JP2008268076A - 非破壊識別方法及び非破壊識別装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】検査対象を破壊することなく、従来に比べてより簡易に被検体の材料を識別することのできる非破壊識別方法及び非破壊識別装置を提供する。
【解決手段】非破壊識別装置は、既知の材質からなる標準試料5及び被検体3にX線2を放射する線源1と、これらを透過した放射線を検出するセンサ4と、センサ4の信号を画像に変換する信号処理装置7と、得られた画像における標準試料5部分の輝度値或いは輝度値と標準試料5の厚みの関係が、線源1のエネルギーを第1のエネルギーとした場合の第1の画像と、第2のエネルギーとした場合の第2の画像とにおいて同じになるように当該第2の画像全体に調整を施し、調整を施した第2の画像と第1の画像との差分或いは比を取る演算処理を行う画像演算処理装置8と、画像を表示する表示装置9とを具備している。
【選択図】図1
【解決手段】非破壊識別装置は、既知の材質からなる標準試料5及び被検体3にX線2を放射する線源1と、これらを透過した放射線を検出するセンサ4と、センサ4の信号を画像に変換する信号処理装置7と、得られた画像における標準試料5部分の輝度値或いは輝度値と標準試料5の厚みの関係が、線源1のエネルギーを第1のエネルギーとした場合の第1の画像と、第2のエネルギーとした場合の第2の画像とにおいて同じになるように当該第2の画像全体に調整を施し、調整を施した第2の画像と第1の画像との差分或いは比を取る演算処理を行う画像演算処理装置8と、画像を表示する表示装置9とを具備している。
【選択図】図1
Description
本発明は、X線又はγ線を用いて容器内の不明物質を非破壊で識別する非破壊識別方法及び非破壊識別装置に関する。
X線又はγ線が物質を透過する際には、その構成物質の種類や形状によって吸収や散乱が異なる。これを映像として写真やビデオ、デジタルファイル等として記録すれば、物質の破損状態、変化、充填状況等を把握することができる。これは一般にレントゲン写真で人体の内部の状態を診察する方法として用いられている。測定したい物体あるいは試料を破壊せずに内部の状態を測定するこの方法はラジオグラフィまたは非破壊放射線撮影法と呼ばれている。
医療診断や工業用非破壊検査などに利用されるX線撮影では、通常、撮影系の感度を向上させるために、X線フィルムを放射線増感紙と組み合わせて使用している。X線撮影においては、被検体を透過したX線が直接フィルムの銀粒子を黒化する以外に、増感紙で可視光に変換され、光でX線用フィルム上の銀粒子を黒化させることによって、被検体の透過画像を得ている。
空港の手荷物検査のようにセンサにラインセンサを用い、物体が通過する際に、ラインセンサでスキャンして透過画像を非破壊で測定する方法もある。これらX線を用いた非破壊検査方法において、複合材の場合や被検体を透過する厚さが著しく異なる場合には、透過線量が部分的に極端に多くなったり少なくなったりするため、多い線量が少ない線量の所に回り込んで、一般にかぶりとかハレーションと呼ばれる現象を起こして撮影結果が見え難くなる。このような現象を解決する方法として、センサの感度領域をカラー情報により拡大する方法などが提案されている。
原子力プラント等では、放射性廃棄物は、ドラム缶やコンテナ等の密閉容器に詰められ保管されている。この保管量が近年増大してきており、減容化が必要とされている。減容化のための処理方法は材質によって異なるので、内容物を材質別に分別する必要があるが、分別作業には危険性を伴う。放射性廃棄物をドラム缶ごと溶融処理たとえばプラズマ溶融処理する場合には、作業員がドラム缶を開缶し、ドラム缶内の放射性廃棄物を取り出して分別する。とくにアルミニウムと鉛は溶融処理に適さないため、溶融処理せずに保管する必要がある。この理由はアルミニウムを溶融処理しコンクリ−トで固めると、コンクリ−ト内の水分とアルミニウムが反応して水素が発生し、溶融炉に損傷を与える恐れがあるためである。また鉛を溶融すると有毒ガスが発生し、公害防止上好ましくない。従って特に溶融処理をする場合には、ドラム缶内にアルミニウムや鉛がないことを非破壊で容易に判定できる方法及び装置が望まれている。
従来のこのような廃棄物の分別処理方法の例として、金属検出装置により廃棄物内に金属があるか否かを分別し、さらにX線検査装置により金属の形状が非定形なものか定形なものかを分別する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。そのほか、ロ−ラコンベア上を移動する放射性廃棄物の成分を、捕獲γ線分析装置と蛍光X線分析装置との組合せにより求める方法がある(例えば、特許文献2参照。)。これら従来技術のうち前者の技術は、金属の種類を識別することができず、後者の技術は、材料の識別はできるが開放が必須になる。一方、非破壊で内容物の材質を判別する方法としてはX線CT法がある。X線CT法では各廃棄物のX線吸収割合、すなわちX線吸収係数を求め、さらに各廃棄物の厚さを求めることにより各廃棄物の材質を判別することができる。しかしながら、この方法では、デ−タ収集、画像再構成演算、表示等のため、装置構成が複雑になり、コストが高くなる。
これを解決する手法として、以下の方法がある。この方法では、X線管の管電圧をパラメータとしてX線透視画像階調値またはその関数を検出し、これを材質ごとに基準階調とする。この基準階調は、計算からも求められ、データテーブルとして登録しておく。被検体を測定して予めデータベースとしている基準階調と比較して材質を特定する。この方法では、特に鉛、アルミニウムの識別をX線CTよりも簡便に行うことができる(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、この方法では、異なる材質が透視方向にかけて重なり合っている際には、1つの材質ごとの基準関数からは、判定し難く、また厚みが基準関数と異なる際にも同様に判定し難い等の課題がある。更にこの方法では、パラメータとしてX線の管電圧(エネルギーと同じ、厳密には分布を持つので等価ではない)により物質によるX線透過の厚さ依存性を用いて、得られる輝度値から判定を行っている。しかし、管電圧をパラメータとする場合、同時に管電流をパラメータとしなければ、判別可能な輝度データが得られない。例えば、300kVのデータの管電流と100kVの管電流では100kVの管電流を多くしなければ同様な輝度にならない。従って材質毎に膨大なデータをテーブルとして持たなくてはならず、また、正確な判定を行うためには被検体の測定条件もデータベースを取得した条件と同じにしなくてはならない。しかし廃棄物の場合、中身の材質や大きさが様々であり、常に同じ条件で撮影ができるとは限らない。したがって測定条件を変更する度にデータベースも測定し直さねばならないという課題がある。
特開平6−273588号公報
特開平7−209493号公報
特許第3193665号公報
上記のように従来複合材料の非破壊識別検査を行う方法としては、材質毎に厚さの異なる情報とX線の管電圧による透過輝度データを予め測定しておき、求めたい被検体の輝度データと管電圧を変化させた際の画像輝度値の変化を、予めデータベースとしているデータの変化と比較して材質を識別しなければならなかった。また、この方法でも複合材のように材料が重なっている場合(例えば、鉄とアルミニウムなど)には、輝度変化から材質を識別することは困難であった。更に、事前に登録している管電圧と材質並びに材質の厚さのデータは、X線が安定しない状況では、γ線のような単色なエネルギーとは異なりブロードに広がりを持つエネルギー分布を有し、安定した再現性のある輝度データを得るのは現実的には難しいという問題があった。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、検査対象を破壊することなく、従来に比べてより簡易に被検体の材料を識別することのできる非破壊識別方法及び非破壊識別装置を提供することにある。
本発明に係る非破壊識別方法は、線源からX線又はγ線からなる放射線を被検体に照射し、前記被検体を透過した放射線の透過画像から前記被検体内部の内容物を識別する非破壊識別方法において、前記被検体及び1つ以上の既知の材質からなる標準試料に対して、前記線源のエネルギーを第1のエネルギーとして放射線を照射し、第1の透過画像を取得する工程と、前記被検体及び1つ以上の前記標準試料に対して、前記線源のエネルギーを前記第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーとして放射線を照射し、第2の透過画像を取得する工程と、前記第2の透過画像における前記標準試料の部分の輝度値が、前記第1の透過画像における前記標準試料の部分の輝度値と略同じ輝度値になるように、前記第2の透過画像に輝度調整を施す工程と、前記輝度調整を行った第2の透過画像と、前記第1の透過画像との差分を取ることにより、前記標準試料と同一の材質部分のみを消去した画像を得る工程とを具備したことを特徴とする。
また、本発明に係る他の非破壊識別方法は、線源からX線又はγ線からなる放射線を被検体に照射し、前記被検体を透過した放射線の透過画像から前記被検体内部の内容物を識別する非破壊識別方法において、前記線源のエネルギーを第1のエネルギーとして、厚さ及び材質が既知の標準試料を順次追加しながら、前記標準試料と前記被検体の透過画像を撮影する工程と、前記線源のエネルギーを第1のエネルギーと異なる第2のエネルギーとして、前記標準試料を順次追加しながら、前記標準試料と前記被検体の透過画像を撮影する工程とから、2種類のエネルギーにおける前記標準試料の厚みと透過した放射線の輝度値の関係を求めて、前記標準試料の透過画像における前記第1のエネルギーで得られた輝度値が前記第2のエネルギーで求めた輝度値と略同じ値になる関数を求め、当該関数を前記第1のエネルギーで得られた透過画像全体に作用させた画像と、前記第2のエネルギーで得られた透過画像の比をとることにより、標準試料部分の輝度を特定の値に規格化することを特徴とする。
また、本発明に係る他の非破壊識別方法は、線源からX線又はγ線からなる放射線を被検体に照射し、前記被検体を透過した放射線の透過画像から前記被検体内部の内容物を識別する非破壊識別方法において、前記線源のエネルギーを第1のエネルギーとして、厚さ及び材質が既知の標準試料を順次追加しながら、前記標準試料と前記被検体の透過画像を撮影する工程と、前記線源のエネルギーを第1のエネルギーと異なる第2のエネルギーとして、前記標準試料を順次追加しながら、前記標準試料と前記被検体の透過画像を撮影する工程とから、2種類のエネルギーにおける前記標準試料の厚みと透過した放射線の輝度値の関係を求め、前記被検体の前に追加した前記標準試料の厚みに対する輝度値の関係と、前記標準試料のみにおける厚みと輝度値の関係とを比較することにより、前記被検体の材質とその厚みを推定することを特徴とする。
本発明に係る非破壊識別装置は、既知の材質からなる1つ以上の標準試料と、前記標準試料及び被検体にX線又はγ線からなる放射線を放射する線源であって、エネルギーを可変とされた線源と、前記標準試料及び前記被検体を透過した放射線を検出するセンサと、前記センサの信号を画像に変換する信号処理装置と、前記信号処理装置によって得られた画像における前記標準試料部分の輝度値或いは輝度値と前記標準試料の厚みの関係が、前記線源のエネルギーを第1のエネルギーとした場合の第1の画像と、前記第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーとした場合の第2の画像とにおいて同じになるように当該第2の画像全体に調整を施し、調整を施した前記第2の画像と前記第1の画像との差分或いは比を取る演算処理を行う画像演算処理装置と、前記画像演算処理装置によって演算処理された画像を表示する表示装置とを備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る他の非破壊識別装置は、既知の材質及び厚さの標準試料と、前記標準試料及び被検体にX線又はγ線からなる放射線を放射する線源であって、エネルギーを可変とされた線源と、前記標準試料及び前記被検体を透過した放射線を検出するセンサと、前記センサの信号を画像に変換する信号処理装置と、を具備し、前記標準試料の厚さと前記線源のエネルギーを変えて透過画像をその都度測定し、前記標準試料の厚さ及び前記線源のエネルギーによる前記画像の輝度の変化から前記被検体の材質と厚さを導出することを特徴とする。
本発明によれば、検査対象を破壊することなく、従来に比べてより簡易に被検体の材料を識別することのできる非破壊識別方法及び非破壊識別装置を提供することができる。
以下、本発明の詳細を実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る非破壊識別装置の構成を示すものである。図1に示すように、本実施形態の非破壊識別装置は、既知の材質からなる標準試料5と、標準試料5及び被検体3にX線2を放射する線源1と、標準試料5及び被検体3を透過した放射線を検出するセンサ4と、センサ4の信号を画像に変換する信号処理装置7と、信号処理装置7によって得られた画像における標準試料5部分の輝度値或いは輝度値と標準試料5の厚みの関係が、線源1のエネルギーを第1のエネルギーとした場合の第1の画像と、第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーとした場合の第2の画像とにおいて同じになるように当該第2の画像全体に調整を施し、調整を施した第2の画像と第1の画像との差分或いは比を取る演算処理を行う画像演算処理装置(パーソナルコンピュータ)8と、画像を表示する表示装置9とを具備している。また、線源1はX線発生装置コントローラ6によって、管電圧及び管電流を調整可能としている。
X線源1から放射されるX線2は、被検体3及び既知の材料からなる標準試料5を透過してセンサ4にて測定される。なお、本実施形態ではX線を用いているがγ線を用いることもできる。センサ4は、X線イメージインテンシファイアのようなエリアセンサとし、被検体3及び標準試料5を透過したX線を受光して、その出力信号を信号処理装置7に伝送する。出力信号は信号処理装置7により画像に変換され、画像演算処理装置8に送られる。画像演算処理装置8は得られた画像を画像処理し、材質の識別を行う。
X線の物質中の透過は、物質に入射する前の強度をI0とし、透過後の強度をIとすると、
I=I0exp(−μρt) (1)
で表される。ここで、μ(cm2/g)はX線のエネルギーに依存した質量エネルギー吸収係数、ρ(g/cm3)は透過した物質の密度、t(cm)はX(γ)線が透過する厚さを示している。γ線の場合にはエネルギーが単色で表される事が多いために、質量エネルギー吸収係数μは全減衰係数として計算により与えられるが、X線の場合には用いるX線管のエネルギー特性が単色ではなくかなりブロードなエネルギー分解能の悪い広がったスペクトル(低いエネルギーから高いエネルギーまで広がった)を持つために簡単に計算で与えられず、実効的なエネルギーとして実験などにより求められる。同じ厚さtの物質を測定する場合を想定すると、透過強度は、物質の密度と質量エネルギー吸収係数に依存する。
I=I0exp(−μρt) (1)
で表される。ここで、μ(cm2/g)はX線のエネルギーに依存した質量エネルギー吸収係数、ρ(g/cm3)は透過した物質の密度、t(cm)はX(γ)線が透過する厚さを示している。γ線の場合にはエネルギーが単色で表される事が多いために、質量エネルギー吸収係数μは全減衰係数として計算により与えられるが、X線の場合には用いるX線管のエネルギー特性が単色ではなくかなりブロードなエネルギー分解能の悪い広がったスペクトル(低いエネルギーから高いエネルギーまで広がった)を持つために簡単に計算で与えられず、実効的なエネルギーとして実験などにより求められる。同じ厚さtの物質を測定する場合を想定すると、透過強度は、物質の密度と質量エネルギー吸収係数に依存する。
質量エネルギー吸収係数μは、照射するX線のエネルギーに依存して変化する。例えば、AlであればX線エネルギー100keVに対する質量エネルギー吸収係数はμAl=0.171 (cm2/g)であり、X線エネルギー200keVに対する質量エネルギー吸収係数はμAl=0.122 (cm2/g)と小さくなるため(1)式より、X線のエネルギーが高い方が透過しやすくなる。このX線エネルギーと質量エネルギー吸収係数の関係は材質によって異なる。
以下、本実施形態における材質識別方法の原理を、図2を用いて説明する。図2(a)、(b)はX線管電圧100kVと150kVで撮影した場合のX線吸収特性を、AlとFeを例にとって測定した結果を示している。X線の管電圧が異なるということは、照射するX線のエネルギーが実効的に異なるということである。従って先に述べた通り、管電圧が異なれば質量エネルギー吸収係数も変化するため、材質の厚みに対するX線吸収特性が異なってくる。
ここで図2(a)における管電圧100kVのデータが管電圧150kVのデータと同じになるように輝度を調整する関数を実験的に求めるものとする。求められた関数を管電圧100kVのデータに作用させると当然Alは図2(c)のように同じ傾きになる。一方図2(d)は、Feに対して上記の関数を作用させたものである。図2(d)のように、Feはエネルギーに対する質量エネルギー吸収係数の変化量がAlと異なるため、同じ関数をFeの管電圧100kVのデータに作用させても管電圧150kVのデータと同じにならない。従って、両者の差分を取った時、図2(e)に示すようにAlはいずれの吸収長でもゼロとなるが、他の材質ではゼロにならない。この処理を画像に適用すれば、厚さに限らずAl部分だけを消去した画像が得られる。なお、図2(e)にFeの他にSUS,Cuの評価結果を示してある。図2(e)に示すとおり、FeとSUSはほぼ同じ成分であることから同じ傾向を示し、CuはFeとも異なる傾向を示す。
以上の原理を画像処理に適用し、材質識別に応用する手順を、図3を用いて説明する。図3(a)における画像1は材質の異なる内容物11、12、13を入れた容器と、材質が既知の標準試料14を例えばX線イメージインテンシファイアのようなイメージセンサで撮影したイメージ画像とする。15はイメージセンサの測定可能領域を示している。ここで、内容物のうち内容物13のみ他の内容物11,12と材質が異なるのだが、たまたま輝度が一致しているものとする。
次にエネルギーを変えて撮影した画像を図3(b)における画像2とする。内容物11と内容物12は材質が同じなので輝度の変化量も一致するが、内容物13は吸収係数の変化量が異なるので輝度に違いが生じる。但し通常、これだけでは内容物11と内容物12の材質が同じで、内容物13では材質が異なることは推定できるが、何であるかは判定できない。そこで、同じ画面上で撮影した既知の材質でできた標準試料14の画像部分を用いて、図2を用いて説明した手順により標準試料14と同じ材質を消去する事を考える。
まず初めに、画像1における14a〜eと画像2における14a〜eの輝度が一致するような関数を画像2に作用させ、図3(c)における画像2’を作成する。この時、例えば内容物11と内容物12が標準試料14と同じ材質であれば明るさの変化量も同じになるので、関数を作用させることにより、画像2’における内容物11、内容物12の輝度が、画像1における内容物11、内容物12と輝度と一致することになる。したがって、変換後の画像2’と画像1の差分をとることにより、標準試料14と同じ材質のみが消去された図3(d)における画像3が得られる。内容物13は材質が異なるため、同様の変換をしても輝度が一致せず、差分画像である画像3からは消去されない。このような処理を行えば、標準試料14と同じ材質のものだけが消去された画像3が得られる。この方法では、内容物12と内容物13のように重なってしまっている場合でも、重なり部分の痕跡が画像上に残るため、二つの材質が重なっていたという判断が可能になる。
本実施の形態によれば、方向を変えた画像を何枚も撮影したり、材質毎に膨大なデータベースを準備することなく材質の識別が可能になる。また、従来技術では難しかった複数の材質が重なり合っている場合でも適用できる。被検体11,12,13と標準試料14を同時に撮影し画像処理を行うことにより、撮影毎に変化するバックグラウンドの影響も除去でき、精度の高い測定ができる。
次に、図4を参照して第2の実施形態について説明する。図4は、本実施形態に係る非破壊識別装置の構成を示す図である。図4において1は、X線を発生させる線源である。この線源1から放出されるX線2を、被検体3に照射し、透過したX線2の強度をセンサとしてのイメージインテンシファイア4にて検出するようになっている。イメージインテンシファイア4の検出信号は、信号処理装置7と画像演算処理装置8にて処理されモニタ9にて表示される。線源1の管電圧及び管電流はX線発生装置コントローラ6にて調整するようになっている。
以下、本実施形態における材質識別方法の原理を図4を用いて説明する。被検体3の中には、X線エネルギー吸収係数が大きい金属16とX線エネルギー吸収係数が小さい金属17の材質が内包されている。これらの厚さを求めるために、まずX線のエネルギーを第1のエネルギー(例えば、線源1の管電圧を100kV)として透過量を求める。2つの内容物が異なる金属であっても厚さが異なることで強度がほぼ同じに見えることもある。
次に、X線のエネルギーを第2のエネルギー(例えば、線源1の管電圧を200kV)に変更すると、画面全体が明るくなるので、透過物質の無いX線aにおいての明るさが管電圧100kVの時と同じになるように管電流を調節する。この時、X線のエネルギーが違えば線吸収係数が変化するためX線b、X線cでの強度は必ずしも100kVと同じにはならない。続いて、100kVの時の強度値とほぼ同じになるように、標準試料としての金属板18を挿入していく。この金属板18の素性は明確になっている必要はあるが、鉄、銅など特に限定する必要はない。ここでは仮に銅の場合を考える。金属板18の厚さを増やし、ある厚さで100kVの時と同じ強度になったとする。このとき、X線2が金属板18を透過し、金属16または金属17を透過する。透過したX線2はそれぞれ、X線a、X線b、X線cに分かれてイメージインテンシファイア4にて画像化される。
ここで、評価対象物16および17が例えばアルミニウムや銅の場合を考える。先に述べたX線吸収特性の式(1)のμ、ρ、tを、それぞれアルミニウムについて、μAl、ρAl、tAl、銅について、μCu、ρCu、tCuと表示する。
あるX線の照射条件で被検体を測定したときの透過強度が等しい場合には、被検体の材質がアルミニウムなのか銅なのか区別がつかない。この条件の場合、上記式(1)の右辺が等しくなることから、次の式(2)
μAl×ρAl×tAl=μCu×ρCu×tCu (2)
が成り立つ。ρAl=2.7(g/cm3)、ρCu=8.9(g/cm3)である。
μAl×ρAl×tAl=μCu×ρCu×tCu (2)
が成り立つ。ρAl=2.7(g/cm3)、ρCu=8.9(g/cm3)である。
X線の照射条件が、実効的なエネルギーとして100keVとすると、文献からμは与えられ、
μAl=0.171(cm2/g)
μCu=0.461(cm2/g)
である。
これらの値を代入すると、
μAl×ρAl×tAl=0.171×2.7×tAl=0.46・tAl
μCu×ρCu×tCu=0.461×8.9×tCu=4.1・tCu
となり、(2)式から
tCu=0.113・tAl (3)
の関係が導かれる。従って、アルミニウムと銅ではX線の実効的なエネルギーが100keVの時、厚さが(3)式の状態で透過強度値が等しいといえる。
μAl=0.171(cm2/g)
μCu=0.461(cm2/g)
である。
これらの値を代入すると、
μAl×ρAl×tAl=0.171×2.7×tAl=0.46・tAl
μCu×ρCu×tCu=0.461×8.9×tCu=4.1・tCu
となり、(2)式から
tCu=0.113・tAl (3)
の関係が導かれる。従って、アルミニウムと銅ではX線の実効的なエネルギーが100keVの時、厚さが(3)式の状態で透過強度値が等しいといえる。
次に、X線の照射条件を、実効的なエネルギーとして200keVとすると、
μAl=0.122(cm2/g)
μCu=0.157(cm2/g)
であり、これらの値を代入すると、
μAl×ρAl×tAl=0.122×2.7×tAl=0.33・tAl
μCu×ρCu×tCu=0.157×8.9×tCu=1.4・tCu
となり(2)式から
tCu=0.236・tAl (4)
の関係が導かれる。
従って、(3)式を満たすことにより100keVの時に輝度が等しくなっても、200keVの時には等しくならない。
μAl=0.122(cm2/g)
μCu=0.157(cm2/g)
であり、これらの値を代入すると、
μAl×ρAl×tAl=0.122×2.7×tAl=0.33・tAl
μCu×ρCu×tCu=0.157×8.9×tCu=1.4・tCu
となり(2)式から
tCu=0.236・tAl (4)
の関係が導かれる。
従って、(3)式を満たすことにより100keVの時に輝度が等しくなっても、200keVの時には等しくならない。
ここで、図4に示すX線エネルギー吸収係数が大きい金属16を銅、X線エネルギー吸収係数が小さい金属17をアルミニウムとした例を考える。上記計算式(2)、(3)より銅の厚さtCuとアルミニウムの厚さtAlの間に100keVのX線エネルギーの場合tCu=0.113・tAl が成り立っていれば、透過強度が等しく、画像上は同じ明るさとなる。この状態では、アルミニウムと銅を画像上から区別することはできない。そこで、透過させるX線のエネルギーを変えて測定する。100keVから200keVまでエネルギーを上げると銅を透過したX線輝度値は指数上−4.1・tCuから−1.4tCu・まで変化して透過強度が上がり、画像上は明るくなる。これらの画像を同じ明るさ(透過強度)にするためには、
−4.1tCu =−1.4・(x+tCu)より、x=(2.7/1.4)tCu
より、(2.7/1.4)tCu分だけ厚さを増やせば良いことになる。
−4.1tCu =−1.4・(x+tCu)より、x=(2.7/1.4)tCu
より、(2.7/1.4)tCu分だけ厚さを増やせば良いことになる。
次に、この原理を用いた材質と厚みの判定手順を以下に示す。200keVの時の厚みと透過輝度の関係は、金属板(銅板)18を順次追加し、X線aの輝度を測定することで求められる。次に、銅板をΔtcm追加した時、X線cにおける輝度が100keV時のX線cと同じ輝度になったとする。また、さらに銅板を追加して厚さTの時にX線aでの輝度が100keV時のX線cと同じ輝度になったとする。
この時、内容物16が銅であれば、tCu+Δt=Tとなり、tCuが求められる。求められたtCuにおける200keVの輝度が先程求めた厚みと輝度の関係から逸脱している場合には内容物16は銅ではないと判定できる。以上のような一連の作業を、別の標準物質を用いて順次行うことにより、材質の推定と、厚みの判定ができる。
以上の方法で明確になる場合は、材質が複合となっていない場合である。そこで、金属板18を増やしていったときのX線aの強度と増やした金属板18の厚さに関する相対関係をエネルギーの異なる測定結果から求める。例えば、エネルギー100keVの時、CuとAlの厚さに対する透過輝度を、厚みがゼロの輝度に対して規格化したグラフを図5(a)に、エネルギー200keVの時のグラフを図5(b)に示す。ここで、エネルギー100keVの時のCu傾きが200keVのCuの傾きと同様になるような関数を求める。この関数をエネルギー100keVのデータ全体に掛け算し200keVのデータで割り算すると、図6に示すようにCuの透過輝度データは厚さによらず1に規格化される。このときAlは、エネルギーによる厚さに対する変化量がCuと比べて異なるために、大きく変化して輝度データとして得られる。
この方法は、銅とアルミニウムが重なって複合状態になっていても銅の部分のみが1に規格化され同じ輝度値として表示されるため、重なったアルミニウムの部分は異なった輝度値として表示され、画像上も複合材として判断することができる。また、これらデジタル画像データの演算から輝度を1に規格化したところのみを選択して別の色で表示することも可能になる。この処理は、他の求めたい金属でも同じように処理して銅以外に鉄や真鍮などでも行える。
本実施の形態によれば、既知の厚さの物質を追加して測定するだけで、被検体の物質の推定とその厚さを導出することができる。
次に、図7を参照して第3の実施形態について説明する。図7は、被検体をAl、SUSでできた内容物を入れたスチール缶とし、標準試料としてAlステップゲージを同時に撮影した画像を示している。図7(a)は管電圧100kVで、図7(b)は管電圧150kVで撮影したものである。センサとしてはカラーX線イメージインテンシファイアを用いている。カラーX線イメージインテンシファイアは、放射線を光に変換するシンチレータと、発光した光を電気信号に変換しこの電気信号を電子増幅する増幅機能と、電気信号の強度に応じた複数色の発光をするカラーシンチレータと、カラーカメラとを組み合わせて構成されている。図7の表示画像は赤、緑、青の3成分のうち赤成分のみを抽出したものである。内容物の厚みが不明なため、図7(a)、図7(b)の画像のみからは材質の識別はできない。
そこで、第1の実施形態で述べたような処理を行い、材質の識別を行う。Alステップゲージの輝度値が図7(a)、図7(b)両者の画像で一致するような関数を求め、ここでは図7(a)の画像全体に作用させる。続いて、Alステップゲージの輝度値が一致するように変換した図7(a)の画像から図7(b)の画像を差分処理すると図7(c)のような画像が得られる。図7(c)ではAl成分のみが消去されている。このようにして例えば赤成分からAl材質のみを消去し、Alを消去していない緑成分と合成すると、Alのみが緑色で表示された画像が得られる。
複数の標準試料を同時に撮影し、同様の手順により各成分別に異なる材質を消去する処理を行うことにより、材質によって違う色で表示させる事が可能になる。
本実施形態によれば、方向を変えた画像を何枚も撮影することなく瞬時に、厚みが異なるものも全て同時に材質の識別ができるとともに、色別に表示することにより視認性が向上する。
次に、図8を参照して第4の実施形態について説明する。図8は、X線の吸収係数をAl、Fe、Pbを例にとって比較したものである。図8より、PbのK吸収端よりエネルギーの高い領域に着目すると、X線エネルギーに対する質量吸収係数の変化の割合はPb>Fe>Alのように、原子番号が大きい元素程大きくなる。
このことを踏まえ、AlとFeを例にとって元素の推定方法を図9を用いて説明する。まず初めに、管電圧条件として300kVと150kVの2種類でAlとFeの2種類のステップゲージを撮影してその吸収係数を求める。続いて、第1の実施形態で説明した手順を用いてAlを消去する関数を求め、作用させた場合のFeの吸収特性を求めたものが図9(a)である。逆にFeを消去する関数を求め、作用させた場合のAlの吸収特性を求めたものは図9(b)である。
前述したように、X線エネルギーに対する吸収係数の変化の割合はFe>Alであることから、300kVと150kVでの輝度の違いはAlよりもFeの方がより大きい。故に、図9(a)に示すように、Fe150kVのデータにAl150kVのデータを300kVに変換する関数を作用させても、Fe300kVの輝度には届かない。従って、(Fe300kVp生データ)−(Fe150kVp変換後データ)>0となる。
また、逆にAl150kVのデータにFe150kVのデータを に変換する関数を作用させると、図9(b)に示すとおり、Al300kVの輝度を超えてしまう。従って、(Al300kVp生データ)−(Al150kVp変換後データ)<0となる。
以上を利用すれば、変換後の画像の差分を取った時の測定対象部分の輝度値が正か負かによって、構成元素が標準物質より重いか軽いかを推定できる。また、変換後の画像を割り算してもよく、この場合は測定対象部分の輝度が1より大きいか小さいかによって判定することになる。なお、X線吸収係数は密度との積であるが、材質によっては成分の原子番号の大小関係と密度の大小関係が必ずしも一致していない場合がある。以上のような判定を行うためには密度と質量吸収係数の積である線吸収係数の大小関係が、質量吸収係数の大小関係と同じである場合に限る。
本実施の形態によれば、既知の標準物質を複数準備し評価することにより、標準試料が必ずしも測定対象と同じでなくても、測定対象の材質を推定することができる。
次に、第5の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態における標準試料14または第2の実施形態における標準試料18を測定エリア15の四隅に配置する。すなわち、センサ4がエリアセンサの場合、図10に示すように、被検体3の形状にもよるが通常は必ず測定エリア15のどこかにデッドスペースができる。そこで、測定したい材質で厚さが数段階(例えば3段階以上)異なるマーカーを標準試料14a〜14dとして、予め測定エリア15内の画像の影響が少ない場所(例えば4隅または4辺)に設置しておけば、その都度標準試料を挿入することなく測定することができる。
次に、第6の実施形態について説明する。この第6の実施形態では、図1または図4に示した実施形態において、センサ4としてラインカメラを用いる。まず初めに、X線のエネルギーを例えば150keVとして図10のように配置した試料をラインカメラでスキャンして画像を得る。続いてX線エネルギーを300keVにし、同様にスキャンする。スキャンによる画像のずれは、四隅に置いた標準試料で校正する事ができる。ラインカメラの場合はエリアセンサの場合と異なり、スキャンする長さを増やす事によって大きな画像を得る事が可能である。このような構成によれば、被検体の大きさの制限なく材質の識別が可能になる。
1……線源、2……X線、3……被検体、4……イメージインテンシファイア、5……標準試料、6……X線発生装置コントローラ、7……信号処理装置、8……画像演算処理装置、9……モニタ、11,12,13……内容物。
Claims (11)
- 線源からX線又はγ線からなる放射線を被検体に照射し、前記被検体を透過した放射線の透過画像から前記被検体内部の内容物を識別する非破壊識別方法において、
前記被検体及び1つ以上の既知の材質からなる標準試料に対して、前記線源のエネルギーを第1のエネルギーとして放射線を照射し、第1の透過画像を取得する工程と、
前記被検体及び1つ以上の前記標準試料に対して、前記線源のエネルギーを前記第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーとして放射線を照射し、第2の透過画像を取得する工程と、
前記第2の透過画像における前記標準試料の部分の輝度値が、前記第1の透過画像における前記標準試料の部分の輝度値と略同じ輝度値になるように、前記第2の透過画像に輝度調整を施す工程と、
前記輝度調整を行った第2の透過画像と、前記第1の透過画像との差分を取ることにより、前記標準試料と同一の材質部分のみを消去した画像を得る工程と
を具備したことを特徴とする非破壊識別方法。 - 線源からX線又はγ線からなる放射線を被検体に照射し、前記被検体を透過した放射線の透過画像から前記被検体内部の内容物を識別する非破壊識別方法において、
前記線源のエネルギーを第1のエネルギーとして、厚さ及び材質が既知の標準試料を順次追加しながら、前記標準試料と前記被検体の透過画像を撮影する工程と、
前記線源のエネルギーを第1のエネルギーと異なる第2のエネルギーとして、前記標準試料を順次追加しながら、前記標準試料と前記被検体の透過画像を撮影する工程とから、2種類のエネルギーにおける前記標準試料の厚みと透過した放射線の輝度値の関係を求めて、前記標準試料の透過画像における前記第1のエネルギーで得られた輝度値が前記第2のエネルギーで求めた輝度値と略同じ値になる関数を求め、
当該関数を前記第1のエネルギーで得られた透過画像全体に作用させた画像と、前記第2のエネルギーで得られた透過画像の比をとることにより、標準試料部分の輝度を特定の値に規格化することを特徴とする非破壊識別方法。 - 線源からX線又はγ線からなる放射線を被検体に照射し、前記被検体を透過した放射線の透過画像から前記被検体内部の内容物を識別する非破壊識別方法において、
前記線源のエネルギーを第1のエネルギーとして、厚さ及び材質が既知の標準試料を順次追加しながら、前記標準試料と前記被検体の透過画像を撮影する工程と、
前記線源のエネルギーを第1のエネルギーと異なる第2のエネルギーとして、前記標準試料を順次追加しながら、前記標準試料と前記被検体の透過画像を撮影する工程とから、2種類のエネルギーにおける前記標準試料の厚みと透過した放射線の輝度値の関係を求め、
前記被検体の前に追加した前記標準試料の厚みに対する輝度値の関係と、前記標準試料のみにおける厚みと輝度値の関係とを比較することにより、前記被検体の材質とその厚みを推定することを特徴とする非破壊識別方法。 - 請求項1に記載の非破壊識別方法において、
前記透過画像を撮影するセンサとして、カラー発光するシンチレータとカラーカメラの組み合わせからなり、異なる色の複数の画像を同時に撮影できるセンサを使用し、得られた複数の透過画像のそれぞれの成分に対して異なる材質を消去するための輝度調整を施すことにより複数の材質を色別に表示することを特徴とする非破壊識別方法。 - 請求項1に記載の非破壊識別方法において、
前記輝度調整を行った第2の透過画像と、前記第1の透過画像との差分を取ることにより、前記標準試料と同一の材質部分のみを消去した画像における未知の内容物部分の輝度値が正の値であるか負の値であるかによって主要な構成元素の原子番号或いは密度が前記標準試料の構成元素より大きいか小さいかを推定することを特徴とする非破壊識別方法。 - 請求項2に記載の非破壊識別方法において
前記標準試料部分の輝度値を1に規格化する演算処理を行った画像における未知の内容物の輝度値が1より大きいか小さいかによって主要な構成元素の原子番号或いは密度が前記標準試料の構成元素より大きいか小さいかを推定することを特徴とする非破壊識別方法。 - 既知の材質からなる1つ以上の標準試料と、
前記標準試料及び被検体にX線又はγ線からなる放射線を放射する線源であって、エネルギーを可変とされた線源と、
前記標準試料及び前記被検体を透過した放射線を検出するセンサと、
前記センサの信号を画像に変換する信号処理装置と、
前記信号処理装置によって得られた画像における前記標準試料部分の輝度値或いは輝度値と前記標準試料の厚みの関係が、前記線源のエネルギーを第1のエネルギーとした場合の第1の画像と、前記第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーとした場合の第2の画像とにおいて同じになるように当該第2の画像全体に調整を施し、調整を施した前記第2の画像と前記第1の画像との差分或いは比を取る演算処理を行う画像演算処理装置と、
前記画像演算処理装置によって演算処理された画像を表示する表示装置と
を備えたことを特徴とする非破壊識別装置。 - 請求項7に記載の非破壊識別装置において、
前記センサは、放射線を光に変換するシンチレータと、発光した光を電気信号に変換しこの電気信号を電子増幅する増幅機能と、電気信号の強度に応じた複数色の発光をするカラーシンチレータと、カラーカメラとを組み合わせて構成され、
得られた透過画像の赤、緑、青それぞれの成分に対して異なる材質を消去するための輝度調整を施すことにより複数の材質を色別に表示することを特徴とする非破壊識別装置。 - 既知の材質及び厚さの標準試料と、
前記標準試料及び被検体にX線又はγ線からなる放射線を放射する線源であって、エネルギーを可変とされた線源と、
前記標準試料及び前記被検体を透過した放射線を検出するセンサと、
前記センサの信号を画像に変換する信号処理装置と、
を具備し、
前記標準試料の厚さと前記線源のエネルギーを変えて透過画像をその都度測定し、前記標準試料の厚さ及び前記線源のエネルギーによる前記画像の輝度の変化から前記被検体の材質と厚さを導出することを特徴とする非破壊識別装置。 - 請求項7又は8に記載の非破壊識別装置において、
前記センサにエリアカメラを用い、撮像される画面の4隅または4辺に材質や厚さが3段階以上異なる標準試料を配置し、前記被検体と同時に撮像できるようにすると共に、放射線のエネルギーを変えて撮影した画像における前記標準試料部分の画像データを処理して前記被検体の内部の材質を識別することを特徴とする非破壊識別装置。 - 請求項7又は8に記載の非破壊識別装置において、
前記センサにラインカメラを用い、撮像するセンサの両サイドまたは上下に材質や厚さが3段階以上異なる標準試料を配置し、前記被検体と同時に撮像できるようにすると共に、放射線のエネルギーを変えて撮影した画像における前記標準試料部分の画像データを処理して前記被検体の内部の材質を識別することを特徴とする非破壊識別装置。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20091026 |
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