JP6292004B2 - β線検出装置 - Google Patents

β線検出装置

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Description

本発明は、放射性核種の同定および放射能測定に用いられる放射線検出装置に関する。
従来、食品等を対象とした放射能汚染検査方法では、放射性物質の崩壊(α崩壊やβ崩壊)に伴って放出され、物質固有のエネルギーをもつγ線を検出することによって、放射性物質の核種同定やその放射能を測定していた。γ線は物質に対する透過力が高く、周辺環境から飛来するγ線を遮蔽するには、例えば、数十cm厚の鉛が必要となる。また、γ線は、高密度な半導体やシンチレーション結晶を利用した放射線検出器によって検出する。しかし、それらの検出器を用いたとしてもγ線に対する検出効率は低く、測定値の信頼性を確保するためには測定に時間をかける必要があった。測定時間を短縮させる手法としては、検査対象となる試料に対して、細切り状やペースト状に加工するなどの前処理を施し、検出器を囲むように前処理した試料を配置することで、検出効率を向上させる手法が採られていた。
これに対して、検出器の高感度化によって測定を迅速化するためには、γ線を検出するよりも、β崩壊によって放出されるβ線を直接検出する方式が好ましい。しかし、β線の透過力はγ線に比べて非常に弱く、例えば、水が2cmあれば遮蔽されてしまう。したがって、食品の放射能汚染検査では食品自身によってβ線が遮蔽されてしまい、放射性核種の同定や放射能測定には不向きとされていた。例えば、特許文献1では、通気ガス中に含まれる放射性物質からのβ線を測定することを供している。測定対象がガスの場合は、密度が非常に小さいためにガスによる遮蔽効果がほとんどないので、β線の検出が可能となる。
特開平5−209965号公報。
γ線を検出する従来の放射線検出装置においては、検査対象となる試料の形状を完全に破壊するような前処理を施す必要があるという課題があった。また、β線を検出する従来の放射線検出装置においては、食品などの固形物内部のβ線を検出できないという課題があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、試料の形状を完全に破壊するような前処理を必要とせず、食品などの固形物内部のβ線も検出可能なβ線検出装置を提供することを目的とする。
この発明におけるβ線検出装置は、β線の検出対象となる固形の試料に挿入されて試料内部の放射性物質から放出されるβ線を検出してβ線のエネルギーに応じた波高値を有するパルス信号を出力する検出部と、パルス信号の波高値ごとの発生頻度分布を生成して発生頻度分布に基づいて放射性物質の核種を同定するとともに放射能を算出する演算部とを備え、検出部は、β線の入射に応じてパルス信号を発生する有感部を有し、演算部は、放射性物質の核種毎に予め用意される応答関数を用いて放射性物質の核種を同定するとともに放射能を算出し、応答関数は、有感部を中心とするとともに試料中における放射性物質の核種の最大飛程を半径とする球の内部に、放射性物質の核種が一様に分布するとして求められた応答関数であるものである。
この発明におけるβ線検出装置は、β線の検出対象となる固形の試料に挿入されて試料内部の放射性物質から放出されるβ線を検出してβ線のエネルギーに応じた波高値を有するパルス信号を出力する検出部と、パルス信号の波高値ごとの発生頻度分布を生成して発生頻度分布に基づいて放射性物質の核種を同定するとともに放射能を算出する演算部とを備え、検出部は、β線の入射に応じてパルス信号を発生する有感部を有し、演算部は、放射性物質の核種毎に予め用意される応答関数を用いて放射性物質の核種を同定するとともに放射能を算出し、応答関数は、有感部を中心とするとともに試料中における放射性物質の核種の最大飛程を半径とする球の内部に、放射性物質の核種が一様に分布するとして求められた応答関数であるので、試料の形状を完全に破壊するような前処理を必要とせず、食品などの固形物内部のβ線も検出可能となる。
本発明の実施の形態1によるβ線検出装置の構成を表す図。 本発明の実施の形態1によるβ線検出装置におけるβ線の検出を説明するための模式図。 本発明の実施の形態1によるβ線検出装置で生成されるβ線のエネルギースペクトルの例を表す模式図。 本発明の実施の形態2によるβ線検出装置の構成を表す図。 本発明の実施の形態3によるβ線検出装置の構成を表す図。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1によるβ線検出装置の構成を表す図である。本実施の形態のβ線検出装置は、検出部10、増幅部20、演算部21、表示部22から構成される。また、検出部10は、一端(先端)が先細りとなった棒状の形状をしており、先端の近傍に有感部11及び検出窓12を備える。β線の検出、測定の際には、β線の検出、測定対象となる試料1の内部に有感部11及び検出窓12が到達するように、検出部10は試料1に先端から挿入される。
検出部10が試料1に挿入されると、試料1に含まれる放射性物質2から放出されたβ線3は、検出窓12を透過して有感部11に入射する。有感部11は、β線が入射するとパルス信号を発生し、増幅部20へと出力する。増幅部20は、有感部11からの出力信号を増幅する。演算部21は、増幅部20からの出力信号を入力として、有感部11に入射したβ線3のエネルギースペクトルを作成し、放射性核種の同定およびその放射能を算出する。表示部22は、演算部21で作成、算出されたβ線3のエネルギースペクトル、放射性核種、放射能を表示する。
次に動作の詳細について説明する。試料1は、食品等の固体状のものである。図1では、一例として試料1がリンゴである場合を想定している。試料1には、検出部10が挿入される。ここで、試料1が、検出部10の挿入が困難な硬度をもつものである場合は、あらかじめ検出部10を挿入するための穴を加工する。この加工は、被測定物である試料1の中心付近に有感部11を収めることを目的とするものであり、試料1の形状を完全破壊する必要はない。
β崩壊に伴って放射性物質2から放出されるβ線3は、γ線に比べ透過力が低い。例えば、食品類の放射能汚染に起因する放射性物質である放射性セシウム−137が放出するβ線3は、主たるエネルギーが0.51MeVであり、水中での最大飛程(β線が物質中で停止するまでに進む最大距離)は、約0.20mmである。試料1が食品であれば、食品の主成分は水分であり、密度も水とほぼ等しいため、最大飛程は水中とほぼ同じとみなせる。そのため、試料1の内部に存在する放射性物質2から放出されたβ線3を検出するためには、試料1自身による遮蔽による減衰の影響を除くために、検出部10(有感部11)を試料1に挿入する必要がある。
検出部10の形状は、試料1に挿入可能な形状であれば、どのような形状であっても良いが、挿入の際の作業性を考慮すると、棒状の一端(先端)が先に行くほど断面が小さくなる先細りとなっており、試料1に突き刺すことができる形状が望ましい。例えば、先端部の形状が針のように尖っており、突き刺して押込むことで試料1の内部へ有感部11を配置できるものが考えられる。また、先端部にドリルのような螺旋状の溝を設けており、突き刺した後で回転することで試料1への挿入を容易にし、有感部11を試料1の内部へ配置できるものが考えられる。ドリルのように溝を設けた場合には、試料1が比較的固い場合にも、挿入を容易にするという効果がある。一方、溝を設けない場合には、構造を簡単にできる。また、先端部には、切れ刃を設けても良い。なお、検出部10の直径は、試料1に挿入できる大きさであれば良く、検出部10の長さについては、試料1の内部に挿入できる長さであれば良い。
有感部11は、検出部10の先端部に配置され、有感部11の周囲にはβ線3の減衰が少ない物質(原子番号の小さい物質)で作られた検出窓12を設ける。例えば、検出窓12の材料は、一般的な検出部に用いられるアルミマイラー箔やフッ素樹脂膜などとする。ここで、先端部とは、厳密に検出部10の先端を指すわけではなく、先端の近傍を指す。検出部10の先端が先細り形状の場合、先細り形状の途中、もしくは図1に示すように先細り形状と近接した部分であっても良い。また、検出部10は、全体が試料1に挿入されても良いし、一部のみが試料1に挿入されても良い。検出部10が試料1に挿入された場合に、試料1の内部に有感部11が位置するように構成されていれば、様々な構成とすることができる。
有感部11は、試料1に含まれる放射性物質2から放出されたβ線3が入射することで、β線3から受けたエネルギー(付与エネルギー)を電気信号に変換し、パルス信号を増幅部20へ出力する。パルス信号の波高値は、β線3のエネルギーにより決定される。例えば、検出部10がシンチレーション式検出器の場合、β線3を検出する有感部11は、シンチレーション材料を用いて構成される。シンチレーション材料とは、放射線から受けたエネルギーにより材料の分子が励起され、基底状態に戻る際に蛍光を発生する材料であり、シンチレーション式検出器に放射性物質2から放出されたβ線3が入射すると、シンチレーション材料に固有の波長をもつシンチレーション光が発生する。なお、本実施の形態のβ線検出装置においては、有感部11は、β線3を受けてシンチレーション光を発生するのに加え、シンチレーション光を電荷に変換し、パルス信号として出力する機能も含むものとする。
次に、有感部11による試料1内のβ線3の検出について説明する。図2は、本実施の形態によるβ線検出装置におけるβ線3の検出を説明するための模式図である。前述した通り、放射性核種毎に、β線3が持つエネルギーによって決定される最大飛程がある。有感部11を中心に、β線3の最大飛程を半径とする球状の領域を検出有効領域50とし、その領域外を検出無効領域51とする。このとき、有感部11では、検出有効領域50に存在する放射性物質2aから放出されるβ線3aを検出していることとなる。一方、検出無効領域51に存在する放射性物質2bから放出されたβ線3bは、試料1自身による遮蔽により検出できない。そのため、有感部11が検出したβ線3は、全て検出有効領域50に存在する放射性物質2aから放出されたβ線3aである。
再び図1にしたがって、本実施の形態のβ線検出装置の動作について述べる。増幅部20は、あらかじめ設定された増幅率に従って、検出部10の出力となるパルス信号を増幅し、演算部21へ出力する。増幅部20から出力された信号のパルス波高値は、有感部11に入射したβ線3のエネルギーに対応した情報となる。演算部21は、入力信号の波高値、つまりエネルギーを横軸に、波高値に対応するパルスの計数値を縦軸とするβ線3のエネルギースペクトルを作成し、表示部21へ出力する。エネルギースペクトルは、パルス信号の波高値ごとの発生頻度分布を表したものである。
図3は、本実施の形態によるβ線検出装置で生成されるβ線3のエネルギースペクトルの例を表す模式図である。図3では、2種類の放射性核種A及びBからエネルギーが異なるβ線3が同量ずつ放出されるものとして、これらを合わせて測定した場合のエネルギースペクトル40を実線で記載している。また、図3では、放射性核種Aから放出されたβ線3を測定した場合に作成されるエネルギースペクトル41を一点鎖線、放射性核種Bから放出されたβ線3を測定した場合に作成されるエネルギースペクトル42を二点鎖線で記載している。ここで、放射性核種Aから放出されたβ線3のエネルギーは相対的に低く、放射性核種Bから放出されたβ線3のエネルギーは相対的に高いものとする。
また、演算部21は、生成したβ線3のエネルギースペクトルに対して、逆問題演算を施すことにより、β線3を放出した放射性物質2の放射性核種を同定するとともに放射能を算出し、表示部21へ出力する。ここで、逆問題演算を利用した放射性物質2の放射性核種の同定および放射能の算出方法について説明する。
複数の放射性物質2から放出されたβ線3を有感部11が捉えた場合には、演算部21で生成されたエネルギースペクトルは、図3で示したエネルギースペクトル40のように、それぞれの放射性物質2から放出されたβ線3のエネルギースペクトル41、42が重畳されたものとなる。このとき、演算部21で生成されるエネルギースペクトルMは式(1)のように表すことができる。式(1)において、Riは応答関数であり、放射性核種iが検出有効領域50に単位量だけ存在する場合に、演算部21で生成されるエネルギースペクトルを表す。また、Siは、放射性核種iのβ線の強度であり、放射性核種iの検出有効領域50内の量を表す。Nは整数であり、重畳されるエネルギースペクトルの数、すなわち検出有効領域50内に存在する放射性核種の種類の想定量となる。
Figure 0006292004
逆問題演算とは、重畳されたエネルギースペクトルMから、あらかじめ用意しておいた放射性核種毎の応答関数Riを用いて、数式1を解くことを指し、これによって、試料1の検出有効領域50内に含まれる放射性核種のβ線の強度Siを得ることができる。すなわち、この式(1)をSiについて解くことにより、それぞれの放射性物質2から放出されたβ線3の強度、つまり放射能を得ることができるので、試料1に含まれる放射性物質2の放射性核種の同定や放射能の算出が可能となる。応答関数Riは、放射線挙動解析用のモンテカルロ輸送計算コードを用いて、測定体系を模擬することで、求めることができる。
ここで、放射性核種毎の応答関数Riは、β崩壊する放射性物質2から放出されるβ線3が、有感部11へ付与するエネルギースペクトルをそれぞれ格納したものである。なお、β線3のもつエネルギーによって、試料1中での最大飛程が異なるので、放射性核種毎に検出有効領域50を変化させた応答関数となる。例えば、放射性セシウム−137(β線のエネルギー:0.51MeV)の応答関数は、水中での最大飛程が約0.20mmであるので、有感部11を中心とした半径0.20mmの球内部に一様に放射性セシウム−137が分布するとして応答関数を計算する。また、放射性イットリウム−90(β線のエネルギー:2.8MeV)の応答関数は、水中での最大飛程が約1.10mmであるので、有感部11を中心とした半径1.10mmの球内部に一様に放射性イットリウム−90が分布するとして応答関数を計算する。
算出された放射性核種毎の放射能Siは前述した検出有効領域50に対応する放射能となる。例えば、試料1の密度1g/cc、直径5cmとして、放射性セシウム−137が内部に存在し、放出するβ線3の最大飛程が0.20mmとする。この場合、検出部10の有感部11を試料1の中心に挿入すると、有感部11を中心とした半径0.20mmの球が検出有効領域50となり、検出有効領域50に存在する放射性セシウム−137から放出されたβ線3のみが測定される。半径0.20mm以上の検出無効領域51に存在する放射性セシウム−137から放出されたβ線3は、有感部11に到達しないため測定不可能となる。そのため、上記手法により算出された放射能は、試料1の中心から半径0.20mmの検出有効領域50に存在する放射性物質2の放射能となる。
なお、上記方法により算出した放射能の値は、β線3のもつエネルギーにより決定される検出有効領域50内の放射能であるが、試料1の放射能汚染が全体に一様であると仮定し、検出有効領域50内の試料1の質量で除した放射能濃度として出力しても良い。このように処理することで、放射性核種毎の検出有効領域50の違いを吸収することができる。表示部22は、演算部21にて生成されたβ線3のエネルギースペクトルの表示と、エネルギースペクトルから算出された放射性物質2の放射性核種とその放射能を表示する。
以上のように、本実施の形態のβ線検出装置によれば、検出部10を試料1に挿入し、試料1に含まれる放射性物質2が放出するβ線3を検出し、演算部21による処理を用いることで、食品などの固形物に対しても、試料1に存在する放射性物質2の放射性核種の同定やその放射能を測定することができる。なお、検出感度の高いβ線3を測定するため、有感部11の小型化が可能となり、検出部10も小型化でき、ハンディタイプ型の検出器形態をとることができるので、現場測定型の放射能分析を可能にする。
また、有感部11の小型化に伴い、環境中に存在する天然の放射性物質が放出する放射線が有感部11に当たる確率が抑えられ、ノイズ要因が低減し、測定のS/N比が向上するので、従来の放射線検出装置に必須であった遮蔽体を大幅に削減できる効果を期待できる。また、試料1に有感部11を挿入してβ線を検出するので、環境中に存在する天然の放射性物質が放出するベータ線は試料1で遮蔽され、ノイズ要因が低減し、測定のS/N比が向上し、遮蔽体を大幅に削減できる。さらに、従来の放射線検出方式では、測定対象の試料を完全に破壊しなければならず、試料1に面倒な前処理を施していたが、本実施の形態のβ線検出装置では、面倒な前処理を不要にすることができ、放射能測定に要していた前処理を含めた全体の作業時間を大幅に削減できる効果もある。
従来、β線検出方式による放射性核種の同定や放射能濃度の測定には、β線を放出する放射性物質と検出部(有感部)の間に、何らかの物質があると透過力の低いβ線は遮蔽され、測定精度の悪化、または、β線そのものの測定を困難となる問題があった。また、試料自身によるβ線の減衰があるため、試料の中の放射能濃度を把握することができない問題もあった。したがって、食品などの固形物に対しては、β線検出方式を用いることができなかった。一方、本実施の形態のβ線検出装置によれば、試料1に有感部11を挿入してβ線を検出するので、食品などの固形物に対しても、形状を保ちつつβ線の検出が可能となる。
以上、本実施の形態のβ線検出装置は、β線の検出対象となる固形の試料に挿入されて試料内部の放射性物質から放出されるβ線を検出してβ線のエネルギーに応じた波高値を有するパルス信号を出力する検出部と、パルス信号の波高値ごとの発生頻度分布を生成して発生頻度分布に基づいて放射性物質の核種を同定するとともに放射能を算出する演算部とを備えるので、試料の形状を完全に破壊するような前処理を必要とせず、食品などの固形物内部のβ線も検出可能となる。
なお、本実施の形態では、β線検出装置の検出部を固形物に挿入する場合について説明したが、ペースト状などの液体の試料に対しても用いることができるのは勿論である。また、本実施の形態のβ線検出装置は、検出部とは別に増幅部、演算部、表示部を備えるものとして説明したが、増幅部、演算部、表示部を検出部に内蔵または一体化することもできる。
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2によるβ線検出装置の構成を表す図である。以下、実施の形態1におけるβ線検出装置との相違点について述べる。実施の形態1におけるβ線検出装置では、試料1に挿入する検出部10の側面部に特別な機構を設けていなかったが、図4に示す本実施の形態のβ線検出装置では、検出部10の側面部に可動式の位置固定用凸部30を設ける。位置固定用凸部30は、検出部10の側面部に配置され、例えば、刀の鍔のように検出部10の側面にほぼ垂直な壁面を形成する。また、例えば、検出部10の周囲に環状に壁面を設けるのではなく、側面の一部に突起を設けてもよい。あらかじめ定められたうちの任意の位置に位置固定用凸部30を固定した後に、検出部10を試料1へ挿入することで、位置固定用凸部30が試料1の表面に接触してストッパとして機能し、その位置以上の検出部10の挿入が物理的に困難になり、結果的に検出部10の挿入深さ位置が固定される。
実施の形態1で説明したように、β線3は透過力が低く、試料1自身の遮蔽による影響が生まれる。例えば、試料1がりんごのような半径5cm程度の食品であり、試料1の表面付近に存在する放射性物質2bが、放射性セシウム−137であるとする。このとき、放射性物質2bから放出されるβ線3bの主たるエネルギーは0.51MeVと低く、水中での最大飛程は0.2mm未満であり、試料1が食品であれば最大飛程は水中とほぼ同じとみなすことができる。したがって、試料1の中心に検出部10の有感部11が挿入された状態では、試料1の表面付近に存在する放射性物質2bから放出されるβ線3bは、試料1自身の遮蔽により検出することができない。
これに対して、位置固定用凸部30を設けることにより、検出部10の有感部11の挿入深さ位置を任意に設定でき、試料1の挿入深さ方向に対する放射能分布を測定することができる。例えば、位置固定用凸部30の固定位置を3段階に変化させる場合を考える。まず、1段階目では、検出部10の有感部11が試料1の表面付近に配置されるように、位置固定用凸部30を挿入深さ方向に固定して測定することで、試料1の表面付近の放射能が測定できる。次に、2段階目では、検出部10の有感部11が試料1の表面と中心との中間に位置する箇所に配置されるように、位置固定用凸部30を挿入深さ方向に固定して測定することで、試料1の表面と中心との中間付近の放射能が測定できる。最後の3段階目では、検出部10の有感部11が試料1の中心に位置する箇所に配置されるように、位置固定用凸部30を挿入深さ方向に固定して測定することで、試料1の中心付近の放射能が測定できる。
以上のように、位置固定用凸部30を設けることにより、試料1の挿入深さ方向に対する放射能分布を得ることができる。なお、上記例において、付近の放射能の測定とあるが、その領域は、測定した放射性物質2が放出したβ線3のもつエネルギーによって決定されるものであり、実施の形態1にて説明している。また、上記例では、位置固定用凸部30の固定位置を3段階に変化させて測定を行い、挿入深さ方向の放射能分布を得たが、より詳細に挿入深さ方向の放射能分布を得たい場合は、位置固定用凸部30の固定位置を増やすことで可能となる。
なお、位置固定用凸部30は、試料1の表面と物理的に接触し、検出部10が試料1の挿入深さを決定する機構であれば、どのような形状であっても良い。実施の形態1では、検出部10の試料1への挿入深さは、作業者に依存する形態であったが、検出部10に位置固定用凸部30を設けることで、測定対象となる試料の挿入深さの定量性を確保した位置固定が可能となり、有感部11の配置位置を挿入深さ方向に変化させて測定することで、試料1内の放射能の挿入深さ方向分布を得ることができ、深さ方向に対して、試料1の局部的な放射能汚染を把握することができる。
また、位置固定用凸部30を設ける代わりに、検出部10の側面部に挿入深さを読み取れる目盛りを付ける構成としても、試料1の挿入深さ方向に対する放射能分布を得ることができる。ただし、この場合には、作業者が目盛りを確認しながら挿入深さを調整する必要があり、位置固定用凸部30を設ける方が作業は容易となる。以上、本実施の形態のβ線検出装置によれば、測定対象となる試料の中の放射能濃度の分布測定を行うことができる。また、実施の形態1で述べたのと同様の効果も有する。
実施の形態3.
図5は、本発明の実施の形態3によるβ線検出装置の構成を表す図である。以下、実施の形態1におけるβ線検出装置との相違点について述べる。実施の形態1におけるβ線検出装置では、検出部10は1つの有感部11を備えていた。一方、本実施の形態のβ線検出装置では、検出部10は3つの有感部11a、11b、11cを備える。有感部11a、11b、11cは、試料1への検出部10の挿入方向に配列されている。さらに、それぞれの有感部11a、11b、11cに対し、検出窓12a、12b、12c、増幅部20a、20b、20c、演算部21a、21b、21cを設ける。
有感部11a、11b、11c、増幅部20a、20b、20c、演算部21a、21b、21cはそれぞれ互いに独立しており、各々の動作は、実施の形態1で説明した通りであり、3組の測定系として動作する。それぞれの測定系は、有感部11a、11b、11cを中心とし、測定したβ線3のもつエネルギーにより決定する最大飛程を半径とする球の領域内の放射能を算出する。表示部21は、演算部21a、21b、21cのそれぞれの出力を表示するが、演算部21a、21b、21cの出力を個別で出力する3つの表示部で構成しても良い。
図5では、3つの有感部11a、11b、11cを備える場合で説明したが、深さ方向分布形状を詳細に把握するために、3つ以上の有感部を配置しても良い。また、実施の形態2で説明した挿入深さを決める位置固定用凸部30を設けても良い。以上のように、本実施の形態のβ線検出装置によれば、検出部10に複数の有感部を設けることで、一回の測定で、試料1の挿入深さ方向の放射能分布を得ることができる。また、実施の形態1で述べたのと同様の効果も有する。なお、各実施の形態で説明した検出部10は、半導体式β線放射線検出器、シンチレーション式β線放射線検出器等のβ線を検出可能なβ線放射線検出器、いずれでも適用できる。
1 試料、2、2a、2b 放射性物質、3、3a、3b β線、10 検出部、11、11a、11b、11c 有感部、12、12a、12b、12c 検出窓、20、20a、20b、20c 増幅部、21、21a、21b、21c 演算部、22 表示部、30 位置固定用凸部、40、41、42 エネルギースペクトル、50 検出有効領域、51 検出無効領域。

Claims (6)

  1. β線の検出対象となる固形の試料に挿入されて前記試料内部の放射性物質から放出される前記β線を検出して前記β線のエネルギーに応じた波高値を有するパルス信号を出力する検出部と、
    前記パルス信号の前記波高値ごとの発生頻度分布を生成して前記発生頻度分布に基づいて前記放射性物質の核種を同定するとともに放射能を算出する演算部と
    を備え
    前記検出部は、前記β線の入射に応じて前記パルス信号を発生する有感部を有し、
    前記演算部は、前記放射性物質の前記核種毎に予め用意される応答関数を用いて前記放射性物質の前記核種を同定するとともに前記放射能を算出し、
    前記応答関数は、前記有感部を中心とするとともに前記試料中における前記放射性物質の前記核種の最大飛程を半径とする球の内部に、前記放射性物質の前記核種が一様に分布するとして求められた応答関数であることを特徴とするβ線検出装置。
  2. 前記検出部は、先細りの先端を有する棒状の形状をしており前記先端から前記試料に挿入されることを特徴とする請求項1に記載のβ線検出装置。
  3. 前記検出部の前記先端は、螺旋状の溝を有することを特徴とする請求項2に記載のβ線検出装置。
  4. 前記検出部は、前記試料への挿入深さ方向の任意の位置に固定可能な突起部を側面に有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のβ線検出装置。
  5. 前記検出部は、前記有感部を前記挿入深さ方向に複数配列されることを特徴とする請求項4に記載のβ線検出装置。
  6. 前記検出部は、前記有感部の周囲にアルミマイラー箔又はフッ素樹脂膜を材料とする検出窓を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のβ線検出装置。
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