JP2008265271A - 流延ダイ、ドープ流延方法及び溶液製膜方法 - Google Patents

流延ダイ、ドープ流延方法及び溶液製膜方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶液製膜方法を用いて、効率良くフイルムをつくる。
【解決手段】流延ダイ81は、リップ板120、121と側板122、123とから構成され、流入口81aと流出口81bとを有する。インナーディッケル板130、131が、流入口81aと流出口81bとを連通する流路81cの両側端部に設けられる。インナーディッケル板130、側板122には、流路135、136が形成される。幅W1に形成される流路135は、スリット126と流路136とを連通し、流路136は、流路135と配管71bとを連通する。流路135の出口135aが、接液面130bに設けられている。インナーディッケル板130は、流路135と流路81cとを仕切る仕切部140を有する。仕切り部140の流出口81b側の先端であり、幅方向の略中央部には、鋭角な先端部140aが形成される。
【選択図】図5

Description

本発明は、流延ダイ、ドープ流延方法及び溶液製膜方法に関する。
ポリマーフイルム(以下、フイルムと称する)は、優れた光透過性や柔軟性および軽量薄膜化が可能であるなどの特長から光学機能性フイルムとして多岐に利用されている。中でも、セルロースアシレート、特に57.5%〜62.5%の平均酢化度を有するセルローストリアセテート(以下、TACと称する)から形成されるTACフイルムは、その強靭性と難燃性とから写真感光材料のフイルム用支持体として利用されている。また、TACフイルムは光学等方性に優れていることから、市場が急激に拡大している液晶表示装置の偏光板の保護フイルム,光学補償フイルム,視野角拡大フイルムなどの光学機能性フイルムに用いられている。
主なフイルムの製造方法としては、溶融押出方法と溶液製膜方法とがある。溶融押出方法とは、ポリマーをそのまま加熱溶解させた後、押出機で押し出してフイルムを製造する方法であり、生産性が高く、設備コストも比較的低額であるなどの特徴を有する。しかし、フイルムの厚さの精度を調節することが難しく、また、フイルム上に細かいスジ(ダイライン)ができやすいため、光学機能性フイルムとして使用することができるような高品質のフイルムを製造することが困難である。一方、溶液製膜方法は、ポリマーと溶媒とを含んだポリマー溶液(以下、ドープと称する)を支持体上に流延ビードとして流延し、流延膜を形成し、流延膜が自己支持性を有するものとなった後、流延膜を支持体から剥がして乾燥し、フイルムとして巻き取る方法である。この溶液製膜方法は、溶融押出方法と比べて、光学等方性や厚み均一性に優れるとともに、含有異物の少ないフイルムを得ることができるため、フイルム、特に光学機能性フイルムの製造方法として、溶液製膜方法が採用されている。
ドープの粘弾性に起因して、ダイから流出する流延ビードの幅が流出口の幅よりも狭くなる、いわゆるネックインが発生することが知られている。このネックインが発生すると流延ビードの厚さは、中央部が薄く、両端部から全幅の略1%以下の部分(以下、耳部と称する)が厚くなる。このネックインの発生は、一般にはポリマーの物性の他、加工条件(流延ビードの長さや流延ダイのスリット幅など)と相関があり、例えば、ポリマーの弾性特性が小さくなる、或いは、流延ビードの引き取り張力、流延ビードの長さ、流延ダイのスリット幅が大きくなると、ネックインがより顕著に発生することが知られている。このネックインにより耳部が過剰に厚くなると、流延膜を湿潤フイルムとして剥ぎ取る時に千切れてしまうなどの剥ぎ取り故障が多発する。したがって、この剥ぎ取り故障を避けるために、流延ビードの両端部の厚さを調節する必要がある。
特許文献1ないし4には、流延ビードの耳部の厚みを調整する方法が開示されている。特許文献1では、流延ダイの内部に設けられるドープ流路の幅を流出口に向かうに従い次第に広がるように規制するディッケルを用いる方法が開示されている。特許文献2及び3では、幅方向にスライド可能なインナーディッケルを用いて、ドープ流路の幅を調節する方法が開示されている。特許文献4では、流延ダイの中を流れるドープを、流延ビードの中央部をなすドープの流れ(主流)と流延ビードの耳部をなすドープの流れ(副流)とに分け、副流の流量を調節する方法が開示されている。
特開2005−007808号公報 特開2001−79924号公報 特許3459960号公報 特開2005−279956号公報
近年において、液晶表示装置の需要の急速な増加に伴い、生産効率の高い溶液製膜方法が強く望まれている。また、液晶表示装置は、薄型化及び軽量化に移行している。したがって、厚さが薄い光学性機能フイルムを効率よく製造できる溶液製膜方法及び溶液製膜設備が検討されている。
溶液製膜方法の生産効率の向上のために、製膜速度の向上が検討されている。製膜速度は、流延工程が律速であることは周知であり、流延工程における支持体の走行の高速化(例えば、40m/分以上)を図ることにより、生産効率を向上することができる。しかしながら、支持体の走行の高速化に伴って、流延膜と流延ドラムの周面の密着性が低下する。流延膜と周面との密着性が低下すると、流延ドラムの周面の走行によって生じる同伴風が流延膜と周面との間に流入し、流延膜の厚みムラ故障となる。したがって、この密着性の低下分を補うために、支持体の走行方向上流側の流延ビードの面(以下、背面と称する)側を減圧する必要がある。
ところが、流延ビードの背面側を減圧した状態で溶液製膜方法を行うと、この減圧により生じる気流などにより、流延ビードが振動し不安定になる。流延ビードが不安定になると、流延膜の厚さにムラが生じ、結果としてフイルムの厚さムラ故障等となる。また、流延ビードの耳部は中央部に比べて振動しやすい。したがって、従来よりも薄い(例えば、60μm以下)フイルムを作る場合、流延ビードの厚さも従来に比べて薄くなるため、この流延ビードの不安定化がより顕著になり、厚さムラ故障が発生しやすくなる。
そこで、剥ぎ取り故障や厚さムラ故障を回避しながら、フイルムを効率よく製造する場合、流延ビードの中央部の厚さの調節とともに、流延ビードの耳部の厚さの調節を行う必要がある。
特許文献1に記載される耳部の厚みの調節方法では、流延ダイや流延ダイの内部に設けられるディッケルの交換或いはディッケルの調整を行わなければならず、耳部の厚みを適正化するために膨大な時間が費やされる。したがって、ドープの組成の変更や、フイルムの製造条件の変更の都度、耳部の厚み調節の時間が必要となるため、生産効率が低く、特に、多品種のフイルムの製造する場合には適していない。
特許文献2,3に記載される耳部の厚みの調節方法では、流延ダイの流路とディッケルとの間にわずかな隙間が存在する。溶液製膜方法で用いられるドープの粘度は、溶融押出方法におけるポリマーの溶融体に比べて低いため、溶液製膜方法において、隙間が存在する流路を通過したドープには、隙間に起因するスジが生じ、結果として、フイルムの表面にスジが生じてしまう。また、この隙間にドープが滞留することにより、流路内にドープのゲル化物などが発生する。このゲル化物がフイルムに混入すると、厚さムラ故障発生やフイルムの光学特性の劣化の原因となる。
加えて、安定した流延工程を行うため、流延ダイの流路やディッケルを、ドープからの圧力により変形しない硬質の材料(ステンレスなど)で形成することが必要になる。特許文献2,3に記載される耳部の厚みの調節方法では、ディッケルとディッケルの周囲に配される部品とが摺動する。ディッケルと周囲の部品と摺れにより、ディッケルや周囲の部品から削りカスが生じ、この削りカスがドープに混入するため好ましくない。この削りカスの発生を回避するために、樹脂などから形成されたディッケルなどを用いると、ドープからの圧力によりディッケル自体が変形してしまうため、耳部の厚さを所望のものに調節することは非常に困難である。
また、特許文献4に記載される耳部の厚みの調節方法は、主流と副流とにおけるドープ圧力を独立に調節ができないため、フイルムの製造条件(製膜速度、フイルム幅やフイルム厚さなど)に応じて、耳部の厚みのみを所望の条件に調節することが困難である。
本発明は、上記課題を解決するものであり、剥ぎ取り故障や厚さムラ故障を回避しつつ、光学機能性フイルムを効率よく製造することができる流延ダイ、ドープ流延方法及び溶液製膜方法を提供するものである。
本発明は、押出機を用いて、ポリマー及び溶媒を含むドープを、流延ダイに設けられるスロットに供給し、前記ドープを前記スロットの流出口から流出し、走行する支持体上に流延膜を形成するドープ流延方法において、前記スロットの流出口近傍に配される仕切り部材を用いて、前記スロットを前記流延ダイの幅方向に少なくとも両端部スロットと中央部スロットとの3区画に分け、前記中央部スロットに中央部ドープを供給し、前記両端部スロットに両端部ドープを供給し、前記中央部ドープ及び前記両端部ドープが前記流出口から流出する直前に、前記仕切り部材の鋭角状の鋭角状先端部を用いて、前記中央部スロットを通過した前記中央部ドープと、前記両端部スロットを通過した前記両端部ドープとを合流させることを特徴とする。
前記流出口から前記鋭角状先端部までの距離を0.1mm以上40mm以下とすることが好ましい。また、前記流延ダイの幅方向における前記両端部スロットの幅W1を0.1mm以上とすることが好ましい。なお、前記両端部スロットに対し、前記流延ダイの外部に設けられる外部押出機により前記両端部ドープを供給することが好ましい。加えて、前記中央部ドープを前記中央部スロットに供給する中央部押出機と前記外部押出機とを制御して、前記中央部スロットにおける前記中央部ドープの流量と、前記両端部スロットにおける前記両端部ドープの流量と、を独立して調節することが好ましい。
前記両端部ドープと前記中央部ドープとが同一のドープであることが好ましい。
前記両端部ドープが、前記中央部ドープの伸長粘度よりも高い伸長粘度を有することが好ましい。また、前記両端部ドープの伸長粘度をηe、前記中央部ドープの伸長粘度をηcとすると、ηe/ηcの値が3以下であることが好ましい。更に、前記中央部ドープは、前記ポリマーと良溶媒と貧溶媒とを含み、前記両端部ドープは、前記ポリマーと良溶媒と貧溶媒とを含み、前記両端部ドープにおける前記良溶媒及び前記貧溶媒に対する前記貧溶媒の濃度は、前記中央部ドープにおける前記良溶媒及び前記貧溶媒に対する前記貧溶媒の濃度よりも高いことが好ましい。加えて、前記両端部ドープにおける前記ポリマーの濃度は、前記中央部ドープにおける前記ポリマーの濃度よりも低いことが好ましい。
前記仕切り部材のうち、前記両端部スロットを構成する接液面及び前記中央部スロットを構成する接液面に、高分子化合物を含む膜が形成されたことが好ましい。
本発明の溶液製膜方法は、上記ドープ流延方法を用いて、前記流延膜が自己支持性を有した後に前記流延膜を前記支持体から剥がして乾燥し、フイルムとすることを特徴とする。
本発明の流延ダイは、ドープの供給口、マニホールド、スロット、流出口を含むドープ流路を有し、前記流出口がスリット状に形成されているダイ本体と、前記ダイ本体内の前記スロットに配置され、前記スロットを前記流延ダイの幅方向で少なくとも両端部スロットと、中央部スロットとの3区画にわけ、先端部が鋭角に形成され、この先端部と前記流出口との距離が0.1mm以上40mm以下である仕切り部材と、前記両端部スロットに前記ダイ本体の外部から前記ドープを供給するドープ供給路とを備えることを特徴とする。
前記流延ダイの幅方向における前記両端部スロットの幅を0.1mm以上とすることが好ましい。また、前記ドープ供給路に前記ドープを供給する外部押出機を有することが好ましい。更に、前記中央部スロットと連通する前記ドープの供給口に、前記ドープを供給する中央部押出機と、前記外部押出機及び前記中央部押出機と接続し、前記中央部スロットにおける前記ドープの流量と、前記両端部スロットにおける前記ドープの流量と、を独立して調節する流量制御部と、を有することが好ましい。加えて、前記仕切り部材のうち、前記両端部スロットを構成する接液面及び前記中央部スロットを構成する接液面に、高分子化合物が含まれる膜が形成されたことが好ましい。
本発明によれば、流延ダイに設けられるスロットを中央部スロットと両端部スロットとに仕切り、ドープ流出口側の先端部が鋭角に形成されている仕切り部材を介して、中央部スロットを通過した中央部ドープ及び両端部スロットを通過した両端部ドープを合流させてなる合流ドープをドープ流出口へおくるため、この合流ドープを1つの流延ビードとしてドープ流出口から流出することができる。また、両端部ドープの流量を中央部ドープの流量と独立して調節することができるため、流延ビードの耳部の厚さを所望のものに調節することが容易になる。したがって、本発明によれば、フイルムの耳部の厚さを容易に調節することが可能となり、厚みムラ故障や剥ぎ取り故障を回避しつつ、光学機能性フイルムを効率よく製造することができる。
以下に、本発明の実施態様について詳細に説明する。ただし、本発明はここに挙げる実施態様に限定されるものではない。
(ポリマー)
本実施形態においては、ポリマーとしてセルロースアシレートを用いており、セルロースアシレートとしては、トリアセチルセルロース(TAC)が特に好ましい。そして、セルロースアシレートの中でも、セルロースの水酸基の水素原子に対するアシル基の置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するものがより好ましい。なお、以下の式(I)〜(III)において、A及びBは、セルロースの水酸基の水素原子に対するアシル基の置換度を表わし、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。なお、TACの90重量%以上が0.1mm〜4mmの粒子であることが好ましい。
(I) 2.5≦A+B≦3.0
(II) 0≦A≦3.0
(III) 0≦B≦2.9
また、本発明に用いられるポリマーはセルロースアシレートに限定されるものではない。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位,3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部を炭素数2以上のアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位,3位及び6位それぞれについて、セルロースの水酸基がエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1である)を意味する。
全アシル化置換度、即ち、DS2+DS3+DS6は2.00〜3.00が好ましく、より好ましくは2.22〜2.90であり、特に好ましくは2.40〜2.88である。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)は0.28以上が好ましく、より好ましくは0.30以上、特に好ましくは0.31〜0.34である。ここで、DS2はグルコース単位の2位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「2位のアシル置換度」とも言う)であり、DS3は3位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「3位のアシル置換度」とも言う)であり、DS6は6位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「6位のアシル置換度」とも言う)である。
本発明のセルロースアシレートに用いられるアシル基は1種類だけでも良いし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていても良い。2種類以上のアシル基を用いるときは、その1つがアセチル基であることが好ましい。2位,3位及び6位の水酸基による置換度の総和をDSAとし、2位,3位及び6位の水酸基のアセチル基以外のアシル基による置換度の総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は、より好ましくは2.22〜2.90であり、特に好ましくは2.40〜2.88である。また、DSBは0.30以上であり、特に好ましくは0.7以上である。さらにDSBはその20%以上が6位水酸基の置換基であるが、より好ましくは25%以上が6位水酸基の置換基であり、30%以上がさらに好ましく、特には33%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましい。また更に、セルロースアシレートの6位の置換度が0.75以上であり、さらには0.80以上であり特には0.85以上であるセルロースアシレートも挙げることができる。これらのセルロースアシレートにより溶解性の好ましい溶液(ドープ)が作製できる。特に非塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能となる。さらに粘度が低く、濾過性の良い溶液の作製が可能となる。
セルロースアシレートの原料であるセルロースは、リンター,パルプのどちらから得られたものでも良い。
本発明のセルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でも良く特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していても良い。これらの好ましい例としては、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどがより好ましく、特に好ましくはプロピオニル、ブタノイルである。
(溶媒)
ドープを調製する溶媒としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが挙げられる。なお、本発明において、ドープとはポリマーを溶媒に溶解または分散して得られるポリマー溶液,分散液を意味している。
これらの中でも炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく用いられ、ジクロロメタンが最も好ましく用いられる。TACの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フイルムの機械的強度など及びフイルムの光学特性などの物性の観点から、ジクロロメタンの他に炭素原子数1〜5のアルコールを1種ないし数種類混合することが好ましい。アルコールの含有量は、溶媒全体に対し2重量%〜25重量%が好ましく、5重量%〜20重量%がより好ましい。アルコールの具体例としては、メタノール,エタノール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノールなどが挙げられるが、メタノール,エタノール,n−ブタノールあるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
ところで、最近、環境に対する影響を最小限に抑えることを目的に、ジクロロメタンを使用しない場合の溶媒組成についても検討が進み、この目的に対しては、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル、炭素数1〜12のアルコールが好ましく用いられる。これらを適宜混合して用いることがある。例えば、酢酸メチル,アセトン,エタノール,n−ブタノールの混合溶媒が挙げられる。これらのエーテル、ケトン,エステル及びアルコールは、環状構造を有するものであってもよい。また、エーテル、ケトン,エステル及びアルコールの官能基(すなわち、−O−,−CO−,−COO−及び−OH)のいずれかを2つ以上有する化合物も、溶媒として用いることができる。
なお、セルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号の[0140]段落から[0195]段落に記載されている。これらの記載も本発明にも適用できる。また、溶媒及び可塑剤,劣化防止剤,紫外線吸収剤(UV剤),光学異方性コントロール剤,レターデーション制御剤,染料,マット剤,剥離剤,剥離促進剤などの添加剤についても、同じく特開2005−104148号の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されている。
(ドープ製造方法)
図1にドープ製造ライン10を示す。ドープ製造ライン10には、溶媒を貯留するための溶媒タンク11と、溶媒とTACなどとを混合するための溶解タンク13と、TACを供給するためのホッパ14、添加剤液を貯留するための添加剤タンク15と、後述する膨潤液を加熱するための加熱装置18と、調製されたドープの温度を調整する温調機19と、ドープを濾過する濾過装置20と、ドープを濃縮するフラッシュ装置21,濃縮後のドープを濾過する濾過装置22などが備えられている。また、溶媒を回収するための回収装置23と、回収された溶媒を再生するための再生装置24とが備えられている。また、溶解タンク13の下流にはポンプ25が設けられ、フラッシュ装置21の下流にはポンプ26が設けられる。ポンプ25は溶解タンク13中の膨潤液28を加熱装置18に送り、ポンプ26はフラッシュ装置21中の濃縮後の濾過装置22に送る。そして、濾過装置20,22の下流側には、ストックタンク30が接続する。ドープ製造ライン10は、ストックタンク30を介してフイルム製造ライン32に接続されている。
初めに、溶媒タンク11と溶解タンク13とを接続する配管に設けられたバルブ35を開き、溶媒を溶媒タンク11から溶解タンク13に送る。次に、ホッパ14に入れられているTACを計量しながら溶解タンク13に送り込む。添加剤タンク15と溶解タンク13とを接続する配管に設けられたバルブ36の開閉操作を行って、必要量の添加剤溶液を添加剤タンク15から溶解タンク13に送り込む。なお、添加剤は溶液として送り込む方法以外にも、例えば添加剤が常温で液体の場合には、その液体の状態で溶解タンク13に送り込むことも可能である。また、添加剤が固体の場合には、ホッパ14を用いて溶解タンク13に送り込むことも可能である。添加剤を複数種類添加する場合には、添加剤タンク15中に複数種類の添加剤を溶解させた溶液を入れておくこともできる。または、多数の添加剤タンク15を用いてそれぞれに添加剤が溶解している溶液を入れて、それぞれ独立した配管により溶解タンク13に送り込むこともできる。
前述した説明においては、溶解タンク13に入れる順番が、溶媒(混合溶媒の場合も含めた意味で用いる)、TAC、添加剤であったが、この順番に限定されるものではない。TACを計量しながら溶解タンク13に送り込んだ後に、好ましい量の溶媒を送液することもできる。また、添加剤は必ずしも溶解タンク13に予め入れる必要はなく、後の工程でTACと溶媒との混合物に混合させることもできる。
溶解タンク13には、その外面を包み込むジャケット37と、モータ38により回転する第1攪拌翼39とが備えられている。さらに、溶解タンク13には、モータ40により回転する第2攪拌翼41が取り付けられていることが好ましい。なお、第1攪拌翼39は、アンカー翼であることが好ましく、第2攪拌翼41は、ディゾルバータイプのものを用いることが好ましい。ジャケット37に伝熱媒体を流して溶解タンク13内を−10℃以上55℃以下の範囲に温度調整することが好ましい。第1攪拌翼39,第2攪拌翼41を適宜選択して回転させることでTACが溶媒中で膨潤した膨潤液28を得ることができる。
膨潤液28をポンプ25により加熱装置18に送液する。加熱装置18は、ジャケット付き配管を用いることが好ましく、更に膨潤液28を加圧できる構成であることが好ましい。膨潤液28を加熱または加圧加熱条件下でTACなどを溶媒に溶解させてドープを得る。なお、この場合に膨潤液28の温度は、0℃以上97℃以下であることが好ましい。加熱溶解法及び冷却溶解法を適宜選択して行うことでTACを溶媒に十分溶解させることが可能となる。温調機19によりドープの温度を略室温とした後に、濾過装置20により濾過を行いドープ中の不純物を取り除く。濾過装置20の濾過フィルタの平均孔径が100μm以下であることが好ましい。また、濾過流量は、50L/時以上であることが好ましい。濾過後のドープは、バルブ46を介してストックタンク30に入れられる。
前記ドープは、後述する原料ドープとして用いることが可能である。しかしながら、膨潤液28を調製した後にTACを溶解させる方法は、TACの濃度を上昇させるほど時間がかかりコストの点で問題が生じる場合がある。その場合には、目的とするTAC濃度より低濃度のドープを調製した後に目的とする濃度のドープを調製する濃縮工程を行うことが好ましい。濾過装置20で濾過されたドープを、バルブ46を介してフラッシュ装置21に送液する。フラッシュ装置21内でドープ中の溶媒の一部を蒸発させる。蒸発した溶媒は、凝縮器(図示しない)により液体とした後に回収装置23で回収する。その溶媒は再生装置24によりドープ調製用の溶媒として再生を行い再利用することがコストの点から有利である。
濃縮されたドープをフラッシュ装置21からポンプ26を用いて抜き出す。さらに、ドープ中の泡抜きを行うことが好ましい。泡抜きは、公知のいずれの方法により行っても良く、例えば超音波照射法が挙げられる。その後に濾過装置22に送液して異物の除去を行う。なお、この際にドープの温度が0℃以上200℃以下であることが好ましい。そして、ストックタンク30にドープを入れる。
これらの方法により、TAC濃度が5重量%以上40重量%以下のドープを製造することができる。なお、製造されたドープ(以下、原料ドープと称する)48は、ストックタンク30に貯蔵される。
上述したドープ製造ライン10での、素材、原料、添加剤の溶解方法、濾過方法、脱泡、添加方法については、特開2005−104148号の[0517]段落から[0616]段落が詳しい。これらの記載も本発明に適用できる。
(フイルム製造工程)
次に、本発明のフイルム製造工程50について説明する。図2のように、フイルム製造工程50は、上記で得られた原料ドープ48から流延ドープ51を調製する流延ドープ調製工程52と、流延ドープ51を支持体上に流延して流延膜53を形成する流延工程54と、自己支持性を有する流延膜53を支持体から剥ぎ取って湿潤フイルム55とする剥取工程56と、湿潤フイルム55を乾燥して、フイルム57を得る乾燥工程58とを有する。なお、このフイルム57を巻き取り、フイルムロールとする巻取工程を行っても良い。
(溶液製膜方法)
図3に、本実施形態で用いるフイルム製造ライン32の概略図を示す。フイルム製造ライン32は、流延室62とパスローラ63とピンテンタ64と耳切装置65と乾燥室66と冷却室67と巻取室68とを有する。
ストックタンク30には、モータ30aで回転する攪拌翼30bとジャケット30cとが備えられており、その内部にはフイルム57の原料となる原料ドープ48が貯留されている。ストックタンク30は、常時、その外周面に設けられているジャケット30cにより、原料ドープ48の温度が略一定となるように調整されるとともに、攪拌翼30bが回転されているので、ポリマーなどの凝集を抑制しながら、原料ドープ48の均一な品質が保持されている。
ストックタンク30は、配管71a〜71cにより、流延室62と接続する。配管71aには、ギアポンプ73aと濾過装置74aとインラインミキサ75aが備えられている。同様にして、配管71bには、ギアポンプ73bと濾過装置74bとインラインミキサ75bとが備えられ、配管71cには、ギアポンプ73cと濾過装置74cとインラインミキサ75cとが備えられている。配管71a〜71cのインラインミキサ75a〜75cの上流側には添加剤供給ラインが接続する。添加剤供給ラインは、所定量の紫外線吸収剤、マット剤やレターデーション制御剤などの添加剤、或いはこれらを含む高分子溶液(以下、これらを混合添加剤と称する。)を、配管71a中の原料ドープ48へ添加する。インラインミキサ75aは、原料ドープ48と混合添加剤とを攪拌混合し、第1流延ドープ51aを調製する。同様にして、添加剤供給ラインは、適宜調製された混合添加剤などを、配管71b或いは配管71c中の原料ドープ48へ添加する。インラインミキサ75b、75cは、原料ドープ48とこれらの混合添加剤とを攪拌混合し、第2流延ドープ51b、第3流延ドープ51cを調製する。
ギアポンプ73a〜73cは、流延制御部79と接続する。流延制御部79の制御の下、ギアポンプ73a〜73cは、第1〜第3流延ドープ51a〜51cを所定の流量で、流延室62内に配される流延ダイ81へ送る。
流延室62には、第1〜第3流延ドープ51a〜51cを流延ビード80(図5参照)として流出する流延ダイ81と、支持体であり、第1〜第3流延ドープ51a〜51cから流延膜53を形成するキャスティングドラム(以下、流延ドラムと称する)82と、流延ドラム82から流延膜53を剥ぎ取る剥取ローラ83と、流延室62の内部温度を所定の範囲に保つ温調設備86と流延室62内で気化している溶媒を凝縮して回収するための凝縮器(コンデンサ)87と凝縮液化した溶媒を回収する回収装置88とが備えられている。凝縮液化した溶媒は、回収装置88により回収され再生させた後に、ドープ調製用溶媒として再利用される。こうして、回収装置88は、流延室62内の雰囲気に含まれる溶媒の蒸気圧を、所定の範囲に保つ。
(流延ドラム)
流延ダイ81の下方には、略円柱状または略円筒状に形成される流延ドラム82が設けられる。流延ドラム82は、流延制御部79と接続する軸82aを有する。流延制御部79の制御の下、流延ドラム82は、周面82bが走行方向Z1に所定速度で走行するように、軸82aを中心に回転する。
また、流延ドラム82の周面82bの温度T1を所望の温度に保つために、流延ドラム82に伝熱媒体循環装置89が取り付けられている。この伝熱媒体循環装置89にて所望の温度に保持されている伝熱媒体が、流延ドラム82内の伝熱媒体流路を通過することにより、流延ドラム82の周面82bの温度T1を所望の温度に保持できる。
流延ドラム82の幅は特に限定されるものではないが、ドープの流延幅の1.1倍〜2.0倍の範囲のものを用いることが好ましい。周面82bの表面粗さは0.01m以下となるように研磨したものを用いることが好ましい。周面82bの表面欠陥は最小限に抑制する必要がある。具体的には、30μm以上のピンホールが無く、10μm以上30μm未満のピンホールは1個/m2以下であり、10μm未満のピンホールは2個/m2以下であることが好ましい。流延ドラム82の回転に伴う周面82b上下方向の位置変動は200μm以下であることが好ましい。流延ドラム82の速度変動を3%以下とし、流延ドラム82が一回転する際に生じる幅方向の蛇行は3mm以下とすることが好ましい。
流延ドラム82の材質は、ステンレス製であることが好ましく、十分な耐腐食性と強度とを有するようにSUS316製であることがより好ましい。流延ドラム82の周面82bは、クロムメッキ処理が施されていることが好ましい。これにより、周面82bは、流延ドープ51の流延に十分な耐腐食性と強度を有する。
(剥取ローラ)
剥取ローラ83は、流延ダイ81に対し、走行方向Z1下流側、流延ドラム82の周面82bの近傍に配される。剥取ローラ83は、流延ドラム82上の流延膜53を剥ぎ取り、湿潤フイルム55とする。
流延室62の下流には、複数のパスローラ63と湿潤フイルム55を乾燥させてフイルム57とするピンテンタ64と耳切装置65とが順次設けられている。
剥取ローラ83は、湿潤フイルム55をパスローラ63に案内する。パスローラ63は、流延室62から送られる湿潤フイルム55を、ピンテンタ64に案内する。図示は省略するが、パスローラ63の近傍には、乾燥風供給装置が設けられる。乾燥風供給装置は、乾燥風をパスローラ63上の湿潤フイルム55にあてて、湿潤フイルム55を乾燥させる。
ピンテンタ64は、湿潤フイルム55の固定手段である複数のピン(図示しない)を有する。これらのピンは、環状のチェーンに取り付けられる。このチェーンの走行により、ピンは無端走行する。ピンテンタ64は、剥取ローラ83から送られた湿潤フイルム55の両側端部を、それぞれピンで突き刺して、湿潤フイルム55を固定する。そして、ピンテンタ64は、2つのチェーンを所定方向へ搬送する。ピンテンタ64には図示しない乾燥風供給装置が設けられる。乾燥風供給装置は、乾燥風をピンテンタ64内の湿潤フイルム55にあてて、湿潤フイルム55を乾燥させる。この乾燥により、湿潤フイルム55の残留溶媒量が減少し、湿潤フイルム55はフイルム57となる。
ピンテンタ64と乾燥室66との間には耳切装置65が設けられている。この耳切装置65には、クラッシャ95が備えられている。耳切装置65は、フイルム57の両側端部を切断し、切断した両側端部をクラッシャ95に送る。クラッシャ95は、切断した両側端部を粉砕し、フイルム細片とする。このフイルム細片は、溶媒により溶解された後、添加剤除去処理を施された後、ホッパ14(図1参照)などへ送られ、原料ドープ48の原料として再利用される。
なお、ピンテンタ64と耳切装置65との間に、このフイルム57を乾燥させながら延伸するクリップテンタ97を設けても良い。クリップテンタ97は、フイルム57の把持手段としてクリップを有する乾燥装置である。クリップテンタ97の所定条件下の延伸処理によって、フイルム57に所望の光学特性を付与することができる。
乾燥室66には、多数のローラ100と吸着回収装置101とが備えられている。さらに、乾燥室66に併設された冷却室67の下流には、強制除電装置(除電バー)104が設けられている。また、本実施形態では、強制除電装置104の下流側に、ナーリング付与ローラ105を設けている。
乾燥室66内の温度は、特に限定されるものではないが、50℃以上160℃以下の範囲であることが好ましい。乾燥室66においては、フイルム57は、ローラ100に巻き掛けられながら搬送されており、ここで蒸発して発生した溶媒成分である溶媒化合物は、吸着回収装置101により吸着回収される。溶媒化合物が除去された空気は、乾燥室66の内部に乾燥風として再度送風される。なお、乾燥室66は、乾燥温度を変えるために複数の区画に分割されていることがより好ましい。また、耳切装置65と乾燥室66との間に予備乾燥室(図示しない)を設けてフイルム57を予備乾燥すると、乾燥室66においてフイルム温度が急激に上昇することが防止されるので、これによりフイルム57の形状変化をより抑制することができる。
冷却室67はフイルム57を略室温まで冷却する。なお、乾燥室66と冷却室67との間に調湿室(図示しない)を設けても良い。調湿室でフイルム57に所望の湿度及び温度に調整された空気を吹き付ける。これにより、フイルム57のカールの発生や巻き取る際の巻き取り不良の発生を抑制できる。
強制除電装置104は、搬送されているフイルム57の帯電圧を所定の範囲(例えば、−3kV以上+3kV以下)にする。さらに、ナーリング付与ローラ105は、フイルム57の両縁にエンボス加工でナーリングを付与する。ナーリングされた箇所の凹凸が、1μm以上200μm以下であることが好ましい。
巻取室68の内部には、巻取ローラ107とプレスローラ108とが備えられている。この際には、プレスローラ108で所望のテンションを付与しつつ巻き取る。
(流延ダイ)
図4及び図5のように、流延ダイ81は、リップ板120、121と側板122、123とから構成され、配管71aからの流延ドープ51aが流入する流入口81aと、流入口81aと連通し、合流した第1〜第3流延ドープ51a〜51cが流延ビード80として流出する流出口81bとを有する。
リップ板120には、流入口81aから流出口81bへ向かって、第1〜第3流延ドープ51a〜51cと接触する接液面120a、120bが順次形成される。リップ板121には、流入口81aから流出口81bにかけて、第1〜第3流延ドープ51a〜51cと接触する接液面121a〜121dが形成される。各接液面120a〜120b、121a〜121dにより形成される流路81cは、流入口81aと流出口81bとを連通する。流路81cに設けられるマニホールド125の方向TDの接液面は、接液面120aと接液面121aとからなり、流路81cに設けられるスリット126の方向TDの接液面は、接液面120bと接液面121b〜121dとからなる。
接液面120bと接液面121bとにより、スリット126のスリット幅がSW1に、接液面120bと接液面121dとにより、スリット126のスリット幅がSW2に形成される。接液面121cと接液面120bとにより、スリット126のスリット幅が、流入口81aから流出口81bに向かうに従い、SW1からSW2となるように形成される。
インナーディッケル板130、131が、流延ダイ81の幅方向TDに対し、流路81cの両側端部に設けられる。インナーディッケル130、131は、図示しないパッキンを介して、リップ板120、121や側板122、123と密着するように設けられる。
インナーディッケル板130は、第1〜第3流延ドープ51a〜51cとを接触しうる接液面130a、130bを有する。同様にして、インナーディッケル板131は、第1〜第3流延ドープ51a〜51cとを接触しうる接液面131a、131bを有する。接液面130a、131aは、流路81cの幅が略一定になるように形成される。接液面130b、131bは、流路81cの幅が流入口81aから流出口81bに向かうに従い、徐々に広がるように形成される。接液面130a、130b、131a、131bは、マニホールド125及びスリット126の方向THの接液面を構成する。
インナーディッケル板130、側板122には、それぞれ、流路135、136が形成される。流延ダイ81の幅方向TDに対し、幅W1に形成される流路135は、スリット126と流路136とを連通し、流路136は、流路135と配管71bとを連通する。また、流路135の出口135aが、接液面130bに設けられている。インナーディッケル板130は、流路135と流路81cとを仕切る仕切部140を有する。仕切り部140の流出口81b側の先端であり、その先端の幅方向TDの略中央部には、鋭角な先端部140aが形成される。また、先端部140aは、流出口81bとの間隔がCL1となるように形成される。
同様にして、インナーディッケル板131、側板123には、それぞれ、流路145、146が形成される。流路145は、スリット126と流路146とを連通し、流路146は、流路145と配管71cとを連通する。また、流路145の出口145aが、接液面131bに設けられている。インナーディッケル板131は、流路145と流路81cとを仕切る仕切部150を有する。仕切り部150の流出口81b側の先端であり、その先端の幅方向TDの略中央部には、鋭角な先端部150aが形成される。また、先端部150aは、流出口81bとの間隔がCL1となるように形成される。
また、流延ダイ81の幅方向TDに対する、仕切り部140、150の肉厚D1は、2mm以下とすることが好ましい。肉厚D1が2mmを超えると、流延ビード80を安定に形成することができないためである。また、肉厚D1の下限は、流延ドープ51a〜51cからの圧力により、変形或いは破損しないものであればよい。
(材料)
流延ダイ81を構成するリップ板120、121とインナーディッケル板130、131を形成する材料に求められる材質として、流延ドープ51との接触による酸化や腐食等に耐えうること、そして、流延工程54において、寸法の変動が起こりにくい材料を用いることが好ましい。すなわち、リップ板120、121とインナーディッケル板130、131の形成材料としては、下記(条件1)〜(条件3)を満たすものを用いることが好ましい。
(条件1) 電解質水溶液での強制腐食試験でSUS316と略同等の耐腐食性を有するもの。
(条件2) ジクロロメタン、メタノール、水の混合液に3ヵ月浸漬しても気液界面にピッティング(孔開き)が生じない耐腐食性を有するもの。
(条件3) 熱膨張率が2×10−5(℃−1)以下であること。
したがって、リップ板120、121や、インナーディッケル板130、131を形成する材料としては、セラミックスやステンレス鋼、中でも、オーステナイト系ステンレス鋼、特に、SUS316やSUS316L等や析出硬化型のステンレス鋼のSUS630、SUS631等が好ましい。
更に、リップ板120、121やインナーディッケル板130、131の形成材料に求められる材質として、上記(条件1)〜(条件3)に加えて、下記条件を満たすことが好ましい。
(条件4) 加工時のリップ板120、121及びインナーディッケル板130,131の体積変化率が0.05%以下であること。
(条件5) インナーディッケル板130、131の硬さがリップ板120、121を傷つけない程度のものであること。
上記条件(4)より、リップ板120、121及びインナーディッケル板130,131の材料は、体積変化率が上記条件を満たすものであればよい。ここで体積変化率とは、x軸、y軸、z軸の直交座標系において、インナーディッケル板130,131の寸法変化量a、寸法変化量a、寸法変化量aの最大値である。また、寸法変化量aは、単位面積(1mm2 当たり)の外力F(略90N)をx軸に印加したときのインナーディッケル板130,131の寸法変化量をΔbとし、外力F印加前のx軸方向の寸法をbとするときに、Δb/bとして表される。同様にして、寸法変化量aは、外力Fをy軸に印加したときのインナーディッケル板130,131の寸法変化量をΔbとし、外力F印加前のy軸方向の寸法をbとするときに、Δb/bとして、寸法変化量aは、外力Fをz軸に印加したときのインナーディッケル板130,131の寸法変化量をΔbとし、外力F印加前のz軸方向の寸法をbとするときに、Δb/bとして表される。
また、上記条件(5)について、例えば、リップ板120、121の材料として、析出硬化型のステンレス鋼などを用いる場合には、インナーディッケル板130、131の形成材料として、ビッカース硬さ200Hv以上1000Hv以下のものを用いることが好ましい。したがって、インナーディッケル板130、131の形成材料として、ステンレス鋼やセラミックスなどを用いることが好ましい。なお、インナーディッケル板130、131の材料として、磁性を有する材料を用いることが好ましい。
流路81c、135、145の各接液面の仕上げ精度は、表面粗さで1μm以下、真直度はいずれの方向にも1μm/m以下であることが好ましい。上記仕上げ精度により、流出口81bから流出する第1〜第3流延ドープ51a〜51cから形成される流延膜53にスジやムラが生成することを防ぐことができる。リップ板120、121やインナーディッケル板130、131の流出口81b側の端面の平滑度は、最大2μm以下であることが好ましい。スリット126の間隙SW1,SW2の平均値が、自動調整により0.5mm〜3.5mmの範囲で調整可能なものを用いる。流延ダイ81のリップ先端の接液部の角部分について、Rはスリット126の全巾に亘り50μm以下のものを用いる。
また、リップ板120、121やインナーディッケル板130、131の流出口81b側の端面に、硬化膜を形成することがより好ましい。硬化膜の形成方法は、特に限定されるものではないが、セラミックスコーティング、ハードクロムメッキ、窒化処理方法などが挙げられる。硬化膜としてセラミックスを用いる場合には、研削でき気孔率が低く脆くなく耐腐食性が良く、かつ流延ダイ81と密着性が良く、ドープとの密着性がないものが好ましい。硬化膜の組成として、タングステン・カーバイド(WC),Al23 ,TiN,Cr23などが挙げられるが、特に好ましいものはWCである。WCコーティングは、溶射法で行うことができる。
流延ダイ81の幅は、特に限定されるものではないが、最終製品となるフイルムの幅の1.1倍以上2.0倍以下であることが好ましい。また、流延ダイ81の外周面には、伝熱媒体が通過するジャケット(図示しない)が設けられている。また、流延ダイ81には温調機160(図3参照)が取り付けられている。温調機160は、所定の温度の伝熱媒体をジャケットに供給する。さらに、厚み調整ボルト(ヒートボルト)を流延ダイ81の幅方向TDにおいて所定の間隔で設け、ヒートボルトによる自動厚み調整機構が流延ダイ81に備えられていることがより好ましい。ヒートボルトにより、流延ダイ81のスリット幅SW1、SW2や流路135や流路145の幅W1を所望の値にすることができる。ヒートボルトは予め設定されるプログラムによりギアポンプ73a〜73cの送液量に応じてプロファイルを設定し製膜を行うことが好ましい。また、フイルム製造ライン32中に図示しない厚み計(例えば、赤外線厚み計)のプロファイルに基づく調整プログラムによってフィードバック制御を行っても良い。流延エッジ部を除いて製品フイルムの幅方向の任意の2点の厚み差は1μm以内に調整し、幅方向厚みの最小値と最大値との差が3μm以下となるように調整することが好ましく、2μm以下に調整することがより好ましい。また、厚み精度は±1.5μm以下に調整されているものを用いることが好ましい。また、流延ダイ81内部における第1〜第3流延ドープ51a〜51cの剪断速度が1(1/秒)以上5000(1/秒)以下となるように調整されていることが好ましい。
(減圧チャンバ)
図3のように、減圧チャンバ165は、流延ダイ81に対し、走行方向Z1上流側に配される。減圧チャンバ165は、流延ビード80の背面側を、流延ビード80の走行方向Z1下流側の面(以下、前面と称する)側の圧力よりも−10Pa以上−2000Pa以下の範囲で減圧することができる。減圧チャンバ165は、図示しない制御部に接続する。図示しない制御部の制御の下、減圧チャンバ165は、所定の圧力で減圧する。なお、本明細書において、「流延ビード80の背面側を−X(Pa)以下に減圧する」とは、流延ビード80の前面側よりもX(Pa)以上低くなるように、背面側を減圧することをいう。
減圧チャンバ165にはジャケット(図示しない)を取り付けて、内部温度が所定の温度を保つように温度制御されることが好ましい。減圧チャンバ165の温度は特に限定されるものではないが、用いられている有機溶媒の凝縮点以上にすることが好ましい。
次に、以上のようなフイルム製造ライン32を使用してフイルム57を製造する方法の一例を以下に説明する。図3のように、ストックタンク30内の原料ドープ48は、攪拌翼30bの回転により常に均一化されている。原料ドープ48には、この攪拌の際にも可塑剤などの添加剤を混合させることもできる。また、ジャケット30c内に伝熱媒体が供給されており、原料ドープ48の温度を25℃以上35℃以下の範囲で略一定に保持している。
流延制御部79の制御の下、ギアポンプ73a〜73cは、濾過装置74a〜74cを介して、原料ドープ48を配管71a〜71cへ送る。濾過装置74a〜74cでは、原料ドープ48が濾過される。図示しない添加剤供給ラインは、マット剤液及び紫外線吸収剤溶液などを含む混合添加剤を配管71a〜71cに適宜送液する。インラインミキサ75a〜75cが、原料ドープ48と混合添加剤とを攪拌混合して、第1〜第3流延ドープ51a〜51cをつくる。このインラインミキサ75a〜75cにおいて、原料ドープ48の温度が、30℃以上40℃以下の範囲で略一定に保持されていることが好ましい。そして、第1〜第3流延ドープ51a〜51cは、ギアポンプ73a〜73cにより、流延室62内の流延ダイ81へ送られる。
回収装置88は、流延室62内の雰囲気に含まれる溶媒の蒸気圧を、所定の範囲で略一定に保持する。温調設備86は、流延室62内の雰囲気の温度を−10℃以上57℃以下の範囲で略一定に保持する。
温調機160は伝熱媒体の温度を略36℃に保持し、この伝熱媒体をジャケットに供給する。これにより、流延ダイ81の温度が略36℃に保持される。
流延制御部79の制御の下、流延ドラム82は軸82aを中心に回転する。この回転により、周面82bは、所定の速度(50m/分以上200m/分)で走行方向Z1へ走行する。また、伝熱媒体循環装置89により、周面82bの温度T1は、−10℃以上10℃以下の範囲内で略一定に保持される。
流延ダイ81は、流出口81bから第1〜第3流延ドープ51a〜51cを流延ビード80(図5参照)として、周面82bへ流出する。流延ドラム82の周面82b上には流延膜53が形成される。流延膜53は、周面82b上で冷却し、ゲル化が進行する。なお、流延ドープ51が流出口81bから流出する際の詳細については、後述する。
流延膜53は、自己支持性を有するものとなった後に、湿潤フイルム55として剥取ローラ83で支持されながら周面82bから剥ぎ取られ、パスローラ63へ送られる。パスローラ63は、送風機から所望の温度の乾燥風を送風することで湿潤フイルム55の乾燥を進行させながら、湿潤フイルム55をピンテンタ64に送る。
ピンテンタ64に送られた湿潤フイルム55は、その入口でピンなどの固定手段により両側端部を保持される。この固定手段により、湿潤フイルム55は、ピンテンタ64内を搬送されながら、所定の条件で乾燥処理が施され、フイルム57となる。そして、固定手段からの固定から開放されたフイルム57は、クリップテンタ97に送られる。クリップテンタ97では、その入口でクリップなどの担持手段により両側端部を担持される。この担持手段により、フイルム57は、クリップテンタ97内を搬送されながら、所定の条件で乾燥処理が施される。クリップテンタ97による搬送中のフイルム57には、担持手段による延伸処理が所定方向に施される。
フイルム57は、クリップテンタ97などで所定の残留溶媒量まで乾燥された後、耳切装置65に送り出される。フイルム57の両側端部は、耳切装置65によりその両縁が切断される。切断された側端部は、図示しないカッターブロワによりクラッシャ95に送られる。クラッシャ95により、フイルム57の両側端部は粉砕されてフイルム細片となる。このフイルム細片は、溶媒により溶解された後、添加剤除去処理を施された後、ホッパ14(図1参照)などへ送られ、原料ドープ48の原料として再利用される。
両側端部を切断除去されたフイルム57は、乾燥室66に送られ、さらに乾燥される。この乾燥により、フイルム57の残留溶媒量が、乾量基準で5重量%以下であることが好ましい。この乾量基準による残留溶媒量は、サンプリング時におけるフイルム重量をx、そのサンプリングフイルムを乾燥した後の重量をyとするとき{(x−y)/y}×100で算出される値である。十分に乾燥したフイルム57は、冷却室67に送られる。フイルム57は、冷却室67で略室温まで冷却される。
また、強制除電装置104により、フイルム57が搬送されている間の帯電圧が所定の範囲(例えば、−3kV〜+3kV)とされる。ナーリング付与ローラ105は、フイルム57の両縁にエンボス加工でナーリングを付与する。最後に、プレスローラ108で所望のテンションを付与しつつ、フイルム57を巻取室68内の巻取ローラ107で巻き取る。なお、巻き取り時のテンションは巻取開始時から終了時まで徐々に変化させることがより好ましい。
巻取ローラ107に巻き取られるフイルム57は、長手方向(流延方向)に少なくとも100m以上とすることが好ましい。また、フイルム57の幅は600mm以上であることが好ましく、1400mm以上3000mm以下であることがより好ましい。また、本発明は、3000mmより大きい場合にも効果がある。本発明は、フイルム厚さが薄くなるほど、その効果が発揮されるため、例えば、厚みが20μm以上80μm以下のフイルム57をつくる場合に本発明を用いることが好ましく、例えば、厚みが20μm以上60μm以下のフイルム57をつくる場合に本発明を用いることがより好ましく、厚みが20μm以上40μm以下のフイルム57をつくる場合に本発明を用いることがより好ましい。
図4及び図5のように、ギアポンプ73a(図3参照)により、第1流延ドープ51aは、配管71aを介して、流入口81aからマニホールド125に流入した後、スリット126へ流れる。第2流延ドープ51bは、ギアポンプ73b(図3参照)により、配管71bを介して、流路135へ流れる。流路135を流れる第2流延ドープ51bは、出口135aからスリット126へ流れ、先端部140aの近傍で、第1流延ドープ51aと合流する。同様にして、第3流延ドープ51cは、ギアポンプ73c(図3参照)により、配管71cを介して、流路145へ流れる。流路145を流れる第3流延ドープ51cは、出口145aからスリット126へ流れ、先端部150aの近傍で、第1流延ドープ51aと合流する。
先端部140a、先端部150aが鋭角に形成されているため、第1流延ドープ51aと流延ドープ51b及び流延ドープ51cとが、出口135a近傍や出口145a近傍で滞留せずに合流し、1つの流延ビード80として流出口81bから流出する。先端部140a、先端部150aが鋭角に形成されていない場合には、第1流延ドープ51aと第2流延ドープ51b及び第3流延ドープ51cとの合流部において、滞留が発生し、各ドープ51a〜51cの界面近傍にスジが形成されるため、流出口81bから1つの流延ドープ80として流出させることができない。
第2流延ドープ51b及び第3流延ドープ51cは、それぞれ、ギアポンプ73b及びギアポンプ73cによりスリット126へ送られる。したがって、流延制御部79の制御の下、ギアポンプ73b及びギアポンプ73cの操作により、第2流延ドープ51b及び第3流延ドープ51cの流量を、第1流延ドープ51aの流量と独立して調節することができるため、流出口81bから流出する流延ビード80の耳部の厚さを中央部の厚さと独立して調節することができる。
すなわち、本発明によれば、フイルム57における中央部、すなわち製品部と、耳切装置65などでロール巻取り前に切断される耳部との厚さを個別に調節することができる。また、耳部の厚さ調節は、流延ドープ51b及び流延ドープ51cの流量により調節可能であるため、耳部の厚さのみを過不足なく、容易に調節することができる。したがって、本発明によれば、剥ぎ取り故障や厚さムラ故障を回避しつつ、所望の厚さのフイルムを効率よく製造することができる。
ギアポンプ73a〜73cを用いて、各流路71a〜71cにおける第1〜第3流延ドープ51a〜51cの幅あたりの流量の調整により、Df1/Df2の値を0.75以上3以下にすることが好ましく、1以上2以下とすることがより好ましい。これにより、剥ぎ取り故障や厚さムラ故障をよりよく回避することができるため、好ましい。ここで、Df1はフイルム57の耳部における厚みであり、Df2はフイルム57の製品部における厚みである。また、中央部に対する耳部の厚さの調節は、フイルム57の厚さに限られず、流延ビード80の厚さに基づいて調節しても良い。
また、流路135及び145の幅W1が所定の範囲に調節されているため、流延ビード80を安定に形成することができる。幅W1は、0.1mm以上あることが好ましい。幅W1が0.1mm未満である場合には、第1流延ドープ51aとともに、第2流延ドープ51b及び第3流延ドープ51cが1つの流延ビード80として流出しないため好ましくない。なお、W1を大きくし、第2及び第3流延ドープ51b、51cからなる流延ビード80の部分は、流延ビード80の耳部のみに限らず、耳部及び製品部を含むものであってもよい。
また、先端部140aは、流出口81bとの間隔CL1が所定の範囲に調節されているため、第2流延ドープ51b及び第3流延ドープ51cの圧力を保持したまま、流出口81bから流出させることができる。
間隔CL1は、40mm以下であることが好ましい。また、流延ダイ81の流出口81bの圧力損失を考慮すると、間隔CL1は、20mm以下であることがより好ましく、5mm以下、更には3mm以下であることが好ましい。間隔CL1が40mmを超えると、中央部を形成する第1流延ドープ51aの流量と独立して調節した、第2流延ドープ51bや第3流延ドープ51cの流量が、流出口81bから流出するまで維持されず、結果として、流延ビード80の耳部の厚みを独自に調節することができなくなるためである。また、この先端部140aが流延ダイ81の外部に突出する、すなわち、流出口81bよりも流延ドラム82の周面82bに近い場合には、第1流延ドープ51a〜第3流延ドープ51cが分割して流出してしまい、1つの流延ビードとして流出することができない。なお、間隔CL1の下限は、流出口81bや先端部140aなどの加工精度に基づいて決定すればよく、例えば、0.1mm以上とすることが好ましい。
上記実施形態では、仕切り部140の肉厚D1と仕切り部150の肉厚D1とを等しくしたが、本発明はこれに限られず、所定の範囲内であれば、仕切り部140の肉厚D1と仕切り部150の肉厚D1とが異なっていてもよい。同様に、上記実施形態では、先端部140aと流出口81bとの間隔CL1、及び先端部150aと流出口81bとの間隔CL1を等しくしたが、本発明はこれに限られず、所定の範囲内であれば、先端部140aと流出口81bとの間隔CL1、及び先端部150aと流出口81bとの間隔CL1とが異なっていてもよい。
上記実施形態では、制御部35は流量調節装置と新側縁部ドープ供給処理とを行ったが、本発明はこれに限られず、仕切部の先端部と流出口との間隔を調節する仕切り部材シフト処理を行ってもよい。
上記実施形態では、フイルム57の両側端部となる流延ビード80の耳部の厚さを、流延ビード80の安定性、及び周面82bからの剥ぎ取り性が向上するように調節したが、本発明はこれに限らず、剥ぎ取り後の搬送性が向上するように流延ビード80の耳部の厚さを調節してもよい。また、第1流延ドープ51a、並びに、第2流延ドープ51b及び第3流延ドープ51cの添加剤を適宜選択することにより、要求される光学特性等を有するフイルムを、図3のようなフイルム製造ライン32にて、容易に製造することができる。たとえば、フイルムの光学特性等を向上させる添加剤を第1流延ドープ51aに添加し、周面82bからの剥ぎ取り性や剥ぎ取り後の搬送性を向上させる添加剤などを用いることができる。これにより、光学特性に優れたフイルムを生産効率よく製造することができる。
また、第2流延ドープ51bや第3流延ドープ51cの添加剤をリサイクル適性のよい化合物とすることにより、耳切装置65及びクラッシャ95により得られるフイルム細片の再利用が容易になる。このリサイクル適性のよい化合物としては、特に限定されないが、公知の添加剤を取り出し方法において容易に添加剤を取り出すことのできる化合物であれば良い。この化合物の具体的なものとして、例えば、図1の膨潤液28から添加剤を除去する場合は、濾過装置20、22など濾過が可能な化合物であればよい。
上記実施形態では、流路135、145の出口135a、145aが、接液面130b,131bに設けられているが、出口135a、145aは接液面130a、131aに設けられてもよい。
また、上記実施形態では、接液面130b、131を流路81cの幅が流入口81aから流出口81bに向かうに従い、徐々に広がるように形成したが、本発明はこれに限らず、略一定となるように形成しても良い。
上記実施形態では、インナーディッケル130に流路136を設けたが、本発明はこれに限られず、仕切部140を有する部材と、接液面130bを有する部材とを用いて流路135を形成してもよい。
流延ダイ81の流出口81bから流出する第1〜第3流延ドープ51a〜51cが、局所的に乾燥固化することを防止するために溶媒供給装置(図示しない)を流出口81bの端部近傍に取り付けることが好ましい。局所的に乾燥固化した異物がフイルムに混入すると、光学的特性が劣化するなどの異物混入故障となり、この異物が流出口81bに付着したまま流延工程をおこなうと、フイルム表面にスジが形成され、スジ故障となるためである。第1〜第3流延ドープ51a〜51cを可溶化する液法用溶媒(例えば、ジクロロメタン86.5重量部,メタノール13重量部,n−ブタノール0.5重量部の混合溶媒)を流延ビード80の端部とスリットとの気液界面に供給することが好ましい。なお、この液を供給するポンプの脈動率は5%以下のものを用いることが好ましい。また、第2流延ドープ51bや第3流延ドープ51cとして、この液法用溶媒を用いても良い。これにより、液法用溶媒の飛散に起因する故障を回避しながら、異物混入故障やスジ故障を防ぐことができる。
また、第2及び第3流延ドープ51b、51cの貧溶媒化合物の重量割合をHCeとし、第1流延ドープ51aの貧溶媒化合物の重量割合をHCcとするときに、HCe/HCcの値を1.05以上3以下にすることが好ましい。これにより、流延膜53の耳部がゲル化しやすくなるため、剥ぎ取り性を向上させることができる。なお、HCcは、第1流延ドープ51a中の溶媒に対する貧溶媒の濃度であり、HCeは、第2流延ドープ51b中の溶媒に対する貧溶媒の濃度である。なお、HCcが0重量%の場合も当然にして本発明に含まれる。
ある化合物が良溶媒化合物であるか貧溶媒化合物であるかは、ポリマーが全重量の5重量%となるように化合物とポリマーとを混合して、不溶解物が有る場合はその化合物は貧溶媒化合物であり、不溶解物がない場合はその化合物は良溶媒化合物であると判断することができる。
第1流延ドープ51a〜第3流延ドープ51cは、ポリマーと、溶媒とを含み、必要に応じて、添加剤が適宜添加される。第1流延ドープ51a〜第3流延ドープ51cは、同一のドープでもよいし、異なるドープでもよい。本発明は、同一のドープである第1流延ドープ51a〜第3流延ドープ51cの流量を独立して調節することに限られず、第1流延ドープ51a〜第3流延ドープ51cの組成割合に応じて、及び流量をそれぞれ調節してもよい。したがって、第1流延ドープ51aに含まれるポリマーは、第2流延ドープ51b及び第3流延ドープ51cと同一のポリマーでもよいし、異なるポリマーでもよい。また、第2流延ドープ51bに含まれるポリマーは、第3流延ドープ51cと同一のポリマーでもよいし、異なるポリマーでもよい。同様にして、第1流延ドープ51a〜第3流延ドープ51cに含まれる溶媒や添加剤は、それぞれ同一の化合物でもよいし、異なる化合物でもよい。
また、溶媒には、ポリマーを溶解する良溶媒が含まれる。この良溶媒は、複数の良溶媒の混合物でもよいし、単一の良溶媒でもよい。また、溶媒は、良溶媒と貧溶媒との混合物でもよく、この貧溶媒は、複数の貧溶媒の混合物でもよいし、なお、良溶媒、貧溶媒の詳細は後述する。
なお、第2流延ドープ51bの伸長粘度は、第1流延ドープ51aの伸長粘度よりも高いことが好ましい。第2流延ドープ51bの伸長粘度が、第1流延ドープ51aの伸長粘度よりも高くなることにより、流延ビード80の両側端部が安定化する結果、減圧チャンバ165からの減圧気流や、支持体の振動などの外乱による流延ビード80の振動等を抑えることができる。第1流延ドープ51aの伸長粘度をηc、第2流延ドープ51bの伸長粘度をηeとすると、ηe/ηcの値が1より大きく3以下であることが好ましい。
第2流延ドープ51bの伸長粘度を第1流延ドープ51aの伸長粘度よりも高くするために、第2流延ドープ51b中の溶媒に対する貧溶媒の濃度を、第1流延ドープ51a中の溶媒に対する貧溶媒の濃度よりも高くすることが好ましい。
第2流延ドープ51b中の溶媒に対する貧溶媒の濃度を、第1流延ドープ51a中の溶媒に対する貧溶媒の濃度よりも高くすることに加え、第2流延ドープ51bにおけるポリマーの濃度を、第1流延ドープ51aにおけるポリマーの濃度よりも低くすることにより、ネックインによる弊害を抑え、且つ、ポリマーの濃度の低下に起因する伸長粘度の低下分を補い、第2流延ドープ51b全体としての伸長粘度を向上させることができる。したがって、ネックインによる弊害を最低限に抑えつつ、流延ビード80の安定化を図ることができる。
上述した第2流延ドープ51bの伸長粘度、ポリマーの濃度、貧溶媒の濃度等の条件については、第3流延ドープ51cにもそのまま適用することができる。なお、第2流延ドープ51bと、第3流延ドープ51cとの伸長粘度、ポリマーの濃度、貧溶媒の濃度等の条件は、等しくてもよいし、異なってもよい。
各ドープ51a〜51cの伸長粘度は、ゼロせん断粘度μの3倍で与えられ、ゼロせん断粘度μはJIS K 7199で求めることができる。
(良溶媒)
ポリマーとしてセルロースアシレートを用いる場合、ポリマーの良溶媒成分としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素例えば、ジクロロメタン,クロロベンゼンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)を用いること好ましい。
(貧溶媒)
ポリマーとしてセルロースアシレートを用いる場合、ポリマーの貧溶媒成分としては、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)やケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)を用いることが好ましい。
なお、ドープの溶媒としては、ポリマーがセルロースアシレート以外の化合物であっても同様であり、貧溶媒及び良溶媒としては、上述した貧溶媒及び良溶媒の判断方法によって決定される化合物を用いればよい。
上記実施形態では、仕切り部140、150の流出口81b側の先端であり、流延ダイ81の幅方向TDの略中央部には、鋭角な先端部140a、150aを形成したが、本発明はこれに限られない。次に、流延ダイの第2〜第4の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同一の部品や部材には同一の符号を付し、その詳細の説明を省略する。
図6のように、流延ダイ281は、リップ板120、121と側板122、123とから構成され、配管71aからの第1流延ドープ51aが流入する流入口81aと、第1〜第3流延ドープ51a〜51cが流延ビード80として流出する流出口81bとを有する。インナーディッケル板230、231が、幅方向TDに対し、流路81cの両側端部に設けられる。インナーディッケル板230は、第1〜第3流延ドープ51a〜51cとを接触しうる接液面230a、230bを有する。同様にして、インナーディッケル板231は、第1〜第3流延ドープ51a〜51cとを接触しうる接液面231a、231bを有する。接液面230a、231aは、流路81cの幅が略一定になるように形成される。接液面230b、231bは、流路81cの幅が流入口81aから流出口81bに向かうに従い、徐々に広がるように形成される。
インナーディッケル板230、側板122には、それぞれ、流路235、136が形成される。幅W1に形成される流路235は、スリット126と流路136とを連通し、流路136は、流路235と配管71bとを連通する。また、流路235の出口235aが、接液面230bに設けられている。インナーディッケル板230は、流路235と流路81cとを仕切る仕切部240を有する。仕切り部240の流出口81b側の先端であり、流路81c側に、鋭角な先端部240aが形成される。出口235a近傍では、流路235の幅が、流出口81bに向かうに従い徐々に広がるように形成されている。また、先端部240aは、流出口81bとの間隔がCL1となるように形成される。
同様にして、図7のように、流延ダイ381は、リップ板120、121と側板122、123とから構成され、配管71aからの第1流延ドープ51aが流入する流入口81aと、第1〜第3流延ドープ51a〜51cが流延ビード80として流出する流出口81bとを有する。インナーディッケル板330、331が、幅方向TDに対し、流路81cの両側端部に設けられる。インナーディッケル板330は、第1〜第3流延ドープ51a〜51cとを接触しうる接液面330a、330bを有する。同様にして、インナーディッケル板331は、第1〜第3流延ドープ51a〜51cとを接触しうる接液面331a、331bを有する。接液面330a、331aは、流路81cの幅が略一定になるように形成される。接液面330b、331bは、流路81cの幅が流入口81aから流出口81bに向かうに従い、徐々に広がるように形成される。
インナーディッケル板330、側板122には、それぞれ、流路335、136が形成される。幅W1に形成される流路335は、スリット126と流路136とを連通し、流路136は、流路335と配管71bとを連通する。また、流路335の出口335aが、接液面330bに設けられている。インナーディッケル板330は、流路335と流路81cとを仕切る仕切部340を有する。仕切り部340の流出口81b側の先端であり、流路81c側には、鋭角な先端部340aが形成される。また、先端部340aは、流出口381bとの間隔がCL1となるように形成される。また、流延ビード80の幅方向に対する、仕切り部240、250の肉厚D1は、2mm以下とすることが好ましい。
図8のように、流延ダイ481は、リップ板120、121と側板122、123とから構成され、配管71aからの第1流延ドープ51aが流入する流入口81aと、第1〜第3流延ドープ51a〜51cが流延ビード80として流出する流出口81bとを有する。インナーディッケル板430、431が、幅方向TDに対し、流路81cの両側端部に設けられる。
インナーディッケル板430には、流延ダイ481に設けられる流路81cと流路135とを仕切る仕切部440が設けられる。仕切り部440の流出口81b側の先端であり、その先端の幅方向TDの略中央部には、鋭角な先端部440aが形成される。また、先端部440aは、流出口81bとの間隔がCL1となるように形成される。接液面444は、仕切部440の先端部440aから流路135の上流側に向かって形成され、接液面445は、仕切部440の先端部440aから流路81cの上流側に向かって形成される。同様にして、インナーディッケル板431には、流延ダイ481に設けられる流路81cと流路145とを仕切る仕切部450が設けられる。仕切り部450の流出口81b側の先端であり、その先端の幅方向TDの略中央部には、鋭角な先端部450aが形成される。また、先端部450aは、流出口81bとの間隔がCL1となるように形成される。接液面454は、仕切部450の先端部450aから流路145の上流側に向かって形成され、接液面455は、仕切部450の先端部450aから流路81cの上流側に向かって形成される。
接液面444,445,454,455は、高分子化合物等によりコーティングされることが好ましい。この高分子化合物としては、テフロン(登録商標)などがある。コーティング処理によって、接液面444,445,454,455に形成されるコーティング膜の厚さは、製造工程の条件等に応じて適宜決定すればよい。幅方向TDにおける流延ビード80の膜厚分布は、第1流延ドープ51a〜第3流延ドープ51cとからなる合流ドープの幅方向TDにおける流速分布と相関があり、合流ドープの流速が小さい領域から形成される流延ビード80の膜厚は薄くなり、合流ドープの流速が大きい領域の流延ビード80の膜厚は厚くなる。高分子化合物によりコーティングされた接液面444,445,454,455を有するインナーディッケル板430、431を用いることにより、合流ドープの流速の幅方向TDにおける流速分布を略均一にすることができる。したがって、流延ダイ481を用いることにより、幅方向TDにおける流延ビード80の膜厚分布を略均一にすることが可能となり、結果として、幅方向TDにおける厚みムラのないフイルムをつくることができる。
本発明は、ドープを流延する際に、2種類以上のドープを同時に共流延させて積層させる同時積層共流延、または、複数のドープを逐次に共流延して積層させる逐次積層共流延を行うことができる。なお、両共流延を組み合わせてもよい。同時積層共流延を行う場合には、フィードブロックを取り付けた流延ダイを用いてもよいし、マルチマニホールド型の流延ダイを用いてもよい。ただし、共流延により多層からなるフイルムは、空気面側の層の厚さと支持体側の層の厚さとの少なくともいずれか一方が、フイルム全体の厚みの0.5〜30%であることが好ましい。また、同時積層共流延を行う場合には、ダイスリットから支持体にドープを流延する際に、高粘度ドープが低粘度ドープにより包み込まれることが好ましく、ダイスリットから支持体にかけて形成される流延ビードのうち、外界と接するドープが内部のドープよりもアルコールの組成比が大きいことが好ましい。
減圧チャンバ、支持体などの構造、共流延、剥離法、延伸、各工程の乾燥条件、ハンドリング方法、カール、平面性矯正後の巻取方法から、溶媒回収方法、フイルム回収方法まで、特開2005−104148号の[0617]段落から[0889]段落に詳しく記述されている。これらの記載も本発明に適用できる。
[性能・測定法]
巻き取られたセルロースアシレートフイルムの性能及びそれらの測定法は、特開2005−104148号の[0112]段落から[0139]段落に記載されている。これらも本発明にも適用できる。
[表面処理]
前記セルロースアシレートフイルムの少なくとも一方の面が表面処理されていることが好ましい。前記表面処理が真空グロー放電処理、大気圧プラズマ放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、火炎処理、酸処理またはアルカリ処理の少なくとも一種であることが好ましい。
[機能層]
(帯電防止・硬化層・反射防止・易接着・防眩)
前記セルロースアシレートフイルムの少なくとも一方の面が下塗りされていても良い。
さらに前記セルロースアシレートフイルムをベースフイルムとして、他の機能性層を付与した機能性材料として用いることが好ましい。前記機能性層が帯電防止層、硬化樹脂層、反射防止層、易接着層、防眩層及び光学補償層から選択される少なくとも1層を設けることが好ましい。
前記機能性層が、少なくとも一種の界面活性剤を0.1mg/m〜1000mg/m含有することが好ましい。また、前記機能性層が、少なくとも一種の滑り剤を0.1mg/m〜1000mg/m含有することが好ましい。さらに、前記機能性層が、少なくとも一種のマット剤を0.1mg/m〜1000mg/m含有することが好ましい。さらには、前記機能性層が、少なくとも一種の帯電防止剤を1mg/m〜1000mg/m含有することが好ましい。セルロースアシレートフイルムに、種々様々な機能、特性を実現するための表面処理機能性層の付与方法は、上記以外にも、特開2005−104148号の[0890]段落から[1087]段落に詳細な条件、方法も含めて記載されている。これらも本発明に適用できる。
(用途)
前記セルロースアシレートフイルムは、特に偏光板保護フイルムとして有用である。セルロースアシレートフイルムを偏光子に貼り合わせた偏光板を、液晶層に通常は2枚貼って液晶表示装置を作製する。ただし、液晶層と偏光板との配置は限定されるものではなく、公知の各種配置とすることができる。特開2005−104148号には、液晶表示装置として、TN型,STN型,VA型,OCB型,反射型、その他の例が詳しく記載されている。この方法は、本発明にも適用できる。また、同出願には光学的異方性層を付与した、セルロースアシレートフイルムや、反射防止、防眩機能を付与したセルロースアシレートフイルムについての記載もある。更には適度な光学性能を付与し二軸性セルロースアシレートフイルムとして光学補償フイルムとしての用途も記載されている。これは、偏光板保護フイルムと兼用して使用することもできる。これらの記載は、本発明にも適用できる。特開2005−104148号の[1088]段落から[1265]段落に詳細が記載されている。
また、本発明は、上記のような光学フイルムのほか、溶液製膜方法で製造されるポリマーフイルムであってもよい。例えば、燃料電池に用いられるプロトン伝導材料としての固体電解質フイルムなどがある。なお、本発明に用いられるポリマーはセルロースアシレートに限定されるものではなく、公知のポリマーを用いることができる。
次に、本発明の実施例を説明する。なお、以下の各実施例において、実施例1〜16は本発明の実施形態の例であり、比較例1〜12は、実施例1〜16に対する比較実験である。また、説明は実施例1で詳細に行い、本発明に係る実施例2〜16及び比較例1〜12については、実施例1と同じ条件の箇所の説明は省略する。
次に、本発明の実施例1について説明する。フイルム製造に使用したポリマー溶液(ドープ)の調製に際しての配合を下記に示す。
[ドープの調製]
原料ドープ48の調製に用いた化合物の処方を下記に示す。
セルローストリアセテート(置換度2.8) 89.3重量%
可塑剤A(トリフェニルフォスフェート) 7.1重量%
可塑剤B(ビフェニルジフェニルフォスフェート) 3.6重量%
の組成比からなる固形分A(溶質)を
ジクロロメタン 87重量%
メタノール 12重量%
n−ブタノール 1重量%
からなる混合溶媒Aに適宜添加し、攪拌溶解して原料ドープ48を調製した(以下、組成Aの原料ドープ48と称する)。なお、組成Aの原料ドープ48の固形分濃度は19.3重量%になるように調整した。組成Aの原料ドープ48を濾紙(東洋濾紙(株)製,#63LB)にて濾過後さらに焼結金属フィルタ(日本精線(株)製06N,公称孔径10μm)で濾過し、さらにメッシュフイルタで濾過した後にストックタンク30に入れた。
[セルローストリアセテート]
なお、ここで使用したセルローストリアセテートは、残存酢酸量が0.1重量%以下であり、Ca含有率が58ppm、Mg含有率が42ppm、Fe含有率が0.5ppmであり、遊離酢酸40ppm、さらに硫酸イオンを15ppm含むものであった。また6位水酸基の水素に対するアセチル基の置換度は0.91であった。また、全アセチル基中の32.5%が6位の水酸基の水素が置換されたアセチル基であった。また、このTACをアセトンで抽出したアセトン抽出分は8重量%であり、その重量平均分子量/数平均分子量比は2.5であった。また、得られたTACのイエローインデックスは1.7であり、ヘイズは0.08、透明度は93.5%であった。このTACは、綿から採取したセルロースを原料として合成されたものである。以下の説明において、これを綿原料TACと称する。
フイルム製造ライン32を用いてフイルム57を製造した。ギアポンプ73a〜73cは、その1次側を増圧するインバーターモータを有している。インバーターモータにより1次側の圧力が所定の圧力になるようにフィードバック制御を行い、組成Aの原料ドープ48を配管71a〜73aに送液した。ギアポンプ73a〜73cは容積効率99.2%、流出量の変動率0.5%以下の性能であるものを用いた。また、流出圧力は1.5MPaであった。流延制御部79の制御の下、ギアポンプ73a〜73cは、組成Aの原料ドープ48をインラインミキサ75a〜75cへ送った。濾過装置74a〜74cでは組成Aの原料ドープ48を濾過した。
添加剤供給ラインは、各添加剤を配管71a〜71c内に送液した。インラインミキサ75a〜75cにより、組成Aの原料ドープ48とこの添加剤とを混合攪拌し、第1〜第3流延ドープ51a〜51cを得た。
流出装置として、体積変化率0.002%の析出硬化型のステンレス鋼から形成されたリップ板120、121や、側板122、123と、インナーディッケル板130、131とを備える流延ダイ81を用いた。リップ板120、121やインナーディッケル板130、131の接液面の仕上げ精度は、表面粗さで1μm以下、真直度はいずれの方向にも1μm/m以下であった。この流延ダイ81について、フイルム57の膜厚Df1及びDf2が80μmとなるように、スリット幅SW1、SW2及び第1〜第3流延ドープ51a〜51cの流量を調整して流延工程を行った。第1〜第3流延ドープ51a〜51cの温度を36℃に調整するために、流延ダイ81にジャケット(図示しない)を設けてジャケット内に供給する伝熱媒体の温度を略36℃とした。流路135、145の幅W1は、5mmであり、先端部140aと流出口81b及び先端部150aと流出口81bの距離CL1は、2mmであった。また、仕切部140及び150の厚みD1は、2mmであった。
体積変化率の算出のためのリップ板120、121及びインナーディッケル板130,131の寸法、及びその変化量の計測は、分解能1μmのマイクロスコープを用いた。
温調機160により、製膜中における流延ダイ81と配管71a〜71cとの温度は略36℃に保温した。流延ダイ81は、コートハンガータイプのダイを用いた。流延ダイ81には、厚み調整ボルトが20mmピッチに設けられており、ヒートボルトによる自動厚み調整機構を具備しているものを使用した。このヒートボルトは、予め設定したプログラムによりギアポンプ73の送液量に応じたプロファイルを設定することもでき、フイルム製造ライン32に設置した赤外線厚み計(図示しない)のプロファイルに基づいた調整プログラムによってフィードバック制御も可能な性能を有するものを用いた。端部20mmを除いたフイルムにおいては、50mm離れた任意の2点の厚み差は1μm以内であり、幅方向における厚みのばらつきが3μm/m以下となるように調整した。また、全体厚みは±1.5%以下に調整した。
また、流延ダイ81の1次側には、この部分を減圧するための減圧チャンバ165を設置した。この減圧チャンバ165の減圧度は、流延ビードの前後で1Pa〜5000Paの圧力差が生じるように調整され、この調整は流延速度に応じてなされる。その際に、流延ビードの長さが20mm〜50mmとなるように流延ビードの両面側の圧力差を設定した。減圧チャンバ165の内部温度を所定の温度で一定にするためにジャケット(図示しない)を取り付けた。そのジャケット内には35℃に調整された伝熱媒体を供給した。また、減圧チャンバ165は、流延部周囲のガスの凝縮温度よりも高い温度に設定できる機構を具備したものを用いた。流出口81bにおけるビードの前面部、背面部にはラビリンスパッキン(図示しない)を設けた。
リップ板120、121、側板122、123や、インナーディッケル板130、131の形成材料として、熱膨張率が2×10−5(℃−1)以下の析出硬化型のステンレス鋼を用いた。これは、電解質水溶液での強制腐食試験でSUS316製と略同等の耐腐食性を有するものであった。また、ジクロロメタン,メタノール,水の混合液に3ヶ月浸漬しても気液界面にピッティング(孔開き)が生じない耐腐食性を有していた。流延ダイ81の接液面の仕上げ精度は表面粗さで1μm以下、真直度はいずれの方向にも1μm/m以下であり、スリットのクリアランスは1.5mmに調整した。流延ダイ81のリップ先端の接液部の角部分については、Rはスリット全巾に亘り50μm以下になるように加工されているものを用いた。流延ダイ81内部での第1〜第3流延ドープ51a〜51cの剪断速度は1(1/秒)〜5000(1/秒)の範囲であった。また、流延ダイ81のリップ先端には、溶射法によりWC(タングステンカーバイト)コーティングをおこない硬化膜を設けた。
支持体として幅3.0mのステンレス製の円柱体を流延ドラム82として利用した。流延ドラム82の周面82aは、表面粗さが0.05μm以下になるように研磨されている。流延ドラム82の材質はSUS316製であり、十分な耐腐食性と強度を有するものを用いた。流延ドラム82の径方向の厚みムラは0.5%以下であった。流延ドラム82は、流延制御部79の制御の下、軸82aの駆動により回転させた。流延速度、すなわち、周面82bの走行方向Z1における速度は、50m/分以上200m/分以下とした。このときに、周面82bの速度変動を0.5%以下とした。また1回転の幅方向の蛇行が、1.5mm以下に制限されるように流延ドラム82の両端位置を検出して制御した。流延ダイ81の直下におけるダイリップ先端と周面82bとの上下方向の位置変動は200μm以下にした。流延ドラム82は、風圧変動抑制手段(図示しない)を有した流延室62内に設置した。
流延ドラム82は、周面82bの温度T1の調整を行うことができるように、内部に伝熱媒体を送液できるものを用いた。伝熱媒体循環装置89は、流延ドラム82に、−10℃以上10℃以下の伝熱媒体を流した。流延直前の流延ドラム82中央部の表面温度は0℃であり、その両側端の温度差は6℃以下であった。なお、流延ドラム82には、表面欠陥がないものが好ましく、30μm以上のピンホールは皆無であり、10μm〜30μmのピンホールは1個/m2以下、10μm未満のピンホールは2個/m2以下であるものを用いた。
流延ドラム82上での乾燥雰囲気における酸素濃度は5vol%に保持した。なお、この酸素濃度を5vol%に保持するために空気を窒素ガスで置換した。また、流延室62内の溶媒を凝縮回収するために、凝縮器(コンデンサ)87を設け、その出口温度を−3℃に設定した。流延ダイ81近傍の静圧変動は、±1Pa以下に抑制した。
流延ダイ81は、流延ドープ51を周面82b上に流延し、流出口81bから周面82bに掛けて流延ビード80が形成した。流延ビード80の側端部には、ジクロロメタンが50重量%、メタノールが50重量%の溶液を、所定の範囲で略一定の流量で供給した。流延ドラム82の周面82b上には流延膜53が形成した。減圧チャンバ165は、流延ビード80の背面側を減圧した。冷却により、流延膜53が自己支持性を有するものとなった後に流延ドラム82から剥取ローラ83で支持しながら湿潤フイルム55として剥ぎ取った。剥取不良を抑制するために流延ドラム82の速度に対して剥取速度(剥取ローラドロー)は100.1%〜110%の範囲で適切に調整した。流延室62内で気化した溶媒化合物は−3℃の凝縮器87で凝縮液化して回収装置88で回収した。回収された溶媒は、水分量が0.5%以下となるように調整した。また、溶媒が除去された乾燥風は、再度加熱して乾燥風として再利用した。湿潤フイルム55をパスローラ63の2本のローラを介して搬送し、ピンテンタ64に送った。このパスローラ63では送風機から60℃の乾燥風を湿潤フイルム55に送風した。
ピンテンタ64に送られた湿潤フイルム55は、ピンでその両端を担持されながら、ピンテンタ64内の設けられる各区画を順次通過した。ピンテンタ64内の搬送の間、湿潤フイルム55に所定の乾燥処理を施した後、残留溶媒量が5重量%以下のフイルム57としてピンテンタ64から耳切装置65へ送り出した。
ピンテンタ64内で蒸発した溶媒は、凝縮回収用に凝縮器(コンデンサ)を設け、−3℃の温度で凝縮させ液化して回収した。そして凝縮溶媒は、含まれる水分量が0.5重量%以下に調整されて再使用された。
ピンテンタ64の出口から30秒以内にフイルム57の両端の耳切を耳切装置65で行った。NT型カッターにより両側50mmの耳をカットし、カットした耳はカッターブロワ(図示しない)によりクラッシャ95に風送して平均80mm2 程度のチップに粉砕した。このチップは、再度ドープ調製用原料としてTACフレークと共にドープ製造の際の原料として利用した。後述する乾燥室66で高温乾燥させる前に、100℃の乾燥風が供給されている予備乾燥室(図示しない)でフイルム57を予備加熱した。
フイルム57を乾燥室66で高温乾燥した。乾燥室66を4区画に分割して、上流側から120℃,130℃,130℃,130℃の乾燥風を送風機(図示しない)から給気した。フイルム57のローラ100による搬送テンションを100N/mとして、最終的に残留溶媒量が0.3重量%になるまで約5分間乾燥した。ローラ100のラップ角度(フイルムの巻き掛け中心角)は、80°〜190°とした。ローラ100の材質はアルミ製もしくは炭素鋼製であり、表面にはハードクロム鍍金を施した。ローラ100の表面形状はフラットなものとディンプル加工したものとを用いた。ローラ100の回転によるフイルム位置の振れは、全て50μm以下であった。また、テンション100N/mでのローラ撓みは0.5mm以下となるように選定した。
乾燥風に含まれる溶媒ガスは、吸着回収装置101を用いて吸着回収除去した。ここに使用した吸着剤は活性炭であり、脱着は乾燥窒素を用いて行った。回収した溶媒は、水分量を0.3重量%以下に調整してドープ調製用溶媒として再利用した。乾燥風には、溶媒ガスの他、可塑剤,UV吸収剤,その他の高沸点物が含まれるので冷却除去する冷却器およびプレアドソーバでこれらを除去して再生循環使用した。そして、最終的に屋外排出ガス中のVOC(揮発性有機化合物)は10ppm以下となるよう、吸脱着条件を設定した。また、全蒸発溶媒のうち、凝縮法で回収する溶媒量は90重量%であり、残りのものの大部分は吸着回収により回収した。
乾燥されたフイルム57を第1調湿室(図示しない)に搬送した。乾燥室66と第1調湿室との間の渡り部には、110℃の乾燥風を給気した。第1調湿室には、温度50℃、露点が20℃の空気を給気した。さらに、フイルム57のカールの発生を抑制する第2調湿室(図示しない)にフイルム57を搬送した。第2調湿室では、フイルム57に直接90℃,湿度70%の空気をあてた。
調湿後のフイルム57は、冷却室67で30℃以下に冷却した後に耳切装置(図示しない)で再度両端の耳切りを行った。搬送中のフイルム57の帯電圧は、常時−3kV〜+3kVの範囲となるように強制除電装置104を設置した。さらにフイルム57の両端にナーリング付与ローラ105でナーリングの付与を行った。ナーリングはフイルム57の片側からエンボス加工を行うことで付与し、ナーリングを付与する幅は10mmであり、凹凸の高さがフイルム57の平均厚みよりも平均12μm高くなるようにナーリング付与ローラ105による押し圧を設定した。
そして、フイルム57を巻取室68に搬送した。巻取室68は、室内温度28℃,湿度70%に保持した。巻取室68の内部には、フイルム57の帯電圧が−1.5kV〜+1.5kVとなるようにイオン風除電装置(図示しない)も設置した。最後に、プレスローラ108で所望のテンションを付与しつつ、フイルム57を巻取室68内の巻取ローラ107で巻き取った。
ギアポンプ73a〜73cを操作して、フイルム57の膜厚Df1及びDf2が70μmとなるように、第1〜第3流延ドープ51a〜51cの流量を調整して流延工程を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、フイルム57を製造した。
ギアポンプ73a〜73cを操作して、フイルム57の膜厚Df1及びDf2が60μmとなるように、第1〜第3流延ドープ51a〜51cの流量を調整して流延工程を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、フイルム57を製造した。
ギアポンプ73a〜73cを操作して、フイルム57の膜厚Df1及びDf2が55μmとなるように、第1〜第3流延ドープ51a〜51cの流量を調整して流延工程を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、フイルム57を製造した。
ギアポンプ73a〜73cを操作して、フイルム57の膜厚Df1及びDf2が50μmとなるように、第1〜第3流延ドープ51a〜51cの流量を調整して流延工程を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、フイルム57を製造した。
ギアポンプ73a〜73cを操作して、フイルム57の膜厚Df1及びDf2が40μmとなるように、第1〜第3流延ドープ51a〜51cの流量を調整して流延工程を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、フイルム57を製造した。
[比較例1〜6]
比較例1〜6では、インナーディッケル板130、131を、従来のインナーディッケル板、すなわち、流路135や流路145を有さないインナーディッケル板に代えたこと以外は、実施例1〜6と同様にして、フイルムを製造した。比較例1〜6のうち、実施例1と同様の条件でフイルムを製造したものを比較例1とし、同様に、実施例2〜6と同様の条件でフイルムを製造したものをそれぞれ比較例2〜6とする。
〔フイルムの評価〕
上記実施例において、同伴風の流入、流延ビードの不安定化による厚みムラの故障の有無について、下記の方法により評価した。なお、以下の測定は、実施例1〜6、比較例1〜6全てに共通であり、各実施例での評価結果を纏めて表1に示す。なお、表1における評価項目の番号は、以下の各評価項目に付した番号に対応する。
1.剥ぎ取り故障の有無
流延膜53を周面82bから剥ぎ取る際、周面82bに流延膜53の剥ぎ残りの有無を目視にて調べ、以下の評価を行った。
周面82bに流延膜53の剥ぎ残りを確認できなかった。(○)
周面82bに流延膜53の剥ぎ残りを確認できた。(×)
2.厚みムラ評価
得られたフイルムの厚みムラを次の方法で測定して、以下の評価を行った。測定方法は、フイルムを25℃,60RH%下でアンリツ電気社製、電子マイクロメーターを用いて、フイルムの厚みを5箇所を測定した。測定値の平均値と偏差とから相対標準偏差RSD(=偏差/平均値×100%)を算出した。そして相対標準偏差からフイルムの厚みムラを以下基準で行った。
10%未満・・厚みの均一性に優れている(○)。
10%以上・・厚みムラが生じている(×)。
3.製造適性
流延ビード80の耳部の厚みの調節に要した調節時間T1を計測し、以下の評価を行った。
時間T1が従来の調節時間の20%未満であった。(○)
時間T1が従来の調節時間の20%以上100%未満であった。(△)
時間T1が従来の調節時間の100%以上であった。(×)
Figure 2008265271
ギアポンプ73a〜73cを操作して、フイルムの中央部の膜厚Df1が80μmとなるように、フイルムの耳部の膜厚Df2が80μm以上160μm以下となるように、第1〜第3流延ドープ51a〜51cの流量を調整して流延工程を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、フイルム57を製造した。
ギアポンプ73a〜73cを操作して、フイルムの中央部の膜厚Df1が70μmとなるように、フイルムの耳部の膜厚Df2が70μm以上140μm以下となるように、第1〜第3流延ドープ51a〜51cの流量を調整して流延工程を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、フイルム57を製造した。
ギアポンプ73a〜73cを操作して、フイルムの中央部の膜厚Df1が60μmとなるように、フイルムの耳部の膜厚Df2が60μm以上120μm以下となるように、第1〜第3流延ドープ51a〜51cの流量を調整して流延工程を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、フイルム57を製造した。
ギアポンプ73a〜73cを操作して、フイルムの中央部の膜厚Df1が55μmとなるように、フイルムの耳部の膜厚Df2が55μm以上110μm以下となるように、第1〜第3流延ドープ51a〜51cの流量を調整して流延工程を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、フイルム57を製造した。
ギアポンプ73a〜73cを操作して、フイルムの中央部の膜厚Df1が50μmとなるように、フイルムの耳部の膜厚Df2が50μm以上100μm以下となるように、第1〜第3流延ドープ51a〜51cの流量を調整して流延工程を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、フイルム57を製造した。
ギアポンプ73a〜73cを操作して、フイルムの中央部の膜厚Df1が40μmとなるように、フイルムの耳部の膜厚Df2が40μm以上80μm以下となるように、第1〜第3流延ドープ51a〜51cの流量を調整して流延工程を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、フイルム57を製造した。
[比較例7〜12]
比較例7〜12では、インナーディッケル板130、131を、従来のインナーディッケル板、すなわち、流路135や流路145を有さないインナーディッケル板に代えたこと以外は、実施例7〜12と同様にして、フイルムを製造した。比較例7〜12のうち、実施例7と同様の条件でフイルムを製造したものを比較例7とし、同様に、実施例8〜12と同様の条件でフイルムを製造したものをそれぞれ比較例8〜12とする。
実施例7〜12では、いずれのDf1及びDf2の組み合わせでも、剥ぎ取り故障及び厚さムラ故障が発生しなかったが、比較例7〜12では、耳部の厚みを所望のものに調節することができず、剥ぎ取り故障或いは厚さムラ故障のいずれかが発生してしまった。
表1からも明らかなように、本発明を適用した実施例1〜6、及び比較例1〜6から、本発明の流延ダイ82により、厚みムラ故障及び剥ぎ取り故障が抑えられていることがわかった。特に、フイルム厚さDf1及びDf2が60μm未満の薄いフイルムを製造する場合には、その効果が顕著に現れていた。また、耳部の流延ドープの流量を、中央部の流延ドープの流量と独立して調節できたため、耳部の厚さの調節時間T1が従来よりも短時間で済んだ。また、実施例7〜12、比較例7〜12から、本発明により、厚みムラ故障及び剥ぎ取り故障が発生しない程度の耳部の厚さが、中央部の厚さの1倍以上2倍であること、耳部の厚さの調節が容易になったことがわかった。
[実験1]
固形分A(溶質)を
ジクロロメタン 74重量%
メタノール 24重量%
n−ブタノール 2重量%
からなる混合溶媒Bに適宜添加し、攪拌溶解して原料ドープ(以下、組成Bの原料ドープと称する)を調製した。
そして、組成Aの原料ドープ48に代えて、組成Bの原料ドープを用いて、流延ドープ51b、51cを得たこと、ギアポンプ73a〜73cを操作して、フイルムの中央部の膜厚Df1が80μmとなるように、フイルムの耳部の膜厚Df2が80μmとなるように、第1〜第3流延ドープ51a〜51cの流量を調整して流延工程を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、フイルム57を製造した。
[実験2〜6]
ギアポンプ73a〜73cを操作して、Df1及びDf2を所定の値になるように第1〜第3流延ドープ51a〜51cの流量を調整して流延工程を行ったこと以外は、実験1と同様にして、フイルム57を製造した。実験2〜6におけるDf1及びDf2の値は、表2に示す。
[比較実験1〜6]
実験1〜6の実施例に対する比較例として、比較実験1〜6を行った。比較実験1〜6では、インナーディッケル板130、131を、従来のインナーディッケル板、すなわち、流路135や流路145を有さないインナーディッケル板に代えたこと、組成Aの原料ドープ48から得られた第2、第3流延ドープ51b、51cを用いたこと以外は、実験1〜6と同様にフイルムを製造した。比較実験1〜6におけるDf1及びDf2の値は、表2に示す。
表2には、上記実験1〜6及び比較実験1〜6において、HCe/HCc、フイルムの中央部の膜厚Df1及び耳部の膜厚Df2を示す。HCe/HCcは、第2、第3流延ドープ51b、51cの溶媒に対する貧溶媒の含有濃度HCeと、第1流延ドープ51aの溶媒に対する貧溶媒の含有濃度HCcと、の比であり、また、表2の評価項目の番号は、表1と同一の評価項目を示す。
Figure 2008265271
[実験11〜16]
第1流延ドープ51a用の原料ドープの調製に用いた化合物の処方を下記に示す。
固形分A(溶質)を混合溶媒Cに適宜添加し、攪拌溶解して原料ドープを調製した(以下、組成Cの原料ドープと称する)。
第2流延ドープ51b及び第3流延ドープ51c用の原料ドープの調製に用いた化合物の処方を下記に示す。
固形分A(溶質)を混合溶媒Dに適宜添加し、攪拌溶解して原料ドープを調製した(以下、組成Dの原料ドープと称する)。
組成Cの原料ドープの伸長粘度ηc、組成Dの原料ドープの伸長粘度ηeを測定したところ、ηe/ηcの値は、1.5であった。組成Cの原料ドープを含む第1流延ドープ51aと、組成Dの原料ドープを含む第2、3流延ドープ51b、51cと、を用いたこと、ギアポンプ73a〜73cを操作して、Df1及びDf2を所定の値になるように第1〜第3流延ドープ51a〜51cの流量を調整して流延工程を行ったこと以外は、実験1と同様にしてフイルムを製造した。なお、実験11〜16におけるDf1及びDf2の値は、表3に示す。
[比較実験11〜16]
比較実験11〜16では、インナーディッケル板130、131を、従来のインナーディッケル板、すなわち、流路135や流路145を有さないインナーディッケル板に代えたこと、組成Cの原料ドープから得られた第1流延ドープ51a〜51cを用いたこと以外は、実験11〜16と同様にしてフイルムを製造した。なお、比較実験11〜16におけるDf1及びDf2の値は、表3に示す。
表3には、上記実験11〜16及び比較実験11〜16において、ηe/ηcの値、フイルムの中央部の膜厚Df1及び耳部の膜厚Df2を示す。ηe/ηcは、第2、第3流延ドープ51b、51cの伸長粘度ηeと、第1流延ドープ51aの伸長粘度ηcと、の比である。また、表3の評価項目の番号は、表1と同一の評価項目を示す。
Figure 2008265271
[実験21〜26]
第1流延ドープ51a用の原料ドープの調製に用いた化合物の処方を下記に示す。
固形分A(溶質)を混合溶媒Eに適宜添加し、攪拌溶解して原料ドープを調製した(以下、組成Eの原料ドープと称する)。
第2流延ドープ51b及び第3流延ドープ51c用の原料ドープの調製に用いた化合物の処方を下記に示す。
固形分A(溶質)を混合溶媒Fに適宜添加し、攪拌溶解して原料ドープを調製した(以下、組成Fの原料ドープと称する)。
組成Eの原料ドープを含む第1流延ドープ51aと、組成Fの原料ドープを含む第2、3流延ドープ51b、51cと、を用いたこと、ギアポンプ73a〜73cを操作して、Df1及びDf2を所定の値になるように第1〜第3流延ドープ51a〜51cの流量を調整して流延工程を行ったこと以外は、実験1と同様にしてフイルムを製造した。なお、実験21〜26におけるDf1及びDf2の値は、表4に示す。
[比較実験21〜26]
比較実験21〜26では、インナーディッケル板130、131を、従来のインナーディッケル板、すなわち、流路135や流路145を有さないインナーディッケル板に代えたこと、組成Eの原料ドープから得られ第1流延ドープ51a〜第3流延ドープ51cを用いたこと以外は、実験21〜26と同様にしてフイルムを製造した。なお、比較実験21〜26におけるDf1及びDf2の値は、表4に示す。
表4には、上記実験21〜26及び比較実験21〜26において、PCe/PCcの値、HCe/HCcの値、並びに、フイルムの中央部の膜厚Df1及び耳部の膜厚Df2を示す。ここで、PCcとは、第1ドープ51aにおけるポリマーの濃度であり、PCeとは、第2、3流延ドープ51b、51cポリマーの濃度である。また、表4の評価項目の番号は、表1と同一の評価項目を示す。
Figure 2008265271
テフロン(登録商標)コーティングが施された接液面444、445、454、455を有するインナーディッケル板430、431を備える流延ダイ481を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フイルムを製造したところ、得られたフイルムの厚みの相対標準偏差RSDは、実施例1で得られたフイルムよりも小さかった。
したがって、本発明の溶液製膜方法及び溶液製膜設備は、流延ビードの耳部の厚さを、その中央部の厚さと独立して調節することができるため、剥ぎ取り故障や厚さムラ故障を回避しつつ、膜厚の薄いフイルムや幅の広いフイルムを効率よく製造することができる。
原料ドープをつくるドープ製造ラインの概要を示す説明図である。 フイルム製造工程の概要を示す説明図である。 フイルム製造ラインの概要を示す説明図である。 第1の流延ダイの断面図である。 図4に示すV−V線断面図である。 第2の流延ダイの断面図である。 第3の流延ダイの断面図である。 第4の流延ダイの断面図である。
符号の説明
10 ドープ製造ライン
32 フイルム製造ライン
44 膨潤液
48 原料ドープ
50 フイルム製造工程
51 流延ドープ
52 流延ドープ調製工程
53 流延膜
54 流延工程
55 湿潤フイルム
56 剥取工程
57 フイルム
58 乾燥工程
61 液法装置
62 流延室
79 流延制御部
80 流延ビード
81、281、381、481 流延ダイ
81a 流入口
81b 流出口
81c 流路
82 流延ドラム
82a 軸
82b 周面
83 剥取ローラ
130、131、230、231、330、331 インナーディッケル板
140、150、240、250、340、350 仕切部
140a、150a、240a、250a、340a、350a 先端部
135、145、235、245、335、345 流路

Claims (17)

  1. 押出機を用いて、ポリマー及び溶媒を含むドープを、流延ダイに設けられるスロットに供給し、前記ドープを前記スロットの流出口から流出し、走行する支持体上に流延膜を形成するドープ流延方法において、
    前記スロットの流出口近傍に配される仕切り部材を用いて、前記スロットを前記流延ダイの幅方向に少なくとも両端部スロットと中央部スロットとの3区画に分け、
    前記中央部スロットに中央部ドープを供給し、
    前記両端部スロットに両端部ドープを供給し、
    前記中央部ドープ及び前記両端部ドープが前記流出口から流出する直前に、前記仕切り部材の鋭角状の鋭角状先端部を用いて、前記中央部スロットを通過した前記中央部ドープと、前記両端部スロットを通過した前記両端部ドープとを合流させることを特徴とするドープ流延方法。
  2. 前記流出口から前記鋭角状先端部までの距離を0.1mm以上40mm以下とすることを特徴とする請求項1記載のドープ流延方法。
  3. 前記流延ダイの幅方向における前記両端部スロットの幅W1を0.1mm以上とすることを特徴とする請求項1または2記載のドープ流延方法。
  4. 前記両端部スロットに対し、前記流延ダイの外部に設けられる外部押出機により前記両端部ドープを供給することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載のドープ流延方法。
  5. 前記中央部ドープを前記中央部スロットに供給する中央部押出機と前記外部押出機とを制御して、
    前記中央部スロットにおける前記中央部ドープの流量と、前記両端部スロットにおける前記両端部ドープの流量と、を独立して調節することを特徴とする請求項4項記載のドープ流延方法。
  6. 前記両端部ドープと前記中央部ドープとが同一のドープであることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項記載のドープ流延方法。
  7. 前記両端部ドープが、前記中央部ドープの伸長粘度よりも高い伸長粘度を有することを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項記載のドープ流延方法。
  8. 前記両端部ドープの伸長粘度をηe、前記中央部ドープの伸長粘度をηcとすると、ηe/ηcの値が3以下であることを特徴とする請求項7記載のドープ流延方法。
  9. 前記中央部ドープは、前記ポリマーと良溶媒と貧溶媒とを含み、
    前記両端部ドープは、前記ポリマーと良溶媒と貧溶媒とを含み、
    前記両端部ドープにおける前記良溶媒及び前記貧溶媒に対する前記貧溶媒の濃度は、前記中央部ドープにおける前記良溶媒及び前記貧溶媒に対する前記貧溶媒の濃度よりも高いことを特徴とする請求項7または8記載のドープ流延方法。
  10. 前記両端部ドープにおける前記ポリマーの濃度は、前記中央部ドープにおける前記ポリマーの濃度よりも低いことを特徴とする請求項9記載のドープ流延方法。
  11. 前記仕切り部材のうち、
    前記両端部スロットを構成する接液面及び前記中央部スロットを構成する接液面に、高分子化合物を含む膜が形成されたことを特徴とする請求項1ないし10のうちいずれか1項記載のドープ流延方法。
  12. 請求項1ないし11のうちいずれか1項記載のドープ流延方法を用いて、前記流延膜が自己支持性を有した後に前記流延膜を前記支持体から剥がして乾燥し、フイルムとすることを特徴とする溶液製膜方法。
  13. ドープの供給口、マニホールド、スロット、流出口を含むドープ流路を有し、前記流出口がスリット状に形成されているダイ本体と、
    前記ダイ本体内の前記スロットに配置され、前記スロットを前記流延ダイの幅方向で少なくとも両端部スロットと、中央部スロットとの3区画にわけ、先端部が鋭角に形成され、この先端部と前記流出口との距離が0.1mm以上40mm以下である仕切り部材と、
    前記両端部スロットに前記ダイ本体の外部から前記ドープを供給するドープ供給路とを備えることを特徴とする流延ダイ。
  14. 前記流延ダイの幅方向における前記両端部スロットの幅を0.1mm以上とすることを特徴とする請求項13記載の流延ダイ。
  15. 前記ドープ供給路に前記ドープを供給する外部押出機を有することを特徴とする請求項13または14記載の流延ダイ。
  16. 前記中央部スロットと連通する前記ドープの供給口に、前記ドープを供給する中央部押出機と、
    前記外部押出機及び前記中央部押出機と接続し、前記中央部スロットにおける前記ドープの流量と、前記両端部スロットにおける前記ドープの流量と、を独立して調節する流量制御部と、
    を有することを特徴とする請求項15記載の流延ダイ。
  17. 前記仕切り部材のうち、
    前記両端部スロットを構成する接液面及び前記中央部スロットを構成する接液面に、高分子化合物が含まれる膜が形成されたことを特徴とする請求項13ないし16のうちいずれか1項記載の流延ダイ。
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