JP2008268244A - 波長変換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】水晶の有する旋光性による影響が少ない、波長変換効率の向上した波長変換素子を提供すること。
【解決手段】各積層体4の右水晶板1および右水晶板2で発生した第2高調波200をダイクロイックミラー5で取り出すことができ、水晶の右旋光性によって偏光面の回転した第2高調波200の干渉による影響が、他の積層体4で発生した第2高調波200におよびレーザ光100に及ばない。また、右水晶板1および右水晶板2の主面は光学接合によって接合されているので、接合界面でのレーザ光100および第2高調波200の減衰を抑えることができる。したがって、水晶の有する旋光性による影響が少ない、波長変換効率の向上した波長変換素子10を得ることができる。
【選択図】図3
【解決手段】各積層体4の右水晶板1および右水晶板2で発生した第2高調波200をダイクロイックミラー5で取り出すことができ、水晶の右旋光性によって偏光面の回転した第2高調波200の干渉による影響が、他の積層体4で発生した第2高調波200におよびレーザ光100に及ばない。また、右水晶板1および右水晶板2の主面は光学接合によって接合されているので、接合界面でのレーザ光100および第2高調波200の減衰を抑えることができる。したがって、水晶の有する旋光性による影響が少ない、波長変換効率の向上した波長変換素子10を得ることができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、水晶の非線形光学効果を利用した、レーザ光の波長を変換する波長変換素子に関する。
レーザ発振によって放出されるレーザ光の波長領域は限られており、必要な波長を得るためには、波長変換が必要である。
波長変換の1つとして、非線形光学結晶中で基本波から発生する第2高調波を利用する方法が知られている。その中で広く用いられているのは、位相整合法である。位相整合法では、複屈折性が大きく、屈折率の分散の小さな結晶を必要とする。そのため、利用できる結晶が限られる。
この問題を解決する方法として、薄い非線形光学結晶板を積層し、波長変換素子として使用する擬似位相整合方法が知られている。その中でも、隣接した非線形光学結晶板の結晶軸方向を互いに逆にし、非線形光学係数が1枚ごとに異符号になるものが知られている(非特許文献1参照)。非特許文献1では、水晶およびLiNbO3を用いた例が示されている。
また、結晶軸方向を反転させるために、水晶板または水晶板に押し付ける板に周期的な表面段差加工を施し、所定の温度で水晶板と水晶板に押し付ける板を合わせて圧力を印加して双晶周期構造を形成し、結晶軸反転領域を周期的に得る方法が知られている(特許文献1参照)。
さらに、双晶周期構造を得るために、水晶基板上にバッファ層によってエピタキシャル成長した層を交互に積層する方法が知られている(特許文献2参照)。
波長変換の1つとして、非線形光学結晶中で基本波から発生する第2高調波を利用する方法が知られている。その中で広く用いられているのは、位相整合法である。位相整合法では、複屈折性が大きく、屈折率の分散の小さな結晶を必要とする。そのため、利用できる結晶が限られる。
この問題を解決する方法として、薄い非線形光学結晶板を積層し、波長変換素子として使用する擬似位相整合方法が知られている。その中でも、隣接した非線形光学結晶板の結晶軸方向を互いに逆にし、非線形光学係数が1枚ごとに異符号になるものが知られている(非特許文献1参照)。非特許文献1では、水晶およびLiNbO3を用いた例が示されている。
また、結晶軸方向を反転させるために、水晶板または水晶板に押し付ける板に周期的な表面段差加工を施し、所定の温度で水晶板と水晶板に押し付ける板を合わせて圧力を印加して双晶周期構造を形成し、結晶軸反転領域を周期的に得る方法が知られている(特許文献1参照)。
さらに、双晶周期構造を得るために、水晶基板上にバッファ層によってエピタキシャル成長した層を交互に積層する方法が知られている(特許文献2参照)。
非線形光学結晶としての水晶は、安価である他に、紫外領域の150nm程度まで透明である点、温度変化による屈折率変動が小さい点、レーザ光に対する損傷閾値が高い点等の利点がある。しかしながら、水晶は旋光性を有している。
図5は、水晶の旋光性並びに生成される第2高調波を説明する概略部分斜視図である。水晶19の結晶軸(+X,+Y)を一点鎖線矢印20a、20bで示し、水晶19への入射光の進行方向を矢印21で示した。
図5に示す如く旋光性とは、その結晶中を光が伝播する際に偏光面(図中の両矢印は偏光方向を示している)が回転する現象である。水晶19に入射した基本波の偏光22が右回りに回転した偏光23の基本波となって出射する、このときの回転角度θを旋光角と呼ぶ。さらに、このとき、波長変換により第2高調波24が生成される。生成された第2高調波24の偏光方向は水晶19に入射した偏光22の偏光方向と同じである。
さらに、図6に示すように、右水晶を積層していくにしたがって旋光性により徐々に偏光面が回転する。前述したように、波長変換素子では基本波(偏光方向を実線両矢印を示した)から第2高調波(偏光方向を破線両矢印で示した)が発生する。よって、旋光性により波長変換素子内(積層体中)を基本波の偏光面、第2高調波の偏光面は共に回転しながら進行する。また、旋光性の影響は一般的に波長が短いほど大きくなるので、基本波より波長が小さい第2高調波(第2高調波の波長は基本波の波長の1/2である)の方が旋光角は大きくなる。(第2高調波の旋光角は基本波の旋光角に比べて約2倍である)さらに、右水晶に入射した基本波により生成される第2高調波の偏光面は当該基本波の偏光面と一致する。このため積層体の1層目で生じた第2高調波の偏光面と、積層体中のN層目で生じた第2高調波の偏光面とでは、積層体中を通過していく過程で基本波の偏光面は回転していくので当該基本波の偏光面が回転した分だけ、偏光面の方向が異なる。これによりある層から第2高調波は干渉による減衰が生じることとなる。
従って、波長変換素子を構成する水晶板の積層体の積層数を増やすと、第2高調波が干渉して波長変換効率が低下する問題が生じる。ここで、積層数と変換効率との関係を図7に示す。図7は変換効率を規格化効率として表している。
図7に示すように、積層数が約50層を超えると、旋光性がない場合と比較し徐々に変換効率に差が生じ始め、約150層を越えると、積層数を増やすと逆に変換効率が低下することが分かった。このため変換効率において、所定の積層数において上限値を示し、当該所定の積層数を超えてしまうと変換効率が減少してしまうという問題があった。
本発明の目的は、水晶の有する旋光性による影響の少ない、波長変換効率の向上した波長変換素子を提供することにある。
図5は、水晶の旋光性並びに生成される第2高調波を説明する概略部分斜視図である。水晶19の結晶軸(+X,+Y)を一点鎖線矢印20a、20bで示し、水晶19への入射光の進行方向を矢印21で示した。
図5に示す如く旋光性とは、その結晶中を光が伝播する際に偏光面(図中の両矢印は偏光方向を示している)が回転する現象である。水晶19に入射した基本波の偏光22が右回りに回転した偏光23の基本波となって出射する、このときの回転角度θを旋光角と呼ぶ。さらに、このとき、波長変換により第2高調波24が生成される。生成された第2高調波24の偏光方向は水晶19に入射した偏光22の偏光方向と同じである。
さらに、図6に示すように、右水晶を積層していくにしたがって旋光性により徐々に偏光面が回転する。前述したように、波長変換素子では基本波(偏光方向を実線両矢印を示した)から第2高調波(偏光方向を破線両矢印で示した)が発生する。よって、旋光性により波長変換素子内(積層体中)を基本波の偏光面、第2高調波の偏光面は共に回転しながら進行する。また、旋光性の影響は一般的に波長が短いほど大きくなるので、基本波より波長が小さい第2高調波(第2高調波の波長は基本波の波長の1/2である)の方が旋光角は大きくなる。(第2高調波の旋光角は基本波の旋光角に比べて約2倍である)さらに、右水晶に入射した基本波により生成される第2高調波の偏光面は当該基本波の偏光面と一致する。このため積層体の1層目で生じた第2高調波の偏光面と、積層体中のN層目で生じた第2高調波の偏光面とでは、積層体中を通過していく過程で基本波の偏光面は回転していくので当該基本波の偏光面が回転した分だけ、偏光面の方向が異なる。これによりある層から第2高調波は干渉による減衰が生じることとなる。
従って、波長変換素子を構成する水晶板の積層体の積層数を増やすと、第2高調波が干渉して波長変換効率が低下する問題が生じる。ここで、積層数と変換効率との関係を図7に示す。図7は変換効率を規格化効率として表している。
図7に示すように、積層数が約50層を超えると、旋光性がない場合と比較し徐々に変換効率に差が生じ始め、約150層を越えると、積層数を増やすと逆に変換効率が低下することが分かった。このため変換効率において、所定の積層数において上限値を示し、当該所定の積層数を超えてしまうと変換効率が減少してしまうという問題があった。
本発明の目的は、水晶の有する旋光性による影響の少ない、波長変換効率の向上した波長変換素子を提供することにある。
本発明の波長変換素子は、第1の水晶板の結晶軸と第2の水晶板の結晶軸との対応する結晶軸のうち少なくとも2つの結晶軸方向が逆になるように、前記第1の水晶板と前記第2の水晶板とが交互に積層されている積層体を複数備え、前記積層体の間に、基本波を透過し第2高調波を反射するダイクロイックミラーが設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、各積層体の第1の水晶板および第2の水晶板で発生した第2高調波を各積層体ごとにダイクロイックミラーで取り出せるので、水晶の右旋光性によって偏光面の回転した第2高調波の干渉による影響が、他の積層体で発生する第2高調波および基本波には及ばない。この時、積層体の積層数を、変換効率が低下する積層数より小さくすることで、変換効率を向上させることができる。したがって、水晶の有する旋光性による影響の少ない、波長変換効率の向上した波長変換素子が得られる。
本発明では、前記第1の水晶板および前記第2の水晶板の主面は結晶光学軸に直交しているのが好ましい。
この発明では、第1の水晶板および第2の水晶板がZ軸カット(水晶板の主面に対する法線と結晶光学軸(Z軸)とが平行となるカット)されているので、主面に対する入射光の常光に対する屈折率と異常光に対する屈折率との差が少なく、位相のずれから生じる光の干渉による光の減衰が少なくなる。したがって、より波長変換効率が向上した波長変換素子が得られる。
なお、Z軸に対して直交するとは、通常の製造過程における直交からの誤差範囲を含むものである。
この発明では、第1の水晶板および第2の水晶板がZ軸カット(水晶板の主面に対する法線と結晶光学軸(Z軸)とが平行となるカット)されているので、主面に対する入射光の常光に対する屈折率と異常光に対する屈折率との差が少なく、位相のずれから生じる光の干渉による光の減衰が少なくなる。したがって、より波長変換効率が向上した波長変換素子が得られる。
なお、Z軸に対して直交するとは、通常の製造過程における直交からの誤差範囲を含むものである。
本発明では、前記第1の水晶板および前記第2の水晶板は右旋光性を有する右水晶板であるのが好ましい。
この発明では、広く流通している右水晶板を用いるので安価に波長変換素子が得られる。
この発明では、広く流通している右水晶板を用いるので安価に波長変換素子が得られる。
本発明では、前記第1の水晶板と前記第2の水晶板とが光学接合しているのが好ましい。
この発明では、第1の水晶板および第2の水晶板の主面は光学接合によって接合されているので、接合界面での基本波および第2高調波の減衰が抑えられる。
この発明では、第1の水晶板および第2の水晶板の主面は光学接合によって接合されているので、接合界面での基本波および第2高調波の減衰が抑えられる。
本発明では、前記光学接合は、直接接合であるのが好ましい。
この発明では、水晶板同士が接着剤等を介さずに直接接合されているので、水晶板間での光の減衰がより抑えられ、より波長変換効率の向上した波長変換素子が得られる。
この発明では、水晶板同士が接着剤等を介さずに直接接合されているので、水晶板間での光の減衰がより抑えられ、より波長変換効率の向上した波長変換素子が得られる。
本発明では、前記直接接合は、表面活性化接合であるのが好ましい。
この発明では、表面活性化処理を行うことによって、水晶板に高温を加えることなく水晶板同士の接合ができるので、多数の水晶板を接合して得られる波長変換素子の熱膨張による歪みが抑えられる。したがって、歪みに伴う接合部の剥離が抑えられ、素子の信頼性が向上する。
この発明では、表面活性化処理を行うことによって、水晶板に高温を加えることなく水晶板同士の接合ができるので、多数の水晶板を接合して得られる波長変換素子の熱膨張による歪みが抑えられる。したがって、歪みに伴う接合部の剥離が抑えられ、素子の信頼性が向上する。
以下、本発明を具体化した実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態における波長変換素子10を示した概略部分斜視図である。波長変換素子10は、複数の積層体4と、積層体4と積層体4との間に配置した複数のダイクロイックミラー5とを備えている。
図2には、積層体4の概略斜視図を、図3には、波長変換素子10の概略部分断面図を示した。図3中の矢印は、基本波であるレーザ光100の入射方向およびレーザ光100によって発生した第2高調波200の出射方向を示している。レーザ光100の入射方向は実線矢印で、第2高調波200の出射方向は破線矢印で示した。
図1は、実施形態における波長変換素子10を示した概略部分斜視図である。波長変換素子10は、複数の積層体4と、積層体4と積層体4との間に配置した複数のダイクロイックミラー5とを備えている。
図2には、積層体4の概略斜視図を、図3には、波長変換素子10の概略部分断面図を示した。図3中の矢印は、基本波であるレーザ光100の入射方向およびレーザ光100によって発生した第2高調波200の出射方向を示している。レーザ光100の入射方向は実線矢印で、第2高調波200の出射方向は破線矢印で示した。
図1において、積層体4は右水晶板1と右水晶板2とを備えている。右水晶板1と右水晶板2とは交互に順次積層されている。また、右水晶板1と右水晶板2とは一組で波長変換板3を構成している。
ここで、水晶には結晶構造が鏡像関係にある右水晶と左水晶とがあるのは周知の通りである。従って、右水晶と左水晶では旋光性に起因した光の偏光面の回転方向が逆になる性質がある。そこで、右水晶による旋光性を右旋光、左水晶による旋光性を左旋光と呼ぶ。
ダイクロイックミラー5は、誘電体多層膜を用いることができる。波長変換効率を向上させるためには、レーザ光100に対する透過率が99%以上100%以下、第2高調波200の反射率が99%以上100%以下が好ましい。
ダイクロイックミラー5に誘電体多層膜を用いる場合、レーザ光100および第2高調波200の入射角に応じて誘電体多層膜の各膜厚および屈折率を設計する。低屈折率材料としては、フッ化マグネシウム、二酸化ケイ素等、中間屈折率材料としては、酸化アルミニウム等、高屈折率材料としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリユム、酸化タンタル等を用いることできる。
ここで、水晶には結晶構造が鏡像関係にある右水晶と左水晶とがあるのは周知の通りである。従って、右水晶と左水晶では旋光性に起因した光の偏光面の回転方向が逆になる性質がある。そこで、右水晶による旋光性を右旋光、左水晶による旋光性を左旋光と呼ぶ。
ダイクロイックミラー5は、誘電体多層膜を用いることができる。波長変換効率を向上させるためには、レーザ光100に対する透過率が99%以上100%以下、第2高調波200の反射率が99%以上100%以下が好ましい。
ダイクロイックミラー5に誘電体多層膜を用いる場合、レーザ光100および第2高調波200の入射角に応じて誘電体多層膜の各膜厚および屈折率を設計する。低屈折率材料としては、フッ化マグネシウム、二酸化ケイ素等、中間屈折率材料としては、酸化アルミニウム等、高屈折率材料としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリユム、酸化タンタル等を用いることできる。
図2において、右水晶板1,2は、その対応する結晶軸のうち少なくとも2つの方向が交互に逆方向になるように光学接合されている。
より具体的には、右水晶板1,2はZ軸(光学結晶軸)に直交するように切り出され、右水晶板1のX軸の正方向およびY軸の正方向と右水晶板2のX軸の正方向およびY軸の正方向とは逆方向になるように、右水晶板1,2とは貼り合わされ、波長変換板3が構成されている。
複数の波長変換板3は、右水晶板1同士の結晶軸方向と右水晶板2同士の結晶軸方向をそれぞれ一致させ、右水晶板1と右水晶板2とが交互になるように、光学接合されている。
より具体的には、右水晶板1,2はZ軸(光学結晶軸)に直交するように切り出され、右水晶板1のX軸の正方向およびY軸の正方向と右水晶板2のX軸の正方向およびY軸の正方向とは逆方向になるように、右水晶板1,2とは貼り合わされ、波長変換板3が構成されている。
複数の波長変換板3は、右水晶板1同士の結晶軸方向と右水晶板2同士の結晶軸方向をそれぞれ一致させ、右水晶板1と右水晶板2とが交互になるように、光学接合されている。
光学接合は、右水晶板1,2と屈折率差が少ない接着剤によって接合する方法もあるが、直接接合であることが好ましい。また、高温で融着させる方法もあるが、表面活性化接合がより好ましい。例えば、水晶板の接合面を水の存在下でプラズマ処理して、接合面にシラノール基を形成し、シラノール基の存在する表面を合わせて、脱水縮合させることにより、水晶板間がシラン結合によって接合される。また、表面活性化処理として、アルカリ処理等を用いることもできる。さらに、水晶板の表面をシランカップリング剤で処理した後に、シランカップリング剤の官能基を利用した接合方法であってもよい。
以下に、波長変換素子10に入射したレーザ光100について説明する。
図3において、積層体4に入射したレーザ光100は、積層された右水晶板1,2を進む。このとき、右水晶板1,2ではレーザ光100によって第2高調波200も発生し、擬似位相整合が行われる。また、右水晶板1,2の有する右旋光性によりレーザ光100および第2高調波200の偏光面は回転する。
積層体4を透過したレーザ光100および第2高調波200はダイクロイックミラー5に向かう。ダイクロイックミラー5では、第2高調波200が反射され、レーザ光100は透過する。
図3では、ダイクロイックミラー5はレーザ光100に対して45°の角度で傾けられているが、第2高調波200が同じ方向に取り出せるのであれば、角度は何度であってもよい。各ダイクロイックミラー5のレーザ光100に対する角度を同等にすれば第2高調波200は同じ方向に反射する。
図3において、積層体4に入射したレーザ光100は、積層された右水晶板1,2を進む。このとき、右水晶板1,2ではレーザ光100によって第2高調波200も発生し、擬似位相整合が行われる。また、右水晶板1,2の有する右旋光性によりレーザ光100および第2高調波200の偏光面は回転する。
積層体4を透過したレーザ光100および第2高調波200はダイクロイックミラー5に向かう。ダイクロイックミラー5では、第2高調波200が反射され、レーザ光100は透過する。
図3では、ダイクロイックミラー5はレーザ光100に対して45°の角度で傾けられているが、第2高調波200が同じ方向に取り出せるのであれば、角度は何度であってもよい。各ダイクロイックミラー5のレーザ光100に対する角度を同等にすれば第2高調波200は同じ方向に反射する。
ダイクロイックミラー5を透過したレーザ光100は、次の積層体4に向かい、右水晶板1,2ではレーザ光100によってさらに新たな第2高調波200が発生し、擬似位相整合が行われる。
レーザ光100は、複数の積層体4の中を進み、その強度は第2高調波200を発生しながら減衰していく。
一方、発生した第2高調波200は、各積層体4から出射した後、各ダイクロイックミラー5で反射される。第2高調波200は位置がずれながら出射されるが、シリンドリカルレンズ等で集光して利用する。
レーザ光100は、複数の積層体4の中を進み、その強度は第2高調波200を発生しながら減衰していく。
一方、発生した第2高調波200は、各積層体4から出射した後、各ダイクロイックミラー5で反射される。第2高調波200は位置がずれながら出射されるが、シリンドリカルレンズ等で集光して利用する。
ダイクロイックミラー5を設置する間隔が細かいほど変換効率が向上するが、波長変換素子10全体の大きさも大きくなるので変換効率と大きさとの兼合いで決めることができる。
ここで波長変換素子10の変換効率について検討する。
基本波の1層あたりの旋光角をρ0、第2高調波の1層あたりの旋光角をρ2とすると、M層目から生成した第2高調波がN層目に達した時に回転角度θ2は、
θ2=ρ0×N+ρ2・(N−M)
但し、N=0、1、2・・・ , M=0、1、2・・・ ,N>M
と表すことができる。
この時のX方向、Y方向の振幅はそれぞれ
Ax=cos(θ2)
Ay=sin(θ2)
となる。M層目で生成した第2高調波のN層目までの総和は、以下の式(1)で表すことができる。
基本波の1層あたりの旋光角をρ0、第2高調波の1層あたりの旋光角をρ2とすると、M層目から生成した第2高調波がN層目に達した時に回転角度θ2は、
θ2=ρ0×N+ρ2・(N−M)
但し、N=0、1、2・・・ , M=0、1、2・・・ ,N>M
と表すことができる。
この時のX方向、Y方向の振幅はそれぞれ
Ax=cos(θ2)
Ay=sin(θ2)
となる。M層目で生成した第2高調波のN層目までの総和は、以下の式(1)で表すことができる。
図4は、波長変換素子10の水晶板の積層数と規格化された効率との関係を示した図である。図において、各水晶板の板厚は、20.9μmとし、1054nmから532nmへの波長変換を想定した。図4は変換効率を規格化効率として表している。
図4において、実施形態の構成における構造での結果を一点鎖線で、水晶が有するような旋光性のない場合で得られる擬似位相整合方法による結果を破線で示した。実線は、実施形態のような反射構造をとらない場合を示した。
旋光性による影響を修正した場合は、積層数が増加するとともに変換効率は向上するが、旋光性による影響を修正しない場合は、150層くらいから変換効率の低下が見られ、積層数をむやみに増やすのは効率面で不利であることが分った。
図4において、実施形態の構成における構造での結果を一点鎖線で、水晶が有するような旋光性のない場合で得られる擬似位相整合方法による結果を破線で示した。実線は、実施形態のような反射構造をとらない場合を示した。
旋光性による影響を修正した場合は、積層数が増加するとともに変換効率は向上するが、旋光性による影響を修正しない場合は、150層くらいから変換効率の低下が見られ、積層数をむやみに増やすのは効率面で不利であることが分った。
そこで、変換効率が低下するある程度の積層数で、2次高調波のみを取り出し、干渉を防止する構造について鋭意検討した結果、想到したのが図1や図3に示す構造である。
この構造を適用した時の変換効率の特性についてシミュレーションした結果を図4に示す。
図4のグラフにおける一点鎖線の曲線は、積層体4の積層数を50層とし、当該50層毎にダイクロイックミラーを配置することによって、当該ダイクロイックミラーにより第2高調波を取り出した場合についてシミュレーションした結果得られた変換効率である。
図に示すように、従来の構造と比較すると、変換効率は大幅に改善され、旋光性が無い場合と比較しても、6%程度の低下で抑えることができた。
この構造を適用した時の変換効率の特性についてシミュレーションした結果を図4に示す。
図4のグラフにおける一点鎖線の曲線は、積層体4の積層数を50層とし、当該50層毎にダイクロイックミラーを配置することによって、当該ダイクロイックミラーにより第2高調波を取り出した場合についてシミュレーションした結果得られた変換効率である。
図に示すように、従来の構造と比較すると、変換効率は大幅に改善され、旋光性が無い場合と比較しても、6%程度の低下で抑えることができた。
以下、実施形態の効果を記載する。
(1)各積層体4の右水晶板1および右水晶板2で発生した第2高調波200をダイクロイックミラー5で取り出すことができるので、水晶の右旋光性によって偏光面の回転した第2高調波200の干渉による影響が、他の積層体4で発生する第2高調波200やレーザ光100には及ばない。また、右水晶板1および右水晶板2の主面は光学接合によって接合されているので、接合界面でのレーザ光100および第2高調波200の減衰を抑えることができる。したがって、水晶の有する旋光性による影響が少ない、波長変換効率の向上した波長変換素子10を得ることができる。
(1)各積層体4の右水晶板1および右水晶板2で発生した第2高調波200をダイクロイックミラー5で取り出すことができるので、水晶の右旋光性によって偏光面の回転した第2高調波200の干渉による影響が、他の積層体4で発生する第2高調波200やレーザ光100には及ばない。また、右水晶板1および右水晶板2の主面は光学接合によって接合されているので、接合界面でのレーザ光100および第2高調波200の減衰を抑えることができる。したがって、水晶の有する旋光性による影響が少ない、波長変換効率の向上した波長変換素子10を得ることができる。
(2)右水晶板1,2がZ軸カット(水晶板の主面に対する法線と結晶光学軸(Z軸)とが平行となるカット)されているので、主面に対するレーザ光100の常光に対する屈折率と異常光に対する屈折率との差を極めて小さくすることができ、位相のずれに起因した光の干渉による光の減衰を少なくできる。したがって、より波長変換効率が向上した波長変換素子10を得ることができる。
(3)広く流通している右水晶板1,2を用いるので安価に波長変換素子10を得ることができる。
(4)右水晶板1,2同士が接着剤等を介さずに直接接合されているので、右水晶板1,2間での光の減衰をより抑えることができ、より波長変換効率の向上した波長変換素子10を得ることができる。
(5)表面活性化処理を行うことによって、右水晶板1,2に高温を加えることなく右水晶板1,2同士の接合ができるので、多数の右水晶板1,2を接合して得られる波長変換素子10の変形を抑えることができる。したがって、変形に伴う入射光の右水晶板1,2間での光路異常を少なくでき、より波長変換効率の向上した波長変換素子10を得ることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、第1の水晶板および第2の水晶板は、両方とも左旋光性を有する左水晶板であってもよい。
また、右水晶板1および右水晶板2の形状は直方体形状でなく、光学軸の方向を識別するためのオリフラが形成されていてもよいし、円柱状等の形状であってもよい。
さらに、積層体4のレーザ光100の入射面、出射面に誘電体多層膜による反射防止膜を設ければ、積層体4と雰囲気との界面での反射による強度損失が低下し、変換効率を向上することができる。
例えば、第1の水晶板および第2の水晶板は、両方とも左旋光性を有する左水晶板であってもよい。
また、右水晶板1および右水晶板2の形状は直方体形状でなく、光学軸の方向を識別するためのオリフラが形成されていてもよいし、円柱状等の形状であってもよい。
さらに、積層体4のレーザ光100の入射面、出射面に誘電体多層膜による反射防止膜を設ければ、積層体4と雰囲気との界面での反射による強度損失が低下し、変換効率を向上することができる。
また、本発明を実施するための最良の方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、使用する材料、形状、数量その他の詳細な事項において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。したがって、上記に開示した材料、形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの材料、形状、数量などの限定の一部もしくは全部の限定を外した記載は、本発明に含まれるものである。
1…第1の水晶板としての右水晶板、2…第2の水晶板としての右水晶板、4…積層体、5…ダイクロイックミラー、10…波長変換素子。
Claims (6)
- 第1の水晶板の結晶軸と第2の水晶板の結晶軸との対応する結晶軸のうち少なくとも2つの結晶軸方向が逆になるように、前記第1の水晶板と前記第2の水晶板とが交互に積層されている積層体を複数備え、
前記積層体の間に、基本波を透過し第2高調波を反射するダイクロイックミラーが設けられている
ことを特徴とする波長変換素子。 - 請求項1に記載の波長変換素子において、
前記第1の水晶板および前記第2の水晶板の主面は結晶光学軸に直交している
ことを特徴とする波長変換素子。 - 請求項1または請求項2に記載の波長変換素子において、
前記第1の水晶板および前記第2の水晶板は右旋光性を有する右水晶板である
ことを特徴とする波長変換素子。 - 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の波長変換素子において、
前記第1の水晶板と前記第2の水晶板とが光学接合している
ことを特徴とする波長変換素子。 - 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の波長変換素子において、
前記光学接合は、直接接合である
ことを特徴とする波長変換素子。 - 請求項5に記載の波長変換素子において、
前記直接接合は、表面活性化接合である
ことを特徴とする波長変換素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007106756A JP2008268244A (ja) | 2007-04-16 | 2007-04-16 | 波長変換素子 |
Applications Claiming Priority (1)
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Family
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Family Applications (1)
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-
2007
- 2007-04-16 JP JP2007106756A patent/JP2008268244A/ja not_active Withdrawn
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