JP2008269962A - 光学部材と有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた照明装置 - Google Patents

光学部材と有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた照明装置 Download PDF

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Abstract

【課題】有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた面光源のパネルを複数つないで発光面積を拡大する場合のパネル間の暗さを改善し、均一な発光を得ることができ、かつ電力効率と駆動寿命の飛躍的向上を可能とする光学部材とそれを用いた照明装置を提供する。
【解決手段】透明基板、陽極と陰極に挟まれた発光層、及び封止部材から構成される有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた面光源のパネルを並べた照明装置のための光学部材であって、次の要件を満たすことを特徴とする光学部材。:(1)前記光学部材は隣接する前記透明基板に接触して挟まれる。(2)前記透明基板の端部と面する前記光学部材の面が光反射機能を有する。(3)光反射機能を有する前記光学部材の面と、前記透明基板のなす角度は、30°以上60°以下である。(4)前記光学部材の前記透明基板と平行な面は、前記基板の電極側の面と同じ高さである。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた面光源のパネルを並べた照明装置のための光学部材とそれを用いた照明装置に関する。
従来、発光素子を使用した面光源である照明装置が提案されており、発光素子として、発光効率が高いため、有機エレクトロルミネッセンス(以下「有機EL」ともいう。)素子の利用が有望視されている。有機EL素子を含む有機ELパネルの発光面積は、透明基板上に設けられた有機EL層の面積と同じである。有機ELパネルとして大面積のものが要求されているが、発光素子として利用する有機EL素子は非常に薄く、有機EL層の厚さは数十〜数百nm程度であるため、有機EL層を広い面積に均一に成膜するのは難しく、歩留まりが悪くなる。
従来、有機EL素子を1つのユニットからなるセルとし、このセルを複数並べて大面積の有機ELパネルを製作することが提案されている。しかし、有機EL層が積層されない透明基板の端部は発光せず、しかも透明基板に取り込まれた光は、透明基板内を導波し端部から漏れ、正面に対する発光ロス分が多い。即ち、前記透明基板の端部が暗くなる欠点を有していた。
そこで発光面積を拡大しつつ、かつ透明基板の端部が暗くなることを改善する方法が提案されている。例えば、光散乱機能を有する収納部に有機ELパネルをはめ込む方法(例えば、特許文献1参照。)、或いは有機ELパネルを光散乱機能を有する接着材で直接つなぐ方法である(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、これらの方法は、いずれも透明基板の端部の暗さを改善するレベルとして不十分であるばかりでなく、前者は光散乱機能を有する光学部材がパネルの給電部を遮るため、接続可能なパネルの選択に制約があった。また後者はパネル基板を直接接着させるので、パネルの交換ができない。パネルを複数つなげて大面積発光を行うためには、パネルのつなぎ目の暗さとともに、パネル間を任意に接続できたり、任意のパネルを交換できる工夫が必要である。一方、有機EL素子の実用化に向けた課題として、寿命の改善が必要である。
特開2005−158369号公報 特開2005−183352号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた面光源のパネルを複数つないで発光面積を拡大する場合のパネル間の暗さを改善し、均一な発光を得ることができ、かつ電力効率と駆動寿命の飛躍的向上を可能とする光学部材とそれを用いた照明装置を提供することである。
すなわち、複数の有機ELパネルをつないで発光面積を拡大する際に、任意のパネルを交換でき、かつ隣り合う任意のパネルを選択して直列や並列につなぐことができる光学部材、及び該光学部材を利用した照明装置を提供することである。また、連続駆動発光する際の輝度低下を改善する有機ELパネルを利用した照明装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、光学部材及び発光層材料等を鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、下記の手段により解決される。
1.透明基板、陽極と陰極に挟まれた発光層、及び封止部材から構成される有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた面光源のパネルを並べた照明装置のための光学部材であって、次の要件を満たすことを特徴とする光学部材。
(1)前記光学部材は隣接する前記透明基板に接触して挟まれる。
(2)前記透明基板の端部と面する前記光学部材の面が光反射機能を有する。
(3)光反射機能を有する前記光学部材の面と、前記透明基板のなす角度は、30°以上60°以下である。
(4)前記光学部材の前記透明基板と平行な面は、前記基板の電極側の面と同じ高さである。
2.前記1に記載の光学部材において、前記光反射機能を有する光学部材の反射面が80%以上の反射率を有することを特徴とする光学部材。
3.有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた面光源のパネルを並べた照明装置において、隣接するパネルの間の任意の箇所に前記1又は2に記載の光学部材が介在することを特徴とする照明装置。
4.前記3に記載の照明装置において、隣接するパネルの電極間の電気的接続が、前記光学部材の面上を経由して、任意にされていることを特徴とする照明装置。
5.前記3又は4に記載の照明装置において、透明基板の光出射側の面が光散乱機能を有することを特徴とする照明装置。
6.有機エレクトロルミネッセンス素子から取り出される光が白色であることを特徴とする前記3〜5のいずれか一項に記載の照明装置。
7.前記3〜6のいずれか一項に記載の照明装置において、前記有機エレクトロルミネッセンス素子が、異なる色の光を発光するドーパントを同一層内に含有する発光層を少なくとも1層有することを特徴とする照明装置。
8.前記3〜7のいずれか一項に記載の照明装置において、前記有機エレクトロルミネッセンス素子が青色発光層を有し、かつ当該青色発光層が下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする照明装置。
Figure 2008269962
〔式中、R1は置換基を表す。Zは5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。n1は0〜5の整数を表す。B1〜B5は炭素原子、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を表し、B1〜B5の少なくとも一つは窒素原子を表す。M1は元素周期表における8族〜10族の金属を表す。X1およびX2は炭素原子、窒素原子もしくは酸素原子を表し、L1はX1およびX2とともに2座の配位子を形成する原子群を表す。m1は1、2または3の整数を表し、m2は0、1または2の整数を表すが、m1+m2は2または3である。〕
本発明の手段により、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた面光源のパネルを複数つないで発光面積を拡大する場合のパネル間の暗さを改善し、均一な発光を得ることができ、かつ電力効率と駆動寿命の飛躍的向上を可能とするための光学部材とそれを用いた照明装置を提供することができる。
より詳しくは、請求項1〜3に係る発明により、複数のパネルをつないだ場合のパネル間の暗さを改善することができる。また、請求項4に係る発明により、パネルの陽極領域内における発光状態を、各パネルごとに比較すると、均一な発光が得ることができる。これは本発明の光学部材を利用して、隣接する有機ELパネルを直列、並列に任意に接続した結果、等価な電位に設定できたためである。更に、請求項5に係る発明により、更にパネル間の暗さが改善され、非発光時にはパネル間の接続線が目立たなくすることができる。また、請求項6に係る発明により、有機ELパネルが白色に発光した場合でも、発光領域ごとの色度変化は気にならないようにすることができる。請求項7及び8に係る発明により、電力効率と駆動寿命を飛躍的に向上することができる。
本発明の光学部材は、透明基板、陽極と陰極に挟まれた発光層、及び封止部材から構成される有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた面光源のパネルを並べた照明装置のための光学部材であって、次の要件を満たすことを特徴とする。
(1)前記光学部材は隣接する前記透明基板に接触して挟まれる。
(2)前記透明基板の端部と面する前記光学部材の面が光反射機能を有する。
(3)光反射機能を有する前記光学部材の面と、前記透明基板のなす角度は、30°以上60°以下である。
(4)前記光学部材の前記透明基板と平行な面は、前記基板の電極側の面と同じ高さである。
上記特徴は、請求項1〜8に係る発明に共通する技術的特徴である。
以下、本発明とその構成要素等について詳細な説明をする。
(本発明に係る光学部材と照明装置)
本発明に係る照明装置は、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた面光源のパネル(以下「有機ELパネル」ともいう。)を並べた照明装置であって、隣接する複数の有機ELパネルの間の任意の箇所に光学部材を介在させ、当該パネルをつなぎ組み合わせた照明装置である。以下、図を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態に係る照明装置について説明をする。
図1は、照明装置の模式断面図である。図2は、照明装置の模式平面図である。図1及び図2に示すように、照明装置100(200)は、有機ELパネル101(201)が複数並ぶことによって形成され、本実施形態では、それぞれ概略同一構成の9枚の有機ELパネル101が3行3列のマトリックス状に配設され、隣り合う有機ELパネル101同士は、反射面を有する本発明の光学部材を介して接続し配列されている。パネル101は、透明基板102と、透明基板102上に電極に挟まれた有機EL層103と、デシカント材105が貼られている封止カバー104とを備えており、封止カバー104は接着剤(図示せず)により透明基板102と接合されている。有機EL層103から発せられた光が透明基板102を介して照明装置外部へ取り出される(出射される)、ボトムエミッションタイプの有機ELデバイスとして構成されている。
なお、有機ELパネル101の配列は、図2に示された3行3列のマトリックス状に限定されず、1列や2列、あるいは4列以上に配列してもよい。また、有機ELパネル101の数も、求められる照射面積に応じて任意に変更することができる。
本発明に係る照明装置の好ましい態様は、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた面光源のパネルを並べた照明装置おいて、隣接するパネルの間の任意の箇所に本発明の光学部材が介在する態様である。また、当該照明装置において、隣接するパネルの電極間の電気的接続が、前記光学部材の面上を経由して、任意にされていることが好ましい。
更に、透明基板の光出射側の面が光散乱機能を有することが好ましい。
なお、本発明に係る照明装置は、有機エレクトロルミネッセンス素子から取り出される光が白色である照明装置に好適に適応できる。当該照明装置においては、前記有機エレクトロルミネッセンス素子が、異なる色の光を発光するドーパントを同一層内に含有する発光層を少なくとも1層有することが好ましい態様である。また、前記有機エレクトロルミネッセンス素子が青色発光層を有し、かつ当該青色発光層が前記一般式(1)で表される化合物を含有することが好ましい。
以下、各構成要素についてより詳細に説明する。
《本発明の光学部材》
本発明の光学部材は、透明基板、陽極と陰極に挟まれた発光層、及び封止部材から構成される有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた面光源のパネルを並べた照明装置のための光学部材であって、次の要件を満たすことを特徴とする。
(1)前記光学部材は隣接する前記透明基板に接触して挟まれる。
(2)前記透明基板の端部と面する前記光学部材の面が光反射機能を有する。
(3)光反射機能を有する前記光学部材の面と、前記透明基板のなす角度は、30°以上60°以下である。
(4)前記光学部材の前記透明基板と平行な面は、前記基板の電極側の面と同じ高さである。
図3に示すように、本発明の光学部材306の最表面は反射面307を有し、反射面307と透明基板302との成す角度は、30°から60°である。取り出される光の波長によって異なるが、最も反射率が高く取り出される光の強度が高い角度を選択する。好ましくは、50°から60°であり、更に好ましくは45°である場合が多い。角度の調整は本発明の光学部材306の形状で調整しても良いし、反射面307の厚さ変化で調整しても構わない。また、反射面307の反射率は光取り出し量が多くなるために、反射率は80%以上であり、反射率は高いほど好ましい。前記角度と反射率を満たす材料ならば、本発明に係る反射面307として好ましく使用できる。軽量であることも重要なので、例えばアルミニウム(Al)を好ましく使用することができる。反射面307と光学部材306の材質は、同じでも異なっていても良い。本発明の光学部材306は、光が取り出される側のカバー308と一体型でも良いし、カバー308と光学部材306を別々に作製し接着材(図示せず)で貼り合わせても良いし、カバー308に溝を形成し、光学部材306をスライドさせてはめ込んでも良い。
《有機ELパネルの電気的接続》
図2に示す例のような光学部材206を使用する場合は、有機ELパネル201を「上から」はめ込み、それから隣り合う任意の有機ELパネル201同士を本発明の光学部材206を介して接続線209によって電気的に接続する。電気的に接続するために、図3に示したように、本発明の光学部材306と透明基板301の高さは同じであり、少なくとも透明基板301と光学部材306の上端部は接触している。接続線309の材質は抵抗が小さい材質が好ましく、代表例にアルミニウム(Al)を挙げることができる。そして、発熱を軽減し、電力効率が最小になるように、例えば図2のように有機ELパネル201を接続し、外部電源につなぐ。有機ELパネル201の接続配列は、直列・並列を任意に選択して接続できる。代表的な接続配列を図示したのが図2である。
《光散乱シート》
本発明に係る光散乱シートとは、光を散乱させる機能に留まらず、透明基板から光を取り出す効率を高める機能、或いは表示を目的の1つとする特別照明などの用途によっては、透明基板から光を取出す光取り出し機能や、取り出した光の配光特性を任意に調整する光集光機能を含む。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子においては、通常、全方位に光が放射され視野角が変わっても明るさが変わらないような特性が望ましい。通常、基板(ガラス基板、樹脂基板など)から光を放射するような有機エレクトロルミネッセンス素子においては、発光層から放射された光の一部が基板と空気との界面において全反射を起こし、光を損失するという問題が発生する。この問題を解決するために、基板の表面にプリズムやレンズ状の加工を施す、もしくは基板の表面にプリズムシートやレンズシートを貼り付けることにより、全反射を抑制して光の取り出し効率を向上させる。
以下に、光取り出し及び/又は集光シートの好ましい形態を説明するが、本発明では目的効果を損なわない範囲内であれば、これらを用いて光取りだし効率を向上させることが出来る。具体例を下記(1)から(4)に示すが、本発明に係る光散乱シートは、図4(a)に示すように、透明基板の光が出射する側に施しても良いし、図に4(b)に示すように、カバーの光が受光する側に施しても良い。図4(b)の場合は、有機ELパネルと接触していない領域に光散乱シートを貼り付けると、有機ELパネル間の発光が暗くなる程度を更に軽減できる場合がある。また、光散乱シートを使用すると、反射面を有する本発明の光学部材が、未発光時に目立ちにくくなる効果も有する。
(1)ガラス基板の上に拡散板を置く構成
例えば、ガラス基板/透明導電膜/有機発光層/電極/封止層からなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、ガラス基板の発光層とは反対側の基板表面に接するように第1の拡散板を置く。本発明の目的を更に強調するために、第2の拡散板を貼り合わせても良い。また、ガラス基板表面に光を拡散する層を直接塗布する、もしくはガラス基板の表面に光を拡散するための微細な構造が設けられたものであってもよい。以上、ガラス基板で説明したが、基板は樹脂基板であってもよい。
(2)ガラス基板の上に拡散板とプリズムシートを置く構成
例えば、ガラス基板/透明導電膜/有機発光層/電極/封止層からなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、ガラス基板の発光層とは反対側の基板表面に接するように第1の拡散板を置く。拡散板に接するように第1のレンズシート(例えば、3M製 BEF II)をレンズ面がガラス基板と反対側に向くように配置し、さらに第2のレンズシートをレンズのストライプが第1のレンズのストライプと直交し、かつそのレンズ面がガラス基板と反対側に向くように配置する。次に第2のレンズシートに接するように第2の拡散板を配置する。第1ならびに第2のレンズシートの形状としては、PET基材上にアクリル樹脂で頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものである。頂角が丸みを帯びた形状(3M製 RBEF)、ピッチをランダムに変化させた形状(3M製 BEF III)、その他類似の形状であっても良い。第1の拡散板としては、約100μmのPET基材上に光を拡散するビーズを混ぜた膜を形成したもので、透過率は約85%で、ヘイズ値は約75%である。第2の拡散板としては、約100μmのPET基材上に光を拡散するビーズを混ぜた膜を形成したもので、透過率は約90%で、ヘイズ値は約30%である。ガラス基板に接して配置する拡散板は、ガラス基板に光学接着剤を介して接着されていても良い。また、ガラス基板表面に光を拡散する層を直接塗布する、もしくはガラス基板の表面に光を拡散するための微細な構造が設けられたものであってもよい。以上、ガラス基板で説明したが、基板は樹脂基板であってもよい。
(3)基板の表面にマイクロレンズアレイを形成する場合
ガラス基板/透明導電膜/有機発光層/電極/封止層からなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、ガラス基板の有機発光層が設けられた面とは反対側の表面にマイクロレンズアレイシートを光学接着剤を介して貼り付ける。マイクロレンズアレイシートは、各々50μmの四角垂(ピラミッドの形状)でその頂角が90度のマイクロレンズを、50μmピッチで整列させた形状をしている。シートの製造方法としては、マイクロレンズアレイの母型となる金属の金型と、0.5mmのスペーサをはさんで設置されたガラス平板の間にUV硬化樹脂を注入し、ガラス基板からUV露光することで樹脂を硬化させてマイクロレンズアレイシートを得る。ここで、各々のマイクロレンズの形状としては、円錐形状、三角錐形状、凸レンズ形状等を適用可能である。ガラス基板にマイクロレンズアレイシートを貼り付ける構造として説明したが、樹脂基板にマイクロレンズアレイシートを貼り付けるでもよい。また、マイクロレンズアレイシートのマイクロレンズアレイが設けられた面と反対面に透明電極/有機発光層/電極/封止層を設ける、という構成でもよい。
(4)基板の表面にマイクロレンズアレイシートを下向きに接着する構造
ガラス基板/透明導電膜/有機発光層/電極/封止層からなる有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおいて、ガラス基板の有機発光層が設けられた面とは反対側の表面にマイクロレンズアレイシートを、マイクロレンズの凹凸面がガラス基板側に向くように光学接着剤を介して貼り付ける。マイクロレンズアレイシートは、各々一辺が50μmの四角垂形状の頂点を平坦にした構造をしたマイクロレンズをピッチ50μmで整列した形状をしている。平坦となった頂点部分がガラス基板の表面に接着される。ここで、各々のマイクロレンズの形状としては、円錐形状、三角錐形状、凸レンズ形状等を適用可能である。ガラス基板にマイクロレンズアレイシートを貼り付ける構造として説明したが、樹脂基板にマイクロレンズアレイシートを貼り付けてもよい。
光取り出し効率を更に高めるためには、透明電極と透明基板の間に低屈折率層を挿入することが好ましい。透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど、外部への取り出し効率が高くなる。低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマーなどが挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は、屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。またさらに1.35以下であることが好ましい。また、低屈折率媒質の厚みは、光の媒質中の波長よりも長い厚み、好ましくは2倍以上となるのが望ましい。これは、低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。以下に本発明に係る低屈折率層の例を説明するが、本発明では目的効果を損なわない範囲内であれば、これらに限定されない。
(i)中空シリカを分散させる場合
ゾル−ゲル法により中空シリカを分散させ低屈折率層を形成したガラス基板の作製方法を説明する。ガラス基板上に以下の手順で低屈折率層を形成することができる。原料化合物として金属アルコキシド(正珪酸四エチルSi(OC254:「TEOS」と略す。)、溶媒としてエタノール、触媒として酢酸、それに加水分解に必要な水を加えた調合液に、低屈折率材料(触媒化成工業製、シリカ粒子(屈折率1.35))をイソプロピルアルコールに加えた液を混合させ、数十℃に保って加水分解と重縮合反応を起こさせ、液体のゾルを生成する。作製されたゾルをスピンコートでガラス基板上に塗布して反応させるとゲルとして固化する。これをさらに150度の雰囲気中で乾燥させて乾燥ゲルとし、その時の膜厚が0.5μmとなるように、溶液の調合とスピンコートの条件を設定する。その結果、膜厚0.5μm、屈折率1.37の低屈折率層が形成される。ここで、溶液の塗布方法としてスピンコートと記述したがディップコート他、均一な膜厚を得られる手法であればよい。基板としてガラス基板の例を示したが、プロセス温度が150度以下であるので、樹脂基板の上に直接塗布することも可能である。また、原料化合物や低屈折率材料としてさらに低い屈折率を選択し、得られる低屈折率層の屈折率が1.37以下にすることでさらなる効果が期待できる。膜厚については0.5μm以上が望ましく、1μm以上であればさらに好ましい。
中空シリカの作製は、例えば、特開2001−167637号公報、特開2001−233611号公報、特開2002−79616号公報等に記載されている。
(ii)シリカエアロゲルの場合
透明低屈折率層は、シリコンアルコキシドのゾルゲル反応により形成される湿潤ゲルを超臨界乾燥することによって得られるシリカエアロゲルによって形成される。シリカエアロゲルとは、均一な超微細構造を持った光透過性の多孔質体である。テトラメトキシシランのオリゴマーとメタノールを混合してA液を調製し、また水、アンモニア水、メタノールを混合してB液を調製した。A液とB液を混合して得たアルコキシシラン溶液を、基板2上に塗布する。アルコキシシランをゲル化させた後、水、アンモニア水、メタノールの養生溶液中に浸漬し、室温にて1昼夜養生する。次に、養生を行った薄膜状のゲル状化合物を、ヘキサメチルジシラザンのイソプロパノール溶液中に浸漬し、疎水化処理をし、その後、超臨界乾燥を行って、シリカエアロゲルを形成する。
(iii)多孔質シリカの場合
低屈折率材料として、撥水性を有するヘキサメチルジシロキサンやヘキサメチルジシラザンを含有した低比誘電率物質の溶液を、基板上に塗布して成膜を行う。ここで用いる低比誘電率物質の溶液には、ヘキサメチルジシロキサンやヘキサメチルジシラザンのような撥水性の物質以外にも、必要に応じてアルコールや酢酸ブチルなどを添加物として加えても良い。そして、焼成処理などにより、上記低比誘電率物質の溶液中の溶媒や水、酸またはアルカリ触媒や界面活性剤などを蒸発させながら多孔質シリカ材料から成る低屈折率膜を形成する。これを洗浄し、低屈折率膜を得る。
この様に基板上に低屈折率膜を形成した後、低屈折率膜上に、直接、又は、例えばRFスパッタ法等によりSiO2膜からなる透明絶縁膜で中間層を形成し、その後、中間層の上にDCスパッタ法によりITO膜の成膜を行い、透明電極付き基板とする。
また、更に光取り出し効率を高めるためには、例えば、特開平11−283751号、特願2005−48686号明細書等に記載されたように、全反射を起こす界面もしくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法を併用するのが好ましい。例えば、ガラス基板上に回折格子を形成する。
この方法は、回折格子が1次の回折や、2次の回折といったいわゆるブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち、層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。回折格子を導入する位置としては前述のとおり、いずれかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)でも良いが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。このとき、回折格子の周期は、増幅する光の媒質中の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状など、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
例えば、ガラス基板上に回折格子を形成するには、ガラス基板を洗浄後、表面にポジ型のレジストを塗布する。次にレジスト上に基板垂直方向からθ度の角度で対向するように互いにコヒーレントな波長λの2つの平行光を照射する。このとき、レジストにはピッチdの干渉縞が形成される。ここで、d=λ/(2cosθ)となる。波長488nmのアルゴンレーザを用いると、フォトニック結晶のピッチとして300nmを作製するとき、2つの光束ともに基板に垂直な方向から角度35.6度で露光すると、ピッチ300nmの第1の干渉縞が形成される。次に基板を基板の面内に90度回転させて、第1の干渉縞に直交するように第2の干渉縞を形成する。露光する光束をそのまま維持しておけばピッチ300nmで第2の干渉縞が形成される。レジストには2つの干渉縞が重畳されて露光され、格子状の露光パターンが形成される。露光パワーと現像条件を適切に設定することにより、2つの干渉縞が重なりあって強く露光された部分のみレジストが除去されるように現像する。ガラス基板上には縦横のピッチが各々300nmの格子の重なりあった部分にほぼ円形にレジストが除去されたようなパターンが形成される。円の直径は、例えば、220nmとする。次にドライエッチングを施すことによりレンジストが除去された部分に深さ200nmの孔を形成する。その後レジストを除去しガラス基板を洗浄する。以上により、表面に深さ200nm、直径220nmの孔が縦横300nmピッチの正方格子の頂点に並んだガラス基板が形成される。次に、穴の底から測って膜厚300nm程度のITO膜をバイアススパッタリングにより成膜し、バイアススパッタリングの条件を適切にコントロールすることで、表面の凹凸を50nm以下に平坦にすることができる。以上のように作製されたITO付きのガラス基板の表面に研磨を施すことで、有機EL用のITO付きガラス基板が形成される。ガラス基板にフォトレジストを塗布してパターニングし、ガラス基板をエッチングする方法のほか、同様の手法でガラス型を形成し、ガラス基板上にUV硬化のレジストをナノインプリントの手法で転写してガラス基板をエッチングする方法も可能である。また、ガラス基板に形成されたパターンをニッケル電鋳などの手法で金型に転写し、その金型をナノインプリントの手法で樹脂に転写したものを基板として用いるこで、樹脂基板でも本発明を実施することが可能である。
上記のような光取り出し及び/又は集光シートを用いた有機EL素子においては、正面輝度増幅率が高められている。このようにして取り出された光は、前記の2°視野角正面輝度を上記方法により測定したときに、CIE1931表色系の色度でx=0.33±0.07、y=0.33±0.07の領域内にある所謂白色光であるように調整される。
通常、発光色は420nm以上500nm未満の発光を青色、500nm以上550nm未満の発光を緑色、600nm以上〜650nm未満の発光を赤色に区分する。従って、発光する材料(実質的にドーパント)によっても異なるが、本発明において、光取り出し及び/又は集光シートが無い場合の有機エレクトロルミネッセンス素子の正面輝度ピーク値は、該シートがある場合に対して、定性的には青色が最も小さい比率となる。
連続駆動等における寿命においては、一般的に青色が律速になるので、この様な光取りだし及び又は集光シートを用いた場合、有機エレクトロルミネッセンス素子においてより高寿命が可能となる。また、駆動電圧の制約となるのは、HOMOとLUMOのエネルギーギャップが最も大きい青色であるため、前記光取り出しを向上させた有機EL素子は、青色の正面輝度が少なくて済む設計となり、駆動電圧を下げることが可能となる。
即ち、青色発光層の膜厚が薄くでき、かつ駆動電圧が下げられるため、光取り出し及び/又は集光シートがない場合に比べ、高寿命が可能となり、この組み合わせにより、トータルで白色光を得るようにすることができる。
ここにおいて、光取り出し及び/又は集光シートによる正面輝度の増幅率は、分光放射輝度計(例えば、CS−1000(コニカミノルタセンシング社製))等を用い、正面からの発光輝度(2°視野角正面輝度)を、光取出し及び/又は集光シートがある状態ともたない状態で、発光面からの法線に分光放射輝度計の光軸が一致するようにして、必要な可視光波長範囲で測定、積算し比をとればよい。
《有機エレクトロルミネッセンス素子の構成》
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、支持基盤(基板)、電極、種々の機能を有する有機層等の構成要素によって構成される。好ましい構成の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(iii)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
なお、上記の正孔輸送層、電子阻止層、正孔阻止層、電子輸送層及び下記中間層を総称して「キャリア制御層」という。また、「キャリア」とは電子及び正孔をいい、「キャリア輸送層」は、キャリア輸送材料からなる層であるが、p型又はn型半導体層から構成されることが好ましい。ここで、「p型又はn型半導体層」とは、各々電子受容性化合物又は電子供与性化合物を含有し半導性を示す有機層をいう。
また、「発光層ユニット」とは、複数の発光層を有する構成単位であって、最も陽極側の発光層から最も陰極側の発光層まで積層された有機層を指す。すなわち、各発光層は、異なる発光色の発光性化合物を含有する有機層からなる。なお、当該ユニットは、各発光層間に非発光性の中間層を有していることが好ましい。
当該発光層ユニットの代表例を以下に例示するが、これらに限定されない。
(i)発光層−1/発光層−2
(ii)発光層−1/中間層/発光層−2
(iii)発光層−1/正孔阻止層/発光層−2
(iv)発光層−1/電子阻止層/発光層−2
(v)発光層−1/発光層−2/発光層−3
(vi)発光層−1/中間層/発光層−2/中間層/発光層−3
(vii)発光層−1/中間層/発光層−2/正孔阻止層/発光層−3
(viii)発光層−1/電子阻止層/発光層−2/中間層/発光層−3
《発光層ユニット》
本発明に係る発光層ユニットは、上記のように複数の発光層を有する構成単位である。また、本発明に係る発光層は、電極、電子輸送層、又は正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
本発明に係る発光層の層厚の総和は特に制限はないが、層の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、且つ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2〜30nmの範囲に調整することが好ましく、更に好ましくは5〜25nmの範囲である。
本発明に係る不連続発光層を真空蒸着方法により形成する際は、ホスト化合物や発光性ドーパント等の蒸着速度や蒸着量を適切に制御することが必要である。好ましい蒸着速度は、0.05nm/秒以下、特に好ましくは0.03nm/秒である。蒸着速度を比較的遅くすることにより、発光性ドーパントやホスト化合物を特定サイトに選択的に蒸着させるためである。好ましい蒸着量は所望の層厚や不連続性に応じて調製することができる。また、蒸着サイトを限定するために蒸着パターンに応じたマスクを利用することも好ましい。
青、緑、黄、赤の各発光層の積層順については特に制限はないが、本発明に係る一般式(1)で表される青色発光性ドーパントを使用することが望ましく、発光層の中で最も陰極側に設けることが好ましい。なお、各発光層間に非発光性の中間層を有していることが好ましい。本発明に係る一般式(1)で表される化合物については後述する。
次に、発光層に含まれるホスト化合物及び発光性ドーパント(「発光ドーパンント」、「発光性ドーパント化合物」ともいう。)について説明する。
(ホスト化合物)
本発明に係る有機EL素子の発光層に含まれるホスト化合物とは、その化合物上のキャリアの再結合によって生成した励起子のエネルギーを発光性化合物(発光性ドーパント:ゲスト化合物)に移動し、その結果、当該発光性化合物を発光させる化合物、及び当該ホスト化合物上のキャリアを発光性化合物にトラップさせ、当該発光性化合物上で励起子を生成させ、その結果、当該発光性化合物を発光させる化合物をいう。したがって、ホスト化合物自体の発光能は低い程良い。例えば、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満、好ましくは0.01未満である化合物である。また、発光層に含有される化合物の中で、そのホスト化合物の比率は20質量%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光性ドーパントとして用いられるリン光性化合物等を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。リン光性化合物の種類、ドープ量を調整することが可能であり、照明、バックライトへの応用もできる。
(ガラス転移温度:Tg)
本発明に係る有機エレクトロルミネセンス素子を構成する各層の有機化合物は、100℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する材料を、各々の層の少なくとも80質量%以上含有することが好ましい。
ここで、ガラス転温度(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。上記のような同一の物理的特性を有するホスト化合物を用いること、更に好ましくは、同一の分子構造を有するホスト化合物を用いることにより、有機EL素子の有機化合物層(有機層ともいう)全体に渡って均質な膜性状が得られ、更にまた、ホスト化合物のリン光発光エネルギーを2.9eV以上になるように調整することが、ドーパントからのエネルギー移動を効率的に抑制し、高輝度を得ることが出来る。
(リン光発光エネルギー)
本発明に係るリン光発光エネルギーとは、ホスト化合物を支持基盤(単に基板でもよい。)上に100nmの蒸着膜のフォトルミネッセンスを測定した時、得られるリン光発光スペクトルの0−0遷移バンドのピークエネルギーをいう。
(リン光発光の0−0遷移バンドの測定方法)
まず、リン光スペクトルの測定方法について説明する。測定するホスト化合物を、よく脱酸素されたエタノール/メタノール=4/1(体積/体積)の混合溶媒に溶かし、リン光測定用セルに入れた後、液体窒素温度77°Kで励起光を照射し、励起光照射後100msでの発光スペクトルを測定する。リン光は蛍光に比べ発光寿命が長いため、100ms後に残存する光はほぼリン光であると考えることができる。なお、リン光寿命が100msより短い化合物に対しては遅延時間を短くして測定しても構わないが、蛍光と区別できなくなるほど遅延時間を短く設定するとリン光と蛍光が分離できないので問題となるため、その分離が可能な遅延時間を選択する必要がある。また、上記溶剤系で溶解できない化合物については、その化合物を溶解しうる任意の溶剤を使用してもよい(実質上、上記測定法ではリン光波長の溶媒効果はごくわずかなので問題ない)。次に0−0遷移バンドの求め方であるが、本発明においては、上記測定法で得られたリン光スペクトルチャートのなかで最も短波長側に現れる発光極大波長をもって0−0遷移バンドと定義する。リン光スペクトルは通常強度が弱いことが多いため、拡大するとノイズとピークの判別が難しくなるケースがある。このような場合には励起光照射中の発光スペクトル(便宜上これを定常光スペクトルと言う)を拡大し、励起光照射後100ms後の発光スペクトル(便宜上これをリン光スペクトルと言う)と重ねあわせリン光スペクトルに由来する定常光スペクトル部分からリン光スペクトルのピーク波長を読みとることで決定することができる。また、リン光スペクトルをスムージング処理することでノイズとピークを分離しピーク波長を読みとることもできる。なお、スムージング処理としては、Savitzky&Golayの平滑化法等を適用することができる。
(発光性ドーパント)
本発明に係る発光性ドーパントとしては、蛍光性化合物、リン光性化合物(「リン光発光性化合物」、「リン光発光体」等ともいう。)を用いることが出来るが、より発光効率の高い有機EL素子を得る観点からは、本発明に係る有機EL素子の発光層や発光ユニットに使用される発光性ドーパント(単に、「発光材料」ということもある。)としては、上記のホスト化合物を含有すると同時に、少なくとも1種以上のリン光発光体を含有する。蛍光発光体を併用する場合は、青色を選択することが好ましい。
(リン光性化合物:リン光発光体)
本発明に係るリン光発光体は、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、例えば、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係るリン光発光体は、任意の溶媒のいずれかにおいても、上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光発光体の発光の原理としては、2タイプが挙げられ、一つのタイプはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光発光体に移動させることでリン光発光体からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つのタイプは、リン光発光体がキャリアトラップとなり、リン光発光体上でキャリアの再結合が生じ、リン光発光体からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、リン光発光体の励起状態のエネルギーは、ホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
本発明に係るリン光発光体としては、好ましくは元素の周期表で8族〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
リン光発光体は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、青色発光層には、発光極大波長が480nm以下の前記一般式(1)で表されるリン光発光材料を用いることが好ましい。
以下、一般式(1)で表されるリン光発光材料(リン光発光ドーパントともいう。)について詳述する。
《一般式(1)で表されるリン光発光性化合物》
本発明に係る前記一般式(1)で表されるリン光性化合物において、R1で表される置換基としては、例えばアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。
これらの置換基のうち、好ましいものはアルキル基もしくはアリール基である。
Zは5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Zにより形成される5〜7員環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピロール環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環及びチアゾール環等が挙げられる。これらのうちで好ましいものは、ベンゼン環である。
1〜B5は炭素原子、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を表し、少なくとも一つは窒素原子を表す。これら5つの原子により形成される芳香族含窒素複素環としては単環が好ましい。例えば、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサジアゾール環及びチアジアゾー環ル等が挙げられる。これらのうちで好ましいものは、ピラゾール環、イミダゾール環であり、さらに好ましくはイミダゾール環である。これらの環は上記の置換基によって更に置換されていてもよい。置換基として好ましいものはアルキル基およびアリール基であり、さらに好ましくは、アリール基である。
1はX1、X2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。X1−L1−X2で表される2座の配位子の具体例としては、例えば、置換または無置換のフェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボール、ピコリン酸及びアセチルアセトン等が挙げられる。
これらの基は上記の置換基によって更に置換されていてもよい。
m1は1、2または3の整数を表し、m2は0、1または2の整数を表すが、m1+m2は2または3である。中でも、m2は0である場合が好ましい。
M1で表される金属としては、元素周期表の8族〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属ともいう)が用いられるが、中でも、イリジウム、白金が好ましく、さらに好ましくはイリジウムである。
なお本発明に係る一般式(1)で表されるリン光発光性化合物は、重合性基または反応性基を有していてもいなくてもよい。
また、前記一般式(1)において、B1〜B5で形成される含窒素複素環はイミダゾール環であることが好ましい。
また、B1〜B5で形成される含窒素複素環がイミダゾール環の場合、前記一般式(1)は下記一般式(2)で表されることがより好ましい。
Figure 2008269962
一般式(2)において、R1、R2、R3は置換基を表す。Zは5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。n1は0〜5の整数を表す。M1は元素周期表における8族〜10族の金属を表す。X1およびX2は炭素原子、窒素原子もしくは酸素原子を表し、L1はX1およびX2とともに2座の配位子を形成する原子群を表す。m1は1、2または3の整数を表し、m2は0、1または2の整数を表すが、m1+m2は2または3である。
一般式(2)において、R1、R2、R3で表される置換基は前記一般式(1)におけるR1で表される置換基と同義である。また、Z、M1、X1およびX2、L1等についても前記一般式(1)におけるものと同義である。また、m1、m2も同義である。
また、一般式(2)のR2で表される基として、芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環基)が好ましく、なかでも置換アリール基が好ましく、置換アリールとして下記一般式(3)で表される基が好ましい。
Figure 2008269962
一般式(3)において、R4は、立体パラメータ値(Es値)が−0.5以下の置換基を表す。R5はR1と同じで、n5は0〜4の整数を表す。尚、*は結合位置を表す。
ここで、Es値とは化学反応性より誘導された立体パラメータであり、この値が小さければ小さいほど立体的に嵩高い置換基ということができる。
以下、Es値について説明する。一般に、酸性条件下でのエステルの加水分解反応においては、置換基が反応の進行に対して及ぼす影響は立体障害だけと考えてよいことが知られており、この事を利用して置換基の立体障害を数値化したものがEs値である。
例えば置換基XのEs値は、次の化学反応式
X−CH2COORX+H2O→X−CH2COOH+RXOH
で表される、酢酸のメチル基の水素原子1つを置換基Xで置換したα位モノ置換酢酸から誘導されるα位モノ置換酢酸エステルを酸性条件下で加水分解する際の反応速度定数kXと、次の化学反応式
CH3COORY+H2O→CH3COOH+RYOH
(RXはRYと同じである)で表される、上記のα位モノ置換酢酸エステルに対応する酢酸エステルを酸性条件下で加水分解する際の反応速度定数kHから次の式で求められる。
Es=log(kX/kH)
置換基Xの立体障害により反応速度は低下し、その結果kX<kHとなるのでEs値は通常負となる。実際にEs値を求める場合には、上記の二つの反応速度定数kXとkHを求め、上記の式により算出する。
Es値の具体的な例は、Unger,S.H.,Hansch,C.,Prog.Phys.Org.Chem.,12,91(1976)に詳しく記載されている。また、『薬物の構造活性相関』(化学の領域増刊122号、南江堂)、「American Chemical Society Professional Reference Book,’Exploring QSAR’p.81 Table 3−3」にも、その具体的な数値の記載がある。次にその一部を表1に示す。
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ここで、注意するのは本明細書で定義するところのEs値は、メチル基のそれを0として定義したのではなく、水素原子を0としたものであり、メチル基を0としたEs値から1.24を差し引いたものである。
本発明においてR4は、立体パラメータ値(Es値)が−0.5以下の置換基を表す。好ましくは−7.0以上−0.6以下であり、最も好ましくは−7.0以上−1.0以下である。
また、本発明においては、R4に、例えば、ケト−エノール互変異性体が存在し得る場合、ケト部分はエノールの異性体としてEs値を換算している。他の互変異性が存在する場合も同様の換算方法においてEs値を換算する。
以下に本発明に係る一般式(1)、また一般式(2)で表されるリン光発光性化合物の具体的な例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
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これらの金属錯体は、例えば、Organic Letter誌、vol3、No.16、2579〜2581頁(2001)、Inorganic Chemistry,第30巻、第8号、1685〜1687頁(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第40巻、第7号、1704〜1711頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻、第12号、3055〜3066頁(2002年)、New Journal of Chemistry.,第26巻、1171頁(2002年)、European Journal of Organic Chemistry,第4巻、695〜709頁(2004年)、更にこれらの文献中に記載の参考文献等の方法を適用することにより合成できる。
(蛍光性化合物:蛍光発光体)
蛍光性化合物(「蛍光発光体」、「蛍光性ドーパント」等ともいう。)の代表例としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。また、従来公知のドーパントも本発明に用いることができ、例えば、国際公開第00/70655号パンフレット、特開2002−280178号公報、特開2001−181616号公報、特開2002−280179号公報、特開2001−181617号公報、特開2002−280180号公報、特開2001−247859号公報、特開2002−299060号公報、特開2001−313178号公報、特開2002−302671号公報、特開2001−345183号公報、特開2002−324679号公報、国際公開第02/15645号パンフレット、特開2002−332291号公報、特開2002−50484号公報、特開2002−332292号公報、特開2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、特開2002−338588号公報、特開2002−170684号公報、特開2002−352960号公報、国際公開第01/93642号パンフレット、特開2002−50483号公報、特開2002−100476号公報、特開2002−173674号公報、特開2002−359082号公報、特開2002−175884号公報、特開2002−363552号公報、特開2002−184582号公報、特開2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、特開2002−226495号公報、特開2002−234894号公報、特開2002−235076号公報、特開2002−241751号公報、特開2001−319779号公報、特開2001−319780号公報、特開2002−62824号公報、特開2002−100474号公報、特開2002−203679号公報、特開2002−343572号公報、特開2002−203678号公報等が挙げられる。
《非発光性の中間層》
本発明においては、キャリア制御層として、非発光性の中間層を設けることが好ましい。非発光性の中間層の層厚としては、1〜15nmの範囲にあるのが好ましく、更には3〜10nmの範囲にあることが、隣接発光層間のエネルギー移動など相互作用を抑制し、且つ、素子の電流電圧特性に大きな負荷を与えないという観点から好ましい。
この非発光性の中間層に用いられる材料としては、発光層のホスト化合物と同一でも異なっていてもよいが、隣接する2つの発光層のすくなくとも一方の発光層のホスト材料と同一であることが好ましい。
非発光性の中間層は、各発光層と共通の化合物(例えば、ホスト化合物等)を含有していてもよく、各々共通ホスト材料(ここで、共通ホスト材料が用いられるとは、リン光発光エネルギー、ガラス転移温度等の物理化学的特性が同一である場合やホスト化合物の分子構造が同一である場合等を示す。)を含有することにより、発光層−非発光層間の層間の注入障壁が低減され、電圧(電流)を変化させても正孔と電子の注入バランスが保ちやすいという効果を得ることができる。また、電圧(電流)をかけたときの色ずれが改善されるという効果が得られることも判った。
更に、上記のように、共通ホスト材料の最低励起三重項エネルギー準位T1が、リン光発光体の最低励起三重項エネルギー準位T2よりも高い励起三重項エネルギーを有する材料を用いることで、発光層の三重項励起子を効果的に発光層内に閉じ込めるので高効率な素子を得られることが判った。
また、青・緑・赤の3色の有機EL素子においては、各々の発光材料にリン光発光体を用いる場合、青色のリン光発光体の励起三重項エネルギーが一番大きくなるが、前記青色のリン光発光体よりも大きい励起三重項エネルギーを有するホスト材料を発光層と非発光性の中間層とが共通のホスト材料として含んでいてもよい。
本発明に係る有機EL素子においては、ホスト材料はキャリアの輸送を担うため、キャリア輸送能を有する材料が好ましい。キャリア輸送能を表す物性としてキャリア移動度が用いられるが、有機材料のキャリア移動度は一般的に電界強度に依存性が見られる。電界強度依存性の高い材料は正孔と電子注入・輸送バランスを崩しやすい為、中間層材料、ホスト材料は移動度の電界強度依存性の少ない材料を用いることが好ましい。また、一方では、正孔や電子の注入バランスを最適に調整するためには、非発光性の中間層は、阻止層即ち、正孔阻止層、電子阻止層として機能することも好ましい態様としてあげられる。
《層構成》
有機エレクトロルミネッセンス素子から白色の光を取り出す場合は、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の構成層である発光層は、青色、緑色、黄色、赤色に発光する発光色から任意に選択され、白色光を取り出す。
本発明では、異なる発光色を発光するドーパントを同一層仲に複数種含有させると、更に本発明の効果が得られる。好ましくは、選択された発光色のうち、発光波長が近い発光性化合物が同一層に含有される。これによって、長波の発光性化合物へのエネルギー遷移が高まり、発光効率が向上する。
一例を示すと、青色−緑色−赤色から構成される場合、青色−緑色、又は緑色−赤色の少なくとも一方が同一層に含有される。青色−緑色−黄色−赤色から構成される場合、青色−緑色、緑色−黄色、黄色−赤色の少なくとも一種が同一層に含有され、より長波の発光性化合物を含有する発光色が同一層に含まれる場合が好ましく。具体的には、黄色−赤色、緑色−黄色である。更に発光色が異なる複数の発光性化合物を含有する発光層が複数であることが好ましい。エネルギー遷移が有利な構成が複数ある方が、より有利だからである。また、発光色の異なる複数の発光性化合物のうち、より長波光の発光性化合物の体積濃度が4%以下であることが好ましい。長波の発光性化合物ほど、イオン化ポテンシャルが小さく、HOMOのエネルギー準位が高い場合が多い。即ち、正孔を保持しやすく導電性が下がるので、含有率が低いと正孔保持が緩和され、導電性上有利となり、所望の輝度を得るための駆動電圧が低下し、消費電力が改善される。しかし、重要なことはHOMOのエネルギー準位であり、発光性化合物の構造である。例えば本発明に係る一般式(BD1)のようなHOMOのエネルギー準位が高い青色発光性化合物を用いる場合は、この限りではない。HOMOのエネルギー準位が高い発光性化合物を含む発光層は、発光層の中で最も陰極側に積層することが好ましい。
赤色発光性化合物である場合が多いが、例えば、白色となるために選択した発光色の中で、青色発光性化合物が最もHOMOのエネルギー準位が高い場合は、青色発光性化合物を含有する発光層を最も陰極側に積層する。尚、同一発光層内に含有させる発光色が異なる発光性化合物は2種が好ましい。3種以上であると、蒸着条件のコントロールが困難になるからである。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
本発明においては、正孔輸送層は、所謂p型半導体層であることが好ましい。低駆動電圧化に効果が認められ、キャリア(エレクトロン)アクセプターのドープにより、正孔密度を高めたり、高いHOMO準位を形成しホッピング伝導による正孔移動度を高めているためと解釈されている。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には、米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も使用することができる。
本発明に係るキャリア(エレクトロン)アクセプター材料としては、既知の材料を使用できる。例えば、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002), p.139)、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、特開2004−281371号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。また、特願2004−215727号における一般式(1)〜(7)も好ましく用いられる。
上記正孔輸送材料やキャリア(エレクトロン)アクセプターは、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
材料の種類により特定できないが、本発明に係るアクセプター含有平均体積濃度は0.1%〜30%であり、少なくとも該平均濃度よりも3%以上濃度が異なる領域が存在することが好ましい。また、最高濃度と最低濃度の差は1%〜30%であること、好ましくは1%〜20%、更に好ましくは、1%〜10%である。最高濃度領域の層厚比は1%〜50%であり、更に好ましくは2%から45%である。
層厚としては通常は1nm〜1μm程度、好ましくは5nm〜200nmである。本発明に係る正孔輸送層と陰極側に隣接する有機層界面から5nm以内では、キャリア(エレクトロン)アクセプターの濃度は導電性を損なわない範囲で低いほど、連続駆動寿命の観点から好ましい。
《電子輸送層》
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
本発明においては、電子輸送層は所謂n型半導体層であることが好ましい。駆動電圧に効果が認められ、キャリア(エレクトロン)ドナーのドープにより、電子密度を高めたり、高いLUMO準位を形成しホッピング伝導による電子移動度を高めているためと解釈されている。
電子輸送材料としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、既知のものを使用できる。例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。また、ホストの項に記述した一般式(1)であらわされる化合物も好ましく適用できる。
本発明に係るキャリアドナー材料としては、既知の材料を使用できる。例えば、特開平4−297076号公報、特開平10−270172号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)などに記載されたものが挙げられる。また、特願2004−215727号における一般式(8)〜(10)も好ましく用いられる。本発明においては、このようなn性の高い電子輸送層を本発明に係るp性半導体層と併用することにより、低消費電力の素子を作製することが可能となる。
上記電子輸送材料やキャリア(エレクトロン)ドナーは、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
好ましいドナー蒸着条件材料の種類により特定できないが、本発明に係るドナー含有平均体積濃度は5%〜95%であり、少なくとも最大濃度と最低濃度の差が、5%以上濃度が異なる領域が存在することが好ましい。また、最高濃度と最低濃度の差は20%〜90%であることが好ましい。好ましい最高濃度は15%〜95%、更に好ましくは、25%〜90%である。電子輸送層における最高濃度領域の膜厚比は1%〜50%であり、更に好ましくは2%から45%である。層厚としては通常は1nm〜1μm程度、好ましくは5nm〜200nmである。陽極側に隣接する有機層界面から本発明に係る電子輸送層の1/3の層厚における領域では、キャリアドナーの濃度は導電性を損なわない範囲で低いほど、連続駆動寿命の観点から好ましい。材料によって異なるが、5以下である場合が多い。本発明はドナー体積濃度が5%以上異なる領域が3つ以上あると、発光効率が更に向上する場合があり、その一例は連続的に変化する場合である。本発明で言う局所的とは、例えば、ドナー体積濃度が異なる1nm以上の膜厚構成を任意に組み合わせた場合を挙げることができる。この場合でも、ドナー体積濃度は、最大濃度と最低濃度の差は5%以上である。
《注入層:電子注入層、正孔注入層》
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
注入層は必要に応じて設け、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1〜5μmの範囲が好ましい。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、前述した電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係わる正孔阻止層として用いることができる。本発明に係る有機EL素子の正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
阻止層は、上記の如く、有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
本発明においては、正孔阻止層に含有される化合物の50質量%以上が、前記最短波発光層のホスト化合物に対し、そのイオン化ポテンシャルが0.2eV以上大きいことが好ましい。本発明に係る正孔阻止層は、前記エレクトロンドナーを含有すると、電子密度が増加するので、更なる低電圧化のために好ましい。
なお、イオン化ポテンシャルは化合物のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義され、例えば下記に示すような方法により求めることができる。
(1)米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian98(Gaussian98、Revision A.11.4,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002.)を用い、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行うことにより算出した値(eV単位換算値)の小数点第2位を四捨五入した値としてイオン化ポテンシャルを求めることができる。この計算値が有効な背景には、この手法で求めた計算値と実験値の相関が高いためである。
(2)イオン化ポテンシャルは光電子分光法で直接測定する方法により求めることもできる。例えば、理研計器社製の低エネルギー電子分光装置「Model AC−1」を用いて、あるいは紫外光電子分光として知られている方法を好適に用いることができる。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。本発明に好ましく用いられる電子阻止層は、前記正孔輸送層の材料である。更に前記エレクトロンアクセプターを含有すると更なる低電圧化の効果が得られる。
本発明に係わる正孔阻止層、電子輸送層の膜厚としては好ましくは3nm〜100nmであり、更に好ましくは5nm〜30nmである。
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In23−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式など湿式製膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
《陰極》
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
《支持基盤》
本発明に係る有機EL素子に係る支持基盤(以下、基体、基板、基材、支持体等ともいう)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また、透明であっても不透明であってもよい。支持基盤側から光を取り出す場合には、支持基盤は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基盤としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。また、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能で、しかも軽い樹脂フィルムも好ましく用いられる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)或いはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10-3g/(m2・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更には、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10-3ml/m2・24h・atm以下、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10-3g/(m2・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
高バリア性フィルムとするために樹脂フィルム表面に形成されるバリア膜を形成する材料としては、水分や酸素など素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素などを用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
《バリア膜の形成方法》
バリア膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。不透明な支持基盤としては、例えばアルミ、ステンレス等の金属板・フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
本発明に係る有機EL素子の発光の室温における外部取り出し効率は1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。
《封止》
本発明に係る有機EL素子の封止に用いられる封止手段としては、例えば封止部材と、電極、支持基盤とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また、透明性、電気絶縁性は特に限定されない。具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。
また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウムおよびタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。更には、ポリマーフィルムは、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10-3g/(m2・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更には、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10-3ml/m2・24h・atm以下、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10-3g/(m2・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化および熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステルなどの湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系などの熱および化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機層を挟み支持基盤と対向する側の電極の外側に、該電極と有機層を被覆し、支持基盤と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素など素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素などを用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。
これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることができる。封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相および液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体や、フッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。吸湿性化合物としては例えば金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等があげられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物および過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
《保護膜、保護板》
有機層を挟み支持基盤と対向する側の前記封止膜あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けてもよい。特に、封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
《有機EL素子の作製方法》
本発明に係る有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
まず適当な支持基板上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10nm〜300nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層の有機化合物薄膜を形成させる。
この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、前記の如く蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等があるが、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法が特に好ましい。更に層毎に異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50℃〜450℃、真空度10-6Pa〜10-2Pa、蒸着速度0.01nm/秒〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、膜厚0.1nm〜5μm、好ましくは5nm〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下好ましくは50nm〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2V〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率1.6〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(例えば、米国特許第4774435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(例えば、特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(例えば、特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(例えば、特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(例えば、特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)などが挙げられる。
本発明においては、これらの方法を本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
本発明は、これらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど、外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマーなどが挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は、屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。またさらに1.35以下であることが好ましい。
また、低屈折率媒質の厚みは、媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは、低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面または、いずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は、回折格子が1次の回折や、2次の回折といった、いわゆるブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち、層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。
しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては、いずれかの層間、もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でも良いが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。このとき、回折格子の周期は、媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状など、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、支持基板(基板)の光取出し側に、例えばマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは、所謂集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10μm〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)などを用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であっても良い。
また、有機EL素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを、集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)などを用いることができる。
《表示装置》
本発明に係る有機EL素子は、多色または白色の表示装置に用いられる。多色または白色の表示装置の場合は、発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、印刷法である。蒸着法を用いる場合においてはシャドーマスクを用いたパターニングが好ましい。
また、作製順序を逆にして陰極、電子輸送層、正孔阻止層、発光層ユニット(上記の発光層A、B及びCの少なくとも3層を有し、各発光層間に非発光性の中間層を有していてもよい)、正孔輸送層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色または白色の表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。更に、交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
《照明装置》
本発明に係る有機EL素子を適用した照明装置について説明する。
本発明に係る有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。
本発明に用いられる有機エレクトロルミネッセンス素子においては、必要に応じ製膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよい。発光層に用いる発光ドーパントとしては特に制限はなく、例えば、液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルタ)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係る白金錯体、また公知の発光ドーパントの中から任意のものを選択して組み合わせて、また本発明に係る光取り出し及び/または集光シートと組み合わせて、白色化すればよい。
このように、本発明に係る白色の有機EL素子は、CF(カラーフィルタ)と組み合わせて、また、CF(カラーフィルタ)パターンに合わせ素子及び駆動トランジスタ回路を配置することで、請求項7に記載されるように有機エレクトロルミネッセンス素子から取り出される白色光をバックライトとして、青色フィルタ、緑色フィルタ、赤色フィルタを介して青色光、緑色光、赤色光を得ることで、低駆動電圧で長寿命のフルカラーの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイができ、好ましい。
《本発明に係る有機EL素子を適用した産業分野》
本発明に係る有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特にカラーフィルタや光拡散板、光取り出しフィルムなどと組み合わせた各種表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明に係る有機EL素子の特徴を活かして、以下に示すような様々な照明器具や発光表示体等への適用が可能である。
〔商品展示・ディスプレイ用〕
商品展示・ディスプレイ用としては、店舗の商品ディスプレイ、冷凍・冷蔵ショーケース、博物館・美術館・展示会場などの展示品のライトアップ、自動販売機、遊戯台、交通広告などがある。
店舗の商品ディスプレイは店舗自体の装飾的なディスプレイやショーケース、POPやサインなどがある。店舗の中でも高級ブランドショップや貴金属、ファッション系、高級飲食店など、そのブランドイメージを重視するような店舗では照明が与える店舗イメージへの影響は非常に大きいことから、強い拘りをもって照明が選択されている分野である。有機ELを用いることによって、今までは直接光源が見えないよう建築物の構造に工夫を凝らすことで雰囲気を作り出していた間接照明の分野で光源・機器分のスペースが省略でき複雑な構造が不要になったり、インテリアやサインなどで拡散光を作り出す際に光源の形が透けて見えないために必要な光源と拡散板の間のスペースが省略できるなど、施工性が上がることがあげられる。また、店舗のイメージを変える際のツールとしても、ディスプレイ棚、床、什器として組み込むなどスペースを取らず、軽量な光源であるという特徴を活かし、デザイン自由度があり、施工性がよく、手軽に採用できるという利点がある。
冷凍・冷蔵ショーケースはスーパーやコンビニエンスストアなどに置かれ、野菜や果物、鮮魚、精肉などの鮮食品を“美しさ”や“鮮度”にあふれる商品として、より見やすく、鮮やかに、取りやすくするために照明設備も重要な部品の1つである。有機EL光源を用いることによって、低温発光のため冷却機能への影響が小さく、薄型であるので光源スペースを大幅に削減ことができることから収納スペースを拡大でき、スマートなデザインで食品を選びやすく、取りやすくすることができる。また、食品の良さが判りやすい色光で消費者に自然とアピールすることができ、売上に貢献できる。
博物館・美術館・展示会場などでの展示品のライトアップでは、展示物への視認や日焼けなどの観点から使用条件に適した光源を選ぶ必要があり、退色防止型で紫外線比率の低いで蛍光ランプが開発されている。有機EL光源は紫外線を含まないこと、発熱量が低いことから展示物に悪影響がなく、面光源で均一に光ることによりグレアがなく、高い演色性によって展示物のありのままを忠実に鑑賞することができる。また、大きな光源器具を必要としないため、視界に余計な機材の出っ張りが入ることなく、展示物だけに注目することができる。またショーなど大規模な展示会場においては、注目を集める大型電飾装飾もその軽量・薄型という特徴から比較的簡易に組み立てることができる。
自動販売機では、押しボタン、商品サンプル、販売機前面のポスター部に光源が使われている。
機器全体の大きさに対し、取り込みたい追加機能の為のスペースと収納スペースの取り合いとなっていることから、薄く光源のスペースをとらない有機ELの利点が活かせる分野であり、特に取り出し口上のポスタースペースでニーズが高い。また、近年は販売と共に当たり/はずれなどゲーム性を持たせた機器も多く見られ、前面のポスターに部分に画素コントロール機能を持たせた光源(動画ディスプレイ)を搭載することで更にメリットを活かすことができる。
遊戯台にはパチンコ・パチスロなどがある。これら遊戯台では、利用者にアミューズメント性(ゲーム性・ギャンブル性など)を体感し、楽しんでいただくことが最も重要。光源を薄くする事で1台の機器の厚みを低減できる薄さのメリットもあるが、自動販売機同様、画素コントロール機能を持たせた光源(動画ディスプレイ)を搭載することで更にメリットを活かすことができる。
交通広告には公共スペースにあるポスターや看板、電車・バスなどの社内のポスターや画面、車体に張られている広告などがある。特にポスターや看板は蛍光灯をバックライトを用いたボックスタイプのものがあり、有機ELに変えることでボックス自体を薄く、軽量にすることができる。
また、吊り下げ看板についてはボックスを薄くすることで、埃、ゴミの蓄積がなくなることや鳥による糞害の防止にもなる。
〔インテリア・家具・建築材料用の組み込み照明〕
建築関係では、床・壁・天井などと照明とを融合して一体化したものは「建築化照明」と呼ばれる。「建築化照明」の代表的なものとしては、その方式により、コーニス照明、トロファ照明、コーブ照明、光天井、ルーバ天井などがある。これらは照明光源が天井・壁・床に組み込まれ、照明としての存在や気配を消し、建築素材自体が光を発することを求めている。
有機EL素子を用いた光源は、「建築化照明」に対して、その薄さ、軽さ、色調整、デザイン可変性から最も適した光源であり、さらにインテリア、家具、什器にまで適用が可能である。従来は店舗や美術館のみで用いられてきたこのような建築化照明を、有機EL光源の展開によって一般住宅にまで広げることができ、新たな需要を発掘することができる。
商業施設においては、半地下店舗、アーケードの天井などに有機EL光源を採用し、照明の明るさや色温度を変化させることで、天候や昼夜に左右されない最適な商業空間を構築することができる。
インテリア・什器・家具の一例としては、机や椅子、食器棚・靴箱・ロッカーなどの収納、洗面化粧台、仏壇・祭壇、ベッドライト、フットライト、手すり、ドア、障子・襖などが挙げられるが、それに限定されるものではない。
一方で、有機EL光源に透明な電極を用い消灯/発光させることで、透明/不透明を切り替えることもできる。それによって、あらゆる窓、ドア、カーテンやブラインド、パーテーションとしての利用も可能となる。
〔自動車用照明、発光表示体〕
自動車用としては、外部の照明器具や発光表示体、車内の照明器具や発光表示体などに、有機EL素子が利用できる。前者は、前部に(小分類)ヘッドランプ、補助灯、車幅灯、フォッグランプ、方向指示灯など、後部にはリアコンビネーションランプとしてストップランプ、車幅灯、バック灯、方向指示灯、およびナンバープレート灯などがある。特に、有機EL素子を用いてリアコンビネーションランプを1枚で形成し、後部に貼り付けることによって、後部ランプのためのスペースを削減して、トランクルームを広くすることが可能となる。また、雨や霧で見通しが悪い時には、車幅灯やストップランプの面積を広くして、視認性を高めることもできる。一方、ホイールを有機EL素子で発光させることによって、側面からの視認性を高めることもできる。さらには、ボディ全体を有機EL素子で形成して発光させ、ボディカラーやデザインに新たな発想を盛り込むことが可能となる。
後者の車内の照明器具や発光表示体としては、室内灯、マップライト、ドア下部の乗降ライト、メーター類表示、カーナビゲーションディスプレイ、警告灯などがある。特に、有機EL素子の透明性を活かして、昼間はサンルーフとし、夜間は発光させて面光源の穏やかな室内灯とすることもできる。またタクシーなどでは、前部座席の背面に有機EL素子からなる照明器具を貼り付けることによって、ドライバーの運転に支障なく、かつ室内空間を犠牲にすることなく、顧客が利用しやすい手元照明システムを構築できる。
〔公共交通機関〕
電車、地下鉄、バス、航空機、船舶などの公共交通機関における車内の照明や表示体において、本発明に係る有機ELは、その特徴を活かすことができる。
航空機には多くの照明器具が搭載されているが、機体内部に搭載されている、客室照明、貨物室照明、操縦室照明などのうち特に客室の間接照明については有機EL照明のメリットが充分発揮される。
客室照明には蛍光灯や電球が使われているが、これらは天井は側面に反射した間接照明が使われており、客室に落ち着いた雰囲気を与えると共に万が一のトラブルの際にも割れてガラス破片が客席に降りかからないような工夫がされている。
有機EL光源を用いれば、その薄さから間接照明が作りやすくなり、また直接照明にした場合でも割れて破片が飛び散る危険がなく、拡散光で落ち着いた雰囲気をつくることもできる。
また、航空機には電力消費量や機体軽量化が重要である面から考えても、消費電力が小さく、軽量な有機EL光源は好ましい。このようなメリットは、お客様を照らすだけでなく、手荷物収納内の照明でも発揮され、荷物の取り残しの低減に貢献することもできる。
公共交通機関に付属する駅やバス停、空港などの施設にも、顧客を誘導するための表示や照明が利用できる。また、夜間、屋外のバス停などにおいては、バス待ちの人を検出して照明を明るくし、防犯に寄与することもできる。
〔OA機器用光源〕
OA機器用光源としては、読み取り用センサーが搭載されているファクシミリ、複写機、スキャナ、プリンタ、それらの複合機などがあげられる。
読み取り用センサーは等倍光学系と組合せる密着型センサー(CIS)と縮小光学系と組み合わせる縮小型センサー(CCDリニア)とに分かれる。
CISについてはメーカーによっては定義が異なり、センサ・ロッドレンズアレイ・LED基盤をモジュール化したものをCISと呼ぶ場合や、モジュール化したものをCISM(コンタクトイメージセンサモジュール)と呼びモジュールの中に入っているセンサチップをCISと呼ぶ場合もある。それらの光源にはLED、キセノン、CCFLランプ、LDなどが使われている。
OA機器としては、更なる小型化、低電圧駆動の要望があり、有機ELの厚みがなく、低発熱量・低電圧で駆動可能であるという特徴は、それらの要望に応えることが可能である。
〔産業用検査システム〕
製造会社では、かつては目視による検品工程に多くの工数と人力をかけていたが、それを撮影画像を利用し欠品判定することで自動化をはかっている。CCDカメラでとらえた対象物の画像をデジタル信号に変換し、種々の演算処理を行うことで、対象物の面積、長さ、個数、位置などの特徴を抽出し、設定された基準をもとに判定結果を出力するものが、その画像撮影の為に光源が必要。このような検査システムはパッケージや形状サイズ検査、マイクロ部品の検査などでも利用される。
画像センサ用に使用される照明光源には、蛍光灯、LED、ハロゲンなどがある。その中でも、透明容器やリードフレームなどを背景から照らすバックライトとしては面状に均一な光が必要である。
また、シートの汚れ検出には直線状に均一な光でシートの幅方向前面を照らせる光が必要であるなど、検査する物品により光源への要求が異なる。
この分野に有機EL光源を採用することによって、例えば、ボトリングの工程などではボトル周囲360度全方位に照明を配置し、一度に照明し撮影することも可能となり、短時間での検品が可能となる。また検査機器内で光源自体に取られるスペースを大幅に小さくすることができる。また、面光源であることで、光反射により撮影画像が判定しにくくなることによる検知ミスを回避可能である。
〔農産物栽培用光源〕
植物工場とは『環境制御や自動化などハイテクを利用した植物の周年生産システム』である。植物栽培の環境をコンピューターにより制御することで、天候に左右されることなく、人手を必要とせずに作物を自動的に生産する技術。今後の世界の人口増、環境問題を考えると、農業にハイテクを導入することで、安定な食糧生産につながるいわゆる農業の工業化が必要になる。最近はLED、LDが、植物栽培の光源としての可能性が高まってきた。従来からよく使われている高圧ナトリウムランプなどの光源は赤色光と青色光のスペクトルバランスが悪く、また多量の熱放射が空調負荷を大きくし、植物との距離を十分にとる必要があるために、施設が大型化する欠点がある。
有機EL光源は光源の厚みがなく、多くの棚を設置でき、また発熱量が少ないことから植物に近接させことで高効率であり栽培量を増やすことができる。
また、一般家庭においても省スペースのメリットを活かし、キッチンなど室内の狭い場所に家庭菜園を作ることができ、庭やベランダ、屋上などの屋外スペースのみで可能であった家庭菜園の概念を変えて、広く人々が楽しむことを可能とする。
〔避難用照明〕
消防法や建築基準法で規定されている防災照明設備は、建築物火災に際して非難の為の出口や経路を示す誘導灯と、避難経路の明るさを確保し、迅速な避難を担保する非常灯とがある。
FA・民生用に用いられるシグナルや誘導灯・非常灯などは、見やすいことが前提となるが、その為の大型化は設置場所によっては建物と不釣合いになり、建築化やデザイナーから指摘されることが多かった。その対策として、1目でわかる表示のピクトグラフ化や、光源で誘目効果を高める対処が取られている。従来誘導灯の光源には、蛍光ランプが用いられることが多いが、最近ではLEDを使用した誘導灯も出てきている。
これらの誘導灯に有機EL光源を用いることで、輝度班、角度特性による輝度低下がなく、視認性を向上でき、低電力で、薄型であるために特別な工事の必要がなく設置が容易で、従来の蛍光灯を使うタイプに比べ交換の必要がなく、メンテナンスを容易することができる。また発熱も少ない為発光面の色焼けも少ない。したがって、避難経路の床、階段の手すり、防火扉など、多くの場所に設置して安全性を高めることができる。また現在、蛍光灯で問題視されている水銀の問題もなく、割れにくく、安全性に優れている。更に省スペース薄型設計で美観を損ねることなく、誘目効果を高めることができる光源と言える。
〔撮影用照明〕
写真館やスタジオ、照明写真ボックスなどで使われる光源には、ハロゲン、タングステン、ストロボ、蛍光灯などが用いられている。これらの光源を被写体に直接直線的に当て陰影を強くつける、もしくは光を拡散させ、あまり陰影のない柔らかな光をつくるという、大きくは2つの光の種類を色々な角度から組み合わせて1つの絵がつくられている。光を拡散させるためには、光源と被写体の間にディフューザーを挟むこと、または他の面(レフ板など)に当てた反射光を用いるなどの方法がある。
有機EL光源は拡散光であり、この前者に対応する光をディフューザーを用いることなく発光することができる。その際には、既存光源で必要な光源とディフューザーの間の空間が不用になることや、レフ板などで光の向きを微妙な角度で調整し、細かな陰影を調整していたものをフレキシブルタイプの有機EL自体を曲げることで実施することができるなどのメリットがある。
撮影で利用される光源には、演色性が求められることがある。太陽光線で見たときとの色の見え方の差が大きいと演色性が悪く、その差が少なければ演色性が良いと評価される。一般家庭で使用されている蛍光灯はその波長特性から撮影には好ましいとは言えず、光があたっている部分が緑色に偏る傾向がある。肌やメイキャップ、髪、着物、宝石などの色は、そのもの自体の色で写ることが求められる場合が多く、演色性はライトにとって重要なファクターの1つである。有機EL光源は演色性に優れ、前述のような色の忠実さが求められる撮影に好ましい。この特徴は印刷・染色関連など色を忠実に評価したい場所でも同様に活かされる。
有機EL光源のような面光源をスタジオの天井一面に配置することによって、子供やペットの撮影などでは子供やペットを室内で自由に遊ばせておき、自由・自然な表情を光源移動の煩わしさなく、自然な色で撮影することができる。
〔家電製品〕
家電製品には細部の見易さ、作業のしやすさ、デザインの為、光源がつけられている場合が多い。一例を挙げると、ミシン、電子レンジ、食器洗浄乾燥機、冷蔵庫、AV機器などは従来より光源が付いているが、新しいものでは洗濯乾燥機は横型モデルで取り残しが増えたことから光源が付けられるようになった。既存のものには白熱電球やLEDがつけられている場合が多い。今後、掃除機の先端に照明を設置して家具などの影の部分の清掃状況を確認したり、シェーバーに特定波長光の光源を設置して、髭剃り状況を確認したりするなど、色々と展開が考えられる。
このような家電製品は、全体を軽量・小型化し、更に収納スペースが大きいことが求められ、光源部分はできるだけスペースをとらずに全体を照明できることが求められる。有機ELの薄い面光源はその要望に充分応えることができる。
〔遊技施設〕
スケートリンクの氷の下に有機ELを用いた照明を配置することによって、上からのスポットライトとは異なる演出が可能である。有機ELは発光温度が低いので特に有利である。また、スケーターの位置を検知して、その動きに合わせて発光させるようなことも可能である。スポットライトとの組み合わせ効果や、音楽のリズムに連動させた発光などもショーアップに有効である。
プラネタリウムにおいては、従来のような下からの投影ではなく、ドーム全体に有機ELの微細ピクセルを配置して、ドームそのものが星々を発光する方式が可能であり、投影機のないプラネタリウムが実現できる。
〔イルミネーション用照明〕
一般的にイルミネーションというと樹木へのイルミネーションのことを指していることが大半であったが、近年環境保護の観点から家屋や門、垣根などの造形物への装飾に移行する事例も数多くなっている。これは点光源を多数利用、ライン状に装飾したものが主流であり、LEDの出現により一層広がりを見せると見られている。
この分野に有機EL照明を用いることによって、今までは点光源をつなげることでの表現のみであったものが、同じ樹木へのイルミネーションにおいても、葉形の照明をつけることや、樹木に巻きつけ樹木全体を光らせる、また逆に定型面モジュールとして点光源同様につなぎ合わせ、様々な色に光らせるカクテルパレットとして用いて全体として文字や絵を映し出すなどのバリエーションが出せ、より一層照明による演出効果を高めることが可能となる。
〔持ち物・衣服につける照明〕
夜間屋外の歩行や運動で自動車・バイクなどから認識されやすくする目的で、自分の持ち物や靴、衣服に添付し、ヘッドライトの光を反射することで歩行者の安全を守る反射材製品(反射シートなど)が販売、利用されている。
ガラスビーズタイプの場合、細かなガラスビーズが表面に存在し入ってきた光がこのレンズの役目で光源の方向に再帰反射し、車からヘッドライトの光があたるとドライバーの目の位置に光が帰っていき強く輝いて見える。プリズムタイプの場合も機能は同じだがレンズの構造がことなる。ガラスビーズタイプとプリズムタイプの特長は、ガラスビーズタイプは、斜めからの光に対して高い反射効果があり、プリズムタイプは正面からの光に対しては、ガラスビーズタイプより反射するが、斜めからの光には比較的反射効果が低いことがある。また、貼り付ける場所の硬度によって、素材と接着方法を選ぶこともできる。従来の場合はいずれにしても、歩行者を認識させるためには、光が当たることが必要であり、背設置場所なども下に向いたヘッドライトができるだけ早く当たり認識してもらうために足に貼り付けるなどの工夫が必要であった。
これらの代替に有機EL光源を用いることで、ヘッドライトがあたる範囲になる前から、運転者に歩行者を認識させることができ、より安全を確保できる。また他の光源に対しては軽量で薄くシート状にできる点からも、シールのメリットを維持したままで効果をあげることができる。これらは人間だけでなく、ペットの衣服などにも利用できる。また、歩くことで発電して衣服などを発光させることも、低消費電力の有機ELであれば可能である。特に、人物特定用衣服に応用することもでき、例えば徘徊者の早期保護に役立てることもできる。ダイビング用のウェットスーツを発光させることによって、ダイバーの所在確認や、鮫などから身を守ることにも可能性がある。もちろん、ショーなどでの舞台衣装、ウェディングドレスなどにも利用できる。
〔通信用光源〕
有機EL素子を用いた発光体は、可視光を使って簡単なメッセージや情報などを送る「可視光タグ」にも有効に活用できる。すなわち、極めて短時間の明滅による信号を発光させることによって、それを受信する側に多量の情報を送ることができる。
発光体が信号を発光させていても、極めて短時間であることから、人間の視覚上は単なる照明として認識される。道路、店舗、展示場、ホテル、アミューズメントパークなど、場所毎に設置された照明が、それぞれ場所特有の情報信号を発信して、必要な情報を受信者に提供できる。また有機ELの場合は、1つの発光体中に波長の異なる複数の発光ドーパントを組み込んでおいて、異なる波長ごとに異なる信号を発生させることによって、1つの発光体が複数の異なる情報を提供することもできる。この場合も、発光波長や色調が安定している有機ELは優位である。
音声、電波、赤外光などによる情報提供と異なり、「可視光タグ」は照明設備として一緒に組み込めるので、煩雑な追加設置工事なども不要である。
〔医療用光源〕
現在はハロゲンランプなどが使用されている内視鏡や、ワイヤーを挿入して手術する腹腔手術用の照明などに有機ELを利用することによって、小型、軽量化、用途拡大に貢献する。特に近年注目されている、体内検査や治療に用いられる内視鏡カプセル(飲む内視鏡)などにも利用が可能で、期待されている。
〔その他〕
さらに本発明に係る有機EL素子を組み込んだ発光体は、色調を容易に選択でき、蛍光灯のような明滅がなく、低消費電力で色調が安定しているので、特開2001−269105号公報に示されるような害虫防除装置として、特開2001−286373号公報に示されるような鏡用の照明として、特開2003−288995号公報に示されるような浴室照明システムとして、特開2004−321074号公報に示される植物育成用人工光源として、特開2004−354232号公報に示されるような水質汚れ測定装置の発光体として、特開2004−358063号公報に示されるような光感受性薬剤を用いた治療用被着体として、特開2005−322602号公報に示されるような医療用無影灯として、有用である。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
《有機エレクトロルミネッセンスパネルNo.101の作製》
陽極として50mm×50mm、厚さ0.4mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を150nm成膜した基板にパターニングを行った後、このITO透明電極を付けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。この透明支持基盤を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、CuPc(銅フタロシアニン)、NPD、Fir(pic)、DPVBi、CBP、Ir(ppy)3、Ir(piq)3、BAlq、Alq、LiFを各々素子作製に最適の量充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製またはタングステン製抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次いで、真空度4×10-4Paまで減圧した後、CuPcの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、CuPcを蒸着速度0.1nm/秒で透明支持基盤のITO電極側に蒸着し、15nmの正孔注入層を設けた。
次いで、NPDを蒸着速度0.1nm/秒で正孔注入層上に蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、25nmの正孔輸送層を設けた。
次いで、Fir(pic)を3質量%として、DPVBiをホストとして、合計の蒸着速度0.1nm/秒で正孔輸送層上に共蒸着して、膜厚15nmの青色発光層を設けた。
次いで、中間層としてCBPを蒸着速度0.1nm/秒で青色発光層上に5nm蒸着した。
次いで、Ir(ppy)3を5質量%として、CBPをホストとして、合計の蒸着速度0.1nm/秒で中間層上に共蒸着して、膜厚10nmの緑色発光層を設けた。
次いで、中間層としてCBPを蒸着速度0.1nm/秒で緑色発光上に5nm蒸着した。
次いで、Ir(piq)3を8質量%として、CBPをホストとして、合計の蒸着速度0.1nm/秒で中間層上に共蒸着して、膜厚10nmの赤色発光層を設けた。
次いで、赤色発光層の上に正孔阻止層としてBAlqを蒸着速度0.1nm/秒で15nm蒸着した。
次いで、正孔阻止層の上に電子輸送層としてAlqを蒸着速度0.1nm/秒で30nm蒸着した。
更に、電子注入層としてLiFを電子輸送層上に蒸着速度0.1nm/秒で1nm蒸着した。
最後にアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、有機EL素子501(図5参照)を作製した。
そして前記蒸着面側をガラスケースで覆い、有機エレクトロルミネッセンス素子501を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。図5(b)は照明装置の断面図を示し、図5(b)において、505は陰極、506は有機EL層、507は透明電極付きガラス基板を示す。尚、ガラスカバー502内には窒素ガス508が充填され、デシカント剤509が設けられている。
Figure 2008269962
Figure 2008269962
《光学部材の作製》
カバーと同じアクリル樹脂で作製した光学部材を、透明基板との成す角度、或いは反射率が異なる反射面を、表面材料を変更して以下の9種類を作製した。内容を表2に示す。尚、反射面は各金属を蒸着したPETを、接着剤で光学部材に貼り付け、反射率は緑波長での値を示した。
Figure 2008269962
照明装置の作製
先に記載した陽極を50mm×50mmとして作製した有機ELパネルを4枚、及び光学部材OM−1からOM−9を使用して、隣接パネルの給電部を、各光学部材の上端面を利用してAlで接続した、図1及び図2に示した3行3列の照明装置101から109を作製した。
各パネルが1000cd/m2になるように外部電源から電圧を印加して発光させた状態を目視観察し、パネルのつなぎ目の暗さを官能評価した。
×:暗さが極めて目立つレベル
△:暗さが気になるレベル
○:暗さがあまり目立たないレベル
◎:暗さがほとんど目立たないレベル
上記評価結果を表3に示す。
Figure 2008269962
表3に示した結果から明らかなように、請求項1〜3に係る発明により、複数のパネルをつないだ場合のパネル間の暗さを改善することができることが分かる。
なお、請求項4に係る発明により、パネルの陽極領域内における発光状態を、各パネルごとに比較すると、均一な発光が得られることが確認された。これは本発明の光学部材を利用して、隣接する有機ELパネルを直列、並列に任意に接続した結果、等価な電位に設定できたためである。また、請求項5に係る発明により、光散乱シートをカバー透明基板側に一面に貼り付けたところ、更にパネル間の暗さが改善され、非発光時にはパネル間の接続線が目立たなくすることができることが確認された。また、請求項6に係る発明により、有機ELパネルが白色に発光した場合でも、発光領域ごとの色度変化は気にならないようにすることができることが確認された。
実施例2
《有機エレクトロルミネッセンスパネルNo.201の作製》
陽極として50mm×50mm、厚さ0.4mmのガラス基板上に、ITO(インジウムチンオキシド)を150nmの厚さで成膜した支持基板にパターニングを行った後、このITO透明電極を付けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った後、この透明支持基板を市販の真空蒸着装置に接続するプラズマ処理用チャンバー内の基板ホルダーに固定した。また、真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を各々素子作製に最適の量充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製またはタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
酸素圧力1Pa、電力100W(電極面積 約450cm2)で2分間、プラズマ処理を行った後、基板を大気に曝露することなく、有機層蒸着チャンバーに移送し、有機層の成膜を行った。
まず、真空度1×10-4Paまで減圧した後、m−MTDATAの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で透明支持基板に蒸着し、10nmの正孔注入層を設けた。次いで、α−NPDを同様にして蒸着し30nmの正孔輸送層を設けた。
次いで、以下の手順で各発光層を設けた。
化合物D−1及びH−1を、D−1が5質量%の濃度になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、発光極大波長が518nm、厚さ5nmの緑色燐光発光層(表4に記載の発光層1)を形成した。次いで、化合物D−2及びH−1を、D−2が8質量%の濃度になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、発光極大波長が622nm、厚さ10nmの赤色燐光発光層(表5に記載の発光層2)を形成し、更に、化合物1−79、D−4およびH−1を、D−4が9質量%になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、発光極大波長が470nm、厚さ20nmの青色燐光発光層(表6に記載の発光層3)を形成した。
その後、化合物M−1を膜厚10nmに蒸着して正孔阻止層を形成し、更にCsFを膜厚比で10%になるように化合物M−1と共蒸着し、厚さ45nmの電子輸送層を形成した。
更に、アルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、有機EL素子1を作製した。
次いで、有機EL素子1の非発光面をガラスケースで覆い、有機EL素子501を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。尚、ガラスカバー502内には窒素ガス508が充填され、デシカント剤509が設けられている。
発光材料、ホスト化合物、ドープ濃度、および膜厚を表3に記載した以外は、有機ELパネル201と全く同様にして有機ELパネル202、203を作製した。
Figure 2008269962
Figure 2008269962
Figure 2008269962
Figure 2008269962
このように作製した有機ELパネル4種を、実施例1に記載したとおり、各々3行3列の照明装置を作製した評価を行った。結果を表7に示す。
〔電力効率の測定〕
分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)を用いて、各有機EL素子の正面輝度及び輝度角度依存性を測定し、正面輝度1000cd/m2における電力効率を求めた。なお、表7には、照明装置201の電力効率を100とした際の相対値で表示した。
〔駆動寿命、及び色度安定性の評価〕
正面輝度4000cd/m2を初期輝度として連続駆動時の輝度変動を追跡し、t=0における色度と、輝度半減時間、及びその時の色度を分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)により測定し、その色度差ΔEを下記式より求めた。なお下記式においてx、yは、CIE1931表色系における色度x、yである。
ΔE=(Δx2+Δy21/2
上記評価結果を表7に示す。
Figure 2008269962
表7に示した結果から明らかなように、請求項7及び8に係る発明により、電力効率と駆動寿命を飛躍的に向上することができることが分かる。
本発明の照明装置の一形態の断面図 本発明の照明装置の一形態の平面図。有機EL層を挟む電極を含むが、図示していない。 本発明の光学部材の一形態の断面図 本発明の照明装置に適用する光散乱シートの一形態の断面図 (a)照明装置の一例の概略図、(b)照明装置の一例の断面図
符号の説明
100 照明装置
101 有機ELパネル
102 透明基板
103 有機EL層
104 封止カバー
105 デシカント材
106 光学部材
107 反射面
108 カバー
109 接続線(給電部の接続部分)
200 照明装置
201 有機ELパネル
203 有機EL層
204 封止カバー
206 光学部材
209 接続線
301 透明基板
306 光学部材
307 反射面
308 カバー
402 透明基板
408 カバー
410 光散乱シート
501 有機EL素子
502 ガラスカバー
505 陰極
506 有機EL層
507 透明電極付きガラス基板
508 窒素ガス
509 デシカント剤
x 基板と光学部材の角度

Claims (8)

  1. 透明基板、陽極と陰極に挟まれた発光層、及び封止部材から構成される有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた面光源のパネルを並べた照明装置のための光学部材であって、次の要件を満たすことを特徴とする光学部材。
    (1)前記光学部材は隣接する前記透明基板に接触して挟まれる。
    (2)前記透明基板の端部と面する前記光学部材の面が光反射機能を有する。
    (3)光反射機能を有する前記光学部材の面と、前記透明基板のなす角度は、30°以上60°以下である。
    (4)前記光学部材の前記透明基板と平行な面は、前記基板の電極側の面と同じ高さである。
  2. 請求項1に記載の光学部材において、前記光反射機能を有する光学部材の反射面が80%以上の反射率を有することを特徴とする光学部材。
  3. 有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた面光源のパネルを並べた照明装置において、隣接するパネルの間の任意の箇所に請求項1又は2に記載の光学部材が介在することを特徴とする照明装置。
  4. 請求項3に記載の照明装置において、隣接するパネルの電極間の電気的接続が、前記光学部材の面上を経由して、任意にされていることを特徴とする照明装置。
  5. 請求項3又は4に記載の照明装置において、透明基板の光出射側の面が光散乱機能を有することを特徴とする照明装置。
  6. 有機エレクトロルミネッセンス素子から取り出される光が白色であることを特徴とする前記請求項3〜5のいずれか一項に記載の照明装置。
  7. 請求項3〜6のいずれか一項に記載の照明装置において、前記有機エレクトロルミネッセンス素子が、異なる色の光を発光するドーパントを同一層内に含有する発光層を少なくとも1層有することを特徴とする照明装置。
  8. 請求項3〜7のいずれか一項に記載の照明装置において、前記有機エレクトロルミネッセンス素子が青色発光層を有し、かつ当該青色発光層が下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする照明装置。
    Figure 2008269962
    〔式中、R1は置換基を表す。Zは5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。n1は0〜5の整数を表す。B1〜B5は炭素原子、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を表し、B1〜B5の少なくとも一つは窒素原子を表す。M1は元素周期表における8族〜10族の金属を表す。X1およびX2は炭素原子、窒素原子もしくは酸素原子を表し、L1はX1およびX2とともに2座の配位子を形成する原子群を表す。m1は1、2または3の整数を表し、m2は0、1または2の整数を表すが、m1+m2は2または3である。〕
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