotal=P2・A−P1(A−a)−K(X+Xi)
となる。
ここで、圧力P2が弁体33を全閉するときの圧力をPsとし、その時における弁体33のストローク量をXsとすると、圧力P2が0からPsへと上昇する間(X≦Xs)においては、P1=P2であり、これら圧力P1,P2をPとすると、弁体33に作用する閉弁力Ftotalは、
Ftotal=P・a−K(X+Xi)
となり、この閉弁力Ftotalが0となる弁体33のストローク量Xは、上式においてFtotal=0を代入することにより、
X=P・a/K−Pi・a/K
但し、Pi:直進時中立圧
のように求めることができ、閉弁力Ftotalが0となる弁体33のストローク量Xは圧力P2の関数として、図5のように表される。
なお図5において、Psは、弁体33が閉じた時の圧力P2の値を、また、Xsは、弁体33が閉じた時の弁体ストローク量Xの値を示し、
これらPs、Xsは、旋回走行時に発生するような大きな値とし、温度変化などに起因して発生する圧力P2および弁体ストローク量Xよりも大きな値とする。
ところで、圧力P2がP2>Ps(弁体ストローク量XがX=Xs)となる領域においては、図4(c)に示すように弁体33が弁座32cに着座する閉弁位置となる。
この時における閉弁力Ftotalは、弁体ストローク量XがX=Xsに保たれるため、
Ftotal=P2・A−P1(A−a)−K(Xs+Xi)
となり、圧力P2の上昇に比例して図5のごとくに大きくなる。
以上の構成になる圧力応動式遮断弁31を、図4(a)に実線で示すように、オリフィス7,8よりも左右配管3,4に近い管路中に挿置し、一対1組として用いた本実施例のサスペンション装置によれば、
旋回走行時に圧力P2が図5の全閉圧力Ps以上になるとき、対応する遮断弁31がこの圧力P2≧Psに応動して閉じることで、ガスばね5(または6)と左右配管3(または4)との間を遮断し、以下の作用効果を達成することができる。
つまり遮断弁31を設けない場合、旋回走行中におけるオリフィス7,8の絞り効果が時間の経過とともに低下し、オリフィス7,8の絞り効果により高められていたサスペンションロール剛性(アンチロール効果)も旋回走行中における時間の経過につれ低下し、旋回走行中に車体のロール角Φが図9に破線で示すごとく徐々に大きくなるという問題を生ずるが、
本実施例のように、オリフィス7,8よりも左右配管3,4に近い管路中に遮断弁31を挿置して設ける場合、これら遮断弁31の一方(旋回方向に応じて決まる)が旋回走行中は閉じて左右配管3(4)およびガスばね5(6)間の連通を遮断することから、サスペンションロール剛性(アンチロール効果)が旋回走行中における時間の経過につれ低下することがなくなり、旋回走行中に車体のロール角Φを図9に実線で示すごとく初期ロール角に保つことができ、車体のロール角Φが図9に破線で示すごとく徐々に大きくなるという問題を解消することができる。
なお上記は、遮断弁31を図4(a)に実線で示すごとくオリフィス7,8よりも左右配管3,4に近い側における管路中に挿置した場合の実施例であるが、遮断弁31を図4(a)に破線で示すごとくオリフィス7,8よりもガスばね5,6の液室5a,6aに近い側における管路中に挿置した場合や、図4(a)に実線で示す配置と、破線で示す配置とを少なくとも一対1組として任意に組み合わせたり、或いは、4個セットで用いる場合においても、上記したと同様な作用効果を達成することができるのは言うまでもない。
ところで本実施例のように、遮断弁31を旋回走行時に高圧となった左右配管3,4の圧力P2に応動して閉じる単動弁で構成する場合、
図2のような差圧応動式遮断弁21に比べて構造が簡単であり、遮断弁31単体のコストを低減することができる。
図6は、図4の遮断弁31と同様の配置により少なくとも一対1組として用いる遮断弁41を示し、図6は、図4(a)に実線で示す遮断弁31と同様に配置して用いる遮断弁41の具体的な構造を示す。
この遮断弁41は、旋回走行時に前記したごとくガスばね5,6に対し出入りする液流に応動して閉じる弁、例えば、この液流に起因してオリフィス7(8)内に生じた負圧に応動して閉じる吸引弁とし、以下の構成となす。
42は弁ハウジングを示し、この弁ハウジング42を筒型として、その軸線方向中程に、図1におけるオリフィス7(8)と置き換えるべきオリフィス(同符号で示す)を設定し、軸線方向両端にそれぞれ、ガスばね液室5a(6a)と通じる液室側ポート42a、および、左右配管3(4)と通じる左右配管側ポート42bを形成し、オリフィス7(8)と左右配管側ポート42bとの間に円錐弁座42Cを形成する。
左右配管側ポート42bとオリフィス7(8)との間における円錐弁座42cと正対するよう円錐弁体43を配置し、該弁体43の弁ステム43aには、弁体43を実線で示す開弁位置に弾支するバネなどの弾性手段44を作用させ、これにより常態で遮断弁41を、弁体43が実線のごとく円錐弁座42cから離れた開弁状態に保つものとする。
上記の構成になる吸引弁型式の遮断弁41は、ポート42aをガスばね5(6)の液室5a(6a)と通じるよう接続し、また、ポート42bを左右配管3(4) と通じるよう接続することにより、オリフィス7(8)と置き換えるように配置して用い、以下のように機能する。
吸引弁型式の遮断弁41を上記のごとくに用いた本実施例のサスペンション装置の作用を以下に説明する。
オリフィス7,8を経たガスばね5,6に対する作動液の出入りが発生しない旋回走行時以外は、両遮断弁41の弁体43はバネなどの弾性手段44により実線の開弁位置にされているため、サスペンション装置は遮断弁31の存在に関係なく、図1につき前述したとおりに機能する。
ところで、旋回走行により前記したごとくガスばね5,6に対する作動液の出入りが発生すると、つまり、旋回走行により前記したごとく内圧が高くなった左右配管3,4の一方(旋回方向により決まる)から対応するガスばね液室5a(6a)への液流が発生すると、
この液流は図6において、作動液がポート42bから流入し、オリフィス7(8)を通過後ポート42aより流出する液流となる。
この液流は、オリフィス7(8)を通過するとき、オリフィス7(8)の流路断面積がその前後における流路断面積よりも小さいことから流速を増大され、オリフィス7(8)内を負圧状態にする。
オリフィス7(8)内における負圧は円錐弁体43をして、実線で示す開弁位置から二点鎖線で示す閉弁位置へと吸引し、遮断弁41を閉弁状態にする。
以上の構成になる吸引弁式遮断弁41を、図4(a)に実線で示す遮断弁31と同様に配置して(但し、オリフィス7,8と置換して)用いる本実施例のサスペンション装置によれば、
旋回走行により高圧となった左右配管3,4の一方(旋回方向により決まる)から対応するガスばね液室5a(6a)へ作動液が流入しようとする時、オリフィス7(8)内に上記の原理により発生した負圧が、弾性手段44のバネ力で決まる開弁力に打ち勝って弁体43を二点鎖線で示す閉弁位置となし、遮断弁41を閉じるため、以下の作用効果を達成することができる
つまり遮断弁41を設けない場合、旋回走行中におけるオリフィス7,8の絞り効果が時間の経過とともに低下し、オリフィス7,8の絞り効果により高められていたサスペンションロール剛性(アンチロール効果)も旋回走行中における時間の経過につれ低下し、旋回走行中に車体のロール角Φが図9に破線で示すごとく徐々に大きくなるという問題を生ずるが、
本実施例のような遮断弁41を用いる場合、これら遮断弁41の一方(旋回方向に応じて決まる)が旋回走行中は閉じて左右配管3(4)およびガスばね5(6)間の連通を遮断することから、サスペンションロール剛性(アンチロール効果)が旋回走行中における時間の経過につれ低下することがなくなり、旋回走行中に車体のロール角Φを図9に実線で示すごとく初期ロール角に保つことができ、車体のロール角Φが図9に破線で示すごとく徐々に大きくなるという問題を解消することができる。
ところで本実施例のように、遮断弁41を旋回走行時に高圧となった左右配管3または4から対応するガスばね液室5a,6aへの液流に応動して閉じる吸引弁で構成する場合、
図2のような差圧応動式遮断弁21に比べて構造が簡単であり、遮断弁41単体のコストを低減することができる。
なお図示しなかったが、上記各実施例に代え、左右配管3,4とガスばね5,6との接続部に設けたオリフィス7,8のうち、少なくとも一方のオリフィスに対し電磁弁を直列配置して設け、該電磁弁を図7または図8に示す制御プログラムにより遮断制御するようにしてもよい。
図7の制御プログラムにおいては、ステップS11で車両の横加速度実測値Grが旋回走行判定用の設定値Gs以上(Gr≧Gs)か否かを判定し、
Gr<Gsであれば、旋回走行でないと判定して制御をステップS12に進め、ここで、上記の電磁弁を開き、
Gr≧Gsであれば、旋回走行であると判定して制御をステップS13に進め、ここで、上記の電磁弁を閉じる。
従って、旋回走行時は電磁弁が閉じて、左右配管3(4)とガスばね5(6)との間を遮断することとなり、
サスペンションロール剛性(アンチロール効果)が旋回走行中における時間の経過につれ低下することがなくなり、旋回走行中に車体のロール角Φを図9に実線で示すごとく初期ロール角に保つことができ、車体のロール角Φが図9に破線で示すごとく徐々に大きくなるという問題を解消することができる。
ところで本実施例のように、遮断弁として電磁弁を用い、これを旋回走行時に遮断するよう電子制御する場合、制御の自由度が増して一層高度できめ細かな制御を実現することができる。
図8の制御プログラムにおいては、ステップS21で車速VSPおよびステアリングホイールの操舵角θを読み込み、
ステップS22で、これら車速VSPおよび操舵角θから車両の横加速度を推定し、この横加速度推定値Ggが旋回走行判定用の設定値Gs以上(Gg≧Gs)か否かを判定し、
Gg≧Gsであれば、旋回走行であると判定して制御をステップS23に進め、ここで、上記の電磁弁を閉じる。
ステップS22で横加速度推定値Ggが旋回走行判定用の設定値Gs以上(Gg≧Gs)でないと判定する場合、今度はステップS24において、横加速度実測値Grが旋回走行判定用の設定値Gs以上(Gr≧Gs)か否かを判定し、
Gr≧Gsであれば、旋回走行であると判定して制御をステップS23に進め、ここで、上記の電磁弁を閉じる。
ステップS22で横加速度推定値Ggが旋回走行判定用の設定値Gs以上(Gg≧Gs)でないと判定し、且つ、ステップS24で横加速度実測値Grも旋回走行判定用の設定値Gs以上(Gr≧Gs)でないと判定する場合は、旋回走行でないと判断して制御をステップS25に進め、ここで、上記の電磁弁を開く。
従って、旋回走行時は電磁弁が閉じて、左右配管3(4)とガスばね5(6)との間を遮断することとなり、
サスペンションロール剛性(アンチロール効果)が旋回走行中における時間の経過につれ低下することがなくなり、旋回走行中に車体のロール角Φを図9に実線で示すごとく初期ロール角に保つことができ、車体のロール角Φが図9に破線で示すごとく徐々に大きくなるという問題を解消することができる。
ところで本実施例のように、ステップS22で横加速度推定値Ggが旋回走行判定用の設定値Gs以上(Gg≧Gs)でないと判定し、且つ、ステップS24で横加速度実測値Grも旋回走行判定用の設定値Gs以上(Gr≧Gs)でないと判定する場合に、旋回走行でないと判断してステップS25での電磁弁開操作を行う場合、
センサ系の異常などで旋回走行の誤判定が行われるのを回避することができ、旋回走行でもないのに、この誤判定で無用に圧力補償ユニット13と両連通系との間の遮断が行われる弊害を回避することができる。
なお上記では旋回走行の判定に際し、横加速度実測値Grや横加速度推定値Ggをモニタすることとしたが、旋回走行によって発生するヨーレートなどその他の車両運動状態量が設定値以上になる時をもって旋回走行と判定することもできる。
また上記実施例では何れも、図1に示すように左右サスペンションユニット1,2をクロス配管3,4により相関させただけで、前後サスペンションユニット間では油圧的な相関を持たせない型式のサスペンション装置について説明した。
しかし、本発明が解決しようとする課題は、
前左右サスペンションユニットをクロス配管により相関させると共に、後左右サスペンションユニットを同様なクロス配管により相関させ、
左右同じ側の前後輪間で、収縮時高圧室同士が相互に、また、伸長時高圧室同士が相互に連通するよう、前輪に係わる左右配管と後輪に係わる左右配管とを相互に接続する前後配管を設け、
上記左右配管および前後配管のうち、相互に連通した左右配管および前後配管よりなる連通系にそれぞれ、これら連通系内の容積変化を個々に吸収可能にするガスばねを、オリフィスなどによる液流制限下に接続して設け、
上記両連通系の定常的な圧力変動を吸収すると共にこれら連通系間の差圧をなくすよう、オリフィスなどによる液流制限下でこれら両連通系に接続して圧力補償ユニットを設けた型式のサスペンション装置においても、前記した理由から同様に生ずる。
つまり、上記の圧力補償ユニットは、オリフィスなどによる液流制限下であるとはいえ、両連通系間を相互に連通させることになるため、旋回走行時においてアンチロール効果を阻害することになる。
つまり、旋回走行時は前輪および後輪の双方で、
旋回方向外輪のサスペンションユニットが収縮時高圧室を容積減少されると共に、この室に通じた旋回方向内輪におけるサスペンションユニットの伸長時高圧室も容積を減少される結果、これらに係わる連通系内が高圧にされると共に、
旋回方向外輪のサスペンションユニットが伸長時高圧室を容積増大されると共に、この室に通じた旋回方向内輪におけるサスペンションユニットの収縮時高圧室も容積を増大される結果、これらに係わる連通系内が低圧にされる。
このとき圧力補償ユニットは、オリフィスなどによる液流制限下ではあるが、高圧となった連通系から低圧になった連通系へ作動液を通流させ、高圧となった連通系の圧力を、オリフィスなど液流制限手段により決まる時定数で徐々に低下させる。
高圧となった連通系の圧力は、本来なら前記したごとく対応するオリフィスの絞り効果により、また、対応するガスばねのバネ反力増大と相まって、車体が大きくロールするのを抑制する(アンチロール効果を発揮する)ところながら、
高圧となった連通系の上記圧力低下は、オリフィスなど液流制限手段により決まる時定数でアンチロール効果を徐々に弱め、時間の経過とともに車体ロール角Φが図9に破線で示すごとく大きくなるという問題を生ずる。
この問題を解決するためには、図2、図4(b),(c)、図6に示す遮断弁21,31,41や、図7,8により開閉制御される電磁弁(図示せず)を、上記の両連通系とこれらを相互に通じさせる共通な圧力補償ユニットとの接続部に設けたオリフィスなどの液流制限手段との関連において、前記各実施例と同様の考え方により挿置することにより、上記の問題解決を実現することができる。
本発明の一実施例になるサスペンション装置の配管システムを示す概略系統図である。 図1に示したサスペンション装置における遮断弁を示し、 (a)は、該遮断弁を開弁状態で示す概略断面図、 (b)は、該遮断弁を閉弁状態で示す概略断面図である。 図2における遮断弁の動作特性図である。 本発明の他の実施例になるサスペンション装置を示し、 (a)は、同サスペンション装置の配管システムを、その要部について示す説明図、 (b)は、同サスペンション装置における遮断弁を開弁状態で示す概略断面図、 (c)は、該遮断弁を閉弁状態で示す概略断面図である。 図4における遮断弁の動作特性図である。 図1,2および図4に示した遮断弁に代えサスペンション装置に用いることで本発明の着想を実現可能な遮断弁の他の構成例を示す概略断面図である。 サスペンション装置に用いる遮断弁を電磁弁で構成した場合における、該電磁弁の開閉制御プログラムを示すフローチャートである。 該電磁弁の開閉制御プログラムの他の例を示すフローチャートである。 サスペンション装置に本発明の着想を実現可能な遮断弁や電磁弁を用いた場合と、用いなかった場合とで比較して、旋回走行時における車両ロール角および横加速度の経時変化を示すタイムチャートである。
符号の説明
1 左輪サスペンションユニット
2 右輪サスペンションユニット
3 左右配管
4 左右配管
5 ガスばね
6 ガスばね
7 オリフィス(液流制限手段)
8 オリフィス(液流制限手段)
21 差圧応動式遮断弁
23,24 弁体
25 弁ステム
26 弾性手段
31 圧力応動式遮断弁
33 弁体
34 弾性手段
41 吸引弁式遮断弁
43 弁体
44 弾性手段

Claims (12)

  1. 各車輪を、個々のピストン・シリンダ型液圧式サスペンションユニットにより懸架し、
    左右輪間でそれぞれ、該サスペンションユニットの収縮ストローク時に容積減少する収縮時高圧室と、伸長ストローク時に容積減少する伸長時高圧室とを相互に接続する左右配管を設け、
    これら左右配管にそれぞれ、該左右配管内の容積変化を個々に吸収可能にするガスばねを、液流制限下に接続して設けた車両用サスペンション装置において、
    前記左右配管と前記ガスばねとの間の連通を車両の旋回走行時に遮断する遮断弁を設けたことを特徴とする車両用サスペンション装置。
  2. 請求項1に記載の車両用サスペンション装置において、
    前記遮断弁は、前記液流制限のために設けた液流制限手段の前後において前記旋回走行時に発生する差圧に応動して閉じる差圧応動式復動弁であることを特徴とする車両用サスペンション装置。
  3. 請求項2に記載の車両用サスペンション装置において、
    前記差圧応動式の遮断弁は、前記液流制限手段の液流方向両側に配置した一対の弁体と、
    これら弁体の相対間隔を、一方の弁体が液流制限手段に着座して閉弁するとき他方の弁体が液流制限手段から離れた開弁位置となる間隔に保つよう、前記液流制限手段に貫通させて設けた弁ステムと、
    前記一対の弁体を、これら弁体がともに液流制限手段から離れて開弁するような中立位置に弾支する弾性手段とより成る復動弁であることを特徴とする車両用サスペンション装置。
  4. 請求項3に記載の車両用サスペンション装置において、
    前記弁ステムが、前記一対の弁体に一体化され、これら弁体に共通な弁ステムであることを特徴とする車両用サスペンション装置。
  5. 請求項1に記載の車両用サスペンション装置において、
    前記遮断弁は、前記左右配管のうち、前記旋回走行時に高圧となる左右配管の圧力に応動して閉じるものであることを特徴とする車両用サスペンション装置。
  6. 請求項5に記載の車両用サスペンション装置において、
    前記圧力応動式の遮断弁は、前記液流制限のために設けた液流制限手段に対し直列に少なくとも一対1組として設けられる単動弁により構成したものであることを特徴とする車両用サスペンション装置。
  7. 請求項6に記載の車両用サスペンション装置において、
    前記圧力応動式の遮断弁は、両端受圧面積の異なる弁体を開弁位置に弾支して具え、該弁体を、該弁体よりも前記対応する液流制限手段から遠い箇所の圧力が弁体の大きな受圧面に作用するよう、また、該弁体よりも前記対応する液流制限手段に近い箇所の圧力が弁体の小さな受圧面に作用するよう配置した単動弁であることを特徴とする車両用サスペンション装置。
  8. 請求項1に記載の車両用サスペンション装置において、
    前記遮断弁は、前記左右配管のうち、前記旋回走行時に高圧となった左右配管からの液流に応動して閉じるものであることを特徴とする車両用サスペンション装置。
  9. 請求項8に記載の車両用サスペンション装置において、
    前記液流応動式の遮断弁は、前記液流制限のために設けた各液流制限手段に生ずる負圧により閉位置に吸引される吸引弁であることを特徴とする車両用サスペンション装置。
  10. 請求項1に記載の車両用サスペンション装置において、
    前記遮断弁は、前記液流制限のために設けた各液流制限手段に対し直列配置した電磁弁であることを特徴とする車両用サスペンション装置。
  11. 請求項10に記載の車両用サスペンション装置において、
    前記電磁式の遮断弁は、前記旋回走行によって発生した車両の運動状態量が設定値以上になるとき閉じるよう電子制御されるものであることを特徴とする車両用サスペンション装置。
  12. 請求項10に記載の車両用サスペンション装置において、
    前記電磁式の遮断弁は、前記旋回走行によって発生した車両運動状態量が設定値以上になり、且つ、車両運転状態から推定した、旋回走行に伴って発生するであろう車両運動状態量の推定値が設定値以上になるとき閉じるよう電子制御されるものであることを特徴とする車両用サスペンション装置。
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