JP2008272374A - 生体器官拡張器具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生体器官拡張器具1は、先端側チューブ2と、このチューブ2の基端部に固定された基端側チューブ4と、基端方向に摺動可能であるステント収納用筒状部材5と、ステント収納用筒状部材5内に収納された自己拡張型のステント3と、ステント収納用筒状部材5を基端側に移動させるための牽引ワイヤ6を備える。ステント収納用筒状部材5は、牽引ワイヤ6の牽引により固定チューブ8の外面上を基端側に移動するものであり、かつ、基端に固定され、基端側への移動時に、固定チューブ8の外面と接触する内面を備える硬質材料製筒状基端部材54を備える。
【選択図】図3
Description
上記生体器官拡張器具を構成するステントとしては、機能および留置方法によって、バルーン拡張型ステントと自己拡張型ステントとがある。
このタイプのステントは上記のようなステントの拡張作業が必要であるが、収縮したバルーンにステントを直接取り付けて留置することもできるので、留置に関してはさほど問題がない。
このタイプのステントは、ステント自身が拡張力を有しているので、バルーン拡張型ステントのような拡張作業は必要なく、血管の圧力等によって径が次第に小さくなり再狭窄を生じるといった問題もない。
特許文献1の図15ないし図17に図示されている生体器官拡張器具10は、ガイドワイヤルーメン21を有する先端側チューブ2と、先端側チューブ2の基端部に固定された基端側チューブ4と、先端側チューブ2の先端側を被包しかつ基端方向に摺動可能であるステント収納用筒状部材5と、筒状部材5内に収納されたステント3と、筒状部材5を基端側に移動させるための牽引ワイヤ6とを備える。先端側チューブ2は、先端側チューブ2の基端側にて開口する基端側開口23と、ステントの基端側への移動を規制するステント係止部22と、牽引ワイヤ巻取機構およびワイヤ巻取量規制機構を備える操作部を有する。
この生体器官拡張器具10におけるステント収納用筒状部材5aは、図15および図16に示すように、全体がほぼ同一外径の筒状部材が用いられている。そして、この実施例の生体器官拡張器具10では、このスリット59の先端側端部が、突起部29に当接するまで、ステント収納用筒状部材5aは、先端側チューブ上を基端側に移動可能となっている。よって、スリット59は、ステント3を収納したステント収納用筒状部材5aにおけるステント3の基端からステント収納用筒状部材5aの先端までの長さと同等もしくは若干長いものとなっている。
そこで、本発明の目的は、自己拡張型ステントを用いる生体器官拡張器具であって、ステント収納用筒状部材の牽引時における始動が良好であり、牽引時における生体器官拡張器具の蛇行、キンクの発生が極めて少ない生体器官拡張器具を提供するものである。
(1) ガイドワイヤルーメンを有する先端側チューブと、基端側チューブと、前記先端側チューブの基端部および前記基端側チューブの先端部が固定されるとともに前記ガイドワイヤルーメンと連通する開口を備える固定チューブと、前記先端側チューブの先端側を被包しかつ前記先端側チューブの基端方向に摺動可能であるステント収納用筒状部材と、該ステント収納用筒状部材内に収納されたステントと、前記ステント収納用筒状部材に一端部が固定され、前記基端側チューブ内を延びるとともに該基端側チューブの基端側に牽引することにより、前記ステント収納用筒状部材を基端側に移動させるための少なくとも一つの牽引ワイヤとを備える生体器官拡張器具であって、
前記先端側チューブは、前記ステント収納用筒状部材内に収納された前記ステントの基端と当接し、該ステントの基端側への移動を規制するステント係止部を備えるものであり、
前記ステントは、略円筒形状に形成され、中心軸方向に圧縮された状態にて前記ステント収納用筒状部材内に収納され、前記ステント収納用筒状部材からの放出時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元するものであり、
前記ステント収納用筒状部材は、前記牽引ワイヤの牽引により前記固定チューブの外面上を基端側に移動するものであり、かつ、基端に固定され、前記基端側への移動時に、前記固定チューブの外面と接触する内面を備える硬質材料製筒状基端部材を備える生体器官拡張器具。
(2) ガイドワイヤルーメンを有する先端側チューブと、基端側チューブと、前記先端側チューブの基端部および前記基端側チューブの先端部が固定されるとともに前記ガイドワイヤルーメンと連通する開口を備える固定チューブと、前記先端側チューブの先端側を被包しかつ前記先端側チューブの基端方向に摺動可能であるステント収納用筒状部材と、該ステント収納用筒状部材内に収納されたステントと、前記ステント収納用筒状部材に一端部が固定され、前記基端側チューブ内を延びるとともに該基端側チューブの基端側に牽引することにより、前記ステント収納用筒状部材を基端側に移動させるための少なくとも一つの牽引ワイヤとを備える生体器官拡張器具であって、
前記先端側チューブは、前記ステント収納用筒状部材内に収納された前記ステントの基端と当接し、該ステントの基端側への移動を規制するステント係止部を備えるものであり、
前記ステントは、略円筒形状に形成され、中心軸方向に圧縮された状態にて前記ステント収納用筒状部材内に収納され、前記ステント収納用筒状部材からの放出時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元するものであり、
前記生体器官拡張器具は、前記ステント収納用筒状部材の基端に近接するように配置されたスライドチューブを備え、該スライドチューブは、前記牽引ワイヤの牽引により前記ステント収納用筒状部材とともに移動し、かつ、前記固定チューブの外面上を基端側に向かって摺動するものであり、さらに、前記スライドチューブは、基端に固定され、前記基端側への移動時に、前記固定チューブの外面と接触する内面を備える硬質材料製筒状基端部材を備える生体器官拡張器具。
(4) 前記ステント収納用筒状部材は、基端部に設けられた小径部を備え、前記スライドチューブは、前記ステント収納用筒状部材の前記小径部の基端部を被包している上記(2)または(3)に記載の生体器官拡張器具。
(5) 前記生体器官拡張器具は、前記スライドチューブ内に収納されかつ該スライドチューブとともに移動するリング状部材を備え、前記牽引ワイヤは、前記リング状部材に固定されている上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
(6) 前記スライドチューブは、前記リング状部材を非固定状態にて収納するとともに回動を許容し、かつ軸方向への移動を実質的に阻止するリング状部材保持部を備えている上記(5)に記載の生体器官拡張器具。
(7) 前記硬質材料製筒状基端部材は、平滑内面を有する金属製筒状部材である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
(8) 前記硬質材料製筒状基端部材は、基端部内面にエッジを持たないものとなっている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
(9) 前記ステント収納用筒状部材は、該ステント収納用筒状部材の内面より内方にかつ基端方向に突出する突出部と、該突出部と前記ステント収納用筒状部材の内面間により形成される空隙部とを備え、前記牽引ワイヤの先端部は、前記空隙部内に侵入し、該空隙部において前記ステント収納用筒状部材に固定されている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
(11) 前記操作部は、操作部ハウジングを備え、前記牽引ワイヤ巻取機構は、前記操作部ハウジングより露出する部分を有する操作用回転ローラを備え、該回転ローラを回転させることにより前記牽引ワイヤを基端側にて巻き取るものである上記(10)に記載の生体器官拡張器具。
(12) 前記操作部は、前記牽引ワイヤ巻取機構の回転を解除可能にロックするロック機構を備えている上記(10)または(11)に記載の生体器官拡張器具。
(13) 前記操作部は、前記牽引ワイヤ巻取機能の前記牽引ワイヤの巻取方向と逆方向への回転を規制する逆回転規制機構を備えている上記(10)ないし(12)のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
(14) 前記牽引ワイヤ巻取機構は、操作用回転ローラと、該操作用回転ローラと同軸的かつ一体的に設けられるとともに、該操作用回転ローラ部より小径の巻取シャフト部を備え、該巻取シャフト部に前記牽引ワイヤの基端部が固定されている上記(10)ないし(13)のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
図1は、本発明の実施例の生体器官拡張器具の部分省略外観図である。図2は、図1の生体器官拡張器具の先端部の拡大外観図である。図3は、図2のA−A線断面図である。図4は、図2のB−B線断面拡大図である。図5は、図2のC−C線断面拡大図である。
先端側チューブ2は、ステント収納用筒状部材5内に収納されたステント3の基端と当接し、ステントの基端側への移動を規制するステント係止部22を備える。
ステント収納用筒状部材5は、牽引ワイヤ6の牽引により固定チューブ8の外面上を基端側に移動するものであり、かつ、基端に固定され、基端側への移動時に、固定チューブ8の外面と接触する内面を備える硬質材料製筒状基端部材54を備えている。
そして、この実施例の生体器官拡張器具1は、基端側チューブ4の基端部には、牽引ワイヤ6を巻き取り、ステント収納用筒状部材5を基端側に移動させるための牽引ワイヤ巻取機構を備えている。
先端側チューブ2は、図1ないし図5に示すように、先端から基端まで貫通するガイドワイヤルーメン21を有するチューブ体であり、先端に固定された先端部材25により形成された先端部を有しているとともに、先端開口25aを備えている。なお、先端部は、先端側チューブと一体に形成してもよい。そして、先端側チューブ2は、基端において、基端側チューブ4の先端に固定されている。また、先端側チューブ2の基端部(この実施例では基端)に、基端側開口23を備えている。また、先端側チューブ2の基端部は、図3に示すように、湾曲している。そして、基端側開口23は、図1ないし図3に示すように、基端側に向かって傾斜するように斜めに形成されている。これにより、ガイドワイヤの誘導を容易にしている。
そして、先端部材25は、ステント収納用筒状部材5の先端より先端側に位置し、かつ、図1ないし図3に示すように、先端に向かって徐々に縮径するテーパー状に形成されていることが好ましい。このように形成することにより、狭窄部への挿入を容易なものとする。また、先端側チューブ2は、ステント3よりも先端側に設けられ、ステント収納用筒状部材の先端方向への移動を阻止するストッパーを備えることが好ましい。この実施例では、先端部材25の基端は、ステント収納用筒状部材5の先端と当接可能なものとなっており、上記のストッパーとして機能している。
なお、先端部材(先端部)25の最先端部の外径は、0.5mm〜1.8mmであることが好ましい。また、先端部材(先端部)25の最大径部の外径は、0.8〜4.0mmであることが好ましい。さらに、先端側テーパー部の長さは、2.0〜20.0mmが好ましい。
基端側チューブ4としては、長さが300mm〜1500mm、より好ましくは、1000〜1300mmであり、外径が0.5〜1.5mm、好ましくは0.6〜1.3mmであり、内径が0.3〜1.4mm、好ましくは0.5〜1.2mmである。
固定チューブ8は、先端方向に伸びかつステント収納用筒状部材5の基端側への移動時に、ステント収納用筒状部材5内に侵入可能な先端側固定チューブ81を備えている。そして、先端側固定チューブ81の長さは、ステント3の全長より長いものとなっている。なお、この実施例の生体器官拡張器具1では、基端側固定チューブ82の先端部に、それより小径の先端側固定チューブ81が固定された状態となっている。なお、先端側固定チューブ81は、基端側固定チューブ82と一体に形成されたものであってもよい。なお、先端側固定チューブ81の外径は、後述するステント収納用筒状部材5内に侵入可能な外径を有するものとなっている。また、先端側固定チューブ81は、図3に示すように、ほぼ同一外径および内径にて延びる筒状部となっている。
そして、ステント収納用筒状部材5の基端には、図3に示すように、ステント収納用筒状部材5の基端側への移動時に、固定チューブ8(具体的には、先端側固定チューブ81)の外面と接触する内面を備える硬質材料製筒状基端部材54が固定されている。
また、この実施例では、図3に示すように、硬質材料製筒状基端部材54の内径は、ステント収納用筒状部材5(具体的には、基端側筒状部52)の内径より、若干小さいものとなっている。このため、ステント収納用筒状部材5は、基端側への移動時に、固定チューブ8(具体的には、先端側固定チューブ81)の外面に実質的に接触(摺接)しない状態にて移動可能となっている。
そして、このステント収納用筒状部材5は、ステント収納用筒状部材5の軸方向の中間部の内面より内方にかつ基端方向に突出する突出部51aと、突出部51aとステント収納用筒状部材5の内面間により形成される空隙部53とを備える。牽引ワイヤ6(6a、6b)の先端部69(69a,69b)は、空隙部53内に侵入し、空隙部53においてステント収納用筒状部材5に固定されている。そして、突出部51aとしては、ステント収納用筒状部材5の軸方向の中間部の内面より内方にかつ基端方向に突出する環状突出部であり、空隙部は、環状突出部とステント収納用筒状部材の内面間により形成される基端側が開口した環状空隙部であることが好ましい。
そして、上述したように、固定チューブ8は、先端側固定チューブ81を備えている。先端側固定チューブ81の先端部は、ステント収納用筒状部材5の基端部材54内に侵入し、さらに基端側筒状部52内に侵入している。また、図2および図3に示すように、この生体器官拡張器具1では、複数(具体的には、2本)の牽引ワイヤ6a,6bを備えており、牽引ワイヤ6a、6bは、上述した筒状部材5が備える空隙部53において、固定点69a、69bにより、ステント収納用筒状部材5の内側に固定されている。また、牽引ワイヤ6a,6bおよびこの固定点69a、69bは、所定長離間している。
具体的には、この実施例の生体器官拡張器具1では、ガイドチューブ部49は、先端側チューブ2を部分的に被包するように設けられたチューブ49により構成されている。このチューブ49は、先端側チューブ2に固定されていない。なお、ガイドチューブ部は、先端側チューブに固定してもよく、また、先端側チューブと一体に形成してもよい。そして、このガイドチューブ部49の外面と上述したステント収納用筒状部材5の突出部51aの内面は、若干離間する程度に近接している。このガイドチューブ部49を設けることにより、牽引ワイヤの牽引によるステント収納用筒状部材5の基端方向への移動時におけるステント収納用筒状部材5と先端側チューブの変形を防止し、ステント収納用筒状部材5の移動を良好なものとする。
また、ステント収納用筒状部材5は、上記のようなポリマーの2層構造(例えば、外面はナイロン、内面はPTFE)の組み合わせで形成しても良い。
そして、図3に示すように、先端側チューブ2の基端部には、プライミング用開口28a、28bが設けられている。そして、この開口28a、28bを用いることにより、固定チューブ8内、およびステント収納用筒状部材5の基端側部分内の空気をプライミング液と置換するプライミングを行うことができるようになっている。
ステントの形成材料としては、合成樹脂または金属が使用される。合成樹脂としては、ある程度の硬度と弾性を有するものが使用され、生体適合性合成樹脂が好ましい。具体的には、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート),フッ素樹脂(例えば、PTFE、ETFE)、若しくは生体内吸収材料であるポリ乳酸、ポリグリコール酸、又はポリ乳酸とポリグリコール酸の共重合体などである。また、金属としても生体適合性を有するものが好ましく、例えば、ステンレス、タンタル、ニッケルチタン合金などがある。特に、超弾性金属が好ましい。ステント3は、全体において物性の急激な変更点が形成されることなく一体に形成されていることが好ましい。ステントは、例えば、留置される生体内部位に適合した外径を有する金属パイプを準備し、金属パイプの側面を、切削加工(例えば、機械的切削、レーザ切削)、化学エッチングなどにより部分的に除去して、側面に複数の切欠部または複数の開口を形成することにより作製される。
フレーム体30は、外径が2.0〜30mm、好ましくは、2.5〜20mm、内径が1.4〜29mm、好ましくは1.6〜28mmのものであり、長さは、10〜150mm、より好ましくは15〜100mmである。
また、本発明の生体器官拡張器具に使用されるステントは、略円筒形状に形成された縮径可能なステント本体と、ステント本体の側面を封鎖する筒状カバー(図示せず)を備えるものであってもよい。
この実施例の生体器官拡張器具1では、牽引ワイヤ6は、図1に示すように、基端側チューブ4を貫通し、基端側チューブの基端より延出するものとなっている。
また、牽引ワイヤ6の形成材料としては、ステンレス鋼線(好ましくは、バネ用高張力ステンレス鋼)、ピアノ線(好ましくは、ニッケルメッキあるいはクロムメッキが施されたピアノ線)、または超弾性合金線、Ni−Ti合金、Cu−Zn合金、Ni−Al合金、タングステン、タングステン合金、チタン、チタン合金、コバルト合金、タンタル等の各種金属により形成された線材や、ポリアミド、ポリイミド、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系樹脂等の比較的高剛性の高分子材料、あるいは、これらを適宜組み合わせたものが挙げられる。
また、牽引ワイヤの側面に滑性を増加させる低摩擦性樹脂を被覆してもよい。低摩擦性樹脂としては、フッ素系樹脂、ナイロン66、ポリエーテルエーテルケトン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。この中でも、フッ素系樹脂がより好ましい。フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレンテトラフルオロエチレン、パーフロロアルコキシ樹脂等が挙げられる。またシリコンや各種親水性樹脂によるコーティングであってもよい。
また、剛性付与体11の先端側チューブ2への固定部11aは、先端側固定チューブ81より若干先端側となっている。また、剛性付与体11の先端側チューブ2への固定部11aは、ガイドチューブ49の基端より若干基端側となっている。そして、剛性付与体11は、基端部にて基端側チューブ4の基端部もしくは後述する操作部10に固定されていることが好ましい。このような剛性付与体11を設けることにより、牽引部材(牽引ワイヤ)の牽引時における生体器官拡張器具の変形を抑制できる。また、剛性付与体11の先端11bは、固定部11aによる固定を確実にするために、平坦部となるように形成してもよい。さらに、側面に波状部分を形成して固定部材からの抜け止めを設けてもよい。
また、剛性付与体11としては、本体側部分(具体的には、基端側チューブ内となる部分)が剛性が高く(例えば、線径が太い)、先端側部分が剛性が低い(具体的には、線径が細い)ものであることが好ましい。さらに、両者の変化点は、線径がテーパー状に変形するテーパー部11cとなっていることが好ましい。
また、剛性付与体11の形成材料としては、ステンレス鋼線(好ましくは、バネ用高張力ステンレス鋼)、ピアノ線(好ましくは、ニッケルメッキあるいはクロムメッキが施されたピアノ線)、または超弾性合金線、Ni−Ti合金、Cu−Zn合金、Ni−Al合金、タングステン、タングステン合金、チタン、チタン合金、コバルト合金、タンタル等の各種金属により形成された線材が挙げられる。また、剛性付与体11は、牽引部材(牽引ワイヤ)より、硬質であることが好ましい。
図8は、本発明の他の実施例の生体器官拡張器具の先端部の拡大外観図である。 図9は、図8に示した実施例の生体器官拡張器具の先端部の拡大断面図である。図10は、図8のD−D線拡大断面図である。図11は、図8のE−E線断面拡大図である。図12は、図8のF−F線断面拡大図である。図13は、図8に示した実施例の生体器官拡張器具の固定チューブの基端側部分付近の拡大断面図である。図14は、本発明の他の実施例の生体器官拡張器具の先端部の拡大断面図である。
先端側チューブ2、基端側チューブ4、ステント3、牽引ワイヤ6a,6bとしては、上述したものと同じである。
基端側チューブ4は、上述した実施例と同様に、先端から基端まで貫通したチューブ体であり、基端に固定された操作部10を備えている。基端側チューブ4の先端部は、図13に示すように、固定チューブ108に、固定部材184により、接合されている。基端側チューブ4は、内部に牽引ワイヤ6を挿通可能な牽引ワイヤ用ルーメンを備えている。
そして、このステント収納用筒状部材105は、基端部に設けられた小径部(縮径部)151aを備える筒状部材本体部151と、この小径部151aを被包するように設けられた筒状部152を備えている。なお、小径部151aの基端部は、筒状部152より突出している。具体的には、牽引ワイヤ6(6a、6b)の先端部69(69a,69b)は、小径部151aと筒状部152間に形成された空隙内に侵入し、空隙に充填された固定剤153により、ステント収納用筒状部材105に固定されている。小径部151aは、外径が基端側に向かって縮径するテーパー部とこのテーパー部より基端側に延びる短い円筒部を備えている。そして、筒状部材本体部151の縮径部151aを被包するように筒状部152は、筒状部材本体部151の基端部に固定されている。このため、筒状部材本体部151の小径部151aは、ステント収納用筒状部材105の内方かつ基端方向に突出する環状突出部を構成している。そして、この環状突出部とステント収納用筒状部材105(具体的には、基端側筒状部の先端部)内面間により、環状空隙部が形成されている。そして、この実施例では、牽引ワイヤ6(6a、6b)の先端部69(69a,69b)は、小径部151aの外面にて固定されている。そして、この空隙部には、接着剤が充填されており、筒状部材本体部151と基端側筒状部152を一体化している。また、環状空隙部に充填された固定剤等により、後述する牽引ワイヤ6(6a,6b)の先端部(固定点)69(69a,69b)は、ステント収納用筒状部材105に固定されている。固定剤としては、エポキシ樹脂、紫外線硬化樹脂、シアノアクリレート系樹脂などの接着剤を用いることが好ましいが、熱融着であってもよい。
なお、ステント収納用筒状部材105としては、上述したような筒状部材本体部151と基端側筒状部152からなるものに限定されるものではなく、一体物であってもよい。
そして、この実施例における生体器官拡張器具100では、スライドチューブ107内に非固定状態にて収納されかつスライドチューブ107とともに移動するリング状部材175を備え、牽引ワイヤ6a,6bは、リング状部材175の内面に固定されている。そして、スライドチューブ107は、リング状部材175の回動を許容し、かつ軸方向への移動を実質的に阻止するリング状部材保持部を備えている。このように、リング状部材175が、スライドチューブ107に対して、回動可能であることにより、スライドチューブ107の回動に対して、リング状部材175、牽引ワイヤの固定部および牽引ワイヤ自体も追従しにくいものとなる。
そして、この生体器官拡張器具100では、先端側固定チューブ181の外側をスライドチューブ107がスライドするものとなっている。上述したように、スライドチューブ107は、縮径先端部を除き同一外径となっている。そして、スライドチューブ107の基端には、図9に示すように、スライドチューブ107の基端側への移動時に、固定チューブ108(具体的には、先端側固定チューブ181)の外面と接触する内面を備える硬質材料製筒状基端部材54が固定されている。
また、この実施例では、図9に示すように、硬質材料製筒状基端部材54の内径は、スライドチューブ107(具体的には、スライドチューブ107の縮径先端部除く本体部分)の内径より、若干小さいものとなっている。このため、スライドチューブ107は、基端側への移動時に、固定チューブ108(具体的には、先端側固定チューブ181)の外面に実質的に接触(摺接)しない状態にて移動可能となっている。
さらに、この実施例では、図9に示すように、固定チューブ108の先端側部分、具体的には、先端側固定チューブ181は、そのほぼ全体にわたり補強層185を備えている。補強層としては、網目状のもの、螺旋状のものなどが好ましい。特に、網目状補強層であることが好ましい。網目状補強層としては、金属細線により網状に形成されたものが好適である。金属細線としては、ステンレス鋼が好ましい。さらに、図9に示すように、基端側固定チューブ182との接続部となる部分には、補強層が存在しないものとすることが好ましい。
なお、固定チューブ108は、上述した生体器官拡張器具100のように、先端側固定チューブ181と基端側固定チューブ182とを備えるものではなく、一体に形成された固定チューブとなっているものであってもよい。
先端側チューブ2の基端部には、図13に示すように、その基端部を収納した筒状固着部材183が設けられており、また、基端チューブ4の先端には、筒状固定部材184が設けられている。そして、図13および図12に示すように、基端側固定チューブ182に、筒状固着部材183および筒状固定部材184が固着されている。
さらに、ステント収納用筒状部材105の外面、硬質材料製筒状基端部材54の内面には、潤滑性を呈するようにするための処理を施すことが好ましい。潤滑性を呈するようにするための処理については、上述したとおりである。
さらに、この実施例の生体器官拡張器具100では、図13および図12に示すように、剛性付与体11は、固定チューブ108に固定される筒状固定部材184にも固定されている。筒状固定部材184には、図13に示すように、軸方向に所定長のびる剛性付与体固定部184aが形成されている。このように、剛性付与体11の先端部を2カ所において固定することにより、剛性付与体11の先端部による強い補強効果を発揮する。
剛性付与体11としては、上述したものと同じである。
この生体器官拡張器具110では、牽引ワイヤ6a、6bは、スライドチューブ107aの内面に固定されている。
そして、この実施例におけるスライドチューブ107aは、生体器官拡張器具100が備えるスライドチューブ内に非固定状態にて収納されたリング状部材175を備えないものとなっている。具体的には、図14に示すように、スライドチューブ107aは、スライドチューブ本体171と、その縮径先端部に固定された先端側部材を備えている。そして、この実施例では、スライドチューブ107aの先端側部材は、第1の筒状部材172とこの第1の筒状部材172とほぼ同じ外径および内径を備える第2の筒状部材173とから構成される外側チューブ部と、第1の筒状部材172の基端部および第2の筒状部材173の先端部内に配置された第3の筒状部材174により構成される内側チューブ部と、外側チューブと内側チューブを固定する、言い換えれば、第1の筒状部材172と第2の筒状部材173と第3の筒状部材174を固着する固着部176とを備えている。そして、牽引ワイヤ6a、6bは、固着部176により固定されるとともに、固着部を通過している。これにより、牽引ワイヤ6a、6bは、直接、スライドチューブ107に固定されている。この実施例においても、牽引ワイヤ6a,6bの牽引時の力は、固定点69a、69bとスライドチューブ107aとの固定部に分散されるため、固定点69a、69bにおける牽引ワイヤ6a,6bとステント収納用筒状部材105間の固定が解除されることを確実に防止する。
図16は、本発明の生体器官拡張器具の操作部付近の拡大正面図である。図17は、図16に示した生体器官拡張器具の操作部付近の拡大背面図である。図18は、図16に示した生体器官拡張器具の操作部の内部構造を説明するための説明図である。図19は、図16に示した生体器官拡張器具の操作部分のみの右側面図である。図20は、図16に示した生体器官拡張器具の操作部の内部構造を説明するための説明図である。
操作部10は、図16ないし図20に示すように、操作部ハウジング50を備える。操作部ハウジング50は、第1ハウジング50aと第2ハウジング50bにより構成されている。操作部ハウジング50は、基端側および中央部が屈曲しかつ丸みを帯びた形状となっており、把持しやすく、かつ、把持した状態におけるローラの操作を容易なものとしている。
そして、この実施例では、巻取シャフト部63は、回転ローラ61と同軸となるように一体化されている。さらに、図16、図18および図19に示すように、巻取シャフト部63は、回転ローラ61の一方の側面側に設けられている。そして、回転ローラ61を回転させることにより、巻取シャフト部63も同時に回転する。そして、回転ローラの回転操作量に比べて、牽引ワイヤの巻取量が少ないことが好ましい。このようにすることにより、ゆっくりとした巻取を行うことができ、ステント収納用筒状部材の基端側への移動もゆっくりかつ良好なものとなる。この実施例では、巻取シャフト部の外径は、回転操作用ローラより小径となっているため、回転ローラの回転操作量に比べて、牽引ワイヤの巻取量が少ないものとなっている。
なお、回転ローラと巻取シャフト部は、このような一体的なものに限定されるものではなく、回転ローラが回転することにより、追従して回転する別部材により構成したものであってもよい。回転ローラの回転の伝達方式としては、ギア形式のもの、ベルト形式などどのようなものであってもよい。また、ローラ61の操作する際に接触する可能性のある表面部位は、滑りにくい表面となっていることが好ましい。例えば、ローラ61の操作する際に接触する可能性のある表面部位には、ローレット処理、エンボス処理、高摩擦材料被覆などを行うことが好ましい。
操作用回転ローラ61は、図16ないし図18に示すように、同軸にかつ一体的に回動するように設けられた歯車部62を備えている。さらに、図17、図19に示すように、歯車部62は、回転ローラ61の他方の側面側(言い換えれば、巻取シャフト部63が設けられた面と反対側の面)に設けられている。よって、歯車部62と巻取シャフト部63は、操作用ローラ部が構成する壁により仕切られた状態となっている。
また、操作用回転ローラ61は、部分的に開口部より露出しており、この部分が操作部となる。そして、回転ローラは、一方の側面(具体的には、歯車部の側面)に設けられた回転軸の他端64aおよび他方の側面(具体的には、巻取シャフトの側面)に設けられた回転軸の一端64bを備えている。
さらに、この実施例の操作部では、上記の付勢手段80と上述した歯車部62により、牽引ワイヤ巻取機能の牽引ワイヤの巻取方向と逆方向への回転を規制する逆回転規制機構が構成されている。
そして、操作部10が備えるカラー部材12は、一端部がピン13により軸支されているとともに、他端側のカラー部14は、巻取シャフト部63を収納するとともに、巻取シャフト部63との間に環状空間を形成する。この環状空間はあまり大きな空間ではなく、巻き取ったワイヤの外面間により狭小な環状空間を形成するものである。
まず、図1および図2に示す生体器官拡張器具の先端部材の開口部25aに、多くの場合は既に体内に留置されているガイドワイヤの末端を挿入し、開口23よりガイドワイヤ(図示せず)を出す。次に、生体内に挿入されているガイディングカテーテル(図示せず)内に挿入し、ガイドワイヤに沿わせて生体器官拡張器具1を押し進め、目的とする狭窄部内にステント収納用筒状部材5のステント収納部位を位置させる。
次に、操作部10の操作用回転ローラ61を押圧した後、ローラを図18の矢印方向に回転させる。これにより、牽引ワイヤ6は、巻取シャフト63の外周面に巻き取られるとともに、ステント収納用筒状部材5は、軸方向基端側に移動する。この時、ステント3はその後端面が先端側チューブ2のステント基端部係止部22の先端面に当接し係止されるので、ステント収納用筒状部材5の移動に伴って、ステント収納用筒状部材5の先端開口より放出される。この放出により、ステント3は、図7に示すように、自己拡張し狭窄部を拡張するとともに狭窄部内に留置される。
2 先端側チューブ
3 ステント
4 基端側チューブ
5 ステント収納用筒状部材
6(6a,6b) 牽引ワイヤ
10 操作部
11 剛性付与体
Claims (14)
- ガイドワイヤルーメンを有する先端側チューブと、基端側チューブと、前記先端側チューブの基端部および前記基端側チューブの先端部が固定されるとともに前記ガイドワイヤルーメンと連通する開口を備える固定チューブと、前記先端側チューブの先端側を被包しかつ前記先端側チューブの基端方向に摺動可能であるステント収納用筒状部材と、該ステント収納用筒状部材内に収納されたステントと、前記ステント収納用筒状部材に一端部が固定され、前記基端側チューブ内を延びるとともに該基端側チューブの基端側に牽引することにより、前記ステント収納用筒状部材を基端側に移動させるための少なくとも一つの牽引ワイヤとを備える生体器官拡張器具であって、
前記先端側チューブは、前記ステント収納用筒状部材内に収納された前記ステントの基端と当接し、該ステントの基端側への移動を規制するステント係止部を備えるものであり、
前記ステントは、略円筒形状に形成され、中心軸方向に圧縮された状態にて前記ステント収納用筒状部材内に収納され、前記ステント収納用筒状部材からの放出時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元するものであり、
前記ステント収納用筒状部材は、前記牽引ワイヤの牽引により前記固定チューブの外面上を基端側に移動するものであり、かつ、基端に固定され、前記基端側への移動時に、前記固定チューブの外面と接触する内面を備える硬質材料製筒状基端部材を備えることを特徴とする生体器官拡張器具。 - ガイドワイヤルーメンを有する先端側チューブと、基端側チューブと、前記先端側チューブの基端部および前記基端側チューブの先端部が固定されるとともに前記ガイドワイヤルーメンと連通する開口を備える固定チューブと、前記先端側チューブの先端側を被包しかつ前記先端側チューブの基端方向に摺動可能であるステント収納用筒状部材と、該ステント収納用筒状部材内に収納されたステントと、前記ステント収納用筒状部材に一端部が固定され、前記基端側チューブ内を延びるとともに該基端側チューブの基端側に牽引することにより、前記ステント収納用筒状部材を基端側に移動させるための少なくとも一つの牽引ワイヤとを備える生体器官拡張器具であって、
前記先端側チューブは、前記ステント収納用筒状部材内に収納された前記ステントの基端と当接し、該ステントの基端側への移動を規制するステント係止部を備えるものであり、
前記ステントは、略円筒形状に形成され、中心軸方向に圧縮された状態にて前記ステント収納用筒状部材内に収納され、前記ステント収納用筒状部材からの放出時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元するものであり、
前記生体器官拡張器具は、前記ステント収納用筒状部材の基端に近接するように配置されたスライドチューブを備え、該スライドチューブは、前記牽引ワイヤの牽引により前記ステント収納用筒状部材とともに移動し、かつ、前記固定チューブの外面上を基端側に向かって摺動するものであり、さらに、前記スライドチューブは、基端に固定され、前記基端側への移動時に、前記固定チューブの外面と接触する内面を備える硬質材料製筒状基端部材を備えることを特徴とする生体器官拡張器具。 - 前記スライドチューブは、前記ステント収納用筒状部材に固定されていないものである請求項2に記載の生体器官拡張器具。
- 前記ステント収納用筒状部材は、基端部に設けられた小径部を備え、前記スライドチューブは、前記ステント収納用筒状部材の前記小径部の基端部を被包している請求項2または3に記載の生体器官拡張器具。
- 前記生体器官拡張器具は、前記スライドチューブ内に収納されかつ該スライドチューブとともに移動するリング状部材を備え、前記牽引ワイヤは、前記リング状部材に固定されている請求項2ないし4のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
- 前記スライドチューブは、前記リング状部材を非固定状態にて収納するとともに回動を許容し、かつ軸方向への移動を実質的に阻止するリング状部材保持部を備えている請求項5に記載の生体器官拡張器具。
- 前記硬質材料製筒状基端部材は、平滑内面を有する金属製筒状部材である請求項1ないし6のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
- 前記硬質材料製筒状基端部材は、基端部内面にエッジを持たないものとなっている請求項1ないし7のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
- 前記ステント収納用筒状部材は、該ステント収納用筒状部材の内面より内方にかつ基端方向に突出する突出部と、該突出部と前記ステント収納用筒状部材の内面間により形成される空隙部とを備え、前記牽引ワイヤの先端部は、前記空隙部内に侵入し、該空隙部において前記ステント収納用筒状部材に固定されている請求項1ないし8のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
- 前記基端側チューブの基端部には、前記牽引ワイヤを巻き取り、前記ステント収納用筒状部材を基端側に移動させるための牽引ワイヤ巻取機構を備える操作部を有する請求項1ないし9のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
- 前記操作部は、操作部ハウジングを備え、前記牽引ワイヤ巻取機構は、前記操作部ハウジングより露出する部分を有する操作用回転ローラを備え、該回転ローラを回転させることにより前記牽引ワイヤを基端側にて巻き取るものである請求項10に記載の生体器官拡張器具。
- 前記操作部は、前記牽引ワイヤ巻取機構の回転を解除可能にロックするロック機構を備えている請求項10または11に記載の生体器官拡張器具。
- 前記操作部は、前記牽引ワイヤ巻取機能の前記牽引ワイヤの巻取方向と逆方向への回転を規制する逆回転規制機構を備えている請求項10ないし12のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
- 前記牽引ワイヤ巻取機構は、操作用回転ローラと、該操作用回転ローラと同軸的かつ一体的に設けられるとともに、該操作用回転ローラ部より小径の巻取シャフト部を備え、該巻取シャフト部に前記牽引ワイヤの基端部が固定されている請求項10ないし13のいずれかに記載の生体器官拡張器具。
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