JP2008271999A - 電気機器絶縁油中のpcb無害化方法及び電気機器絶縁油の浄化方法 - Google Patents

電気機器絶縁油中のpcb無害化方法及び電気機器絶縁油の浄化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電気機器のPCBなど有害物質含有絶縁油を無害化し、絶縁油の再使用を可能にした。
【解決手段】PCB含有絶縁油を変圧器から密閉系に送出する手順(S1)と、その密閉系の途中で絶縁油を、絶縁油と混和しない極性溶媒で洗浄し、PCBを極性溶媒に溶解し抽出する手順(S2)で、変圧器本体内の細部に付着したPCBも極性溶媒に抽出されてくる。その後、PCBが抽出された極性溶媒に、無極性で極性溶媒と混和しない溶媒に接触させ、極性溶媒中のPCBを無極性溶媒に移動させる手順(S3)と、この無極性溶媒を、エタノールなどのアルコールに投入する手順(S4)と、その溶媒を撹拌しながら低圧水銀ランプで紫外線を照射する手順(S6)で、PCBを分解させる。その際、アルコール中には金属カルシウムまたは金属マグネシウムを適量添加する手順(S5)を用いる。
【選択図】図1

Description

この発明は、電気機器中の低濃度PCB含有絶縁油のPCBを分解して無害化する方法及び電気機器絶縁油の浄化方法に関するものである。
近年、概ね、1%以下のPCB(ポリ塩素化ビフェニル)を含有する絶縁油が使用されている変圧器などの電気機器の存在が明らかになり、社会問題となっている。絶縁油中の微量PCB分解処理方法には、焼却法以外に、脱塩素化分解法、水熱酸化分解法、還元熱化学分解法、光分解法、プラズマ分解法などが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3参照)。
また、変圧器などの絶縁油を変圧器から抜き取り、PCBを分解法により処理して無害化する方法も知られている(例えば、特許文献4、特許文献5および特許文献6参照)。
上述の各分解法の中で、光分解法(紫外線照射法)以外は、高温や高圧環境が必要なために装備が大掛かりで、かつ、いずれもバッチ処理であるために、分解処理後の絶縁油を再使用することができない問題がある。
上記の他、PCB含有の電気機器の絶縁油中のPCB分解除去方法には、溶剤による洗浄と真空加熱による分離方法が使用されるが、いずれもPCBの除去(洗浄)前に電気機器を解体する必要があり、また、PCBおよびPCBを含む洗浄剤やガスの拡散防止のための装備が大掛かりである。
さらに、電気機器絶縁油は、使用中に水分や塩分、鉄心やコイル腐食片などが混入し、汚損するだけでなく、絶縁特性の低下が起こる。また、PCBなどの有害物質を含有する場合もある。
これら使用中や使用後の電気機器絶縁油は、抜き取って交換するが、絶縁油を完全に抜き取ることができないため、初期の絶縁特性まで回復することができない。特に、PCBなどの有害物質を含有する場合には、完全には抜き取ることができない残留した油中に有害物質が残存しており、輸送や解体時などの安全性が確保できない。
このため、電気機器内の絶縁油を完全に浄化し、電気機器あるいは絶縁油として継続して使用できるよう回復させることの技術が要望されている(特許文献7参照)。
特開2003−306451号公報 特開2005−066328号公報 特開2005−161040号公報 特開2005−197461号公報 特開2005−203523号公報 特開2005−203534号公報 特開2001−279290号公報
変圧器やコンデンサなどの絶縁油を使用する電気機器は、絶縁油を交換しても完全に抜き取ることができない。特に、内部に絶縁紙を多く収納しているコンデンサでは、絶縁油は封入量の約50%しか抜き取ることができない。このため、電気機器から抜き出した絶縁油を無害化するだけでは、電気機器自体に付着したPCBなどの有害物質を除去することができず、電気機器を廃棄することができない問題がある。また、絶縁油の交換では、有害物質が希釈されるだけで浄化されず、水や有機酸といった絶縁性能を低下させる物質も残るため、新油のような絶縁特性が得られない。
従って、電気機器内のPCBなどの有害物質を除去するために、電気機器を解体し、洗浄または加熱する場合や絶縁油を抜き取った電気機器を処分のために解体する場合に、解体時に有害物質が残留していると大変危険となる問題がある。
このため、電気機器を解体しないで、絶縁油中のPCBを除去し、電気機器として再生する技術が要求されているが、これまで、このような要求の実現方法は行われていなかった。また、抜き取った絶縁油は、前述したように焼却法、光分解法などで無害化する方法を採るが、光分解法以外は、高温や高圧環境が必要なために装備が大掛かりとなるとともに、いずれもバッチ処理であり、連続処理することができない問題がある。
特に、電気機器で使用されている絶縁油中のPCBの無害化方法には、上述した焼却法以外にもいくつかあるが、いずれもPCBの処理工程でアルカリを添加するため、主成分である絶縁油も分解され、絶縁油として再使用することができない不具合がある。また、特許文献7に示されたようにPCB含有絶縁油の処理工程で水素ガスを使用する場合は、水素ガスは引火性が高いため、取り扱いに非常に注意が必要となる。
なお、電気機器本体は継続して使用することが可能であっても、絶縁油中にPCBが混入していることが判明して、その電気機器を処分しなければならない場合には、その電気機器の処分費用に加えて交換費用などが発生し、経済的損失が大きくなる問題もある。
この発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、電気機器で使用中あるいは使用後のPCBなど有害物質含有絶縁油を、電気機器本体に接続した密閉系を介して循環させながら確実に有害物質を無害化し、絶縁油の再使用を可能にした電気機器絶縁油中のPCB無害化方法及び電気機器絶縁油の浄化方法を提供することを課題とする。
この発明は、上記の課題を達成するために、第1発明は、電気機器で使用中のあるいは使用後の電気絶縁油を、電気機器本体から抜き出すことなく、密閉系で絶縁油中のPCBを無害化する方法において、前記電気絶縁油中のPCBを、ポンプにより密閉系内で循環させて極性溶媒に接触させ、その極性溶媒にPCBを抽出し、PCBを抽出した極性溶媒から無極性溶媒にPCBを移動させ、無極性溶媒をアルコールに投入して金属カルシウムまたは金属マグネシウム共存下で紫外線を照射させてPCBを分解させることを特徴とする方法である。
第2発明は、前記照射する紫外線が、254nmを含む200〜300nmの範囲であることを特徴とする方法である。
第3発明は、前記PCBを抽出した極性溶媒から無極性溶媒に、バッチ式または連続式にPCBを移動させることを特徴とする方法である。
第4発明は、前記無極性溶媒が、常温かつ液体で不飽和結合を持たない溶媒を使用することを特徴とする方法である。
第5発明は、紫外線照射時の溶媒が、常温かつ液体で不飽和結合を持たないアルコールからなることを特徴とする方法である。
第6発明は、電気機器で使用中のあるいは使用後の電気絶縁油を、電気機器本体から抜き出すことなく、密閉系で絶縁油を浄化する方法において、前記電気絶縁油を、前記電気機器本体から第1フィルタを介してポンプにより極性溶媒を有する浄化槽に導き、その浄化槽で絶縁油を浄化した後、第2フィルタを介して前記電気機器本体内に戻すことを特徴とする方法である。
第7発明は、前記第1フィルタが、絶縁油中の固形物を除去する物理フィルタであり、第2フィルタが、浄化液を除去する撥水フィルタで構成することを特徴とする方法である。
以上述べたように、この発明によれば、変圧器やコンデンサなどの電気機器本体で使用されているPCB含有絶縁油を、高温高圧などを必要としない条件の基で確実に無害化することができ、これにより、絶縁油中のPCBを安全に除去でき、また、PCBなどの有害物質を機器本体から抜き出すことなく、密閉系で絶縁油中のPCBを除去することでき、絶縁油を抜き取りや機器本体を解体するときのPCBによる危険を防止することができ、しかも、有害物質を含む絶縁油を含有する機器本体を小規模な設備で簡便に再生することができ、機器本体の交換費用が不要となり、経済的に有利になるなどの効果が得られる。
また、この発明によれば、使用後及び使用中の電気機器本体の絶縁油を簡便かつ安価な方法で浄化することができる。これによって、使用中の電気機器本体の絶縁油の絶縁特性を回復することができ、PCBなどの有害物質を機器本体から抜き取ることなく絶縁油から除去することができ、絶縁油の抜き取り、機器本体の運搬や解体の際の危険を回避することができ、しかも、有害物質を含む絶縁油が含有される電気機器として交換する必要がなくなり、経済的な効果がある。
この他、絶縁特性の低下した使用後の絶縁油(廃油)や有害物質を含有する使用後の絶縁油(廃油)を、再生絶縁油として使用できるように簡便かつ安価に浄化できるとともに、燃料油として使用できるように簡便かつ安価に浄化できるなど種々の利点がある。
以下この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[実施の第1形態]
図1は実施の第1形態のPCB分解方法のフローで、図1において、低濃度のPCB(概ね1%以下)を含む絶縁油が入った変圧器から、その絶縁油をポンプにより順次連続で密閉系に送出する(手順S1)。この密閉系の途中で絶縁油を、ジメチルスルホキシド(DMSO)など絶縁油と混和しない極性有機溶媒で洗浄する。
このとき、PCBは極性有機溶媒に溶解し、その溶媒にPCBが抽出される(手順S2)。この手順動作を繰り返し行うことによって、変圧器に戻る絶縁油中には、PCBが含まれなくなって、絶縁油が変圧器に戻る。
上記のような手順で、変圧器本体内の絶縁油中のPCB濃度は,順次低下し、絶縁油のPCB基準濃度である0.5mg/kgを下回るようになる。このような循環動作により、変圧器本体内部の絶縁油は平衡化するため、変圧器本体内の細部に付着したPCBも極性有機溶媒に抽出されてくる。
その後、PCBが抽出された極性有機溶媒に、ヘキサンなど無極性で極性有機溶媒と混和しない溶媒に接触させ、極性有機溶媒中のPCBを無極性溶媒に移動させる(手順S3)。この無極性溶媒を、エタノールなどのアルコールに投入する(手順S4)。その後、無極性溶媒を撹拌しながら低圧水銀ランプで紫外線(UV250nm)を照射し(手順S6)、PCBを紫外線で分解させる。その際、アルコール中には金属カルシウムまたは金属マグネシウムを適量添加する(手順S5)。
この結果、初期に4.3mg/Lあった5塩素化PCBは、図2に示す金属カルシウム添加PCB抽出エタノール溶液の紫外線照射による5塩素化PCBの総量濃度変化特性図から紫外線照射120分で90%以上分解減少したことが明らかになった。
次の表1は、金属カルシウム添加PCB抽出エタノール溶液の紫外線照射による分解経過毎の5塩素化PCBの濃度および分解率を示す。なお、表1において、上段部分は、実施の第1形態による濃度、分解率を示すものであり、下段部分は、後述する実施の第2形態による濃度、分解率を示すものである。
Figure 2008271999
絶縁油を洗浄する極性溶媒としては、ジメチルスルホキシドだけでなく、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、1,3ジメチル−2−イミダゾリジン(DMI)、スルホラン(SF)など極性有機溶媒であって、絶縁油および無極性溶媒と混和しない液体であればなんでもよく、これらのうち2種類以上の溶媒を任意の比率で組み合わせても良い。
また、極性溶媒からPCBを移動させる無極性溶媒は、ヘキサンだけでなく、シクロヘキサン、n−デカン、n−オクタン、n−ノナン、オクタン、イソオクタンなど、常温かつ液状で、極性溶媒と混和せず低極性で不飽和結合を持たない溶媒であれば何でも良く、これらのうち2種類以上の溶媒を任意の比率で組み合わせても良い。
極性溶媒と無極性溶媒を効率的に接触させる方法としては、撹拌、震盪などがある。極性溶媒から無極性溶媒へのPCBの移動は、絶縁油を極性溶媒で洗浄する容器と、別に設けた極性溶媒と無極性溶媒を接触させる容器のそれぞれの極性溶媒を送液ポンプで循環させ、連続的に実施することができる。
この場合の送液ポンプは、接液部がPTFEやPEEKなど有機溶剤に侵されない材質で構成されていれば、何でも構わない。送液ポンプを使用する場合には、極性溶媒と無極性溶媒を効率的に接触させるために、出口の形状をスプレーなどにしても良い。無極性溶媒は、PCB抽出後アルコール投入前に密閉系で減圧蒸留することによって減容し、無極性溶媒中のPCBを濃縮しても良い。
紫外線照射時の溶媒であるアルコールは、エタノールだけでなく、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、第2ブタノール、第3ブタノール、シクロヘキサノールなど、常温かつ液状で不飽和結合を持たないアルコールであれば何でも良く、これらのうち2種類以上の溶媒を任意の比率で組み合わせても良い。シクロヘキサノールが低温で凝固する場合には、20℃以上に加熱しても良い。または、PCBを抽出した無極性溶媒に金属カルシウムまたは金属マグネシウムを投入した紫外線を照射しても良く、金属カルシウムおよび金属マグネシウムの形状は特に問わない。照射する紫外線は、200−300nmの範囲で、254nmの輝度が高いものが望ましい。紫外線照射用のランプは、低圧水銀ランプ以外でも、254nmの発光があればよい。
[実施の第2形態]
低濃度のPCBおよびトリクロロベンゼン(概ね合わせて10%以下)を含む絶縁油が入ったコンデンサから、その絶縁油を図1に示すように順次連続して密閉系に送出し、ジメチルスルホキシド(DMSO)など絶縁油と混和しない極性有機溶媒で洗浄して、図1と同様な手順を用いて動作させる。この動作によってPCBは、極性有機溶媒に溶解し、溶媒に抽出されるため、コンデンサに戻る絶縁油には、前述したように、PCBは含まれなくなる。
上記の手順を繰り返し循環することによってコンデンサ内の絶縁油中のPCB濃度は低下し、絶縁油のPCB基準濃度である0.5mg/kgを下回る。コンデンサ内は絶縁油の循環により平衡化するため、コンデンサの絶縁紙などに付着したPCBも極性有機溶媒に抽出された。
このようにしてPCBが抽出された極性有機溶媒に、ヘキサンなど無極性で極性有機溶媒と混和しない溶媒に接触させ、極性有機溶媒中のPCBを無極性溶媒に移動させる。この無極性溶媒をシクロヘキサノールなどのアルコールに投入し、その溶媒を撹拌しながら低圧水銀ランプで紫外線(UV250nm)を照射し、PCBを分解させる。その際、アルコール中には、金属カルシウムまたは金属マグネシウムを適量添加した。
この結果、初期に16mg/Lあった全PCBは、図3に示す金属マグネシウム添加PCB抽出シクロヘキサノール溶液の紫外線照射によるPCBの総量濃度の変化特性図から紫外線照射240分で97%以上分解減少したことが明らかになった。
なお、PCB分解方法のフローは、図1に示すフローと同様であるが、前述した表1の下段部分に、金属マグネシウム添加PCB抽出シクロヘキサノール溶液の紫外線照射による分解時間経過ごとのPCBの総量濃度および初期に対する分解率を示す。
前述のように、絶縁油を洗浄する極性溶媒は、実施の第1形態と同様に、ジメルチスルホキシドだけでなく、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、1,3ジメチル−2−イミダゾリジン(DMI)、スルホラン(SF)など極性有機溶媒であって、絶縁油および無極性溶媒と混和しない液体であればなんでもよく、これらのうち2種類以上の溶媒を任意の比率で組み合わせても良い。
また、極性溶媒からPCBを移動させる無極性溶媒は、ヘキサンだけでなく、シクロヘキサン、n−デカン、n−オクタン、n−ノナン、オクタン、イソオクタンなど、常温かつ液状で、極性溶媒と混和せず低極性で不飽和結合を持たない溶媒であれば何でも良く、これらのうち2種類以上の溶媒を任意の比率で組み合わせても良い。
さらに、極性溶媒と無極性溶媒を効率的に接触させる方法としては、撹拌、震盪などある。極性溶媒から無極性溶媒へのPCBの移動は、絶縁油を極性溶媒で洗浄する容器と、別に設けた極性溶媒と無極性溶媒を接触させる容器のそれぞれの極性溶媒を送液ポンプで循環させ、連続的に実施することができる。
この場合の送液ポンプは、接液部がPTFEやPEEKなど有機溶剤に侵されない材質で構成されていれば何でも構わない。送液ポンプを使用する場合には、極性溶媒と無極性溶媒を効率的に接触させるために、出口の形状をスプレーなどにしても良い。無極性溶媒は、PCB抽出後、アルコール投入前に密閉系で減圧蒸留することよって減容し、無極性溶媒中のPCBを濃縮しても良いなどは、第1形態と同様である。
この他、紫外線照射時の溶媒であるアルコールは、エタノールだけでなく、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、第2ブタノール、第3ブタノール、シクロヘキサノールなど、常温かつ液状で不飽和結合を持たないアルコールであれば何でも良く、これらのうち2種類以上の溶媒を任意の比率で組み合わせても良い。シクロヘキサノールが低温で凝固する場合には、20℃以上に加熱しても良い。
または、PCBを抽出した無極性溶媒に金属カルシウムまたは金属マグネシウムを投入した紫外線を照射しても良く、金属カルシウムおよび金属マグネシウムの形状は特に問わない。照射する紫外線は、200−300nmの範囲で、254nmの輝度が高いものが望ましい。紫外線照射用のランプは、低圧水銀ランプ以外でも、254nmの発光があればよい。
なお、PCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法に基づく処理においては、PCB廃棄物(絶縁油)が0.5mg/kg以下となる必要があるので、上記実施の第1、第2形態の方法では、絶縁油中のPCB濃度が前記数値を下回るまで絶縁油を極性溶媒に接触させ、PCBが抽出された極性溶媒から無極性溶媒にPCBを移動させ、さらに、無極性溶媒中もしくはアルコール溶液中で金属カルシウムまたは金属マグネシウム存在下でUV254nmを含む紫外線を照射することによって、「絶縁油を抜き取らず」、「電気機器を解体せず」、浄化されて減容した分の新しい絶縁油を補填するだけで、電気機器中のPCB含有絶縁油のPCBを除去することができる。また、抽出したPCBは、高温高圧などを必要とせずに穏やかに分解し、無害物にすることができる。さらに、使用中の電気機器に関しては、絶縁油の往路および復路の設置および撤去時に停止する以外は、電気機器を使用したままで、絶縁油中のPCBを除去することができる。
図4は、第1、第2形態を構成する概略的なシステム構成図で、図4において、11は変圧器やコンデンサなどの電気機器本体、12はポンプ、13は洗浄容器、14は洗浄溶媒収納体、15は紫外線照射部、16は管路である。
[実施の第3形態]
図5は、実施の第3形態を示す絶縁油の浄化方法の概略的なシステム構成図で、低濃度のPCB(概ね10%以下)および水分、塩分などの汚損物質を含む使用済み変圧器である電気機器本体51の絶縁油を、第1フィルタ52、送液ポンプ53によりジメチルスルホキシドを満たした浄化槽54に順次送り込み、絶縁油中の水分、塩分、PCBなどをジメチルスルホキシドに溶解させる。
絶縁油は電気機器本体51の底部から抜き取り、浄化槽54でジメチルスルホキシドと接触させた後に第2フィルタ55、送液ポンプ56を介して電気機器本体51の上部から本体内に戻す。この順次動作を一定時間繰り返すことによって、機器本体51内の絶縁油中の汚損物質は、ジメチルスルホキシドに移動し、絶縁油は浄化される。なお、絶縁紙分解物や金属酸化物などの懸濁物質は、第1フィルタ52で捕捉される。また、懸濁物質に吸着した有害物質は、絶縁油の循環によって除去される。
第3形態に示した送液ポンプ53,56は、接液部がPTFEやPEEKなど絶縁油に侵されない材質で構成されていれば、どのようなものでよい。また、第1フィルタ52は、絶縁油中の固形物を除去する物理フィルタで、PTFEやSUSなど絶縁油に侵されない材質であれば、どのようなものでもよい。
さらに、浄化槽54内の浄化液は、ジメチルスルホキシドだけでなく、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、1,3ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、スルホラン(SF)など、極性有機溶媒であって、絶縁油と混和しない液体であればどのような液でもよい。これらの液体は、絶縁油より重いため、浄化時には絶縁油を浄化槽54の下方から導入し、上方から回収する。反対に、絶縁油より軽い浄化液を使用する場合には、絶縁油を上方から導入し、槽の底部から回収する。
図5における浄化槽54は、2段以上の多段に構成することができる。浄化槽54を多段構成することにより、一旦浄化して回収した絶縁油を別の浄化槽に導入して浄化効率を向上させることができる。この場合、浄化槽内の浄化液の組み合わせは問わない。なお、浄化槽54内に絶縁油を導入する際に、出口の形状をスプレーなどにして、絶縁油と浄化液の接触効率を上げることができる。
前記第2フィルタ55は、浄化液を除去するもので、撥水フィルタや油水分離器、液だめから構成され、これらのうち1つを電気機器本体51に絶縁油を戻す前の送液路に設置する。
図6は、上記第3形態を使用したときの、時間に対する絶縁油中のPCB濃度の変化を示す特性図、図7は、同じく、時間に対する絶縁油中の水分濃度の変化を示す特性図である。
[実施の第4形態]
実施の第4形態は、電気機器本体51としてコンデンサを使用したときのシステムであって、その他は上記第3形態と同様のシステム構成である。第4形態においては、低濃度のPCB(概ね10%以下)、トリクロロベンゼンおよび水分、塩分などの汚損物質を含む使用済みコンデンサの絶縁油を、上記第3形態と同様にして浄化するものであるので、その詳細な説明は省略する。
この第4形態においても、絶縁油中のPCB濃度の変化特性は、図6に示すようになり、また、トリクロロベンゼン濃度の変化特性図は、図8に示すようになる。
上記の実施の形態を用いることにより、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法に基づく処理が必要なPCB廃棄物(絶縁油)のPCB濃度は0.5mg/kgより高いことなので、絶縁油中のPCB濃度がこれを下回るまで絶縁油を浄化槽で循環すれば、絶縁油を抜き取らず、機器を解体せず、浄化されて減容した分の新しい絶縁油を補填するだけで、絶縁油を浄化し、電気機器の絶縁特性を回復することができる。また、使用中の機器に関しては、絶縁油の往路及び復路の設置及び撤去時に停止する以外は、機器を使用したままで、絶縁油を浄化することができる。
この発明の実施の第1、第2形態を述べるためのフローチャート。 実施の第1形態における金属カルシウム添加PCB抽出エタノール溶液の紫外線照射による5塩素化PCBの総量濃度変化特性図。 実施の第2形態における金属マグネシウム添加PCB抽出シクロヘキサノール溶液の紫外線照射によるPCBの総量濃度の変化特性図。 実施の第1、第2形態を構成する概略的なシステム構成図。 実施の第3形態を構成する概略的なシステム構成図。 絶縁油中のPCB濃度の変化を示す特性図。 絶縁油中の水分濃度の変化を示す特性図。 トリクロロベンゼン濃度の変化特性図。
符号の説明
S1:絶縁油を密閉系に送出する手順
S2:PCBを極性溶媒に溶解し抽出する手順
S3:PCBを無極性溶媒に移動させる手順
S4:無極性溶媒をアルコールに投入する手順
S5:アルコール中に金属カルシウムまたは金属マグネシウムを添加する手順
S6:紫外線を照射する手順
11,51…電気機器本体
12、53、56…ポンプ
13…洗浄容器
14…洗浄溶媒収納体
15…紫外線照射部
16…管路
52…第1フィルタ
54…浄化槽
55…第2フィルタ

Claims (7)

  1. 電気機器で使用中のあるいは使用後の電気絶縁油を、電気機器本体から抜き出すことなく、密閉系で絶縁油中のPCBを無害化する方法において、
    前記電気絶縁油中のPCBを、ポンプにより密閉系内で循環させて極性溶媒に接触させ、その極性溶媒にPCBを抽出し、PCBを抽出した極性溶媒から無極性溶媒にPCBを移動させ、無極性溶媒をアルコールに投入して金属カルシウムまたは金属マグネシウム共存下で紫外線を照射させてPCBを分解させることを特徴とする電気機器絶縁油中のPCB無害化方法。
  2. 前記照射する紫外線は、254nmを含む200〜300nmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の電気機器絶縁油中のPCB無害化方法。
  3. 前記PCBを抽出した極性溶媒から無極性溶媒に、バッチ式または連続式にPCBを移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の電気機器絶縁油中のPCB無害化方法。
  4. 前記無極性溶媒は、常温かつ液体で不飽和結合を持たない溶媒を使用することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電気機器絶縁油中のPCB無害化方法。
  5. 紫外線照射時の溶媒としては、常温かつ液体で不飽和結合を持たないアルコールからなる請求項1に記載の電気機器絶縁油中のPCB無害化方法。
  6. 電気機器で使用中のあるいは使用後の電気絶縁油を、電気機器本体から抜き出すことなく、密閉系で絶縁油を浄化する方法において、
    前記電気絶縁油を、前記電気機器本体から第1フィルタを介してポンプにより極性溶媒を有する浄化槽に導き、その浄化槽で絶縁油を浄化した後、第2フィルタを介して前記電気機器本体内に戻すことを特徴とする電気機器絶縁油の浄化方法。
  7. 前記第1フィルタは、絶縁油中の固形物を除去する物理フィルタであり、第2フィルタは、浄化液を除去する撥水フィルタで構成することを特徴とする請求項6に記載の電気機器絶縁油の浄化方法。
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