JP6346750B2 - 放射性物質分布測定装置及び放射性物質分布測定方法 - Google Patents

放射性物質分布測定装置及び放射性物質分布測定方法 Download PDF

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本発明は、土壌中の放射性物質の分布を測定する放射性物質分布測定装置、放射性物質分布測定方法に関する。
放射性同位元素を含んだ放射性物質が飛散した場合には、その分布を測定することが重要であり、このためには、放射性同位元素が発する放射線(ガンマ線等)を放射線検出器によって計測することが有効である。地上においては、こうした放射性物質は地表付近に集中的に存在することは明らかであるため、その分布として、水平方向の分布を知ることが特に重要となる。
一方、放射性物質は、地上だけでなく海にも飛散し、この場合には海底に堆積する。海底の土壌は一般的には柔らかい泥等で構成され、かつ放射性物質が堆積した後でも泥が更にその上に堆積するために、実際には放射性物質は表面(海底面)だけでなく深部にも侵入する。このため、特に海底においては、水平方向だけでなく土壌の深さ方向における放射性物質の分布を知ることも重要である。このためには、船舶等に搭載した探査機器を用いて海底の土壌を深さ毎に採取し、これを地上の分析機器で分析することが有効である。
しかしながら、この場合には、土壌の採取から分析までに時間がかかる、あるいは、放射性物質による汚染が激しい場合には、放射性物質による汚染を外部に広げ、作業者等に被曝を発生させるおそれがある。このため、土壌を採取することなしに放射性物質の深さ方向の分布を測定することが好ましい。
例えば、特許文献1には、地表でのガンマ線強度から放射性物質の深さ方向の分布を推定する技術が記載されている。特許文献1に記載されているのは海底ではなく地上における深さ方向の分布測定であるが、同様の測定を海底で行うこともできる。
また、特許文献2には、細長い被測定体(燃料棒等)における長手方向の放射線分布を測定する測定装置が記載されている。この測定装置においては、長手方向に放射線測定器が複数配列され、これらに近接させてこの被測定体を設置することによって測定が行われる。ここで、各放射線検出器と被測定体との間の距離を測定する手段も同時に設けられる。
この測定装置は、長手方向に放射線測定器が複数配列されてはいるが、土壌中の深さ方向の放射性物質の分布を測定する測定装置ではないので、これを土壌中に埋め込んでガンマ線を測定できないことは明らかである。
特開2003−28962号公報 特開2002−139573号公報
しかしながら、海底においてこうした測定を行うことは、地上において同様の測定を行う場合と比べて、非常に困難である。この理由について、図5を元に説明する。図5(a)は、地上において放射線物質の深さ方向の分布を測定装置200を用いて測定する場合を模式的に示す図である。測定装置200においては、放射線検出器が用いられており、土壌G中の放射性物質が発したガンマ線を検出するものとする。放射線検出器は、特許文献1に記載のように地面S1上におけるガンマ線のみを検出してもよく、土壌G中に放射線検出器を貫入し、土壌G中でのガンマ線を検出してもよい。ここで、いずれの場合も深さの基準となる地面S1を認識し、放射線検出器を用いて地面S1や地面S1よりも下側の土壌G中におけるある一定の深さにおける放射線を測定することが必要となる。この際、測定装置200は地面S1に固定する、あるいは地面S1に固定した支持台から、地面S1に開けた穴を介してこの測定を行うことができる。
これに対して、海底で上記の測定を行う場合を模式的に示したのが図5(b)である。この場合には、測定は実際には海上の船舶等から遠隔操作によって行われる。このため、海面S2から海底面S3までの海水O中の距離Dを正確に求めた上で、測定装置200を用いて、海底面S3、あるいは海底面S3よりも下側の土壌Gにおけるある一定の深さの範囲Rにおける測定を行うことが必要である。しかしながら、海上から正確に海底面S3を認識することは困難であり、特にD>>Rとなるような深い海底においてはこれは非常に困難である。更に、海面S2の高さは波浪等によって変動するため、通常は海上の船舶等から海底面S3までの距離Dは測定中において一定とはならない。また、一般に海底面S3は地面S1と比べて軟らかいため、測定装置200と海底面S3の位置関係も、図5(a)における測定装置200と地面S1の位置関係と比べると不定性が大きい。このため、海底で上記の測定を正確に行うためには、測定装置200以外にも、この測定装置200あるいは放射線検出器と海底面S3との位置関係を正確に認識するための装置が別途必要となった。また、地面S1から測定を行う図5(a)の場合と異なり、波浪や海流等の影響によって、測定装置200が測定中に海底面S3から離れることもあり、測定装置200と海底面S3との位置関係も不安定となった。すなわち、放射線検出器と海底面S3との間の位置関係を海上から正確に認識することは困難であった。
このため、仮に特許文献2に記載の測定装置を海底の土壌中に埋め込んで測定を行った場合でも、測定装置の位置(深さ)を基準とした放射性物質の分布が測定されるだけであり、海底面S3を基準とした分布を正確に求めることは困難であった。
特許文献1に記載の技術を用いる場合においても。海底面S3の位置を正確に認識することが前提であるために、同様の問題が発生する。更に、特許文献1に記載の技術においては、深い海底の泥等を構成する物質組成を正確に認識することは困難であるため、海底面S3が正確に認識できたとしても、海底面S3におけるガンマ線強度から、その下における放射性物質の深さ方向の分布を正確に推定することは困難であった。
従って、海底における深さ方向の放射線物質の分布を正確に測定することは困難であった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、土壌中の放射性物質の分布を正確に測定することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の請求項1に係る放射性物質分布測定装置は、土壌の中に存在する放射性物質が発する放射線を検出することによって、前記土壌の中における前記放射性物質の深さ方向の分布を測定する放射性物質分布測定装置であって、長手方向における一端の側から前記土壌の中に貫入され、前記長手方向に配列された複数の放射線検出部が内部に設けられ、前記土壌の上にある空気又は水と前記土壌との境界を認識する境界認識手段を有するヘッド部を具備することを特徴とする。
この発明においては、ヘッド部中の放射線検出部によって、測定対象となる放射性物質が発する放射線(ガンマ線等)の深さ方向の強度分布が検出される。この検出結果を用いて、この放射性物質の土壌中の深さ方向の分布が算出される。この際に、境界認識手段によって、水底における水底面あるいは地上における地面が認識される。
本発明の請求項に係る放射性物質分布測定装置は、複数の前記放射線検出部が前記境界認識手段として用いられたことを特徴とする。
この発明においては、複数の放射線検出部自身が境界認識手段の少なくとも一部として用いられる。
本発明の請求項に係る放射性物質分布測定装置は、前記ヘッド部と、前記ヘッド部の前記長手方向における他端が固定され、複数の前記放射線検出部の出力信号を処理する信号処理部を内蔵し、前記長手方向と垂直な方向において前記ヘッド部よりも大きな外径をもつ測定ユニット本体と、を具備する測定ユニットが用いられたことを特徴とする。
この発明においては、ヘッド部よりも太い測定ユニット本体がヘッド部に固定されて用いられる。測定ユニット本体には、信号処理部が設けられる。
本発明の請求項に係る放射性物質分布測定装置において、前記信号処理部は、検出された放射線に対応して前記放射線検出部から出力されたパルス状の出力信号を増幅する増幅器を具備し、前記増幅器によって増幅された前記出力信号のうち、予め定められた範囲のパルス高をもつ前記出力信号を計数することを特徴とする。
この発明においては、測定ユニット本体に増幅器が設けられ、増幅後の出力信号が係数される。
本発明の請求項に係る放射性物質分布測定装置において、前記信号処理部は、予め定められた複数の前記範囲毎に前記出力信号を計数する多重波高分析器を具備することを特徴とする。
この発明においては、多重波高分析器が用いられることにより、複数のチャンネル(複数の放射線(ガンマ線等)エネルギー)毎の放射線(ガンマ線等)強度が検出できる。
本発明の請求項に係る放射性物質分布測定装置において、前記信号処理部は、前記出力信号の計数結果を記憶する記憶部を具備することを特徴とする。
この発明においては、検出結果を記憶する記憶部が用いられる。
本発明の請求項に係る放射性物質分布測定装置において、複数の前記放射線検出部は前記ヘッド部で、前記信号処理部は前記測定ユニット本体で、それぞれ密封された構成を具備することを特徴とする。
この発明においては、放射線検出部、信号処理部は共に密封される。
本発明の請求項に係る放射性物質分布測定装置において、前記測定ユニット本体は、前記信号処理部及び各前記放射線検出部に電力を供給する電源部を具備することを特徴とする。
この発明においては、電源となる電源部も測定ユニット本体中に設けられる。
本発明の請求項に係る放射性物質分布測定装置は、土壌の中に存在する放射性物質が発する放射線を検出することによって、前記土壌の中における前記放射性物質の深さ方向の分布を測定する放射性物質分布測定装置であって、長手方向における一端の側から前記土壌の中に貫入され、前記長手方向に配列された複数の放射線検出部が内部に設けられたヘッド部と、前記ヘッド部の前記長手方向における他端が固定され、複数の前記放射線検出部の出力信号を処理する信号処理部を内蔵し、前記長手方向と垂直な方向において前記ヘッド部よりも大きな外径をもつ測定ユニット本体と、を具備する測定ユニットが用いられ、前記測定ユニットを前記長手方向における一定の範囲で移動可能として収容し、かつ前記ヘッド部を前記長手方向で貫通させる底面を具備するフレームが、前記測定ユニットと組み合わされて用いられたことを特徴とする。
この発明においては、ヘッド部よりも太い測定ユニット本体がヘッド部に固定されて測定ユニットとして用いられると共に、フレームが測定ユニットと組み合わせて用いられる。測定ユニットはフレームに対して上下方向の一定の範囲で可動とされる。
本発明の請求項10に係る放射性物質分布測定装置は、前記測定ユニット本体における前記ヘッド部が固定された側と反対側に錘が着脱自在とされたことを特徴とする。
この発明においては、測定ユニット本体に錘が装着される。
本発明の請求項11に係る放射性物質分布測定装置は、前記測定ユニット本体における前記ヘッド部が固定された側と反対側に、ワイヤが係止されるワイヤ係止部が設けられたことを特徴とする。
この発明においては、測定ユニット本体の上側にワイヤ係止部が設けられる。
本発明の請求項12に係る放射性物質分布測定装置は、前記長手方向における前記ヘッド部の一端側が鋭角形状とされたことを特徴とする。
この発明においては、ヘッド部の先端(下端)が鋭角形状とされる。
本発明の請求項13に係る放射線物質分布測定方法は、放射性物質分布測定装置における前記ヘッド部を前記土壌の中に貫入させて前記放射性物質が発する放射線を各前記放射線検出部に検出させ、前記放射線を各前記放射線検出部が検出した検出強度より、前記放射性物質の前記土壌の中における深さ方向の分布を算出することを特徴とする。
この発明においては、前記のヘッド部を土壌中に貫入し、放射線検出部に放射線を検出させることによって、放射性物質の分布が測定される。
本発明の請求項14に係る放射性物質分布測定方法は、各前記放射線検出部が検出した前記検出強度より前記放射線の深さ方向の強度分布を測定し、前記強度分布の変動率が局所的に高い箇所のうち最も上方の箇所を、前記土壌の上にある空気又は水と前記土壌との境界と認識することを特徴とする。
この発明においては、検出された放射線強度分布において、強度分布の変動率が局所的に高い箇所のうち最も上方の箇所が地上における地面、水中における水底面と認識される。
本発明の請求項15に係る放射性物質分布測定方法は、複数の前記放射線検出部のうち、i番目の前記放射線検出部の深さzの箇所の土壌からの前記放射線に対する感度係数をR(z)とした際に、前記放射線を発する前記放射性物質の深さ方向の分布f(z)とi番目の前記放射線検出部の検出強度gが(1)式によって定まることを用いて前記f(z)を算出することを特徴とする。
Figure 0006346750
この発明においては、検出結果であるgから上記(1)式を用いて深さz方向の放射性物質の分布f(z)が算出される。
本発明の請求項16に係る放射性物質分布測定方法は、測定される前記土壌を深さ方向にj=0〜M(Mは整数)に分割し、複数の前記放射線検出部のうちi番目の前記放射線検出部のjに対応した深さの箇所の土壌からの前記放射線に対する感度係数をRijとした際に、前記放射線を発する前記放射性物質のjに対応した深さにおける存在量fとi番目の前記放射線検出部の検出強度gが(2)式によって定まることを用いて前記fを算出することを特徴とする。
Figure 0006346750
この発明においては、検出結果であるgから上記(2)式を用いて深さz方向の放射性物質の分布fが算出される。
本発明の請求項17に係る放射性物質分布測定方法は、前記ヘッド部を水平方向における異なる複数の箇所の前記土壌に貫入させ、前記土壌の中の前記放射性物質の3次元分布を測定することを特徴とする。
この発明においては、水平方向における異なる複数の箇所に貫入させて上記の測定を行うことによって、放射性物質の3次元分布が測定される。
本発明の放射性物質分布測定装置、放射性物質分布測定方法は以上のように構成されているので、特に水底の土壌中における放射性物質の分布を高精度で測定することができると共に、境界認識手段が用いられることによって、深さ分布測定の基準となる水底面等を、放射性物質分布測定装置自身で認識することができる。このため、土壌中における放射性物質の分布を正確に測定することができる。
この際、放射線検出部自身を境界認識手段としても使用することができ、この場合には、ヘッド部の構成を単純化することができる。また、例えば放射線検出部がガンマ線や中性子線を検出するものである場合、ヘッド部を全て金属で構成することが可能となり、別途に境界認識手段のヘッド部での開孔等も必要が無くなるため、土壌中に貫入するヘッド部として強度が確保できる。
また、フレームと測定ユニットを組み合わせた場合には、ヘッド部の貫入深さを正確に定めることができるため、特に高精度の測定が可能であり、かつその操作も容易となる。
また、信号処理部が設けられた測定ユニット本体を用いることにより、放射線検出器からの出力信号にノイズが混入することが抑制され、より高精度の測定が可能となる。特に、記憶部や電源部も測定ユニット本体側に設ければ、水中の測定ユニット側と水上との間の電気的接続は全く不要となるため、有効である。
また、多重波高分析器を用いることにより、1回の測定で、複数種類の核種(放射性物質)の分布を計測することができる。
また、錘を測定ユニット本体上部に装着して測定ユニットを重くすることによって、あるいはヘッド部の下端を鋭角形状とすることにより、ヘッド部を確実に土壌中に貫入させることができる。測定ユニット本体上部にワイヤが係止できる構成とすれば、ワイヤを用いることによって、測定ユニットの水中への投入及び回収が、フレームの有無に関わらず容易となる。
更に、放射線強度分布の変動率を用いて海底面のヘッド部に対する位置を認識する場合には、ヘッド部の土壌中への貫入深さが不定である場合であっても、この位置を基準とした放射線物質分布が測定できる。
また、放射性物質の分布を(1)式より求める場合には、これをより正確に算出することができる。
一方、放射性物質の分布を(2)式より求める場合には、これをより簡易に算出することができる。
また、上記の構成の放射性物質分布測定装置を用いた測定は極めて単純であるため、これを水平方向における異なる複数の箇所で繰り返して行うことが容易である。このため、放射性物質の深さ方向の分布のみならず、その3次元分布も容易に測定することができる。
本発明の実施の形態に係る放射性物質分布測定装置が使用される際の形態を示す図である。 本発明の実施の形態に係る放射性物質分布測定装置における測定ユニットの構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係る放射性物質分布測定装置によって得られた深さ方向のガンマ線強度分布と実際の放射性物質の深さ方向の分布を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態に係る放射性物質分布測定装置における測定ユニットの変形例の構成を示す図である。 地上(a)と海底(b)における土壌中の放射線物質分布の測定を行う際の形態を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態となる放射性物質分布測定装置、放射性物質分布測定方法について説明する。この放射性物質分布測定装置は、海底における放射性物質の深さ方向における分布を測定するために好適に用いられる。
図1は、この放射性物質分布測定装置(測定装置)によって測定が行われる際の形態を模式的に示す図である。この放射性物質分布測定装置においては、測定ユニット10とフレーム50とが組み合わされて使用される。測定ユニット10の上部にはワイヤ係止部11が設けられ、ワイヤ係止部11に係止された長いワイヤ100を用いて、この放射性物質分布測定装置は、海面S2の台船から海底面S3に向かって投入される。ここで、図1(a)はこの放射性物質分布測定装置を海面S2下の海水O中への投入直後、図1(b)は海底面S3への着底直後、図1(c)は着底後の一定時間経過後、における形態をそれぞれ示す。実際の測定は、図1(c)の状態で行われる。
ここで、測定ユニット10は、測定ユニット本体20と、その下側に固定されたヘッド部30で構成される。細長いヘッド部30は、その長手方向(上下方向)の一端(下端)側から土壌G中に貫入される。ヘッド部30の他端(上端)は測定ユニット本体20に固定され、測定ユニット本体20の水平方向における外径はヘッド部30の外径よりも大きくされる。測定ユニット10は、フレーム50よりも重い、あるいは、充分重くなるように測定ユニット10には錘が装着される。測定ユニット本体20の外径がヘッド部30の外径よりも大きいため、重量確保や錘の装着が容易となる。
フレーム50は、フレーム上面(上面)51とフレーム底面(底面)52を具備し、測定ユニット本体20は、フレーム上面51に設けられた上側開口部53を貫通するようにフレーム50と組み合わされている。測定ユニット本体20の上側と下側には、上側開口部53を貫通しない程度に部分的に径が太くされた上側ストッパ21と下側ストッパ22がそれぞれ設けられている。測定ユニット本体20(測定ユニット10)は、上側開口部53中を上下に移動自在となっている。
また、フレーム50におけるフレーム底面52の上側開口部53の直下には、下側開口部54が形成されており、ヘッド部30は、下側開口部54を貫通する。ただし、下側ストッパ22は下側開口部54を貫通できないように形成される。このように、測定ユニット10は、フレーム50に対して上下方向に移動可能な状態とされて装着されるが、この移動範囲は、上側ストッパ21と下側ストッパ22により一定の範囲に制限される。
このため、図1(a)に示されるように、ワイヤ100を上側に装着した状態でこの放射性物質分布測定装置を海中に投入した場合には、フレーム50はその自重によって相対的に下側に移動し、この際に下側ストッパ22がフレーム上面51に係止された状態となる。徐々にこの放射性物質分布測定装置の深度が深くなった場合においても、図1(a)の状態が維持される。
図1(b)は、この状態で放射性物質分布測定装置が着底した直後の形態を示す。ここでは、広い面積をもつフレーム底面52が着底する。
海底面S3は柔らかい泥等で構成されているものの、フレーム底面52の面積は広く、かつフレーム50の重量は軽いために、フレーム50は海底面S3で係止され、海底面S3下の土壌G側に侵入しにくい。しかしながら、図1(c)に示されるように、測定ユニット10の最下部であるヘッド部30は先端が細く、かつ測定ユニット10の重量が重いために、ヘッド部30は海底面S3よりも下側の土壌G中に侵入する。その後、下側ストッパ22がフレーム底面52、あるいは上側ストッパ21がフレーム上面51に係止されることにより、測定ユニット10の下側への移動は停止する。
測定ユニット10の下側への移動が停止した図1(c)の状態で、海底面S3よりも下側での放射線測定が行われる。なお、ヘッド部30を土壌Gに貫入させるために、測定ユニット10の重量を重くすることが好ましく、このために、測定ユニット10の上部、例えば上側ストッパ21に錘を装着することが好ましい。上側ストッパ21に錘を装着した場合には、錘の脱着作業が特に容易となる。
図2は、測定ユニット10の構成を模式的に示す図である。ヘッド部30の先端(下端)には、下側が鋭角形状とされた先端部31が設けられているため、ヘッド部30は海底面S3よりも下側に自重によって侵入することができる。
ヘッド部30における先端部31の上側には、上下方向に複数(図中では6つ)の放射線検出部40が単一の基板32上に配列されて設けられている。各放射線検出部40は、ガンマ線を検出し、検出したガンマ線に対応してパルス状の出力信号を発する。
各放射線検出部40は、ガンマ線(放射線)を吸収することによって可視光を発するシンチレータ41と、この可視光を受けてパルス状の電気信号を出力するフォトダイオード42とで構成される。シンチレータ41としては、例えば1辺が1cm程度のCsI(Tl)結晶が用いられる。シンチレータ41は吸収したガンマ線光子のエネルギーに比例した数の可視光の光子を発するため、シンチレータ41が発した可視光を受けたフォトダイオード42は、検出したガンマ線光子に対応したパルス状の出力をする。このため、一定時間内におけるこのパルスの数が放射線(ガンマ線)強度に対応し、このパルス高は、検出したガンマ線のエネルギーに比例する。このため、フォトダイオード42の一定時間内のパルス出力において、特定のパルス高をもつパルスを計数することは、特定のエネルギーをもつガンマ線の強度を測定することになる。ここでは、この構成の放射線検出部40が上下方向に複数配列されているために、深さ方向におけるガンマ線の強度の分布をそのガンマ線のエネルギー毎に計測することができる。
なお、基板32上において、各放射線検出部40の間には鉛やタングステン等を用いた遮蔽板33が設けられおり、各放射線検出部40が水平方向に局在した放射線検出をしやすくし、測定の精度を高めるために用いられる。ただし、遮蔽板33の有無に関わらず後述する解析方法によって放射線物質の分布を算出することができる。
また、ガンマ線は金属を透過可能なため、ヘッド部30のヘッド外壁34は、開孔を有していないステンレス等の金属材料で構成することができ、土壌G中に貫入させる際に充分耐えうる強度を確保することができる。また、ガンマ線が透過可能な金属以外の材料、例えば強化プラスチックやセラミックでヘッド外壁34を構成することも可能である。また、放射線検出部40が配列された基板32は、着底時の衝撃を緩和するため、ヘッド部30内の上部、下部において、緩衝材35を介して支持される構成を採っている。ヘッド部30の上部においては、留め金具36によって、緩衝材35は測定ユニット本体20に固定され、これらの緩衝材35は、基板32のヘッド部30内における位置決めを行う機能も有している。
上記したフォトダイオード42からのパルス状の出力信号を処理するための信号処理部23が、測定ユニット本体20に内蔵されている。信号処理部23において、各放射線検出部40からの出力信号は、増幅器(AMP)24に入力し、増幅される。この出力は、多重波高分析器(マルチチャンネルアナライザ:MCA)25に入力する。多重波高分析器25においては、パルス高における複数の範囲毎にチャンネルが設定され、入力したパルス信号の数の計測を各チャンネル毎に行う。このチャンネルは、計測対象となる核種が発する特性ガンマ線のエネルギーと対応させることができ、例えば22Naの発する特性ガンマ線として511keV、137Csが発する特性ガンマ線として662keVのガンマ線を、別個のチャンネルにおいて検出することができる。この検出結果は、例えばフラッシュメモリ等で構成された記憶部26に記憶される。
また、フォトダイオード42、信号処理部23(増幅器24、多重波高分析器25、記憶部26)へ電力を供給する電源部27も、信号処理部23と共に、測定ユニット本体20の内部に設けられている。これにより、この測定ユニット10によって、図1(c)の状態における各放射線検出部40による特定のエネルギーのガンマ線の検出結果(カウント数)等を、記憶部26に記憶させることができる。その後、図1におけるワイヤ100を用いて放射性物質分布測定装置を引き上げ、記憶部26から検出結果を読み出すことができる。なお、上記の構成に加え、マイクロコンピュータ等を測定ユニット本体20の内部に設け、上記の測定全体の制御を行うこともできる。例えば、放射性物質分布測定装置を海中に投入し、充分な時間が経過して図1(c)の状態となった後に、所定の時間内においてのみ上記の測定を行い、その結果を記憶部26に記憶させるように設定することもできる。
放射線検出部40はヘッド部30中で、信号処理部23、電源部27は測定ユニット本体20中でそれぞれ密封されているため、これらが海水Oに悪影響を受けないように処理されている。なお、ガンマ線の透過力は高いため、放射線検出部40が密封されても放射線検出部40は土壌Gからのガンマ線を検出することができる。
上記の放射性物質分布測定装置によって、海底面S3を基準とした土壌G中の放射性物質の深さ方向の分布を測定することができる。以下では、まず、土壌G中の放射線物質の深さ方向の分布と、各放射線検出部40によって計測されるガンマ線強度との間の関係について説明する。ここで、ガンマ線強度とは、特定のエネルギーのガンマ線(多重波高分析器25における特定のチャンネル)の計測数を意味するものとし、このガンマ線強度は、このエネルギーのガンマ線を発する核種放射性物質の存在比率(濃度)に対応する。
ここで、図2の構成において、各放射線検出部40が検出するガンマ線として、最もその寄与が大きくなるのは、各放射線検出部40が存在する深さにおける土壌Gから発せられたガンマ線であることは明らかである。しかしながら、このガンマ線は土壌中の各点から等方的に発せられるため、ある放射線検出部40が検出するガンマ線は、この放射線検出部40が存在する深さを含んだ上下方向の領域中に含まれる放射性物質が発するガンマ線である。このため、上からi番目の放射線検出部40によって検出される特定のチャンネルのカウント数gは、深さをzとして、(1)式で表される。
Figure 0006346750
ここで、f(z)は、対象となる放射性物質の深さ方向における濃度であり、算出すべき対象である。R(z)は、i番目の放射線検出部40における深さzの箇所の放射性物質の感度計数である。前記の通り、i番目の放射線検出部40の存在する深さをzとすると、R(z)はR(z)で最大値をとるものの、z=z以外の点においてもR(z)は有限値をとる。このため、厳密にf(z)を求めるためには、R(z)を求めた上で、積分方程式である(1)式を解く必要がある。
しかしながら、実際には、(1)式において深さ方向をj=0(海底面S3)〜M(土壌G中の最大深さ)に離散化し、R(z)をRij、f(z)も離散的にfと書き換えた(2)式を用いて近似することができる。
Figure 0006346750
ここで、Rijは、土壌Gの主成分となる物質(放射性物質以外)で定まり、実験や計算によって予め求めることが可能である。この場合には、測定された各gを用いて連立方程式を解くことによりfを算出することができる。あるいは、最小自乗法等を用いることにより、最も確度の高いfを算出することができる。すなわち、土壌中の放射性物質の深さ方向の分布を算出することができる。
次に、土壌Gと海水Oとの界面である海底面S3の推定方法について説明する。図3(a)は、放射性物質が含まれる土壌(汚染土壌G1)が海底面S3下に一様に存在している場合における放射性物質の深さ方向の分布(実線)と、これによって計測されるガンマ線強度の深さ方向の分布(破線)を模式的に示す。一般に、ガンマ線を発する放射性物質の密度は海水の密度(≒1g/cm)よりも大きいために、海水O中を沈殿し、海水O中に留まる可能性は低いため、放射性物質は、図3(a)に実線で示されるような分布をする場合が多い。測定されるガンマ線強度の分布は、この放射性物質の分布に対応するが、一般的には両者は一致しないことは前記の通りである。
ここで、海水O中における海底面S3よりも充分離れた上側の箇所におけるガンマ線強度は、バックグラウンドレベルとなり、低くなる。一方、前記の通り、放射性物質の分布は海底面S3で急峻に変化し、これよりも下側の汚染土壌G1中で急激に大きくなる。これに対応したガンマ線強度は、図3(a)の破線で示されるように、前記のR(z)あるいはRijの効果により海底面S3における変化は緩やかとなるが、やはり海底面S3で大きく変化する点では同様である。このため、この変化より、海底面S3を推定することができる。海底面S3を認識できる精度は、隣接する放射線検出部40の間隔に依存し、この間隔が狭いほど高精度で海底面S3を認識することができる。また、ガンマ線強度が変動する領域がこの間隔に比べて長い場合に、実際にどのガンマ線強度の箇所が海底面S3に対応するかについては、Rij等と同様に、実験、計算によって算出することができる。
また、放射性物質を含む土壌(汚染土壌G1)の上に、放射性物質を含まない土壌(非汚染土壌G2:ヘドロ等)が堆積する場合もある。図3(b)は、この場合における放射性物質の深さ方向の分布(実線)と、これによって計測されるガンマ線強度の深さ方向の分布(破線)を模式的に示す。この場合における放射性物質の分布は、図3(a)において海底面S3において急峻に変動していたのに対し、汚染土壌G1と非汚染土壌G2の土壌中界面S4において急峻に変動する。このため、ガンマ線強度は、土壌中界面S4で大きく変化する。
また、前記の通り、海水の密度は約1g/cmであるのに対して、汚染土壌G1、非汚染土壌G2の密度は通常はこの2倍程度である。このため、ガンマ線は非汚染土壌G2からは発せられないものの、非汚染土壌G2では海水Oと比べて多く散乱される。これにより、非汚染土壌G2中でガンマ線が検出される効率は、海水O中でガンマ線が検出される効率よりも高くなり、いわゆるビルドダウン現象によって、非汚染土壌G2と海水Oの界面である海底面S3で、検出されるガンマ線強度が大きく変化する。こうしたビルドダウンあるいはビルドアップの効果も、ガンマ線の吸収と散乱を考慮した計算によって算出することができる。
すなわち、非汚染土壌G2が存在し土壌中界面S4が海底面S3下に存在する場合(図3(b))においても、海底面S3は、検出されるガンマ線強度が急激に変化する箇所として認識することができる。土壌G中において、放射性物質濃度が大きく異なる複数の層が形成されていた場合においても、この点は同様である。すなわち、深さ方向においてガンマ線強度の変動率が局所的に高い複数の箇所のうち、最も上方(海面S2に近い側)に存在する箇所が海底面S3に対応する。
すなわち、上記の放射性物質分布測定装置を用いて深さ方向におけるガンマ線の強度分布を測定することによって、海底面S3を認識することができる。この強度分布から、土壌G中の放射性物質の深さ方向の分布を算出することもできる。このため、海底面S3を基準として土壌G中の深さ方向の放射性物質の分布を正確に算出することができる。
図1の構成においては、測定ユニット10(ヘッド部30)の貫入深さが下側ストッパ22がフレーム底面52と当接すること等によって定まるものとしたが、ヘッド部30が充分した側まで下降せず、このような状態とならない場合もある。あるいは、測定ユニット10を係止するフレーム底面52も海底面S3下に潜る場合がある。こうした場合には、ヘッド部30の貫入深さ(ヘッド部30と海底面S3の位置関係)は不定となる。このようにヘッド部30の貫入深さが不定となった場合でも、上記のとおりヘッド部30と海底面S3との間の位置関係を認識することができる。
このため、図1に構成において、測定ユニット10を強制的に可動範囲の下端部まで移動させる必要はなく、測定ユニット10の自重のみによってヘッド部30を土壌G中に貫入させればよい。このため、フレーム50を用いずに上記の測定を行うこともできる。
更に、小型の増幅器をヘッド部30中に設け、信号処理は海上まで延ばされたリード線を介して行う構成とした場合には、信号処理部23あるいは測定ユニット本体20も不要である。ただし、放射線検出器40からの出力にノイズが混入することが抑制された状態で計測を行い、高精度の測定を行うためには、海上まで延ばされた長いリード線を用いることのない図2の構成が特に好ましい。
また、上記の例においては、放射線検出部40は、シンチレータ41とフォトダイオード42で構成されていたが、放射性物質が発するガンマ線の計数とエネルギー測定(あるいはエネルギーによる識別)ができる限りにおいて、他の構成の放射線検出部を用いることもできる。例えば、フォトダイオードの代わりに光電子増倍管を用いてもよい。また、シンチレータを用いずに半導体検出器で直接ガンマ線を検出してもよい。放射線検出器として、検出すべきガンマ線のエネルギーあるいはこれを発する核種(放射性物質の種類)によって最適なものを用いることができる。
あるいは、放射線検出部は、ガンマ線以外の放射線、例えばベータ線やX線、中性子線等を検出することもできる。これらは、分布を測定すべき放射性物質の種類に応じて選定され、検出する放射線に応じて、放射線検出部の構成は適宜設定可能である。
また、上記の例においては、信号処理部23において多重波高分析器25が用いられたが、検出するガンマ線のエネルギー(核種)が予め1種類に定まっている場合には、多重波高分析器25の代わりに、単一チャンネルのパルス計数器を用いてもよい。
また、フレーム50を用いずにヘッド部を海底面S3に貫入できる構成であれば、同様の測定が可能である。この場合においても、測定中にヘッド部が深さ方向に移動しない限りにおいて、複数の放射線検出部40が設けられたヘッド部30を用いて上記のとおりに海底面S3の検出が可能であるため、同様の測定が可能である。しかしながら、フレーム50を用いた図1の構成によって、測定ユニット10を安定させた状態で測定が可能となるため、図1の構成が特に好ましい。
上記の放射性物質分布測定装置の変形例について以下に説明する。上記のとおり、上記の放射性物質分布測定装置においては、複数の放射線検出部40は、放射線強度分布測定手段としても機能する一方で、海底面S3を認識する境界認識手段としても機能する。これに対して、以下に説明する変形例においては、複数の放射線検出部40を放射線強度分布測定手段として上記と同様に用いる一方で、これと独立な境界認識手段が用いられる。また、測定ユニット内部において、海底面を認識し、これを元にした制御を行うこともできる。
図4(a)は、この放射性物質分布測定装置における測定ユニット110の構成を示す図であり、図2に対応する。図4(b)は、そのヘッド部130の長手方向に垂直な断面の構造を模式的に示す図である。図4(a)においても、図2における機械的構造の構成要素(基板32、遮蔽板33、ヘッド外壁34、緩衝材35、留め金具36)は同様に用いられているが、記載は省略されている。
ここで、先端部31、複数の放射線検出部40、増幅器(AMP)24、多重波高分析器(MCA)25、記憶部26、電源部27については前記と同様である。この構成においては、放射線検出部40と同様に、長手方向(上下方向)に複数の境界検出部60が境界認識手段として用いられている。境界検出部60の個数と放射検出部40の個数は同一である必要はない。境界検出部60は、ヘッド部130の外部の土壌の状況を可視光によって認識する。
図4(b)においては、境界検出部60とその周辺の構成が模式的に示されている。境界検出部60においては、同一の高さにおいて、LED等で構成され照明光(可視光)を発する照明部61と、この照明光の散乱光や反射光を検出するフォトダイオード62が設けられている。また、ヘッド部130の外壁におけるこれらと隣接する側面においては、この光を透過させる透明な窓63が設けられている。
ヘッド部130の外側に土壌G(G1、G2)が存在するか、海水Oが存在するかによって、フォトダイオード62の検出信号強度が異なる。あるいは、土壌G中、海水O中においては、それぞれこの検出強度は深さ方向で大きく変動することはない。このため、例えば上からm番目のフォトダイオード62の検出信号とm+1番目のフォトダイオード62の検出信号が大きく異なった場合には、海底面S3はm番目のフォトダイオード62とm+1番目のフォトダイオード62の位置(深さ)の間に存在すると認識することができる。また、境界検出部60と放射線検出部40の位置関係は、ヘッド部130内で固定されているために、複数の放射線検出部40で測定されたガンマ線強度分布を、複数の境界検出部60を用いて認識された海底面S3を基準として求めることができる。この際、照明光を用いなくともフォトダイオード62からの出力が得られる場合には、照明部61は不要である。また、照明部61は各フォトダイオード62に対応させて設ける必要はなく、ヘッド部130における1箇所、あるいは測定ユニット本体120に1箇所あるいは複数箇所に設けることもできる。この境界検出部60を境界認識手段として用いた場合は、構成は複雑になるが海底面S3を求める処理が単純化される。一方、複数の放射線検出部40を境界認識手段として機能させた場合は、構成が単純化されるが処理がやや複雑になる。また、例えば放射線検出部がガンマ線やX線、中性子線等を検出するものである場合、ヘッド部30を金属や強化プラスチックやセラミック等で構成することが可能となり、透明な窓63用の開孔も必要が無くなるため、土壌中に貫入するヘッド部30として更に強度が確保できる。
ここで用いられる測定ユニット本体120中に設けられた信号処理部123においてはCPU28が設けられ、CPU28は、上記の通りに海底面S3のヘッド部130に対する位置を認識し、この情報を元に、この海底面S3を基準として複数の放射線検出部40で測定されたガンマ線強度分布を記憶部26に記憶させる。
すなわち、図4に示された測定ユニット110を用いても、海底の土壌中における放射性物質の深さ方向の分布を正確に測定することができる。この際、CPU28は、例えば、この測定ユニット110が投下されてから各フォトダイオード62の出力が時間的に安定した場合に、測定ユニット110の下降が停止したと判断し、ガンマ線強度の計数を開始する制御を行うこともできる。また、図4の構成において、CPU28を用いずに、単に複数のフォトダイオード62の出力を記憶部26に記憶させ、この測定ユニット110を引き上げた後で上記の解析を行ってもよい。
このように、本発明の実施の形態に係る放射線分布測定装置においては、複数の放射線検出部によって、土壌中の放射線(ガンマ線)分布を測定することができ、かつ土壌と海水の境界である海底面S3を認識する境界認識手段を具備することによって、放射性物質の深さ方向の分布を正確に測定することができる。このうち、図2に示された測定ユニット10のように、複数の放射線検出部40を境界認識手段として用いてもよく、図4に示された測定ユニット110のように、複数の放射線検出部40とは別に、境界認識手段を設けてもよい。後者の場合には、境界認識手段として、上記の構成の境界検出部60とは異なる構成のものを用いることもできる。例えば、フレーム50が用いられる場合において、フレーム底面52が確実に海底面S3に着底する場合には、フレーム50(フレーム底面52)と測定ユニットとの間の位置関係が検出できれば、海底面S3と測定ユニットとの間の位置関係は定まる。このため、例えば測定ユニット本体120(下側ストッパ22)とフレーム底面52との間の上下方向における距離を検出するセンサを境界検出部として用いることもできる。こうした境界認識手段の出力を基にして、放射線検出部の制御を行うこともできる。
なお、上記の例では、海底における放射性物質の深さ方向の分布を測定するものとしたが、上記の測定を水平方向における異なる複数の箇所で行うことによって、放射性物質の3次元分布を測定することができることは明らかである。この場合においても、上記の放射性物質分布測定装置を用いた場合、これを図1に示されるようにこれを台船から海中に投入した後で引き上げ、海上でデータを取得してから同様の操作を繰り返すという単純な作業のみによって、この測定を行うことができる。この際、1回の操作毎に得られたデータは、水上あるいは地上に設置されたハードディスク等に記憶させ、上記の計算を全てのデータ収集が行われた後で行うこともできる。
上記の通り、上記の放射性物質分布測定装置、放射性物質分布測定方法によって、海底の土壌中の放射性物質分布を測定できるが、実際には、海だけでなく河川や湖沼等の底の土壌においても、同様の測定を行うことができることは明らかである。このため、上記の海面S2は一般的な水面、海水Oは水(あるいは液体)、海底面S3は一般的な水底面とすることができる。更に、水中だけでなく地上においても、ヘッド部を土壌中に貫入させることができる限りにおいて、上記の放射性物質分布測定装置、放射性物質分布測定方法を適用できることは明らかである。この場合においては、図5(a)における地面S1(空気と土壌Gの境界)が境界認識手段によって上記と同様に認識される。この場合には、放射線測定部や信号処理部が密封(防水処理)されている必要もない。
上記のとおり、上記の放射性物質分布測定装置、放射性物質分布測定方法によって、通常は測定が困難な土壌中における放射線物質の分布を測定することができる。このため、環境測定や土木・建築分野等、産業上の広い領域において有効である。
10、110 測定ユニット
11 ワイヤ係止部
20、120 測定ユニット本体
21 上側ストッパ
22 下側ストッパ
23、123 信号処理部
24 増幅器(AMP)
25 多重波高分析器(MCA)
26 記憶部
27 電源部
28 CPU
30、130 ヘッド部
31 先端部
32 基板
33 遮蔽板
34 ヘッド外壁
35 緩衝材
36 留め金具
40 放射線検出部
41 シンチレータ
42、62 フォトダイオード
50 フレーム
51 フレーム正面(上面)
52 フレーム底面(底面)
53 上側開口部
54 下側開口部
60 境界検出部
61 照明部
63 窓
100 ワイヤ
200 測定装置
S1 地面
S2 海面
S3 海底面
S4 土壌中界面
G 土壌
G1 汚染土壌
G2 非汚染土壌
O 海水

Claims (17)

  1. 土壌の中に存在する放射性物質が発する放射線を検出することによって、前記土壌の中における前記放射性物質の深さ方向の分布を測定する放射性物質分布測定装置であって、
    長手方向における一端の側から前記土壌の中に貫入され、前記長手方向に配列された複数の放射線検出部が内部に設けられ、前記土壌の上にある空気又は水と前記土壌との境界を認識する境界認識手段を有するヘッド部を具備することを特徴とする放射性物質分布測定装置。
  2. 複数の前記放射線検出部が前記境界認識手段として用いられたことを特徴とする請求項に記載の放射性物質分布測定装置。
  3. 前記ヘッド部と、
    前記ヘッド部の前記長手方向における他端が固定され、複数の前記放射線検出部の出力信号を処理する信号処理部を内蔵し、前記長手方向と垂直な方向において前記ヘッド部よりも大きな外径をもつ測定ユニット本体と、
    を具備する測定ユニットが用いられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の放射性物質分布測定装置。
  4. 前記信号処理部は、検出された放射線に対応して前記放射線検出部から出力されたパルス状の出力信号を増幅する増幅器を具備し、前記増幅器によって増幅された前記出力信号のうち、予め定められた範囲のパルス高をもつ前記出力信号を計数することを特徴とする請求項に記載の放射性物質分布測定装置。
  5. 前記信号処理部は、予め定められた複数の前記範囲毎に前記出力信号を計数する多重波高分析器を具備することを特徴とする請求項に記載の放射性物質分布測定装置。
  6. 前記信号処理部は、前記出力信号の計数結果を記憶する記憶部を具備することを特徴とする請求項又はに記載の放射性物質分布測定装置。
  7. 複数の前記放射線検出部は前記ヘッド部で、前記信号処理部は前記測定ユニット本体で、それぞれ密封された構成を具備することを特徴とする請求項から請求項までのいずれか1項に記載の放射性物質分布測定装置。
  8. 前記測定ユニット本体は、前記信号処理部及び各前記放射線検出部に電力を供給する電源部を具備することを特徴とする請求項から請求項までのいずれか1項に記載の放射性物質分布測定装置。
  9. 土壌の中に存在する放射性物質が発する放射線を検出することによって、前記土壌の中における前記放射性物質の深さ方向の分布を測定する放射性物質分布測定装置であって、
    長手方向における一端の側から前記土壌の中に貫入され、前記長手方向に配列された複数の放射線検出部が内部に設けられたヘッド部と、
    前記ヘッド部の前記長手方向における他端が固定され、複数の前記放射線検出部の出力信号を処理する信号処理部を内蔵し、前記長手方向と垂直な方向において前記ヘッド部よりも大きな外径をもつ測定ユニット本体と、
    を具備する測定ユニットが用いられ、
    前記測定ユニットを前記長手方向における一定の範囲で移動可能として収容し、かつ前記ヘッド部を前記長手方向で貫通させる底面を具備するフレームが、前記測定ユニットと組み合わされて用いられたことを特徴とする放射性物質分布測定装置。
  10. 前記測定ユニット本体における前記ヘッド部が固定された側と反対側に錘が着脱自在とされたことを特徴とする請求項から請求項までのいずれか1項に記載の放射性物質分布測定装置。
  11. 前記測定ユニット本体における前記ヘッド部が固定された側と反対側に、ワイヤが係止されるワイヤ係止部が設けられたことを特徴とする請求項から請求項10までのいずれか1項に記載の放射性物質分布測定装置。
  12. 前記長手方向における前記ヘッド部の一端側が鋭角形状とされたことを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の放射性物質分布測定装置。
  13. 請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の放射性物質分布測定装置における前記ヘッド部を前記土壌の中に貫入させて前記放射性物質が発する放射線を各前記放射線検出部に検出させ、
    前記放射線を各前記放射線検出部が検出した検出強度より、前記放射性物質の前記土壌の中における深さ方向の分布を算出することを特徴とする放射線物質分布測定方法。
  14. 各前記放射線検出部が検出した前記検出強度より前記放射線の深さ方向の強度分布を測定し、前記強度分布の変動率が局所的に高い箇所のうち最も上方の箇所を、前記土壌の上にある空気又は水と前記土壌との境界と認識することを特徴とする請求項13に記載の放射性物質分布測定方法。
  15. 複数の前記放射線検出部のうち、i番目の前記放射線検出部の深さzの箇所の土壌からの前記放射線に対する感度係数をR(z)とした際に、前記放射線を発する前記放射性物質の深さ方向の分布f(z)とi番目の前記放射線検出部の検出強度gが(1)式によって定まることを用いて前記f(z)を算出することを特徴とする請求項13又は14に記載の放射性物質分布測定方法。
    Figure 0006346750
  16. 測定される前記土壌を深さ方向にj=0〜M(Mは正の整数)に分割し、複数の前記放射線検出部のうちi番目の前記放射線検出部のjに対応した深さの箇所の土壌からの前記放射線に対する感度係数をRijとした際に、前記放射線を発する前記放射性物質のjに対応した深さにおける存在量fとi番目の前記放射線検出部の検出強度gが(2)式によって定まることを用いて前記fを算出することを特徴とする請求項13又は14に記載の放射性物質分布測定方法。
    Figure 0006346750
  17. 前記ヘッド部を水平方向における異なる複数の箇所の前記土壌に貫入させ、前記土壌の中の前記放射性物質の3次元分布を測定することを特徴とする請求項13から請求項16までのいずれか1項に記載の放射性物質分布測定方法。
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