JP3339520B2 - 4輪車用懸架装置 - Google Patents

4輪車用懸架装置

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JP3339520B2
JP3339520B2 JP32343993A JP32343993A JP3339520B2 JP 3339520 B2 JP3339520 B2 JP 3339520B2 JP 32343993 A JP32343993 A JP 32343993A JP 32343993 A JP32343993 A JP 32343993A JP 3339520 B2 JP3339520 B2 JP 3339520B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等に使用する4
輪車用懸架装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、4輪車で車体がローリングするの
を抑制する懸架装置としては、例えば特開昭63−22
2914号公報に開示されたものがある。
【0003】この公報に示された懸架装置は、左右それ
ぞれの車輪側と車体側との間に油圧シリンダを介装し、
左側油圧シリンダのオイル室と右側油圧シリンダのオイ
ル室とを連通管を介して連通させて構成されていた。な
お、各油圧シリンダのピストンには、ピストンを挟んだ
両側のオイル室同士を連通するように絞りが設けられて
いた。
【0004】前記連通管は、左側油圧シリンダの上部オ
イル室(ピストンより車体側のオイル室)と右側油圧シ
リンダの下部オイル室(ピストンより車輪側のオイル
室)とを連通するものと、左側油圧シリンダの下部オイ
ル室と右側油圧シリンダの上部オイル室とを連通するも
のとの2つ設けられており、各々の連通管にそれぞれ絞
りが介装されていた。
【0005】すなわち、車体が傾いて左右の油圧シリン
ダのうち一方が縮むと、その縮んだ方の油圧シリンダの
下部オイル室から他方の油圧シリンダの上部オイル室に
オイルが圧送されると共に、他方の油圧シリンダの下部
オイル室から縮んだ方の油圧シリンダの上部オイル室へ
オイルが圧送されることになり、結局両方の油圧シリン
ダが縮むようになって車体の傾斜が抑えられる。そし
て、連通管の絞りをオイルが通過することによってロー
リング動作が減衰されることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、このように
構成された懸架装置では、減衰性能をセッティングする
に当たり各油圧シリンダのピストンの絞りでの減衰性能
と、各連通管に設けられた絞りでの減衰性能とを加味し
て行わなければならない。そのため、セッティングがき
わめて煩雑であった。
【0007】また、左右の車輪のうち何れか一方のみが
路面の突起を乗り越えた場合であっても上述したローリ
ング減衰動作と同様に大きな減衰力をもって減衰が行わ
れるため、車速が速いときにこのような片輪乗り越しが
起こると、きわめて大きな衝撃が車体に加わってしまう
という問題もあった。
【0008】さらに、各油圧シリンダの上下両オイル室
に連通管が接続されており配管が複雑になるという不具
合もあった。
【0009】本発明はこのような問題点を解消するため
になされたもので、減衰力の設定を容易に行うことがで
き、しかも、片輪乗り越し時の衝撃を小さく抑え、かつ
配管構成の簡略化を図ることができる4輪車用懸架装置
を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る4輪車用懸
架装置は、シリンダ内が絞り付きピストンによって上部
オイル室と下部オイル室とに画成されるとともに、前記
絞りを介して上部オイル室と下部オイル室とが連通さ
れ、かつ車輪側と車体側のうち一方にシリンダ本体が連
結され他方にピストンが連結されて車輪側と車体側の間
に介装された油圧シリンダと、この油圧シリンダの上下
のオイル室のうち何れか一方のみに連通されたオイル室
を有し、このオイル室と高圧ガス室とがフリーピストン
によって画成された調圧シリンダとを備え、4つの車輪
のうち左右の2つに前記油圧シリンダを装着させて各油
圧シリンダの油圧経路毎に前記調圧シリンダを設け、各
調圧シリンダのフリーピストン同士を、各調圧シリンダ
のオイル室の容積が同時に拡張または縮小するように互
いに連動する構造とし、前記油圧経路同士を可変流量制
御弁装置を介して連通してなり、この可変流量制御弁装
置を、両油圧経路同士の間に互いに並列に介装された絞
り部材およびスプール弁とによって構成し、このスプー
ル弁のスプールをばねによって開側へ付勢されかつ油圧
経路間の連通路を開閉する構造とし、このスプールの入
力部を絞り部を介して油圧シリンダ側に連通させたもの
である。
【0011】
【作用】2つの油圧シリンダが同一方向に伸縮するとき
には可変流量制御弁装置の絞り部材を通過するオイルは
少なく、油圧シリンダの動作は油圧シリンダのピストン
の絞りをオイルが通過することによって減衰される。ロ
ーリング等で左右の油圧シリンダが異なる方向に伸縮す
ると、各油圧シリンダにそれぞれ連通された油圧経路同
士で圧力差が生じ、調圧シリンダでは加圧側と減圧側に
連通されてフリーピストンが移動し難くなる関係から、
オイルが可変流量制御弁装置を介して高圧側油圧経路か
ら低圧側油圧経路へ流れる。このとき、ローリング等で
油圧変化が比較的緩やかである場合には、高圧側油圧経
路から可変流量制御弁装置の絞り部を介してスプールの
入力部に油圧が加わり、スプール弁が閉じられる。その
結果、高圧側油圧経路と低圧側油圧経路とを連通するの
は可変流量制御弁装置の絞り部材のみとなり、この絞り
部材にオイルが流されることになる。すなわち、左右の
油圧シリンダの動作方向に違いが生じたときには、油圧
変化が緩やかであれば両油圧シリンダ内の絞りと、可変
流量制御弁装置の絞り部材とによって減衰力が得られ
る。
【0012】また、片輪のみが路面の突起を乗り越えた
時等で左右何れか一方の油圧シリンダが急速に縮んだと
きには、この油圧シリンダに連通された油圧経路での油
圧は、この油圧経路が連通している油圧シリンダ内のオ
イル室が圧縮側か伸長側かの違いによって他方の(突起
を乗り越えなかった方の)油圧シリンダの油圧経路に対
して正圧あるいは負圧になる。そして、この圧力変化は
前記ローリング時の場合に較べて急峻になる。このよう
に一方の油圧経路が他方の油圧経路に対して圧力変化を
起こすと、ローリング時のときと同様にして高圧側油圧
経路から低圧側油圧経路へ可変流量制御弁装置を介して
オイルが流れようとするが、油圧変化が急峻であるため
に、絞り部が邪魔をして圧力がスプールの入力部に伝播
され難くなり、スプール弁が開状態に保持されるから、
スプール弁の連通路を介してオイルが流通するようにな
る。なお、油圧シリンダが縮むときに圧縮側となる方の
オイル室に油圧経路を連通した場合には、片輪乗り越し
時に縮む方の油圧シリンダに連通された油圧経路が高圧
側となり、その逆に片輪乗り越し時に伸長側となる方の
オイル室に油圧経路を連通した場合には、他方の(突起
を乗り越えなかった方の)油圧シリンダに連通された油
圧経路が高圧側になる。
【0013】このため、片輪乗り越しのときには可変流
量制御弁装置の絞り部材を通るオイルは少なくなるか
ら、減衰力は左右の油圧シリンダ内の絞りのみによって
得られる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1ないし図5に
よって詳細に説明する。図1は本発明に係る4輪車用懸
架装置の概略構成図、図2は本発明に係る4輪車用懸架
装置の正面図、図3は本発明に係る可変流量制御弁装置
を示す断面図、図4は本発明に係る調圧シリンダの断面
図、図5は油圧シリンダが縮むときのピストン速度と減
衰力との関係を示すグラフである。
【0015】これらの図において、1は本発明に係る4
輪車用懸架装置で、この懸架装置1は前輪側に装着され
るものを示す。なお、本発明に係る4輪車用懸架装置1
を後輪側に装着する場合にも本実施例と同等に構成す
る。また、図1および図2では、前輪を上下動自在に支
持するリンク機構やクッションばね等の他の懸架装置構
成部材は省略してある。
【0016】図1に示すように、本発明に係る4輪車用
懸架装置1は、左右の油圧シリンダ2,2と、これら左
右の油圧シリンダ2,2に接続された調圧装置3,可変
流量制御弁装置4等から構成されている。
【0017】左右の油圧シリンダ2,2は同一の構造と
されており、オイルで満たされたシリンダ本体5内がピ
ストン6によって上部オイル室7と下部オイル室8とに
画成されている。また、ピストン6は、上部オイル室7
と下部オイル室8とを連通する連通路6aが設けられて
おり、その連通路6a中に絞り9が設けられている。す
なわち、前記絞り9を介して上部オイル室7と下部オイ
ル室8とが連通されている。
【0018】そして、この油圧シリンダ2はシリンダ本
体5を自動車の車体(図示せず)に連結し、かつピスト
ンロッド10の下端部を前輪懸架用リンク等などの前輪
と共に車体に対して上下する部位に枢支させて、車体側
と前輪側との間に介装されている。なお、油圧シリンダ
2の装着方向は上述した場合とは上下逆にすることもで
きる。本実施例では、図1中左側に位置する油圧シリン
ダ2を左前輪側に装着し、図1中右側に位置する油圧シ
リンダ2を右前輪側に装着した例を示す。
【0019】前記調圧装置3は、シリンダ本体11内に
調圧シリンダ11aが軸線方向を平行にして並べて形成
され、各調圧シリンダ11a内にフリーピストン12が
移動自在に嵌挿されている。そして、フリーピストン1
2によって仕切られた一方のシリンダ内空間が高圧ガス
を充填して高圧ガス室13とされ、他方のシリンダ内空
間がオイルを充填してオイル室14とされている。オイ
ル室14は調圧シリンダ11aが2つ設けられている関
係から2つ設けられることになる。
【0020】また、2つのフリーピストン12,12同
士は連結部材15を介して連結され、同時に同一方向へ
移動して互いに連動するように構成されている。
【0021】上述したように2つ設けられたオイル室1
4,14のうち一方は左側油圧経路16を介して左側油
圧シリンダ2の上部オイル室7のみに連通され、他方は
右側油圧経路17を介して右側油圧シリンダ2の上部オ
イル室7のみに連通されている。すなわち、油圧シリン
ダ2の油圧経路毎に調圧シリンダ11aが配設されるこ
とになる。また、左右の油圧シリンダ2におけるそれが
縮んだときに圧縮側となる方の上部オイル室7に油圧経
路16,17を介して各調圧シリンダ11aのオイル室
14がそれぞれ連通されている。
【0022】そして、各オイル室14と左右の油圧シリ
ンダ2,2とを連通する左右の油圧経路16,17の間
に後述する可変流量制御弁装置4が介装されている。
【0023】このように構成された懸架装置1を自動車
の車体に装着するに当たっては、各部材を図2および図
3に示すように形成して行う。図2および図3において
前記図1で説明したものと同一もしくは同等部材につい
ては、同一符号を付し詳細な説明は省略する。
【0024】図2に示す油圧シリンダ2は、シリンダ本
体5の下部を外筒5aに嵌挿させて形成されている。そ
して、その外筒5aにピストンロッド10が固着されて
おり、その外筒5aを、前輪と共に上下する部位に枢支
させる構成とされている。この油圧シリンダ2のピスト
ン6の絞り9は、連通路6aの開口を板ばね式のチェッ
クバルブで閉塞して構成された従来周知の構造とされて
いる。なお、図2中には、この油圧シリンダ2が最も縮
んだときのピストンや外筒上端部の位置を二点鎖線Aで
示した。図2では油圧シリンダ2が最も伸びた状態を示
してある。
【0025】調圧装置3は、一つのシリンダ本体11内
に調圧シリンダを2つ同軸上に形成して構成されてい
る。この調圧装置3は、図4にその詳細断面を示すよう
に、シリンダ本体11の開口部を塞ぐ底部材11bが有
底円筒状に形成されており、その底部材11bの内方に
フリーピストン12が嵌挿されている。また、この底部
材11bは、その先端部分に外径を小さくするようにし
て薄肉部11cが形成され、底部材11bをシリンダ本
体11に取付けた状態でシリンダ本体11の内周面と薄
肉部11cとの間にオイル室14が形成されるように構
成されている。オイル室14としては、上述したシリン
ダ側部に設けられる以外に、底部材11bの内側底面と
フリーピストン12との間にも設けられている。
【0026】フリーピストン12は、底部材11bの内
周部に嵌挿される小径部と、シリンダ本体11の内周部
に嵌挿される大径部とからなる有底円筒状に形成されて
いる。また、前記小径部の外径および大径部の外径は、
このフリーピストン12が移動したときの各オイル室1
4,14での容積増加分,容積減少分が等しくなるよう
に設定されている。すなわち、フリーピストン同士を、
各調圧シリンダのオイル室14,14の容積が同時に拡
張または縮小するように互いに連動する構造としてい
る。オイル室14の容積が最も大きくなるときのフリー
ピストン12の位置を図4中二点鎖線Bで示した。
【0027】そして、シリンダ本体11における側部の
オイル室14と対応する部分に、このオイル室14を左
側油圧経路16に連通させるためのニップル18が取付
けられ、前記底部材22bの底部に、前記左右の油圧経
路16,17のうち右側油圧経路17にオイル室14を
連通するためのニップル18が取付けられている。な
お、図4において符号20aはOリング、20bはピス
トンリングである。
【0028】このように構成された調圧装置3では、左
側油圧経路16の油圧がシリンダ側部のオイル室14を
介してフリーピストン12の大径部に作用し、右側油圧
経路17の油圧が底部材11bの底部側のオイル室14
を介してフリーピストン12の小径部に作用することに
なる。すなわち、フリーピストン12の小径部が嵌挿さ
れる底部材11bと、フリーピストン12の大径部が嵌
挿されるシリンダ本体11とによって油圧経路毎の調圧
シリンダが構成されることになる。
【0029】そして、2つのオイル室14,14はフリ
ーピストン12がそれぞれ壁面の一部を構成している関
係から、各オイル室14での容積変化量は常に等しくな
る。
【0030】可変流量制御弁装置4は、前記左右の油圧
経路16,17を調圧装置3より上流側において連通す
る構造になっており、両油圧経路16,17の間に互い
に並列に介装された絞り部材21およびスプール弁22
とから構成されている。絞り部材22は、有底円筒状の
ケース23にその開口部を塞ぐようにバルブ支持部材2
4を螺着させて形成されている。そのバルブ支持部材2
4にはケース23内に臨んでケース23内をA,B2室
に画成する絞り本体25が取付けられると共に、右側油
圧経路17に連通されるニップル26が2つ取付けられ
ている。なお、前記A室は絞り本体25よりケース23
の底部側の空間のことをいい、B室は絞り本体25より
バルブ支持部材24側の空間のことをいう。
【0031】さらに、このバルブ支持部材24には、前
記ニップル26内のオイル通路をケース23内のB室に
連通するための連通路24a,24bが形成されてい
る。このように構成することによって、両ニップル26
内のオイル通路同士は連通路24a,B室および連通路
24bを介して互いに連通されることになる。すなわ
ち、ニップル26内、連通路24a,24bおよびB室
は、右側油圧経路17の一部を構成することになる。
【0032】前記絞り本体25は、この絞り本体25を
貫通する小孔25a,25bが形成されており、その小
孔25aのB室側開口部を閉塞する板ばね製チェックバ
ルブ27と、小孔25bのA室側開口部を閉塞する板ば
ね製チェックバルブ28とを備えている。これらのチェ
ックバルブ27,28は本実施例ではそのばね特性が同
一となるように形成されている。これは、A室からB室
へオイルが流れるときと、B室からA室へオイルが流れ
るときとで絞り量が等しくなるようにするためである。
すなわち、後述するように車体がローリング等を起こす
ときに左右の何れの方向に傾いても減衰特性は同じにな
る。
【0033】また、ケース23の底部にはニップル29
が取付けられ、ケース23内のA室をニップル29に接
続された連通管(図示せず)に連通させる構造になって
いる。ニップル29には左側油圧経路16が連通されて
いる。
【0034】このように構成された絞り部材21では、
ケース23のA室内の油圧がB室より高くなると、油圧
が小孔25aを介してチェックバルブ27に加えられて
そのチェックバルブ27が開かれ、オイルがA室から小
孔25aを通ってB室へ流れ込むようになる。また、逆
にB室内の油圧がA室より高くなると、油圧によってチ
ェックバルブ28が開かれ、オイルがB室からA室へ流
れ込むようになる。すなわち、この絞り部材21は、チ
ェックバルブ27あるいはチェックバルブ28を開いて
オイルがA室とB室との間を流れるときに抵抗が生じる
両利き構造とされている。
【0035】なお、30は絞り本体25での絞り量を微
調整するための調整ねじ、31はケース23とバルブ支
持部材24との間に介装されたOリングである。
【0036】スプール弁22は、3つに分割形成された
ケース部材を連結固着させてなるケース32にスプール
33を内蔵させると共に、スプール付勢機構34、ニー
ドル35,36および油圧経路連通用ニップル37〜4
0を取付けて形成されている。スプール33はケース3
2の略中央の円形孔32aにその軸線方向に沿って移動
自在に嵌挿され、前記円形孔32aからケース32の一
側と他側とに延びるポート32b,32cを開閉する構
造になっている。すなわち、図3に示すようにスプール
33の細径部33aが両ポート32b,32cと対向し
ているときにこのスプール弁22が開状態となり、図3
中に二点鎖線で示すようにスプール33が図において下
降してその大径部33bがポート32bと対向している
ときにこのスプール弁22が閉状態となる。なお、ポー
ト32bはニップル37を介して左側油圧経路16に連
通され、ポート32cはニップル38を介して右側油圧
経路17に連通されている。
【0037】前記スプール33の閉方向前側には前記ス
プール付勢機構34が配置されている。このスプール付
勢機構34は、圧縮コイルばね34aをスプール33の
端面に当接させてスプール33を開方向へ付勢する構造
になっている。34bは圧縮コイルばね34aのばね力
を調整するためのアジャストボルトである。このアジャ
ストボルト34bのケース32に対するねじ込み量を増
やすことによって前記ばね力が大きくなり、スプール3
3を閉じるのに要する力が大きくなる。
【0038】また、スプール33の開方向前側の軸端部
には、このスプール33の入力部としての2本のピン4
1,42が突設されている。これらのピン41,42は
それぞれが断面円形の棒状に形成され、ケース32の絞
り通路43,44に嵌挿されている。絞り通路43は左
側油圧経路16における絞り部材21との接続部より上
部オイル室7側に連通され、絞り通路44は右側油圧経
路17における絞り部材21との接続部より上部オイル
室7側に連通されている。
【0039】そして、これらの絞り通路43,44は、
ニードル35,36の先端が臨んでおり、ニードル3
5,36の通路内への突出量を変えることによって最小
通路断面積が増減するように構成されている。すなわ
ち、絞り通路43,44とニードル35,36とによっ
て本発明に係る絞り部が構成されている。このため、ス
プール33の入力部(ピン41,42)は絞り部を介し
て油圧シリンダ側に連通されることになる。なお、ニー
ドル35,36の通路内への突出量が大きくなればなる
ほど最小通路断面積が小さくなり、絞り部での絞り効果
が大きくなるので、ニードル35,36の通路内への突
出量を変えることによって絞りの程度を調整することが
できる。
【0040】このように構成されたスプール弁22は、
図3に示した開状態では、ニップル37内空間、ポート
32b、円形孔32a、ポート32cおよびニップル3
8内空間によってスプール弁22を貫通する連通路が形
成され、左右の油圧経路16,17がこの連通路を介し
て連通される。また、絞り通路43あるいは絞り通路4
4の圧力が前記スプール付勢機構34による付勢力より
高くなると、この圧力によってピン41あるいはピン4
2と共にスプール33が図3において下側へ押され、二
点鎖線で示したように閉位置に移動する。
【0041】このようにスプール弁22が閉状態になる
と、前記連通路を介してでの左右の油圧経路16,17
同士の連通が絶たれることになる。
【0042】次に、上述したように構成された本発明に
係る4輪車用懸架装置1の動作を説明する。例えば左右
両方の前輪が路上の突起物を乗り越えたりして左右の油
圧シリンダ2,2が縮むと、ピストンロッド10がシリ
ンダ本体5内に挿入された分だけオイルが各油圧経路1
6,17へ流れ出る。そして、そのオイル流出分に相当
する流量だけオイルが調圧装置3のオイル室14へ流入
することになる。このとき、両油圧経路16,17での
油圧が略等しいと仮定すると、可変流量制御弁装置4の
スプール弁22の開閉状態に関わることなく絞り部材2
1内のA室とB室とでは圧力差がなく絞り本体25をオ
イルが通ることがないから、流出分に相当するオイルの
略全量が調圧装置3へ流入する。
【0043】そして、調圧装置3のフリーピストン1
2,12は、ニップル18,19側から加えられた油圧
によって高圧ガスを圧縮させるようにシリンダ本体11
内を移動することになる。
【0044】すなわち、車体にピッチングあるいはバウ
ンシング等が生じて左右の油圧シリンダ2が同方向に伸
縮するときには、主に油圧シリンダ2内の絞り9にオイ
ルが通るときに生じる抵抗によって車体の振動が減衰さ
れる。
【0045】また、車体を右に旋回させたりして左側油
圧シリンダ2が縮み、右側油圧シリンダ2が伸びるよう
なとき(ローリングが起こるとき)には、各油圧シリン
ダ2にそれぞれ連通された左右の油圧経路16,17同
士で圧力差が生じ、調圧装置3では加圧側と減圧側に連
通されてフリーピストン12が移動し難くなる関係か
ら、オイルが可変流量制御弁装置4を介して高圧となる
左側油圧経路16から低圧となる右側油圧経路17へ流
れる。
【0046】このローリング時には左右両方の油圧経路
16,17での油圧変化は比較的緩やかであるので、高
圧な左側油圧経路16から可変流量制御弁装置4の絞り
部(絞り通路43およびニードル35)を介してスプー
ル33のピン41に油圧が加わり、スプール33が図3
において下側へ移動してスプール弁22が閉じられる。
このため、高圧な左側油圧経路16と低圧な右側油圧経
路17とを連通するのは可変流量制御弁装置4の絞り部
材21のみとなり、この絞り部材21にオイルが流され
ることになる。
【0047】左側油圧経路16から絞り部材21に流入
したオイルは、絞り本体25を通ってA室からB室へ流
れる。そして、左側油圧シリンダ2でのオイル流出量の
過半量のオイルが絞り部材21を通って右側油圧経路1
7へ流れ込むようになる。左側油圧経路16から右側油
圧経路17へ流れ込んだオイルは絞り部材21のバルブ
支持部材24で調圧装置3側と右側油圧シリンダ2側と
に分配される。このとき、調圧装置3のフリーピストン
12は、ニップル18,19から流入するオイルの量に
応じてシリンダ本体11内を移動することになる。
【0048】すなわち、車体がローリングしたりして左
右の油圧シリンダ2,2が互いに異なる方向に緩やかに
伸縮すると、油圧シリンダ2内の絞り9にオイルが通る
ときに生じる抵抗と、絞り部材21の絞り本体25をオ
イルが通るときに生じる抵抗とによって車体の振動が減
衰されることになる。なお、この現象は車体の傾斜方向
が左右何れであっても同様に起こる。
【0049】また、片輪のみが路面の突起を乗り越えた
時等で例えば左側油圧シリンダ2が急速に縮んだときに
は、この左側油圧シリンダ2に連通された左側油圧経路
16の油圧は右側油圧経路17に対して高くなる。この
圧力上昇は前記ローリング時の場合に較べると急峻にな
る。このように左側油圧経路16の圧力が右側油圧経路
17に対して高くなると、ローリング時のときと同様に
して高圧な左側油圧経路16から低圧な右側油圧経路1
7へ可変流量制御弁装置4を介してオイルが流れようと
するが、油圧変化が急峻であるために、スプール33の
ピン41には絞り部によって邪魔されて油圧が伝わり難
くなってスプール33が移動し難いため、スプール弁2
2が開状態に保持される。すなわち、このときにはスプ
ール弁22の連通路を介してオイルが流通するようにな
る。
【0050】また、スプール33は圧縮コイルばね34
aによって開側へ付勢されているため、絞り部を介して
伝播される圧力に応じて移動量が変化する。すなわち、
例えば左側油圧経路16の圧力が高まる場合、圧力上昇
速度が速くなればなるほど絞り部を介して伝播される圧
力が低くなり、スプール33が移動し難くなってスプー
ル弁22が閉じ難くなる。このため、左側あるいは右側
の油圧シリンダ2が縮むときの速度に応じてスプール弁
22の開度が変化することになる。なお、絞り部での絞
り量は、上述したようにニードル35あるいは36のね
じ込み量によって調整することができる。
【0051】このため、片輪乗り越しのときには可変流
量制御弁装置4の連通路を介して左右の油圧経路16,
17でオイルが流通し、絞り部材21を通るオイルは少
なくなるから、減衰力は左右の油圧シリンダ2内の絞り
9のみによって得られる。なお、上述した片輪乗り越し
時の現象は右側車輪が突起を乗り越えたときにも同様に
起こる。
【0052】本発明に係る4輪車用懸架装置1での油圧
シリンダ2が縮むときのピストン速度(油圧上昇速度)
と減衰力との関係を図5に示す。同図に示すように、ピ
ストン速度が比較的遅いV1 の範囲にあるときには減衰
力が比較的大きく、ピストン速度が比較的速いV2 の範
囲にあるときには減衰力が比較的小さくなる。また、V
1 とV2 の間の範囲ではピストン速度が高くなるにした
がって減衰力が漸次小さくなっている。これは、スプー
ル33が全開位置と全閉位置との間になる位置に移動し
ているからである。
【0053】このように構成された懸架装置1によれ
ば、左右の油圧シリンダ2,2が同一方向に作動すると
きには可変流量制御装置4の絞り部材21を通過するオ
イルは少なく、油圧シリンダ2の動作は、ピストン6の
絞り9をオイルが通過することにより生じる抵抗によっ
て減衰される。ローリング時等のように両油圧シリンダ
2,2が異なる方向に比較的緩やかに伸縮すると、スプ
ール弁22が閉じて絞り部材21にオイルが流れるよう
になるので、そのときには油圧シリンダ2のピストン6
の絞り9と、可変流量制御弁装置4の絞り部材21とを
オイルが通過することにより生じる抵抗によって、油圧
シリンダ2の動作が減衰される。
【0054】さらに、片輪乗り越し時等のように左右の
一方の油圧シリンダが縮むときには、スプール弁22が
開状態に保持されたままこのスプール弁22の連通路を
介して左右の油圧経路16,17間でオイルが流通す
る。このため、片輪乗り越し時の油圧シリンダ2の動作
は、ピストン6の絞り9をオイルが通過することにより
生じる抵抗によって減衰される。
【0055】したがって、ローリング時には片輪乗り越
し時に較べて大きな減衰力が作用し、片輪乗り越し時に
はそのときに縮んだ油圧シリンダ2内の絞り9のみで得
られる小さな減衰力が作用することになる。すなわち、
ローリング時に大きな減衰力を得るに当たって、複数設
けられた絞りを組合わせることによって行うことができ
る。また、減衰力が小さくてよいときには複数の絞りの
うち一部のみが減衰に用いられることになる。このた
め、個々の絞りでの使用条件を限定することができ、ロ
ーリング、ピッチングあるいはバウンシングを減衰させ
るに最適なセッティングを行うことができる。
【0056】なお、本実施例では油圧シリンダ2が縮む
ときに圧縮側となる方の上部オイル室7に油圧経路1
6,17を連通した例を示したが、図1中に二点鎖線C
で示すように油圧シリンダ2が縮むときに伸長側となる
方の下部オイル室8に油圧経路16,17を連通させて
もよい。このように構成しても前記実施例と同等の効果
が得られる。このように構成した場合、ローリング時に
縮む方の油圧シリンダ2に連通された油圧経路は他方の
油圧経路に対して圧力が低下するので、スプール33を
閉側へ押すための油圧は他方の油圧経路(ローリング時
に伸びる方の油圧シリンダに連通された油圧経路)から
加えられる。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る4輪車
用懸架装置は、本発明に係る4輪車用懸架装置は、シリ
ンダ内が絞り付きピストンによって上部オイル室と下部
オイル室とに画成されるとともに、前記絞りを介して上
部オイル室と下部オイル室とが連通され、かつ車輪側と
車体側のうち一方にシリンダ本体が連結され他方にピス
トンが連結されて車輪側と車体側の間に介装された油圧
シリンダと、この油圧シリンダの上下のオイル室のうち
何れか一方のみに連通されたオイル室を有し、このオイ
ル室と高圧ガス室とがフリーピストンによって画成され
た調圧シリンダとを備え、4つの車輪のうち左右の2つ
に前記油圧シリンダを装着させて各油圧シリンダの油圧
経路毎に前記調圧シリンダを設け、各調圧シリンダのフ
リーピストン同士を、各調圧シリンダのオイル室の容積
が同時に拡張または縮小するように互いに連動する構造
とし、前記油圧経路同士を可変流量制御弁装置を介して
連通してなり、この可変流量制御弁装置を、両油圧経路
同士の間に互いに並列に介装された絞り部材およびスプ
ール弁とによって構成し、このスプール弁のスプールを
ばねによって開側へ付勢されかつ油圧経路間の連通路を
開閉する構造とし、このスプールの入力部を絞り部を介
して油圧シリンダ側に連通させたため、左右の油圧シリ
ンダが同方向に伸縮するときには左右の油圧シリンダ内
の絞りのみによって減衰力が得られ、左右の油圧シリン
ダの動作方向が異なるときには各油圧シリンダ内の絞り
と可変流量制御弁装置の絞り部材とによって減衰力が得
られる。すなわち、ローリング時には片輪乗り越し時に
較べて大きな減衰力が作用することになる。
【0058】したがって、2つの油圧シリンダの動作方
向が異なるときには、油圧シリンダ内の絞りによる減衰
力に可変流量制御装置の絞り部材による減衰力を加算し
た減衰力が作用するから、減衰力を増減させるに当たり
複数の絞りの組み合わせによって行うことができる。こ
のため、装置中に設けられる各絞りの使用条件を限定で
きるようになるから、セッティングが容易になる。
【0059】また、片輪乗り越し時にはそのときに縮ん
だ油圧シリンダ内の絞りのみで得られる小さな減衰力が
作用することになるから、このときに車体に加えられる
衝撃を小さく抑えることができる。
【0060】さらに、油圧シリンダと調圧シリンダとを
連通する油圧経路は油圧シリンダ毎に1つで済むから、
配管が単純になるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る4輪車用懸架装置の概略構成図で
ある。
【図2】本発明に係る4輪車用懸架装置の正面図であ
る。
【図3】本発明に係る可変流量制御弁装置を示す断面図
である。
【図4】本発明に係る調圧シリンダの断面図である。
【図5】油圧シリンダが縮むときのピストン速度と減衰
力との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 4輪車用懸架装置 2 油圧シリンダ 3 調圧装置 4 可変流量制御弁装置 5 シリンダ本体 6 ピストン 9 絞り 11a 調圧シリンダ 12 フリーピストン 13 高圧ガス室 14 オイル室 16 左側油圧経路 17 右側油圧経路 21 絞り部材 22 スプール弁 25 絞り本体 33 スプール 34 スプール付勢機構 35 ニードル 36 ニードル 43 絞り通路 44 絞り通路

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダ内が絞り付きピストンによって
    上部オイル室と下部オイル室とに画成されるとともに、
    前記絞りを介して上部オイル室と下部オイル室とが連通
    され、かつ車輪側と車体側のうち一方にシリンダ本体が
    連結され他方にピストンが連結されて車輪側と車体側の
    間に介装された油圧シリンダと、この油圧シリンダの上
    下のオイル室のうち何れか一方のみに連通されたオイル
    室を有し、このオイル室と高圧ガス室とがフリーピスト
    ンによって画成された調圧シリンダとを備え、4つの車
    輪のうち左右の2つに前記油圧シリンダを装着させると
    共に、油圧シリンダの油圧経路毎に前記調圧シリンダを
    設け、各調圧シリンダのフリーピストン同士を、各調圧
    シリンダのオイル室の容積が同時に拡張または縮小する
    ように互いに連動する構造とし、前記油圧経路同士を可
    変流量制御弁装置を介して連通してなり、この可変流量
    制御弁装置を、両油圧経路同士の間に互いに並列に介装
    された絞り部材およびスプール弁とによって構成し、こ
    のスプール弁のスプールをばねによって開側へ付勢され
    かつ油圧経路間の連通路を開閉する構造とし、このスプ
    ールの入力部を絞り部を介して油圧シリンダ側に連通さ
    せたことを特徴とする4輪車用懸架装置。
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