JP2008267972A - 表面欠陥検査装置および表面欠陥検査方法 - Google Patents
表面欠陥検査装置および表面欠陥検査方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】直線偏光を被検査面に入射し、その反射光を3つの受光カメラ29a,29b,29cで受光して前記被検査面上の欠陥を検査する方法であって、前記3つの受光カメラ29a,29b,29cのうちの第1の受光カメラ29aと第2の受光カメラ29bを前記被検査面からの正反射光路上に配置すると共に、前記第3の受光カメラ29cを正反射光路上から所定角度ずらして配置して前記被検査面からの反射光をこれら3つの受光カメラ29a,29b,29cで同時に受光して前記被検査面上の欠陥を検査する。これによって小さな模様状欠陥は勿論、従来の偏光式表面欠陥検査装置では識別が困難であった小さな凹凸欠陥についても高精度に識別することができる。
【選択図】 図3
Description
この鋼板表面の欠陥検査方法としては、検査員による目視検査の他、製造ラインを流れる鋼板にレーザ光を照射してその反射パターンで表面欠陥を検出する方法が主流であったが、目視検査方法では見落としや検査員による技量の差が大きく、また、レーザ光を用いる方法では大きな凹凸状欠陥はほぼ100%検出できるものの表面が平滑な模様状欠陥や微小な凹凸状欠陥には対応できないといった欠点がある。
この偏光式表面欠陥検査方法は、例えば以下の特許文献1や2などに示すように、入射光に対して正反射位置3つの偏光カメラを設置し、これら3つの偏光カメラによって偏光角をそれぞれ異ならしめて受光するようにしたものであり、模様状欠陥に光を入射した場合の反射率の違いにより、偏光角に散乱された光を3つの偏光カメラで受光することで特に模様状欠陥に対して精度良く識別することが可能となっている。
一方、前述した第2の方法(装置)では、これとは反対に、凹凸欠陥や大きな模様状欠陥の識別には優れているが、小さな模様状欠陥は識別し難いといった欠点がある。
すなわち、従来の方法(装置)では、小さな凹凸欠陥や模様状欠陥を同時に検出することは殆ど不可能であり、これらの微小な表面欠陥を検出するためには、これら2種類の装置を製造ライン方向にリニアに並べて段階的に検査するしか方法がなく、その分検査に要する手間やコストが高くなるといった問題点がある。
そこで、本発明はこのような課題を有効に解決するために案出されたものであり、その主な目的は、小さな凹凸欠陥や模様状欠陥を精度良くかつほぼ同時に検出することができる新規な表面欠陥検査装置および表面欠陥検査方法を提供するものである。
被検査面に直線偏光を入射する直線偏光光源と、前記被検査面からの反射光をそれぞれ所定の検光角で受光する第1〜第3の3つの受光カメラとを有する表面欠陥検査装置であって、前記3つの受光カメラのうちの第1の受光カメラと第2の受光カメラを前記被検査面からの正反射光路上に配置すると共に、前記第3の受光カメラを正反射光路上から所定角度ずらして配置したことを特徴とする表面欠陥検査装置である。
すなわち、本発明装置は前述したような従来の偏光式表面欠陥検査装置を構成する3つの受光カメラのうちの1つの受光カメラの位置を正反射光路上から所定角度ずらして配置したものであり、これによって後に実証するように従来の偏光式表面欠陥検査装置では識別が困難であった小さな凹凸欠陥についても高精度に識別することができる。
請求項1に記載の表面欠陥検査装置において、前記正反射光路上に配置される第1の受光カメラと第2の受光カメラの検光角は、それぞれ前記正反射光方向に対して35°〜60°および−5°〜5°となっていると共に、前記第3の受光カメラの検光角は、前記正反射光方向に対して−30°〜−50°になっていることを特徴とする表面欠陥検査装置である。ここで、第1の受光カメラの検光角は前記正反射光に対して35°〜60°であれば良いが、好ましくは約40°である。また、同様に第2の受光カメラの検光角は前記正反射光に対して−5°〜5°であれば良いが、好ましくは約0°である。
請求項2に記載の表面欠陥検査装置において、前記正反射光の反射角度は、前記被検査面に対して45°〜65°になっていると共に、前記第3の受光カメラは、前記被検査面に対して45°〜55°の角度で設置されていることを特徴とする表面欠陥検査装置である。ここで、前記正反射光の反射角度は、前記被検査面に対して45°〜65°が望ましいが、より好ましくは60°である。
直線偏光を被検査面に入射し、前記被検査面からの反射光を第1〜第3の3つの受光カメラを用いてそれぞれ所定の検光角で受光して前記被検査面上の欠陥を検査するようにした表面欠陥検査方法であって、前記3つの受光カメラのうちの第1の受光カメラと第2の受光カメラを前記被検査面からの正反射光路上に配置すると共に、前記第3の受光カメラを正反射光路上から所定角度ずらして配置した後、前記直線偏光光源から被検査面に直線偏光を入射し、前記被検査面からの反射光をこれら第1〜第3の3つの受光カメラで同時に受光して前記被検査面上の欠陥を検査するようにしたことを特徴とする表面欠陥検査方法である。
これによって、前記請求項1の発明と同様に、従来の偏光式表面欠陥検査装置が得意とする模様状欠陥を精度良く検出できることは勿論、識別が困難であった小さな凹凸欠陥についても高精度に識別することができる。
請求項4に記載の表面欠陥検査方法であって、前記第1〜第3の受光カメラの前にそれぞれの受光量を調節するフィルターを設けると共に、当該フィルターの透過率と前記直線偏光光源とを前記被検査面の種別ごとに調節して前記被検査面の種別ごとに異なる前記第1〜第3の受光カメラの受光輝度を平滑化することを特徴とする表面欠陥検査方法である。
これによって、前記被検査面の種別に拘わらず、その被検査面の小さな凹凸欠陥についても高精度に識別することができる。
先ず、本発明の表面欠陥検査装置が検査対象とする鋼板表面の光学的反射の形態を鋼板表面のミクロな凹凸形状と関連付けて説明する。
例えば、検査対象が合金化亜鉛めっき鋼板の場合においては、図10(a)に示すように下地の冷延鋼板は、溶融亜鉛めっきされた後、合金化炉を通過する。この間に下地鋼板1の鉄元素がめっき層2の亜鉛中に拡散し、通常図10(c)に示すように合金の柱状結晶3を形成する。このめっきされた鋼板4は次にロール5a、5bで調質圧延される。すると、図10(d)に示すように、柱状結晶3における特に突出した箇所がロール5a、5bで平坦に潰され、それ以外の箇所は元の柱状結晶3の形状を維持したままとなる。
そして、この調質圧延のロール5a、5bにて平坦に潰された部分をテンパ部6と呼び、それ以外の調質圧延のロール5a、5bが当接しない元の凹凸形状を残した部分を非テンパ部7と称する。
調質圧延のロール5a、5bにより押し潰されたテンパ部6に入射した入射光8は鋼板4の正反射方向に鏡面的に反射して正反射光9となる。
一方、調質圧延のロール5a、5bが当接しない元の柱状結晶3の構造を残す非テンパ部7に入射した入射光8は、ミクロに見れば柱状結晶3の各表面の微小面素一つ一つにより鏡面的に反射されるが、反射方向は鋼板4の正反射方向とは必ずしも一致しない拡散反射光10となる。
図13に示すように、合金化溶融亜鉛めっき鋼板に見られるヘゲ欠陥(ヘゲ部11)は、めっき加工前の冷延鋼板原板にヘゲ欠陥(ヘゲ部11)が存在し、その上にめっき層2が乗り、さらに下地鋼板1の鉄元素の拡散によるヘゲ欠陥の合金化が進行したものである。
上述したモデルに基づき、ヘゲ部11と母材部12の違いについて分類すると、一般に次の3種類(a〜c)に分けられる。
(a)ヘゲ部11におけるテンパ部6の面積率および非テンパ部7の微小面素の角度分布が、母材部12におけるテンパ部6の面積率および非テンパ部7の微小面素の角度分布と異なる(図15(a)、図14(a))。
(c)ヘゲ部11における非テンパ部7の微小面素の角度分布は母材部12における非テンパ部7の微小面素の角度分布と異なるが、ヘゲ部11におけるテンパ部6の面積率は母材部12におけるテンパ部6の面積率と変わらない(図15(c)、図14(c))。
このようなテンパ部6の面積率S(ξ)および微小面素13の角度分布の違いが、図14(a)、(b)、(c)に示すような反射光量の角度分布の違いとして観察される。図中実線で示す角度分布がヘゲ部11に対応するヘゲ部角度分布11aであり、図中点線で示す角度分布が母材部12に対応する母材部角度分布12aである。
そして、ヘゲ部角度分布11aと母材部角度分布12aとでテンパ部6の面積率S(ξ)に相違がある場合には、図14(a)、(b)に示すように、その差は正反射方向から観察される。具体的には、正反射方向からヘゲ部11の反射光を測定した場合と、母材部12の反射光を測定した場合に、ヘゲ部11のテンパ部6の面積率S(ξ)が母材部12のテンパ部6の面積率S(ξ)より大きい場合には、ヘゲ部11は母材部12に比較して相対的に明るく見える。逆に、ヘゲ部11のテンパ部6が母材部12より小さいときにはヘゲ部11は母材部12に比較して相対的に暗く観察される。
このようなヘゲ部11を母材部12と確実に区別して検出するためには、図15において、どういう角度(法線角度ξ)の微小面素13からの反射光を抽出するのかを検討することが必要である。例えば、先の図14(a)、(b)の例のように、正反射方向でヘゲ部11と母材部12の違いを検出するということは、図15で示される微小面素13の角度分布のうち微小面素13の法線角度ξ=0について抽出し、ヘゲ部11と母材部12との違いを検出していることになる。
また、例えば、入射角60°において、正反射方向から20°ずれた40°の角度位置で反射光を測定することは、図17(b)のようなデルタ関数δ(ξ+10)なる重み関数I(ξ)を用いて計算することに相当する。
θ´=−θ+2ξ …(1)
すなわち、どういう角度(法線角度ξ)の微小面素13からの反射光を抽出するかということは、どのような重み関数I(ξ)を設計するかということに相当することが理解できる。
なお、重み関数I(ξ)は、必ずしも図17に示した特定の法線角度のみを抽出する幅が無限小のデルタ関数δ(ξ)である必要はなく、ある程度の信号幅を有することも可能である。
前者の課題に対しては同一光軸上の測定の必要がある。すなわち、拡散反射光を捉えるのでなく、鋼板4の正反射方向からの測定のみで正反射成分と拡散反射成分との両成分が捉えられることが望ましい。そして、後者の課題に対しては、重み関数I(ξ)をある程度自由度をもって設定できることが望ましい。
この線状拡散光源(直線偏光光源)の効果を説明するために、図18(a)、(b)に示すように、線状拡散光源14を鋼板4の表面に平行に配置し、光源に垂直な面内にあり、入射角が出射角と一致する方向である鋼板正反射方向から鋼板4上の一点を観察したときの反射特性を考える。
以上2つの場合を併せると、線状拡散光源14の長尺方向全体から照射される全ての入射光8のうち鋼板正反射方向からの観察で捉えられるのは、テンパ部6からの正反射光と非テンパ部7からの拡散反射光との和である。
一般に、鏡面状の金属表面での反射においては、電界の方向が入射面に平行な光(P偏光)あるいは入射面に直角な光(S偏光)においては、反射によっても偏光特性は保存される。すなわち、P偏光のまま、またはS偏光のまま出射する。また、P偏光成分とS偏光成分とを同時にもつ任意の偏光角を有した直線偏光が反射されると、P、S偏光の反射率比tanΨおよび位相差Δに応じた楕円偏光となって出射する。
図19(a)に示すように、線状拡散光源14の中央部から出射した光は鋼板4のテンパ部6で鏡面反射して鋼板正反射方向で観察される。これに関しては上記一般の鏡面状の金属表面での反射がそのまま成立する。
一方、図19(b)に示すように、線状拡散光源14の中央部以外の位置から出射した光は、鋼板4の非テンパ部7の結晶表面の傾いた微小面素13で鏡面反射して鋼板正反射方向で観察される。この場合、鋼板4の入射面に平行なP偏光の光を入射したとしても実際に反射する傾いた微小面素13に対して考えた場合には入射面は微小面素13に対して平行ではなく、P、S両偏光成分をもつ直線偏光であるため、楕円偏光となって出射する。線状拡散光源14からS偏光を入射した場合も同様である。
以下、P,S両偏光成分をもつ直線偏光を線状拡散光源14から鋼板4に入射する場合について詳細に検証する。
ここで、入射光8の入射方向を示す角度φと微小面素13の法線角度ξとの関係は、入射光8の鋼板4に対する入射角度θを用いて、簡単な幾何学的考察により、以下の式(2) 式で与えられる。
cosξ=[2・ cosθ・ cos2(φ/2)]
/[s in2 φ+4・{ cos2 θ・ cos4 (φ/4)
+sin2 θ・ sin4 (φ/2)}]1/2 …(2)
C点から出射された入射光8が、方位角(偏光角)αの偏光板15を通り、鋼板4上のO点にて鏡面反射された後の偏光状態EC は、偏光光学で一般に用いられるジョーンズ行列を用いて、
EC =T・Ein …(3)
と表される。
但し、Ein は偏光板15の方位角(偏光角)αの直線偏光ベクトルを示し、Tは鋼板4の反射特性行列を示す。
そして、直線偏光ベクトルEinおよび反射特性行列Tはそれぞれ以下の式(4)、(5)で与えられる。
Δ:P,S偏光の反射率の位相差
rS :S偏光の振幅反射率
同様に、線状拡散光源14上のA点から出射した入射光8が、法線角度ξの微小面素13で受光器16方向に反射された光の偏光状態EA は、入射面が偏光板15および受光カメラ16の検光子と直交しているとすれば以下の式(6)で与えられる。
EA =R(ξ)・T・R(−ξ)・Ein …(6)
但し、Rは回転行列であり、以下の式(7)で与えられる。
但し、ここで入射偏光の方位角(偏光角)αは45°、入射角θは60°、鋼板4の反射特性としてP,S偏光の振幅反射率比の逆正接Ψ=28゜、P,S偏光の反射率の位相差Δ=120゜とした。
従って、例えば受光カメラ16の前に検光子17を挿入し、その検光角βを設定することによって、どの法線角度ξの微小面素13からの反射光をより多く抽出するかを選択することができる。
このことを定量化するために、図21に示すように、式(3)で表される偏光状態EA の反射光に対して検光角βの検光子17を挿入した後における偏光状態E0 を求めると、以下の式(8)となる。
E0 =R(β)・A・R(−β)・EA
=R(β)・A・R(−β)・R(ξ)・T・R(−ξ)・Ein …(8)
但し、Aは検光子17を表す行列であり、以下の式(9)で示される。
前述したように、該当微小面素13の面積率をS(ξ)とすると、以下の式(10)が成立する。
S(ξ)・|E0 |2 =rS 2 EP 2 ・S(ξ)・I(ξ,β)
I(ξ,β)= tan2 Ψ・cos2 (ξ−α)・cos2 (ξ−β)
+2・tanΨ・cosΔ・cos(ξ−α)・sin(ξ−α)
×cos(ξ−β)・sin(ξ−β)
+sin2 (ξ−α)・sin2 (β−ξ)…(10)
上式におけるI(ξ,β)は、前述したように、法線角度ξの微小面素13からの反射光をどの程度抽出できるかを示す重み関数であり、光学系および被検体の偏光特性に依存する。そして、それに鋼板4の反射率rS 2 、入射光光量EP 2、面積率S(ξ)を乗じたものが検出される光強度になる。
従って、受光カメラ16が検出する光強度を求めるには、法線角度ξの微小面素13の面積率S(ξ)と重み関数I(ξ,β)とを考えれば良い。
ここで、重み関数I(ξ,β)について考える。法線角度ξの微小面素13からの寄与が最も大きくなるような検光子17の検光角β0 を選定しようとした場合、その候補は次の式(11)をβについて解くことによって与えられる。
図23の特性から、法線角度ξ=0°、すなわち正反射成分が最も支配的で、逆に法線角度ξ=±35°付近の微小面素13からの鏡面拡散反射光が最も抽出されないことが理解できる。
また、逆に法線角度ξ=±35°の反射光を最も良く抽出するような検光子17の検光角βを式(10)および式(11)より求めると、およそβ=40°である。
検光子17の検光角β=40°に対する微小面素13の法線角度ξと重み関数I(ξ,40)の関係を図24に示す。
また、検光子17の検光角β=−45°と40°の中間の特性となるβ=0°についても計算した重み関数I(ξ,0)も図24に示した。
まず、図14(b)、図15(b)のように鏡面反射成分のみに違いがある場合を考える。このような欠陥を検光角β=−45°の検光子17を通して受光したときの光強度は、図15(b)に示す面積率S(ξ)に図23で表される重み関数I(ξ,β)をかけて積分したものに相当するから、母材部12とヘゲ部11との反射光量の違いを検出することができる。
また、図14(c)、図15(c)のように拡散反射成分のみに違いがある場合には、逆に、検光角β=−45°の検光子17を通したのでは検出できず、検光角β=40°の度検光子17を通したときに検出できる。
その場合は、別の重み関数(例えばI(ξ,90))となるような検光角β(例えば0゜)の検光子17をもう一つ別に用意し、3番目の受光カメラ16で受光するようにすれば良い。
一般に、鋼板4の表面の母材部12とヘゲ部11の反射特性は図14(a)、(b)、(c)のいずれかであるので、ヘゲ部11の見落としをなくするためには、3つの異なる検光角βの検光子17を用い、対応する3つの法線角度ξの微小面素13からの反射光を抽出して受光するようにすることが必要である。
そして、本発明は前述したように、この−45°の検光子17を有する受光カメラ16(偏光カメラ)を正反射光路(60°)から所定角度(55°〜45°)ずらして配置して乱反射光を受光するようにしたものであり、このような検出原理によって微小な模様状欠陥のみならず微小な凹凸状欠陥も精度良く検出することができる。
この結果、本発明装置のみによって小さな凹凸欠陥や模様状欠陥を精度良く同時に検出できるため、従来のように2種類の装置を製造ライン方向にリニアに並べて段階的に検査するような方法に比較して、検査に要する手間やコストを省くことができる。
図1(a)は本発明に係る表面欠陥検査装置100の実施の一形態を示す側面図であり、図1(b)は同表面欠陥検査装置100を示す平面図、図2は同表面欠陥検査装置100の光学系のおおまかな配置関係を分かりやすく示す斜視図である。
図示するようにこの表面欠陥検査装置100は、亜鉛系めっき鋼板の品質検査ライン上に設置された例であり、図中矢印方向に搬送される帯状の鋼板21の搬送路の上方位置にその幅方向に沿って配設される線状拡散光源22と、この線状拡散光源22から鋼板21表面に照射された線状の反射光を受光する受光部27と、その受光部27からの信号を処理する信号処理部40とを主に備えた構成となっている。
この受光部27は、レンズの前に検光角βが40°、0°、−45°に設定された検光子28a,28b,28cを有する3台のリニアアレイカメラからなる受光カメラ29a(第1の受光カメラ),29b(第2の受光カメラ),29c(第3の受光カメラ)から構成されている。
ここで、受光部27を構成する受光カメラ29a,29b,29cとしては具体的には特に限定されるものではないが、前述したリニアアレイカメラの代りに2次元CCDカメラや、単一光検出素子とガルヴァノミラーやポリゴンミラーを組み合わせた走査型の光検出器などを使用することも可能である。
そして、このようにして各受光カメラ29a,29b,29cで受光された反射光26における鋼板21の幅方向の1ライン分の各画素ごとの光強度は、それぞれ光強度信号a,b,cに変換されて図3に示すような信号処理部40へ送信されるようになっている。
40°の検光子28aが組込まれた第1のカメラとしての受光カメラ29a、0°の検光子28bが組込まれた第2のカメラとしての受光カメラ29b、−45°検光子28cが組込まれた第3のカメラとしての受光カメラ29cから入力された各光強度信号a,b,cは、それぞれ平均値間引き部30a,30b,30cへ入力される。
このような間引き処理を行うことにより、鋼板21の搬送速度が変化しても信号処理における1ラインの鋼板移動方向の分解能を一定にすることができる。また、スキャン周期ごとの各光強度信号a〜cを平均しているので、信号処理における1ラインの鋼板移動方向の分解能が受光カメラ29a〜29cの鋼板移動方向の視野サイズよりも充分大きい場合にも、間を細かく測定した平均値を用いることができるので、見落としをなくすことができる。
特徴量抽出部33a〜33cは、一続きとなっている表面欠陥候補点を1つの表面欠陥候補領域と判定し、例えばスタートアドレス、エンドアドレスなどの位置特徴量や、ピーク値などの濃度特徴量などを算出する。
正反射性欠陥判定部34および拡散反射性欠陥判定部35では、各受光カメラ29a〜29cに対応する各特徴量抽出部33a〜33cにより算出された特徴量に基づいて、欠陥の種類、およびその程度を判定する。
また、この総合判定部36では、各特徴量抽出部33a〜33cからの位置特徴量を基に、各受光カメラ29a〜29cにおける視野ずれの補正も行う。このように、特徴量単位で受光カメラ29a〜29c相互間の視野ずれの補正を行うので、受光カメラ29a〜29c相互間の視野を画素単位で調整しておく必要はない。
先ず、前述した3つの受光カメラ29a(以後、これを「偏光40°カメラ」と称す)、受光カメラ29b(以後、これを「偏光0°カメラ」と称す)、受光カメラ29c(以後、これを「偏光−45°カメラ」と称す)のうち、いずれのカメラ位置を正反射光路上である正反射位置から乱反射位置にずらすかを決定するに際し、それぞれのカメラを実際に正反射位置から乱反射位置にずらしたときの感度余裕度(a.u.)を調べた。
図示するように、いずれのケース(鋼板種)においても、偏光40°カメラの感度余裕度(a.u.)が最も低く、偏光−45°カメラの感度余裕度(a.u.)が最も高い関係であることが分かった。
従って、本発明においては、正反射位置から乱反射位置に移動するカメラとして感度余裕度(a.u.)が最も高い偏光−45°カメラ(受光カメラ29c)を選定した。
図5および図6は、それぞれこの偏光−45°カメラを正反射角度である60°から乱反射角度である45°および50°に変化させたときの感度余裕度(a.u.)を示したものである。
また、特に図示していないが、この偏光−45°カメラの角度をさらに移動した場合、約55°を超えると急激にその感度余裕度(a.u.)が減少することが分かった。
また、このようにして正反射光および拡散反射光を受光するに際しては、各鋼板種ごとに異なる受光輝度(a.u.)をフィルターや光量の調節などによって平滑化することが望ましい。
従って、本発明装置100によって実際に欠陥検出を行うにあたっては、このように各鋼種ごとに異なる受光輝度を考慮し、その受光輝度ができるだけ平滑化するように、光源の光量を調節したり、透過率の異なるフィルターを選定して設置するなどしてから測定することが望ましい。
すなわち、GA1低粗度鋼およびGA2低粗度鋼の場合は、図7に示したようにいずれのカメラもその受光輝度(a.u.)が低いことから、その光源の光量値を標準値である「7」からそれぞれ「9.1」、「7.8」に上昇させると共に、各カメラごとに異なる受光輝度(a.u.)の最大値の差を小さくすべく、フィルターの透過率を、受光輝度(a.u.)が最も低い偏光40°カメラでは100%とするのに対し、他のカメラではそれぞれ44%、79%とする。
これによって、図9に示すように、受光輝度が鋼種やカメラの位置に拘わらず上昇し、かつその最大値が平滑化されるため、より高い精度で確実に鋼板表面の欠陥を識別することが可能となる。
4、21…鋼板
6…テンパ部
7…非テンパ部
8,23…入射光
9…正反射光
10…拡散反射光
11…ヘゲ部
12…母材部
14,22…線状拡散光源
15,25…偏光板
16…受光カメラ
17,28a,28b,28c…検光子
24…シリンドリカルレンズ
27…受光部
29a…第1の受光カメラ(偏光40°カメラ)
29b…第2の受光カメラ(偏光0°カメラ)
29c…第3の受光カメラ(偏光−45°カメラ)
40…信号処理部
Claims (5)
- 被検査面に直線偏光を入射する直線偏光光源と、前記被検査面からの反射光をそれぞれ所定の検光角で受光する第1〜第3の3つの受光カメラとを有する表面欠陥検査装置であって、
前記3つの受光カメラのうちの第1の受光カメラと第2の受光カメラを前記被検査面からの正反射光路上に配置すると共に、前記第3の受光カメラを正反射光路上から所定角度ずらして配置したことを特徴とする表面欠陥検査装置。 - 請求項1に記載の表面欠陥検査装置において、
前記正反射光路上に配置される第1の受光カメラと第2の受光カメラの検光角は、それぞれ前記正反射光方向に対して35°〜60°および−5°〜5°となっていると共に、
前記第3の受光カメラの検光角は、前記正反射光方向に対して−30°〜−50°になっていることを特徴とする表面欠陥検査装置。 - 請求項2に記載の表面欠陥検査装置において、
前記正反射光の反射角度は、前記被検査面に対して45°〜65°になっていると共に、前記第3の受光カメラは、前記被検査面に対して45°〜55°の角度で設置されていることを特徴とする表面欠陥検査装置。 - 直線偏光を被検査面に入射し、前記被検査面からの反射光を第1〜第3の3つの受光カメラを用いてそれぞれ所定の検光角で受光して前記被検査面上の欠陥を検査するようにした表面欠陥検査方法であって、
前記3つの受光カメラのうちの第1の受光カメラと第2の受光カメラを前記被検査面からの正反射光路上に配置すると共に、前記第3の受光カメラを正反射光路上から所定角度ずらして配置した後、前記直線偏光光源から被検査面に直線偏光を入射し、前記被検査面からの反射光をこれら第1〜第3の3つの受光カメラで同時に受光して前記被検査面上の欠陥を検査するようにしたことを特徴とする表面欠陥検査方法。 - 請求項4に記載の表面欠陥検査方法であって、
前記第1〜第3の受光カメラの前にそれぞれの受光量を調節するフィルターを設けると共に、当該フィルターの透過率と前記直線偏光光源とを前記被検査面の種別ごとに調節して前記被検査面の種別ごとに異なる前記第1〜第3の受光カメラの受光輝度を平滑化することを特徴とする表面欠陥検査方法。
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