JP2008266297A - チアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物、その製造方法およびその利用 - Google Patents

チアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物、その製造方法およびその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】チアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物を提供すること。
【解決手段】式(1)
Figure 2008266297

(式中、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子または置換されていてもよいアルキル基またはアリール基を表す。また、RとRとが互いに結合して、それらの結合炭素原子とともに環構造を形成していてもよい。Rは置換されていてもよいアルキレン基を表し、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Yは1価のアニオンを表す。nは0、1または2である。)
で示されるチアゾリウム塩と、粒子状酸化物とを作用させて得られるチアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物。
【選択図】なし

Description

本発明は、チアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物、その製造方法およびその利用に関する。
チアゾリウム塩は、例えばベンゾイン縮合等のアルデヒド化合物のカップリング反応に、触媒として用いられることが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。しかしながら、チアゾリウム塩は回収が困難であるため、触媒として工業的に使用するためには、チアゾリウム塩を回収リサイクルが可能な形態とすることが求められていた。
このような回収リサイクルが可能な形態としては、例えば触媒を無機固体に固定化する形態が知られており、かかる固定化方法としては、例えばイミダゾリウム塩を固定化する方法(例えば、特許文献1参照。)が知られている。しかしながら、チアゾリウム塩を固定化する方法については知られていなかった。
特表2007−501815号公報 J.Org.Chem.,53,4433(1988)
そこで本発明者は、チアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物を開発すべく鋭意検討したところ、アルコキシシラン官能基を有するチアゾリウム塩と粒子状酸化物とを反応させれば、チアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、式(1)
Figure 2008266297
(式中、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子または置換されていてもよいアルキル基またはアリール基を表す。また、RとRとが互いに結合して、それらの結合炭素原子とともに環構造を形成していてもよい。Rは置換されていてもよいアルキレン基を表し、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Yは1価のアニオンを表す。nは0、1または2である。)
で示されるチアゾリウム塩と、粒子状酸化物とを作用させて得られるチアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物を提供するものである。
本発明によれば、アルデヒド化合物のカップリング反応触媒等として有用なチアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物を得ることができる。かかるチアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物は、回収リサイクルできる可能性があり、工業的な取り扱いや環境の面において有利である。
まず、上記式(1)で示されるチアゾリウム塩(以下、チアゾリウム塩(1)と略記する。)について説明する。
式(1)においてRおよびRで示されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、デシル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。これらのアルキル基上に置換していてもよい基としては、フェニル基、ナフチル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等の置換されていてもよいアリール基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、3−フェノキシベンジルオキシ基等の置換されていてもよいアルコキシ基;フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、3−フェノキシフェノキシ基等の置換されていてもよいアリールオキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ベンジルカルボニル基、4−メチルベンジルカルボニル基、4−メトキシベンジルカルボニル基等の置換されていてもよいアルキルカルボニル基;ベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基等の置換されていてもよいアリールカルボニル基;カルボキシ基;フッ素原子;等が例示される。かかる基で置換されたアルキル基の具体例としては、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、ベンジル基、4−フルオロベンジル基、4−メチルベンジル基、フェノキシメチル基、2−オキソプロピル基、2−オキソブチル基、フェナシル基、2−カルボキシエチル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。これらのアリール基上に置換していてもよい基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基等の置換されていてもよいアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の置換されていてもよいアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;等が例示される。かかる基で置換されたアリール基の具体例としては、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等が挙げられる。
とRとが互いに結合して、それらの結合炭素原子とともに形成してなる式(4)
Figure 2008266297
で示される環構造の具体例としては、シクロペンテノチアゾール、シクロヘキセノチアゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール等が挙げられる。
で示されるアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基等の直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜20のアルキレン基が挙げられる。これらのアルキレン基上に置換していてもよい基としては、フェニル基、ナフチル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等の置換されていてもよいアリール基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、3−フェノキシベンジルオキシ基等の置換されていてもよいアルコキシ基;フッ素原子;等が例示される。かかる置換基で置換されたアルキレン基の具体例としては、1,2−ジフルオロエチレン基、2,2−ジクロロプロピレン基、2−エトキシプロピレン基等が挙げられる。
およびRで示される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
は1価のアニオンを表し、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のフッ化物イオンを除くハロゲン化物イオン類;テトラフルオロホウ酸アニオン等のホウ酸イオン類;ヘキサフルオロリン酸アニオン等のリン酸イオン類;ヘキサフルオロアンチモン酸アニオン等のアンチモン酸イオン類;トリフルオロメタンスルホン酸アニオン等のスルホン酸イオン類;ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン等のアミドイオン類;等が挙げられる。
かかるチアゾリウム塩(1)としては、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]チアゾリウム クロライド、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]チアゾリウム ブロマイド、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]チアゾリウム ヨーダイド、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]チアゾリウム テトラフルオロボレート、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]チアゾリウム トリフルオロメタンスルホネート、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]チアゾリウム ヘキサフルオロフォスフェート、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]チアゾリウム ヘキサフルオロアンチモネート、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]チアゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−4−メチルチアゾリウム クロライド、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−4−メチルチアゾリウム ブロマイド、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−4−メチルチアゾリウム ヨーダイド、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−4−メチルチアゾリウム テトラフルオロボレート、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−4−メチルチアゾリウム トリフルオロメタンスルホネート、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−4−メチルチアゾリウム ヘキサフルオロフォスフェート、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−4−メチルチアゾリウム ヘキサフルオロアンチモネート、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−4−メチルチアゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、3−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4−メチルチアゾリウム クロライド、3−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4−メチルチアゾリウム ブロマイド、3−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4−メチルチアゾリウム ヨーダイド、3−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4−メチルチアゾリウム テトラフルオロボレート、3−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4−メチルチアゾリウム トリフルオロメタンスルホネート、3−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4−メチルチアゾリウム ヘキサフルオロフォスフェート、3−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4−メチルチアゾリウム ヘキサフルオロアンチモネート、3−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4−メチルチアゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ベンゾチアゾリウム クロライド、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ベンゾチアゾリウム ブロマイド、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ベンゾチアゾリウム ヨーダイド、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ベンゾチアゾリウム テトラフルオロボレート、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ベンゾチアゾリウム トリフルオロメタンスルホネート、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ベンゾチアゾリウム ヘキサフルオロフォスフェート、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ベンゾチアゾリウム ヘキサフルオロアンチモネート、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ベンゾチアゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、3−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]チアゾリウム クロライド等が挙げられる。これらは、例えば水や極性溶媒等と錯体を形成していてもよい。
これらチアゾリウム塩(1)は新規化合物であり、例えば式(2)
Figure 2008266297
(式中、RおよびRはそれぞれ上記と同じ意味を表す。)
で示されるチアゾール化合物(以下、チアゾール(2)と略記する。)と、式(3)
Figure 2008266297
(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表す。Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。)
で示されるハロゲン置換アルコキシシラン化合物(以下、ハロゲン置換アルコキシシラン(3)と略記する。)とを反応させる工程を含む製造方法により得られる。
チアゾール(2)としては、例えばチアゾール、4−メチルチアゾール、5−メチルチアゾール、4−エチルチアゾール、4,5−ジメチルチアゾール、4−クロロチアゾール、ベンゾチアゾール、5−メチルベンゾチアゾール等が挙げられる。これらは、市販のものを用いてもよいし、例えばJ.Am.Chem.Soc.,67,395(1945)等に記載の公知の方法により製造したものを用いてもよい。
ハロゲン置換アルコキシシラン(3)としては、例えば3−クロロブロピルトリメトキシシラン、3−ブロモブロピルトリメトキシシラン、3−ヨードブロピルトリメトキシシラン、3−クロロブロピルトリエトキシシラン、3−ブロモブロピルトリエトキシシラン、3−ヨードブロピルトリエトキシシラン、4−ブロモブチルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらは、市販のものを用いてもよいし、例えば米国特許第3780127号公報等に記載の公知の方法により製造したものを用いてもよい。
チアゾール(2)1モルに対し、ハロゲン置換アルコキシシラン(3)を1モル以上用いれば、通常、本発明の目的を達成できる。ハロゲン置換アルコキシシラン(3)の使用量の上限は特に無く、溶媒を兼ねて過剰量用いてもよい。
チアゾール(2)とハロゲン置換アルコキシシラン(3)の反応は、溶媒の存在下において実施することもできるし、溶媒を用いることなく実施することもできる。溶媒としては、例えば、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジグライム等のエーテル溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;等が挙げられる。溶媒を使用する場合、その使用量は特に制限されないが、容積効率等を考慮すると、実用的には、チアゾール(2)に対して、通常100重量倍以下である。
反応温度は、通常−20〜200℃の範囲である。また、常圧条件下で反応を実施してもよいし、加圧条件下で反応を実施してもよい。反応の進行は、例えばガスクロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィ、NMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。
反応試剤の混合順は、特に制限されない。必要により溶媒の存在下に、チアゾール(2)とハロゲン置換アルコキシシラン(3)の混合物を反応温度で処理すればよい。
チアゾール(2)とハロゲン置換アルコキシシラン(3)とを反応させることにより、通常、式(1’)
Figure 2008266297
(式中、R〜Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表す。Xは塩化物イオン、臭化物イオンまたはヨウ化物イオンを表す。)
で示されるチアゾリウム塩(以下、チアゾリウム塩(1’)と略記する。)が得られる。
反応終了後、得られる反応混合物をそのまま後述するアニオン交換や固定化に供してもよいし、該反応混合物に、例えば晶析、濃縮、分液等の処理を施すことによりチアゾリウム塩(1’)を単離して後述するアニオン交換や固定化に供してもよい。
所望のチアゾリウム塩(1)においてYで示される1価のアニオンが、チアゾリウム塩(1’)におけるXと同一である場合は、後述するアニオン交換を行うことなく、チアゾリウム塩(1’)をチアゾリウム塩(1)として、後述する固定化に用いることができる。
本発明において、アニオン交換とは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンおよび銀イオンからなる群から選ばれる金属カチオンと1価のアニオンからなる金属塩(以下、単に金属塩と略記することもある。)を用いて、チアゾリウム塩(1’)からチアゾリウム塩(1)を得る処理をいう。
上記金属塩における1価のアニオンは、所望のチアゾリウム塩(1)においてYで示される1価のアニオンである。
金属塩の具体例としては、リチウム テトラフルオロボレート、リチウム トリフルオロメタンスルホネート、リチウム ヘキサフルオロフォスフェート、リチウム ヘキサフルオロアンチモネート、リチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、ナトリウム テトラフルオロボレート、ナトリウム トリフルオロメタンスルホネート、ナトリウム ヘキサフルオロフォスフェート、ナトリウム ヘキサフルオロアンチモネート、ナトリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、カリウム テトラフルオロボレート、カリウム トリフルオロメタンスルホネート、カリウム ヘキサフルオロフォスフェート、カリウム ヘキサフルオロアンチモネート、カリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、銀 テトラフルオロボレート、銀 トリフルオロメタンスルホネート、銀 ヘキサフルオロフォスフェート、銀 ヘキサフルオロアンチモネート、銀 ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム等が挙げられる。
金属塩の使用量は、チアゾリウム塩(1’)に対して、通常1〜2モル倍の範囲である。
アニオン交換は、通常、溶媒の存在下に実施される。かかる溶媒としては、例えば、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル溶媒;水;が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。ニトリル溶媒、ケトン溶媒およびエステル溶媒が好ましく、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチルがより好ましい。溶媒の使用量は特に制限されないが、容積効率等を考慮すると、実用的には、チアゾリウム塩(1’)に対して100重量倍以下である。
アニオン交換時の温度は、通常−20〜200℃の範囲である。好ましくは、0〜100℃の範囲である。
アニオン交換は、必要により溶媒の存在下で、チアゾリウム塩(1’)と金属塩とを混合することにより実施され、それらの混合順序は特に限定されない。
常圧条件下でアニオン交換を実施してもよいし、加圧条件下でアニオン交換を実施してもよい。また、アニオン交換の進行は、例えばイオンクロマトグラフィ、NMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。
アニオン交換後、得られる混合物をそのまま後述する固定化に供してもよいし、該混合物に、例えばろ過、デカンテーション、濃縮、分液等の処理を施すことによりチアゾリウム塩(1)を単離して後述する固定化に供してもよい。単離されたチアゾリウム塩(1)は、例えば晶析、カラムクロマトグラフィ等の手段によりさらに精製されてもよい。
次に、チアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物の製造方法について説明する。本発明において固定化とは、粒子状酸化物上にチアゾリウム塩(1)を、物理的または化学的に結合させる処理をいう。物理的に結合させる方法とは、例えば吸着等が挙げられ、化学的に結合させる方法とは、例えば、チアゾリウム塩(1)上のシロキシ基と粒子状酸化物表面の水酸基とを反応させ、ROHを脱離させることによりチアゾリウム塩(1)と粒子状酸化物とを結合させる方法が挙げられる。
粒子状酸化物としては、水酸基を表面上に有する粒子状の金属酸化物であれば、特に限定されない。通常、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物およびこれらの複合酸化物が挙げられる。これらは、天然のものであっても、市販のものであっても、任意の方法により調製したものであってもよい。
具体的な粒子状酸化物としては、例えば、シリカゲル、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、MCM、HMS等のケイ素酸化物;酸化ホウ素、ホウ酸等のホウ素酸化物;α−アルミナ、γ−アルミナ等のアルミニウム酸化物;酸化チタン、オルソチタン酸、チタニアゲル等のチタン酸化物;酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム等のジルコニウム酸化物;アルミノシリケート、ジルコン等の複合酸化物;等が挙げられる。ケイ素酸化物が好ましく、なかでもシリカゲルならびにMCMおよびHMS等のメソ細孔性シリカがより好ましい。
粒子状酸化物の使用量は特に限定されず、通常、チアゾリウム塩(1)に対して0.1〜10重量倍の範囲で用いれば、本発明の目的を達成できる。
固定化は、通常、有機溶媒の存在下において実施される。有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル等のエステル溶媒;等の非プロトン性有機溶媒が挙げられる。その使用量は特に制限されないが、容積効率等を考慮すると、実用的には、チアゾリウム塩(1)に対して、通常100重量倍以下である。
固定化は、通常−20〜200℃、好ましくは20〜100℃の温度範囲で実施される。
固定化は、必要により有機溶媒の存在下、チアゾリム塩(1)と粒子状酸化物とを混合することにより実施され、それらの混合順序は特に限定されない。
常圧条件下で固定化を実施してもよいし、加圧条件下で固定化を実施してもよい。また、固定化の進行は、例えばNMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。
固定化終了後、得られた混合物から、ろ過やデカンテーション等の通常の固液分離により固体を得、必要により該固体に洗浄や乾燥等の処理を施すことにより、チアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物を取り出すことができる。
該洗浄処理に用いる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル等のエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒;アセトニトリル等のニトリル溶媒;等の有機溶媒が挙げられる。
かくして得られたチアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物は、例えば、アルデヒド化合物のカップリング反応における触媒として用いることができる。ここで、アルデヒド化合物は、その分子内にホルミル基を1つ以上有する化合物であれば、特に限定されない。また、本発明におけるカップリング反応とは、同じアルデヒド化合物同士のホモカップリング反応や、異なるアルデヒド化合物同士のクロスカップリング反応や、アルデヒド化合物とアルデヒド以外の化合物(例えば、α,β−不飽和ケトン化合物)とのカップリング反応を含むものとする。同じアルデヒド化合物同士のホモカップリング反応としては、例えば、式(a)
Figure 2008266297
(式中、Rは水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基を表す。)
で示されるアルデヒド化合物(以下、アルデヒド(a)と略記する。)2分子が互いに結合し、式(b)
Figure 2008266297
(式中、Rは上記と同じ意味を表す。)
で示されるα−ヒドロキシケトン化合物(以下、α−ヒドロキシケトン(b)と略記する。)を与えるホモカップリング反応(以下、カップリング反応(I)と略記する。)が挙げられる。異なるアルデヒド化合物同士のクロスカップリング反応としては、例えば、アルデヒド(a)と式(c)
Figure 2008266297
(式中、Rは水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基を表す。)
で示されるアルデヒド化合物(以下、アルデヒド(c)と略記する。)が互いに結合し、式(d)
Figure 2008266297
(式中、RおよびRはそれぞれ上記と同じ意味を表す。)
で示されるα−ヒドロキシケトン化合物(以下、α−ヒドロキシケトン(d)と略記する。)を与えるクロスカップリング反応(以下、カップリング反応(II)と略記する。)が挙げられる。アルデヒド化合物とα,β−不飽和ケトン化合物とのカップリング反応としては、例えば、アルデヒド(a)と式(e)
Figure 2008266297
(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基を表す。Arは置換されていてもよいアリール基を表す。)
で示されるα,β−不飽和ケトン化合物(以下、不飽和ケトン(e)と略記する。)との反応により、式(f)
Figure 2008266297
(式中、R、RおよびArはそれぞれ上記と同じ意味を表す。)
で示される1,4−ジカルボニル化合物(以下、1,4−ジカルボニル化合物(f)と略記する。)を与えるカップリング反応(以下、カップリング反応(III)と略記する。)が挙げられる。本明細書において、カップリング反応(I)、カップリング反応(II)およびカップリング反応(III)を含むアルデヒド化合物のカップリング反応を総称して、「本カップリング反応」と記載することもある。
ここで、カップリング反応(I)およびカップリング反応(II)について説明する。
式(a)および(c)においてRおよびRで示されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−デシル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。これらのアルキル基上に置換していてもよい基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、3−フェノキシベンジルオキシ基等の置換されていてもよいアルコキシ基;フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、3−フェノキシフェノキシ基等の置換されていてもよいアリールオキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ベンジルカルボニル基、4−メチルベンジルカルボニル基、4−メトキシベンジルカルボニル基等の置換されていてもよいアルキルカルボニル基;ベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基等の置換されていてもよいアリールカルボニル基;メチルチオ基、エチルチオ基、イソプロピルチオ基等の置換されていてもよいアルキルチオ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;等が例示される。かかる基で置換されたアルキル基の具体例としては、クロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基、1−エトキシカルボニル−2,2−ジメチル−3−シクロプロピル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。これらのアリール基上に置換していてもよい基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基等の置換されていてもよいアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の置換されていてもよいアルコキシ基;フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、3−フェノキシフェノキシ基等の置換されていてもよいアリールオキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ベンジルカルボニル基、4−メチルベンジルカルボニル基、4−メトキシベンジルカルボニル基等の置換されていてもよいアルキルカルボニル基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;等が例示される。かかる基で置換されたアリール基の具体例としては、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−フェノキシフェニル基等が挙げられる。
ヘテロアリール基としては、例えばピリジル基、フリル基等の炭素数4〜20であり、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んで構成されるヘテロアリール基が挙げられる。これらのヘテロアリール基上に置換していてもよい基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基等の置換されていてもよいアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の置換されていてもよいアルコキシ基;フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、3−フェノキシフェノキシ基等の置換されていてもよいアリールオキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ベンジルカルボニル基、4−メチルベンジルカルボニル基、4−メトキシベンジルカルボニル基等の置換されていてもよいアルキルカルボニル基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;等が例示される。かかる基で置換されたヘテロアリール基の具体例としては、2−クロロピリジル基、5−メチルフリル基等が挙げられる。
アルデヒド(a)および(c)としては、例えば、ホルムアルデヒド、シクロペンタンカルバルデヒド、シクロヘキサンカルバルデヒド、2−メチルプロパナール、2,2−ジメチルプロパナール、3−メチルチオプロパナール、2,2−ジメチルブタナール、1−メチルシクロヘキサンカルバルデヒド、2,2−ジメチルノナナール、2,2−ジメチル−3−オキソプロパン酸メチル等の脂肪族アルデヒド;ベンズアルデヒド、4−フルオロベンズアルデヒド、4−ニトロベンズアルデヒド、3−ブロモベンズアルデヒド、2−クロロベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、3−メトキシベンズアルデヒド、3,4,5−トリメトキシベンズアルデヒド、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド、1−ナフトアルデヒド等の芳香族アルデヒド;2−ピリジンカルバルデヒド、3−ピリジンカルバルデヒド等の複素芳香族アルデヒド;等が挙げられる。これらのうち、カップリング反応(I)およびカップリング反応(II)に用いる化合物としては、芳香族アルデヒドが好ましい。これらのアルデヒド(a)および(c)は、市販のものであっても、任意の公知の方法により製造されたものであってもよい。
カップリング反応(I)およびカップリング反応(II)は、好ましくは塩基の存在下に実施される。塩基としては、有機塩基、無機塩基いずれでも用いることができる。有機塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の3級アミン;ピリジン、イミダゾール等の含窒素芳香族化合物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;等が挙げられる。無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;等が挙げられる。好ましくは、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属炭酸塩である。
塩基の使用量は、チアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物上のチアゾリウムカチオンに対して、通常0.3〜2モル倍の範囲である。
カップリング反応(I)およびカップリング反応(II)は、通常、溶媒の存在下において実施される。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル等のエステル溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド溶媒;メタノール、エタノール等のアルコール溶媒;水;等が挙げられる。溶媒の使用量は特に制限されないが、容積効率等を考慮すると、実用的には、チアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物に対して、通常100重量倍以下である。
チアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物の使用量は、カップリング反応(I)では、通常、アルデヒド(a)1モルに対し、チアゾリウムカチオンが0.005〜0.5モル含まれる範囲であり、好ましくは0.01〜0.3モル含まれる範囲である。カップリング反応(II)では、通常、アルデヒド(a)とアルデヒド(c)のいずれか少ない方の化合物1モルに対し、チアゾリウムカチオンが0.005〜0.5モル含まれる範囲であり、好ましくは0.01〜0.3モル含まれる範囲である。
カップリング反応(II)では、アルデヒド(a)とアルデヒド(c)は、等モル量用いてもよいし、どちらか一方を過剰量用いてもよい。好ましくは、アルデヒド(a)に対し、アルデヒド(c)を0.7〜1.5モル倍用いる。
反応温度は、通常−20〜200℃の範囲である。
カップリング反応(I)およびカップリング反応(II)は、必要により溶媒および塩基の存在下、アルデヒド(a)(およびアルデヒド(c))と、チアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物とを混合することにより実施され、それらの混合順序は、特に制限されない。溶媒とアルデヒド(a)(およびアルデヒド(c))と、チアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物との混合物に、反応温度条件下で、塩基を加えていく実施態様が好ましい。
常圧条件下でカップリング反応(I)およびカップリング反応(II)を実施してもよいし、加圧条件下でカップリング反応(I)およびカップリング反応(II)を実施してもよい。また、反応の進行は、例えばガスクロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィ、NMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。
反応終了後、得られた反応混合物に、ろ過やデカンテーション等の固液分離処理を施して、チアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物を除いた後、得られた反応溶液に、例えば晶析、分液、濃縮等の通常の単離処理を施すことにより、α−ヒドロキシケトン(b)またはα−ヒドロキシケトン(d)を単離することができる。得られたα−ヒドロキシケトン(b)またはα−ヒドロキシケトン(d)は、例えば蒸留、カラムクロマトグラフィ等の通常の精製処理により、さらに精製されてもよい。
かくして得られるα−ヒドロキシケトン(b)としては、例えば2−ヒドロキシ−1,2−ジフェニルエタノン、2−ヒドロキシ−1,2−ジ(4−クロロフェニル)エタノン、2−ヒドロキシ−1,2−ジシクロヘキシルエタノン、2−ヒドロキシ−1,2−ジ(3−メチルフェニル)エタノン、2−ヒドロキシ−1,2−ジ(2−フルオロフェニル)エタノン、2−ヒドロキシ−1,2−ジ(3−メトキシフェニル)エタノン、2−ヒドロキシ−1,2−ジ(3,4−メチレンジオキシフェニル)エタノン、2−ヒドロキシ−1,2−ジナフチルエタノン、2−ヒドロキシ−1,2−ジ(3−ピリジル)エタノン等が挙げられる。α−ヒドロキシケトン(d)としては、例えば2−ヒドロキシ−1−(4−メトキシフェニル)−2−フェニルエタノン、2−ヒドロキシ−1−(4−クロロフェニル)−2−フェニルエタノン、2−ヒドロキシ−1−(2−フルオロフェニル)−2−フェニルエタノン、4−(メチルチオ)−2−オキソ−1−ブタノール、1−ヒドロキシ−2−プロパノン、1−ヒドロキシ−2−ブタノン、1−ヒドロキシ−2−ペンタノン、2−ヒドロキシ−1−シクロヘキサノン等が挙げられる。
ここからは、カップリング反応(III)について説明する。
カップリング反応(III)に用いるアルデヒド(a)としては、上記したものが挙げられ、脂肪族アルデヒドが好ましい。
式(e)においてRで示されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−デシル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。これらのアルキル基上に置換していてもよい基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、3−フェノキシベンジルオキシ基等の置換されていてもよいアルコキシ基;フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、3−フェノキシフェノキシ基等の置換されていてもよいアリールオキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ベンジルカルボニル基、4−メチルベンジルカルボニル基、4−メトキシベンジルカルボニル基等の置換されていてもよいアルキルカルボニル基;ベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基等の置換されていてもよいアリールカルボニル基;メチルチオ基、エチルチオ基、イソプロピルチオ基等の置換されていてもよいアルキルチオ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;等が例示される。かかる基で置換されたアルキル基の具体例としては、クロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基、1−エトキシカルボニル−2,2−ジメチル−3−シクロプロピル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。これらのアリール基上に置換していてもよい基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基等の置換されていてもよいアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の置換されていてもよいアルコキシ基;フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、3−フェノキシフェノキシ基等の置換されていてもよいアリールオキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ベンジルカルボニル基、4−メチルベンジルカルボニル基、4−メトキシベンジルカルボニル基等の置換されていてもよいアルキルカルボニル基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;等が例示される。かかる基で置換されたアリール基の具体例としては、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−フェノキシフェニル基等が挙げられる。
ヘテロアリール基としては、例えばピリジル基、フリル基等の炭素数4〜20であり、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んで構成されるヘテロアリール基が挙げられる。これらのヘテロアリール基上に置換していてもよい基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基等の置換されていてもよいアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の置換されていてもよいアルコキシ基;フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、3−フェノキシフェノキシ基等の置換されていてもよいアリールオキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ベンジルカルボニル基、4−メチルベンジルカルボニル基、4−メトキシベンジルカルボニル基等の置換されていてもよいアルキルカルボニル基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;等が例示される。かかる基で置換されたヘテロアリール基の具体例としては、2−クロロピリジル基、5−メチルフリル基等が挙げられる。
Arで表されるアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。これらのアリール基上に置換していてもよい基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基等の置換されていてもよいアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の置換されていてもよいアルコキシ基;フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、3−フェノキシフェノキシ基等の置換されていてもよいアリールオキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ベンジルカルボニル基、4−メチルベンジルカルボニル基、4−メトキシベンジルカルボニル基等の置換されていてもよいアルキルカルボニル基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;等が例示される。かかる基で置換されたアリール基の具体例としては、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−フェノキシフェニル基等が挙げられる。
不飽和ケトン(e)としては、例えば1,3−ジフェニル−2−プロペン−1−オン、1−(4−クロロフェニル)−3−フェニル−2−プロペン−1−オン、1−(4−フルオロフェニル)−3−フェニル−2−プロペン−1−オン、1−(2−メチルフェニル)−3−フェニル−2−プロペン−1−オン、1−(4−メトキシフェニル)−3−フェニル−2−プロペン−1−オン、3−(4−クロロフェニル)−1−フェニル−2−プロペン−1−オン、3−(2−フルオロフェニル)−1−フェニル−2−プロペン−1−オン、3−(4−メチルフェニル)−1−フェニル−2−プロペン−1−オン、3−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−プロペン−1−オン、1、3−ビス(4−クロロフェニル)−2−プロペン−1−オン、1−(4−フルオロフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−2−プロペン−1−オン、1−(2−メチルフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−2−プロペン−1−オン、1−(4−メトキシフェニル)−3−ナフチル−2−プロペン−1−オン、1−(4−ピリジニル)−3−フェニル−2−プロペン−1−オン、4−フェニル−3−ブテン−2−オン、5−フェニル−4−ペンテン−3−オン、1−シクロヘキシル−3−フェニル−2−ブテン−1−オン等が挙げられる。これらの不飽和ケトン(e)は、市販のものであっても、任意の公知の方法により製造されたものであってもよい。
アルデヒド(a)が脂肪族アルデヒドの場合は、アルデヒド(a)と不飽和ケトン(e)を等モル量用いてもよいし、どちらか一方を過剰量用いてもよい。過剰量用いる場合には、溶媒を兼ねて用いることもできる。好ましくは、アルデヒド(a)に対し、不飽和ケトン(e)を0.1〜2モル倍用いる。アルデヒド(a)が芳香族族アルデヒドまたは複素芳香族アルデヒドの場合は、通常、不飽和ケトン(e)に対して、アルデヒド(a)を0.8〜1.5モル倍用いる。
カップリング反応(III)は、好ましくは塩基の存在下に実施される。塩基としては、有機塩基、無機塩基いずれでも用いることができる。有機塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の3級アミン;ピリジン、イミダゾール等の含窒素芳香族化合物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;等が挙げられる。無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;等が挙げられる。好ましくは、3級アミンおよびアルカリ金属炭酸塩である。
塩基の使用量は、チアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物上のチアゾリウムカチオンに対して、通常0.3〜2モル倍の範囲である。
カップリング反応(III)は、通常、溶媒の存在下において実施される。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル等のエステル溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド溶媒;メタノール、エタノール等のアルコール溶媒;水;等が挙げられる。溶媒の使用量は特に制限されないが、容積効率等を考慮すると、実用的には、チアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物に対して、通常100重量倍以下である。
チアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物の使用量は、通常、アルデヒド(a)と不飽和ケトン(e)のうち、使用モル数が少ない方の化合物1モルに対し、チアゾリウムカチオンが0.005〜0.5モル含まれる範囲であり、好ましくは0.01〜0.3モル含まれる範囲である。
反応温度は、通常−20〜200℃の範囲である。
カップリング反応(III)は、必要により溶媒および塩基の存在下、アルデヒド(a)と不飽和ケトン(e)と、チアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物とを混合することにより実施され、それらの混合順序は、特に制限されない。溶媒とアルデヒド(a)と不飽和ケトン(e)と、チアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物との混合物に、反応温度条件下で、塩基を加えていく実施態様が好ましい。
常圧条件下でカップリング反応(III)を実施してもよいし、加圧条件下でカップリング反応(III)を実施してもよい。また、反応の進行は、例えばガスクロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィ、NMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。
反応終了後、得られた反応混合物に、ろ過やデカンテーション等の固液分離処理を施して、チアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物を除いた後、得られた反応溶液に、例えば晶析、分液、濃縮等の通常の単離処理を施すことにより、1,4−ジカルボニル化合物(f)を単離することができる。得られた1,4−ジカルボニル化合物(f)は、例えば蒸留、カラムクロマトグラフィ等の通常の精製処理により、さらに精製されてもよい。
かくして得られる1,4−ジカルボニル化合物(f)としては、例えば1,3−ジフェニル−1,4−ペンタンジオン、1−(4−クロロフェニル)−3−フェニル−1,4−ノナンジオン、1−(4−フルオロフェニル)−3−フェニル−1,4−ヘキサンジオン、1−(2−メチルフェニル)−3−フェニル−1,4−ペンタンジオン、1−(4−メトキシフェニル)−3−フェニル−1,4−ヘプタンジオン、3−(4−クロロフェニル)−1−フェニル−1,4−ヘキサンジオン、3−(2−フルオロフェニル)−1−フェニル−1,4−オクタンジオン、3−(4−メチルフェニル)−1−フェニル−1,4−ノナンジオン、3−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−1,4−ペンタンジオン、1、3−ビス(4−クロロフェニル)−1,4−ヘキサンジオン、1−(4−フルオロフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−1,4−ヘキサンジオン、1−(2−メチルフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−1,4−ヘプタンジオン、1−(4−メトキシフェニル)−3−ナフチル−1,4−オクタンジオン、1−(4−ピリジニル)−3−フェニル−1,4−ノナンジオン、4−フェニル−2,5−デカンジオン、4−フェニル−3,6−オクタンジオン、1−シクロヘキシル−3−フェニル−1,4−ペンタンジオン等が挙げられる。
本カップリング反応において、固液分離処理により回収されたチアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物は、そのまま、あるいは必要に応じて洗浄等の処理を施された後、本カップリング反応における触媒として再使用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
実施例1(チアゾリウム塩(1)の製造例)
還流冷却管を付した50mlフラスコに、4−メチルチアゾール1.0gと3−ブロモブロピルトリメトキシシラン2.4gを仕込み、内温100℃に昇温させた。内容物を同温度で10時間攪拌した後、室温まで冷却した。得られた反応混合物に、トルエン5gを加えて攪拌した後、静置すると2層に分離したので、分液処理にて、上層であるトルエン層を除いた。得られた下層にトルエン5gを加えて撹拌し、分液処理にて、上層であるトルエン層を除く操作を3回繰り返した後、得られた下層を減圧乾燥させたところ、薄茶色の油状物が2.4g得られた。H−NMRにより分析したところ、該油状物は3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−4−メチルチアゾリウムブロマイドと同定された。収率:69%。
H−NMR(δppm、DMSO−d、TMS基準):0.55(m,2H)、1.89(m,2H)、2.60(s,3H)、3.19(s,9H)、4.49(m,2H)、8.11(bs,1H)、10.20(bs,1H)
実施例2(チアゾリウム塩(1)のシリカゲルへの固定化例)
還流冷却管を付した100mlフラスコに、実施例1で合成した3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−4−メチルチアゾリウムブロマイド2.4gとシリカゲル(富士シリシア製、Cariact Q−10)5gおよびクロロホルム30gを仕込み、内容物を加熱することにより還流させながら24時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却した後、ろ過処理することにより固体を分取し、該固体をアセトニトリル30gで洗浄し、減圧乾燥させることにより、チアゾリウム塩が固定化されたシリカゲル5.8gを得た。
元素分析値: C:6.1、H:1.6、N:1.3、S:2.2、Si:32.7
IR(KBr):νmax 3440,2860,1650,1100cm-1
実施例3(ベンズアルデヒドのホモカップリング反応)
還流冷却管を付した50mLフラスコに、ベンズアルデヒド106mgと実施例2で合成した固定化チアゾリウム塩250mgと水酸化カリウム5mgとエタノール2gを仕込み、内容物を加熱することにより還流させながら8時間撹拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィ(内部標準法)にて分析したところ、2−ヒドロキシ−1,2−ジフェニルエタノンの収率は30%であった。
ベンズアルデヒドが、45%回収された。
実施例4(ベンズアルデヒドのホモカップリング反応)
還流冷却管を付した50mLフラスコに、ベンズアルデヒド110mgと実施例2で合成した固定化チアゾリウム塩250mgと水酸化カリウム5mgとエタノール3gを仕込み、内容物を加熱することにより還流させながら30分撹拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィ(内部標準法)にて分析したところ、2−ヒドロキシ−1,2−ジフェニルエタノンの収率は1%であった。
ベンズアルデヒドが、95%回収された。
実施例5(ベンズアルデヒドのホモカップリング反応)
実施例4で得られた反応混合物からデカンテーションにより液体を除いた後、固体を残したフラスコ中にエタノール5gを加えて撹拌し、再度デカンテーションにより液体を除いた。かかる操作により固体を残した50mlフラスコに還流冷却管を付し、そこにベンズアルデヒド110mgと水酸化カリウム5mgとエタノール3gを仕込み、内容物を加熱することにより還流させながら3時間撹拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィ(内部標準法)にて分析したところ、2−ヒドロキシ−1,2−ジフェニルエタノンの収率は3%であった。
ベンズアルデヒドが、93%回収された。
実施例6(ベンズアルデヒドのホモカップリング反応)
実施例5で得られた反応混合物からデカンテーションにより液体を除いた後、固体を残したフラスコ中にエタノール5gを加えて撹拌し、再度デカンテーションにより液体を除いた。かかる操作により固体を残した50mlフラスコに還流冷却管を付し、そこにベンズアルデヒド110mgと水酸化カリウム5mgとエタノール3gを仕込み、内容物を加熱することにより還流させながら6時間撹拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィ(内部標準法)にて分析したところ、2−ヒドロキシ−1,2−ジフェニルエタノンの収率は4%であった。
ベンズアルデヒドが、90%回収された。
実施例7(n−ヘキシルアルデヒドと1−(4−クロロフェニル)−3−フェニル−2−プロペン−1−オンとのカップリング反応)
還流冷却管を付した50mLフラスコに、n−ヘキシルアルデヒド100mgと1−(4−クロロフェニル)−3−フェニル−2−プロペン−1−オン121mgと実施例2で合成した固定化チアゾリウム塩100mgとトリエチルアミン50mgとジメチルホルムアミド1gを仕込み、内容物を60℃で8時間撹拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、ガスクロマトグラフィ(内部標準法)にて分析したところ、1−(4−クロロフェニル)−3−フェニル−1,4−ノナンジオンの収率は2%であった。
原料1−(4−クロロフェニル)−3−フェニル−2−プロペン−1−オンが95%回収された。

Claims (16)

  1. 式(1)
    Figure 2008266297
    (式中、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子または置換されていてもよいアルキル基またはアリール基を表す。また、RとRとが互いに結合して、それらの結合炭素原子とともに環構造を形成していてもよい。Rは置換されていてもよいアルキレン基を表し、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Yは1価のアニオンを表す。nは0、1または2である。)
    で示されるチアゾリウム塩と、粒子状酸化物とを作用させて得られるチアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物。
  2. 粒子状酸化物が、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物またはジルコニウム酸化物である請求項1に記載のチアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物。
  3. 粒子状酸化物が、ケイ素酸化物である請求項1に記載のチアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物。
  4. 式(1)におけるYで示される1価のアニオンが、ハロゲン化物イオン類、ホウ酸イオン類、リン酸イオン類、アンチモン酸イオン類、スルホン酸イオン類またはアミドイオン類である請求項1〜3のいずれかに記載のチアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物。
  5. 式(1)
    Figure 2008266297
    (式中、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子または置換されていてもよいアルキル基またはアリール基を表す。また、RとRとが互いに結合して、それらの結合炭素原子とともに環構造を形成していてもよい。Rは置換されていてもよいアルキレン基を表し、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Yは1価のアニオンを表す。nは0、1または2である。)
    で示されるチアゾリウム塩。
  6. 式(1)におけるYで示される1価のアニオンが、ハロゲン化物イオン類、ホウ酸イオン類、リン酸イオン類、アンチモン酸イオン類、スルホン酸イオン類またはアミドイオン類である請求項5に記載のチアゾリウム塩。
  7. 式(2)
    Figure 2008266297
    (式中、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子または置換されていてもよいアルキル基またはアリール基を表す。また、RとRとが互いに結合して、それらの結合炭素原子とともに環構造を形成していてもよい。)
    で示されるチアゾール化合物と、式(3)
    Figure 2008266297
    (式中、Rは置換されていてもよいアルキレン基を表し、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。nは0、1または2である。)
    で示されるハロゲン置換アルコキシシラン化合物とを反応させる工程を含む式(1)
    Figure 2008266297
    (式中、R〜Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表す。Yは1価のアニオンを表す。)
    で示されるチアゾリウム塩の製造方法。
  8. 式(1)で示されるチアゾリウム塩と粒子状酸化物とを、非プロトン性有機溶媒の存在下、20〜100℃で作用させる工程をさらに含む請求項7に記載の製造方法。
  9. 粒子状酸化物が、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物またはジルコニウム酸化物である請求項8に記載の製造方法。
  10. 粒子状酸化物が、ケイ素酸化物である請求項8に記載の製造方法。
  11. 式(2)で表されるチアゾール化合物と式(3)で表されるハロゲン置換アルコキシシラン化合物との反応により得られる式(1’)
    Figure 2008266297
    (式中、R〜Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表す。Xは塩化物イオン、臭化物イオンまたはヨウ化物イオンを表す。)
    で示されるチアゾリウム塩をアニオン交換して式(1)で示されるチアゾリウム塩を得る工程をさらに含む請求項7〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. アニオン交換が、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンおよび銀イオンからなる群から選ばれる金属カチオンと1価のアニオンからなる金属塩を用いる処理である請求項11に記載の製造方法。
  13. 1価のアニオンが、ハロゲン化物イオン類、ホウ酸イオン類、リン酸イオン類、アンチモン酸イオン類、スルホン酸イオン類またはアミドイオン類である請求項12に記載の製造方法。
  14. アルデヒド化合物のカップリング反応における触媒としての請求項1〜4に記載のチアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物の使用。
  15. アルデヒド化合物のホモカップリングによりα−ヒドロキシケトン化合物を与える反応における触媒としての請求項1〜4に記載のチアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物の使用。
  16. アルデヒド化合物とα,β−不飽和ケトン化合物とのカップリングにより1,4−ジカルボニル化合物を与える反応における触媒としての請求項1〜4に記載のチアゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物の使用。
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