JP2008268075A - 非破壊検査方法及び非破壊検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来に比べてより簡易に精度の高い検査を行うことのできる非破壊検査方法及び非破壊検査装置を提供する。
【解決手段】X線源1から放出されるX線2を被検体3に照射し、被検体3透過したX線2の強度をイメージインテンシファイア4にて検出し、この検出信号をイメージプロセッサ7と計算機8にて処理してモニタ9に表示する。X線源1のエネルギーに相当する管電圧、強度に対応する管電流を線源コントローラ6にて調整可能となっている。また、被検体3の前面に、X線2を減衰させるマスクとしての金属板12を挿入可能となっており、金属板12の枚数によってマスク厚を変更できる。イメージインテンシファイア4は、金属板12のみを透過して被検体3を透過しないX線aと、金属板12と被検体3の内部を透過したX線b、cを検出する。
【選択図】図1
【解決手段】X線源1から放出されるX線2を被検体3に照射し、被検体3透過したX線2の強度をイメージインテンシファイア4にて検出し、この検出信号をイメージプロセッサ7と計算機8にて処理してモニタ9に表示する。X線源1のエネルギーに相当する管電圧、強度に対応する管電流を線源コントローラ6にて調整可能となっている。また、被検体3の前面に、X線2を減衰させるマスクとしての金属板12を挿入可能となっており、金属板12の枚数によってマスク厚を変更できる。イメージインテンシファイア4は、金属板12のみを透過して被検体3を透過しないX線aと、金属板12と被検体3の内部を透過したX線b、cを検出する。
【選択図】図1
Description
本発明は、電磁波や放射線を用いて容器内の不明物質を非破壊で検査する非破壊検査方及び非破壊検査装置に関する。
X線やγ線が物体を透過する際には、その構成物質の種類や形状によって吸収や散乱が異なる。これを映像として写真やビデオ、デジタルファイル等として記録すれば、物質の破損状態、変化、充填状況等を把握することができる。これは、一般にレントゲン写真で人体の内部の状態を診察する方法として医療診断に用いられている。測定したい物体あるいは試料を破壊せずに内部の状態を測定するこの方法は、ラジオグラフィまたは非破壊放射線撮影法と呼ばれている。
医療診断や工業用非破壊検査などに利用されるX(又はγ)線撮影では、撮影系の感度を向上させるために、X(又はγ)線フィルムを放射線増感紙と組み合わせて使用している。X(又はγ)線撮影においては、被検体を透過したX(又はγ)線が増感紙で可視光に変換され、光でX(又はγ)線用フィルム上の銀粒子を黒化させることによって、被検体の透過画像を得ている。
空港の手荷物検査のようにセンサーにラインセンサーを用い、物体が通過する際に、ラインセンサーでスキャンして透過画像を非破壊で測定する方法もある。
これら非破壊検査装置は、物体の内部を透視するための線源(例えばX線源、γ線源、または中性子線源が挙げられる)と、測定したい対象物(被検体)を透過した電磁波や放射線を測定するセンサーと、これらの線源、センサー、被検体を入れる遮蔽容器から基本的に構成される。更に、非破壊検査装置には、被検体を遮蔽容器内に入れたり出したりするための機械や窓、扉等が設けられている。
非破壊検査装置においては、放射線を遮蔽するための遮蔽体が必要となる。X線やγ線などの遮蔽材料には重金属が用いられ、一般的には鉛が多く用いられている。鉛が多く用いられる理由として、鉛は、重金属であるが安価で柔らかく、曲げて使うなど形状を自由にできる点でメリットが有ることが挙げられる。一方、鉛は、柔らかいため、変形しやすく、平らな面の天井に使う場合には垂れ下がるなどのデメリットもある。
最近では、鉛は有害物質として管理が厳しくなってきているため、タングステンが鉛の代わりに用いられる場合もある。しかし、タングステンは、鉛よりも原子番号は小さいが比重は大きく、非常に堅いため、切削加工等の加工がし難く、合金として使用される場合がある。また、タングステンは、非常に高価である。
遮蔽材料として鉛を用いる場合には、表面をコーティングして直接鉛に触れないようにする等の工夫がいる。更に、従来の容器製作では遮蔽容器の内側に鉛を貼ることがほとんどであるが、鉛自体が重く、接着させる場合の接着剤と接着後の塗装に制約があった。
他方、非破壊検査方法において、複合材の場合や被検体を透過する厚さが著しく異なる場合には、透過線量が部分的に極端に多くなったり少なくなったりするため、多い線量が少ない線量の所に回り込んで、一般にかぶりとかハレーションと呼ばれる現象を起こして撮影結果が見え難くなる。
このような現象を解決する方法として、測定センサーの感度領域(ダイナミックレンジ)をカラー情報により拡大する方法などが提案されている(例えば特許文献1、特許文献2)。
また、異なる材料や素材に対して、透視画像情報から材料の違いや種類の違いなど特にPCBの塩素濃度から種類を判別する方法も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2004−294287号公報
特開2005−106541号公報
特開2006−118943号公報
上記のように従来の技術では、かぶりとかハレーション等が生じて高精度の検査が困難になったり、測定センサーの感度のダイナミックレンジを大幅に広げなければならず装置構成等が複雑化する等の問題があり、より簡易に精度の高い検査を行うことのできる非破壊検査方法及び非破壊検査装置の開発が望まれていた。
本発明は、上記従来の事情に対処してなされたもので、従来に比べてより簡易に精度の高い検査を行うことのできる非破壊検査方法及び非破壊検査装置を提供しようとするものである。
本発明に係る非破壊検査方法は、線源から電磁波または放射線を被検体に照射し、前記被検体を透過した電磁波または放射線の強度を検出器によって検出することによって、前記被検体の内部の状態を非破壊で検査する非破壊検査方法であって、電磁波または放射線を減衰させるマスクを前記被検体の少なくとも一部を覆うように介在させ、前記マスクと前記被検体とを透過した電磁波または放射線の強度と、前記マスクのみを透過した電磁波または放射線の強度とから、前記被検体の内部の状態を検出することを特徴とする。
また、本発明に係る非破壊検査装置は、被検体に電磁波または放射線を照射する線源と、前記線源からの電磁波または放射線を減衰させるマスクであって、前記被検体の少なくとも一部を覆うように前記線源からの電磁波または放射線の経路に配置可能なマスクと、前記被検体及び前記マスクを透過した電磁波または放射線の強度を検出するための検出器とを具備したことを特徴とする。
本発明によれば、従来に比べてより簡易に精度の高い検査を行うことのできる非破壊検査方法及び非破壊検査装置を提供することができる。
以下、本発明の詳細を実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る非破壊検査方法及び非破壊検査装置では、X線やγ線等の電磁波の放射線を好適に用いることができるが、短波長の光、紫外線、等の放射線でない電磁波も用いることができる。以下では、X線を例に挙げて説明するが、γ線等他の放射線や、他の電磁波を用いても同様の効果が得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係る非破壊検査装置の構成を示す図である。図1において、1は電磁波または放射線を放出するための線源であり、本実施形態ではX線源を用いている。このX線源1から放出されるX線2を、被検体3に照射し、被検体3を透過したX線2の強度を検出器、本実施形態ではイメージインテンシファイア4にて検出し、この検出信号をイメージプロセッサ7と計算機8にて処理してモニタ9に表示するようになっている。
X線源1のエネルギーに相当する管電圧、強度に対応する管電流を線源コントローラ6にて調整可能となっている。また、イメージインテンシファイア4の出力や感度、測定エリアはイメージインテンシファイアコントローラ5にて調整可能となっている。また、被検体3の前面に、X線2を減衰させるマスクとしての金属板(本実施形態では銅板)12を挿入可能となっており、挿入する金属板12の枚数によってマスク厚を変更できるようになっている。そして、イメージインテンシファイア4は、金属板12のみを透過して被検体3を透過しないX線aと、金属板12と被検体3の内部を透過したX線b、cを検出できるようになっている。
ここで、本実施形態における非破壊検査方法の原理について説明する。物質に照射するX線の強度と、物質を透過したX線の強度との関係は、下記の式(1)で表される。
I=I0exp(−μρt) (1)
ここで、I0は物質を透過する前のX線の強度、Iは物質を透過した後のX線の強度、μ(cm2/g)はX線の質量エネルギー吸収係数(質量エネルギー吸収係数μは照射するX線のエネルギーに依存した物質固有の定数)、ρ(g/cm3)は、X線が透過した物質の比重、t(cm)は、X線が透過する物質の厚さ(透過距離)である。
I=I0exp(−μρt) (1)
ここで、I0は物質を透過する前のX線の強度、Iは物質を透過した後のX線の強度、μ(cm2/g)はX線の質量エネルギー吸収係数(質量エネルギー吸収係数μは照射するX線のエネルギーに依存した物質固有の定数)、ρ(g/cm3)は、X線が透過した物質の比重、t(cm)は、X線が透過する物質の厚さ(透過距離)である。
X線の透過強度Iは、イメージインテンシファイア4等の検出器を用いて検出することができる。イメージインテンシファイア4では、照射する放射線(例えばX線ならX線、γ線ならγ線)と反応するシンチレータを用い、シンチレータで発光した光を電気信号に変換して測定する。
質量エネルギー吸収係数μは、γ線の場合にはエネルギーが単色で表される事が多いために、全減衰係数として計算により与えられる。しかし、X線の場合には、用いるX線管のエネルギー特性が単色ではなくかなりブロードな(低いエネルギーから高いエネルギーまで広がった)スペクトルを持つため、簡単に計算で与えることはできず、実効的なエネルギーとして実験等により、質量エネルギー吸収係数μが与えられる。
同じ厚さtの物質を測定する場合を想定すると、透過強度は、物質の比重と質量エネルギー吸収係数に依存する。一例として、被検体の構成物質がアルミニウムや銅の場合を考える。式(1)のμ、ρ、tを、それぞれアルミニウムについて、μAl、ρAl、tAl、銅について、μCu、ρCu、tCuと表示する。
あるX線の照射条件で被検体を測定したときの透過強度が等しい場合には、被検体の材質がアルミニウムなのか銅なのか区別がつかない。この条件の場合、上記式(1)の右辺が等しくなることから、次の式(2)
μAl×ρAl×tAl=μCu×ρCu×tCu (2)
が成り立つ。ρAl=2.7(g/cm3)、ρCu=8.9(g/cm3)である。
μAl×ρAl×tAl=μCu×ρCu×tCu (2)
が成り立つ。ρAl=2.7(g/cm3)、ρCu=8.9(g/cm3)である。
X線の照射条件が、実効的なエネルギーとして100keVとすると、
μAl=0.171(cm2/g)
μCu=0.461(cm2/g)
である。
これらの値を代入すると、
μAl×ρAl×tAl=0.171×2.7×tAl=0.46・tAl
μCu×ρCu×tCu=0.461×8.9×tCu=4.1・tCu
となり、(2)式から
tCu=0.113・tAl (3)
の関係が導かれる。従って、アルミニウムと銅ではX線の実効的なエネルギーが100keVの時、厚さが(3)式の状態で透過強度値が等しいといえる。
μAl=0.171(cm2/g)
μCu=0.461(cm2/g)
である。
これらの値を代入すると、
μAl×ρAl×tAl=0.171×2.7×tAl=0.46・tAl
μCu×ρCu×tCu=0.461×8.9×tCu=4.1・tCu
となり、(2)式から
tCu=0.113・tAl (3)
の関係が導かれる。従って、アルミニウムと銅ではX線の実効的なエネルギーが100keVの時、厚さが(3)式の状態で透過強度値が等しいといえる。
同様に、X線の照射条件を、実効的なエネルギーとして200keVとすると、
μAl=0.122(cm2/g)
μCu=0.157(cm2/g)
であり、これらの値を代入すると、
μAl×ρAl×tAl=0.122×2.7×tAl=0.33・tAl
μCu×ρCu×tCu=0.157×8.9×tCu=1.4・tCu
となる。
μAl=0.122(cm2/g)
μCu=0.157(cm2/g)
であり、これらの値を代入すると、
μAl×ρAl×tAl=0.122×2.7×tAl=0.33・tAl
μCu×ρCu×tCu=0.157×8.9×tCu=1.4・tCu
となる。
銅について、X線の実効的なエネルギーが200keVの時の透過強度値I200と100keVの時の透過強度値I100との比を取ると、
I200/I100=exp(−1.4tCu)/exp(−4.1tCu)
=exp((4.1−1.4)tCu)=exp(2.7tCu)
となる。
I200/I100=exp(−1.4tCu)/exp(−4.1tCu)
=exp((4.1−1.4)tCu)=exp(2.7tCu)
となる。
ところで、実際の強度データは、指数上2.9倍明るくなると、デジタルデータとして画面で表示する場合、8ビットデータ(256階調)を越えてしまうため全てが明るくなり、そのまま画面で表示しても明るさの変化を見ることができない。そこで、本実施形態では、X線のエネルギーを高く(例えば200keV)変化させるとともに、被検体の前にマスクとして、既知の厚さの金属板12を追加していき、最初の(例えば100keV)条件とほぼ同じ明るさとなるまで金属板12の厚さを厚くする。
例えば、図1に示す非破壊検査装置において、被検体3の中には、比重の重い金属10と比重の軽い金属11が入っていると仮定する。金属板12が被検体3の前に無い状態でX線2を照射した場合における、被検体3を通らないX線aと、被検体3内の比重の軽い金属11を通ったX線bと、比重の重い金属10を通ったX線cとを比較する。この場合、X線aは、被検体3すなわち吸収体が無いので一番強度が強い。従って、変換された画像は一番明るくなる。
次に、X線の実効的なエネルギーが100keVの時に、被検体3の内部を透過したX線b、cの強度がたまたま等しかった場合について考える。式(1)より、材質に依存した線吸収係数μρと厚さtの積が等しいことになる。例えば、比重の軽い金属11としてアルミニウム、比重の重い金属10として銅を例に考えると、上記計算式(2)、(3)より、銅の厚さtCuとアルミニウムの厚さtAlの間に100keVのX線エネルギーの場合でtCu=0.113・tAlが成り立っていれば、透過強度が等しく、画像上は同じ明るさとなる。この状態では、アルミニウムと銅を画像上から区別することはできない。そこで、透過させるX線のエネルギーを変えて測定する。
100keVから200keVまでエネルギーを上げると強度値が指数上−4.1・tCuから−1.4・tCuまで変化して透過強度が上がり、画像上は明るくなる。同じ明るさ(透過強度)にするためには、2.7・tCu分金属板12の厚さを増やせば良い。ここで、2.7・tCu分厚さを増やすといっても具体的にどのようにして増やしたらよいか不明である。そこで、金属板12(既知の金属板)を追加していき、X線エネルギーが100keVの時と同じ強度値になった時の厚さを求める。例えば、厚さ0.27cmの銅の板を追加して200keVのX線エネルギーで100keVの強度と同じになったとする。上記した式、2.7・tCu=0.27cmよりtCu=0.1cmとなる。この値は、被検体が銅である場合には0.1cmで有るがアルミニウムの場合には、(3)式より0.9cmとなり、まだこの段階ではアルミニウムか銅の違いを識別できていない。
そこで、更に金属板12の厚さを追加し、X線aで観測して厚さが0.14cm(1.4・tCu)となった時に、X線エネルギーが100keVの時と略同じ強度となったとすると、被検体内部の金属は銅であり、厚さが0.1cmで有ると判断できる。なお、上記の説明では、金属板12が銅板の場合について説明したが、他の材質、例えば、鉄やアルミニウムなどでもその材質が明確になっていれば換算ができるので使用することができる。
なお、X線の管電圧を100kVとした場合に放射線2が透過しない場合には、その部分に重金属か厚さの厚い金属があることになる。また、X線の管電圧を200kVに上げた際にも、100kVの時に暗くて透過していない状況の部分が、同様に暗くて抜けていない状況の場合には、その部分にある物質は、鉛やタングステンなどの重金属となる。
上記実施形態では、マスクとして、複数枚の金属板12を使用した場合について説明したが、図2に示すように、厚さがステップ状に変化した構造のステップ状板13、あるいは、図3に示すように、厚さが連続的に変化した構造のくさび型板14等を用いることができる。このように構成されたステップ状板13又はくさび型板14をスライドさせて被検体3と線源1の間に挿入し、上記したと同様に、放射線のエネルギーの高い状態で検出される強度値が高くなった状態から、放射線のエネルギーの低い状態と等しい強度値になるようにスライドさせた位置のステップ状板13の厚さ又はくさび型板14の透過距離を求めて、被検体3の中の金属材料とその厚さを求めることができる。
次に、図4を参照して他の実施形態について説明する。この実施形態では、被検体3内の物質の密度、溶液の濃度、イオン量等を判別したり、管理目標としている濃度になっているか等を確認することができる。
図4(a)は、上面図であり、図4(b)は、正面図である。図4(a)に示されるように、被検体3の外形が四角柱状の場合、放射線2の経路に対して被検体3を、正面を向いた状態から45度回転した状態で設置する。そして、外形が四角柱状で被検体3の角部に合わせた凹陥部を有する形状のマスク15を使用し、このマスク15の凹陥部を被検体3の角部に嵌合させるように取り付けるか、又は、マスク15を被検体3に押し付けた状態に固定する。このマスク15は、被検体3の吸収係数と略等しい吸収係数を有する材料から構成する。すなわち、例えば、被検体3中の測定対象物質と等しい物質により、管理目標としている濃度となるように構成する。図4(a)に示されるように、マスク15の外形が四角柱状であるので、透過する放射線t1〜t3の透過距離、つまり、t1=被検体3部分のみの透過距離、t2=マスク部分15の透過距離+被検体3部分の透過距離、t3=マスク15部分のみの透過距離は、全て等しくなっている。
図3(a)に示すように、X線2は、略被検体3のみを透過するt1と、被検体を透過せずマスク内のみを透過するt3と、被検体3とマスク15の両方を通るt2の3つの状態に分かれる。上記したとおり、透過距離tは全て等しくなるように設定されているため、マスク15の濃度と被検体3の濃度が等しければ、画像上t1からt3の強度画像は同じになる。マスク15の濃度を数種類縦に配置して測定して、一致するマスク15を確認して被検体3の濃度の違いから被検体3の種類を同定することも可能となる。
上記のように、本実施形態では、X線2の透過距離tが全て等しくなるように設定されたマスク15を被検体3に被せ、また、このマスク15の材料を測定対象、濃度に等しい物質で構成することで画像上の透過強度データから被検体3の種類や濃度を求めることができる。
四角い被検体3の角部に放射線を照射する場合、一番端の部分は放射線の透過距離が短く、端の部分から離れるに従って、透過距離が長くなる。この透過距離の違いで物質によっては距離の短いところでハレーションを起こしてしまう。一方、本実施形態では、透過距離の長いところと透過距離が同じ長さになるように構成されたマスク15を使用することによって、ハレーションの発生を防止することができる。
上記したとおり、マスク15の材質は、被検体3で求めたい溶液の濃度や物質の密度に合わせる。例えば、塩素濃度の異なる材料が有る場合、その濃度に応じて被検体3の種類を判別することを考える。マスク15を用いない場合には、透過距離の短い所から長いところまでの強度データを求め、式(1)より距離tと透過強度データから線吸収係数μρの関係を求めて塩素密度と照射エネルギーからμを換算して塩素濃度の違いを求める。
一方、本実施形態では、溶液の濃度を、求めたい塩素濃度として収容した容器をマスク15として被検体3に被せて放射線2を透過させる。この容器は多段に濃度の違う物を重ねても良い。図4(a)に示すように、X線2が透過する部分の距離t1〜t3は等しい。但し、被検体3の透過距離は角から徐々に長くなっている。線吸収係数μρの積が被検体3とマスク15で等しければX線2の透過距離が等しいため得られる画像は一定である。一方、マスク15のμρの積と被検体3のμρの積とが異なると、被検体5の角から被検体5内の放射線透過距離の長くなる方向に対して強度データが異なるため、グラデーションのかかった画像となる。従って、濃度の異なる多段のマスク15を使用すれば、その中で被検体3と強度データが等しい部分の濃度として、被検体3の濃度を瞬時に判定できる。
図5は、被検体3の外形が円筒形状となっている場合、例えば配管等に適用することのできる実施形態の構成を示すものである。この実施形態では、マスク15は、外形が四角柱状で、かつ、その内側に円孔が形成された形状となっており、円孔内に被検体3を位置させるように、マスク15を被検体3の外側に被せることができるようになっている。そして、この状態で上記した実施形態と同様にして測定を行う。この場合、被検体3内部での密度の違いや気泡などの発生状況を確認することが可能となり、例えば、配管内の金属流体や溶液の濃度変化を観測することができる。
図6は、被検体3の外形が複雑な形状をしている場合について、適用することのできる実施形態の構成を示すものである。この実施形態では、被検体3内部の状態を確認するため、被検体3の吸収係数と吸収係数が同じになるようにバリウムやヨウドなどX線の吸収が大きい物質を用いて溶液として調合し、四角筒状の外形を有する容器内に被検体3と調合溶液を入れて上記した実施形態と同様にして測定を行う。すなわち、四角筒状の外形を有する容器とその内部に充填された溶液とによってマスク15が構成されている。これによって。被検体3内の濃度分布の違い、気泡、キズ等の状態を確認することができる。
次に、非破壊検査装置に必要な遮蔽体の構造について説明する。X線やγ線の遮蔽材として鉛を用い、容器内に内張する場合、従来は、容器に鉛板を接着して組み立てていた。この時、容器の外側を塗装する場合には、塗装後に内張しないと焼き付け塗装の熱で接着が剥がれてしまい、鉛部分がたれてしまうので、鉛を貼り付ける前に焼き付け塗装して、塗装後に鉛を接着している。このため、接着剤がケースについてしまう場合がある。また、鉛の接着には時間がかかるため、側面に貼ったり、天井に貼ったりする場合には接着が乾かないうちに剥がれてしまう場合が多かった。さらに、先に外側ケースに鉛を貼った場合には、熱で接着部が剥がれることがあるため、焼き付け塗装は、できなかった。
図7,8は、非破壊検査装置に必要な遮蔽体の要部構成を示すもので。この遮蔽体では、鉛板22を鉄またはステンレスあるいはアルミニウムなどの金属板21で挟み、挟んだ板を5cm又は10cm、或いは20cmの格子間隔で、ビス19及び複合板組立てナット17でビス止めして一体化し、複合板16を組み立てる。そして、この複合板16を外装板20にビス19と複合板取り付けナット18で取り付ける。これによって、接着剤を使わずしかも鉛が表面にでず、更にビス止め後に外側ケースとともに焼き付け塗装が可能となる。また、接着剤を使わないため接着剤の節約と乾燥にかかる時間も節約できる。ナット17,18は、ビス19から放射線がもれないように鉛板22をナット内に流し込んだ一体型とすることが好ましい。また、図9に示すようにナット17等の鉛板22組み込み構造を、ナット17の裏と表から流し込んだ一体型にしても良い。
図10は、角の外装板20に複合板16を取り付ける状況を示したものである。角の部分では放射線が漏れやすくなるため、比較的柔らかい鉛板22aを、これを挟む金属板21よりも長めにしておき、鉛板22aが互いに重なるように取り付けることで、角の部分における放射線の漏れを防止できる。鉛板22aは柔らかいため、たたいて重ねることができる。また、この図10には記載していないが、角の鉛板22aに金属板21を最後に取り付け直接鉛板に触れないようにする。さらに、ナットについても同様に保護カバーを最後に取り付ける。
1……線源、2……電磁波または放射線、3……被検体、4……イメージインテンシファイア、5……イメージインテンシファイアコントローラ、6……線源コントローラ、7……イメージプロセッサ、8……計算機、9……モニタ、10……比重の重い金属、11……比重の軽い金属、12……金属板、13……ステップ状板、14……くさび型板、15……マスク、16……複合板、17、18……ナット、19……ビス、20……外装板、21……金属板、22、22a……鉛板。
Claims (11)
- 線源から電磁波または放射線を被検体に照射し、前記被検体を透過した電磁波または放射線の強度を検出器によって検出することによって、前記被検体の内部の状態を非破壊で検査する非破壊検査方法であって、
電磁波または放射線を減衰させるマスクを前記被検体の少なくとも一部を覆うように介在させ、前記マスクと前記被検体とを透過した電磁波または放射線の強度と、前記マスクのみを透過した電磁波または放射線の強度とから、前記被検体の内部の状態を検出することを特徴とする非破壊検査方法。 - 請求項1記載の非破壊検査方法において、
前記線源から第1のエネルギーの電磁波または放射線を被検体に照射し、前記被検体を透過した電磁波または放射線の強度を検出する第1の透過強度検出工程と、
前記線源から前記第1のエネルギーより高い第2のエネルギーの電磁波または放射線を前記被検体に照射し、前記被検体を透過した電磁波または放射線の強度を検出する第2の透過強度検出工程と、
前記マスクを挿入し、前記第2の透過強度検出工程における特定部分の透過強度が、前記第1の透過強度検出工程における前記特定部分の透過強度と一致するように、当該マスクの厚さを調節する第1のマスク厚調節工程と、
前記第2のエネルギーの電磁波または放射線を照射した際の前記マスクのみを透過した電磁波または放射線の透過強度が、前記第1のエネルギーの電磁波または放射線を照射した際の前記マスクのみを透過した電磁波または放射線の透過強度と一致するように前記マスクの厚さを調節する第2のマスク厚調節工程と
を具備し、
前記第1のマスク厚調節工程と前記第2のマスク厚調節工程におけるマスクの厚さの関係から、前記被検体内の物質の種類と厚さを導出することを特徴とする非破壊検査方法。 - 請求項2記載の非破壊検査方法において、
前記マスクが、複数枚の金属板、又は厚さをステップ状に変化させた金属板、又は厚さを連続的に変化させた金属板のいずれかであることを特徴とする非破壊検査方法。 - 請求項1記載の非破壊検査方法において、
前記マスクが、四角柱形状の一側面に、四角柱形状の前記被検体の角部の形状に応じて凹陥した凹陥部を有する形状とされ、かつ、前記被検体の吸収係数と略等しい吸収係数を有する材料から構成され、前記マスクの前記凹陥部を前記被検体の角部に当接させた状態で得た電磁波または放射線の透過画像から前記被検体の内部の状態を検出することを特徴とする非破壊検査方法。 - 請求項1記載の非破壊検査方法において、
前記マスクが、四角柱形状の外形を有し、内部に外形が円柱状の前記被検体を配置可能な円孔を有する形状とされ、かつ、前記被検体の吸収係数と略等しい吸収係数を有する材料から構成され、前記マスクの前記円孔内に外形が円柱状の前記被検体を配置した状態で得た電磁波または放射線の透過画像から前記被検体の内部の状態を検出することを特徴とする非破壊検査方法。 - 請求項1記載の非破壊検査方法において、
前記マスクが、四角筒状の容器内に前記被検体と略等しい吸収係数を有する溶液を充填して構成され、前記容器内に前記被検体を収容した状態で得た電磁波または放射線の透過画像から前記被検体の内部の状態を検出することを特徴とする非破壊検査方法。
- 被検体に電磁波または放射線を照射する線源と、
前記線源からの電磁波または放射線を減衰させるマスクであって、前記被検体の少なくとも一部を覆うように前記線源からの電磁波または放射線の経路に配置可能なマスクと、
前記被検体及び前記マスクを透過した電磁波または放射線の強度を検出するための検出器と
を具備したことを特徴とする非破壊検査装置。 - 請求項7記載の非破壊検査装置において、
前記線源からの電磁波または放射線のエネルギーを変更するための手段と、
前記線源からの電磁波または放射線の経路に位置する前記マスクの厚さを変更する機構と
をさらに具備したことを特徴とする非破壊検査装置。 - 請求項8記載の非破壊検査装置において、
前記マスクが四角柱形状の外形を有すると共に、内部に前記被検体の少なくとも一部を収容可能に構成され、かつ、前記被検体と略等しい吸収係数を有する物質から構成されていることを特徴とする非破壊検査装置。 - 請求項7〜9いずれか1項記載の非破壊検査装置において、
鉛板を鉛以外の金属板で挟み、所定間隔で格子状にビス止めして一体化した複合板を有する電磁波または放射線の遮蔽体をさらに具備したことを特徴とする非破壊検査装置。 - 請求項10記載の非破壊検査装置において、
前記ビスを留めるためのナットに、鉛が埋め込まれていることを特徴とする非破壊検査装置。
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---|---|---|---|
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-
2007
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