JP2008255039A - 害虫防除用加熱蒸散体 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用期間終了期の担体における害虫防除成分の残留量を大きく低減することができる、加熱蒸散体を提供すること。
【解決手段】平面視略矩形の板状の担体2と、担体2を両面側から挟むように内包した袋体3と、からなっている、害虫防除用加熱蒸散体1において、担体2が、加熱蒸散性害虫防除成分を含有しており、被加熱面と蒸散面とを有しており、袋体3が、加熱蒸散性害虫防除成分に対して非透過性を有するフィルムからなっており、担体2の蒸散面に面している蒸散面対面領域Aを有しており、袋体3の蒸散面対面領域Aに、3〜10個の開口部41が形成されており、全ての開口部41が、担体2の蒸散面の平面視中央位置から外れた位置に、存在していることを特徴としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、加熱されることによって害虫防除成分を蒸散する害虫防除用加熱蒸散体に関する。
害虫防除用加熱蒸散体は、一般には「電気蚊取り用マット」と呼ばれている。例えば特許文献1、2に示された従来の加熱蒸散体は、平面視略矩形の板状の担体と、担体を両面側から挟むように内包した袋体と、からなっている。担体は、害虫防除成分を含有している。袋体には、1個以上の開口部が形成されている。従来の加熱蒸散体は、担体が加熱されることによって、担体の害虫防除成分を袋体の開口部を通して大気中へ蒸散させるようになっている。すなわち、従来の加熱蒸散体では、害虫防除成分の蒸散の程度を開口部によって調整している。
特開2003−201205号公報 特開2004−339209号公報
従来の加熱蒸散体では、害虫防除効果が発揮されなくなった使用期間終了期において、比較的多量の害虫防除成分が担体に残留している場合があった。これは、害虫防除成分の経済的損失を生じさせ、また、使用期間を短くするので、好ましくない。
そこで、使用期間終了期の担体における害虫防除成分の残留量を大きく低減することが、望まれている。
本発明は、平面視略矩形の板状の担体と、担体を両面側から挟むように内包した袋体と、からなっている、害虫防除用加熱蒸散体において、担体が、加熱蒸散性害虫防除成分を含有しており、被加熱面と蒸散面とを有しており、袋体が、加熱蒸散性害虫防除成分に対して非透過性を有するフィルムからなっており、担体の蒸散面に面している蒸散面対面領域を有しており、袋体の蒸散面対面領域に、3〜10個の開口部が形成されており、全ての開口部が、担体の蒸散面の平面視中央位置から外れた位置に、存在していることを特徴としている。
本発明は、更に、次のような構成を採用するのが好ましい。
(I)全ての開口部の開口面積の合計が、担体の蒸散面の面積の3〜10%である。
(II)全ての開口部の位置関係が、平面視において均衡的である。
(III)開口部の個数が3個であり、全ての開口部が、二等辺三角形の頂点の位置に、存在しており、その二等辺三角形の底辺が、蒸散面対面領域の一辺に対して、平行であり、1個の開口部が、蒸散面対面領域の長手方向の中央に存在している。
(IV)開口部の個数が4個であり、全ての開口部が、正四角形の頂点の位置に、存在しており、その正四角形の一辺が、蒸散面対面領域の一辺に対して、平行である。
(V)担体が、加熱蒸散性害虫防除成分の消失を示す表示手段を、蒸散面の平面視中央位置に有している。
(VI)加熱蒸散性害虫防除成分が、式(1)で示される化合物である。
Figure 2008255039

(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、又は塩素原子であり、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシ基、又はメトキシメチル基である)
(VII)上記(VI)の上記化合物が、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、
2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、又は
2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラートである。
(VIII)加熱蒸散性害虫防除成分が、200℃以上の沸点を有するエステル系溶剤の、溶液として、担体に含浸されている。
(IX)上記(VIII)のエステル系溶剤が、アセチルクエン酸エステルである。
(X)上記(IX)のアセチルクエン酸エステルが、アセチルクエン酸トリエチル及び/又はアセチルクエン酸トリブチルである。
別の発明は、本発明の害虫防除用加熱蒸散体を、担体の被加熱面の側から加熱することを特徴とする害虫防除方法である。
本発明によれば、加熱蒸散体を被加熱面側から加熱することにより、担体に含有されている害虫防除成分を、袋体の開口部を通して大気中へ蒸散させることができる。すなわち、害虫防除成分を、蒸散面の外れ位置から、積極的に蒸散させることができる。それ故、蒸散面の外れ位置において、害虫防除成分を積極的に消費でき、その消費に伴って、蒸散面の中央位置の害虫防除成分も消費できる。これにより、蒸散面の外れ位置及び中央位置には、害虫防除成分が殆ど残留しないこととなる。したがって、本発明によれば、使用期間終了期の担体における害虫防除成分の残留量を大きく低減できる。それ故、害虫防除成分の経済的損失を低減できる。しかも、担体の害虫防除成分を有効に消費して、使用期間を長くすることができる。
上記構成(I)、(II)、(III)、又は(IV)によれば、本発明の上記効果を有効に発揮できる。
上記構成(V)によれば、加熱蒸散体の使用期間終了期を容易に知ることができる。
上記構成(VI)又は(VIII)によれば、本発明の加熱蒸散体による害虫防除効果を有効に発揮できる。
上記構成(VII)又は(IX)によれば、本発明の加熱蒸散体による害虫防除効果をより有効に発揮できる。
上記構成(X)によれば、本発明の加熱蒸散体による害虫防除効果を更に有効に発揮できる。
別の発明によれば、本発明の加熱蒸散体による害虫防除効果を発揮させることができる。
[第1実施形態]
図1は本実施形態の害虫防除用加熱蒸散体を示す斜視図である。この加熱蒸散体1は、板状の担体2と、担体2を内包した袋体3と、からなっている。図2は担体2の斜視図、図3は加熱蒸散体1の平面図、図4は図3のIV−IV断面矢視図、図5は図3のV−V断面矢視図である。
(I)基本的構成
(I-1)担体2
担体2は、平面視長方形を有している。なお、担体2は、長方形以外の矩形又は略矩形を有してもよい。
担体2の大きさは、通常は、10〜20mm(縦)×30〜40mm(横)×1〜2mm(厚み)である。なお、担体2の大きさは、担体2を使用する加熱装置の加熱部の大きさに応じて、適宜、決めることができる。
担体2は、加熱蒸散性害虫防除成分(以下、「害虫防除成分」と称する)を含有している。担体2は、害虫防除成分を保持することができ、且つ、加熱されることによって害虫防除成分を適度に蒸散させることができるよう、構成されている。担体2は、被加熱面(裏面)21と蒸散面(表面)22とを有しており、被加熱面21側から加熱されることにより、蒸散面22側から害虫防除成分を蒸散させることができる。
担体2の蒸散面22の平面視中央位置には、インジケーター(表示手段)23が設けられている。インジケーター23は、蒸散面22の平面視中央部分に含有されている害虫防除成分が消失したことを示すよう、機能する。
(I-2)袋体3
袋体3は、フィルム31で構成されている。袋体3は、図4又は図5に示されるように2枚のフィルム31が担体2を両面側から挟み、且つ、図3に示されるように2枚のフィルム31が担体2の周縁に沿って接合された(接合部33)、形態を、有している。これにより、袋体3は、担体2を両面側から挟むように内包している。担体2は、袋体3内において、平面視四方向に殆ど不動である。担体2の蒸散面22とフィルム31との間、及び、担体2の被加熱面21とフィルム31との間には、隙間が無い又は殆ど無い。なお、隙間は存在してもよいが、その隙間の大きさは、通常は5mm以下、好ましくは3mm以下である。フィルム31の厚さは、特に制限はないが、通常は0.0001〜5mmであり、好ましくは0.001〜2mmである。
袋体3を構成するフィルム31は、害虫防除成分に対して非透過性を有している。すなわち、フィルム31は、害虫防除成分の蒸気を実質的には透過させない性質を有している。「実質的には透過させない」とは、害虫防除効力に影響を与える量の害虫防除成分を透過させない、という意味であり、具体的には、担体2の全面をフィルム31で覆った状態で、後述する試験1と同様にして害虫防除効果を調べた場合に、30分間観察してもノックダウンしている蚊が1匹も認められない、というレベルの「非透過性」を意味している。フィルム31は、加熱蒸散体1の使用温度(例えば、50〜200℃程度)において且つその使用期間中(例えば、約100時間以上)において、担体2の露出を引き起こす破れや融解などを防止できるよう、耐熱性を、有しているのが好ましい。
袋体3は、図3に示されるように、担体2の蒸散面22に面した蒸散面対面領域Aを有している。そして、蒸散面対面領域Aには4個の開口部41が形成されている。開口部41は、フィルム31を貫通した孔である。
4個の開口部41は、蒸散面対面領域Aにおいて、袋体3に内包された担体2の蒸散面22の平面視中央位置(以下、「中央位置」と称する)から外れた位置(以下、「外れ位置」と称する)に、存在している。すなわち、4個の開口部41は、いずれも、蒸散面22の中央位置に面していない。なお、蒸散面22の中央位置とは、図3に示されるように、蒸散面22の2つの対角線の交点Cの位置である。
4個の開口部41の位置関係は、平面視において均衡的である。具体的には、4個の開口部41は、長方形Sの頂点の位置に存在しており、長方形Sは、蒸散面対面領域Aの一辺に対して平行な一辺を有している。
4個の開口部41の全開口面積は、担体2の蒸散面22の面積の3〜10%、好ましくは4.8〜7.9%に、設定されている。
(II)製造方法
上記構成の加熱蒸散体1は、次のようにして作製する。まず、図6に示されるように、一辺が開放された袋30を用意する。次に、担体2を袋30の開放口301から袋30内に挿入する。そして、図7に示されるように、担体2を袋30の奥まで挿入した状態で、開放口301を線Xで示されるようにシールして、余分な部分302を切除する。シールは、ヒートシール、超音波シール、高周波シール、接着剤などによって、実施する。なお、用意する袋30は、フィルム31で構成されている。また、袋30の蒸散面対面領域Aの所定位置には、4個の開口部41が形成されている。また、袋30の内部の幅Wは、担体2が殆ど余裕無く挿入される大きさである。
なお、加熱蒸散体1は、次のようにして作製してもよい。まず、図8に示されるように、両端に開放口301Aを有する筒体30Aを用意し、筒体30A内に、担体2を挿入する。そして、両端の開放口301Aをシールして閉じる。これにより、筒体30Aは袋体3となり、図9に示されるような加熱蒸散体1が得られる。図10は図9のX−X断面矢視図、図11は図9のXI−XI断面矢視図である。なお、シールは、ヒートシール、超音波シール、高周波シール、接着剤などによって、実施する。また、用意する筒体30Aは、フィルム31で構成されている。また、開口部41は、筒体30Aに形成してもよいが、袋体3に形成してもよい。
(III)作用効果
上記構成の加熱蒸散体1を使用して害虫防除を行う場合は、加熱蒸散体1を、加熱装置(例えば電気蚊取り器)の加熱部に載置して、約50〜約200℃程度に加熱する。加熱装置によって、加熱蒸散体1が被加熱面21側から加熱されると、担体2に含有されている害虫防除成分が、袋体3の4個の開口部41を通って大気中へ蒸散される。すなわち、害虫防除成分は、蒸散面22の外れ位置から、積極的に蒸散される。それ故、蒸散面22の外れ位置においては、害虫防除成分が積極的に消費され、その消費に伴って、蒸散面22の中央位置の害虫防除成分も消費される。これにより、蒸散面22の外れ位置及び中央位置には、害虫防除成分が殆ど残留しないこととなる。
したがって、上記構成の加熱蒸散体1によれば、使用期間終了期の担体2における害虫防除成分の残留量を大きく低減できる。それ故、害虫防除成分の経済的損失を低減できる。しかも、担体2の害虫防除成分を有効に消費して、使用期間を長くすることができる。
また、上述したように、蒸散面22の中央位置の害虫防除成分は、外れ位置の害虫防除成分よりも、遅れて消費されていくので、インジケーター23は、遅れて消費されていく位置の害虫防除成分の消失を示すこととなる。したがって、インジケーター23は、使用期間終了期を略正確に示すことができる。
(IV)詳細な構成
担体2を構成する材料としては、繊維質材料、多孔質材料などを使用できる。具体的には、繊維質材料としては、例えば、次の材料を使用できる。
・パルプ、セルロース、綿などの天然繊維
・ポリエステル、アクリルなどの合成繊維
・ガラス繊維、石綿などの無機繊維。
また、多孔質材料としては、例えば、次の材料を使用できる。
・ケイソウ土などの多孔質無機物質
・素焼などの多孔質磁性物質
・発泡ウレタン、発泡ポリプロピレンなどの多孔質樹脂。
害虫防除成分としては、加熱蒸散性のピレスロイド系化合物を使用でき、好ましくは一般式(1)で示されるテトラフルオロベンジルエステル化合物を使用できる。
Figure 2008255039

(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、又は塩素原子であり、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシ基、又はメトキシメチル基である)
テトラフルオロベンジルエステル化合物としては、例えば、次の化合物を使用できる。
・2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
・2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
・2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート
・2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
・2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
・2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
担体2における害虫防除成分の含有量は、担体1cm当たり、通常は0.001〜1g程度である。但し、その含有量は、担体2を構成する材料、目標とする害虫防除効果持続期間、害虫防除成分の種類などに応じて、適宜、決めることができる。
担体2は、害虫防除成分の他に、必要に応じて、溶剤、色素、酸化防止剤、共力剤、安定化剤、香料などを、含有してもよい。
溶剤としては、例えば、ノルマルパラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤、ナフテン系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤などを使用できる。これらは、単独で又は2種以上の混合物の形態で、使用できる。特に、エステル系溶剤としては、パルミチン酸イソプロピルなどのパルミチン酸エステル;アジピン酸ジオクチルなどのアジピン酸エステル;セバチン酸ジブチルなどのセバチン酸エステル;アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチルなどのアセチルクエン酸エステル;マレイン酸ジ(2−エチルヘキシル)などのマレイン酸エステル;ミリスチン酸イソプロピルなどのミリスチン酸エステル;などを、好ましく使用でき、更には、アセチルクエン酸エステルを、特に好ましく使用できる。
色素としては、アントラキノン系青色色素などを使用できる。アントラキノン系青色色素としては、例えば、次の化合物を使用できる。
・1,4−ジブチルアミノアントラキノン
・1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン
・1,4−ビス(2,6−ジエチル−4−メチルフェニルアミノ)アントラキノン
・1−メチルアミノ−4−オルトトリルアミノアントラキノン
・1−メチルアミノ−4−メタトリルアミノアントラキノン
・1−メチルアミノ−4−パラトリルアミノアントラキノン
これらは、単独で又は2種以上の混合物の形態で、使用でき、また、色の異なる他の色素との混合物の形態でも、使用できる。
酸化防止剤としては、フェノール系抗酸化剤などを使用できる。フェノール系抗酸化剤としては、例えば、次の化合物を使用できる。
・ジブチルヒドロキシトルエン
・ブチルヒドロキシアニソール
・2,2−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)
・2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノ−ル
・2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレ−ト
・3,9−ビス[2−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ−1,1−ジメチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン
共力剤としては、例えば、次の化合物を使用できる。
・ビス−(2,3,3,3−テトラクロロプロピル)エ−テル(S−421)
・N−(2−エチルヘキシル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3ジカルボキシイミド(MGK264)
・α−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエン(PBO)
安定化剤としては、紫外線吸収剤などを使用できる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などを使用できる。
害虫防除成分は、そのままで、又は、上述した溶剤の溶液として、担体2に含浸させることができる。これにより、担体2は、害虫防除成分を含有することができる。
インジケーター23は、例えば、次のようにして構成できる。
・担体2に色素を保持させる。色素の退色が害虫防除成分の消失を示す。(参考 特公昭46−24277)。
・担体2に、蒸散性の酸又は塩基と、PH指示薬とを、保持させる。PH指示薬の退色が害虫防除成分の消失を示す。(参考 特開昭56−53461)。
・担体2の構成材料に、蒸散性の酸又は塩基と、PH指示薬とを、保持させ、それを、担体2の蒸散面22に貼り付ける。PH指示薬の退色が害虫防除成分の消失を示す。(参考 特開昭56−53461)。
・担体2に、電子供与性呈色有機化合物及び顕色剤を保持させる。その退色が害虫防除成分の消失を示す。(参考 特開昭63−60901)。
・担体2の構成材料に、電子供与性呈色有機化合物及び顕色剤を保持させ、それを、担体2の蒸散面22に貼り付ける。その退色が害虫防除成分の消失を示す。(参考 特開昭63−60901)。
・特殊な紙又は樹脂を使用して担体2を構成する。特殊な紙又は樹脂は、光に対して低屈折率の地色層を、一面の一部又は全部に有している。地色層の色の変化が害虫防除成分の消失を示す。(参考 特開平8−73301)。
・特殊な紙又は樹脂に溶剤を含浸させ、それを、担体2の蒸散面22に貼り付ける。特殊な紙又は樹脂は、光に対して低屈折率の地色層を、一面の一部又は全部に有している。地色層の色の変化が害虫防除成分の消失を示す。(参考 特開平8−73301)。
袋体3のフィルム31を構成する材料としては、例えば、次の材料を使用できる。
・鉄、ニッケル、クロム、亜鉛、モリブデン、チタン、銅、アルミニウム、すず、鉛、銀、白金、金などの金属
・ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン
・ポリアクリロニトリル
・エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合、エチレン−メチルアクリレ−ト共重合体、エチレン−メチルメタアクリレ−ト共重合体、エチレン−エチルアクリレ−ト共重合体などの共重合体
・ナイロンなどのポリアミド
・ポリイミド
・ポリエチレンテレフタラ−ト、ポリブチレンテレフタラ−トなどのポリエステル
・ポリフェニレンオキシド
・ポリエーテルスルホンなどのポリエーテル
・ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂などのプラスチック
フィルム31は、上述した材料を組み合わせた複合材料で構成してもよく、また、上述した材料からなる層を2層以上重ねた積層体でもよい。また、強度、耐熱性、接着性などを付与するために、上述した材料からなる層に、害虫防除成分の透過性が高い材料(例えば紙など)からなる層を重ねた、積層体でもよい。また、耐熱性、加工性などの観点から、上述した金属からなる層と、上述した樹脂からなる層との、積層体を用いるのが好ましい。特に、アルミニウム層と、次の樹脂からなる層との、積層体を用いるのが好ましい。その樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ナイロンなどのポリアミド;ポリイミド;ポリエチレンテレフタラ−ト、ポリブチレンテレフタラ−トなどのポリエステル;ポリフェニレンオキシド;ポリエーテルスルホンなどのポリエーテルを使用できる。
(V)変形可能な構成
加熱蒸散体1を製造するのに使用する袋30には、開口部41が形成されていなくてもよい。すなわち、開口部41は、袋体3が担体2を内包した後に、蒸散面対面領域Aに形成してもよい。
袋体3は、例えば、次の方法によって製造してもよい。
・フィルム31を、ヒートシール、超音波シール、高周波シール、接着剤などによって、担体2の両面21、22に貼り付ける方法。
・ディップコーティング法、スプレーコーティング法、はけ塗り法などの、通常の樹脂コーティング方法によって、樹脂からなるフィルム31を担体2の両面に形成する方法。
孔である開口部41の代わりとして、フィルム31の開口部41に該当する部分を、害虫防除成分を透過する材料で構成してもよい。
(VI)その他の作用効果
上記構成の加熱蒸散体1によれば、各種の有害昆虫、及び、ダニ類などの節足動物を、防除できる。特に、次のような飛翔性害虫を防除できる。例えば、アカイエカ、コガタアカイエカなどのイエカ類;ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなどのヤブカ類;シナハマダラカなどのハマダラカ類;ユスリカ類;イエバエ、オオイエバエ、ヒメイエバエなどのイエバエ類;クロバエ類;ニクバエ類;ショウジョウバエ類;チョウバエ類;ノミバエ類;アブ類;ブユ類;サシバエ類;ヌカカ類。
上記構成の加熱蒸散体1によれば、担体2が袋体3に内包されているので、担体2に触れることなく、加熱蒸散体1を取り扱うことができる。したがって、害虫防除成分が使用者の指に付着するという危険を解消できる。
上記構成の加熱蒸散体1によれば、袋体3の開口部41を、害虫防除成分を透過しないシールなどによって塞ぐことにより、次のような効果を発揮できる。
(a)害虫防除成分の蒸散を止めることができる。したがって、害虫防除成分の不必要な蒸散を防止できる。
(b)害虫防除成分が開口部41を通して使用者の指に付着するのを防止できる。
なお、シールとしては、片面に、貼り付け及び引き剥がしを容易に行うことができる接着層を備えたものが、好ましい。そのシールによれば、繰り返し使用が可能である。
特に、上記構成の加熱蒸散体1は、最初の使用前には開口部41を上述したシールなどで塞いでおき、使用開始時に当該シールなどを除去して、使用するのが、好ましい。
[別の実施形態]
開口部41の個数は、3〜10個であれば、4個に限らない。また、開口部41の形は、円形に限らず、四角、三角、その他の形でもよい。更に、開口部41の位置関係は、平面視において非均衡的でもよい。
以下に示す実施形態は、開口部41の個数、形、又は位置関係が、第1実施形態とは異なるだけであり、他の構成は、第1実施形態と同じである。
(1)第2実施形態
図12は本実施形態の加熱蒸散体1の平面図である。開口部41は、円形である。開口部41の個数は、3個である。3個の開口部41は、二等辺三角形Tの頂点の位置に、存在している。そして、1個の開口部41(41a)が、蒸散面対面領域Aの長手方向の中央に存在している。
本実施形態においても、3個の開口部41のいずれもが、蒸散面22の中央位置Cに面していない。したがって、第1実施形態の上記(III)と同様の作用効果を発揮できる。
(2)第3実施形態
図13は本実施形態の加熱蒸散体1の平面図である。開口部41は、正方形である。その他は第2実施形態と同じである。
本実施形態においても、3個の開口部41のいずれもが、蒸散面22の中央位置Cに面していない。したがって、第1実施形態の上記(III)と同様の作用効果を発揮できる。
(3)第4実施形態
図14は本実施形態の加熱蒸散体1の平面図である。開口部41は、円形である。開口部41の個数は、6個である。4個の開口部41(41a)は、長方形Sの頂点の位置に存在しており、長方形Sは、蒸散面対面領域Aの一辺に対して平行な一辺を有している。2個の開口部41(41b)は、長方形Sの長辺の中央位置に、それぞれ存在している。
本実施形態においても、6個の開口部41のいずれもが、蒸散面22の中央位置Cに面していない。したがって、第1実施形態の上記(III)と同様の作用効果を発揮できる。
(4)第5実施形態
図15は本実施形態の加熱蒸散体1の平面図である。開口部41は、円形である。開口部41の個数は、8個である。4個の開口部41(41a)は、長方形Sの頂点の位置に存在しており、長方形Sは、蒸散面対面領域Aの一辺に対して平行な一辺を有している。4個の開口部41(41b)は、長方形Sの長辺を三等分する位置に、それぞれ存在している。
本実施形態においても、8個の開口部41のいずれもが、蒸散面22の中央位置Cに面していない。したがって、第1実施形態の上記(III)と同様の作用効果を発揮できる。
(5)第6実施形態
図16は本実施形態の加熱蒸散体1の平面図である。開口部41は、円形である。開口部41の個数は、10個である。4個の開口部41(41a)は、長方形Sの頂点の位置に存在しており、長方形Sは、蒸散面対面領域Aの一辺に対して平行な一辺を有している。6個の開口部41(41b)は、長方形Sの長辺を四等分する位置に、それぞれ存在している。
本実施形態においても、10個の開口部41のいずれもが、蒸散面22の中央位置Cに面していない。したがって、第1実施形態の上記(III)と同様の作用効果を発揮できる。
(6)第7実施形態
図17は本実施形態の加熱蒸散体1の平面図である。本実施形態では、大きさの異なる開口部41が形成されている。具体的には、大きな開口部41(41a)と小さな開口部41(41b)とが、形成されている。その他は、第1実施形態と同じである。
本実施形態においても、4個の開口部41のいずれもが、蒸散面22の中央位置Cに面していない。したがって、第1実施形態の上記(III)と同様の作用効果を発揮できる
(7)第8実施形態
図18は本実施形態の加熱蒸散体1の平面図である。本実施形態では、形の異なる開口部41が形成されている。具体的には、円形の開口部41(41a)と正方形の開口部41(41b)とが、形成されている。その他は、第1実施形態と同じである。
本実施形態においても、4個の開口部41のいずれもが、蒸散面22の中央位置Cに面していない。したがって、第1実施形態の上記(III)と同様の作用効果を発揮できる
以下、上記構成の加熱蒸散体1の実施例を、比較例を参照しながら、説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されない。
[第1実施例]
本実施例の加熱蒸散体1は、図12に示す第2実施形態の加熱蒸散体1において、以下のような具体的構成を有している。
(i)袋体3
・寸法:L1=42mm、W1=18mm
・開口部41の直径:4mm
・開口部41の位置:E1=21mm、E2=E3=10mm、E4=E5=E6=6mm
・担体2の蒸散面22の面積に対する、全ての開口部41の開口面積の合計の割合(すなわち開口割合):7.7%
・フィルム31は、ポリエチレンテレフタレートフィルムである。なお、片面には、ヒートシールのために、薄いポリプロピレンが積層されている。
(ii)担体2
・寸法:14mm×35mm×1.6mm
・構成材料:パルプ及びコットンリンターからなる繊維質材料
・害虫防除成分:2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
・担体2が害虫防除成分を含有する方法:害虫防除成分8.4重量%を、ジブチルヒドロキシトルエン3.5重量%とアセチルクエン酸トリブチル15.0重量%とアセチルクエン酸トリエチル73.1重量%とからなる溶液200mgに溶解し、その溶液を担体2に含浸させた。
・インジケーター23は、特開2004−339209号公報に記載されている「油液含有時に透明に変性する層」を蒸散面22に印刷して構成した。
[第2実施例]
本実施例の加熱蒸散体1は、図3に示す第1実施形態の加熱蒸散体1において、以下のような具体的構成を有している。
(i)袋体3
・寸法:L1=42mm、W1=18mm
・開口部41の直径:3.5mm
・開口部41の位置:E1=E2=10mm、E3=E4=5mm
・開口割合:7.9%
・その他の構成は、第1実施例と同じである。
(ii)担体2
・第1実施例と同じである。
[第3実施例]
本実施例の加熱蒸散体1は、図13に示す第3実施形態の加熱蒸散体1において、以下のような具体的構成を有している。
(i)袋体3
・寸法:L1=42mm、W1=20mm
・開口部41の寸法:3mm×3mm
・開口部41の位置:E1=19.5mm、E2=E3=10mm、E4=E5=E6=4mm
・開口割合:4.8%
・その他の構成は、第1実施例と同じである。
(ii)担体2
・寸法:16mm×35mm×1.6mm
・担体2が害虫防除成分を含有する方法:害虫防除成分8.4重量%を、ジブチルヒドロキシトルエン3.5重量%とアセチルクエン酸トリブチル10.0重量%とアセチルクエン酸トリエチル78.1重量%とからなる溶液200mgに溶解し、その溶液を担体2に含浸させた。
・その他の構成は、第1実施例と同じである。
[第4実施例]
本実施例の加熱蒸散体1は、図3に示す第1実施形態の加熱蒸散体1において、以下のような具体的構成を有している。
(i)袋体3
・寸法:L1=42mm、W1=20mm
・開口部41の直径:3mm
・開口部41の位置:E1=E2=10mm、E3=E4=6mm
・開口割合:5.0%
・その他の構成は、第1実施例と同じである。
(ii)担体2
・寸法:16mm×35mm×1.6mm
・担体2が害虫防除成分を含有する方法:害虫防除成分8.4重量%を、ジブチルヒドロキシトルエン3.5重量%とアセチルクエン酸トリブチル20.0重量%とアセチルクエン酸トリエチル68.1重量%とからなる溶液200mgに溶解し、その溶液を担体2に含浸させた。
・その他の構成は、第1実施例と同じである。
[第5実施例]
本実施例の加熱蒸散体1は、以下の点のみが第1実施例と異なっている。
・担体2が害虫防除成分を含有する方法:害虫防除成分8.4重量%を、ジブチルヒドロキシトルエン3.5重量%とアセチルクエン酸トリブチル88.1重量%とからなる溶液200mgに溶解し、その溶液を担体2に含浸させた。
[第6実施例]
本実施例の加熱蒸散体1は、以下の点のみが第2実施例と異なっている。
・担体2が害虫防除成分を含有する方法:害虫防除成分8.4重量%を、ジブチルヒドロキシトルエン3.5重量%とアセチルクエン酸トリブチル88.1重量%とからなる溶液200mgに溶解し、その溶液を担体2に含浸させた。
[第1比較例]
本比較例の加熱蒸散体1は、図19に示される構成を有している。すなわち、本比較例の加熱蒸散体1は、以下の点のみが第1実施例と異なっている。
・1個の開口部41が、担体2の蒸散面22の中央位置Cに面した、袋体3の位置に、形成されている。開口部41は、円形であり、直径6.0mmである。
・開口割合:5.8%
[第2比較例]
本比較例の加熱蒸散体1は、図19に示される構成を有している。すなわち、本比較例の加熱蒸散体1は、以下の点のみが第3実施例と異なっている。
・1個の開口部41が、担体2の蒸散面22の中央位置Cに面した、袋体3の位置に、形成されている。開口部41は、円形であり、直径6.0mmである。
・開口割合:5.0%
[第3比較例]
本比較例の加熱蒸散体1は、図19に示される構成を有している。すなわち、本比較例の加熱蒸散体1は、以下の点のみが第4実施例と異なっている。
・1個の開口部41が、担体2の蒸散面22の中央位置Cに面した、袋体3の位置に、形成されている。開口部41は、円形であり、直径6.0mmである。
・開口割合:5.0%
[第4比較例]
本比較例の加熱蒸散体1は、図20に示される構成を有している。すなわち、24個の開口部41が、担体2の蒸散面22側の袋体3に、略均等に分散するよう形成されている。具体的構成は、次のとおりである。
(i)袋体3
・寸法:L1=42mm、W1=20mm
・開口部41の寸法:直径0.1mm
・開口部41の位置:E1=3mm、E2=4mm
・開口割合:0.01%
・その他の構成は、第4実施例と同じである。
(ii)担体2
・寸法:16mm×35mm×1.6mm
・その他の構成は、第4実施例と同じである。
[試験]
第1〜第6実施例及び第1〜第4比較例の加熱蒸散体1を用いて、次のような試験を行った。
(1)試験1
(試験装置)
図21に示す試験装置8を用意した。試験装置8は、直径20cm及び高さ80cmの第1円筒81と、直径20cm及び高さ30cmの透明樹脂製の第2円筒82と、幅7.8cmの金属製の台座83と、内径4cm及び高さ12cmの2本の透明なガラス管84と、電気蚊取り器85と、で構成されている。第1円筒81は、平面上に立設されている。台座83は、第1円筒81の頂部に、直径方向に設置されている。台座83は、直径4cmの孔(図示せず)を2個有している。2個の孔は、台座83の中央から等距離に形成されている。2本のガラス管84には、アカイエカ(Culex pipiens pallens)の雌成虫10匹が入れられており、ガラス管84の両端は、16メッシュのナイロンネットで塞がれている。ガラス管84は、台座83の孔に立設されている。第1円筒81の底部には、電気蚊取り器85が設置されている。
この試験装置8においては、電気蚊取り器85によって加熱蒸散体1を加熱すると、害虫防除成分が、加熱蒸散体1から蒸散され、第1円筒81内を上昇し、ガラス管84内に流入し、第2円筒82を上昇して、外部へ放出される。したがって、ガラス管84内のアカイエカが害虫防除成分に晒され、これにより、害虫防除成分の効力を試験できる。
(試験方法)
第1〜第4実施例及び第1〜第3比較例の各々の加熱蒸散体1を用いて、次のような試験を行った。
(a)加熱蒸散体1を、試験装置8に設置する前に、電気蚊取り器に装着し、12時間毎のON・OFFサイクルを6回繰り返しながら加熱した。加熱温度は120℃であった。そして、7回目の加熱開始から5時間経過後に、その加熱蒸散体1を、試験装置8の電気蚊取り器85に設置し、約120℃で加熱し、5分後にノックダウンしたアカイエカ雌成虫数をカウントした。その結果を表1に示す。
(b)試験後に、加熱蒸散体1に残留している害虫防除成分の量を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2008255039
(結果)
第1〜第4実施例の加熱蒸散体1は、上記一定時間経過後においても、害虫防除効果を発揮していたが、第1〜第3比較例の加熱蒸散体1は、上記一定時間経過後において、害虫防除効果を発揮していなかった。それにも拘わらず、第1〜第3比較例の加熱蒸散体1は、第1〜第4実施例の加熱蒸散体1に比して、害虫防除成分の残留量が多かった。したがって、第1〜第3比較例の加熱蒸散体1においては、害虫防除成分が有効利用されていない。
(2)試験2
(試験方法)
第1〜第4実施例及び第4比較例の各々の加熱蒸散体1を用いて、次のような試験を行った。
加熱蒸散体1を、電気蚊取り器に装着し、12時間毎のON・OFFサイクルを7回繰り返しながら加熱した。加熱温度は120℃であった。その際、加熱蒸散体1の蒸散面22のインジケーター23の変化を観察した。その結果を表2に示す。
Figure 2008255039
(結果)
第4比較例の加熱蒸散体1は、試験終了時点すなわち84時間経過後において、第1〜第4実施例の加熱蒸散体1と略同じ害虫防除効果を発揮した。それにも拘わらず、第4比較例のインジケーター23は、36〜48時間経過後に変化して、害虫防除成分の消失を示した。したがって、第4比較例のインジケーター23は、実体を示していない。
本発明の害虫防除用加熱蒸散体は、害虫防除成分を有効利用できるので、産業上の利用価値が大である。
第1実施形態の加熱蒸散体を示す斜視図である。 図1の加熱蒸散体の担体の斜視図である。 図1の加熱蒸散体の平面図である。 図3のIV−IV断面矢視図である。 図3のV−V断面矢視図である。 図1の加熱蒸散体の製造方法の一工程を示す斜視図である。 図6に続く工程を示す斜視図である。 加熱蒸散体の別の製造方法の一工程を示す斜視図である。 図8に続く工程を示す斜視図である。 図9のX−X断面矢視図である。 図9のXI−XI断面矢視図である。 第2実施形態の加熱蒸散体の平面図である。 第3実施形態の加熱蒸散体の平面図である。 第4実施形態の加熱蒸散体の平面図である。 第5実施形態の加熱蒸散体の平面図である。 第6実施形態の加熱蒸散体の平面図である。 第7実施形態の加熱蒸散体の平面図である。 第8実施形態の加熱蒸散体の平面図である。 第1〜第3比較例の加熱蒸散体の平面図である。 第4比較例の加熱蒸散体の平面図である。 試験1の試験装置の斜視図である。
符号の説明
1 加熱蒸散体 2 担体 21 被加熱面 22 蒸散面 3 袋体 41 開口部

Claims (12)

  1. 平面視略矩形の板状の担体と、担体を両面側から挟むように内包した袋体と、からなっている、害虫防除用加熱蒸散体において、
    担体が、加熱蒸散性害虫防除成分を含有しており、被加熱面と蒸散面とを有しており、
    袋体が、加熱蒸散性害虫防除成分に対して非透過性を有するフィルムからなっており、担体の蒸散面に面している蒸散面対面領域を有しており、
    袋体の蒸散面対面領域に、3〜10個の開口部が形成されており、
    全ての開口部が、担体の蒸散面の平面視中央位置から外れた位置に、存在していることを特徴とする害虫防除用加熱蒸散体。
  2. 全ての開口部の開口面積の合計が、担体の蒸散面の面積の3〜10%である、請求項1記載の害虫防除用加熱蒸散体。
  3. 全ての開口部の位置関係が、平面視において均衡的である、請求項1記載の害虫防除用加熱蒸散体。
  4. 開口部の個数が3個であり、
    全ての開口部が、二等辺三角形の頂点の位置に、存在しており、
    その二等辺三角形の底辺が、蒸散面対面領域の一辺に対して、平行であり、
    1個の開口部が、蒸散面対面領域の長手方向の中央に存在している、請求項1記載の害虫防除用加熱蒸散体。
  5. 開口部の個数が4個であり、
    全ての開口部が、正四角形の頂点の位置に、存在しており、
    その正四角形の一辺が、蒸散面対面領域の一辺に対して、平行である、請求項1記載の害虫防除用加熱蒸散体。
  6. 担体が、加熱蒸散性害虫防除成分の消失を示す表示手段を、蒸散面の平面視中央位置に有している、請求項1記載の害虫防除用加熱蒸散体。
  7. 加熱蒸散性害虫防除成分が、式(1)で示される化合物である、請求項1記載の害虫防除用加熱蒸散体。
    Figure 2008255039

    (式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、又は塩素原子であり、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシ基、又はメトキシメチル基である)
  8. 上記化合物が、
    2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、
    2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、
    2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、
    2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、又は
    2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラートである、請求項7記載の害虫防除用加熱蒸散体。
  9. 加熱蒸散性害虫防除成分が、200℃以上の沸点を有するエステル系溶剤の、溶液として、担体に含浸されている、請求項1記載の害虫防除用加熱蒸散体。
  10. エステル系溶剤が、アセチルクエン酸エステルである、請求項9記載の害虫防除用加熱蒸散体。
  11. アセチルクエン酸エステルが、アセチルクエン酸トリエチル及び/又はアセチルクエン酸トリブチルである、請求項10記載の害虫防除用加熱蒸散体。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の害虫防除用加熱蒸散体を、担体の被加熱面の側から加熱することを特徴とする害虫防除方法。
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