JP5549889B2 - 車両のサスペンション装置 - Google Patents
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Description
この車両のサスペンション装置によれば、ショックアブソーバと油圧シリンダ方式の減衰機構との両方を並設してあることから、車輪まわりの構造が複雑になっている問題点がある。また、車輪と車体との相対的な上下動(量や速度等)を検出して、それに伴う減衰機構のコントロールが必要となり、装置としての制御が繁雑になり易い問題点がある。
このサスペンション装置では、車体がローリングすることをバンシングすることによる油圧シリンダの伸縮動作を、作動油が第1第・2連通路中の絞り部材やダンパの絞りを通過するときの通過抵抗によって減衰することで、良好な減衰特性を作り出そうとしている。しかしながら、このサスペンション装置では、左車輪側と右車輪側の油圧シリンダの作動の繰り返しにともなってそれぞれの上室ないしは下室の作動油が内部漏れすると、左側と右側の油圧シリンダにおける油圧バランスが悪くなり、車両が左右に傾斜してしまうという不都合が生じる。
その際、上側油圧減衰機構と下側油圧減衰機構との間を接続する接続油路の長さを短くする構成を採用するならば、ロール時等で第1油路や第2油路において左右の油圧シリンダから流れてくる作動油が衝突する場合でも、上側油圧減衰機構及び下側油圧減衰機構によってその流速が低下させられているので衝突による圧損が抑制される。
このサスペンション装置の中核構成要素は、左車輪2Aと車体1との間に介在する第1油圧シリンダ(以後左油圧シリンダまたは単に油圧シリンダと称する)4と、右車輪2Bと車体1との間に介在する第2油圧シリンダ5(以後右油圧シリンダまたは単に油圧シリンダと称する)である。左油圧シリンダ4はピストンによって区分けられる上室4Uと下室4Lとを有し、そのピストンロッドは下室4Lを貫通している。左油圧シリンダ4の周壁には、上室4Uに開口する第1上側ポート(単に上側ポートとも称する)41と、下室4Lに開口する第1下側ポート(単に下側ポートとも称する)42とが設けられている。同様に、右油圧シリンダ5はピストンによって区分けられる上室5Uと下室5Lとを有し、そのピストンロッドは下室5Lを貫通している。右油圧シリンダ5の周壁には、上室5Uに開口する第2上側ポート(単に上側ポートとも称する)51と、下室5Lに開口する第2下側ポート(単に下側ポートとも称する)52とが設けられている。この例では、左車輪2Aと右車輪2Bとは、模式的にしか示されていないサスペンションリンクにより車体に連結されており、両油圧シリンダ4,5のピストンロッドもサスペンションリンクに連結されている。
この油圧バランス機構は、サスペンション機構の作動時に、両油圧シリンダ4,5等に内部漏れが発生して、第1油路6と第2油路7に生じた作動油量のアンバランスを調整する機能を有する。
次のような条件を有する。
L1<L3
L2<L3。
より厳しい条件として
(L1+L2)<L3、
を採用してもよい。
ピストンロッドが存在する下室における作動油の流通量は上室における作動油の流通量より少ないので、それぞれ、下側油路63,73における作動油の流れ抵抗は上側油路61,71や接続油路62,72におけるそれよりは小さくなる。このため、上記油路長さ条件に基づいて、それぞれ下側油路63,73の長さを上側油路61,71や接続油路62,72より長くすることで、クロス接続された油圧シリンダ間の油路の流れ抵抗のバランスをとることができる。
なお、第1油圧減衰ユニットDU1として、第1上側油圧減衰機構8aと第1下側油圧減衰機構8bと第1接続油路62と第1アキュムレータ9とを一体化してもよい。同様に、第2油圧減衰ユニットDU2として、第2上側油圧減衰機構8cと第2下側油圧減衰機構8dと第2接続油路72と第2アキュムレータ10とを一体化してもよい。
車体1への車輪2の取り付けは、左油圧シリンダ4、及び、右油圧シリンダ5を介して上下に移動可能な状態に取り付けられている。
具体的には、車輪2は、車体1の下端部1aから側方に延びた上下揺動自在なサスペンションリンク3を介して車体1に取り付けられている。
また、左油圧シリンダ4、及び、右油圧シリンダ5は、その上端部は、車体1の支持部1bに取り付けられ、下端部は、サスペンションリンク3の中間部3aに取り付けられ、車体1と車輪2との上下相対移動に対して伸縮して減衰を図れるように構成されている。
尚、第1・第2アキュムレータ9,10は、車両のロール剛性を付与するために設けられている。第1・第2アキュムレータ9,10の容器の中には気体が充填されており、作動油の体積により、その気体の体積が変化することで気体のバネとして作用する。すなわち、第1・第2アキュムレータ9,10に作動油が流入すると、気体が圧縮され、気体のバネ力による反発力が作動油に付加され、車両のロール剛性(スタビライザ機能)を付与する。
制御チェック弁82の差圧と流量との関係は、図6に示すとおりである。
非制御チェック弁81、制御チェック弁82には、弁体に閉じ付勢力を与えるスプリング15が備えられており、このスプリング15の付勢力が大きいと、作動油の流動抵抗も大きくなり、逆に、付勢力が小さいと、作動油の流動抵抗も小さくなるように構成されていても良く、リーフ弁構造でもよい。但し、この非制御チェック弁81は、流入時は作動油が流入し易いようにする為に、高い流動抵抗には設定しない。
制御チェック弁82は、流量、差圧に応じて開弁量が変わり、相応した減衰力を発生させるため、例えば、板バネ等による弾性付勢力を流路閉弁方向に作用させるように構成されたものを採用することができる。
この図から見られるように、ピストン速度に対して所望する適切な減衰を得ることができる。
また、オリフィス13cは、オリフィス83と同様、ピストン速度が小さい領域での減衰力を調整できる。なお、このオリフィス13cは必ずしも必要ではなく、サスペンション装置に要求される性能によっては無くてもよい。
車輪2の動きとしては、図8に示すような、左油圧シリンダ4,右油圧シリンダ5が共に伸びる「伸びバウンス」と、図9に示すような、左油圧シリンダ4,右油圧シリンダ5が共に縮む「縮みバウンス」と、図10に示すような、左油圧シリンダ4,右油圧シリンダ5の一方が伸び他方が縮む「ロール」とについて説明する。
尚、この時、上室4U,5Uに対応した油圧減衰機構8は、対応する上・下室の油圧を充分に確保するため、スムーズに作動油が流入するような特性に非制御チェック弁が設定されている。
尚、この時、アキュムレータ側油圧減衰機構13を通過するロッド容積分の作動油の流量は小さく、アキュムレータ側油圧減衰機構13により発生する減衰力は小さい。また、下室4L,5Lに対応した油圧減衰機構8は、対応する上・下室の油圧を充分確保するため、スムーズに作動油が流入するような特性に非制御チェック弁が設定されている。
左車輪2A(旋回内輪)は、相対的にリバウンド方向に動き、作動油は、図10に示すように、下室4Lから排出されて、対応する油圧減衰機構8、及び、アキュムレータ側油圧減衰機構13を経由して、アキュムレータ10に流入する。右車輪2B(旋回外輪)は、相対的にバウンド方向に動き、作動油は、図10に示すように、上室5Uから排出されて、対応する油圧減衰機構8、及び、アキュムレータ側油圧減衰機構13を経由して、アキュムレータ10に流入する。この時、左油圧シリンダ4の下室4Lに対応した油圧減衰機構8と、右油圧シリンダ5の上室5Uに対応した油圧減衰機構8と、アキュムレータ10に対応したアキュムレータ側油圧減衰機構13とによって、大きな減衰効果を発揮できる。
また、左油圧シリンダ4の上室4U、及び、右油圧シリンダ5の下室5Lには、アキュムレータ9から作動油が供給されるが、それぞれに対応した油圧減衰機構8は、対応する上・下室4L,5Uの油圧を充分確保するため、スムーズに作動油が流入するように上室4Uと下室5Lの非制御チェック弁81は設定されている。
また、本実施形態のサスペンション装置によれば、アブソーバー機能とスタビライザ機能を兼ねることができ、スタビライザバーを省略することも可能となって、車輪2まわりの構造の簡単化を図ることができる。
2A 左車輪
2B 右車輪
4 左油圧シリンダ(第1油圧シリンダ)
4U 上室
4L 下室
41 上側ポート(第1上側ポート)
42 下側ポート(第1下側ポート)
5 右油圧シリンダ(第2油圧シリンダ)
5U 上室
5L 下室
51 上側ポート(第2上側ポート)
52 下側ポート(第2下側ポート)
6 第1油路
61 上側油路(第1上側油路)
62 接続油路(第1接続油路)
63 下側油路(第1下側油路)
11 第1アキュムレータ油路(第1分岐油路)
7 第2油路
71 上側油路(第2上側油路)
72 接続油路(第2接続油路)
73 下側油路(第2下側油路)
12 第2アキュムレータ油路(第2分岐油路)
8 油圧減衰機構
8a 第1上側油圧減衰機構
8b 第1下側油圧減衰機構
8c 第2上側油圧減衰機構
8d 第2下側油圧減衰機構
81 非制御チェック弁
82 制御チェック弁
83 オリフィス
9 第1アキュムレータ
10 第2アキュムレータ
13 アキュムレータ側油圧減衰機構(第1・第2補助油圧減衰機構)
14 油圧バランス機構
15 流量制御機構
16 第3アキュムレータ
DU1 第1油圧減衰ユニット
DU2 第2油圧減衰ユニット
DU3 油圧バランスユニット
BP ブリッジ油路
Claims (7)
- 左右車輪の一方と車体との間に介在され上室と下室とを有する第1油圧シリンダと、
前記左右車輪の他方と前記車体との間に介在され上室と下室とを有する第2油圧シリンダと、
前記第1油圧シリンダの上室に開口する第1上側ポートと前記第2油圧シリンダの下室に開口する第1下側ポートとを連通接続する第1油路と、
前記第2油圧シリンダの上室に開口する第2上側ポートと前記第1油圧シリンダの下室に開口する第2下側ポートとを連通接続する第2油路と、
前記第1油路に設けられた第1油圧減衰機構と、
前記第2油路に設けられた第2油圧減衰機構と、
第1補助油圧減衰機構を有する第1分岐油路を介して前記第1油路に接続された第1アキュムレータと、
第2補助油圧減衰機構を有する第2分岐油路を介して前記第2油路に接続された第2アキュムレータと、
一端が前記第1分岐油路における前記第1アキュムレータと前記第1補助油圧減衰機構との間に接続されているとともに、他端が前記第2分岐油路における前記第2アキュムレータと前記第2補助油圧減衰機構との間に接続されているブリッジ油路と、
を備える車両のサスペンション装置。 - 前記第1補助油圧減衰機構及び前記第2補助油圧減衰機構はオリフィスを含む請求項1に記載の車両のサスペンション装置。
- 流量制御機構を介して前記ブリッジ油路に接続される第3アキュムレータが備えられている請求項1または2に記載の車両のサスペンション装置。
- 前記流量制御機構は、前記第3アキュムレータと連通する内室を形成するハウジングと、前記第1分岐油路側の前記ブリッジ油路と前記内室との間に配置された第1差圧動作チェック弁と、前記第2分岐油路側の前記ブリッジ油路と前記内室とに接続される第2差圧動作チェック弁とを含む請求項3に記載の車両のサスペンション装置。
- 前記流量制御機構は、前記ブリッジ油路と前記第3アキュムレータとの接続部の両側に設けられたオリフィスである請求項3に記載の車両のサスペンション装置。
- 前記ブリッジ油路との接続部より前記第1油路側の前記第1分岐油路に前記第1補助油圧減衰機構が設けられ、前記ブリッジ油路との接続部より前記第2油路側の前記第2分岐油路に前記第2補助油圧減衰機構が設けられている請求項1から5のいずれか一項に記載の車両のサスペンション装置。
- 前記第1油圧減衰機構は、前記第1油路の前記第1上側ポート側に設けられた第1上側油圧減衰機構と前記第1油路の前記第2下側ポート側に設けられた第1下側油圧減衰機構とを有し、前記第2油圧減衰機構は、前記第2油路の前記第2上側ポート側に設けられた第2上側油圧減衰機構と前記第2油路の前記第1下側ポート側に設けられた第2下側油圧減衰機構とを有し、
前記第1分岐油路は前記第1上側油圧減衰機構と前記第1下側油圧減衰機構との間に接続され、前記第2分岐油路は前記第2上側油圧減衰機構と前記第2下側油圧減衰機構との間に接続されている請求項1から6のいずれか一項に記載の車両のサスペンション装置。
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