JP2008256813A - 現像装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】現像ドクタ25Mによって現像スリーブとの連れ回りを阻止された規制滞留現像剤におけるスペント現象の発生やトナー削れを抑えつつ、環境変動に伴う現像濃度の変動を抑え、しかも従来よりもレイアウト自由度を向上させることができる現像ユニットを提供する。
【解決手段】現像ロール21Mに内包されるマグネットローラとして、規制磁極N2と汲み上げ磁極S2とが互いに異なる極性であるものを用いた。そして、現像スリーブの表面における移動方向の全表面領域のうち、汲み上げ磁極S2による磁力が最大となる箇所である汲み上げ磁力最大箇所を、供給スクリュウ32Mから現像スリーブへの現像剤の供給が行われる供給位置よりも上流側に位置させた。
【選択図】図6

Description

本発明は、現像剤を供給スクリュウによってスクリュウ回転軸線方向に搬送しながら、現像スリーブなどの剤担持部材に供給する現像装置及びこれを用いる画像形成装置に関するものである。
従来、この種の現像装置において、剤担持部材としての回転自在な筒状の現像スリーブと、これに連れ回らないように内包されるマグネットローラとを具備する現像剤担持体や、これの近傍に配設された供給スクリュウなどを有するものが知られている。かかる構成において、現像スリーブは、内部のマグネットローラの発する磁力によって現像剤を自らの表面上に担持しながら、回転による表面移動に伴って感光体等の潜像担持体に対向する現像位置まで搬送して現像に寄与させる。また、供給スクリュウは、現像スリーブに対向しつつ、自らの回転軸線方向をスリーブ回転軸線方向に沿わせる姿勢で配設されている。そして、自らの回転に伴って軸線方向に沿って搬送している現像剤を現像スリーブに供給しながら、現像に寄与した後の現像剤を現像スリーブから回収する。供給スクリュウの剤搬送方向の下流側端部まで搬送した現像剤については、他のスクリュウに受け渡してトナーの補給を行った後、供給スクリュウの剤搬送方向の上流側端部に戻す。このような現像剤の循環搬送により、現像スリーブ上で現像に寄与してトナー濃度を低下させた現像剤は、現像スリーブから回収された後、トナーの補給によってトナー濃度を回復させてから再び現像スリーブに供給される。
一方、特許文献1、2には、それぞれ、現像スリーブからの現像剤の回収と、現像スリーブへの現像剤の供給とを別々のスクリュウで行う現像装置が記載されている。この現像装置は、現像スリーブの表面上で現像に寄与した後、供給スクリュウとの対向位置に搬送される前の現像剤を、現像スリーブに対向するように配設された受取スクリュウによって回収する。そして、受取スクリュウから、あるいは別の搬送スクリュウを介して、現像剤を供給スクリュウに戻す。
現像スリーブに対するの現像剤の供給と回収とを供給スクリュウだけで行う構成、別々のスクリュウで行う構成、の何れにおいても、現像位置へのトナー搬送量を安定化させる目的で、規制部材を設けるのが一般的である。この規制部材は、現像スリーブにおける、供給スクリュウとの対向位置を通過した後、現像位置に進入する前の表面箇所に対して所定の間隙を介して対向するように配設されている。そして、現像スリーブの表面に連れ回る現像剤を前述の間隙に通すことで、現像剤の層を所定の厚みに規制して、現像位置へのトナー搬送量を安定化させる。
かかる構成において、規制部材によって現像スリーブとの連れ回りを阻止された現像剤は、現像スリーブにおける、供給スクリュウとの対向位置から規制部材との対向位置に至るまでの領域に滞留する。このようにして滞留した現像剤(以下、規制滞留現像剤という)は、現像スリーブの回転に伴って、前述の領域に新たに搬送されてくる後続の現像剤に摺擦することで、圧力やせん断力を受ける。これが長時間に渡って続くと、現像剤のトナー粒子に添加されているシリカ等の外添粒子がトナー粒子の中に徐々に埋没していき、やがて、トナー粒子が磁性キャリアに付着するスペント現象を引き起こす。更には、磁性キャリアに固着しなかったトナー粒子が磁性キャリアとの摩擦や衝突によって削れて丸みを帯びて劣化する。これらのスペント現象やトナー粒子の削れは、画像の部分的な欠落などといった画質劣化を引き起こしてしまう。
但し、特許文献1、2に記載の現像装置においては、何れも次のような構成により、かかる画質劣化の発生を抑えることができる。即ち、マグネットローラに具備される複数の磁極のうち、規制磁極と、これに対してスリーブ回転方向上流側で隣り合っている磁極とを同極性にし、且つ、規制磁極を汲み上げ磁極として兼用しているという構成である。具体的には、マグネットローラの規制磁極は、現像スリーブを介して規制部材に対向している磁極であり、現像剤を規制部材との対向位置でスリーブ表面に引き寄せる役割を担っている。かかる規制磁極に対してスリーブ回転方向上流側で隣り合っている磁極(以下、規制上流磁極という)については、供給スクリュウ周囲の現像剤を引き寄せてスリーブ表面に汲み上げさせる汲み上げ磁極として機能させるのが一般的である。しかし、同現像装置では、汲み上げ専用の磁極を設けておらず、規制磁極を汲み上げ磁極として兼用しているのである。より詳しくは、規制磁極と規制上流磁極とを互いに同極性にして、両磁極間に磁力線の繋がらない反発磁界を形成している。そして、規制磁極におけるスリーブ回転方向の上流側端部を供給スクリュウに対向させている。この上流側端部から延びる磁力線は、すぐ隣の規制上流磁極との反発によって大きく湾曲した後、規制磁極を超えて反対側の規制下流磁極に回り込んでいる。このように磁力線を回り込ませている規制磁極の上流側端部は、磁力が比較的小さくなっているため、規制滞留現像剤のスペント現象やトナー削れを抑えることができるのである。
特開平11−194617号公報 特開2003−287950号公報
しかしながら、かかる構成においては、嵩密度が比較的低くなっている状態の現像剤に対してその嵩を高めるまでの磁力を規制部材との対向位置で発揮することができずに、その現像剤を低い嵩密度のままで層厚規制してしまう。このため、環境変動などによって現像剤の嵩密度が変動すると、それに伴って現像位置へのトナー搬送量を変動させてしまい、安定した現像濃度を得ることが困難であった。
また、供給スクリュウを上述の反発磁界に対向させてしまうと、スリーブ表面への現像剤の汲み上げができなくなるため、規制磁極と規制上流磁極とを跨いだ領域に供給スクリュウを対向させることができないというレイアウト上の制約を受けてしまう。
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、次のような現像装置、及びこれを用いる画像形成装置を提供することである。即ち、規制滞留現像剤におけるスペント現象の発生やトナー削れを抑えつつ、環境変動に伴う現像濃度の変動を抑え、しかも従来よりもレイアウト自由度を向上させることができる現像装置等である。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナーと磁性キャリアとを含有する現像剤を自らの移動する表面に担持する剤担持部材、及び、該剤担持部材の表面移動方向に沿って並びながら該剤担持部材に移動不能に内包される複数の磁極を具備する磁界発生部材、を有し、該剤担持部材の表面移動に伴って現像剤を画像形成装置の潜像担持体との対向位置である現像位置に搬送して該潜像担持体上の潜像を現像する現像剤担持体と、現像剤を自らの回転軸線方向に搬送しながら該剤担持部材に供給する供給スクリュウと、該供給スクリュウの重力方向下方にて、自らの表面上に存在する現像剤を該供給スクリュウによる搬送が可能になるように該表面で受ける受け部材と、該供給スクリュウから該剤担持部材への現像剤の供給が行われる供給位置を通過してから該現像位置に進入する前の剤担持部材の表面領域、に所定の間隙を介して対向しながら、該表面領域に担持されている現像剤の層厚を規制する規制部材とを備え、該磁界発生部材が、該剤担持部材を介して該規制部材に対向する規制磁極と、該規制磁極に対して該剤担持部材の表面移動方向の上流側で隣り合うように配設され、且つ、該供給スクリュウによって搬送される現像剤を自らの磁力によって引き寄せて該剤担持部材の移動する表面に汲み上げさせる汲み上げ磁極とを有するものである現像装置において、上記磁界発生部材として、上記規制磁極と上記汲み上げ磁極とが互いに異なる極性であるものを用い、且つ、上記剤担持体の表面における移動方向の全領域のうち、上記汲み上げ磁極による磁力が最大となる箇所である汲み上げ磁力最大箇所を、上記供給位置よりも上流側に位置させたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、上記現像位置を通過してから上記供給位置に進入する前の上記剤担持部材の表面箇所、から現像剤を受け取って自らの回転軸線方向に搬送する受取スクリュウを設け、現像剤を、該受取スクリュウから、あるいは該受取スクリュウから別のスクリュウを介して、上記供給スクリュウに受け渡しさせるようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の現像装置において、上記剤担持部材として、回転によって表面移動可能な筒状のものを用いるとともに、上記磁界発生部材として、筒状の該剤担持部材に内包されるローラ状のマグネットローラを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の現像装置において、上記規制部材の先端における上記表面移動方向の上流側のエッジと上記剤担持部材の回転中心とを結ぶ仮想線分と、上記供給位置における上記表面移動方向の下流端と該回転中心とを結ぶ仮想線分とのなす角度θ1を、上記剤担持部材の表面の移動方向における全領域のうち、上記規制磁極による磁力が最大になる規制磁力最大箇所と該回転中心とを結ぶ仮想線分と、上記汲み上げ磁力最大箇所と該回転中心とを結ぶ仮想線分とのなす角度θ2よりも小さくしたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかの現像装置において、上記供給位置を、上記規制磁極よりも重力方向の下方に位置させたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかの現像装置において、上記剤担持部材の表面移動方向における上記規制部材との対向領域を、上記剤担持部材の表面の移動方向における全領域のうち、上記規制磁極による磁力が最大になる規制磁力最大箇所よりも下流側の箇所、に対向させたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかの現像装置において、上記規制磁極として、磁束密度が0.03[T]以上、0.08[T]以下であるもの、を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項5の現像装置において、板状の上記規制部材を鉛直方向から20[°]以上傾けた姿勢で配設したことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを備える画像形成装置において、上記現像手段として、請求項1乃至8の何れかの現像装置を用いたことを特徴とするものである。
これらの発明において、剤担持部材は、供給スクリュウからの現像剤の供給を受ける供給位置に進入した後に、供給スクリュウ周囲の現像剤を汲み上げ始める。剤担持部材の表面移動方向における汲み上げ磁力最大箇所は、このように汲み上げが開始される位置よりも上流側に位置しているため、剤担持部材の表面上において汲み上げ開始位置から規制部材との対向位置に至るまでの領域に滞留している規制滞留現像剤に対して、汲み上げ磁極による最大磁力を作用させることがない。これにより、最大磁力を作用させてしまう場合に比べて、規制滞留現像剤に対するストレスを軽減して、スペント現象の発生やトナー削れを抑えることができる。
また、これらの発明においては、互いに隣り合う規制磁極及び汲み上げ磁極として、互いに異なる極性の組合せを用い、両磁極間で磁力線を繋げる磁界を形成することで、嵩密度が比較的低くなっている状態の現像剤に対して、規制部材との対向位置でその嵩をより高めるのに十分な磁力を作用させることが可能である。しかも、汲み上げ磁極の磁力によって剤担持部材の表面に汲み上げさせた現像剤を、剤担持部材の表面移動に伴って規制磁極との対向領域に送る過程で、剤担持部材の表面上に拘束し続けるので、規制磁極と、規制上流磁極である汲み上げ磁極とを跨いだ領域に供給スクリュウを対向させることも可能である。よって、環境変動に伴う現像濃度の変動を抑えつつ、従来よりもレイアウト自由度を向上させることができる。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のカラーレーザープリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図である。このプリンタは、マゼンタ,シアン,イエロー,ブラック(以下、M,C,Y,Kと記す)の各色のトナー像を形成するための4つのトナー像形成部1M,C,Y,Kを備えている。また、互いに鉛直方向に並べられたこれらトナー像形成部1M,C,Y,Kの側方に、転写ユニット50を備えている。
トナー像形成部1M,C,Y,Kは、使用するトナーの色が異なる点の他は、ほぼ同様の構成になっている。Mトナー像を形成するためのM用のトナー像形成部1Mについて説明すると、これは、プロセスユニット2Mと、光書込ユニット10Mと、現像ユニット20Mとを有している。
M用のプロセスユニット2Mは、図中反時計回り方向に回転駆動されるドラム状の感光体3Mの周りに、一様帯電装置4M、ドラムクリーニング装置5M、除電ランプ6M等を有しており、これらを共通のケーシングで保持してプリンタ本体に対して一体的に着脱されるようになっている。潜像担持体としての感光体3Mは、アルミ等の素管に有機感光層が被覆されたものである。
一様帯電装置4Mは、図中反時計回り方向に回転駆動される感光体3Mの表面をコロナチャージによって例えば負極性に一様帯電せしめる。
光書込ユニット10Mは、レーザーダイオード等からなる光源、正六面体のポリゴンミラー、これを回転駆動するためのポリゴンモータ、fθレンズ、レンズ、反射ミラー等を有している。図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報に基づいて駆動される光源から射出されたレーザー光Lは、ポリゴンミラー面で反射してポリゴンミラーの回転に伴って偏向せしめられながら、感光体3Mに到達する。これにより、感光体3Mの表面がそれぞれ光走査されて、感光体3Mの表面にM用の静電潜像が形成される。
現像手段としてのM用の現像ユニット20Mは、ケーシングに設けられた開口から周面の一部を露出させる現像ロール21Mを有している。現像剤担持体たる現像ロール21Mは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられる非磁性パイプからなる現像スリーブと、これに連れ回らないように内包される図示しないマグネットローラとを有している。現像ユニット20M内には、磁性キャリアとマイナス帯電性のMトナーとを含む図示しないM現像剤が内包されている。このM現像剤は、後述する3本の搬送スクリュウによって撹拌搬送されてMトナーの摩擦帯電が促されながら、現像ロール21M内の磁界発生手段たるマグネットローラの磁力により、現像ロール21Mの回転する現像スリーブ表面に吸着されて汲み上げられる。そして、現像スリーブの回転に伴って、規制部材たる現像ドクタ25Mとの対向位置を通過する際にその層厚が規制された後、感光体3Mに対向する現像位置に搬送される。
この現像位置では、図示しない電源から出力される負極性の現像バイアスが印加される現像スリーブと、感光体3M上の静電潜像との間に、負極性のMトナーをスリーブ側から潜像側に静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。また、現像スリーブと感光体3Mの一様帯電箇所(地肌部)との間に、負極性のMトナーを地肌部側からスリーブ側に静電移動させる非現像ポテンシャルが作用する。現像スリーブ上のM現像剤内のMトナーは、現像ポテンシャルの作用によってスリーブ上から離脱して感光体3Mの静電潜像上に転移する。この転移により、感光体3M上の静電潜像がMトナー像に現像される。なお、現像によってMトナーを消費したM現像剤は、現像スリーブの回転に伴ってケーシング内に戻される。また、感光体3M上のMトナー像は、後述する転写ユニット50の中間転写ベルト51上に中間転写される。
また、現像ユニット20Mは、透磁率センサからなる図示しないトナー濃度センサを有している。このトナー濃度センサは、現像ユニット20Mの後述する剤回収室内に収容されているM現像剤の透磁率に応じた値の電圧を出力する。現像剤の透磁率は、現像剤のトナー濃度と良好な相関を示すため、トナー濃度センサはトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。この出力電圧の値は、図示しないトナー補給制御部に送られる。このトナー補給制御部は、RAM等の記憶手段を備えており、その中にM用のトナー濃度センサからの出力電圧の目標値であるM用Vtrefや、他の現像ユニットに搭載されたトナー濃度センサからの出力電圧の目標値であるC,Y,M用のVtrefのデータを格納している。M用の現像ユニット20Mについては、M用のトナー濃度センサからの出力電圧の値とM用のVtrefを比較し、図示しないMトナー濃度補給装置を比較結果に応じた時間だけ駆動させる。そして、これにより、補給用のMトナーを現像ユニット20Mの剤回収室内に補給する。このようにしてMトナー補給装置の駆動が制御(トナー補給制御)されることで、現像に伴ってMトナー濃度を低下させたM現像剤に適量のMトナーが補給され、現像ユニット20M内のM現像剤のMトナー濃度が所定の範囲内に維持される。なお、現像ユニット20C,20Y,20Kについても、同様のトナー補給制御が実施される。
感光体3M上で現像されたMトナー像は、後述する中間転写ベルト51のおもて面に転写される。そして、転写工程を経た感光体3Mの表面には、中間転写ベルト51上に転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、ドラムクリーニング装置5Kによって除去される。このようにして転写残トナーが除去された感光体3Mの表面は、除電ランプ6Mによって除電された後、一様帯電装置6Kによって再び一様帯電せしめられる。
M用のトナー像形成部1Mについて詳しく説明したが、他色用のトナー像形成部1C,Y,Kにおいても、同様のプロセスによって感光体3C,Y,Kの表面にC,Y,Kトナー像が形成される。
互いに鉛直方向に並ぶように配設されたトナー像形成部1M,C,Y,Kの図中右側方には、転写ユニット50が配設されている。この転写ユニット50は、無端状の中間転写ベルト51のループ内側に駆動ローラ52とテンションローラ53と従動ローラ54とを有している。そして、これら3本のローラによって中間転写ベルト51を張架しながら、駆動ローラ52の回転駆動によって図中時計回り方向に無端移動せしめる。このようにして無端移動せしめられる中間転写ベルト51は、その図中左側の張架面のおもて面を、M,C,Y,K用の感光体3M,C,Y,Kにそれぞれ当接させており、これによってM,C,Y,K用の1次転写ニップが形成されている。
中間転写ベルト51のループ内側には、上述した3本のローラの他に、4つの転写チャージャー55M,C,Y,Kが配設されている。これら転写チャージャー55M,C,Y,Kは、M,C,Y,K用の1次転写ニップの裏側で、中間転写ベルト51の裏面に電荷を付与するように配設されている。この電荷の付与により、M,C,Y,K用の1次転写ニップ内には、トナーを感光体3M,C,Y,K側からベルトおもて面側に静電移動させる向きの転写電界が形成される。なお、コロナチャージ方式の転写チャージャーに代えて、転写バイアスが印加される転写ローラを用いてもよい。
各色の感光体3M,C,Y,K上に形成されたM,C,Y,Kトナー像は、各色の1次転写ニップにおいて、ニップ圧や転写電界の影響によって感光体側からベルトおもて面側に移動して中間転写ベルト51上に重ね合わせて転写される。これにより、中間転写ベルト51上には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
中間転写ベルト51における駆動ローラ52に対する掛け回し箇所には、2次転写バイアスローラ56がベルトおもて面側から当接しており、これによって2次転写ニップが形成されている。この2次転写バイアスローラ56には、図示しない電源や配線からなる電圧印加手段によって2次転写バイアスが印加されている。これにより、2次転写バイアスローラ56と、接地された駆動ローラ52との間に2次転写電界が形成されている。中間転写ベルト51上に形成された4色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って2次転写ニップに進入する。
本プリンタは、図示しない給紙カセットを備えており、その中に記録紙Pを複数枚重ねた記録紙束の状態で収容している。そして、一番上の記録紙Pを所定のタイミングで給紙路に送り出す。送り出された記録紙Pは、給紙路の末端に配設されたレジストローラ対60のローラ間に挟み込まれる。
レジストローラ対60は、給紙カセットから送られてきた記録紙Pをローラ間に挟み込むために両ローラを回転駆動させているが、記録紙Pの先端を挟み込むとすぐに両ローラの回転駆動を停止させる。そして、記録紙Pを中間転写ベルト51上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに向けて送り出す。2次転写ニップでは、中間転写ベルト51上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の作用によって記録紙P上に一括2次転写される。そして、記録紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された記録紙Pは、2次転写ニップから排出された後、図示しない定着装置に送られてフルカラー画像が定着せしめられる。
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト51表面に付着している2次転写残トナーは、従動ローラ54との間に中間転写ベルト51を挟み込んでいるベルトクリーニング装置57によってベルト表面から除去される。
図2は、M用のトナー像形成部(1M)の現像ユニット20Mと、感光体3Mとを示す拡大構成図である。同図において、ドラム状の感光体3Mは、その軸線方向を図紙面に直交する方向に延在させる姿勢で配設されている。現像ユニット20Mは、現像室26Mと、剤供給室27Mと、剤回収室28Mと、剤返送室29Mとを有しており、これらの室内には図示しないM現像剤が収容されている。また、現像室26Mには上述した現像ロール21Mが回転可能に収容されている。また、剤供給室27Mには、供給スクリュウ32Mが回転可能に収容されている。また、剤回収室28Mには、受取スクリュウ35Mが回転可能に収容されている。また、剤返送室29Mには、傾斜スクリュウ38Mが回転可能に収容されている。
現像ロール21Mを収容している現像室26Mは、感光体3Mと対向する側の壁に開口を有しており、そこから現像スリーブの周面の一部を露出させている。この現像室26Mにおける感光体3Mと対向する側とは反対側は、現像ロール21Mの軸線方向の全域に渡って、剤供給室27M及び剤回収室28Mが連通している。剤供給室27Mは剤回収室28Mの鉛直方向の真上に配設されており、これら剤供給室27M及び剤回収室28Mが何れも図中右側(感光体側)を長手方向の全域に渡って現像室26Mに連通しているのである。
剤供給室27M内に収容されている供給スクリュウ32Mは、樹脂等の非磁性材料からなり、感光体3Mや現像ロール21Mと同様に水平方向に延在する姿勢をとっている。そして、棒状の回転軸部材33Mとこれの周面に螺旋状に立設せしめられたスクリュウ羽根34Mとが、図示しないモータや駆動伝達系などからなる駆動手段によって図中反時計回り方向に一体的に回転駆動される。
剤回収室28M内に収容されている受取スクリュウ35Mも、感光体3M、現像ロール21M、供給スクリュウ32Mと同様に、水平方向に延在する姿勢をとっている。そして、図示しない駆動手段により、樹脂等の非磁性材料からなる回転軸部材36Mとスクリュウ羽根37Mとが図中時計回り方向に一体的に回転駆動される。
剤供給室27Mや剤回収室28Mにおける現像室26Mに対向する側とは反対側には、剤返送室29Mが隣接している。この剤返送室29Mは、他の部屋とは異なり、水平方向から傾いた姿勢で延在するように形成されている。そして、非磁性材料からなる回転軸部材39Mの周面上に非磁性材料からなるスクリュウ羽根40Mが立設せしめられた傾斜スクリュウ38Mも、かかる剤返送室29M内において傾斜した姿勢で延在しており、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される。なお、剤返送室29Mは、仕切壁30Mによってその大部分が剤供給室27Mや剤回収室28Mから仕切られている。但し、仕切壁30Mに設けられた図示しない開口部によって、一部分が剤供給室27Mや剤回収室28Mと連通している。
剤供給室27M内においては、供給スクリュウ32Mの羽根内に保持された図示しないM現像剤が、供給スクリュウ32Mの回転に伴って、図紙面に直交する方向の手前側から奥側へと搬送される。この搬送の過程において、M現像剤は図中矢印Aで示すように現像室26M内の現像スリーブに順次供給されていき、現像ロール21M内のマグネットローラの磁力によって現像スリーブに汲み上げられる。現像スリーブに汲み上げられずに供給スクリュウ32Mの剤搬送方向下流側端部付近(図中奥側端部付近)まで搬送されたM現像剤は、図3の矢印Cで示すように、剤供給室27Mの底壁に設けられた落とし込み開口から剤回収室28M内に落下する。
先に示した図2において、現像スリーブの回転に伴って、上述した現像位置まで搬送されて現像に寄与したM現像剤は、その後、現像スリーブの回転に伴って現像室26Mと剤回収室28Mとの連通位置まで搬送される。そして、上記マグネットローラの形成する反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、図中矢印Bで示すように剤回収室28M内に落下する。
剤回収室28M内では、受取スクリュウ35Mの羽根内に保持された図示しないM現像剤が、受取スクリュウ35Mの回転に伴って、図紙面に直交する方向の手前側から奥側へと搬送される。そして、この搬送の過程において、上述したトナー補給装置によってMトナーが補給される。また、剤供給室27Mの上記落とし込み開口から落下してくるM現像剤を取り込む。その後、受取スクリュウ35Mの剤搬送方向下流側端部付近(図中奥側端部付近)まで搬送されたM現像剤は、図3の矢印Dで示すように、仕切壁30Mの開口部を通って、剤返送室29M内に進入する。
剤返送室29M内に進入したM現像剤は、傾斜スクリュウ38Mの剤搬送方向上流側端部に取り込まれる。そして、剤搬送方向上流側から剤搬送方向下流側への斜め上向きの姿勢で配設された傾斜スクリュウ38Mの回転に伴って、図4の矢印Gで示すように昇り勾配で搬送される。傾斜スクリュウ38Mの剤搬送方向下流側端部付近まで搬送されると、図5の矢印Hで示すように、仕切壁30Mに設けられた返送開口42Mを通って、剤供給室27Mに戻される。そして、供給スクリュウ32Mの剤搬送方向上流側端部に取り込まれる。
以上の基本的な構成を有する本プリンタでは、4つの感光体3M,C,Y,Kがそれぞれ、回転によって無端移動する表面に潜像を担持する潜像担持体として機能している。また、光書込ユニット10M,C,Y,Kが、一様帯電後の感光体表面に潜像を形成する潜像形成手段として機能している。また、各色の現像ユニット20M,C,Y,Kがそれぞれ、感光体3M,C,Y,K表面上の潜像を現像する現像装置として機能している。
次に、従来の画像形成装置における現像ユニットについて説明しておく。
図7は、従来の現像ユニット(M用)の第1例を、感光体とともに示す拡大構成図である。同図において、現像ロール21Mのマグネットローラは、周方向に並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極のうち、Naという符号で示される磁極は、現像スリーブを介して感光体3Mに対向しながら、現像剤を現像位置でスリーブ表面上に拘束するための現像磁極である。また、Nbという符号で示される磁極は、現像スリーブを介して現像ドクタ25Mの先端と対向しながら、現像剤を現像ドクタ25Mによる層厚規制位置でスリーブ表面に向けて引き寄せるための規制磁極である。また、Ncという符号で示される磁極は、規制磁極Nbに対してスリーブ表面移動方向(スリーブ回転方向)の上流側で隣り合っている規制上流磁極である。また、Saという符号で示される磁極は、現像スリーブの表面移動に伴って、現像ドクタ25Mによる層厚規制位置を通過した後、現像位置に進入する前の現像剤をスリーブ表面上に拘束するための規制後搬送磁極である。また、Sbという符号で示される磁極は、現像スリーブの表面移動に伴って、現像位置を通過した後、規制上流磁極Ncとの対向位置に進入する前の現像剤を、スリーブ表面に拘束するための現像後磁極である。
なお、それぞれの磁極に対応する符号は、その磁極のスリーブ表面上における磁力が最大となる箇所に付されている。後に説明する図8や図6も同様である。
図7の構成においては、規制磁極Nbに対してスリーブ表面移動方向(スリーブ回転方向)の上流側で隣り合っている規制上流磁極Ncは、汲み上げ磁極としては機能していない。それよりも下流側にある規制磁極Nbが、供給スクリュウ32Mの回転方向の周囲にある現像剤を自らの発する磁力によって引き寄せて現像スリーブの表面に汲み上げさせる汲み上げ磁極としての機能を兼ね備えている。そして、規制磁極Nbと規制上流磁極Ncとは互いに同じN極になっているため、両磁極間には図示しない磁力線の繋がらない反発磁界が形成される。
規制磁極Nbにおけるスリーブ回転方向の上流側端部は、現像スリーブを介して供給スクリュウ32Mに対向している。そして、この上流側端部から延びる図示しない磁力線は、すぐ隣の規制上流磁極Ncとの反発によって大きく湾曲した後、規制磁極Nbを超えて反対側の規制下流磁極である規制後搬送磁極Saに回り込ませている。このように磁力線を回り込ませる規制磁極Nbの上流側端部は、磁力が比較的小さくなっているため、供給スクリュウ32Mから現像スリーブへの現像剤の供給が行われる供給位置から、現像ドクタ25Mによる規制位置に至るまでのスリーブ表面領域上で滞留している図示しない規制滞留現像剤のスペント現象やトナー削れを抑えることができる。
しかしながら、嵩密度が比較的低くなっている状態の現像剤に対してその嵩を高めるまでの磁力を現像ドクタ25Mとの対向位置で発揮することができずに、その現像剤を低い嵩密度のままで層厚規制してしまう。このため、環境変動などによって現像剤の嵩密度が変動すると、それに伴って現像位置へのトナー搬送量を変動させてしまい、安定した現像濃度を得ることが困難であった。
また、供給スクリュウ32Mを規制磁極Nbと規制上流磁極Ncとの間に形成される反発磁界に対向させてしまうと、スリーブ表面への現像剤の汲み上げができなくなる。このため、規制磁極Nbと規制上流磁極Ncとを跨いだ領域に供給スクリュウ32Mを対向させることができないというレイアウト上の制約を受けてしまう。
図8は、従来の現像ユニット(M用)の第2例を、感光体とともに示す拡大構成図である。同図において、現像ロール21Mのマグネットローラにおける複数の磁極のうち、Naという符号で示される磁極は、図7の第1例と同様の現像磁極である。また、Nb、Saという符号で示される磁極は、図7の第1例と同様の規制磁極、規制後搬送磁極である。また、Scという符号で示される磁極は、供給スクリュウ32Mの周囲の現像剤をスリーブ表面に汲み上げさせるための汲み上げ磁極であり、第2例においては規制磁極Naに対してスリーブ表面移動方向の上流側で隣り合っている規制上流磁極でもある。また、Sbという符号で示される磁極は、現像スリーブの表面移動に伴って、現像位置を通過した後、受取スクリュウ35Mとの対向位置に進入する前の現像剤をスリーブ表面上に拘束するための現像後磁極である。
汲み上げ磁極Scと、これに対してスリーブ表面移動方向上流側で隣り合っている現像後磁極Sdとは互いに同じS極になっているため、両磁極間には図示しない磁力線の繋がらない反発磁界が形成される。現像スリーブの表面移動に伴って、受取スクリュウ35Mとの対向位置に進入した現像剤は、この反発磁界によってスリーブ表面から離脱して剤回収室28Mに回収される。
規制磁極Nbと、これに対してスリーブ表面移動方向上流側で隣り合っている汲み上げ磁極Scとは互いに異なる極性であるため、両磁極間には互いの図示しない磁力線を繋げる磁界が形成される。そして、汲み上げ磁極Scは、規制磁極Nbとの間に反発磁界を形成する場合に比べて強い磁力を発する。このため、供給スクリュウ32Mの周囲から十分量の現像剤を引き寄せて現像スリーブ表面に汲み上げさせることができる。
しかしながら、図示の構成では、現像スリーブの表面移動方向における全表面領域のうち、汲み上げ磁極Scによる最大磁力の箇所が、汲み上げ開始位置から層厚規制開始位置に至るまでの領域に位置している。このため、スリーブ表面上において、スリーブ表面に連れ回りながら搬送されている現像剤の上で滞留している規制滞留現像剤を、汲み上げ磁極Scによる最大磁力でスリーブ表面に引き寄せる。そして、これにより、規制滞留現像剤に大きなストレスをかけてスペント現象やトナー削れの発生を助長してしまう。
次に、実施形態に係るプリンタの特徴的な構成について説明する。図6は、実施形態に係るプリンタのM用の現像ユニットにおける現像ロール21Mと、剤供給室27Mとを示す拡大構成図である。同図において、現像ロール21Mのマグネットローラにおける複数の磁極のうち、N1という符号で示されるのは、現像スリーブを介して図示しない感光体に対向しながら、現像位置にある現像剤をスリーブ表面に引き寄せるための現像磁極である。また、N2という符号で示されるのは、現像スリーブを介して現像ドクタ25Mの先端と対向しながら、現像剤を現像ドクタ25Mによる層厚規制位置でスリーブ表面に向けて引き寄せるための規制磁極である。また、S1という符号で示されるのは、現像スリーブの表面移動に伴って、現像ドクタ25Mによる層厚規制位置を通過した後、現像位置に進入する前の現像剤をスリーブ表面上に拘束するための規制後搬送磁極である。また、S2という符号で示されるのは、規制磁極N2に対してスリーブ表面移動方向上流側で隣り合う規制上流磁極としての機能と、供給スクリュウ32Mの周囲の現像剤をスリーブ表面に汲み上げさせる機能とを有する汲み上げ磁極である。また、S3という符号で示されるのは、現像スリーブの表面移動に伴って、現像位置を通過した後、図示しない受取搬送スクリュウとの対向位置に進入する前の現像剤をスリーブ表面上に拘束するための現像後磁極である。
現像後磁極S3と、これに対してスリーブ表面移動方向下流側で隣り合っている汲み上げ磁極S2とは互いに同じS極であるため、両磁極間には反発磁界が形成される。現像スリーブの表面移動に伴って、図示しない受取スクリュウとの対向位置に進入した現像剤は、この反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱して、図示しない剤回収室に回収される。
供給スクリュウ32Mを収容する剤収容室27Mは、現像ユニットのケーシングの一部である受け部材43Mにより、図示しない剤回収室(図2の28M)と仕切られている。この受け部材43Mは樹脂等の非磁性材料からなり、供給スクリュウ32Mの重力方向下方にて、自らの表面上に存在する現像剤を供給スクリュウ32Mによる搬送が可能になるようにその表面で受ける役割も担っている。
供給スクリュウ32Mから現像スリーブへの現像剤の供給が行われる供給位置は、受け部材43Mのスリーブ表面移動方向の下流端44Mが、現像スリーブの全表面領域のうち、汲み上げ磁力最大箇所(S3という符号が付された箇所)よりも下流側の箇所の脇に位置している。
現像ロール21Mの現像スリーブは、図中矢印Aで示されるように、受け部材43Mの下流端44Mの脇に進入すると、現像剤の汲み上げを開始する。現像スリーブの全表面領域のうち、汲み上げ磁力最大箇所は、このように汲み上げが開始される位置よりも上流側に位置しているため、スリーブ表面上における汲み上げ開始位置から規制部材との対向位置に至るまでの領域に滞留している規制滞留現像剤に対して、汲み上げ磁極S2による最大磁力を作用させることがない。これにより、最大磁力を作用させてしまう場合に比べて、規制滞留現像剤に対するストレスを軽減して、スペント現象の発生やトナー削れを抑えることができる。
また、本プリンタにおいては、互いに隣り合う規制磁極N2及び汲み上げ磁極S2として、互いに異なる極性の組合せを用い、両磁極間で磁力線を繋げる磁界を形成することで、嵩密度が比較的低くなっている状態の現像剤に対して、規制位置でその嵩をより高めるのに十分な磁力を作用させることが可能である。更には、汲み上げ磁極S2の磁力によってスリーブ表面に汲み上げさせた現像剤を、現像スリーブの表面移動に伴って規制磁極N2との対向領域に送る過程で、スリーブ表面上に拘束し続けるので、規制磁極N2と汲み上げ磁極S2とを跨いだ領域に供給スクリュウ32Mを対向させることも可能である。よって、環境変動に伴う現像濃度の変動を抑えつつ、図7の構成に比べてレイアウト自由度を向上させることができる。
図6において、L1という符号は、現像ドクタ25Mの先端におけるスリーブ表面移動方向の上流側のエッジEと、現像スリーブの回転中心とを結ぶ仮想線分を示している。また、L2という符号は、上記供給位置におけるスリーブ表面移動方向の下流端と、現像スリーブの回転中心とを結ぶ仮想線分を示している。また、θ1という符号は、仮想線分L1と仮想線分L2とのなす角度を示している。また、L3という符号は、現像スリーブの表面移動方向における全表面領域のうち、規制磁極N2による磁力が最大になる規制磁力最大箇所と、現像スリーブの回転中心とを結ぶ仮想線分を示している。また、L4という符号は、上記汲み上げ磁力最大箇所と、現像スリーブの回転中心とを結ぶ仮想線分を示している。また、θ2という符号は、仮想線分L3と仮想線分L4とのなす角度を示している。
本プリンタにおいて、現像ドクタ25Mによって現像スリーブとの連れ回りを阻止された規制対流現像剤は、現像スリーブの表面上において、上記角度θ1で示される領域に滞留する。そして、本プリンタでは、上記角度θ1を上記角度θ2よりも小さくしている。かかる構成では、角度θ1で示される規制滞留現像剤の滞留領域に、スリーブ表面上で各磁極にそれぞれ対応する複数の磁力最大箇所のうち、規制磁極N2による規制磁力最大箇所の1つだけしか位置させることがない。よって、複数の磁極による複数の磁力最大箇所を位置させる場合に比べて、規制滞留現像剤に対するストレスを軽減することができる。
図6では、紙面の上下方向が現像ユニットの鉛直方向に沿っており、且つ、紙面の左右方向が現像ユニットの水平方向に沿っている。そして、受け部材43Mの下流端44Mは、規制磁極N2よりも重力方向の下方に位置している。即ち、上記供給位置を、規制磁極N2よりも重力方向の下方に位置させている。かかる構成では、図中矢印Aで示されるように、供給スクリュウ32Mの上端を現像スリーブの上端よりも下方に位置させて、供給スクリュウ32Mから現像スリーブに向けて重力方向に逆らった現像剤の汲み上げが行われるレイアウトを採用することができる。
現像スリーブの表面移動方向における現像ドクタ25Mとの対向領域、即ち、現像剤規制位置については、規制磁極N2による規制磁極最大箇所よりも下流側の箇所、に対向させている。この箇所は、規制磁極N2の磁力の及ぶ範囲内なので、当然ながら極性はN極である。かかる構成では、規制滞留現像剤を規制磁極N2による最大磁力でスリーブ表面に向けて引き寄せることで、適量の規制滞留現像剤をスリーブ表面上に保持することができる。更には、規制位置では規制磁極N2の最大磁力を作用させないので、同最大磁力を作用させてしまうことによる規制滞留現像剤への過剰なストレスの付与を回避することもできる。
但し、規制磁極N2の磁力が強すぎると、規制滞留現像剤へのストレスを十分に小さくすることができなくなる。この一方で、規制磁極N2の磁力が弱すぎると、現像剤が環境変動等によって嵩密度を著しく低下させても、その嵩密度を磁力による磁性キャリアの引き寄せで十分に低下させることなく、現像剤を規制してしまう。本発明らの実験によれば、規制磁極N2として、磁束密度が0.03T以上、0.08Tであるものを用いることで、規制滞留現像剤におけるスペント現像やトナー削れの発生を十分に抑えながら、現像剤の嵩密度の変動による現像位置へのトナー搬送量の変動を十分に抑えることができた。そこで、本プリンタにおいては、規制磁極N2として、磁束密度が0.03T以上、0.08Tであるものを用いている。
現像ドクタ25Mについては、現像スリーブの法線方向に最も近い方向に延在している面を、鉛直方向に対して20[°]以上傾けた姿勢で配設している。かかる構成では、現像ドクタ25Mによって規制された規制滞留現像剤のうち、規制磁極N2の磁力でスリーブ表面上に保持しきれなくなったものを、重力によって剤供給室27M内にスムーズに落下させることができる。そして、これにより、規制滞留現像剤が過剰に滞留することによる規制滞留現像剤へのストレスの上昇を抑えることができる。
これまで、M用の現像ユニットについて詳しく説明してきたが、他色用の現像ユニットも、M用の現像ユニットと同様の構成になっている。
また、複数のトナー像形成部で形成した各色のトナー像を重ね合わせて転写してフルカラー画像を得るいわゆるタンデム方式のプリンタについて説明してきたが、シングル方式でフルカラー画像を形成する画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。このシングル方式とは、感光体等の潜像担持体の周りに各色用の複数の現像手段を配設し、使用する現像手段を順次切り換えながら潜像担持体上に形成した各色の可視像を中間転写体に順次重ね合わせて転写する方式である。また、単色画像だけを形成する画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、剤担持部材たる現像スリーブにおける、現像位置を通過してから供給位置に進入する前の表面箇所、から現像剤を受け取って自らの回転軸線方向に搬送する受取スクリュウ35Mを設け、現像剤を、受取スクリュウ35Mから別のスクリュウである傾斜スクリュウ38Mを介して、供給スクリュウ32Mに受け渡しさせるようにしている。即ち、供給スクリュウ32Mに対する現像剤の供給と回収とを、別々のスクリュウで行うようにしている。かかる構成では、現像スリーブから供給スクリュウ32Mへの使用済み現像剤の戻りを回避することで、供給スクリュウ32Mによって搬送される現像剤のトナー濃度を剤搬送方向において安定化させる。よって、1つの供給スクリュウで供給と回収とを行う場合に比べて、現像濃度を安定化させることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、剤担持部材として、回転によって表面移動可能な筒状の現像スリーブを用いるとともに、磁界発生部材として、筒状の現像スリーブに内包されるローラ状のマグネットローラを用いている。かかる構成では、回転駆動という単純な駆動によって現像スリーブを表面移動させつつ、その表面上のほぼ全域に磁界を形成することができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、規制部材たる現像ドクタ25Mの先端におけるスリーブ表面移動方向の上流側のエッジEと現像スリーブの回転中心とを結ぶ仮想線分L1と、上記供給位置におけるスリーブ表面移動方向の下流端と現像スリーブの回転中心とを結ぶ仮想線分L2とのなす角度θ1を、現像スリーブの移動方向における全表面領域のうち、規制磁極N2による規制磁力最大箇所と、現像スリーブの回転中心とを結ぶ仮想線分L3と、汲み上げ磁極S2による汲み上げ磁力最大箇所と、現像スリーブの回転中心とを結ぶ仮想線分L4とのなす角度θ2よりも小さくしている。かかる構成では、既に述べたように、適量の規制滞留現像剤をスリーブ表面上に保持しながら、規制位置で規制磁極N2の最大磁力を作用させてしまうことによる規制滞留現像剤への過剰なストレスの付与を回避することができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、上記供給位置を規制磁極N2よりも重力方向の下方に位置させている。かかる構成では、複数の磁極のそれぞれによる複数の磁力最大箇所のうち、規制磁極N2による規制磁力最大箇所の1つだけしか規制滞留現像剤の滞留領域に対向させないので、2つ以上対向させる場合に比べて、規制滞留現像剤に対するストレスを軽減することができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、現像スリーブの表面移動方向における現像ドクタ25Mとの対向領域を、規制磁極N2による規制磁力最大箇所よりも最大磁束密度の箇所よりも下流側の現像スリーブの表面箇所、に対向させている。かかる構成では、既に述べたように、供給スクリュウ32Mの上端を現像スリーブの上端よりも下方に位置させて、供給スクリュウ32Mから現像スリーブに向けて重力方向に逆らった現像剤の汲み上げが行われるレイアウトを採用することができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、規制磁極N2として、磁束密度が0.03[T]以上、0.08[T]以下であるもの、を用いている。かかる構成では、既に述べたように、規制滞留現像剤におけるスペント現像やトナー削れの発生を十分に抑えながら、現像剤の嵩密度の変動による現像位置へのトナー搬送量の変動を十分に抑えることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、板状の規制部材である現像ドクタ25Mを鉛直方向から20[°]以上傾けた姿勢で配設しているので、既に述べたように、規制滞留現像剤が過剰に滞留することによる規制滞留現像剤へのストレスの上昇を抑えることができる。
実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図。 同プリンタにおける、M用のトナー像形成部の現像ユニットと、感光体とを示す拡大構成図。 同現像ユニットにおける搬送3室の一端側を示す横断面図。 同搬送3室を示す縦断面図。 同搬送3室の他端側を示す横断面図。 同現像ユニットにおける現像ロールと剤供給室とを示す拡大構成図。 従来の現像ユニット(M用)の第1例を、感光体とともに示す拡大構成図。 従来の現像ユニット(M用)の第2例を、感光体とともに示す拡大構成図。
符号の説明
3M,C,Y,K:感光体(潜像担持体)
20M,C,Y,K:現像ユニット(現像装置)
21M:現像ロール(現像剤担持体)
N2:規制磁極
S2:汲み上げ磁極
25M:現像ドクタ(規制部材)
32M:供給スクリュウ
35M:受取スクリュウ
38M:傾斜スクリュウ(別のスクリュウ)
43M:受け部材
44M:上流端

Claims (9)

  1. トナーと磁性キャリアとを含有する現像剤を自らの移動する表面に担持する剤担持部材、及び、該剤担持部材の表面移動方向に沿って並びながら該剤担持部材に移動不能に内包される複数の磁極を具備する磁界発生部材、を有し、該剤担持部材の表面移動に伴って現像剤を画像形成装置の潜像担持体との対向位置である現像位置に搬送して該潜像担持体上の潜像を現像する現像剤担持体と、現像剤を自らの回転軸線方向に搬送しながら該剤担持部材に供給する供給スクリュウと、該供給スクリュウの重力方向下方にて、自らの表面上に存在する現像剤を該供給スクリュウによる搬送が可能になるように該表面で受ける受け部材と、該供給スクリュウから該剤担持部材への現像剤の供給が行われる供給位置を通過してから該現像位置に進入する前の剤担持部材の表面領域、に所定の間隙を介して対向しながら、該表面領域に担持されている現像剤の層厚を規制する規制部材とを備え、該磁界発生部材が、該剤担持部材を介して該規制部材に対向する規制磁極と、該規制磁極に対して該剤担持部材の表面移動方向の上流側で隣り合うように配設され、且つ、該供給スクリュウによって搬送される現像剤を自らの磁力によって引き寄せて該剤担持部材の移動する表面に汲み上げさせる汲み上げ磁極とを有するものである現像装置において、
    上記磁界発生部材として、上記規制磁極と上記汲み上げ磁極とが互いに異なる極性であるものを用い、且つ、上記剤担持体の表面における移動方向の全領域のうち、上記汲み上げ磁極による磁力が最大となる箇所である汲み上げ磁力最大箇所を、上記供給位置よりも上流側に位置させたことを特徴とする現像装置。
  2. 請求項1の現像装置において、
    上記現像位置を通過してから上記供給位置に進入する前の上記剤担持部材の表面箇所、から現像剤を受け取って自らの回転軸線方向に搬送する受取スクリュウを設け、現像剤を、該受取スクリュウから、あるいは該受取スクリュウから別のスクリュウを介して、上記供給スクリュウに受け渡しさせるようにしたことを特徴とする現像装置。
  3. 請求項1又は2の現像装置において、
    上記剤担持部材として、回転によって表面移動可能な筒状のものを用いるとともに、上記磁界発生部材として、筒状の該剤担持部材に内包されるローラ状のマグネットローラを用いたことを特徴とする現像装置。
  4. 請求項3の現像装置において、
    上記規制部材の先端における上記表面移動方向の上流側のエッジと上記剤担持部材の回転中心とを結ぶ仮想線分と、上記供給位置における上記表面移動方向の下流端と該回転中心とを結ぶ仮想線分とのなす角度θ1を、
    上記剤担持部材の表面の移動方向における全領域のうち、上記規制磁極による磁力が最大になる規制磁力最大箇所と該回転中心とを結ぶ仮想線分と、上記汲み上げ磁力最大箇所と該回転中心とを結ぶ仮想線分とのなす角度θ2よりも小さくしたことを特徴とする現像装置。
  5. 請求項1乃至4の何れかの現像装置において、
    上記供給位置を、上記規制磁極よりも重力方向の下方に位置させたことを特徴とする現像装置。
  6. 請求項1乃至5の何れかの現像装置において、
    上記剤担持部材の表面移動方向における上記規制部材との対向領域を、上記剤担持部材の表面の移動方向における全領域のうち、上記規制磁極による磁力が最大になる規制磁力最大箇所よりも下流側の箇所、に対向させたことを特徴とする現像装置。
  7. 請求項1乃至6の何れかの現像装置において、
    上記規制磁極として、磁束密度が0.03[T]以上、0.08[T]以下であるもの、を用いたことを特徴とする現像装置。
  8. 請求項5の現像装置において、
    板状の上記規制部材を鉛直方向から20[°]以上傾けた姿勢で配設したことを特徴とする現像装置。
  9. 潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを備える画像形成装置において、
    上記現像手段として、請求項1乃至8の何れかの現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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