JP2008266288A - 中心静脈投与用輸液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】糖質、電解質及びアミノ酸組成からなり、1日投与量として、総カロリーが1000〜1400kcal、より好ましくは1100〜1300Kcalの範囲内であり、45〜75g、より好ましくは55〜65gのアミノ酸を含有し、総水分量が1400〜1800mL、より好ましくは1500〜1700mLであり、非蛋白カロリーと投与窒素量の比率(Cal/N比)が90〜160、より好ましくは、90〜130の範囲内であり、糖質への慣らし投与及び/又はステップアップ投与(馴化期間)を必要としない中心静脈投与用輸液製剤。
【選択図】図2
Description
この中心静脈栄養療法にあっては、術後侵襲時又は経口・経管栄養不能或いは不十分時に行われる通常の中心静脈栄養療法は、7〜10日間程度である。なお、本明細書において、これを「経口摂取不能期間又は絶食期間」と定義する。
すなわち、中心静脈栄養療法にあっても、最近の患者の実態に即した栄養管理が必要であって、最近の患者は栄養状態がよいことから、必要以上の総カロリーを投与することを回避すべきである点が指摘されてきている。
特に入院している高年齢者の安静時エネルギー消費量(REE:Resting Energy Expense)は、男性、女性共に約1000Kcal/日程度であり(非特許文献2)、それ以上のエネルギー補充は必要ないと指摘されている。
また、最近の治療方針では、術後の侵襲患者に対して早い時期から消化器系の腸管を使用させたほうが、社会復帰が早まることが指摘され、したがって、術後早期から経腸栄養剤を使用したり、粥など食事を摂取させたりすることが行われている。
さらに、中心静脈栄養療法に使用するのに複数の異なる輸液製剤(開始輸液/維持輸液)が存在することは、取り違えによる医療過誤が生じ易いものでもあった。
その基本的な考え方として、これまでの中心静脈栄養療法に使用するのに複数の異なる輸液製剤(開始輸液/維持輸液)を、一剤で提供できるのではないかと考えた。
すなわち、投与する一剤で、維持液投与前の慣らし投与及び/又はステップアップ投与としての開始液、その後の維持液としての輸液製剤となり得るものであって、その利便性が向上されると共に、複製輸液製剤による投与輸液の過誤を回避し得るのではないか考えた。
さらに本発明は、アミノ酸組成としてアルギニンの含有量を強化し、高カロリー輸液施行時の肝機能異常に対する軽減を図った中心静脈投与用輸液製剤である。
このCal/N比にあっては、従来の中心静脈栄養療法で使用する高カロリー輸液では、糖質が多く含有されていることから160以上の値を示すものである。しかしながら本発明においては、糖質の含有量を必要総カロリーに対応する程度までに低減させ、その上で1日必要量のアミノ酸を配合することで、Cal/N比が160以下の値を示すことになったとしても、輸液製剤自体の栄養効果は変わらないものであった。
この中心静脈栄養管理システムに使用する中心静脈投与用輸液は、特に糖質への慣らし投与及び/又はステップアップ投与(順化期間)を行うことなく投与しうるものであり、輸液製剤中の非蛋白カロリーと投与窒素量の比率(Cal/N比)が90〜160、より好ましくは90〜130の範囲内であるものであり、またさらにビタミン類、微量元素類を含有することができ、その上、1日投与量として、1バックに又は2バッグに分けて充填されたものである中心静脈栄養管理システムに使用する中心静脈投与用輸液である。
すなわち、一つの基本的態様として、
(1)糖質、電解質及びアミノ酸組成からなり、1日投与量として、総カロリーが1000〜1400kcalの範囲内であり、45〜75gのアミノ酸を含有し、総水分量が1400〜1800mLであり、非蛋白カロリーと投与窒素量の比率(Cal/N比)が90〜160の範囲内であることを特徴とする中心静脈投与用輸液製剤;
(2)アミノ酸組成として必須アミノ酸を豊富に含む組成からなることを特徴とする(1)に記載の中心静脈投与用輸液製剤;
(3)アミノ酸組成としてアルギニンを強化したアミノ酸組成であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の中心静脈投与用輸液製剤;
(4)さらに、ビタミン類を含有することを特徴とする(1)、(2)又は(3)に記載の中心静脈投与用輸液製剤;
(5)さらに、微量元素類を含有することを特徴とする(1)、(2)又は(3)に記載の中心静脈投与用輸液製剤;
(6)糖質がブドウ糖であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の中心静脈投与用輸液製剤;
(7)上記(1)〜(6)に記載の輸液製剤を、経口摂取不能期間又は絶食期間に、糖質に対する慣らし投与及び/又はステップアップ投与(順化期間)をせずに投与することを特徴とする中心静脈投与輸液方法;
である。
(8)糖質、電解質及び必須アミノ酸組成からなり、1日投与量として、総カロリーが1000〜1400Kcalの範囲内にあり、55〜65gのアミノ酸を含有し、総水分量が1400〜1800mLであり、非蛋白カロリーと投与窒素量の比率(Cal/N比)が90〜160の範囲内である中心静脈投与用輸液製剤からなることを特徴とする中心静脈栄養療法用投与ユニット;
(9)経口摂取不能期間又は絶食期間に、エネルギー要求量が低下状態にある患者に対する投与ユニットであって、糖質に対する慣らし投与及び/又はステップアップ投与(順化期間)をしないことを特徴とする(8)に記載の投与ユニット;
(10)経口摂取不能期間又は絶食期間が、消化器系又は循環器系の術後侵襲時であることを特徴とする(8)又は(9)に記載の投与ユニット;
(11)投与のために使用される輸液が、(1)〜(6)のいずれかに記載の輸液であることを特徴とする上記(8)〜(10)に記載の投与ユニット;
(12)1日投与量として、2バッグ形態にしたことを特徴する(8)〜(11)のいずれかに記載の投与ユニット;
である。
(13)経口摂取不能期間又は絶食期間に中心静脈投与用輸液製剤を投与するにあたり、糖質、電解質及び必須アミノ酸組成からなり、1日投与量として、総カロリーが1000〜1400Kcalの範囲内にあり、55〜65gのアミノ酸を含有し、総水分量が1400〜1800mLであり、非蛋白カロリーと投与窒素量の比率(Cal/N比)が90〜160の範囲内である中心静脈投与用輸液剤を投与することからなる、糖質に対する慣らし投与及び/又はステップアップ投与(順化期間)をしないことを特徴とする中心静脈栄養管理システム;
(14)経口摂取不能期間又は絶食期間が、消化器系又は循環器系の術後侵襲時であることを特徴とする(13)に記載の中心静脈栄養管理システム;
(15)アミノ酸組成として必須アミノ酸を豊富に含む組成であることを特徴とする(13)又は(14)に記載の中心静脈栄養管理システム;
(16)アミノ酸組成としてアルギニンを強化したアミノ酸組成であることを特徴とする上記(13)〜(15)に記載の中心静脈栄養管理システム;
(17)さらに、ビタミン類を含有することを特徴とする(13)〜(16)のいずれかに記載の中心静脈栄養管理システム;
(18)さらに、微量元素類を含有することを特徴とする(13)〜(16)のいずれかに記載の中心静脈栄養管理システム;
(19)糖質がブドウ糖であることを特徴とする(13)〜(16)のいずれかに記載の中心静脈栄養管理システム;
である。
(1)1剤で術後侵襲時の中心静脈栄養管理を行うので、これまでの煩雑な糖質への慣らし投与及び/又はステップアップ管理を行う開始輸液の投与を回避し、その利便性が向上し、また過誤投与による医療誤の発生を回避し得る。
(2)輸液製剤中の総カロリーを、術後侵襲時の栄養維持としての必要カロリーまで低減することにより、含有させる糖質量を低減することができ、したがって、ステップアップ時の糖負荷が少なくなり、肝障害の発生を軽減し得る。
(3)水分量を少なくしたことにより腎臓に対する負担を軽くすることができる。
すなわち、従来の中心静脈投与用輸液製剤は、その1日投与量としては、2000〜2400mL量であり、したがって、術後侵襲時における薬剤として抗生物質や抗癌剤を併用投与する場合には、総投与水分量としては優に2000mLを超える量となる。この大量の水分投与は、内臓機能が低下している術後侵襲時の患者にとっては、腎臓への負担がかなり大きなものであった。
本発明においては、この腎臓への負担を軽減するものである。
(5)また、本発明の中心静脈投与用輸液は、カロリー源を糖質で補うため、脂肪乳剤と比較して、術後の侵襲時における患者として全ての患者を対象に適用し得るものである。
(6)含有させる糖質量を低減する一方、アミノ酸の1日必要量を含有させたことによる中心静脈投与用輸液であり、そのうえバリン、ロイシン及びイソロイシンの分岐鎖アミノ酸の含有量を多くしたことから、蛋白合成の亢進と蛋白分解の軽減をもって栄養状態の向上が可能となる。
(7)そのうえ、アミノ酸組成としてアルギニンの含有量を強化することにより、高カロリー輸液施行時の肝機能異常に対する軽減が図れる利点を有する。
(8)また、1日に必要ビタミンを全て補給することが可能となり、栄養管理の観点からみて、極めて理想的な組成を有する中心静脈投与用輸液が提供される。
この糖質は本発明の中心静脈投与用輸液製剤における総カロリーの大部分を負担する栄養源である。従来のこの種の輸液製剤の中でも、そのカロリー源を脂肪に依存する製剤もあるが、脂肪の投与は必ずしも全ての患者に許容されるものではなく、例えば、高脂血症、肝障害、血栓症、糖尿病ケトーシス等の患者に対しては、脂肪の投与は禁忌とされている。
これに対して、本発明が提供する中心静脈投与用輸液製剤にあっては、総カロリーの大部分を負担する栄養源を糖質、好ましくはブドウ糖としたことにより、上記した、高脂血症、肝障害、血栓症、糖尿病ケトーシス等の患者等を含め、全ての患者に対して適用し得るものである。
そのうえで、これまでの煩雑な糖質への慣らし投与及び/又はステップアップ投与(順化期間)を行う開始輸液の投与を回避したものである。
Na+ 50〜150mEq
K+ 30〜90mEq
Ca2+ 5〜10mEq
Mg2+ 5〜10mEq
Cl− 50〜150mEq
グリセロリン酸 0〜40mEq
酢酸 0〜40mEq
乳酸 0〜40mEq
クエン酸 0〜40mEq
リンゴ酸 0〜40mEq
コハク酸 0〜40mEq
このアルギニンの配合量を強化させることにより、術後侵襲時に投与しても肝機能異常を惹起しにくいことから、これまでの慣らし投与及び/又はステップアップ投与(順化期間)を必要としない点で、極めて特異的なものである。
総カロリーにおけるCal/N比にあっては、従来の中心静脈栄養療法で使用する高カロリー輸液では、糖質が多く含有されていることから160以上の値を示すものである。しかしながら本発明においては、糖質の含有量を必要総カロリーに対応する程度までに低減させ、その上で1日必要量のアミノ酸を配合することで、Cal/N比が160以下の値を示すことになったとしても、輸液製剤自体の栄養効果は変わらないものであった。
従来の中心静脈投与用輸液製剤にあっては、その1日投与量としては、2000〜2400mL量であり、必然的に総水分量が多いものである。したがって、術後侵襲時における薬剤として抗生物質や抗癌剤を併用投与する場合には、総投与水分量としては優に2000mLを超える量となる。この水分量は、術後侵襲時の内臓機能が低下している患者にとっては、腎臓への負担がかなり大きなものとなる。
本発明にあっては、この腎臓への負担を軽減し、術後侵襲からの回復をより一層加速さることが可能となる。
そのようなビタミン類としては、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンH、葉酸、パントテン酸類、ニコチン酸類等を挙げることができる。これらのビタミン類を用いることによって、栄養状態の維持・改善を早期に実現させることが可能である。
特に本発明にあっては微量元素として、例えば下記表3に記載の範囲内の微量元素を配合するのがよい。
またビタミン類を含有させる場合には、第3室を更に設け、そこにビタミン類を含有する溶液を充填するのがよい。
また、ビタミン類等の薬液を容器内で分離・封入する場合は、複数の空間を持つ小袋を容器本体のいずれかの空間内部もしくは容器周縁部に設け、この小袋内に収容することができる。この際、小袋は充填する成分を吸着し難い材質を選択することが好ましく、ポリ弗化エチレン[テフロン(登録商標)等]、環状オレフィンコポリマーを好適に挙げることができる。
したがって、本発明はその態様として、1日投与量を2バッグに分けて充填したことを特徴とする中心静脈投与用輸液製剤でもある。
表4に示した本発明の被験液の栄養効果を確認するために、以下の動物実験を行った。なお、対照液として、表4の市販高カロリー輸液キット製剤を用いた。
一夜絶食したラット(9週齢雄性:一群6〜7匹、体重198.2〜212.4g)に、ペンバルビタール麻酔下にシリコン製カテーテルを右外頸静脈から右上大静脈起始部に留置し、無拘束下に輸液剤を以下のように7日間持続投与した。
被験液および対照液1は、7日間同一輸液で持続投与し、対照液1→対照液2として、従来の高カロリー輸液製剤の管理方法を考慮して、始めの3日間は対照液1を持続投与し、輸液を切り替え、その後4日間、対照液2を持続投与した。
流速は、2.5mL/hrとした。
また累積窒素出納を図2に示した。図中の結果からも判明するように、被験液の投与は、対照液1の投与に比較し、有意に高値を示しており、対照液1→対象液2に比べても高値傾向であった。
高カロリー輸液施行時の肝機能異常に対する軽減効果を確認するために、以下の動物実験を行った。
輸液剤として表4に記載する被験液および対照液3を用いた。
摂餌量の85%を制限し、4日間飼育した低栄養モデルラット(6週齢雄性、一群5匹、体重192.2〜211.6g)に、ペントバルビタール麻酔下に、シリコン製カテーテルを右外頸静脈から右上大静脈起始部に留置し、無拘束下に被験液および対照液3を5日間持続投与した。
投与速度は、3mL/hrとし、特に維持液である対照液3は、糖の慣らしをせず(開始時、開始液を使用せず)に投与した。
輸液投与期間中は、毎日尾静脈から採血し、投与終了後、ペントバルビタール麻酔下に腹大静脈より放血致死させ、肝臓を摘出した。
この試験結果から、本発明の輸液である被験液は、維持液である対照液3に比べ、高カロリー輸液施行時の肝機能異常を惹起しにくい輸液剤であることが明らかとなった。
試験例2と同様に、高カロリー輸液施行時の肝機能異常に対する軽減効果について、表4に記載する対照液4および5を用いて、以下の動物実験を行った。
給餌量の85%を制限し飼育し作製した低栄養モデルラット(7週齢雄性、一群6〜7匹、体重210〜217.9g)に、同様にカテーテルを留置し、無拘束下に輸液剤を以下のように7日間持続投与した。
被験液および対照液5は、7日間同一輸液で持続投与し、また対照液4→対照液5として、従来の高カロリー輸液製剤の管理方法を考慮して、始めの2日間対照液4を持続投与し、輸液を切り替え、その後5日間、対照液5を持続投与した。
流速は、3mL/hrとした。
その結果から判明するように、対照液5を投与した場合、3日目に肝障害指標であるASTおよびALTが上昇したが、被験液および対照液4→対照液5の投与により、このような変化がみられなかった。
この試験結果から、本発明の輸液である被験液は、維持液である対照液5に比べ、高カロリー輸液施行時の肝機能異常を惹起しにくい輸液剤であることが明らかとなった。また、対照液4→対照液5のように糖慣らし投与のよる順化期間の設定により、高カロリー輸液施行時の肝機能異常を軽減できることが明らかとなった。
本発明の輸液製剤の至適Cal/N比を見出すために以下の動物実験を行った。
総カロリー量(620kcal/800mL)を一定にグルコースと窒素量(アミノ酸量)の割合を、下記表5のように含有した輸液を用いた。摂餌量の85%を制限し、4日間飼育した低栄養モデルラット(9週齢雄性、体重243.6〜314.5g)にペントバルビタール麻酔下に、開腹術を行った後、シリコン製カテーテルを右外頸静脈から右上大静脈起始部に留置し、無拘束下に各被験液を7日間持続投与した。流速は、3.0mL/hrとした。輸液投与期間中、毎日尿量測定および尿採取を行った。
これらの試験結果より、本発明の輸液製剤の組成において、Cal/N比は110が至適であることが明らかとなった。
*:P<0.05 vs. アミノ酸フリー(Tukey-Kramer)
#:P<0.05 vs. NPC/N 300(Tukey-Kramer)
&:P<0.05 vs. NPC/N 150(Tukey-Kramer)
$:P<0.05 vs. NPC/N 110(Tukey-Kramer)
自由摂餌:検定から除く
本発明の輸液製剤におけるアミノ酸組成として、アルギニンを強化したアミノ酸組成が高カロリー輸液施行時の肝機能異常に対する軽減効果を確認するために、以下の動物実験を行った。
輸液剤として、下記表7に記載する輸液組成を有する被験液および対照液を用いた。
なお、輸液組成としては、被験液および対照液共に、糖濃度17.5%、アミノ酸濃度3%及び電解質を含有する組成であり、そのうちアミノ酸組成として、被験液にあっては既存の総合アミノ酸組成物に対し20%のアルギニンを強化した組成とした(両者の総アミノ酸量は一定:30g/L)。
この結果から判明するように、アルギニンの配合量を強化したアミノ酸組成を含有する被験液の投与により、血中肝障害指標であるASTおよびALTが対照液に比べ低値で推移していた。
この試験結果から、本発明の輸液であるアルギニンを強化したアミノ酸組成を含有する被験輸液は、既存アミノ酸組成を含有する対照液に比べ、高カロリー輸液施行時の肝機能異常を惹起しにくい輸液剤であることが明らかとなった。
本発明の輸液製剤におけるアミノ酸組成として、さらにアルギニンを強化したアミノ酸組成が高カロリー輸液施行時の肝機能異常に対する軽減効果を確認した。
輸液剤として、下記表8に記載する2被験液および対照液を用いた。
糖濃度17.5%、アミノ酸濃度3%および電解質を含有し、アミノ酸組成中、対照液に対し、アルギニン含量を4.52g/L及び5.43g/Lとそれぞれ強化した被験液1及び2を調製した(総アミノ酸量は一定:30g/L)。
摂餌量の85%を制限し、7日間飼育した低栄養モデルラット(9週齢雄性、1群7匹、体重195.2〜218.2g)にペントバルビタール麻酔下に、シリコン製カテーテルを右外頸静脈から右上大静脈起始部に留置し、無拘束下に各被験液を3日間持続投与した。流速は、1日当たり300mL/kg体重とした。輸液投与期間中は、毎日尾静脈から採血した。
この結果から、アルギニンを強化した被験液1及び2において血中肝障害指標(AST)が対照液に比べ低値で推移し、その効果が強かった。
この試験結果から、アルギニンを強化したアミノ酸組成とすることで、肝機能異常を惹起しにくい輸液となることが明らかとなった。
すなわち、本発明が提供する中心静脈投与用輸液製剤は、1剤で術後侵襲時の中心静脈栄養管理を行うので、これまでの煩雑な糖質への慣らし投与及び/又はステップアップ管理を行う開始輸液の投与を回避し、その利便性が向上し、また過誤投与による医療誤の発生を回避し得るものである。
また、総カロリー量を術後侵襲時の栄養維持としての必要カロリー程度までに低減させ、早期に経腸栄養剤投与、或いは食事(粥等)の摂取により、腸管の働きを活発化させ、それにより早期の社会復帰が可能となり、その産業上の利用性は多大なものである。
Claims (19)
- 糖質、電解質及びアミノ酸組成からなり、1日投与量として、総カロリーが1000〜1400kcalの範囲内であり、45〜75gのアミノ酸を含有し、総水分量が1400〜1800mLであり、非蛋白カロリーと投与窒素量の比率(Cal/N比)が90〜160の範囲内であることを特徴とする中心静脈投与用輸液製剤。
- アミノ酸組成として必須アミノ酸を豊富に含む組成からなることを特徴とする請求項1に記載の中心静脈投与用輸液製剤。
- アミノ酸組成としてアルギニンを強化したアミノ酸組成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の中心静脈投与用輸液製剤。
- さらに、ビタミン類を含有することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の中心静脈投与用輸液製剤。
- さらに、微量元素類を含有することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の中心静脈投与用輸液製剤。
- 糖質がブドウ糖であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の中心静脈投与用輸液製剤。
- 請求項1〜6に記載の輸液製剤を、経口摂取不能期間又は絶食期間に、糖質に対する慣らし投与及び/又はステップアップ投与(順化期間)をせずに投与することを特徴とする中心静脈投与輸液方法。
- 糖質、電解質及び必須アミノ酸組成からなり、1日投与量として、総カロリーが1000〜1400Kcalの範囲内にあり、55〜65gのアミノ酸を含有し、総水分量が1400〜1800mLであり、非蛋白カロリーと投与窒素量の比率(Cal/N比)が90〜160の範囲内である中心静脈投与用輸液製剤からなることを特徴とする中心静脈栄養療法用投与ユニット。
- 経口摂取不能期間又は絶食期間に、エネルギー要求量が低下状態にある患者に対する投与ユニットであって、糖質に対する慣らし投与及び/又はステップアップ投与(順化期間)をしないことを特徴とする請求項8に記載の投与ユニット。
- 経口摂取不能期間又は絶食期間が、消化器系又は循環器系の術後侵襲時であることを特徴とする請求項8又は9に記載の投与ユニット。
- 投与のために使用される輸液が、請求項1〜6のいずれかに記載の輸液であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の投与ユニット。
- 1日投与量として、2バッグ形態にしたことを特徴する請求項8〜11のいずれかに記載の投与ユニット。
- 経口摂取不能期間又は絶食期間に中心静脈投与用輸液製剤を投与するにあたり、糖質、電解質及び必須アミノ酸組成からなり、1日投与量として、総カロリーが1000〜1400Kcalの範囲内にあり、55〜65gのアミノ酸を含有し、総水分量が1400〜1800mLであり、非蛋白カロリーと投与窒素量の比率(Cal/N比)が90〜160の範囲内である中心静脈投与用輸液剤を投与することからなる、糖質に対する慣らし投与及び/又はステップアップ投与(順化期間)をしないことを特徴とする中心静脈栄養管理システム。
- 経口摂取不能期間又は絶食期間が、消化器系又は循環器系の術後侵襲時であることを特徴とする請求項13に記載の中心静脈栄養管理システム。
- アミノ酸組成として必須アミノ酸を豊富に含む組成であることを特徴とする請求項13又は14に記載の中心静脈栄養管理システム。
- アミノ酸組成としてアルギニンを強化したアミノ酸組成であることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の中心静脈栄養管理システム。
- さらに、ビタミン類を含有することを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の中心静脈栄養管理システム。
- さらに、微量元素類を含有することを特徴とする請求項13〜16に記載の中心静脈栄養管理システム。
- 糖質がブドウ糖であることを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の中心静脈栄養管理システム。
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