JP4241942B2 - 撮像線量の測定方法および放射線像の撮像装置 - Google Patents

撮像線量の測定方法および放射線像の撮像装置 Download PDF

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Description

本発明は対象物の放射線像、特にX線像の撮像にあたり撮像線量を測定する方法および放射線像の撮像装置に関する。この場合、放射線を発生するために放射線源、像を撮像するために固体放射線検出器ならびに撮像線量を測定するためにセンサがそれぞれ使用される。
放射線像を発生する役割をし、また撮像線量を求める必要のある医学用のX線診断装置では、検査すべき患者を最小限必要なX線照射にしか曝さないよう、撮像線量を算出するための電離箱を使用している。この電離箱は、入射する放射線の方向に関して、固体放射線検出器の前方の範囲内に配置され、そしてそれがこの放射線検出器の上に写像されないように、可能な限り放射透過性かつ無影性であるべきである。電離箱の作用は、それがX線の照射に伴い荷電された空気コンデンサの中に、線量に比例した、一般にピコアンペア範囲内の電流を発生することである。ピコアンペアの電流で既に測定が困難であれば、電離電流が低い管作動電圧の使用の使用に伴いフェムトアンペアの電流範囲に低下するときは、ますますその測定が困難になる。電離箱を使用する際のその他の問題は、さらに、電離箱の信号がその内部の空気密度により決定されることにある。すなわち、正しい撮像線量を算出するためには、測定箱の空気圧力および温度が解っていなければならず、また対策により電離箱の信号を補正しなければならない。
従って、本発明の課題は、電離箱を使用せずに、従ってまた冒頭にあげた困難を回避した簡単な方法で、撮像線量の測定方法およびこの測定方法を実施するための放射線像の撮像装置を提供することである。
撮像線量の測定方法に関する課題は、対象物の放射線像、特にX線像を撮像する固体放射線検出器の前方に与えられる撮像線量をセンサを用いて測定する方法において、本発明によれば、センサとして固体放射線検出器に入射する放射線の方向に関して固体放射線検出器の背後に位置しており、固体放射線検出器を貫く放射線を測定する半導体放射線検出器を使用し、この放射線検出器により固体放射線検出器を貫く放射線を測定し、この測定した放射線についての尺度である出力信号を得、その際にこの出力信号に基づいて固体放射線検出器の前方に与えられる撮像線量を算出し、さらにその際に固体放射線検出器の前方の撮像線量の算出にあたり、放射線検出器の出力信号を固体放射線検出器の透過特性に関係して処理することによって解決される
本発明による方法は、一方では放射線透過性でない半導体放射線検出器、すなわち固体検出器が少し前から知られており、この検出器においては、冒頭にあげた欠点が、温度および空気密度について過度に敏感でないことに基礎をおいている。第2の重要な認識は、固体放射線検出器の背後にもなお十分に測定可能なX線が存在していること、そして最後に照射面に入射する放射線量を算出できるように、サンドウィッチ状の構造に相異なる材料から構成されている固体放射線検出器の吸収特性が十分に正確に決定可能であることである。本発明による方法は、これに伴い、固体検出器のみを使用する完全に新しいシステムを創造することを可能にする。これらの認識は、放射線検出器、例えばSi半導体検出器から供給される出力信号であって、たとえ非常にわずかであっても固体放射線検出器を貫くX線に対する尺度である出力信号を、撮像線量を算出するために、相応に処理することを可能にする。固体放射線検出器の前方の撮像線量の算出にあたり、本発明により放射線検出器の出力信号が固体放射線検出器の透過特性、放射線源、特にX線源のスペクトルおよび透視される対象物の透明性に関係して処理される。この処理は、類似の方法で既に知られている電離箱システムにおいて行われているように、ここから導き出されるアルゴリズムを用いて行われる。しかし、これと相違して算出は、固体放射線検出器の背後で測定された信号に基づいて、そして固体放射線検出器の透過特性を考慮に入れて行われる。本発明による方法によって、特に有利に、外部のパラメータとほぼ無関係に、撮像線量を十分な精度をもって算出することが可能であり、その際にさらに検出器側における全ての影の発生および透明性に関する困難が排除される。撮像線量の確実かつ特に非常に迅速な算出は、算出された撮像線量に依存して、撮像動作の制御が可能であると言う特別の利点を与える。
これと結び付いて、さらに固体放射線検出器の前方での撮像線量の算出にあたり、放射線検出器の出力信号を放射線源のスペクトルおよび/または透視される対象物の透明性に依存して処理するようにすると有利である。こうしてすべての影響量が確実に考慮に入れられる。それによって対象物の不必要な放射負荷を回避し、また透視される対象物の、良好に診断可能な像を作成できる。
固体放射線検出器の前方での撮像線量の算出にあたり、放射線検出器の出力信号を計算機により処理することは有利であり、特にそのため計算機に、透過特性および/またはスペクトルおよび/または透明性に関係するデータを記憶するメモリを対応付けてもよい。計算機は、これらのデータを撮像線量の算出の際にアクセスする。データをルックアップテーブルの形態で記憶しているメモリが有利である。
放射線像の撮像装置に関する課題は、本発明によれば、本発明による方法を実施するために使用される放射線像を撮像する装置、特に医学のX線装置であって、放射線源と、固体放射線検出器と、撮像線量を算出するためのセンサとを有する装置において、センサが、固体放射線検出器に入射する放射線の方向に関し固体放射線検出器の背後に配置され、固体放射線検出器を貫く放射線を測定する半導体放射線検出器であり、測定された放射線に対する尺度である出力信号を与え、その際にこの出力信号に基づいて固体放射線検出器の前方に与えられる撮像線量が固体放射線検出器の透過特性ならびに放射線源のスペクトルに関係して算出されることによって解決される。
撮像線量を算出するため本発明により計算機を設けることができ、これを用いて放射線検出器の出力信号を、固体放射線検出器の透過特性および/または放射線源、特にX線源のスペクトルおよび/または透視される対象物の透明性に関係して処理可能である。撮像作動自体の制御は、算出された撮像線量に関係して行われる。
固体放射線検出器は放射センサよりも何倍も大きい、すなわち、撮像面積がセンサ面積よりも本質的に大きいので、例えば固体放射線検出器の中心に関して放射センサを中心に配置しようとするときに、特に固体放射線検出器の中心の外側に配置されている対象物を撮像する際困難が生ずる。なぜならば、この場合には減弱されていないX線の全放射線が背面に配置されたセンサによる走査範囲に当たり、そのためにその背後でも相応に高い放射線量が測定されることになるからである。しかしこの場合には、撮像線量を考慮して本来関心のある範囲は測定されない。このような場合にも、実際に関心のある範囲内で撮像線量の確実な決定を可能にするため、本発明の目的にかなった別の実施例によれば、固体放射線検出器の背後にマトリックスまたはアレイの形態で配置される多くの放射線検出器が設けられる。この本発明の実施例は、実際に関心のある範囲のみが測定され、また正確な線量決定が可能であるように、局所的な線量測定を行うことを可能にする。放射線検出器はその際に本発明により、衝突する光子束密度に不利に作用する相異なる間隔から生ずる問題が排除されるように、固体放射線検出器に関して等しい間隔に配置される。
本発明の他の利点、特徴および詳細は以下に説明される実施例から、また図面により明らかになる。
図1は本発明による装置の原理ブロック図、
図2は固体放射線検出器に対する計算された透過スペクトル、
図3は電離箱を使用する際の計算された量子スペクトル、
図4は図2による固体放射線検出器の透過特性を基礎とする、本発明による半導体ベースの放射センサを使用する際の計算された量子スペクトル、
図5は従来の技術による装置の原理ブロック図、そして
図6は図1による固体放射線検出器の背面図である。
最初に、従来の技術を示す図5による構成を簡単に説明する。この装置はX線源1を含んでおり、その放射範囲内に対象物2が配置されている。その後に、放射線像を撮像する役割を果たす、種々の層9,10,11からなる固体放射線検出器3が配置されている。対象物2と固体放射線検出器3との間に、撮像線量を確認するため、または固体放射線検出器3に入射するX線に対する尺度であり、その後になお後処理される出力信号を供給するため、透明な電離箱4が配置されている。固体放射線検出器の像範囲内への電離箱の配置は、軽度ではあるが影の発生に通じ、そのために電離箱の透明性に高度の要求が課せられる。別の欠点は、供給される出力信号が電離箱の空気圧力および温度に対して依存性を有し、このことが後処理に際して補正されなければならないことにある。
本発明による構成は、図1に示すようにそれとは異なっている。本発明による構成もX線源1、その放射範囲内に位置している対象物2および対象物2の直ぐ後に配置されている固体放射線検出器7を含んでいる。固体放射線検出器7の背後に、半導体放射線検出器8の形態のセンサ、図示の実施例ではSi測定セルが配置されている。このセンサは、図示を簡単にするため固体放射線検出器7の中心と同心的に配置されている。固体放射線検出器7は特に非晶質の水素添加されたシリコンをベースとする検出器要素のマトリックスから成っていてよい。しかし、固体放射線検出器7を、場合によっては光導体を中間に介して、後段に接続されている半導体検出器を有するシンチレータから構成することも可能である。固体放射線検出器7の出力信号は、後段に接続されている画像処理回路12に供給される。画像処理回路12は透視される対象物の像を発生し、この像がモニター13の上に再現される。図面中にはさらに、放射線検出器8の出力信号が計算機14に供給されることが示されている。計算機14はその入力端15に、X線源1のX線スペクトルに相当し、また設定可能な撮像データから導き出される信号を受ける。入力装置16を介して、患者の厚みに相当するデータが入力される。相応の特性曲線が入力装置16の中にそれぞれ設定された撮像データを考慮して記憶されている。計算機10は、放射線検出器8の出力信号から撮像線量を決定するアルゴリズムを含んでいる。計算機には、そのために、固体検出器の透過特性および/または放射線源、特にX線源のスペクトルおよび/または透視される対象物の透明性に相当するデータを記憶するメモリ17が対応付けられている。
本方法または本装置の作用の方法は、X線源から放射されたX線が対象物6を貫き、そこで放射線吸収の結果として減弱され、また放射線像を発生して固体放射線検出器7の表面の上に当たることである。そこでX線量子が相応の電気的信号に変換されこの電気的信号が読出され、また像処理の枠内で処理される。しかしX線のたとえわずかな部分でも固体放射線検出器7を貫通し、また放射線検出器8により測定される。この放射線検出器8は、撮像線量を確認するために爾後処理される出力信号を供給する。固体放射線検出器7の原理ブロック図が示すように、これは図5における層9,10,11と同様に相異なる材料層から成っており、その際に例えば3種類よりも多い層または材料が使用される(例えばケース材料など)。すなわち、サンドウィッチ構成の固体放射線検出器7は、入射して通過するX線を部分的に吸収し、またこうして出射して放射線検出器8により測定されるX線に対して決定的な材料複合体を呈する。
固体放射線検出器7の前方で撮像線量を算出する必要があるので、放射線検出器8の出力信号に基づいて計算により固体放射線検出器7の反対側の実際の撮像線量を推定する必要がある。この目的で先ず固体放射線検出器7の透過特性の決定が必要である。図2はこのような放射線検出器7の計算された透過プロフィルを示す。このプロフィルでは、放射線検出器がその吸収特性を決定する下記の要素から構成されていることが仮定されている:
アルミニウムケース(Al)
合成物質(PMMA)から成る層保持体
半導体Si
元素およびCsから成るシンチレーション層
個々の層または要素は下記の厚さで存在する:
Al:2.5mm
PMMA:50mm
Si:0.5mm
:0.2mm
Cs:0.2mm
それ自体既に知られている光子エネルギーに関する質量減弱係数を考慮に入れて、図2に示す光子エネルギーに関する透過特性が生ずる。対数で記入されている透過度は、低い光子エネルギーの際の弱い放射から出発して顕著に上昇し、約33keVの範囲内で第1の極大に到達し、その後透過度は大幅に低下する。これは、両方の元素およびCsが、これらのエネルギーにおいて強い吸収帯を有し、このことが両方の元素に対する各々の質量減弱係数の明らかな跳躍として現れることに基づく。より高い光子エネルギーの範囲内においては、透過度は図2に明示するように、連続的に上昇する。
図3および4は最後に2つの量子スペクトルを示し、その際図3は電離箱によりピックアップ可能な、計算された量子スペクトルを、また図4は本発明による半導体放射線検出器によりピックアップ可能な、計算された量子スペクトルを、図2中に示されている吸収特性を根拠として示す。70kVの管電圧および10mAの管電流が両方の計算の基礎とされている。縦軸に沿って相対的な光子束密度が記入されており、横軸に沿って光子エネルギーがkeVを単位として記入されている。図3による計算は、150mmの直径を有する水フィルタを対象物と仮定している。この場合に確認可能な照射率は、中心点が49.7keVに位置する、図示の曲線からわかるように、計算上713μR/sec(=6.23μGy/sec)である。この特性に基づいて次いで撮像線量が算出され、また設備が相応に制御される。
これに対し、図4に示されている量子スペクトルは、本発明による装置または本発明による方法を応用する際に生ずる。ここでも縦軸に沿って相対的な光子束密度が、また横軸に沿って光子エネルギーがkeVを単位として記入されている。上記の特性を有し、フィルタとして作用する固体放射線検出器とならんでここでも150mmの厚さの水フィルタが仮定されている。スペクトルの計算は、図2から明らかな透過特性を根拠として行われた。それに応じて、図2中に示されている第1の透過極大に相当する第1のピークが、約33keVの光子エネルギーのところに生じる。続いて光子束密度は透過度の増大に応じて再び上昇する。中心点は、ここで55.8keVに位置している。ここで計算上生ずる照射率は、68.6μR/sec(=600nGy/sec)である。この値は、固体放射線検出器の前方で電離箱により測定可能な値の約10%に過ぎないが、十分に正確に固体センサにより決定可能である。既知の透過特性およびX線源パラメータならびに検査対象物の透明性を根拠とし、得られた出力信号から出発して、固体放射線検出器の前方に与えられる撮像線量が算出され、そして予め定められた最大線量に到達した際に、設備の動作が所期のとおりに制御される。

Claims (13)

  1. 対象物の放射線像を撮像する固体放射線検出器の前方に与えられる撮像線量をセンサを用いて測定する方法において、センサとして、固体放射線検出器に入射する放射線の方向に関して、固体放射線検出器の背後に位置しており、固体放射線検出器を貫く放射線を測定する半導体放射線検出器が使用され、この放射線検出器により固体放射線検出器を貫く放射線が測定され、そして測定された放射線に対する尺度である出力信号が与えられ、この出力信号に基づいて固体放射線検出器の前方に与えられる撮像線量が算出され、また固体放射線検出器の前方の撮像線量の算出にあたり、放射線検出器の出力信号が固体放射線検出器の透過特性に関連して処理されることを特徴とする撮像線量の測定方法。
  2. 固体放射線検出器の前方の撮像線量の算出にあたり、さらに放射線検出器の出力信号が放射線源のスペクトルに関連して処理されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 固体放射線検出器の前方の撮像線量の算出にあたり、さらに放射線検出器の出力信号が透視される対象物の透明性に関連して処理されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 固体放射線検出器の前方の撮像線量の算出にあたり、放射線検出器の出力信号が計算機により処理されることを特徴とする請求項1ないし3の1つに記載の方法。
  5. 固体放射線検出器の前方の撮像線量の算出にあたり、放射線検出器の出力信号がメモリの中に記憶され、透過特性に関係するデータ、または、透過特性とスペクトルおよび/または透明性とに関係するデータに結び付けて計算機により処理されることを特徴とする請求項1ないし4の1つに記載の方法。
  6. 放射線像がX線像であることを特徴とする請求項1ないし5の1つに記載の方法。
  7. 放射線源と、固体放射線検出器と、撮像線量を算出するためのセンサとを有する放射線像の撮像装置において、センサが、固体放射線検出器(7)に入射する放射線の方向に関して固体放射線検出器(7)の後方に配置され、固体放射線検出器(7)を貫く放射線を測定する半導体放射線検出器(8)であり、測定された放射線に対する尺度である出力信号を与え、この出力信号に基づいて固体放射線検出器(7)の前方に与えられる撮像線量固体放射線検出器(7)の透過特性ならびに放射線源のスペクトルに関係して算出する計算機手段が設けられていることを特徴とする放射線像の撮像装置。
  8. さらに、出力信号に基づいて固体放射線検出器(7)の前方に与えられる撮像線量が透視される対象物の透明性に関係して算出されることを特徴とする請求項7に記載の装置。
  9. 撮像線量を算出するため計算機(14)が設けられており、それにより放射線検出器(8)の出力信号が、固体放射線検出器(7)の透過特性に関係して、または、固体放射線検出器(7)の透過特性と放射線源のスペクトルおよび/または透視される対象物の透明性とに関係して処理可能であることを特徴とする請求項7または8に記載の装置。
  10. 固体放射線検出器(7)の前方の撮像線量の算出にあたり、放射線検出器(8)の出力信号がメモリ(17)の中に記憶され、透過特性に関係するデータ、または、透過特性とスペクトルおよび/または透明性とに関係するデータに結び付けて計算機(14)により計算されることを特徴とする請求項7ないし9の1つに記載の装置。
  11. 固体放射線検出器(7)の後方に、マトリックスまたはアレイの形態で配置される多くの放射線検出器(8)が設けられることを特徴とする請求項7ないし10の1つに記載の装置。
  12. すべての放射線検出器(8)が、固体放射線検出器(7)に関して等しい間隔を有することを特徴とする請求項7ないし11の1つに記載の装置。
  13. 放射線源がX線源であり、撮像装置が医学用のX線装置として構成されていることを特徴とする請求項7ないし12の1つに記載の装置。
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