JP2008259357A - 出力安定化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力変動の抑制に対する電力系統からの要求を満たすとともに、充放電ロスおよびコストロスを最小化することができる出力安定化装置を提供する。
【解決手段】自然エネルギーを用いて発電する発電装置1の発電電力G(t)を充放電する電力貯蔵装置7と、電力貯蔵装置7を制御する制御装置8とを備え、制御装置8は、発電電力と電力貯蔵装置7の充放電電力とを合成した合成出力に対する出力目標値C(t)を、発電電力G(t)に基づいて演算する出力目標値演算部12と、出力目標値C(t)の変化速度S(t)を演算する変化速度演算部14と、変化速度S(t)の大きさに相反して、出力目標値C(t)に対して不感帯の幅R(t)を動的に設定する不感帯幅設定部15と、発電電力G(t)が不感帯から逸脱した場合に、不感帯からの逸脱分に応じて、電力貯蔵装置7に対する充放電制御を実行する充放電制御部13とを含む。
【選択図】図4

Description

この発明は、例えば風力発電や太陽光発電等による自然エネルギー発電システムにおいて、出力の変動を抑制する出力安定化装置に関する。
近年、CO2排出量削減等、環境問題への貢献を目的として、例えば風力発電や太陽光発電等による自然エネルギー発電システムの普及が世界的に進んでいる。しかしながら、自然エネルギー発電は、環境、季節、または天候等によって時々刻々と出力が変動する。
出力が変動することにより、電力系統全体の需給バランスが崩れ、その結果、電圧や周波数の変動が引き起こされる。また、自然エネルギー発電システム等、いわゆる分散型電源の連系点における電圧変動は、その出力変動に比例して大きくなる。
そのため、同じ系統に連系された近傍の電力需要家に対する電圧変動の影響が問題となっている。
そこで、大規模な自然エネルギー発電システムを電力系統に連系する場合には、電力会社から、例えば、所定時間における出力変動幅を、定格比で所定割合以内に抑えること、といった条件を満たすことが要求される場合がある。
そこで、従来の風力発電制御装置は、風車発電装置(発電手段)に接続された蓄電池(電力貯蔵手段)と、風車発電装置の発電電力(発電出力)を検出し、蓄電池の充放電制御を行う蓄電池制御器(主制御手段)とを有している(例えば、特許文献1参照)。
この風力発電制御装置において、蓄電池制御器は、まず、現時点から遡って過去一定時間(例えば、数分〜数十分)の風車発電装置の発電電力履歴に対して、一次遅れや移動平均等の平滑化フィルタ処理を実行し、実行結果を基準値(出力目標値)として設定する。
続いて、蓄電池制御器は、この基準値と検出した風車発電装置の発電電力との偏差に応じて、蓄電池に対する充放電制御を実行することにより、風車発電装置の出力変動を抑制している。
特開2002−027679号公報
従来の風力発電制御装置では、蓄電池制御器が、基準値と検出した発電電力との偏差に応じて、蓄電池に対する充放電制御を実行している。
しかしながら、風車発電装置の発電電力を蓄電池に充電する場合、また、蓄電池に充電された電力を放電する場合には、数十%の電力が充放電ロスによって消失する。
そのため、基準値と検出した発電電力との偏差を、常に蓄電池の充放電によって吸収する場合には、頻繁な充放電によって充放電ロスが増加するという問題点があった。
また、化石燃料によらない自然エネルギー発電によって発電された電力の価値は、クリーンなエネルギーとして、世界的に通常の電力よりも高価値で評価される。
そのため、自然エネルギー発電による貴重な発電電力の減少につながる充放電ロスは、自然エネルギー発電システムの運用者にとって、収入減につながりかねないという問題点もあった。
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、その目的は、出力変動の抑制に対する電力系統からの要求を満たすとともに、充放電ロスおよびコストロスを最小化することができる出力安定化装置を提供することにある。
この発明に係る出力安定化装置は、自然エネルギーを用いて発電する発電手段の発電電力を充放電する電力貯蔵手段と、電力貯蔵手段を制御する主制御手段と、を備え、主制御手段は、発電電力と電力貯蔵手段の充放電電力とを合成した合成出力に対する出力目標値を、発電電力に基づいて演算する出力目標値演算手段と、出力目標値の変化速度を演算する変化速度演算手段と、出力目標値に対して不感帯の幅を設定する不感帯幅設定手段と、電力貯蔵手段に対する充放電制御を実行する充放電制御手段と、を含み、不感帯幅設定手段は、変化速度の大きさに相反(負に比例、もしくは逆比例)して不感帯の幅を動的に設定し、充放電制御手段は、発電電力が不感帯から逸脱した場合に、不感帯からの逸脱分に応じて、電力貯蔵手段に対する充放電制御を実行するものである。
この発明の出力安定化装置によれば、不感帯幅設定手段は、出力目標値の変化速度の大きさに相反して不感帯の幅を動的に設定し、充放電制御手段は、発電手段の発電電力が不感帯から逸脱した場合に、不感帯からの逸脱分に応じて、電力貯蔵手段に対する充放電制御を実行する。
そのため、出力変動の抑制に対する電力系統からの要求を満たすとともに、充放電ロスおよびコストロスを最小化することができる。
以下、この発明の各実施の形態について図に基づいて説明するが、各図において同一、または相当する部材、部位については、同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1は、出力安定化装置3を含む一般的な自然エネルギー発電システム10を示すブロック図である。
図1において、自然エネルギー発電システム10は、自然エネルギー発電装置1(発電手段、以下、「発電装置1」と略称する)と、電力計測装置2と、出力安定化装置3とから構成されている。
また、自然エネルギー発電システム10の構内系統4は、連系点5で商用の電力系統6と接続されている。
発電装置1は、風力、太陽光、水力、または地熱等の自然エネルギーを用いて電力を発生する。また、発電装置1の発電電力は、環境、季節、または天候等によって時々刻々と変動する。電力計測装置2は、発電装置1の発電電力を検出する。
出力安定化装置3は、連系点5から商用の電力系統6に流れる電力の出力変動を抑制し、電力系統6に影響を与えないレベルに平滑化する。
出力安定化装置3は、発電装置1の発電電力を充放電する電力貯蔵装置7(電力貯蔵手段)と、発電装置1の発電電力を監視するとともに、電力貯蔵装置7を制御する制御装置8(主制御手段)とを備えている。
図2は、図1の制御装置8を詳細に示すブロック図である。
図2において、制御装置8は、出力実績データベース11と、出力目標値演算部12(出力目標値演算手段)と、充放電制御部13(充放電制御手段)とを含んでいる。
出力実績データベース11は、現在時刻tから遡って過去一定時間、例えば時刻tから時刻t−nまでにおける発電装置1の発電電力G(t)〜G(t−n)を記憶する。
出力目標値演算部12は、出力実績データベース11に記憶された発電電力G(t−1)〜G(t−n)に対して平滑化フィルタ処理を実行し、現在時刻tにおける出力目標値C(t)を演算する。これにより、出力目標値演算部12は、充放電制御部13に、発電装置1の発電電力と電力貯蔵装置7の充放電電力とを合成した合成出力に対する出力目標値C(t)を入力する。
充放電制御部13は、出力目標値C(t)と発電装置1の現在時刻tにおける発電電力G(t)との偏差を、電力貯蔵装置7に対する充放電指令値B(t)として充放電制御を実行する。
また、電力貯蔵装置7は、蓄電池やキャパシタから構成され、充放電制御部13からの充放電指令値B(t)に基づいて、発電装置1の発電電力G(t)を充電したり、充電された電力を放電したりする。
以下、図2とともに、図3を参照しながら、上記構成の制御装置8の動作について説明する。
図3は、図1の発電装置1の発電電力G(t)と、出力目標値演算部12で演算される出力目標値C(t)とを示す説明図である。
ここで、電力系統6側から、出力安定化の前提条件として、所定時間Δtにおける合成出力の出力変動の最大値を、最大変動幅ΔGmax以内に抑制することが要求されているとする。
まず、出力実績データベース11は、時刻tから時刻t−nまでにおける発電装置1の発電電力G(t)〜G(t−n)を記憶する。
続いて、出力目標値演算部12は、出力実績データベース11に記憶された発電電力G(t−1)〜G(t−n)に対して、次式(1)に示すフィルタ処理を実行し、出力目標値C(t)を演算する。
C(t)=f(G(t−1)、G(t−2)、・・・、G(t−n))・・・(1)
なお、式(1)において、関数fは、例えば一次遅れのフィルタ関数であり、フィルタ関数fのパラメータ(例えば、一次遅れフィルタの時定数等)や、参照する時間幅nは、前述した出力安定化の前提条件の範囲内で設定される。
また、関数fは、移動平均のフィルタ関数であってもよい。
次に、充放電制御部13は、式(1)で演算された出力目標値C(t)と、発電装置1の発電電力G(t)とから、次式(2)のように充放電指令値B(t)を演算し、充放電指令値B(t)に応じて電力貯蔵装置7に対する充放電制御を実行する。
B(t)=C(t)−G(t)・・・(2)
なお、式(2)において、充放電指令値B(t)が正の場合は、電力貯蔵装置7からの放電を示し、充放電指令値B(t)が負の場合は、電力貯蔵装置7への充電を示している。
一般的な自然エネルギー発電システム10では、出力目標値C(t)と発電装置1の発電電力G(t)との偏差を充放電指令値B(t)とし、全て電力貯蔵装置7の充放電によって吸収している。
次に、この発明の実施の形態1に係る出力安定化装置3Aの特徴部分について説明する。
図4は、この発明の実施の形態1に係る出力安定化装置3Aの制御装置8Aを詳細に示すブロック図である。
図4において、制御装置8Aは、出力目標値演算部12の後段に、変化速度演算部14(変化速度演算手段)と、不感帯幅設定部15(不感帯幅設定手段)とを含んでいる。
また、制御装置8Aは、図2に示した充放電制御部13に代えて、充放電制御部13Aを含んでいる。
ここで、制御装置8Aは、CPUとプログラムを格納したメモリとを有するマイクロプロセッサ(図示せず)で構成されており、制御装置8Aを構成する各ブロックは、メモリにソフトウェアとして記憶されている。
変化速度演算部14は、出力目標値演算部12で演算される出力目標値C(t)の変化速度S(t)を演算する。
不感帯幅設定部15は、出力目標値C(t)に対して設定される不感帯の幅(不感帯幅)R(t)を、変化速度演算部14で演算された変化速度S(t)の大きさに相反(負に比例、もしくは逆比例)して動的に設定する。
充放電制御部13Aは、発電装置1の現在時刻tにおける発電電力G(t)が、出力目標値C(t)に対して設定される不感帯から逸脱した場合に、不感帯からの逸脱分を電力貯蔵装置7に対する充放電指令値B(t)として充放電制御を実行する。
その他の構成については、前述の図2と同様であり、その説明は省略する。
以下、上記構成の制御装置8Aの動作について説明する。
なお、前述した制御装置8と同様の動作については、説明を省略する。
まず、変化速度演算部14は、出力目標値演算部12で現在時刻tにおいて演算された出力目標値C(t)と、例えば時刻t−nにおいて演算された出力目標値C(t−n)とから、出力目標値C(t)の変化速度S(t)を次式(3)のように演算する。
S(t)={C(t)−C(t−n)}÷{(t)−(t−n)}・・・(3)
ここで、上記式(1)においてフィルタ関数fが正しく設定されていれば、変化速度S(t)の絶対値は、前述した出力安定化の前提条件から決定される出力目標値の最大変化速度Smaxよりも小さな値となる。
なお、出力目標値の最大変化速度Smaxは、次式(4)で表される。
Smax=ΔGmax÷Δt・・・(4)
続いて、不感帯幅設定部15は、変化速度演算部14で演算された変化速度S(t)に基づいて、不感帯幅R(t)を設定する。
このとき、不感帯幅R(t)は、変化速度S(t)の大きさに相反して、変化速度S(t)が大きい場合には小さく、変化速度S(t)が小さい場合には大きくなるように設定される。
不感帯幅R(t)は、例えば変化速度に負に比例する次式(5)で表される。
R(t)=k×{Smax−S(t)}÷Smax・・・(5)
なお、式(5)において、kは、不感帯の最大幅である。不感帯の最大幅kとして、例えば、前述した出力安定化の前提条件として与えられた出力変動の最大変動幅ΔGmaxが設定される。
図5は、この発明の実施の形態1に係る不感帯の設定例を示す説明図である。
図5において、変化速度S(t)が「0」の場合には、不感帯幅は不感帯の最大幅k(ここでは、ΔGmax)となり、変化速度S(t)が最大変化速度Smaxの場合には、不感帯幅は「0」となる。何れの場合であっても、前述した出力安定化の前提条件は満たされている。
また、図3の出力目標値C(t)に対する不感帯の設定例を図6に示す。
次に、充放電制御部13Aは、発電装置1の発電電力G(t)が不感帯から逸脱した場合に、次式(6)のように充放電指令値B(t)を演算し、充放電指令値B(t)に応じて電力貯蔵装置7に対する充放電制御を実行する。
Figure 2008259357
なお、式(6)において、充放電指令値B(t)が正の場合は、電力貯蔵装置7からの放電を示し、充放電指令値B(t)が負の場合は、電力貯蔵装置7への充電を示している。
この発明の実施の形態1に係る出力安定化装置3Aによれば、不感帯幅設定部15は、変化速度演算部14で演算された変化速度S(t)の大きさに相反して、出力目標値C(t)に対して設定される不感帯の幅を動的に設定する。また、充放電制御部13Aは、発電装置1の発電電力G(t)が不感帯から逸脱した場合に、不感帯からの逸脱分を電力貯蔵装置7に対する充放電指令値B(t)として充放電制御を実行する。
そのため、発電装置1の発電電力G(t)の出力変動が中長期的(例えば、数分〜数十分以上)にほぼ一定で、出力目標値C(t)の変化速度S(t)が小さい場合(例えば、図6における前半の時間帯)には、不感帯幅R(t)が大きく設定されるので、電力系統6側から要求されている出力変動の最大変動幅ΔGmaxを逸脱することなく、電力貯蔵装置7の充放電電力を抑制することができる。
したがって、出力変動の抑制に対する電力系統6からの要求を満たすとともに、充放電ロスおよびコストロスを最小化して、発電装置1の発電電力G(t)を最大限に活用することができる。
出力安定化装置を含む一般的な自然エネルギー発電システムを示すブロック図である。 図1の制御装置を詳細に示すブロック図である。 図1の発電装置の発電電力と、出力目標値演算部で演算される出力目標値とを示す説明図である。 この発明の実施の形態1に係る出力安定化装置の制御装置を詳細に示すブロック図である。 この発明の実施の形態1に係る不感帯の設定例を示す説明図である。 図3の出力目標値に対する不感帯の設定例を示す説明図である。
符号の説明
1 発電装置(発電手段)、3、3A 出力安定化装置、7 電力貯蔵装置(電力貯蔵手段)、8、8A 制御装置(主制御手段)、12 出力目標値演算部(出力目標値演算手段)、13、13A 充放電制御部(充放電制御手段)、14 変化速度演算部(変化速度演算手段)、15 不感帯幅設定部(不感帯幅設定手段)、C(t) 出力目標値、G(t) 発電電力、R(t) 不感帯幅、S(t) 変化速度。

Claims (3)

  1. 自然エネルギーを用いて発電する発電手段の発電電力を充放電する電力貯蔵手段と、
    前記電力貯蔵手段を制御する主制御手段と、を備え、
    前記主制御手段は、
    前記発電電力と前記電力貯蔵手段の充放電電力とを合成した合成出力に対する出力目標値を、前記発電電力に基づいて演算する出力目標値演算手段と、
    前記出力目標値の変化速度を演算する変化速度演算手段と、
    前記出力目標値に対して不感帯の幅を設定する不感帯幅設定手段と、
    前記電力貯蔵手段に対する充放電制御を実行する充放電制御手段と、を含み、
    前記不感帯幅設定手段は、前記変化速度の大きさに相反して前記不感帯の幅を動的に設定し、
    前記充放電制御手段は、前記発電電力が前記不感帯から逸脱した場合に、前記不感帯からの逸脱分に応じて、前記電力貯蔵手段に対する充放電制御を実行することを特徴とする出力安定化装置。
  2. 前記出力目標値演算手段は、前記発電電力の変動の高周波成分を除去する一次遅れフィルタを用いて、前記出力目標値を演算することを特徴とする請求項1に記載の出力安定化装置。
  3. 前記出力目標値演算手段は、前記発電電力の移動平均を演算する移動平均フィルタを用いて、前記出力目標値を演算することを特徴とする請求項1に記載の出力安定化装置。
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