JP2008266650A - 潜在性フェノ−ル樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規な潜在性フェノ−ル樹脂を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表され、且つ数平均分子量が2000〜100000である潜在性フェノール樹脂。
Figure 2008266650

一般式(1)中、Rは、炭素数1〜10のアシル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基のいずれかである。
【選択図】なし

Description

本発明は、潜在性フェノ−ル樹脂に関する。
一般にフェノ−ル樹脂は、フェノ−ル化合物とアルデヒド化合物を酸性又は塩基性触媒により反応させて得られる。最も一般的な例は、フェノ−ルとホルムアルデヒドから得られるフェノ−ル樹脂である。この場合、酸性触媒を使用して合成した樹脂は、フェノ−ルが主にメチレン鎖によりつながった熱可塑性の樹脂が得られ、ノボラック樹脂と言われている。また、塩基性触媒を使用して合成した樹脂は、主にメチレン鎖により高分子化していくが、末端にヒドロキシメチル基を有する樹脂が得られ、レゾ−ル樹脂といわれている。このレゾ−ル樹脂は、加熱により硬化反応を起こし、ゲル化して不溶不融となる。
ノボラック樹脂の高機能化を目的に、様々な方法が検討されている。最も一般的に行われている方法は、ノボラック樹脂中にあるフェノール性水酸基に様々な官能基を導入して修飾する方法である。たとえば、ノボラック樹脂にイサト酸無水物を樹脂の溶融温度で反応させることにより、フェノール性水酸基をアントラニル化する検討が行われている(例えば、特許文献1参照。)。また、ノボラック樹脂とハロゲン化アリルをアセトン溶媒中で炭酸カリウムの存在下で反応することにより、フェノール性水酸基をアリルエーテル化する検討も行われている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、有機カルボン酸無水物をノボラック樹脂に反応させることにより、有機カルボン酸変性ノボラック樹脂の合成検討も行われている(例えば、特許文献3、4参照。)。
しかしながら、いずれの場合においても、定量的にフェノール性水酸基を修飾するのは非常に困難であり、ノボラック樹脂の粘度や立体構造上の問題などから、修飾できる分子量領域や変性率に制限がある。特に、高分子量タイプのノボラック樹脂への修飾は非常に困難である。また、完全に修飾できないことから、次ステップの反応にも支障をきたすこととなり、目的の構造の樹脂を得るには非常な困難が伴い、実質不可能となるケ−スが多い。
特開2001−288252号公報 特開2001−11161号公報 特開2000−53740号公報 特開2000−53748号公報
本発明は、新規な潜在性フェノ−ル樹脂を提供するものである。また、従来のフェノ−ル樹脂に修飾する方法で制限のあった分子量や変性量等の反応阻害要因についても解決した樹脂を得ることを可能にする。
本発明は、以下の(a)〜()手段により課題を解決するものである。
(a)一般式(1)で表され、且つ数平均分子量が2000〜100000である潜在性フェノール樹脂。
Figure 2008266650

一般式(1)中、Rは、炭素数1〜10のアシル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基のいずれか、Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、芳香族炭化水素基、アルコキシル基のいずれか、Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、芳香族炭化水素基、炭素数3〜12のシクロアルキル基のいずれか、Rは、水素、炭素数1〜11のヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルケニル基、ヒドロキシ芳香族炭化水素基又は、炭素数4〜13のヒドロキシシクロアルキル基のいずれかである。lは、1〜3の整数、mは、1〜3の整数、nは、0〜20000の整数である。一分子内に存在するR同士、R同士、R同士及びR同士は、それぞれ同じであっても異なっていても良い。
(b)前記一般式(1)中のRが、水素又はヒドロキシメチル基であり、その比率(水素/ヒドロキシメチル基)が5/95〜95/5である上記(a)に記載の潜在性フェノ−ル樹脂。
(c)前記一般式(1)中のR が、2種以上の脱離又は転位反応性が異なる置換基であることを特徴とする、上記(a)又は(b)に記載の潜在性フェノール樹脂。
本発明は、一般式(1)で示される潜在性フェノ−ル樹脂を提供するものである。本発明の樹脂は、脱官能基反応によりフェノ−ル樹脂へと誘導することが可能であり、新しいフェノ−ル樹脂前駆体及びフェノ−ル樹脂合成方法として期待される。また、潜在性フェノ−ル樹脂として機能することを利用して、様々な用途への利用が期待される。例えば、エポキシ樹脂組成物の硬化剤として添加した場合には、潜在性硬化剤としての活用が可能となり、エポキシ樹脂組成物の保存安定性が向上するなどの利点が期待される。
本発明は、潜在性フェノ−ル樹脂に関するものである。
本発明において潜在性フェノ−ル樹脂とは、フェノール樹脂の水酸基を何らかの官能基で修飾した構造をもつフェノール樹脂誘導体であり、脱離や転位等の脱官能基反応により、修飾した水酸基の一部又は全部から水酸基を再生させてフェノール樹脂へと誘導することができる。
まず、本発明の潜在性フェノ−ル樹脂について説明する。本発明の樹脂は、一般式(1)で表され、且つ数平均分子量が2000〜100000である潜在性フェノール樹脂である。
Figure 2008266650

一般式(1)中、Rは、炭素数1〜10のアシル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基のいずれか、Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、芳香族炭化水素基、アルコキシル基のいずれか、Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、芳香族炭化水素基、炭素数3〜12のシクロアルキル基のいずれか、Rは、水素、炭素数1〜11のヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルケニル基、ヒドロキシ芳香族炭化水素基又は、炭素数4〜13のヒドロキシシクロアルキル基のいずれかである。lは、1〜3の整数、mは、1〜3の整数、nは、0〜20000の整数である。一分子内に存在するR同士、R同士、R同士及びR同士は、それぞれ同じであっても異なっていても良い。
本発明の潜在性フェノール樹脂の分子量は、数平均分子量2000〜100000であり、好ましくは2000〜80000である。樹脂の数平均分子量が前記下限値未満であると融点が低いことなどから、ハンドリングに支障をきたす場合があり、前記上限値を超えると溶融・溶媒への溶解性低下などにより利用方法が制限される場合がある。
分子量は、樹脂を合成する際の一般式(2)で示される化合物とアルデヒド類との反応比率、触媒の量及び種類、反応温度などを調整することにより制御することができる。
なお、前記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によりポリスチレン標準物質を用いて作成した検量線をもとに計算されたものである。GPC測定はテトラヒドロフランを溶出溶媒として使用し、流量:1.0ml/分、カラム温度:室温の条件で実施した。測定装置には、ポンプ:島津製作所社製LC−6A又はLC−10AD、検出器:東ソー社製UV−8011(波長270nm)、分析用カラム:TSKGEL−GMHHR/2本を使用した。
一般式(1)中、Rは、上記の範囲であれば特に限定されないが、原料の入手の容易さ、脱離・転位反応の容易さ、樹脂合成時の安定性などの観点から、アセチル基、フェニルカルボニル基(安息香酸エステル残基)などが好ましく、特に好ましくはアセチル基とフェニルカルボニル基(安息香酸エステル残基)である。
は、上記の範囲であれば特に限定されないが、原料の入手の容易さなどの観点から水素、メチル基、tert−ブチル基であることが好ましい。また、mは1〜3であることが好ましい。
は、上記の範囲であれば特に限定されないが、原料の入手の容易さや反応性から、水素、メチル基、プロピル基、フェニル基、ヒドロキシフェニル基が好ましく、特に好ましくは水素、メチル基である。
は、上記の範囲であれば特に限定されないが、原料の入手の容易さや反応性などの観点から、水素、ヒドロキシアルキル基が好ましく、特に好ましくは水素又はヒドロキシメチル基である。
が水素又はヒドロキシメチル基である場合、その比率(水素/ヒドロキシメチル基)としては特に限定されないが、5/95〜95/5であることが好ましく、さらに好ましくは、10/90〜90/10である。これにより、樹脂を利用する場合には、樹脂と接着する種々の相手材との密着性が向上し、樹脂を化学修飾する場合には、その他の官能基を容易に付与することが可能となる。
また、前記一般式(1)中の複数あるR に、2種以上の脱離又は転位反応性が異なる置換基が含まれていることが、当該脱離又は転位反応により修飾率を広い範囲にわたり容易に調節することが可能であり、好ましい。
続いて、本発明の潜在性フェノール樹脂の製造方法について説明する。
(A)原料
使用される原料は、一般式(2)で示される化合物と、アルデヒド類としてパラホルムアルデヒド及び/又は一般式(3)で示される化合物、及び、酸触媒で、必要に応じて溶媒を使用することが可能である。
Figure 2008266650

一般式(2)中、Rは、炭素数1〜10のアシル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基のいずれか、Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、芳香族炭化水素基、アルコキシル基のいずれかである。mは、1〜3の整数である。一分子内に存在するR同士は、それぞれ同じであっても異なっていても良い。
Figure 2008266650
一般式(3)中、Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、芳香族炭化水素基、炭素数3〜12のシクロアルキル基のいずれかである。
一般式(2)で示される化合物は、上記範囲内のものであれば使用可能であるが、具体的には、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸フェニル、シクロヘキサンカルボン酸フェニルなどのフェニルエステル化合物、tert−ブトキシカルボニルオキシフェニルなどのフェニルカーボネート化合物などを使用することができ、2種以上の化合物を用いてもよい。
これらの中でも、入手の容易さ、反応時の安定性などの観点から、特に好ましくは、酢酸フェニル、安息香酸フェニルである。
アルデヒド類としては、パラホルムアルデヒド又は一般式(3)で示される化合物の中から1種又は2種以上を用いることができる。一般式(3)で示される化合物は、上記範囲内のものであれば使用可能であるが、具体的には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒドなどのアルキルアルデヒド類、クロトンアルデヒドなどのアルケニルアルデヒド類、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒドなどの芳香族アルデヒド類などを使用することができる。
上記アルデヒド類としては、入手の容易さ、反応性などの観点から、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒドが好ましく、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドが特に好ましい。
酸触媒としては、酸性を示す化合物であれば特に限定されずに使用可能であるが、具体的には、硫酸、塩酸、硝酸、燐酸などの無機酸、蓚酸、酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの有機スルホン酸などを使用することができ、2種以上の化合物を用いてもよい。なかでも触媒活性の観点から、硫酸、塩酸が特に好ましい。
本発明の潜在性フェノール樹脂の合成反応においては、必要に応じて溶媒を使用することができる。溶媒の種類は特に限定されないが、一般式(2)の化合物、アルデヒド類及び得られる一般式(1)の樹脂を溶解するものであれば使用可能である。
例えば、酢酸などの有機カルボン酸、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのセロソルブ類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどの酢酸セロソルブ類、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのカルビトール類、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどの酢酸カルビトール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル類、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、メタノール、エタノールなどのアルコール類、トルエンなどの芳香族炭化水素類、塩化メチレンなどのハロゲン系溶媒を使用することができる。溶解性、入手の容易さなどの観点から、特に好ましくは酢酸、エチレングリコールモノエチルエーテルである。
なお、酢酸を反応溶媒の少なくとも一部として用いる場合には、触媒としても機能する。
(B)製造工程
続いて、本発明を製造工程に従って説明する。
一般式(2)で示される化合物とアルデヒド類とを冷却装置及び攪拌装置を備えたガラスフラスコなどの反応器に入れ、その後、酸触媒を添加して攪拌・反応を行う。
一般式(2)で示される化合物とアルデヒド類との仕込みモル比は、特に限定されないが、[一般式(2)で示される化合物/アルデヒド類]=1/0.1〜1/10とすることが好ましく、特に好ましくは、1/0.2〜1/8である。この比率が、上記の上限値を超えて大きくなりすぎると、樹脂の分子量が充分に高分子量化しないことがある。また、この比が上記の上限値を下回り小さくなりすぎると、分子量が大きくなりすぎる傾向があり、取り扱いが困難になったり、反応条件によってはゲル化して不溶不融になったりすることがある。
なお、アルデヒド類としてパラホルムアルデヒドを用いる場合は、反応時にパラホルムアルデヒドが反応系に溶解又は熱により解重合してホルムアルデヒドを生じるので、ここで生じたホルムアルデヒドのモル数を上記アルデヒド類のモル数として、上記モル比を算出する。
添加する酸触媒の量は、使用する酸の種類や活性により異なるが、一般式(2)で示される化合物に対して10〜500モル%が好ましく、適宜設定できる。経済的な面、反応終了後の除去操作の観点から、特に好ましくは30〜300モル%である。
反応は、室温から150℃程度で実施するのが好ましく、特に好ましくは、50〜100℃である。温度が高くなりすぎると原料化合物が冷却装置でトラップできなくなり、場合によって脱官能基反応など様々な副反応を起こす可能性がある。また温度が低すぎる場合は、反応の進行が非常に遅く経済的ではなく、場合によっては反応が進行しない。
反応時間は特に限定されないが、反応温度や触媒種及び量などの条件により適宜設定できる。経済的な観点から、1〜20時間程度で完了するのが好ましく、特に好ましくは2〜10時間である。
反応時に仕込んだモノマー類を100%反応させるのは困難であるが、残存モノマーは再沈殿、透析などの精製操作により除去可能である。具体的には、反応終了後に生成した樹脂を多量の水などの樹脂の貧溶媒に添加する方法が一般的で、水などの貧溶媒の量やその他の条件は適宜設定することができる。触媒種は、貧溶媒に投入した後の液を中和し、その後樹脂を水洗することにより除去が可能である。中和には、塩基性化合物であれば特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどの無機アルカリ、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジンなどの有機アルカリなどを使用できる。水洗水の量や回数は特に限定されないが、要求されるレベルによって設定することができる。
沈殿した樹脂は、減圧乾燥装置などを用いて乾燥することにより貧溶媒やほかの不純物が取り除かれ、目的の潜在性フェノール樹脂を得ることができる。
出来上がった樹脂の構造確認は、NMR、IRを使用して実施した。NMR測定は、日本電子社製JNM−EX270を使用し、溶媒に重クロロホルム又は重アセトンを使用した。内部標準にはテトラメチルシランを使用した。IR測定は、日本分光社製FT−IR460plusフーリエ変換赤外分光計又はA−202分光光度計を用い、KBr錠剤法で測定した。
次に、本発明のフェノール樹脂の製造方法について説明する。
上記で得られた潜在性フェノール樹脂は、容易にフェノール樹脂へ導くことが可能である。その方法は官能基Rにより異なるが、例えば、転位反応又は脱離反応を利用することにより潜在性フェノール樹脂の官能基Rの少なくとも一部を脱離させ、フェノール樹脂へと誘導することができる。
一例をあげると、一般式(2)で示される化合物として酢酸フェニル及び/又は安息香酸フェニルを使用した場合は、アルカリ水溶液による加水分解によりアセチル基又はベンゾイル基が脱離してフェノール樹脂へと導くことができる。
潜在性フェノ−ル樹脂を合成後にフェノール性水酸基を再生させる本発明の方法によれば、フェノール樹脂の基本骨格を合成後にフェノール性水酸基を修飾する従来の方法と比べて、フェノ−ル樹脂の分子量、立体構造、粘度等の反応阻害要因による影響が少ないため、様々なフェノ−ル樹脂を容易に、かつ再現性よく誘導することが可能であり、修飾率も広い範囲にわたり容易に調節することが可能である。従って、高分子量、高粘度或いは嵩高い化学構造をもつ、高修飾率のフェノ−ル樹脂を安定な品質で製造することもできる。
目標とするフェノ−ル樹脂のフェノール性水酸基部分の修飾率は、潜在性フェノール樹脂のR部分を脱離又は転位させる際に、その反応条件を変えることによって調節できる。
また、反応性の異なる2種以上のR部分をもつ潜在性フェノール樹脂から、一部のRを選択的に脱離又は転位させることにより、修飾率を調節してもよい。例えば、一般式(2)で示される化合物として、脱離又は転位反応の反応性が異なる2種以上の化合物を用いる場合には、最終的にフェノール性水酸基部分の修飾基として残したい官能基をRとして有する化合物(2a)と、それよりも脱官能基反応の反応性が高い官能基(すなわち合成過程の一時的な保護基)をRとして有する化合物(2b)とを用い、当該化合物(2a)と(2b)の共重合比を調節し、潜在性フェノール樹脂を合成した後で、化合物(2b)由来の共重合単位のみから選択的にRを脱離又は転位させることによって、所望の修飾基と修飾率をもつフェノール樹脂を誘導することができる。
さらに、修飾基として残したい官能基をRとして有する化合物(2a)を2種以上用いる場合には、フェノール性水酸基の部分が2種以上の官能基によって修飾され、かつ、修飾率が調節されたフェノール樹脂を誘導することができる。
以下本発明を実施例、比較例および応用例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
1.潜在性フェノール樹脂の合成
(実施例1)
攪拌機、冷却装置を設置した50mlの三ツ口フラスコに、酢酸20ml、安息香酸フェニル3.96g(0.02mol)、パラホルムアルデヒド0.63g(0.02mol)を入れ、攪拌しながら氷浴により内温5℃まで冷却した。その後、触媒として98%濃硫酸1.5mlを加え、油浴により80℃に加熱し,3時間反応させた。反応終了後、フラスコ内の反応溶液を1Lのメタノ−ル中にゆっくり添加・攪拌することにより再沈殿させ、減圧乾燥機により60℃、24時間乾燥して目的の潜在性フェノール樹脂を2.52g(収率60%)得た。得られた樹脂の構造は、NMR、IR及びGPCにより確認し、数平均分子量は2800、Mw/Mnは、8.6であった。
(実施例2)
安息香酸フェニルの代わりに、酢酸フェニル2.72g(0.02mol)を使用し、室温で反応した以外は実施例1と同様に行ない、目的の潜在性フェノール樹脂を1.95g(収率66%)得た。得られた樹脂の数平均分子量は2200、Mw/Mnは、2.1であった。
(実施例3)(旧実施例4)
安息香酸フェニルの代わりに、シクロヘキサンカルボン酸フェニル4.38g(0.02mol)とした以外は実施例1と同様に行い、目的の潜在性フェノ−ル樹脂を4.00g(収率85%)得た。得られた樹脂の数平均分子量は3500、Mw/Mnは、6.5であった。
(比較例1)(旧実施例3)
パラホルムアルデヒドを1.26g(0.04mol)とした以外は実施例1と同様に行い、目的の潜在性フェノ−ル樹脂を3.40g(収率81%)得た。得られた樹脂の数平均分子量は950、Mw/Mnは、1.5であった。
(比較例2)(旧実施例5)
安息香酸フェニルの代わりにアニソール2.19g(0.02mol)とした以外は、実施例1と同様に行い、目的の潜在性フェノ−ル樹脂を2.24g(収率93%)得た。得られた樹脂の数平均分子量は1100、Mw/Mnは、1.6であった。
(比較例3)(旧実施例6)
パラホルムアルデヒドを1.26g(0.04mol)とした以外は比較例2(旧実施例5)と同様に行い、目的の潜在性フェノ−ル樹脂を2.30g(収率96%)得た。得られた樹脂の数平均分子量は、2000、Mw/Mnは、3.7であった。
(比較例4)(旧実施例7)
溶媒を酢酸の代わりに、クロロホルム15mL、酢酸15mLの混合溶媒とした以外は、比較例3(旧実施例6)と同様に行い、目的の潜在性フェノ−ル樹脂を2.40g(収率100%)得た。得られた樹脂の数平均分子量は4000、Mw/Mnは、19であった。
2.フェノール樹脂の合成
(応用例1)
実施例1で得られた樹脂2.0gをメタノ−ル10g中に溶解し、10%水酸化ナトリウム10gを添加後、50℃で10時間攪拌・反応した。反応終了後、300mlの水中に投入し、液全体を酢酸により中和した。沈殿した樹脂はろ過により分別し、イオン交換水により3回洗浄を実施した。その後、50℃で6時間減圧乾燥し、目的のフェノ−ル樹脂を1.2g得た。得られた樹脂の数平均分子量は1300、Mw/Mnは、7.2で、構造は、NMR、IRにより確認した。フェノ−ル性水酸基の含有量は無水酢酸−ピリジン法により測定を実施し、水酸基当量は104であった。
なお、実施例における潜在性フェノール樹脂収率の算出は、下記式により行った。
Figure 2008266650

a:得られた潜在性フェノール樹脂の構造を、「フェノール誘導体核+メチレン」の繰り返し単位からなるとして求めた式量(−)
b:潜在性フェノール樹脂の収量(g)
c:原料フェノール誘導体の分子量(−)
d:原料フェノール類とアルデヒド類の仕込み量(g)
実施例1で得られた潜在性フェノ−ル樹脂のH−NMR測定チャ−ト 実施例1で得られた潜在性フェノ−ル樹脂の13C−NMR測定チャ−ト 実施例1で得られた潜在性フェノ−ル樹脂のIR測定チャ−ト 実施例1で得られた潜在性フェノ−ル樹脂のGPC測定チャ−ト

Claims (3)

  1. 一般式(1)で表され、且つ数平均分子量が2000〜100000である潜在性フェノール樹脂。
    Figure 2008266650
    一般式(1)中、Rは、炭素数1〜10のアシル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基のいずれか、Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、芳香族炭化水素基、アルコキシル基のいずれか、Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、芳香族炭化水素基、炭素数3〜12のシクロアルキル基のいずれか、Rは、水素、炭素数1〜11のヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルケニル基、ヒドロキシ芳香族炭化水素基又は、炭素数4〜13のヒドロキシシクロアルキル基のいずれかである。lは、1〜3の整数、mは、1〜3の整数、nは、0〜20000の整数である。一分子内に存在するR同士、R同士、R同士及びR同士は、それぞれ同じであっても異なっていても良い。
  2. 前記一般式(1)中のRが、水素又はヒドロキシメチル基であり、その比率(水素/ヒドロキシメチル基)が5/95〜95/5である請求項1に記載の潜在性フェノ−ル樹脂。
  3. 前記一般式(1)中のR が、2種以上の脱離又は転位反応性が異なる置換基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の潜在性フェノール樹脂。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH01277834A (ja) * 1988-04-30 1989-11-08 Oki Electric Ind Co Ltd 感光性組成物
JP2000053748A (ja) * 1998-08-06 2000-02-22 Mitsui Chemicals Inc エポキシ樹脂組成物およびその用途

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